特許第6384014号(P6384014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6384014
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】ボイラ水管付着灰除去システム
(51)【国際特許分類】
   F23J 3/00 20060101AFI20180827BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F23J3/00
   F23G5/50
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-75021(P2018-75021)
(22)【出願日】2018年4月9日
【審査請求日】2018年4月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】佐田 達也
(72)【発明者】
【氏名】武藤 和寛
(72)【発明者】
【氏名】山岡 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 直之
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−31941(JP,A)
【文献】 特開2009−127908(JP,A)
【文献】 特開2004−333034(JP,A)
【文献】 特開2004−116909(JP,A)
【文献】 特開2000−205536(JP,A)
【文献】 国際公開第03/011485(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灰から成型した灰球を落下させることで、排ガスから熱回収するボイラの水管群に付着した前記灰を除去するボイラ水管付着灰除去システムであって、
前記水管群の下方から前記灰球を構成した灰塊を排出する排出装置と、
前記排出装置から排出された前記灰塊から、所定の大きさ以上の第一の灰塊と前記所定の大きさ未満の第二の灰塊とに分離する分離装置と、
前記第二の灰塊を用いて前記灰球を成型する灰球成型装置と、
前記灰球成型装置で成型された前記灰球を乾燥する灰球乾燥装置と、
前記乾燥された前記灰球及び前記第一の灰塊を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に貯留された前記灰球及び前記第一の灰塊を前記水管群に落下させる落下装置と、を有することを特徴とするボイラ水管付着灰除去システム。
【請求項2】
前記ボイラの蒸気復水器で熱交換された空気を前記灰球乾燥装置へ送風する送風機をさらに有し、
前記灰球乾燥装置は前記空気で前記灰球を乾燥し、
前記灰球を乾燥した前記空気はバグフィルタの上流に放出されることを特徴とする請求項1に記載のボイラ水管付着灰除去システム。
【請求項3】
前記排ガスはごみ焼却炉で発生し、
前記ごみ焼却炉の主灰が排出される灰押出装置と、
前記排出装置で排出された前記灰塊を、前記灰押出装置または前記分離装置のいずれか一方へ択一的に排出する切替装置と、
前記切替装置及び前記落下装置を制御する制御装置と、をさらに有し、
前記制御装置は、所定のタイミングで前記落下装置を制御して前記灰球及び前記第一の灰塊を前記水管群に落下させ、
且つ、前記切替装置を制御して、前記貯留槽に貯留された前記灰球及び前記第一の灰塊の総量が閾値以上の場合は前記灰塊を前記灰押出装置へ排出し、
前記総量が前記閾値未満の場合は前記灰塊を前記分離装置へ排出することを特徴とする請求項2に記載のボイラ水管付着灰除去システム。
【請求項4】
前記切替装置と前記分離装置を接続する灰搬送装置をさらに有し、
前記制御装置は、前記灰搬送装置及び前記灰球成型装置をさらに制御し、前記総量が前記閾値未満から前記閾値以上になった後も前記灰搬送装置と前記灰球成型装置を稼働させ、所定時間経過後、前記灰搬送装置及び前記灰球成型装置を停止することを特徴とする請求項3に記載のボイラ水管付着灰除去システム。
【請求項5】
前記灰球乾燥装置は、前記灰球成型装置で成型された前記灰球が導入される第一の乾燥段と、
所定時間経過後に前記第一の乾燥段から前記灰球が導入される第二の乾燥段とを備え、
