(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1温度センサにより検出した温度に基づいて、前記空調機のオンオフ制御を行う際に、前記第1温度センサにより検出した温度が前記第1しきい値温度よりも低い第2しきい値温度よりも低い場合で、かつ、前記扉の開放を検知した場合には、前記空調機のオンオフ制御を維持するように構成されている、請求項1に記載の冷蔵システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1による冷蔵倉庫では、冷蔵室内の上部の温度が下部の温度よりも高い場合に、冷蔵室内の上部と下部との温度差が所定の値を越えた際に冷蔵室内の下部から上部へと冷気を送風させる制御を行うことにより、冷蔵室内の下部の冷気が上部に送られて冷蔵室内の温度を均一にすることが可能である。しかしながら、冷蔵室の下部に設けられた扉が開放された場合には、冷蔵室の下部から外部に冷気が逃げて、冷蔵室内の下部の温度が上部の温度よりも高くなると考えられる。この場合には、上記特許文献1では、冷気の送風は行われないため、冷蔵室の下部に設けられた扉が開放された場合に冷蔵室内の温度が高くなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷蔵室の下部に設けられた扉が開放された場合に冷蔵室内の温度が高くなるのを抑制することが可能な冷蔵システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による冷蔵システムは、冷蔵室と、冷蔵室を冷却する空調機と、冷蔵室の下部に設けられ、冷蔵室に物品を搬入搬出させるための扉と、冷蔵室内の上部に設けられた第1温度センサと、冷蔵室内の下部に設けられた第2温度センサと、
扉の開放を検知する扉センサと、扉センサにより扉が閉塞されている
と検知された場合は、第1温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御するとともに、
扉センサにより扉が開放されている
と検知された場合は、第2温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御する制御部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による冷蔵システムでは、上記のように、
扉センサにより扉が閉塞されている
と検知された場合は、第1温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御するとともに、
扉センサにより扉が開放されている
と検知された場合は、第2温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御する制御部を設けることによって、冷蔵室内の下部の扉が開放されている場合は、上部に比べて温度が高くなる下部の第2温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御することができるので、扉が開放された場合に迅速に冷蔵室を冷却することができる。これにより、冷蔵室の下部に設けられた扉が開放された場合に冷蔵室内の温度が高くなるのを抑制することができる。また、扉が閉塞されている場合は、日射や空気の自然対流などに起因して下部に比べて温度が高くなる上部に配置された第1温度センサにより検知された温度に基づいて空調機を制御することができるので、扉の閉塞時に冷蔵室内の上部の温度が高くなるのを抑制することができる。また、扉が開放された場合に、扉の開放のみならず、第2温度センサにより検知された温度にも基づいて空調機が制御されるので、冷蔵室内の温度を正確に制御することができる。これにより、冷却し過ぎを抑制して、省エネルギー化を図ることができる。
【0009】
上記一の局面による冷蔵システムにおいて、好ましくは、第1温度センサは、冷蔵室内の上部の空調機の近傍に配置されており、第2温度センサは、冷蔵室内の下部の扉の近傍に配置されている。このように構成すれば、扉の近傍に配置された第2温度センサにより、扉が開放されたことに起因する冷蔵室の扉近傍の温度上昇を迅速に検知することができるので、空調機を制御して迅速に冷蔵室を冷却することができる。また、冷蔵室内の空調機の近傍に配置された第1温度センサにより検出した温度により空調機を制御して扉の閉塞時に冷蔵室内の上部の温度が高くなるのを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による冷蔵システムにおいて、好ましくは、空調機は、冷凍機と、冷凍機に接続される冷蔵室内空調機と、冷蔵室内空調機に流入する冷媒の流れを制御する制御弁とを含み、制御部は、制御弁の開閉を制御することにより、冷蔵室内空調機のオンオフを制御するとともに、扉が開放されている場合で、かつ、第2温度センサにより検知された温度が第1しきい値温度よりも高い場合に、制御弁を開ける制御を行うことにより、冷蔵室内空調機を強制的にオンにするように構成されている。このように構成すれば、扉が開放されて、冷蔵室内の下部の温度が第1しきい値温度より高くなった場合に、制御弁の制御により冷蔵室内空調機が強制的にオンにされるので、扉が開放された場合に冷蔵室内の温度が高くなるのを確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは
