(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記シール部材は、上記ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と上記三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と上記三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールと、上記ブラケット下部の上記ガラスラン保持部に取付けられ、上記自動車ドアのベルトラインより下部で上記ドアガラスの側端を保持するガラスランを有し、
上記ブラケット下部において、上記ガラスラン保持部の底壁は、上記第1サッシュホルダブラケット又は上記第2サッシュホルダブラケットのいずれか一方のみに形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車ドア用ガゼット。
上記第1サッシュホルダブラケットと上記第2サッシュホルダブラケットの接合部以外の部位では隙間が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動車ドア用ガゼット。
上記ブラケット上部リヤシール保持部は、上記第1サッシュホルダブラケットと上記第2サッシュホルダブラケットの先端が屈曲して形成された請求項6に記載の自動車ドア用ガゼット。
【背景技術】
【0002】
自動車ドア1には、
図12に示すように、昇降可能なドアガラス5が取付けられて、自動車ドア1がフロントドアの場合は、ベルトライン4の部位におけるフロント側の端部の三角コーナー部には、ドアガラス5の昇降を容易にして、当該コーナー部の見栄えを向上させるために、ドア用ガゼット106が取付けられている。
【0003】
ドア用ガゼット106は、
図13に示すように、自動車ドア1のベルトライン4の上部に位置するガゼット上部106aと、ベルトライン4の下部に取付けられてドアパネル102に取付けられるガゼット下部106bを有している。ガゼット上部106aは、自動車ドア1に取付けられるサッシュホルダブラケット130とサッシュホルダブラケット130の周囲に取付けられるサッシュホルダシール120を有している。
【0004】
サッシュホルダシール120は、ドアガラス5の側端とガゼット上部106aの間及び車体開口部周縁(図示せず)と三角コーナー部の間をシールする。
ガゼット下部106bには、ドアガラス5の自動車ドア1内の昇降を案内するガイドレール106cが取付けられ、ガイドレール106cには自動車ドア1のベルトライン4より下部でドアガラス5の側端を保持して昇降を案内するガラスラン110が取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このガイドレール106cは、従来、サッシュホルダブラケット130とは別に、断面略コ字形に屈曲して形成された金属製の長尺状のものをサッシュホルダブラケット130のガゼット下部106bに溶接等で取付けていた。しかしながら、ガイドレール106cを位置決めする機能や断面略コ字形の底壁の部分に溶接するため、高精度が要求されて、生産性もよくなかった。
【0006】
また、
図14に示すように、ガイドレール206cをベルトライン4の上方まで延長して、延長部206dをサッシュホルダブラケット230の上部にねじ止めと溶接で取付けるものもある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合においても、それぞれの部品が複雑な形状になり、各部品の高精度が要求されて、生産性もよくなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、本発明は、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのサッシュホルダブラケットの構造を簡単にして、製造が容易な自動車ドア用ガゼットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットにおいて、
ドア用ガゼットは、自動車ドアに取付けられる金属製のサッシュホルダブラケットと、サッシュホルダブラケットに取付けられるシール部材を有し、
サッシュホルダブラケットは、自動車ドアのベルトラインより上部に位置するブラケット上部と、自動車ドアのベルトラインより下部に取付けられるブラケット下部を一体的に形成され、ブラケット下部はガラスラン保持部が設けられ、
サッシュホルダブラケットは、車外側に配置されてブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第1サッシュホルダブラケットと、車内側に配置されて上記ブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第2サッシュホルダブラケットが車両幅方向で重ねられて接合して形成され、