前記空気は前記第一の乾燥段及び前記第二の乾燥段に導入され、前記第一の乾燥段から排出されて、前記バグフィルタの上流に放出されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のボイラ水管付着灰除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ水管付着灰除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉等のボイラ(炉付ボイラ)では、灰が水管(伝熱管)に付着して伝熱効率を低下させるため、スートブローで定期的に付着灰を除去している。しかし、全ての水管の付着灰を一様に除去できるほどスートブローを多数設置することは困難であるため、水管の場所によっては付着灰が十分に除去できない箇所も生じうる。このため、ショット球(鋼球)を水管の上部から散布、循環させ、水管に付着した灰を一様に除去する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、ショット球では水管を傷つける恐れもあることから、例えば衝突した衝撃で自らが破壊される程度の硬度の球(燃焼生成灰、セメント、モルタル等によって成型された球)をピッチングマシン状の装置で射出する技術も開発されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。これらの技術は、のぞき窓等を介してピッチングマシン状の装置を使用することから、休炉中に付着灰除去を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−127908号公報
【特許文献2】特開2004−116909号公報
【特許文献3】特開2014−31941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炉の運転中に、水管を傷つけないよう付着灰を除去するため、特許文献1に記載の技術において、ショット球に代えて特許文献2及び特許文献3に記載の球を使用すると、最終的にはダスト回収され、球がなくなってしまう。他所で形成した球を再度供給した場合、ダストの排出量が増加してその処理費用が増加するという課題がある。
【0006】
この発明は、灰などのダストの排出量を増加させることなく、炉の運転中にボイラの水管群の付着灰を除去することができるボイラ水管付着灰除去システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、ボイラ水管付着灰除去システムは、灰から成型した灰球を落下させることで、排ガスから熱回収するボイラの水管群に付着した前記灰を除去するボイラ水管付着灰除去システムであって、前記水管群の下方から前記灰球を構成した灰塊を排出する排出装置と、前記排出装置から排出された前記灰塊から、所定の大きさ以上の第一の灰塊と前記所定の大きさ未満の第二の灰塊とに分離する分離装置と、前記第二の灰塊を用いて前記灰球を成型する灰球成型装置と、前記灰球成型装置で成型された前記灰球を乾燥する灰球乾燥装置と、前記乾燥された前記灰球及び前記第一の灰塊を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に貯留された前記灰球及び前記第一の灰塊を前記水管群に落下させる落下装置と、を有する。
【0008】
このような構成によれば、水管群に落下させた灰球は割れや欠けが生じうるが、ボイラから排出された灰塊から、所定の大きさ以上の第一の灰塊を分離することによって、第一の灰塊を灰球として再利用することができる。また、灰球として利用できない所定の大きさ未満の第二の灰塊を用いて新たに灰球を成型するので、ダストの排出量を増加させることなく、水管群に付着した灰を除去することができる。
また、灰球成型装置で成型された灰球を乾燥することによって、灰球の硬度を上げることができる。
また、ボイラの水管群に向けて灰球を落下させる構成であるので、炉の運転中、すなわち炉の運転を継続したまま、水管群に付着した灰を除去することができる。
【0009】
上記ボイラ水管付着灰除去システムにおいて、前記ボイラの蒸気復水器で熱交換された空気を前記灰球乾燥装置へ送風する送風機をさらに有し、前記灰球乾燥装置は前記空気で前記灰球を乾燥し、前記灰球を乾燥した前記空気はバグフィルタの上流に放出されてよい。
【0010】
このような構成によれば、常温より温度の高い乾燥用空気を別途用意するための加熱装置が必要なく、また、従来は廃棄していた蒸気復水器の加熱された空気を利用するので、安価に灰球を乾燥することができる。
また、灰球を乾燥させた空気は、灰を含有する可能性があるためそのままでは大気放出できないが、炉付ボイラの排ガスの集塵装置であるバグフィルタを、当該灰の除去にも利用する。すなわち、バグフィルタの上流に灰球を乾燥させた空気を放出することによって、バグフィルタに、排ガスの除塵と、灰球を乾燥させた空気に含まれる灰の除去を兼用させる。これにより、灰球を乾燥させた空気に含まれる灰を除去する装置を別途設ける必要がなく、安価に当該灰を除去し、当該空気を大気放出することができる。
【0011】
上記ボイラ水管付着灰除去システムにおいて、前記排ガスはごみ焼却炉で発生し、前記ごみ焼却炉の主灰が排出される灰押出装置と、前記排出装置で排出された前記灰塊を、前記灰押出装置または前記分離装置のいずれか一方へ択一的に排出する切替装置と、前記切替装置及び前記落下装置を制御する制御装置と、をさらに有し、前記制御装置は、所定のタイミングで前記落下装置を制御して前記灰球及び前記第一の灰塊を前記水管群に落下させ、且つ、前記切替装置を制御して、前記貯留槽に貯留された前記灰球及び前記第一の灰塊の総量が閾値以上の場合は前記灰塊を前記灰押出装置へ排出し、前記総量が前記閾値未満の場合は前記灰塊を前記分離装置へ排出してよい。
