(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する、発光ダイオードを有する自動販売機のモータ駆動用の定電圧電源装置と、交流電流を所定の直流電流に変換した直流出力電流を出力する、前記自動販売機の照明装置の定電流電源装置とを備え、この定電流電源装置は、前記直流出力電流に応じた電圧を出力する電流検出部と、この電流検出部が検出した検出電圧と予め設定されている基準電流値に対応した基準電圧とを比較してその差を検出する比較部を有する定電流制御部とを有し、その差が一定となるように前記直流出力電流を制御する自動販売機のスイッチング電源装置であって、
前記定電圧電源装置のアースラインと前記定電流電源装置のアースラインとが接続され、
前記電流検出部は、前記直流出力電流をマイナス側の検出電圧として検出し、
前記比較部は、反転端子と非反転端子を有する比較器であり、
前記比較器のグランド端子が前記定電流電源装置のアースラインに接続され、
前記比較器は、前記基準電圧が前記反転端子に入力され、前記検出電圧が前記非反転端子に入力されて、接地電位を基準にした前記基準電圧と、前記接地電位を基準にした前記検出電圧とを比較することを特徴とする自動販売機のスイッチング電源装置。
【実施例】
【0012】
図1に示すスイッチング電源装置10は、交流電源Eの交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する定電圧電源装置20と、交流電源Eの交流電流を所定の直流電流に変換した直流出力電流を出力する定電流電源装置100とを備えている。定電圧電源装置20は、例えば自動販売機などのモータ駆動用の定電圧電源に使用するものであり、定電流電源装置100は、自動販売機のLED照明用の定電流電源に使用するものである。
[定電圧電源装置]
定電圧電源装置20は、ノイズフィルタ21と、入力整流平滑回路30と、インバータ回路40と、出力平滑回路50と、定電圧制御部60とを有している。
[ノイズフィルタ]
ノイズフィルタ21は、電源ループ(交流電源E-入力整流平滑回路30-インバータ回路40)で発生する減衰振動を防止するとともに外部への雑音を防止するものであり、図示しないコンデンサとラインフィルタ等とから構成されている。
[入力整流平滑回路]
入力整流平滑回路30は、交流電源Eの交流電圧を全波整流する4つのダイオード(図示せず)から構成される整流回路31と、この整流回路31から出力される整流電圧を平滑するコンデンサ32とを有している。
[インバータ回路]
インバータ回路40は、一次巻線T1aと二次巻線T1bとを備えたトランスT1と、トランスT1の一次巻線T1aに直列接続されたスイッチング素子Q1と、このスイッチング素子Q1をオン・オフさせる一次側制御部41等とを有している。
【0013】
一次側制御部41は、フォトカプラPH1(
図2参照)のフォトトランジスタ(図示せず)を有し、スイッチング素子Q1をオン・オフするパルスを出力するとともに、そのフォトトランジスタの受光量(フォトトランジスタに流れる電流)に基づいてパルス幅を制御する。すなわち、一次側制御部41は、パルスを所定の周期で出力してスイッチング素子Q1をオン・オフさせていくとともに、そのパルス幅をフォトトランジスタに流れる電流に基づいて制御するものである。
[出力平滑回路]
出力平滑回路50は、インバータ回路40のトランスT1の二次巻線T1bから出力される交流電圧を半波整流するダイオード51と、このダイオード51で半波整流された整流電圧を平滑する平滑コンデンサ52とを有している。
[定電圧制御部]
定電圧制御部60は、
図2に示すように、出力電圧Voを分圧する分圧回路61と、定電圧IC2と、フォトカプラPH1のフォトダイオードPD1等とを有している。
【0014】
分圧回路61は、直列接続された2つの抵抗R20A,R20Bとを有し、この抵抗R20A,R20Bによって分圧された分圧電圧(R2
0B・Vo/(R20A+R20B))が定電圧IC2のゲートIC2gに入力されるようになっている。
【0015】
