(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による欠陥検査装置について図面を参照して説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施形態における欠陥検査装置の構成を表す概略外観図である。
図1は、欠陥検査装置1の側方からみた場合を表す側方図である。
図2は、欠陥検査装置1の正面側からみた場合を表す正面図である。
欠陥検査装置1において、昇降台10は、取り付けユニット11が垂直方向に移動可能に搭載される。取り付けユニット11は、一方の面に撮像部12a、撮像部12b、撮像部12c、照明部13、搬送部14が取り付けられ、他方の面に昇降台11が連結される。
昇降台10は、取り付けユニット11に連結されており、取り付けユニット11を垂直方向に移動させることで、欠陥検査装置1が設置された接地面に対する取り付けユニット11の垂直方向の高さを変更することが可能である。
【0013】
取り付けユニット11は、照明部13、撮像部12が取り付けられており、昇降台10によって昇降されることで、照明部13、撮像部12とともに垂直方向に移動(昇降)することが可能である。この実施形態において、撮像部12a、撮像部12b、撮像部12cを特に識別しない場合には、単に撮像部12と称する場合もある。
昇降台10、取り付けユニット11の一部には、それぞれ穴10a、穴11aが形成されている。検査対象物50は、長手方向に連続しその断面が多角形形状をしている。この検査対象物50は、棒状部材であり、断面は、例えば正六角形である。この検査対象物50は、穴11a、穴10aを通るように、欠陥検査装置1の正面側(昇降台10において取り付けユニット11が連結されている側の面)から背面側(昇降台10において取り付けユニット11が連結されていない側の面)に、当該検査対象物50の一端側から他端側に向かって、搬送部14によって搬送される。
【0014】
撮像部12a、撮像部12b、撮像部12cは、取り付けユニット11の一方の面に対し、検査対象物50に対してお互いに別の方向から撮像するように異なる方向を向けて取り付けられ、ぞれぞれ、取り付けユニット11の正面側付近に到達している検査対象物50の外周面のうち、何れかの面を撮像する。この撮像部12は、検査対象物50の断面における少なくとも隣接する2辺に対応する外周面を撮影する機能を有し、隣接する2辺の組み合わせが異なる辺に対応する外周面となるように配置される。また、撮像部12は、それぞれ、撮像方向に対して前後方向、すなわち、検査対象物50に近づく方向と、遠ざかる方向とのいずれかに移動することが可能である。この撮像部12としては、例えば、複数のCCD(Charge-Coupled Device)素子が配列されたラインセンサを用いることができる。
【0015】
照明部13は、長手方向に連続しその断面が多角形形状である検査対象物50の外周面を照明する。この照明部13は、複数の光源がリング状(円環状)に配列されており、リング状の内周側の穴を検査対象物50が通過可能となっている。この照明部13は、それぞれの光源から検査対象物の照射された光は、取り付けユニット11の正面側付近に到達している検査対象物50の外周面を照明する。ここでは、光源がリング状に配列されていることにより、それぞれの光源から光が照射されることで、正面側付近に到達している部位の近傍について、検査対象物50の外周面の全面にわたって照明される。照明13は、取り付けユニット11に取り付けられており、取り付けユニット11が垂直方向に移動することに伴って、垂直方向に移動することが可能である。ここでは、照明部13の垂直方向の高さは、検査対象物50の長手方向の中心軸が照明部13の円の中心部に位置するように調整される。
【0016】
なお、この照明部13は、半円状に光を照射する光ファイバ照明であってもよい。このような照明部13から照射される光は、例えば、線状の光の帯のような形状で照射される。
【0017】