【0012】
このような構成によれば、必要量の灰球及び第一の灰塊が準備できている場合には、不要な灰を灰押出装置に送って廃棄することができる。
【0013】
上記ボイラ水管付着灰除去システムにおいて、前記切替装置と前記分離装置を接続する灰搬送装置をさらに有し、前記制御装置は、前記灰搬送装置及び前記灰球成型装置をさらに制御し、前記総量が前記閾値未満から前記閾値以上になった後も前記灰搬送装置と前記灰球成型装置を稼働させ、所定時間経過後、前記灰搬送装置及び前記灰球成型装置を停止してよい。
【0014】
このような構成によれば、灰塊が灰搬送装置や灰球成型装置に残ったまま、これら装置を停止すると灰塊が固化する等の不具合が生じうるが、これを防止することができる。
【0015】
上記ボイラ水管付着灰除去システムにおいて、前記灰球乾燥装置は、前記灰球成型装置で成型された前記灰球が導入される第一の乾燥段と、所定時間経過後に前記第一の乾燥段から前記灰球が導入される第二の乾燥段とを備え、前記空気は前記第一の乾燥段及び前記第二の乾燥段に導入され、前記第一の乾燥段から排出されて、前記バグフィルタの上流に放出されてよい。
【0016】
このような構成によれば、灰球乾燥装置が少なくとも二段構成となっていることによって、灰球をより長時間乾燥させ、水管群の付着灰の除去のために必要な硬度まで十分に固化させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、灰などのダストの排出量を増加させることなく、炉の運転中にボイラの水管群の付着灰を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムを有する焼却プラントの概略構成図である。
図2】本発明の第一実施形態の焼却プラントの蒸気復水器の概略構成図である。
図3】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰排出装置及びダンパ切替装置の概略図である。
図4】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰球分離装置の斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰球乾燥装置の斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰球乾燥装置の分解斜視図である。
図7】本発明の第一実施形態の灰球乾燥装置の空気の導入パターンを説明する斜視図である。
図8】本発明の第一実施形態の灰球乾燥装置の別の空気の導入パターンを説明する斜視図である。
図9】一段目乾燥段にて乾燥された第一の灰塊及び灰球が二段目乾燥段に落下する様子を説明する概略図である。
図10】本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰球の流れ及び緩衝装置について説明する概略図である。
図11】本発明の第一実施の形態のボイラ水管付着灰除去システムを説明するフローチャートである。
図12】本発明の第二実施形態のボイラ水管付着灰除去システムの灰球の流れについて説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態のボイラ水管付着灰除去システムを有する焼却プラントについて図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の焼却プラント70は、ごみ等の被焼却物を焼却するごみ焼却炉71(例えば、順送式のストーカ炉)と、ごみ焼却炉71で発生した排ガスEが通過するボイラ72と、ボイラ72の下流側に設けられた排ガス処理装置73と、灰から成型した灰球ABを落下させることでボイラ72の水管群72aに付着した灰を除去するボイラ水管付着灰除去システム1と、を備えている。なお、図1は概略構成図であるため、一部の構成は省略されており、例えば後述の緩衝装置50や灰球供給先切替装置44は図1には図示されていない。
【0020】
ボイラ72は、ごみ焼却炉71から排出される排ガスEの熱を利用して蒸気を発生させる熱交換器である。
排ガス処理装置73は、ごみ焼却炉71から排出される排ガスEに含まれる煤塵、SO、HClなどを除去してクリーンな排ガスとする装置である。
【0021】
排ガス処理装置73は、上流側から順にエコノマイザ74と、排ガス温度を低下させる減温塔75と、バグフィルタ76(集塵装置)と、処理された排ガスEを大気に放出する煙突77と、を有している。
バグフィルタ76は、耐熱性を有するろ布などを用いて排ガスE中の煤塵・灰などの固形成分をろ過捕集する装置である。