定電圧IC2は、ゲートIC2に印加するゲート電圧が所定電圧となるように矢印S方向に電流を流して出力電圧Voを調整するようになっている。例えば、出力電圧Voの電圧が高くなると、ゲートIC2gの電圧が所定電圧より高くなり、このゲートIC2g電圧が所定電圧となるように定電圧IC2が矢印S方向に多くの電流を流して出力電圧Voを下げていく。逆に、出力電圧Voが低くなると、ゲートIC2gの電圧が所定電圧より低くなり、このゲートIC2gの電圧が所定電圧となるように定電圧IC2が矢印S方向の電流を減少させて、出力電圧Voを上げていくものである。
【0016】
フォトカプラPH1のフォトダイオードPD1は、定電圧IC2に流れる電流に応じて発光し、一次側制御部41のフォトカプラPH1のフォトトランジスタがその発光を受光する。なお、L1は出力ライン、Lgはアースライン(GND)である。
[定電流電源装置]
定電流電源装置100は、
図1に示すように、入力整流平滑回路130と、インバータ回路140と、出力平滑回路150と、電流検出部160と、定電流制御部170と、調光回路180とを有している。
[入力整流平滑回路]
入力整流平滑回路130は、交流電源Eの交流電圧を全波整流する4つのダイオード(図示せず)から構成される整流回路131と、この整流回路131から出力される整流電圧を平滑するコンデンサ132とを有している。
[インバータ回路]
インバータ回路140は、一次巻線T2aと二次巻線T2bとを備えたトランスT2と、トランスT2の一次巻線T2aに直列接続されたスイッチング素子Q2と、このスイッチング素子Q2をオン・オフさせる一次側制御部141等とを有している。
【0017】
一次側制御部141は、フォトカプラPH2(
図2参照)のフォトトランジスタ(図示せず)を有し、スイッチング素子Q2をオン・オフするパルスを出力するとともに、そのフォトトランジスタの受光量に基づいてパルス幅を制御する。すなわち、一次側制御部141は、パルスを所定の周期で出力してスイッチング素子Q2をオン・オフさせていくとともに、そのパルス幅をフォトトランジスタに流れる電流に基づいて制御するものである。
[出力平滑回路]
出力平滑回路150は、図
1に示すようにインバータ回路140のトランスT2の二次巻線T2bから出力される交流電流を半波整流するダイオード151と、このダイオード151で半波整流された整流電流を平滑する平滑コンデンサ152とを有している。
[電流検出部]
電流検出部160は、
図2に示すように、負荷に流れる電流を検出する電流検出抵抗R124を有している。
【0018】
電流検出抵抗124の一方の端子Aは、トランスT2の二次巻線T2bのマイナス側端子に接続され、他方の端子BはアースラインL2に接続されている。
[定電流制御部]
定電流制御部170は、比較器(比較部)171と、フォトカプラPH2のフォトダイオードPD2と、分圧回路172と、2つの抵抗R73A,R73Bとを有している。分圧回路172は、直列接続された2つの抵抗R72A,R72Bを有し、後述する定電圧IC3が生成した所定電圧を分圧する。
【0019】
分圧回路172の抵抗R72A,R72Bの接続点Cが比較器171の反転端子に接続されており、分圧回路172で分圧した分圧電圧が基準電圧として比較器171の反転端子に入力するようになっている。
【0020】
基準電圧Vfは、定電圧IC3が生成した所定電圧をVpとすると、Vf=R72A・Va/(R72
A+R72B)となる。
【0021】
抵抗R73A,R73Bの接続点Dが比較器171の非反転端子に接続され、電流検出抵抗R124の端子Aに生じるマイナスの電圧が比較器171の非反転端子に入力するようになっている。
[比較器]
比較器171は、非反転端子の電圧と反転端子の電圧との差に応じた電流が出力端子に入力するようになっている。比較器171の出力端子はフォトダイオードPD2のカソードに接続され、フォトダイオードPD2のアノードはダイオードD10のカソードに接続されている。ダイオードD10のアノードは定電圧電源装置20の出力ラインL1に接続されている。これにより、比較器171の非反転端子の電圧と反転端子の電圧との差に応じた電流がフォトダイオードPD2に流れるようになっている。