搬送部14は、昇降台10に対して垂直方向における高さが変わらないように設置されており、欠陥検査装置1の正面側から背面側に、検査対象物50の長手方向における一端側から他端側に向かって、指定された搬送速度で搬送する。ここで、搬送部14の載置面には、検査対象物50のいずれか1つの面が接するように載置される。例えば、検査対象物50の断面における正六角形のうちいずれか1つの辺に対応する面が搬送部14に接するように載置される。また、搬送部14には、水平方向における検査対象物50の一方側に保持部14a、他方側に保持部14bが設けられ、検査対象物50の水平方向における幅に対応した幅となるように調整される。この保持部14aと保持部14bとによって、検査対象物50が水平方向に転がったり、あるいは移動(ずれて)しまわないように、搬送位置を保持することができる。また、この保持部14aと保持部14bは、検査対象物50の断面の形状、サイズが異なる場合であっても、検査対象物50の長手方向の中心軸が搬送部14の幅方向における中心に、垂直方向において並ぶように保持される。言い換えると、検査対象物50の中心軸は、搬送部14の幅方向のセンターに位置するように保持部14a、保持部14bによって保持される。これにより、検査対象物50を搬送する際に、検査対象物50を蛇行させずに搬送することができる。この保持部14a、保持部14bのうち検査対象物50に当接する面にローラーを設けることで、検査対象物50を保持しつつ、円滑に搬送することも可能である。
搬送部14の搬送面には、例えば、複数のローラーが設けられ、これらが搬送方向に向けて回転駆動することで、検査対象物50を相対移動させることができる。この搬送部14は、取り付けユニット11が昇降されたとしても垂直方向に移動はせず、検査開始前後に係わらず、所定の高さになるように固定設置されることで、検査対象物50を同じ高さで搬送する。ここで、搬送部14の高さが一定であるため、検査対象物50の断面形状におけるサイズが変わると、搬送部14の搬送面から検査対象物50の上面までの高さが変わる(中心軸の高さが変わる)が、このサイズに応じて取り付けユニット11が昇降することで、照明部13、撮像部12によって、検査対象物50の長手方向の中心軸を中心として照明、撮像することができる。
【0018】
図3は、撮像部12と検査対象物50との関係を説明する図である。
撮像部12のうち、撮像部12aは、検査対象物50の外周面のうち、検査対象物50の断面の第1辺(符号50a)に対応する外周面と第1辺に隣接する第2辺(符号50b)に対応する外周面とを撮像する。撮像部12bは、検査対象物50の外周面のうち、検査対象物50の断面の第3辺(符号50e)に対応する外周面と第3辺に隣接する第4辺(符号50f)に対応する外周面を撮像し、撮像部12cは、検査対象物50の外周面のうち、検査対象物50の断面の第5辺(符号50c)に対応する外周面と第5辺に隣接する第6辺(符号50d)に対応する外周面を撮像する。これにより、複数台の撮像部12によって、外周面の全面が撮像される。
【0019】
また、撮像部12は、検査対象物50の断面におけるサイズ、すなわち径方向の距離(対向する面どうしの距離、あるは、対応する頂点どうしの距離)に応じて、検査対象物50の長手方向に沿う方向の中心軸に対する垂直方向のうち、検査対象物50に近づく方向と、遠ざかる方向とのいずれかに、それぞれ移動することが可能である。例えば、検査対象物50の径方向の距離は、部材によって様々である。撮像部12は、サイズに応じて、検査対象物50に近づく方向に移動するか、遠ざかる方向に移動することによって、検査対象物50の外周面までの距離が定められた目標距離となる位置まで移動し、撮像する。この撮像は、検査対象物50が搬送部14によって検査対象物50の中心軸に沿う方向に相対移動されながら撮像する。これにより、撮像部12は、検査対象物50の外周面の全面について、検査対象物50の一端側から他端側まで撮像する。
【0020】
ここでは、検査対象物50の断面は、正多角形(正六角形)である。
撮像部12は、検査対象物50の長手方向に沿う方向の中心軸と2辺の境界との延長線方向において撮像する。例えば、撮像部12aは、検査対象物50の長手方向に沿う方向の中心軸(符号50g)と2辺(符号50aと符号50bに示す辺)の境界との延長線方向(符号50h)に配置され、撮像対象である第1辺(符号50a)と第2辺(符号50b)とが撮像範囲に含まれるように撮像する。