【0022】
ごみ焼却炉71は、焼却によって生じる主灰が導入される灰シュート79と、灰シュート79を介して導入された主灰を冷却した後、例えば、コンベアに排出する装置である灰押出装置80と、を有している。
【0023】
焼却プラント70は、ボイラ72で発生した蒸気S1で発電を行う蒸気タービン81と、蒸気タービン81を駆動した後の蒸気S2を水に凝縮する蒸気復水器82と、を有している。図2に示すように、蒸気復水器82は、壁83と、内部空間を上下に仕切るベース板84と、冷却ファン91と、ベース板84の上方に配置された2本の復水集合管85と、2本の復水集合管85の上方に復水集合管85と平行に配設された1本の蒸気分配管86と、復水集合管85と蒸気分配管86とを接続する伝熱エレメント87と、を有している。伝熱エレメント87は、多数のフィン付きチューブ群から構成されている。
【0024】
蒸気S2は、蒸気分配管86に導かれ、蒸気分配管86に接続した伝熱エレメント87の内部を充たす。この状態で、冷却ファン91を回転させると、外気導入部88から空気が吸引されて伝熱エレメント87の表面に接触し、伝熱エレメント87が冷却される。これにより、伝熱エレメント87内の蒸気S2は凝縮して水となり、復水集合管85に集められる。一方、熱交換により加熱された空気HAは排気口エリア89から大気放出される。
蒸気復水器82の壁83には、加熱された空気HAの一部を取り出す空気取出口90が設けられている。空気取出口90は、後述する灰球乾燥装置7に導入されて灰球の乾燥に使用される。
【0025】
図1に示すように、ボイラ水管付着灰除去システム1は、ボイラ72の水管群72aの下方から灰塊Aや水管群から除去された付着灰及び当該下方に堆積した飛灰を排出する灰排出装置2と、灰排出装置2から排出された灰塊Aや水管群から除去された付着灰及び堆積した飛灰から、所定の大きさ以上の第一の灰塊A1と所定の大きさ未満の第二の灰塊A2とに分離する灰球分離装置5と、第二の灰塊A2を用いて灰球ABを成型する灰球成型装置6と、灰球ABを乾燥する灰球乾燥装置7と、灰球AB及び第一の灰塊A1を貯留する灰球貯留槽8と、灰球AB及び第一の灰塊A1を水管群72aに落下させる灰球落下装置9と、制御装置10と、を備えている。
ここで、灰塊Aは、水管群に落下させた灰球AB(後述)の残骸であり、球状とは限らず、欠けや割れが生じている灰の塊である。また、以下、灰塊A、水管群から除去された付着灰、及び堆積した飛灰を、「灰塊A等」として説明する。
【0026】
灰排出装置2の下流側には、灰排出装置2から排出された灰塊A等を、灰押出装置80又は
灰球分離装置5のいずれか一方へ択一的に排出するダンパ切替装置3が設けられている。ダンパ切替装置3と灰球分離装置5とは、灰搬送装置4によって接続されている。
【0027】
図3に示すように、灰排出装置2は、例えば、ボイラ72の水管群72aの下部72bに接続され、下部72bに溜まった灰塊A等を定量的に切り出すロータリーバルブ12である。
ロータリーバルブ12は、ハウジング13と、ハウジング13内で図示しない駆動源によって回転するローター14と、を有している。ローター14は、ハウジング13内を複数の搬送室15に分割している。
【0028】
ダンパ切替装置3は、ロータリーバルブ12の出口12aと接続された入口配管17と、入口配管17と灰押出装置80とを接続する第一出口配管18と、入口配管17と灰搬送装置4とを接続する第二出口配管19と、ロータリーバルブ12から排出された灰塊A等を第一出口配管18又は第二出口配管19のいずれか一方へ択一的に排出するダンパ20と、を有している。ダンパ切替装置3は、制御装置10と電気的に接続されている。
【0029】
灰搬送装置4は、密閉型のコンベヤであり、上流側の端部がダンパ切替装置3の第二出口配管19と接続され、下流側の端部に下方に向けて開口された排出口4aを有している。灰搬送装置4は、ダンパ切替装置3によって第二出口配管19に導かれた灰塊A等を灰球分離装置5に搬送する装置である。
【0030】
図4に示すように、灰球分離装置5は、一対の板状壁22と、一対の板状壁22間に配置された複数の金属棒23と、を有している。灰球分離装置5は、灰搬送装置4によって搬送された灰塊A等から、所定の大きさ以上の第一の灰塊A1と、所定の大きさ未満の第二の灰塊A2とに分離する装置である。
なお、上述のとおり、「灰塊A等」は、灰球ABの残骸である灰塊Aのみならず、水管群から除去された付着灰や堆積した飛灰を含むので、第一の灰塊A1は、これらのうち使用後の灰球ABであり、水管群の付着灰を除去することが可能な大きさの灰塊A等再使用に耐えうる灰塊Aであり、第二の灰塊A2は、第一の灰塊A1より細かな灰塊A等である。
【0031】
各々の金属棒23の断面形状は、半円形状であり、円弧部が上方を向き、平面が下方を向くように配置されている。複数の金属棒23は、互いに平行に配置されている。複数の金属棒23は、一方の端部23aが他方の端部23bよりも高くなるように配置されている。即ち、複数の金属棒23は、水平面に対して傾斜している。