ブラケット下部は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合してガラスラン保持部が一体的に形成されたことを特徴とする自動車ドア用ガゼットである。
【0010】
請求項1の本発明では、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部に取付けられるドア用ガゼットのシール部材の固定構造において、ドア用ガゼットは、自動車ドアに取付けられる金属製のサッシュホルダブラケットと、サッシュホルダブラケットに取付けられるシール部材を有する。このため、サッシュホルダブラケットを自動車ドアに固定して、シール部材でドア用ガゼットの周囲をシールすることができる。
【0011】
サッシュホルダブラケットは、自動車ドアのベルトラインより上部に位置するブラケット上部と、自動車ドアのベルトラインより下部に取付けられるブラケット下部を有し、ブラケット下部はガラスラン保持部が設けられる。このため、ブラケット上部で自動車ドアのサッシュレスフロントドアのドア用ガゼットとドアガラス及び車体のフロントピラーの間をシールして、ブラケット下部でドア用ガゼットを自動車ドアに取付けるとともにガラスラン保持部でガラスランを保持することができる。
【0012】
サッシュホルダブラケットは、車外側に配置されてブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第1サッシュホルダブラケットと、車内側に配置されてブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第2サッシュホルダブラケットが車両幅方向で重ねられて接合して形成されている。このため、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合するのみで、サッシュホルダブラケットのブラケット上部とブラケット下部を同時に一体的に製造することができ、効率的に、低コストで製造することができる。
【0013】
ブラケット下部は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合してガラスラン保持部が一体的に形成された。このため、断面略コ字形の溝を有するガラスラン保持部を、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの先端を屈曲して形成して、一体的に接合することにより、ガラスラン保持部をサッシュホルダブラケットのブラケット下部に一体的に形成することができ、ガラスラン保持部の形成が容易である。
【0014】
請求項2の本発明は、第1サッシュホルダブラケットに対する第2サッシュホルダブラケットの板厚比は、0.75〜1.25である自動車ドア用ガゼットである。
【0015】
請求項2の本発明では、第1サッシュホルダブラケットに対する第2サッシュホルダブラケットの板厚比は、0.75〜1.25であるため、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの接合強度を近似させることで、ドア閉時にドア用ガゼットに対する応力が掛かったときに、サッシュホルダブラケットへの応力集中を防止することができる。
【0016】
請求項3の本発明は、シール部材は、ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールと、ブラケット下部のガラスラン保持部に取付けられ、自動車ドアのベルトラインより下部でドアガラスの側端を保持するガラスランを有し、
ブラケット下部において、ガラスラン保持部の底壁は、第1サッシュホルダブラケット又は第2サッシュホルダブラケットのいずれか一方のみに形成された自動車ドア用ガゼットである。
【0017】
請求項3の本発明では、シール部材は、ブラケット上部に取付けられ、ドアガラスの側端と三角コーナー部の間及び車体開口部周縁と三角コーナー部の間をシールするサッシュホルダシールを有する。このため、ブラケット上部に取付けられたサッシュホルダシールにより、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部の周囲をシールすることができる。
【0018】
シール部材は、ブラケット下部のガラスラン保持部に取付けられ、自動車ドアのベルトラインより下部でドアガラスの側端を保持するガラスランを有する。このため、ガラスランはガラスラン保持部に保持されて、ドアガラスの側端を保持して、ドアガラスが円滑に昇降するように案内することができる。
【0019】
ブラケット下部において、ガラスラン保持部の底壁は、第1サッシュホルダブラケット又は第2サッシュホルダブラケットのいずれか一方のみに形成されている。このため、ガラスラン保持部の底壁を形成するための工程が一方のみに設ければよく、ガラスランの底壁又は底壁延長部をガラスラン保持部の底壁に固定するクリップの取付孔を形成することが容易である。
【0020】
請求項4の本発明は、ガラスラン保持部の底壁には、ガラスランの先端を固定するクリップ用凹部が形成された自動車ドア用ガゼットである。
【0021】