【0021】
図4は、撮像部12によって撮像された画像の一例を示す図である。x方向は、検査対象物50の短手方向(幅方向)であり、y方向は、検査対象物50の長手方向(搬送方向)である。ここでは、検査対象物50の第1辺に対応する面を撮像した領域(符号A1)と、第2辺に対応する面を撮像した領域(符号A2)が撮像結果として得られる。また、撮像部12の撮像範囲ではあるが、検査対象物50が存在しない空間が撮像された領域(符号A4、A5)が、検査対象物50が撮像された領域の外側に撮像結果として得られる。検査対象物50の第1辺と第2辺とが接する位置である頂点について、y方向に沿った位置に撮像される(符号A3)。また、欠陥がある領域については、欠陥がない領域に比べて出力値が大きく又は小さく撮像されるため、ラインセンサの出力信号に基づいて得られる画像データを画像処理することにより、流れ方向に差分を取り欠陥の検出を行う。
【0022】
図5は、欠陥検査装置1の機能を表す機能ブロック図である。
欠陥検査装置1には、
図1、
図2において説明した構成の他に、入力部20、調整部21、検出部22が設けられている。
入力部20は、検査対象物50の断面形状におけるサイズの入力を受付ける。この入力部20は、例えば、キーボードやタッチパネルである。また、入力部20は、搬送部14が搬送する速度を指定するための搬送速度の入力を受付けることもできる。
調整部21は、入力部20から入力される検査対象物50の断面のサイズが入力されると、このサイズに応じた高さとなるように昇降台10を駆動させ、垂直方向に移動させることで、取り付けユニット11の垂直方向における高さを変更する。また、調整部21は、検査対象物50の断面のサイズに応じて、照明部13を検査対象物50に対して垂直方向に相対移動させる。
【0023】
検出部22は、撮像部12のそれぞれから得られる撮像結果に基づいて、検査対象物50の欠陥を検出する。検出部22は、撮像結果である各画素について、検査対象物50の中心軸に沿う方向において隣接する画素の検出値の差に基づいて欠陥を検出する。
記憶部23は、検出部22の欠陥の検出結果と撮像部12の撮像結果とを、検査対象物毎に記憶する。出力部24は、欠陥の検出結果と撮像結果とを出力する。出力部24は、例えば表示装置であり、記憶部23に記憶された各種データを画面上に表示することができる。また、出力部24は、他の装置からの要求に応じて、欠陥の検出結果や撮像結果を表すデータを外部の機器へ出力することができる。
【0024】
図6は、検査対象物50の断面のサイズと移動量について説明する図である。
図6において、検査対象物50と検査対象物55の断面の形状は、いずれも正六角形であって同じであるが、検査対象物50の断面のサイズが、検査対象部55の断面のサイズより大きい。この場合、ユーザによって、多角形形状の種別と、断面のサイズが入力されると、調整部21は、サイズに応じて照明部13の垂直方向の高さを変更する。ここでは、調整部21には、多角形形状の種別毎に、断面のそれぞれのサイズと照明部13の基準位置からの垂直方向の移動量とを対応付けたテーブルを記憶しており、入力部20から入力された種別とサイズに対応する移動量についてテーブルを参照して取得し、その移動量に応じて照明部13を垂直方向に移動させる。例えば、符号(a)において示す検査対象物50と符号(b)において示す検査対象物55は、どちらも断面形状が正六角形であるが、そのサイズが異なるため、サイズの差(符号51)が生じる。そして、異なるサイズに対し、照明部13の高さを変更しない場合には、サイズによって、照明部13から検査対象物に対して照射される光の角度が、面によって相違し、検査条件が異なってしまう。このため、調整部21は、サイズが変更された場合には、テーブルを参照して得られた移動量(符号52)に従って照明部13の位置を垂直方向に移動させる。
例えば、
図6符号(a)における検査対象物50のサイズが15mmであり、