【0022】
また、比較器171のGND端子(グランド端子)171gはアースラインL2に接続され、比較器171の電源端子BaはダイオードD10のカソードに接続されている。定電圧電源装置20の出力ラインL1の出力電圧Voが電源電圧として比較器171の電源端子Baに供給される。なお、Laは出力ラインである。
【0023】
比較器171は、GND端子171gがアースラインL2に接続されていることにより、アースラインL2の電位を基準にした非反転端子の電圧と、アースラインL2の電位を基準にした反転端子の電圧との差に応じた電流が出力端子に流れることになる。
[定電圧IC3]
定電圧IC3は、一定の所定電圧を生成するものであり、アノードがアースラインL2に接続され、出力端子であるカソードが抵抗R126を介してダイオードD10のカソードに接続されている。定電圧IC3が生成した所定電圧Vpは、分圧回路172の両端子間に印加することになる。
[調光回路]
調光回路180は、スイッチ素子Q3と、抵抗R133とを有している。スイッチ素子Q3のゲートは信号線GL1が接続され、スイッチ素子Q3のドレインは比較器171の反転端子に接続されている。スイッチ素子Q3のソースは抵抗R133を介して定電圧IC3のカソードに接続されている。
【0024】
スイッチ素子Q3は信号線GL1にHレベルの信号が入力されるとオンし、分圧回路172の抵抗R72Bと抵抗R133とが並列接続される。これにより、分圧回路172の分圧比が変わり、比較器171の反転端子に入力される基準電圧Vfが変わる。この結果、比較器171の出力端子に流れる電流が変化して調光が行われることになる。
【0025】
なお、GLgは信号用アースラインであり、この信号用アースラインGLgはアースラインL2に接続されている。
[動 作]
次に、上記のように構成されるスイッチング電源装置10の動作について説明する。
【0026】
図1に示す入力整流平滑回路30により、交流電圧が直流電圧に整流されてトランスT1の一次巻線T1aに直流電圧が印加され、この直流電圧はスイッチング素子Q1により断続される。この断続により、トランスT1の二次巻線T1bに交流電圧が誘起され、この交流電圧が出力平滑回路50により所定電圧の直流電圧となって出力される。この直流電圧が自動販売機のモータ駆動用の定電圧電源として供給されることになる。
【0027】
出力平滑回路50から出力される直流電圧(出力電圧)は、定電圧制御部60により一定に保たれることになる。
【0028】
例えば、出力電圧が上昇すると、定電圧IC2が矢印S方向に多くの電流を流して出力電圧Voを下げていくとともに、フォトカプラPH1のフォトダイオードPD1に流れる電流が増加することにより、フォトダイオードPD1が発光する光量が増加する。これにより、フォトカプラPH1のフォトトランジスタ(図示せず)の受光量が増加し、このフォトトランジスタに流れる電流が増加する。
【0029】
一次側制御部41は、そのフォトトランジスタに流れる電流に基づいてスイッチング素子Q1をオン・オフするパルスのパルス幅を小さくする。これにより、出力平滑回路50から出力される出力電圧が低下され、所定の出力電圧となる。
【0030】
逆に、出力電圧が上昇すると、定電圧IC2が矢印S方向に流す電流を少なくして出力電圧Voを上昇させるととともに、フォトカプラPH1のフォトダイオードPD1に流れる電流が減少する。これにより、フォトダイオードPD1が発光する光量が減少し、スイッチング素子Q1をオン・オフするパルスのパルス幅が大きくされて、出力平滑回路50から出力される出力電圧が上昇され、これにより、所定の出力電圧となる。
【0031】
一方、
図1に示す入力整流平滑回路130により、交流電圧が直流電圧に整流されてトランスT2の一次巻線T2aに直流電圧が印加され、この直流電圧はスイッチング素子Q2により断続される。この断続により、トランスT2の二次巻線T2bに交流電圧が誘起され、この交流電圧による交流電流が出力平滑回路150により所定の直流電流となって出力ラインLaから出力される。この直流電流が自動販売機の照明用のLED(図示せず)などに供給される。