請求項4の本発明では、ガラスラン保持部の底壁には、ガラスランの先端を固定するクリップ用凹部が形成された。このため、ドアガラスの昇降時にドアガラスがぶれても、ドアガラスの側端が固定部材の頭部に接触することがなく、異音の発生や摩擦抵抗が生じることが無く円滑に昇降することができる。
【0022】
請求項5の本発明は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの接合部以外の部位では隙間が形成された自動車ドア用ガゼットである。
【0023】
請求項5の本発明では、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの接合部以外の部位では隙間が形成されたため、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合した後に、メッキする場合に接合部以外の部位では隙間にメッキ液が入ることができ、メッキを確実に行うことができる。
【0024】
請求項6の本発明は、上記シール部材は、上記ブラケット上部に取付けられるサッシュホルダシールを有し、
サッシュホルダシールは、ブラケット上部の車体リヤ側に取付けられドアガラスの側端とドア用ガゼットの間をシールするホルダドアガラスシール部と、ブラケット上部の車体フロント側に取付けられ車体開口部周縁とドア用ガゼットの間をシールするホルダフロントシール部を有し、
ブラケット上部は、ホルダドアガラスシール部を取付けるブラケット上部リヤシール保持部と、ホルダフロントシール部を取付けるブラケット上部フロントシール保持部を有し、ブラケット上部リヤシール保持部は、ブラケット上部の側端が階段状に屈曲して形成される断面コ字形に形成される自動車ドア用ガゼットである。
【0025】
請求項6の本発明では、シール部材は、ブラケット上部に取付けられるサッシュホルダシールを有するため、ブラケット上部に取付けられたサッシュホルダシールにより、自動車ドアのサッシュレスフロントドアの三角コーナー部において、ブラケット上部の周囲をシールすることができる。
【0026】
サッシュホルダシールは、ブラケット上部の車体リヤ側に取付けられドアガラスの側端とドア用ガゼットの間をシールするホルダドアガラスシール部と、ブラケット上部の車体フロント側に取付けられ車体開口部周縁とドア用ガゼットの間をシールするホルダフロントシール部を有する。このため、ホルダドアガラスシール部がドアガラスとの間と車体開口部周縁の間を連続して、確実にシールすることができるとともに、ホルダフロントシール部でドア用ガゼットのフロント側をシールすることができる。
【0027】
ブラケット上部は、ホルダドアガラスシール部を取付けるブラケット上部リヤシール保持部と、ホルダフロントシール部を取付けるブラケット上部フロントシール保持部を有する。このため、ブラケット上部リヤシール保持部にホルダドアガラスシール部を確実に保持して、ドアガラスの側端とドア用ガゼットの間を安定してシールすることができるとともに、ブラケット上部フロントシール保持部にホルダフロントシール部を確実に保持して、車体開口部周縁とドア用ガゼットの間を安定してシールすることができる。
ブラケット上部リヤシール保持部は、ブラケット上部の側端が階段状に屈曲して形成される断面コ字形に形成されるため、断面略コ字形の内部にホルダドアガラスシール部を安定して保持することができる。
【0028】
請求項7の本発明は、ブラケット上部リヤシール保持部は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの先端が屈曲して形成された自動車ドア用ガゼットである。
【0029】
請求項7の本発明では、ブラケット上部リヤシール保持部は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの先端が屈曲して形成された。このため、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの先端をそれぞれ階段状に屈曲して、接合することで、断面略コ字形のブラケット上部リヤシール保持部を容易に効率よく、低コストで形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
車外側に取付けられてブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第1サッシュホルダブラケットと、車内側に取付けられブラケット上部からブラケット下部まで一体的に延設される第2サッシュホルダブラケットを接合して形成されているため、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合するのみで、サッシュホルダブラケットのブラケット上部とブラケット下部を同時に一体的に製造することができ、効率的に、低コストで製造することができる。
【0031】