図6符号(b)における検査対象物55のサイズが5mmの場合、サイズの差は10mmである。この場合、照明部13の移動量は、
図6符号(a)における位置を基準とした場合、垂直方向であって下方側に5mmである。ここでは、
図6符号(a)における位置を基準として説明したが、照明部13に対して初期位置が設定されており、この初期位置を基準として垂直方向に移動する量がテーブルから求まる。
これにより、検査対象物50の種々のサイズであっても、検査対象物の外周面のそれぞれについて、同じ角度から照明することができる。
【0025】
ここでは、調整部21は、照明部13の移動量だけでなく、撮像部12(取り付けユニット11)の移動量についても、種別とサイズ毎にテーブルとして記憶しており、このテーブルを参照することで、撮像部12(取り付けユニット11)の垂直方向における移動量を得て、昇降台10に対して高さを変更するよう指示することで、サイズに応じた位置に変更することができる。調整部21が撮像部12(取り付けユニット11)の高さを変更することで、撮像部12のそれぞれは、検査対象物の長手方向に沿う方向の中心軸と撮像対象の2辺の境界との延長線方向に位置することができる。
【0026】
さらに、調整部21は、種別とサイズ毎に、撮像部12と検査対象物50との距離についても記憶するテーブルを有しており、入力部20から種別とサイズが入力されると、この種別とサイズに対応する距離(検査対象物50の中心軸に向かう撮像部12の位置)をテーブルを参照して読み出し、その距離となるように、撮像部12のそれぞれを取り付けユニット11上において、検査対象物50に近づく方向または、遠ざかる方向のいずれかに移動させることで、位置を変更する。これにより、検査対象物50の種別やサイズが変わったとしても、検査対象物50と撮像部12との距離を定められた距離に設定することができ、決められた条件で検査を行うことができる。
【0027】
次に、
図7を用いて欠陥検査装置1の動作を説明する。
図7は、欠陥検査装置1の動作を説明するフローチャートである。
検査対象物50が欠陥検査装置1の搬送部14に載置され、保持部14a、保持部14bによって水平方向への位置ずれが生じないように規制される。そして、ユーザによって検査対象物50の断面形状とサイズが入力部20から入力されると(ステップS100)、調整部21は、入力された断面形状とサイズに応じた照明の移動量をテーブルを参照することで算出する(ステップS101)。また、調整部21は、断面形状、サイズに応じた撮像部12の垂直方向における移動量と、検査対象物50までの距離に応じた移動量とをテーブルを参照することで算出する(ステップS102)。そして、調整部21は、求められたそれぞれの移動量に従い、照明部13の位置と撮像部12をそれぞれ移動量に応じて移動させる(ステップS103)。
【0028】
移動が終了すると、搬送部14は、欠陥検査装置1の正面側から背面側に向かう方向に対し、検査対象物50の一端側から他端側に順に搬送する。撮像部12は、搬送される検査対象物50を撮像する(ステップS104)。撮像部12は、撮像結果を検出部22に出力する。検出部22は、撮像結果を順次記憶部23に書き込むとともに(ステップS105)、撮像結果に基づいて、検査対象物50の外周面における欠陥の有無を判定し(ステップS106)、判定結果(検査結果)と撮像結果における判定した箇所とを対応づけて書き込む。出力部24は、記憶部23に記憶された検査結果と撮像結果とを画面上に表示する(ステップS107)。
【0029】
図8は、撮像部12によって撮像された画像とグラフを説明する図である。この図においては、断面形状が正六角形である棒状部材を実際に撮像した結果をもとに説明する。
図8(a)、(c)に示す図は、撮像部12によって撮像された画像のうち、幅方向の一部拡大して表す図であり、x方向は、検査対象物50の短手方向(幅方向)であり、y方向は、検査対象物50の長手方向(搬送方向)である。
図8(b)に示す図は、
図8(a)の符号A3に示すy座標のx方向における座標と出力値との関係を示すグラフであり、
図8(d)に示す図は、