複数の金属棒23は、隣り合う金属棒23同士の間に、一定の隙間Gが形成されるように配置されている。隙間Gの寸法は、上記した所定の大きさと略同じである。例えば、隙間Gは、10cm〜20cmとすることができる。
【0032】
灰搬送装置4の排出口4aは、灰球分離装置5の金属棒23の一方の端部23a側に灰塊A等を排出するように配置されている。即ち、灰搬送装置4によって搬送された灰塊A等は、一対の板状壁22の間であって、複数の金属棒23によって形成された斜面の上方に排出される。隙間Gから落下することなく、複数の金属棒23によって形成された斜面に沿って転がった第一の灰塊A1は、灰球供給先切替装置44(図5図10参照)を介して灰球乾燥装置7に送られる。隙間Gから落下した第二の灰塊A2は、灰球成型装置6に送られて灰球ABに成型される。
金属棒23の断面形状は、半円形状に限ることはなく、円形状や三角形状でもよい。
【0033】
灰球成型装置6は、灰球分離装置5から分離された第二の灰塊A2から灰球ABを成型する装置である。灰球成型装置6は、灰球分離装置5の金属棒23間の隙間Gから落下する第二の灰塊A2を受け入れる受入槽24と、受入槽24から供給される灰を練り合わせる混練装置25と、混練装置25にて練り合わされて灰を球形に成型する成型装置本体26と、を有している。
灰球成型装置6によって成型された灰球ABは、第一の灰塊A1と同様に、灰球供給先切替装置44を介して灰球乾燥装置7に送られる。
【0034】
図5及び図6に示すように、灰球乾燥装置7は、円筒状をなすケーシング27と、ケーシング27の下部に接続されたホッパ28と、ケーシング27の軸線に沿って延在するシャフト29と、シャフト29を回転駆動させるシャフト回転用モータ30と、ケーシング27の内部空間を一段目乾燥段31と二段目乾燥段32とに区画する一段目底板33と、二段目乾燥段32とホッパ28とを区画する二段目底板34と、一段目乾燥段31を4つの乾燥室DRに区画する一段目仕切部35と、二段目乾燥段32を4つの乾燥室DRに区画する二段目仕切部36と、を有している。
なお、図6に示す分解図において、ケーシング27は上下方向で分割されているが、実際のケーシング27は、図5に示すように、一体に形成されている。
灰球乾燥装置7は、乾燥室DRに導入された灰球ABを蒸気復水器82から供給される空気HA、すなわち温風を用いて乾燥する装置である。
【0035】
シャフト29は、中空構造であり、ケーシング27の上端まで延在している。シャフト29には、空気HAが導入されている。図7に示すように、シャフト29には、シャフト29の内部に導入された空気HAを一段目乾燥段31及び二段目乾燥段32に流す複数の空気噴出孔37が形成されている。一段目乾燥段31には、導入された空気HAを排出する空気出口38が設けられている。
【0036】
なお、灰球乾燥装置7への空気導入の構成はこれに限ることなく、図8に示すように、シャフト29とは別に空気HAを搬送する空気導入ダクト53を設け、ケーシング27の外側から空気HAを噴出する構成としてもよい。空気導入ダクト53は、上下方向に延びるダクト本体54と、ダクト本体54に接続され、一段目乾燥段31と二段目乾燥段32のそれぞれに対応して、ケーシング27の周方向に延在する環状ダクト55と、環状ダクト55からケーシング27を貫通して乾燥室DR内に空気HAを噴出する噴出ダクト56と、を有している。ケーシング27の外側から空気HAを供給することが好ましい場合にこのような形態を選択することができる。
【0037】
一段目仕切部35及び二段目仕切部36は、シャフト29が挿通される円筒部39と、円筒部39の外周面とケーシング27の内周面とを接続する4枚の仕切板40と、を有している。仕切板40には、多数の貫通孔40aが形成されている。仕切板40に多数の貫通孔40aが形成されていることによって、貫通孔40aを介して隣り合う乾燥室DRに空気HAを行き来させることができる。
円筒部39の空気噴出孔37に対応する箇所は、噴出される空気HAを通す構造となっている。例えば、円筒部39の空気噴出孔37に対応する箇所は、メッシュで形成することができる。
【0038】
ケーシング27、一段目仕切部35、二段目仕切部36、及びホッパ28は、シャフト29とは接続されておらず、所定の方法で固定されている。即ち、シャフト29が回転しても、ケーシング27、一段目仕切部35、二段目仕切部36、及びホッパ28は回転しない。
【0039】
一段目底板33は、一段目乾燥段31の底面として機能する円板状の部材である。一段目底板33には、上方から見て1つの乾燥室DRと同じ大きさの開口である一段目開口部41が形成されている。換言すれば、一段目底板33は、周方向の1/4が切り欠かれている。