ブラケット下部は、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットを接合してガラスラン保持部が一体的に形成された。このため、断面略コ字形の溝を有するガラスラン保持部を、第1サッシュホルダブラケットと第2サッシュホルダブラケットの先端を屈曲して、」屈曲部分を接合して、形成することができ、ガラスラン保持部の形成が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けた状態の正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットの第1サッシュホルダブラケットの正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットの第2サッシュホルダブラケットの正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールをサッシュホルダブラケットに取付けた断面図であり、
図1におけるA−A線に沿った断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態における、ガラスランをサッシュホルダブラケットのガラスラン保持部に取付けた断面図であり、
図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールをサッシュホルダブラケットに取付けた断面図であり、
図1におけるC−C線に沿った断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態における、サッシュホルダシールの裏面図である。
【
図8】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の正面図である。
【
図9】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の縦方向の断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、サッシュホルダシールとガラスランの接続部分の横方向の側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態における、サッシュホルダブラケットにサッシュホルダシールとガラスランを取付けて、フロントドアに取付けた状態の縦方向の断面図である。
【
図13】従来のガゼットを自動車ドアに取付けた状態の正面図である。
【
図14】従来の他のガゼットにガラスラン保持部を取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態を
図1〜
図12に基づき説明する。
図12は自動車の側面図である。
図12に示すように、サッシュレスの自動車ドア1であるフロントドアとのベルトライン4の部位には、アウターウエザストリップが取付けられ、ドアガラス5は自動車ドア1内を上下に昇降することができる。
自動車ドア1であるフロントドアのベルトライン4の部位におけるフロント側の端部には、略三角形状のドア用ガゼット6が取付けられている。
【0034】
本発明の実施の形態のドア用ガゼット6は、
図1に示すように、金属製のサッシュホルダブラケット30に、サッシュホルダシール20とガラスラン10が取付けられている。ドア用ガゼット6は、フロントドアのベルトライン4の上部に位置するガゼット上部6aとフロントドアのベルトライン4の下部のフロントドア内に取付けられるガゼット下部6bから構成される。
【0035】
ガゼット上部6aには、サッシュホルダブラケット30のブラケット上部31にサッシュホルダシール20が取付けられ、ガラスラン10は、ガゼット下部6bのサッシュホルダブラケット30のブラケット下部32に取付けられた後述するガラスラン保持部33に取付けられる。サッシュホルダシール20は、ガゼット上部6aのフロント側に取付けられるホルダフロントシール部22とリヤ側でドアガラス5の側端をシールするホルダドアガラスシール部21を有する。
【0036】
まず、サッシュホルダブラケット30について説明し、サッシュホルダブラケット30に取付けるサッシュホルダシール20及びガラスラン10について、その後、説明する。
サッシュホルダブラケット30は、2枚の金属製の板材を車両幅方向に重ねて形成され、一方を第1サッシュホルダブラケット40として
図2に示し、他方を第2サッシュホルダブラケット50として
図3に示す。
【0037】
図2に示すように、第1サッシュホルダブラケット40は、上部に三角形状でサッシュホルダシール20が取付けられる第1ブラケット上部41と、下部の第1ブラケット下部45が形成され、第1ブラケット下部45のドアガラス5の側端と対向する側にガラスラン10が取付けられるガラスラン保持部33の一方を形成する第1ガラスラン保持部42が上下方向に延びて形成されている。
【0038】
第1ブラケット上部41のリヤ側には、後述するサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部21が取付けられるブラケット上部リヤシール保持部31aの一方を形成する第1ブラケットリヤシール保持部41aが形成される。第1ブラケットリヤシール保持部41aは、