、制御部は、扉センサにより扉の開放を検知した場合で、かつ、第2温度センサにより検知された温度が第1しきい値温度よりも高い場合に、空調機を強制的にオンにする制御を行うとともに、扉センサにより扉の開放を検知した場合で、かつ、第2温度センサにより検知された温度が第1しきい値温度以下の場合には、第1温度センサにより検知された温度に基づいて空調機のオンオフ制御を行うように構成されている。このように構成すれば、扉センサを用いて扉の開放を容易に検知することができるので、第1温度センサまたは第2温度センサにより検知した温度に基づいて冷蔵室内の温度を容易に制御することができる。また、扉が開放された場合でも冷蔵室内の下部の温度が高くならない場合は、冷蔵室内の上部の第1温度センサに基づいて空調機が制御されるので、冷蔵室内の温度をより正確に制御することができる。
【0012】
上記制御部が制御弁の開閉を制御することにより冷蔵室内空調機のオンオフを制御する構成において、好ましくは、制御部は、第1温度センサにより検出した温度に基づいて、空調機のオンオフ制御を行う際に、第1温度センサにより検出した温度が第1しきい値温度よりも低い第2しきい値温度よりも低い場合で、かつ、扉の開放を検知した場合には、空調機のオンオフ制御を維持するように構成されている。このように構成すれば、扉が開放されている場合でも冷蔵室内の上部の温度が第2しきい値温度よりも低く冷却が十分であった場合には、空調機のオンオフが維持されるので、適切な冷却状態を維持することができる。これにより、扉の開放に起因する温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による冷蔵システムにおいて、好ましくは、空調機は、複数の空調機を含み、第1温度センサおよび第2温度センサは、それぞれ、複数の空調機毎に設けられており、複数の空調機は、扉が閉塞されている場合は、複数の空調機毎に設けられた第1温度センサにより検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるとともに、扉が開放されている場合は、複数の空調機毎に設けられた第2温度センサにより検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるように構成されている。このように構成すれば、扉の開放時に、個別に設けられた複数の第2温度センサの各々の検出結果に基づいて独立して複数の空調機を制御することにより、複数の第2温度センサの設置位置の温度に応じて、個別に複数の空調機を制御することができるので、扉の開放時により正確な温度上昇抑制制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、冷蔵室の下部に設けられた扉が開放された場合に冷蔵室内の温度が高くなるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1を参照して、本発明の一実施形態による冷蔵システム100の構成について説明する。
【0018】
本実施形態による冷蔵システム100は、物品を低温での温度管理下で冷蔵保存することが可能なように構成されている。また、冷蔵システム100は、
図1に示すように、冷蔵倉庫1と、冷蔵倉庫1に物品を搬入搬出させるための扉2と、冷蔵倉庫1を冷却する空調機3および4と、空調機3および4を総括的に制御する制御装置5とを備える。なお、冷蔵倉庫1は、本発明の「冷蔵室」の一例である。
【0019】
空調機3は、制御部31と、ユニットクーラ32と、冷凍機33と、温度センサ34とを含む。ユニットクーラ32は、蒸発器35と、膨張弁36と、電磁弁37とを有する。冷凍機33は、圧縮機38と、凝縮器39とを有する。空調機4は、制御部41と、ユニットクーラ42と、冷凍機43と、温度センサ44とを含む。ユニットクーラ42は、蒸発器45と、膨張弁46と、電磁弁47とを有する。冷凍機43は、圧縮機48と、凝縮器49とを有する。なお、ユニットクーラ32および42は、それぞれ、本発明の「冷蔵室内空調機」の一例であり、温度センサ34および44は、それぞれ、本発明の「第1温度センサ」の一例である。また、電磁弁37および47は、それぞれ、本発明の「制御弁」の一例である。
【0020】
冷蔵倉庫1は、冷蔵保蔵される物品が保管されるように構成されている。また、冷蔵倉庫1には、扉2を介して、物品が搬入または搬出される。また、冷蔵倉庫1は、断熱材を含む材料により、床、壁、天井が形成されている。
【0021】
扉2は、冷蔵倉庫1に物品を搬入搬出させるために設けられている。また、扉2は、冷蔵倉庫1の下部の側面に設けられている。つまり、冷蔵倉庫1の下部の扉2を開放することにより、物品を冷蔵倉庫1に搬入搬出可能にするとともに、扉2を閉塞することにより、冷蔵倉庫1を外気から遮蔽して保温性を高めるように構成されている。また、扉2は、断熱材を含む材料により形成されている。また、扉2の近傍には、扉温度センサ21および22と、扉2の開放を検知する扉センサ23とが設けられている。なお、扉温度センサ21および22は、それぞれ、本発明の「第2温度センサ」の一例である。
【0022】
