(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の構成によれば、粒状物は衝突板に当たってアクスルケースの反対側に案内されるため、粒状物がアクスルケース側に吐出されないようにすることで粒状物によるアクスルケースの錆等の発生を防止できる。
【0005】
一方、肥料などの粒状物を圃場に散布する場合、多くは一人の作業者で行うため、粒状物がどこまで飛散したのかを判断することは難しい。正確な散布域を把握できないと、次工程での散布作業において、適正な条で機体を走行させることなど、適正な作業が難しくなり、散布域が重なったり無散布域が発生したりするという問題が生じてしまう。従って、作業の補助者が必要となる場合もある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、肥料などの粒状物の散布作業において、粒状物の散布域を把握でき、粒状物がどこまで飛散したのかを判断できる自走型の粒状物散布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、走行装置(4,5)と、走行装置(4,5)上に設けられ粒状物を貯留する貯留部(10)と、該貯留部(10)に貯留されている粒状物を圃場に散布する散布ブーム(14)とを備えた粒状物の散布装置(1)と、該粒状物の散布装置(1)の近傍に設けられ散布域の目印となる泡を圃場に滴下する泡滴下装置(53)とを備え、前記泡滴下装置(53)は、泡の滴下口(62)と、散布ブーム(14)の長手方向に沿って泡を搬送する配管(60)とを設け、配管(60)を支持部材(70)により散布ブーム(14)と一体構成とし、滴下口(62)は、配管(60)の左右の先端部で、かつ、散布ブーム(14)の左右端の噴出口(50)よりも外側に設けると共に、末広がりの円錐形状の蛇腹状のカップを下向きに形成
し、散布ブーム(14)の左右端の噴出口(50)は、左右外側に向かって粒状物を散布する構成とし、配管(60)の先端を散布ブーム(14)の延長線上から後方に曲げることで、滴下口(62)を散布ブーム(14)に対してオフセットして設けていることを特徴とする自走型の粒状物散布機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、散布ブーム(14)は
機体側のワイヤ(72)に連結し、ワイヤ(72)は滑車(78)に巻き掛けられると共に、昇降用ハンドル(75)で
ワイヤ(72)を伸縮可能に構成したことを特徴とする
請求項1に記載の自走型の粒状物散布機である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、泡滴下装置(53)により散布域の目印となる泡を圃場に滴下することで、一人で作業していた場合であっても、粒状物がどこに散布されたのか、どこまで飛散したのかを容易に視認でき、判断することができるため、補助者の必要性もない。そして正確な散布域を把握できることで、次工程での散布作業において、適正な条で作業を行え、散布域が重なったり無散布域が発生したりするという問題も生じない。
【0011】
また、請求項1記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、泡滴下装置(53)は、散布ブーム(14)の長手方向に沿って泡を搬送する配管(60)を備えているため、コンパクトな構成になる。また、配管(60)は散布ブーム(14)に沿って真っ直ぐ延びているため、泡の通りも良く、ズムーズに泡の滴下口(62)に送ることができる。従って、泡の出てくる時間を短くできる。
【0012】
また、請求項1記載の発明によれば、滴下口(62)を蛇腹状のカップにすることで、泡が溜まりやすく、消えにくいため、目印として非常に分かりやすくなる。従って、確実に正確な散布域を把握できる。特に、末広がりの円錐形状の蛇腹状のカップにすれば、より泡が溜まりやすく、大きな泡が形成されやすいため、泡が短時間で消えることもない。従って、枕地での機体の旋回時にも慌てることなくゆっくり丁寧な作業を行える。
さらに、請求項1記載の発明によれば、滴下口(62)が噴出口(50)の後方に位置しているため、粒状物が配管(60)の先端の滴下口(62)に当たることもなく、散布精度が低下することもない。また、配管(60)を散布ブーム(14)より後方に設けた場合でも、配管(60)の先端部を後方に曲げることより確実に散布精度の低下を防止できる。
請求項2記載の発明によれば、上記
請求項1に記載の発明の効果に加えて、作業者が昇降用ハンドル(75)を回すことでワイヤ(72)が伸びる方向と縮む方向に操作でき、昇降用ハンドル(75)の手動操作で容易に散布ブーム(14)を昇降させると共に、散布ブーム(14)の昇降に合わせて配管(60)も同じように昇降する。散布作業中に、泡の滴下のタイミングが合わずに早く滴下したい場合、昇降用ハンドル(75)を回して配管(60)を一時的に上下させることで、配管(60)に振動を与えて、出にくい泡を出しやすくすることができる。従って、計画的に泡を滴下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明の実施形態の粉状物散布機の側面図を示し、