図8(c)の符号C3に示すy座標のx方向における座標と出力値との関係を示すグラフである。
【0030】
図8(a)において、検査対象物50の撮像部12によって撮像された隣り合う2辺が接する頂点について、長手方向に撮像された撮像結果に対応する画素は、他の画素に比べて黒く撮像されており(符号A1)、長手方向にほぼ連続して黒く撮像された。また、傷や汚れ等の欠陥がある場合には、例えば符号A2に示すように黒く撮像された。ここで、この撮像結果に基づいて、例えば隣接する画素どうしにおいて、ラインセンサからの出力信号の差を算出し、所定の閾値を超えた場合に、欠陥であるとして判定することが可能である。しかし、符号A3で示すx方向の位置においてx方向に隣接する画素どうしで出力値の差を算出すると、
図8(b)のような出力値のグラフが得られる。しかし、隣り合う2辺が接する頂点に対応する位置(符号B1)において、出力値の差が、他の領域に比べて小さくなり、欠陥(
図8(a)符号A2)における出力値の差(
図8(b)符号B2)との識別が困難となってしまう。
【0031】
そこで、本実施形態において、検出部22は、検査対象物50の中心軸方向(搬送方向)に沿う方向において、検査対象物の移動方向に対して複数個からなる画像データを加算し、移動方向に所定の行数離れた位置から同様に複数個からなる画像データを取得して加算し、流れ方向に対してこれらの差を比較する縦差分処理を行って欠陥を検出する。例えば、検出部22は、撮像画像(例えば
図8(a))について、y方向における出力値の差を求め、この差に基づく画像(
図8(c))とグラフ(
図8(d))を生成する。
ここでは、
図8(a)においては、検査対象物50の隣り合う2辺が接する頂点に対応する場所については、黒く撮像されていたが、縦差分処理を行うことで、
図8(c)符号C1に示すように、検査対象物50の隣り合う2辺が接する頂点におけるコントラストを打ち消すことができた。一方で、
図8(a)における欠陥に対応する領域(
図8符号A2)については、黒く撮像されていたが、縦差分処理を行ことで、
図8(c)符号Cに示すように、欠陥が把握可能な状態の画像を得ることができた。
そして、符号C3で示すx方向の位置においてy方向のいずれか(例えば、搬送方向)に隣接する画素どうしで出力値の差を算出すると、
図8(d)のような出力値のグラフが得られる。
図8(d)のグラフに示すように、欠陥(
図8(c)符号C)に対応するx方向の位置について、波形が他のx方向の箇所よりも大きく異なるため欠陥(
図8(d)符号D)であることが判定可能となる。ここでは、検出部22は、出力値の差と上限側の基準値D1とを比較し、出力値の差が基準値D1以上である場合に明欠陥であると判定し、出力値の差と下限側の基準値D2とを比較し、出力値の差が基準値D2未満である場合には、暗欠陥であると判定する。
このように、縦差分処理を行うことで、検査対象物50の隣り合う2辺が接する頂点におけるコントラストを打ち消し、欠陥部分のコントラストを強調することができる。
【0032】
なお、欠陥検査装置1は、照明部13によって照射された光が検査対象物50によって反射された光を撮像部12によって撮像する。そのため、撮像部12の撮像領域において、検査対象物50が存在しない領域については、反射光が得られないため、撮像結果として黒く撮影される。例えば、
図8(a)においては、撮像部12の撮像領域のうち検査対象物50が撮像されない領域(通過しない領域)については、符号A3に示すように、黒く撮像された。
【0033】
次に、本実施形態の第2の実施形態について説明する。
図9は、第2の実施形態における欠陥検査装置1Aの側方からみた場合を表す側方図である。この実施形態においては、第1の実施形態とは照明に関する構成が異なるため、相違点を説明し、同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
照明部33a、照明部33b、照明部33cは、それぞれ、照明部13の半円状の形状となるように光源が配置されている。照明部33aは、検査対象物50を撮像部12aの撮像方向から照明する。照明部33bは、検査対象物50を撮像部12bの撮像方向から照明する。照明部33cは、検査対象物50を撮像部12cの撮像方向から照明する。