図4に示すように、第1ブラケット上部41の先端が階段状に屈曲して形成されている。
【0039】
第1ブラケット上部41のフロント側には、後述するサッシュホルダシール20のホルダフロントシール部22が取付けられるブラケット上部フロントシール保持部31bを形成する第1ブラケットフロントシール保持部41bが形成される。第1ブラケットフロントシール保持部41bは、
図6に示すように、先端が波状に湾曲して形成されている。第1ブラケットフロントシール保持部41bのみで、ブラケット上部フロントシール保持部31bを形成している。
【0040】
第1ブラケット下部45のリヤ側には、ガラスラン10を保持するガラスラン保持部33の一方を形成する第1ガラスラン保持部42が形成されている。第1ガラスラン保持部42は、
図5に示すように、第1サッシュホルダブラケット40のリヤ側先端が階段状に屈曲して形成され、後述するブラケット下部32の断面略コ字形のガラスラン保持部33の一部を形成する。
【0041】
第1ガラスラン保持部42は、第1サッシュホルダブラケット40のリヤ側先端が階段状に屈曲して形成されて断面略コ字形のガラスラン保持部33の底壁部分を形成する第1ガラスラン保持部底壁43を有する。第1ガラスラン保持部底壁43の先端は第1ガラスラン保持部車外側側壁44を形成する。
【0042】
第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50は、ブラケット上部31では、
図4に示すように、両方の先端が階段状に屈曲して形成される。ブラケット下部32では、
図5に示すように、第1サッシュホルダブラケット40の先端のみが階段状に屈曲して形成され、第2サッシュホルダブラケット50は屈曲せずに、第1サッシュホルダブラケット40の屈曲部に合体して、断面コ字形の溝を形成する。
【0043】
図3に示すように、第2サッシュホルダブラケット50は、上下に長く板状に形成され、上部にサッシュホルダシール20が取付けられる第2ブラケット上部51と、下部の第2ブラケット下部53のドアガラス5の側端と対向する側にガラスラン10が取付けられる第2ガラスラン保持部52が形成されている。
【0044】
第2ブラケット上部51のリヤ側には、後述するサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部21が取付けられるブラケット上部リヤシール保持部31aの一方を形成する第2ブラケットリヤシール保持部51aが形成される。第2ブラケットリヤシール保持部51aは、
図4に示すように、先端が階段状に屈曲して形成されている。
【0045】
第2ブラケット下部53のリヤ側には、ガラスラン10を保持する第2ガラスラン保持部52が形成されている。第2ガラスラン保持部52は、
図5に示すように、第2サッシュホルダブラケット50のリヤ側先端の第2ブラケット下部車内側側壁54が屈曲せずに板金状に形成され、後述するブラケット下部の断面略コ字形のガラスラン保持部33の一方を形成する。
【0046】
サッシュホルダブラケット30は、第1サッシュホルダブラケット40の溶接部46と第2サッシュホルダブラケット50の溶接部56がスポット溶接等で合体されて形成される。本実施の形態では、2箇所で溶接されるが溶接個所とその数は適宜選択できる。
【0047】
第1サッシュホルダブラケット40に対する第2サッシュホルダブラケット50の板厚比は、0.75〜1.25で形成することが好ましい。この場合には、第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50を接合したときに、その両者の接合強度を近似させることで、ドア閉時にドア用ガゼット6に対する応力が掛かったときに、サッシュホルダブラケット30への応力集中を防止することができる。
【0048】
第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50の接合は
図5に示すように、溶接部46、56等の溶接部のみで接合し、接合部以外では、隙間34を形成することが好ましい。この場合には、第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50を接合した後に、メッキする場合に接合部の隙間34にメッキ液が入ることができ、隙間34の部分を含めてメッキを確実に行うことができる。また、接合部以外では、合わせを行わないために、高い形状精度を求める必要がない。
【0049】
合体されたサッシュホルダブラケット30のブラケット下部32には、
図5に示すように、第1ガラスラン保持部42と第2ガラスラン保持部52の先端が断面コ字形の溝を形成する。その溝にガラスラン10が取付けられて、ガラスラン10の断面略コ字形の内部にドアガラス5の側端が入り、上下に摺動する。
【0050】
上述のように、ブラケット下部32では、