扉温度センサ21および22は、扉2近傍の温度を検知するように構成されている。また、扉温度センサ21および22は、冷蔵倉庫1内の下部(たとえば、床面または下部の壁面)に設けられている。また、扉温度センサ21および22は、空調機(ユニットクーラ)毎に設けられている。扉温度センサ21は、扉2に対してユニットクーラ32に近い側の扉2の近傍に配置されている。また、扉温度センサ22は、扉2に対してユニットクーラ42に近い側の扉2の近傍に配置されている。扉温度センサ21は、空調機3の制御部31に接続されている。また、扉温度センサ22は、空調機4の制御部41に接続されている。
【0023】
扉センサ23は、扉2の開放および閉塞を検知するように構成されている。また、扉センサ23は、制御装置5に接続されており、扉2の開閉の検知結果を制御装置5に送信するように構成されている。また、扉2の開閉の検知結果は、制御装置5を介して制御部31および41にも送信される。
【0024】
空調機3は、たとえば二酸化炭素(CO
2)などの冷媒を圧縮機38、凝縮器39、膨張弁36および蒸発器35に循環させて冷蔵倉庫1を冷却させるように構成されている。
【0025】
圧縮機38は、制御装置5の制御に基づいて駆動されるように構成されている。また、圧縮機38は、空調機3における低圧側から吸入されたガス冷媒を圧縮して高圧側に吐出する役割を有している。また、圧縮機38には、回転数(運転周波数)の変更により冷媒吐出量が制御可能なインバータ制御式圧縮機が用いられている。
【0026】
凝縮器39は、内部を流通する過熱ガス状態の冷媒を外部空気を用いて冷却する機能を有している。また、凝縮器39内で凝縮(液化)された冷媒は、電磁弁37を介して、膨張弁36に流入される。
【0027】
膨張弁36は、凝縮器39で冷却(液化)された冷媒を絞り膨張(減圧)させて蒸発器35に供給する役割を有している。また、膨張弁36は、パルス制御により駆動されるステッピングモータの駆動力を利用して弁機構を開閉駆動されるように構成されている。また、膨張弁36により絞り膨張された液冷媒は、気相および液相からなる気液二相状態のまま蒸発器35に流入される。
【0028】
蒸発器35には、送風機(図示せず)が設けられており、冷蔵倉庫1内を冷却するための空気(冷気)が送風機によって蒸発器35と冷蔵倉庫1内との間を循環するように構成されている。また、蒸発器35は、流通する冷媒が蒸発(気化)する際に、流通する空気から熱を奪って循環空気を冷却する。また、蒸発器35における蒸発後の冷媒は、気相を多く含んだガス状態となって圧縮機38に戻される。このように、空調機3では、圧縮機38から吐出された冷媒が、凝縮器39、膨張弁36、蒸発器35の順に流れて圧縮機38に帰還されるサイクルを繰り返す。
【0029】
電磁弁37は、凝縮器39と、膨張弁36との間に配置され、ユニットクーラ32に流入する冷媒の流れを制御するように構成されている。具体的には、電磁弁37は、制御部31のオンオフ制御により冷媒を流す(オンにする)または止める(オフにする)ように構成されている。電磁弁37をオフにする(冷媒を止める)時間が長くなると、凝縮器39および蒸発器35における熱交換量がそれぞれ小さくなり、熱負荷が低くなる。この場合、制御装置5により圧縮機38の出力(回転数)が下げられる、または停止される。一方、電磁弁37をオンにする(冷媒を流す)時間が長くなると、凝縮器39および蒸発器35における熱交換量がそれぞれ大きくなり、熱負荷が高くなる。この場合、制御装置5により圧縮機38の出力(回転数)が上げられる。
【0030】
制御部31は、空調機3の各部を制御するように構成されている。特に、制御部31は、電磁弁37のオンオフの制御を行い、空調機3のユニットクーラ32のオンオフを制御するように構成されている。また、制御部31は、ユニットクーラ32近傍に配置された温度センサ34により検知した温度、または、扉2近傍に配置された扉温度センサ21により検知した温度に基づいて、電磁弁37のオンオフ制御を行うように構成されている。つまり、制御部31は、検知された温度が目標温度より高くなった場合、電磁弁37のオン時間を長くする制御を行う。また、制御部31は、検知された温度が目標温度より低くなった場合、電磁弁37のオン時間を短くする制御を行う。
【0031】
温度センサ34は、ユニットクーラ32近傍の温度を検知するように構成されている。また、温度センサ34は、冷蔵倉庫1内の上部のユニットクーラ32の近傍(たとえば、空気吸込口近傍)に設けられている。また、温度センサ34は、制御部31に接続されている。
【0032】
空調機4は、空調機3とは別個に設けられており、空調機3とは互いに独立して駆動される。また、空調機4の各部の構成は、上記空調機3の構成と同様であり、説明を省略する。つまり、空調機4の制御部41、ユニットクーラ42、冷凍機43および温度センサ44は、それぞれ、空調機3の制御部31、ユニットクーラ32、冷凍機33および温度センサ34に対応する。また、ユニットクーラ42の蒸発器45、膨張弁46および電磁弁47は、それぞれ、ユニットクーラ32の蒸発器35、膨張弁36および電磁弁37に対応する。また、冷凍機43の圧縮機48および凝縮器49は、それぞれ、冷凍機33の圧縮機38および凝縮器39に対応する。
【0033】