補助照明部34a、補助照明部34b、補助照明部34cは、対向する位置に配置された照明部からの光を反射する反射板である。補助照明部34aは、照明部33aからの光を撮像部12a側に反射する。補助照明部34bは、照明部33bからの光を撮像部12b側に反射する。補助照明部34cは、照明部33cからの光を撮像部12c側に反射する。
【0034】
照明部33aは、撮像部12aの撮像方向から光を照射するが、撮像方向とは反対側から照明されない。この場合、照明部33aにおいてから照射された光のうち検査対象物50によって反射された光は撮像部12aによって撮像されるが、撮像範囲のうち検査対象物50がない空間については、光がない(微弱である)。そのため、
図10(a)に示すように、符号A1と符号A2に示すx方向における外側の領域については、光が検出されず、受光レベルが低い。そのため、検査対象物50のx方向における両端部は、未検査領域を設定する必要が生じるため、両端部の検査を実施することができない。この検査領域の幅は、検査対象物50の蛇行、反り等を考慮して設定される。未検査領域が設定されるのは、例えば、両端部において、欠陥があったとしても、欠陥によって光の反射が弱くなったのか、単に検査対象物50が存在しない空間であるため光の反射が弱くなったのかが識別できないためである。これに対し、本実施形態においては、撮像部12から検査対象物50に対する延長線方向において、照明部33a(照明部33b、照明部33c)の光を反射する補助照明部34a(補助照明部34b、補助照明部34c)が設けられる。これにより、例えば、補助照明部34aは、撮像部12a側に照明部33aからの光を反射するため、
図10(b)に示すように、符号B1と符号B2に示すx方向における外側の領域についても、検査対象物50がない空間においても、撮像部12は、一定の受光レベルを得ることができる。このため、撮像部12における撮像範囲のうち、検査対象物50が存在しない空間においても、検査を実施することができ、検査対象物50の両端部についても検査することが可能となる。
なお、この補助照明部34a、補助照明部34b、補助照明部34cは、それぞれ、反射板ではなく、少なくとも1つの光源によって構成されてもよい。
【0035】
なお、上述した実施形態において、撮像部12は、3つ(撮像部12a、撮像部12b、撮像部12c)を備える場合について説明したが、検査対象物の断面形状に応じて、2つ、あるいは4つ以上備えるようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態において、検査対象物50は、搬送される際に、搬送部14と保持部14a、保持部14bによって保持されて搬送されるが、搬送方向の下流側にも搬送部や保持部を設けるようにしてもよい。また、搬送方向の上流側や下流側に搬送部14と保持部14a、保持部14bを複数設けるようにしてもよい。これにより、長手方向の長さや重量が様々な検査対象物50に対応して、安定的に搬送することができる。
【0037】
また、上述した実施形態においては、欠陥検査装置1が照明部13からの反射光を撮像部12によって撮像する場合について説明した。この場合において、検査対象物50の搬送が開始されてから検査対象物50の一端側が撮像部12の撮像領域に到達するまでの間は、撮像結果として得られる画像は全域にわたって黒の画像となる。そして、検査対象物50が撮像部12の撮像領域に入ると、撮像部12は、検査対象物50から反射される光を受光し、正常部分に対する欠陥部分における光量の増減を基に、欠陥を検出することが可能となる。ここでは、撮像部12から得られた画像の全体が黒の画像である場合には、欠陥として判定を行わない。これにより、検査対象物50の末端部分に発生している欠陥も検出することが可能となる。
【0038】
例えば、
図11に示すように、断面形状が六角形である検査対象物50の場合、先端部分についても検査できることが望ましい。この場合、撮像部12から得られる撮像結果のうち、全域が黒である画像については、欠陥検出に用いず、検査対象物50の幅分の明るさを得られている撮像結果から画像処理を行い、欠陥を検出する。