図5に示すように、第1サッシュホルダブラケット40の先端のみが階段状に屈曲して形成され、第2サッシュホルダブラケット50は屈曲せずに、第1サッシュホルダブラケット40の屈曲部に合体して、断面コ字形の溝を形成する。
【0051】
ガゼット下部6bにおける第1サッシュホルダブラケット40の屈曲部において、断面コ字形の溝の底壁は、第1ガラスラン保持部底壁43を形成する。後述するように、ガラスラン底壁13を保持して、ガラスラン底壁延設部14を固定するガラスラン取付クリップ15を挿入する第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成される。
【0052】
第1サッシュホルダブラケット40の第1ブラケット下部45の第1ガラスラン保持部底壁43の先端は、第1ガラスラン保持部車外側側壁44を形成し、第2サッシュホルダブラケット50の先端の第2ガラスラン保持部52は、第2ガラスラン保持部車内側側壁54を形成し、第1ガラスラン保持部車外側側壁44、第1ガラスラン保持部底壁43及び第1ガラスラン保持部車外側側壁44で断面略コ字形の溝を形成する。
【0053】
合体されたサッシュホルダブラケット30は、ブラケット上部31には、
図4に示すように、第1ブラケット上部41と第2ブラケット上部51の先端が合体して断面コ字形のブラケット上部リヤシール保持部31aを形成する。ブラケット上部リヤシール保持部31aに後述するサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部21が取付けられて、ホルダドアガラスシール部凹部21aにドアガラス5の側端が入り、上下に摺動する。サッシュホルダシール20については後述する。
【0054】
サッシュホルダシール20の車外側には、ガーニッシュ60が取付けられ、車内側にはインナーガーニッシュ70が取付けられる。
第1サッシュホルダブラケット40と第2サッシュホルダブラケット50は、ブラケット上部31では、
図4に示すように、両方の先端が階段状に屈曲して形成される。
【0055】
断面略コ字形のブラケット上部リヤシール保持部31aにホルダドアガラスシール部21を保持するため、ドアガラス5の側端とドア用ガゼット6の間を安定してシールすることができるとともに、
図6に示すように、ブラケット上部31のブラケット上部フロントシール保持部31bにホルダフロントシール部22を確実に保持して、車体開口部周縁8とドア用ガゼット6の間を安定してシールすることができる。
【0056】
次に、ガラスラン保持部33に取付けられるガラスラン10とサッシュホルダシール20について説明する。
ガラスラン10は、
図1に示すように、後述するサッシュホルダシール20の下端から若干離れて、ドア用ガゼット6のガゼット下部6bのドアガラス5の側端と対向ずるガラスラン保持部33に取付けられる。
【0057】
ガラスラン10は、長手方向に直線状に形成され、断面形状は、
図5に示すように、ガラスラン車外側側壁11、ガラスラン車内側側壁12及びガラスラン底壁13から断面略コ字形に形成されている。ガラスラン車外側側壁11の先端から断面略コ字形の内部方向に斜めにガラスラン車外側シールリップ11aが延設され、断面略コ字形の外面に沿ってガラスラン車外側カバーリップ11bが形成されている。
ガラスラン車外側側壁11の外面には、ガラスラン車外側保持リップ16がガラスラン底壁13との連続部分とガラスラン車外側側壁11の中央付近の2箇所に形成されている。
【0058】
ガラスラン車内側側壁12の先端から断面略コ字形の内部方向に斜めにガラスラン車内側シールリップ12aが延設され、断面略コ字形の外面に沿ってガラスラン車内側カバーリップ12bが形成されている。
ガラスラン車内側側壁12の外面には、ガラスラン車内側側壁保持リップ17がガラスラン底壁13との連続部分とガラスラン車外側側壁11の中央付近の2箇所に形成されている。
【0059】
ガラスラン10がサッシュホルダブラケット30のガラスラン保持部33に取付けられると、第1サッシュホルダブラケット40の先端の第1ガラスラン保持部車外側側壁44は、ガラスラン車外側カバーリップ11bとガラスラン車外側側壁11の間に挿入されてガラスラン車外側側壁11を保持する。
【0060】
第1ガラスラン保持部車外側側壁44は、ガラスラン車外側カバーリップ11bの先端よりも若干、第1ガラスラン保持部底壁43側の部分で屈曲して形成され、屈曲部分に、ガラスラン車外側側壁11の中央付近に形成されたガラスラン車外側保持リップ16が係合して、ガラスラン車外側側壁11を保持している。ガラスラン底壁13との連続部分に形成されたガラスラン車外側保持リップ16は、第1ガラスラン保持部車外側側壁44に当接してガラスラン車外側側壁11の保持とシールをしている。
【0061】
第2ガラスラン保持部車内側側壁54は、ガラスラン車内側カバーリップ12bの先端よりも若干、第1ガラスラン保持部底壁43側の部分で屈曲して形成され、屈曲部分に、ガラスラン車内側側壁12の中央付近に形成されたガラスラン車内側側壁保持リップ17が係合して、ガラスラン車内側側壁12を保持している。ガラスラン底壁13との連続部分に形成されたガラスラン車内側側壁保持リップ17は、第2ガラスラン保持部車内側側壁54に当接してガラスラン車内側側壁12の保持とシールをしている。