【0032】
このLEDに流れた電流はアースラインL2及び抵抗R124を通ってトランスT2の二次巻線T2bへ流れていく。そして、抵抗R124の端子Aには、LEDに流れる電流に応じた電圧(検出電圧)Vaが発生し、この電圧VaはアースラインL2の電位(接地電位)に対してマイナスの電位となっており、この電圧Vaが抵抗R73Aを介して比較器171の非反転端子に入力する。他方、定電圧IC3が生成した所定電圧Vpは、抵抗R72Aと抵抗R72Bにより分圧され、基準電圧Vfとして比較器171の反転入力端子に入力する。
【0033】
比較器171は、アースラインL2の電位を基準にした基準電圧Vfと電圧Vaとを比較し、基準電圧Vfと電圧Vaとの差に応じてフォトカプラPH2のフォトダイオードPD2に電流を流す。例えば、LEDに流れる電流が増加すると、抵抗R124の端子Aに生じる電圧Vaはマイナス方向に大きくなり、この電圧Vaが比較器171の非反転端子に入力するので、比較器171の出力端子の電圧は低い電圧となり、フォトカプラPH2のフォトダイオードPD2に流れる電流は増加する。
【0034】
このため、フォトダイオードPD2の発光量が増加し、インバータ回路140の一次側制御部141のフォトトランジスタ(図示せず)の受光量が増加する。これにより、そのフォトトランジスタに流れる電流が増加し、一次側制御部141は、そのフォトトランジスタに流れる電流に基づいてスイッチング素子Q2をオン・オフするパルスのパルス幅を小さくする。これにより、出力平滑回路150から出力される出力電流が低下され、所定の出力電流となる。
【0035】
逆に、LEDに流れる電流が減少すると、抵抗R124の端子Aの電位がアースラインL2の電位に対して上昇することになるので、上記とは逆にフォトカプラPH2のフォトダイオードPD2に流れる電流は減少し、この結果、インバータ回路140の一次側制御部141のフォトトランジスタに流れる電流が減少し、一次側制御部141は、そのフォトトランジスタに流れる電流に基づいてスイッチング素子Q2をオン・オフするパルスのパルス幅を大きくする。これにより、出力平滑回路150から出力される出力電流が増加し、所定の出力電流となる。
【0036】
このように、比較器171は、GND端子171gがアースラインL2に接続されていることにより、アースラインL2の電位を基準にして抵抗R124の端子Aに生じるマイナスの電位の電圧Vaと基準電圧Vfとを比較するものであるから、LEDに流れる電流の大小に拘わらずアースラインL2の電位は常に一定の零電位を保つことになる。このため、定電圧電源装置20のアースラインLgと定電流電源装置100のアースラインL2とは常に同電位であり、アースラインLgとアースライ
ンL2を共通にすることができ、定電圧電源装置20や定電流電源装置100に接続される各負荷のGNDを互いに分離して絶縁する必要もない。
【0037】
Hレベルの調光信号G1が信号線GL1に入力すると、この調光信号G1によりスイッチ素子Q3がオンする。これにより、調光回路180の抵抗R133と分圧回路172の抵抗R72Bとが並列接続され、分圧回路172の分圧比が変わる。この結果、比較器171の反転端子に入力される基準電圧Vfが変わり、比較器171の出力端子に流れる電流が変化して調光が行われることになる。
【0038】
また、LEDに流れる電流の大小に拘わらずアースラインL2の電位は常に一定の零電位に保たれるので、アースラインL2と信号用アースラインGLgとを接続して、Hレベルの調光信号G1を信号線GL1に入力してスイッチ素子Q3をオンすることができる。すなわち、アースラインL2の電位を基準にした調光信号G1の電圧に基づいて基準電圧Vfを変更することができる。
【0039】
このため、調光信号G1のGNDに関しても定電圧電源装置20のアースラインLgと共通化を図ることができる。
【0040】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。