図2には、
図1の粉状物散布機の平面図を示し、
図3には背面図を示す。
図4には、
図1の粒状物散布機の制御ブロック図を示す。なお、本明細書では粒状物散布機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右という。
【0015】
まず、
図1と
図2に示すように、粒状物散布装置1(以下、粒状物として肥料を例に説明するので肥料散布装置ということがある)は、粒状物散布機2の後部に装着される。前部にエンジン3を搭載し、エンジン回転を適宜に変速して走行装置である前輪4及び後輪5に伝動する。粒状物散布機2の後部には、圃場に散布する肥料を貯留する左右一対のタンク(貯留部)10,10を装着する。
【0016】
肥料散布装置1は、肥料タンク10、繰出装置11、送風装置12、噴管13、散布ブーム14等から構成される。但し、
図1には散布ブーム14及び後述する配管60を一部しか図示していない。
【0017】
前記肥料タンク10の下部には肥料タンク10から所定量の散布粒剤を繰出す繰出装置11が設けられる。繰出装置11は複数形態のロール(図示せず)をロール駆動軸(図示せず)に構成する公知の構成である。ロール駆動軸はロール駆動モータ25(
図4)により駆動回転される構成である。
【0018】
前記一対の繰出装置11,11の下方には機体進行方向に対して後側が互いに斜め内向きに延長された通気筒30,30を臨ませ、該通気筒30,30の連設部は送風装置12を備えた送風筒31に連通されている。そして、各通気筒30,30の下流側他端、即ち機体前方側は噴管13に連通し、散布ブーム14は送風ファン12aの後方にあり、送風ファン12a前方の噴管13から後ろに曲がって迂回して搬送される構成である。なお、
図1では見やすいように、迂回部分を点線で図示している。
【0019】
送風装置12は、粒状物散布機2のPTO軸32に電磁クラッチ12bを介して連動する送風ファン12aによって構成され、その噴風は送風筒31を経由して通気筒30に入り、繰出肥料を気流に乗せて移送し、左右噴管13,13に至る構成である。
【0020】
左右の各噴管13,13は、肥料タンク10と粒状物散布機2の機体上部に設けた搭乗者用シート33との間の空間部に、筒状の軸芯が平面視において機体進行方向に対し外向きに傾斜するよう前記通気筒30,30に接続されており、左右それぞれの噴管13,13には蛇腹管16(
図5)を介して屈曲自在に左右の散布ブーム14,14に接続する。
【0021】
また、散布ブーム14の基部と機体フレーム6との間に電動式の伸縮シリンダ45(
図4)を介在し、シート33近傍に設けた開閉スイッチ40をオンすることで、伸縮シリンダ45の短縮及び伸張によって散布ブーム14を作業姿勢となるよう横向きに拡げたり(
図2,
図3に示した状態)、散布ブーム14を機体に沿う状態に収納したりする構成である。すなわち、散布作業時には散布ブーム14はその基部を中心として矢印A方向(左右方向)に開き、収納時は矢印A方向とは反対方向に閉じて機体の側面に収納される。散布ブーム14の収納時は機体の横幅と左右の散布ブーム14,14間の幅がほぼ一致するため、コンパクトな構成となり納屋への出入りにも邪魔にならない。
【0022】
そして、散布ブーム14には所定間隔毎に所定口径の噴出口50,50…が形成されている。
散布作業者は、昇降用ステップ36からシート33に座り、先ず各種設定値を入力する。例えば、散布する粉粒散布肥料の設定施肥量や比重を入力する。そして、ファンスイッチ(図示せず)及び散布スイッチ(図示せず)をオンし、機体を前進させる。制御装置100(
図4)は車速センサ83により検出される車速に基づき、左右のロール駆動モータ25,25を回転制御し、送風ファン12aを駆動して、肥料タンク10から繰出装置11,11を経て繰出される肥料をコントロールしながら噴管13,13、散布ブーム14,14を経て肥料51が散布される。
【0023】
そして、本実施形態の粒状物散布機2は、肥料散布装置1の近傍に、散布域の目印となる泡67を圃場に滴下する泡滴下装置53を設けたことを特徴としている。泡滴下装置53は、肥料タンク10後方のステップ55上に設けた界面活性剤(気泡剤)を含む液体の入った泡タンク57と、泡タンク57内の液体の送液用のコンプレッサ59と、コンプレッサ59により送液される液体を搬送する配管60と、配管60に設けた液体(泡)の滴下口62などから構成される。泡用の液体は、例えば洗剤を水に溶かして作れば容易にできる。
【0024】
上述のように、散布作業者は、図示しないファンスイッチや散布スイッチをオンし、機体を前進させて散布作業を開始するが、その際にコンプレッサスイッチ85(