図12は、
図11に示す検査対象物50の一端側の端部を撮像した撮像結果を表す図である。この図に示すように、検査対象物50が撮像された画像と検査対象物50が存在しない空間が撮像された画像(黒色側の領域)との境界(符号A1)が含まれて撮影されている。そして、検査対象物50が撮像された画像の領域のうち、検査対象物50の先端側(符号A1に示す境界側)からy軸方向に沿う方向に存在する欠陥(符号A2)についても、検査対象物50が存在しない空間が撮像された画像と識別し、欠陥であることを検出することができる。
【0039】
図13は、照明部13から照射された光が検査対象物50に反射して撮像部12に到達する場合について説明する図である。
上述した実施形態においては、検査対象物50の断面形状のサイズが変わったとしても、そのサイズに応じて取り付けユニット11を昇降させることで、常に照明部13によって照射される中心位置を検査対象物50が搬送される状態を維持することが可能である。しかし、検査対象物50の断面形状のサイズが変わると、照明部13から照射された光が検査対象物50に到達するまでの距離である照明距離は変動する。
【0040】
例えば、検査対象物50の断面形状のサイズにおいて、その幅が符号300に示す幅よりも符号301に示す幅の方が狭い場合、照明部13から照射されるy方向における光の到達位置は、同じである。しかし、検査対象物50に対して撮像部12が斜め方向(例えば、15°の斜め方向)から撮像している場合、検査対象物50の断面形状のサイズが異なると、検査対象物50のy方向における撮像位置も変わる。ここでは、検査対象物50の断面形状のサイズが符号300から符号301のように幅が狭くなると、撮像部12のy方向における撮像位置も、符号311に示す位置から符号312に示す位置のように、照明部13に近づく位置に変わる。このため、撮像部12が撮影する位置に、必ずしも照明部13によって照明される領域を撮像することができない場合が生じる。
ここで、検査対象物50の断面形状のサイズが7mmと17mmとでは、検査対象物50の長手方向に沿う方向における中心軸を基準とすると、検査対象物50の幅方向において、(17−7)/2であることから、5mmの差が生じる。そして、撮像部12の撮像する検査対象物50に対する角度が15°である場合、撮像部12の走査位置が、y方向(搬送方向)に約1.4mm変動する。そうすると、撮像部12は、照明部13から照明部13された領域を必ずしも撮像することができない。
【0041】
そこで、例えば、照明部13を構成するリング状の光源を半径方向に二層(三層でもよい)にし、光源に拡散板を装着する。これにより、検査対象物50に照射される照明部13からの光の帯を太くすることができる。例えば、この光の帯を、約3mm程度まで広げることで、照明され状況において撮像可能な検査対象物50の断面形状のサイズを広げることができる。例えば、検査対象物50の断面形状のサイズの幅が12mmであるとして撮像部12がその検査対象物50の中心を走査するよう設定(調整)することで、12mmを基準として多少広いあるいは狭いサイズの検査対象物50を検査する場合であっても、照明部13からの照明による正反射を崩すことなく撮像することができ、欠陥の検査を行うことが可能となる。
【0042】
なお、上記した実施形態において、検査対象物の断面は正六角形である場合について説明したが、検査対象物は、その断面が正方形、正五角形であってもよいし、頂点が7以上の正多角形であってもよい。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、検査対象物の断面の形状、サイズに応じて照明部13の位置、撮像部12の位置を変更して検査を行うようにしたので、検査対象物のサイズを問わずにピントのずれ、光学系のずれを無くして撮像し、欠陥の検査を行うことができる。
【0044】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。