二段目底板34は、二段目乾燥段32の底面として機能する円板状の部材である。二段目底板34には、上方から見て1つの乾燥室DRと同じ大きさの開口である二段目開口部42が形成されている。換言すれば、二段目底板34は、周方向の1/4が切り欠かれている。
【0040】
一段目底板33及び二段目底板34は、シャフト29に固定されている。即ち、シャフト29が回転すると、一段目底板33及び二段目底板34は回転する。一段目底板33及び二段目底板34が回転することによって、一段目開口部41及び二段目開口部42も回転する。一段目開口部41及び二段目開口部42が回転することによって、各々の乾燥室DRに導入された灰球ABは、順次下方に落下する。
灰球で水管群の付着灰を除去するには、所定の硬度が必要であり、自然乾燥の場合には、一般的に数日を要する。しかし、灰球乾燥装置7は温風で新たに製造した灰球を乾燥するので、より短い日数、例えば、約2日で所定の硬度を得ることができる。そこで、ここでは、シャフト29は、例えば6時間で1/4回転するよう駆動される。
【0041】
一段目開口部41と二段目開口部42とは、上方から見て同じ位置に形成されておらず、シャフト29の回転方向Rで異なる位置に形成されている。具体的には、二段目開口部42は、シャフト29の回転方向Rで、一段目開口部41のある位置よりも1部屋分だけ下流側に位置している。
【0042】
ホッパ28は、下方に向かうにしたがって漸次縮径するように形成されている。ホッパ28の灰球出口43は、ケーシング27の軸線(シャフト29)から軸線の径方向外側にオフセットしている。
灰球貯留槽8は、ホッパ28の灰球出口43から排出された灰球ABを貯留する槽である。灰球貯留槽8には、灰球貯留槽8に貯留されている灰球ABの貯留量を測定するセンサ49が設けられている。センサ49は、制御装置10と電気的に接続されている。
灰球落下装置9は、灰球貯留槽8に貯留されている灰球AB及び第一の灰塊A1をボイラ72の水管群72aに落下させる装置である。灰球落下装置9は、制御装置10と電気的に接続されている。
【0043】
灰球乾燥装置7の上流側に配置されている灰球供給先切替装置44は、複数の乾燥室DRのうちいずれか1つの乾燥室DRに灰球ABの供給先を切り替える部位である。本実施形態の灰球供給先切替装置44は、灰球乾燥装置7の4つ乾燥室DRから灰球ABの供給先を選択するように構成されている。具体的には、灰球供給先切替装置44は、回転方向Rで見て、一段目底板33の一段目開口部41のある部屋の1つ上流側の乾燥室DRのみに灰球ABを供給するように設定されている。灰球供給先切替装置44は、例えば、シャフト29(底板33、34)の回転に伴い、上記設定のように灰球ABの供給先を順次切り替えるように構成されている。
【0044】
ボイラ水管付着灰除去システム1は、ボイラ72の蒸気復水器82で熱交換により加熱された空気HAを灰球乾燥装置7へ送風する送風機45を有している。送風機45と蒸気復水器82の空気取出口90は、第一空気ダクト46によって接続されている。送風機45と灰球乾燥装置7のシャフト29とは、第二空気ダクト47によって接続されている。
灰球乾燥装置7の空気出口38は、第三空気ダクト48を介して減温塔75とバグフィルタ76とを接続する配管78に接続されている。即ち、蒸気復水器82で加熱された40℃〜50℃の空気HAは、送風機45によって引き抜かれ、灰球乾燥装置7のシャフト29に導入されて灰球ABを乾燥させた後、第三空気ダクト48を介してバグフィルタ76の上流側に放出される。
灰球を乾燥させた空気は、灰を含有する可能性があるためそのままでは大気放出できないが、バグフィルタに、排ガスの除塵と、灰球を乾燥させた空気に含まれる灰の除去を兼用させるので、最終的に当該空気を煙突から大気放出することができる。
【0045】
図10に示すように、灰球分離装置5と灰球乾燥装置7との間には、互い違いに配置された複数のスロープ51によって構成された緩衝装置50が設けられている。緩衝装置50は、上下方向に複数配置されたスロープ51を有し、灰球ABに衝撃を与えることなく、灰球ABを灰球乾燥装置7に導入する装置である。
各々のスロープ51は、可能な限り緩やかに形成されている。複数のスロープ51は、上下方向に隣り合うスロープ51の傾斜の向きが互いに異なるように、且つ、上側のスロープ51から落下した灰球ABが下側のスロープ51上に落下するように配置されている。
【0046】
次に、灰球供給先切替装置44及び灰球乾燥装置7の作用について説明する。
まず、灰球分離装置5及び灰球成型装置6から供給される第一の灰塊A1及び灰球ABは、灰球供給先切替装置44によって、一段目底板33の一段目開口部41のある乾燥室DRの1つ上流側の乾燥室DRのみに供給される。第一の灰塊A1及び灰球ABの供給先は、シャフト29(一段目開口部41)の回転に合わせて順次切り替えられる。
【0047】
一段目乾燥段31に供給された第一の灰塊A1及び灰球ABは、一段目底板33の動きにより、撹拌されながら、空気噴出孔37から噴出される空気HAによって乾燥される。