制御装置5は、空調機3(ユニットクーラ32および冷凍機33)の運転状態に基づいて、冷凍機33(圧縮機38)の出力を制御するように構成されている。また、制御装置5は、空調機4(ユニットクーラ42および冷凍機43)の運転状態に基づいて、冷凍機43(圧縮機48)の出力を制御するように構成されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、制御部31(41)は、扉2が閉塞されている場合は、温度センサ34(44)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御するとともに、扉2が開放されている場合は、扉温度センサ21(22)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御するように構成されている。また、制御部31(41)は、電磁弁37(47)の開閉を制御することにより、ユニットクーラ32(42)のオンオフを制御するとともに、扉2が開放されている場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度よりも高い場合に、電磁弁37(47)を開ける制御を行うことにより、ユニットクーラ32(42)を強制的にオンにするように構成されている。なお、設定温度は、本発明の「第1しきい値温度」の一例である。
【0035】
また、本実施形態では、制御部31(41)は、扉センサ23により扉2の開放を検知した場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度よりも高い場合に、空調機3(4)を強制的にオンにする制御を行うとともに、扉センサ23により扉2の開放を検知した場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度以下の場合には、温度センサ34(44)により検知された温度に基づいて空調機3(4)のオンオフ制御を行うように構成されている。
【0036】
また、制御部31(41)は、温度センサ34(44)により検出した温度に基づいて、空調機3(4)のオンオフ制御を行う際に、温度センサ34(44)により検出した温度が設定温度より1℃低い設定温度−1℃よりも低い場合で、かつ、扉2の開放を検知した場合には、空調機3(4)のオンオフ制御を維持するように構成されている。なお、設定温度−1℃は、本発明の「第2しきい値温度」の一例である。
【0037】
また、扉2が閉塞されている場合は、2つの空調機3および4は、制御部31および41により、空調機毎に設けられた温度センサ34および44により検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるとともに、扉2が開放されている場合は、空調機毎に設けられた扉温度センサ21および22により検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるように構成されている。
【0038】
次に、
図2を参照して、本実施形態による冷蔵システム100の制御部31(41)による空調機3(4)の冷却制御処理について説明する。この冷却制御処理は、冷蔵システム100が稼働中に継続的に行われる。また、制御部31および41は、互いに独立してこの冷却制御処理を行う。
【0039】
ステップS1において、扉センサ23の検知結果から扉2が閉塞しているか否かが判断される。扉2が閉塞していれば、ステップS2に進み、扉2が開放されていれば、ステップS9に進む。扉2が閉塞されている場合、ステップS2において、冷蔵倉庫1内の上部の温度センサ34(44)の温度検知による吸込温度データが取得される。
【0040】
ステップS3において、吸込温度が設定温度より大きいか否かが判断される。吸込温度が設定温度よりも大きければ、ステップS4に進み、吸込温度が設定温度以下であれば、ステップS5に進む。ステップS4において、ユニットクーラ32(42)の電磁弁37(47)を開ける制御が行われる。つまり、扉2が閉塞している場合において、冷蔵倉庫1内の上部の温度が設定温度より高い場合に、ユニットクーラ32(42)が強制的にオンにされる。その後、冷却制御処理が終了される。
【0041】
ステップS5において、吸込温度が設定温度−1℃より小さいか否かが判断される。吸込温度が設定温度−1℃より小さければ、ステップS6に進み、吸込温度が設定温度−1℃以上であれば、ステップS8に進む。ステップS6において、扉センサ23の検知結果から扉2が閉塞しているか否かが判断される。扉2が閉塞していれば、ステップS7に進み、扉2が開放されていれば、ステップS8に進む。扉2が閉塞されている場合、ステップS7において、ユニットクーラ32(42)の電磁弁37(47)を閉める制御が行われる。その後、冷却制御処理が終了される。
【0042】
ステップS5において吸込温度が設定温度−1℃以上である(設定温度−1℃≦吸込温度≦設定温度)と判断された場合、または、ステップS6において扉2が開放されていると判断された場合、ステップS8において、電磁弁37(47)の開閉が維持される。つまり、電磁弁37(47)が開いている場合は、開かれた状態が維持され、電磁弁37(47)が閉じている場合は、閉じられた状態が維持される。その後、冷却制御処理が終了される。
【0043】