【0062】
ガラスラン10がドア用ガゼット6に取付けられて、自動車ドア1に取付けられると、ドアガラス5の側端が断面略コ字形の内部に進入して、ガラスラン車外側シールリップ11aとガラスラン車内側シールリップ12aがドアガラス5の側端を保持する。
【0063】
図8〜
図10に示すように、サッシュホルダシール20と近接するガラスラン10の端部には、ガラスラン底壁13から延設されたガラスラン底壁延設部14が形成されている。ガラスラン底壁延設部14は、ガラスラン10の端部のガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12を切除して形成することができる。ガラスラン底壁延設部14の固定構造については後述する。
【0064】
次に、
図4、
図7に基づきサッシュホルダシール20について説明する。
サッシュホルダシール20は、サッシュホルダブラケット30のブラケット上部31に取付けられるため、略逆V字形に形成されている。ブラケット上部31のフロント側でフロントピラーと当接する側はホルダフロントシール部22を形成し、リヤ側でドアガラス5の側端をシールするホルダドアガラスシール部21を有し、ホルダフロントシール部22とホルダドアガラスシール部21の先端は一体的に連結されている。
【0065】
ホルダドアガラスシール部21は、
図4に示すように、ドアガラス5の側端が進入可能なホルダドアガラスシール部凹部21aが形成され、ホルダドアガラスシール部凹部21aを囲むようにホルダドアガラスシール部車外側側壁21b、ホルダドアガラスシール部車内側側壁21c及びホルダドアガラスシール部底壁21dが断面略コ字形に形成されている。
【0066】
ホルダドアガラスシール部車外側側壁21bとホルダドアガラスシール部車内側側壁21cの先端はリップ状に形成され、先端がドアガラス5の側面に当接してドアガラス5の昇降を案内することができる。
【0067】
ホルダドアガラスシール部車外側側壁21bとホルダドアガラスシール部車内側側壁21cの内部には第1ブラケット上部41と第2ブラケット上部51の先端が挿入されるホルダドアガラスシール部溝部21eが形成されている。
図7に示すように、ホルダドアガラスシール部21の先端には、ホルダ接続部24が形成され、ガラスラン10の先端との接続部分であるガラスラン底壁延設部14の部分をカバーしている。
【0068】
次に、
図8〜
図11に基づき、ガラスラン10の先端部をサッシュホルダシール20の先端付近に近接して取付ける固定構造について説明する。
ガラスラン10のサッシュホルダシール20と近接する側の先端は、
図8〜
図10に示すように、ガラスラン車外側側壁11とガラスラン車内側側壁12が切り欠かれたガラスラン底壁延設部14が形成されている。ガラスラン底壁13とガラスラン底壁延設部14は、サッシュホルダブラケット30の第1ガラスラン保持部底壁43に保持されている。
【0069】
ガラスラン底壁延設部14には、ガラスラン底壁延設部取付孔14aが形成されている。第1ガラスラン保持部底壁43のガラスラン底壁延設部取付孔14aと対応する部分には第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成されている。ガラスラン底壁延設部取付孔14aと第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aを貫通して、ガラスラン取付クリップ15が挿入されている。
【0070】
このとき、
図9に示すように、第1ガラスラン保持部底壁43の第1ガラスラン保持部底壁取付孔43aが形成された部分は凹んで形成(ドアガラス5の側端から離れる方向に凹む)されている。従って、ガラスラン取付クリップ15の頭部15aは、ガラスラン底壁13の内面、及びサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部底壁21dと同じか、又は低く位置する。このため、ドアガラス5の昇降時のドアガラス5の側端の軌跡(
図9の5aに示す)から離れて、ドアガラス5がぶれても、ドアガラス5の側端が固定部材の頭部に接触することがなく、異音の発生や摩擦抵抗が生じることが無く円滑に昇降することができる。
【0071】
ガラスラン取付クリップ15がガラスラン底壁延設部14を固定する部分では、ホルダカバー部23は、第1ガラスラン保持部42と第2ガラスラン保持部52の先端で保持されている。ホルダカバー部23の間をドアガラス5の側端が昇降することができる。
【0072】
図11に示すように、ドア用ガゼット6がフロントドアに取付けられると、ガラスラン10の断面略コ字形の溝とサッシュホルダシール20のホルダドアガラスシール部凹部21aとが連続して、ドアガラス5の側端を案内することができる。また、ガラスラン10は、ガラスラン取付クリップ15により固定されているため、ドアガラス5の昇降によっても、ガラスラン10がずれることがない。