一段目乾燥段31の乾燥室DRに供給された第一の灰塊A1及び灰球ABは、一段目開口部41の回転に伴い、順次二段目乾燥段32に移動する。
灰球供給先切替装置44によって第一の灰塊A1及び灰球ABは一段目開口部41のある乾燥室DRの1つ上流側の乾燥室DRに供給されるから、当該乾燥室DRに供給された第一の灰塊A1及び灰球ABは、シャフト29が約3/4回転(約270°)回転する間は、一段目乾燥段31にて乾燥されることとなる。
【0048】
図9に示すように、一段目乾燥段31にて乾燥された第一の灰塊A1及び灰球ABは一段目開口部41の移動に伴い、二段目乾燥段32に落下する。この際、乾燥室DR内で一段目開口部41が徐々に大きくなることによって、第一の灰塊A1及び灰球ABは少量ずつ落下する。これにより、第一の灰塊A1及び灰球ABが撹拌されて乾燥効率が向上する。
【0049】
第一の灰塊A1及び灰球ABは、二段目乾燥段32で乾燥された後、ホッパ28の
灰球出口43から排出されて、灰球貯留槽8に貯留される。このように、灰球乾燥装置7が一段目乾燥段31と二段目乾燥段32の二段構成となっていることによって、灰球ABを長時間乾燥させることができる。
【0050】
次に、ボイラ水管付着灰除去システム1の処理工程について説明する。
図11に示すように、ボイラ水管付着灰除去システム1の処理工程は、灰球貯留槽8の貯留量が閾値以上かを判定する第一貯留量判定工程S1と、貯留量が閾値未満の場合にダンパ20を灰搬送装置4に向けて切替え、灰搬送装置4及び灰球成型装置6を始動または作動継続させる第一灰球成型工程S2と、貯留量が閾値以上の場合にダンパ20を灰搬送装置4に向けて切替え、灰搬送装置4及び灰球成型装置6を始動または状態維持させる第二灰球成型工程S3と、第二灰球成型工程S3の後に、灰球貯留槽8の第一の灰塊A1及び灰球ABを所定量だけ落下させる灰球落下工程S4と、灰球落下工程S4の後に、灰球貯留槽8の貯留量が閾値以上かを判定する第二貯留量判定工程S5と、貯留量が閾値以上の場合にダンパ20を灰押出装置80に向けて切替えるダンパ切替工程S6と、ダンパ切替工程S6から一定時間経過後、灰搬送装置4及び灰球成型装置6を停止させる停止工程S7と、を備えている。
【0051】
ここで、第一貯留量判定工程S1及び第一灰球成型工程S2は、例えば、休炉して清掃後、炉の定常運転を開始した当初に灰球の補給を行うための工程であり、一旦、灰球が閾値以上に貯留された後は、これら工程をスキップし、「開始」から直接的に第二灰球成型工程S3へ進む処理としてもよい。すなわち、図11の工程によれば、例えば、休炉後に初めて、炉の運転員がスイッチを押すなどして図11の制御が開始された場合、当該開始から長時間経過した後に灰球が所定量だけ落下されるが、これはテスト運転である。この次に、運転員がスイッチを押した場合には、ただちに灰球が所定量だけ落下されるので、運転員が任意のタイミングで水管群の付着灰を除去することができる。
【0052】
まず、炉の運転員がスイッチを押すなどして図11の制御が開始されると、センサ49の出力信号が灰球貯留槽8の貯留量が閾値未満であることを示す場合、制御装置10は、ダンパ20を灰搬送装置4に向けて切り替えると伴に、灰搬送装置4及び灰球成型装置6を始動させ、これらの運転を継続する(第一貯留量判定工程S1、第一灰球成型工程S2)。
センサ49の出力信号が灰球貯留槽8の貯留量が閾値以上であることを示す場合、制御装置10は、ダンパ20を灰搬送装置4に向けて切り替えると伴に、灰搬送装置4及び灰球成型装置6を始動させ、これらの運転を継続する。なお、すでにダンパ20が灰搬送装置4に向けて切り替えられており、また、灰搬送装置4及び灰球成型装置6が運転している場合には、制御装置10は、この状態を維持する(第一貯留量判定工程S1、第二灰球成型工程S3)。
【0053】
次いで、制御装置10は、灰球貯留槽8の灰球ABを所定量だけ落下させる。これにより、ボイラ72の水管群72aの灰が除去される。
【0054】
次いで、センサ49の出力信号が灰球貯留槽8の貯留量が閾値未満であることを示す場合、制御装置10は、灰搬送装置4及び灰球成型装置6の運転を継続する。灰球ABの成型及び貯留が進み、センサ49の出力信号が灰球貯留槽8の貯留量が閾値以上であることを示す場合、制御装置10は、ダンパ20を灰押出装置80に向けて切り替える(ダンパ切替工程S6)。これにより、灰排出装置2から排出される灰塊A等は、灰押出装置80に投入される。
【0055】
そして、制御装置10は、一定時間経過後、灰搬送装置4及び灰球成型装置6の運転を停止し(停止工程S7)、処理工程を終了する。
ここで、一定時間とあるのは、灰搬送装置4や灰球成型装置6の内部の灰塊A等が全て排出されるのに十分な時間に設定される。灰塊A等が灰搬送装置4や灰球成型装置6の内部に残留したまま固化すると、装置の動作が円滑でなくなったり、清掃が困難になるなどの不具合が発生しうるので、これを防止するためである。