ステップS1において扉2が開放されていると判断された場合、ステップS9において、冷蔵倉庫1内の下部の扉温度センサ21(22)の温度検知による扉温度データが取得される。ステップS10において、扉温度が設定温度より大きいか否かが判断される。扉温度が設定温度よりも大きければ、ステップS11に進み、扉温度が設定温度以下であれば、ステップS2に進む。
【0044】
ステップS11において、ユニットクーラ32(42)の電磁弁37(47)を開ける制御が行われる。つまり、扉2が開放している場合において、冷蔵倉庫1内の下部の温度が設定温度より高い場合に、ユニットクーラ32(42)が強制的にオンにされる。その後、ステップS2に進む。
【0045】
上記実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、扉2が閉塞されている場合は、温度センサ34(34)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御するとともに、扉2が開放されている場合は、扉温度センサ21(22)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御する制御部31(41)を設けることによって、冷蔵倉庫1内の下部の扉2が開放されている場合は、上部に比べて温度が高くなる下部の扉温度センサ21(22)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御することができるので、扉2が開放された場合に迅速に冷蔵倉庫1を冷却することができる。これにより、冷蔵倉庫1の下部に設けられた扉2が開放された場合に冷蔵倉庫1内の温度が高くなるのを抑制することができる。また、扉2が閉塞されている場合は、日射や空気の自然対流などに起因して下部に比べて温度が高くなる上部に配置された温度センサ34(44)により検知された温度に基づいて空調機3(4)を制御することができるので、扉2の閉塞時に冷蔵倉庫1内の上部の温度が高くなるのを抑制することができる。また、扉2が開放された場合に、扉2の開放のみならず、扉温度センサ21(22)により検知された温度にも基づいて空調機3(4)が制御されるので、冷蔵倉庫1内の温度を正確に制御することができる。これにより、冷却し過ぎを抑制して、省エネルギー化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、温度センサ34(44)を、冷蔵倉庫1内の上部の空調機3のユニットクーラ32(空調機4のユニットクーラ42)の近傍に配置し、扉温度センサ21(22)を、冷蔵倉庫1内の下部の扉2の近傍に配置する。これにより、扉2の近傍に配置された扉温度センサ21(22)により、扉2が開放されたことに起因する冷蔵倉庫1の扉2近傍の温度上昇を迅速に検知することができるので、空調機3(4)を制御して迅速に冷蔵倉庫1を冷却することができる。また、冷蔵倉庫1内の空調機3のユニットクーラ32(空調機4のユニットクーラ42)の近傍に配置された温度センサ34(44)により検出した温度により空調機3(4)を制御して扉2の閉塞時に冷蔵倉庫1内の上部の温度が高くなるのを効果的に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、制御部31(41)を、電磁弁37(47)の開閉を制御することにより、ユニットクーラ32(42)のオンオフを制御するとともに、扉2が開放されている場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度よりも高い場合に、電磁弁37(47)を開ける制御を行うことにより、ユニットクーラ32(42)を強制的にオンにするように構成する。これにより、扉2が開放されて、冷蔵倉庫1内の下部の温度が設定温度より高くなった場合に、電磁弁37(47)の制御によりユニットクーラ32(42)が強制的にオンにされるので、扉2が開放された場合に冷蔵倉庫1内の温度が高くなるのを確実に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、制御部31(41)を、扉センサ23により扉2の開放を検知した場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度よりも高い場合に、空調機3(4)を強制的にオンにする制御を行うとともに、扉センサ23により扉2の開放を検知した場合で、かつ、扉温度センサ21(22)により検知された温度が設定温度以下の場合には、温度センサ34(44)により検知された温度に基づいて空調機3(4)のオンオフ制御を行うように構成する。これにより、扉センサ23を用いて扉2の開放を容易に検知することができるので、温度センサ34(44)または扉温度センサ21(22)により検知した温度に基づいて冷蔵倉庫1内の温度を容易に制御することができる。また、扉2が開放された場合でも冷蔵倉庫1内の下部の温度が高くならない場合は、冷蔵倉庫1内の上部の温度センサ34(44)に基づいて空調機3(4)が制御されるので、冷蔵倉庫1内の温度をより正確に制御することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、制御部31(41)を、温度センサ34(44)により検出した温度に基づいて、空調機3(4)のオンオフ制御を行う際に、温度センサ34(44)により検出した温度が設定温度−1℃よりも低い場合で、かつ、扉2の開放を検知した場合には、空調機3(4)のオンオフ制御を維持するように構成する。