【0056】
上記実施形態によれば、ボイラから排出された灰塊A等から、所定の大きさ以上の第一の灰塊A1を分離することによって、第一の灰塊A1を灰球として再利用することができる。また、灰球として利用できない所定の大きさ未満の第二の灰塊A2を用いて新たに灰球を成型するので、ダストの排出量を増加させることなく、水管群に付着した灰を除去することができる。
また、ボイラの水管群に向けて灰球ABを落下させる構成であるので、炉の運転中、すなわち炉の運転を継続したまま、水管群に付着した灰を除去することができる。
【0057】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態のボイラ水管付着灰除去システムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態のボイラ水管付着灰除去システムは、灰球分離装置5にて分離された第一の灰塊A1を灰球乾燥装置7の二段目乾燥段32に直接供給し、且つ、灰球成型装置6にて成型された灰球ABを一段目底板33に近い位置に供給する。即ち、本実施形態の緩衝装置50の出口は、二段目乾燥段32に接続されている。また、灰球供給先切替装置44の出口は、灰球乾燥装置7のケーシング27の外面であって、一段目底板33の近傍に接続されている。
【0058】
上記実施形態によれば、灰球ABを一段目底板33に近い位置に供給することによって、灰球ABにかかる衝撃を緩和することができる。
また、第一の灰塊A1の乾燥状態に応じて、上記実施形態のボイラ水管付着灰除去システム1のように、第一の灰塊A1の乾燥時間を短くすることもできる。
【0059】
なお、第一の灰塊A1の状態により、第一の灰塊A1を乾燥させる必要がない場合は、灰球分離装置5によって分離された第一の灰塊A1を直接灰球貯留槽8に導入する構成としてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、乾燥室DRの数を4つとしたがこれに限ることはなく、2つや3つ、または5つ以上としてもよい。同様に、灰球乾燥装置7の乾燥段の数も2段に限らず、3段以上にしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ボイラ水管付着灰除去システム
2 灰排出装置(排出装置)
3 ダンパ切替装置(切替装置)
4 灰搬送装置
5 灰球分離装置(分離装置)
6 灰球成型装置
7 灰球乾燥装置
8 灰球貯留槽(貯留槽)
9 灰球落下装置(落下装置)
10 制御装置
12 ロータリーバルブ
13 ハウジング
14 ローター
15 搬送室
17 入口配管
18 第一出口配管
19 第二出口配管
20 ダンパ
22 板状壁
23 金属棒
24 受入槽
25 混練装置
26 成型装置本体
27 ケーシング
28 ホッパ
29 シャフト
30 シャフト回転用モータ
31 一段目乾燥段
32 二段目乾燥段
33 一段目底板
34 二段目底板
35 一段目仕切部
36 二段目仕切部
37 空気噴出孔
38 空気出口
39 円筒部
40 仕切板
41 一段目開口部
42 二段目開口部
44 灰球供給先切替装置
45 送風機
46 第一空気ダクト
47 第二空気ダクト
48 第三空気ダクト
49 センサ
50 緩衝装置
51 スロープ
53 空気導入ダクト
54 ダクト本体
55 環状ダクト
56 噴出ダクト
70 焼却プラント
71 ごみ焼却炉
72 ボイラ
72a 水管群
73 排ガス処理装置
74 エコノマイザ
75 減温塔
76 バグフィルタ
77 煙突
79 灰シュート
80 灰押出装置
81 蒸気タービン
82 蒸気復水器
83 壁
84 ベース板
85 復水集合管
86 蒸気分配管
87 伝熱エレメント
88 外気導入部
89 排気口エリア
90 空気取出口
A1 第一の灰塊
A2 第二の灰塊
AB 灰球
DR 乾燥室
HA 空気
【要約】
【課題】灰などのダストの排出量を増加させることなく、炉の運転中に付着灰を除去する。
【解決手段】灰から成型した灰球ABを落下させることで、排ガスから熱回収するボイラ72の水管群に付着した灰を除去するボイラ水管付着灰除去システム1であって、水管群の下方から灰球を構成した灰塊を排出する排出装置2と、排出装置2から排出された灰塊Aから、所定の大きさ以上の第一の灰塊A1と所定の大きさ未満の第二の灰塊A2とに分離する分離装置5と、第二の灰塊A2を用いて灰球ABを成型する灰球成型装置6と、灰球成型装置6で成型された灰球ABを乾燥する灰球乾燥装置7と、乾燥された灰球AB及び第一の灰塊A1を貯留する貯留槽8と、貯留槽8に貯留された灰球AB及び第一の灰塊A1を水管群に落下させる落下装置9と、を有するボイラ水管付着灰除去システム1を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12