これにより、扉2が開放されている場合でも冷蔵倉庫1内の上部の温度が設定温度−1℃よりも低く冷却が十分であった場合には、空調機3(4)のオンオフが維持されるので、適切な冷却状態を維持することができる。これにより、扉2の開放に起因する温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、複数の空調機3および4は、扉2が閉塞されている場合は、複数の空調機3および4毎に設けられた温度センサ34および44により検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるとともに、扉2が開放されている場合は、複数の空調機3および4毎に設けられた扉温度センサ21および22により検知された温度に基づいて互いに独立して制御されるように構成する。これにより、扉2の開放時に、個別に設けられた複数の扉温度センサ21および22の各々の検出結果に基づいて独立して複数の空調機3および4を制御することにより、複数の扉温度センサ21および22の設置位置の温度に応じて、個別に複数の空調機3および4を制御することができるので、扉2の開放時により正確な温度上昇抑制制御を行うことができる。
【0052】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、冷蔵倉庫を備える冷蔵システムに本発明を適用する例について示したが、本発明はこれに限られない。冷蔵倉庫以外の冷蔵室を備える冷蔵システムに本発明を適用してもよい。たとえば、ショーケースや、冷蔵庫に本発明を適用してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、2つの空調機を備える冷蔵システムの構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷蔵システムは、1つまたは3つ以上の空調機を備えていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、扉が開放している場合に、扉温度センサ(第2温度センサ)により検知された温度が設定温度(第1しきい値温度)より高い場合に、空調機をオンにする制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、第2温度センサにより検知した温度が一定の時間高温である状態が続いた場合に空調機をオンにする制御を行ってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、扉近傍に扉温度センサ(第2温度センサ)を配置し、ユニットクーラ(冷蔵室内の空調機)近傍に温度センサ(第1温度センサ)を配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2温度センサは、冷蔵室内の下部に配置されていれば、扉近傍に配置されていなくてもよい。また、第1温度センサは、冷蔵室内の上部に配置されていれば、冷蔵室内の空調機近傍に配置されていなくてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、1つの扉が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の扉が設けられていてもよい。この場合、各々の扉に扉センサが設けられていてもよい。また、各々の扉近傍に第2温度センサが設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、温度センサ(第1温度センサ)および扉温度センサ(第2温度センサ)が、複数の空調機毎に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の空調機に共通の(1つの)第1温度センサを設けてもよいし、複数の空調機に共通の(1つの)第2温度センサを設けてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、複数の空調機を互いに独立して制御する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の空調機が連携して制御されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、冷媒として二酸化炭素(CO
2)を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒として二酸化炭素以外の冷媒を用いてもよい。たとえば、二酸化炭素以外の他の自然冷媒を用いてもよいし、オゾン層破壊係数がゼロの代替フロン冷媒を用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部による制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部による処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。