図4)をオンしてコンプレッサ59を作動させると、泡タンク57内の液体が配管60を通って滴下口62から泡67となって連続的又は不連続に圃場の作物65上に滴下される。このように、肥料51の散布作業と泡67の滴下作業を同時に行うことができる。
【0025】
本構成により、泡滴下装置53により散布域の目印となる泡67を圃場の作物65に滴下することで、一人で作業していた場合であっても、肥料51がどこに散布されたのか、どこまで飛散したのかを容易に視認し、判断することができる。従って、作業の補助者は不要となり、一人で作業が行える。
【0026】
また、泡67はすぐに消えないので、枕時での旋回作業においては十分な目印となり、散布ブーム14の位置合わせが非常にやりやすくなる。そして正確な散布域を把握できることで、次工程での散布作業において、適正な条で粒状物散布機2を走行させることができ、散布域が重なって肥料51が無駄になったり無散布域が発生したりするという問題も生じない。
【0027】
また、泡67の滴下口62は配管60に複数箇所設けても良いが、左右の配管60,60の先端部に一箇所ずつ設け、更に滴下口62が左右の散布ブーム14,14よりも左右外側に位置するように配管60の長さを設定すれば、液体の節約にも繋がり、散布域もカバーできる。なお、滴下口62を左右の散布ブーム14,14の左右端の噴出口50,50付近に設けると、泡の位置と散布域が合致して散布域が重なるミスも防止できる。
【0028】
また、ステップ55を圃場面から1メートル程度の高さに設け、その上に泡タンク57やコンプレッサ59等を設置することで、泡タンク57が空になった場合に水等の補給が容易にでき、便利である。そして、泡タンク57は機体の左右方向中央部であって、肥料タンク10後方に背面視でほぼ同じ位置(重複する位置)に設けると、粒状物散布機2がコンパクトな構成となり、機体の大型化を防止できる。また、泡タンク57の形状は、下方に空間部を有する断面コの字形であり、この空間部にコンプレッサ59が収納されている。コンプレッサ59を泡タンク57と背面視で泡タンク57に収まる位置に設けることで、泡タンク57やコンプレッサ59等が肥料散布装置1の散布ブーム14の開閉及び収納作業の邪魔になることはなく、散布作業性の低下を招くこともない。
【0029】
また、
図2及び
図3に示すように、泡滴下装置53の配管60は、泡タンク57の左右に設けられ、左右の散布ブーム14の長手方向に沿って延びている。このように泡滴下装置53は、散布ブーム14の長手方向に沿って泡を搬送する配管60を備えているため、コンパクトな構成になる。また、配管60が散布ブーム14に沿って真っ直ぐ延びていることで液体(泡)の通りも良く、ズムーズに滴下口62に送ることができる。従って、泡67の出てくる時間を短くできる
また、泡滴下装置53の配管60によって散布ブーム14を支持する構成としても良い。配管60は、泡タンク57の左右側面に連結され、配管60の前部に設けた複数の支持部材(例えば、ブラケット、フックなどで良い)70により、散布ブーム14と連結支持した構成である。また、配管60はアルミニウム合金などの軽量部材を使用している。
【0030】
本構成により、泡滴下装置53の配管60が散布ブーム14の支持部材を兼ねることで、シンプルで低コストの散布ブーム14の支持構造を形成できる。
更に、滴下口62を蛇腹状のカップにすることで、泡67が溜まりやすく、消えにくいため、目印として非常に分かりやすくなる。従って、確実に正確な散布域を把握できる。
特に、末広がりの円錐形状の蛇腹状のカップにすれば、より泡67が溜まりやすく、大きな泡67が形成されやすいため、泡67が短時間で消えることもない。従って、枕時での機体の旋回時にも慌てることなくゆっくり丁寧な作業を行える。
【0031】
以上説明したように、泡滴下装置53の配管60によって散布ブーム14を支持すると共に、蛇腹状のカップの滴下口62を左右の散布ブーム14,14よりも左右外側に位置するように設けることで、部品点数を抑制したシンプルな設計構造で、且つ肥料の散布精度を高められる粒状物散布機2を提供できる。
【0032】
そして、泡滴下装置53の配管60の基部は機体に対しては左右に回動自在に構成されており、配管60は支持部材70を介して散布ブーム14と一体であるため、伸縮シリンダ45による散布ブーム14の開閉に合わせて配管60も同じように作動する。従って、開閉スイッチ40のワンタッチ操作による散布ブーム14の開閉作動のみで配管60も滴下作業状態と非作業状態に変更できるため、操作性や作業性に優れる。
【0033】
また、
図5には、散布ブーム部分の拡大背面図を示す。この図では、泡滴下装置53の配管60等の部材は省略している。
散布ブーム14はブラケット48を介して機体側のワイヤ72に連結しており、ワイヤ72は肥料散布装置1の主フレーム77の側上部に配設した滑車78に巻き掛けられ、更に、フレーム77側下部に滑車79に巻き掛けられた後、そのワイヤ端部は昇降用ハンドル75に連動する連動部材(図示せず)に止着される。
【0034】
作業者がシート33近傍の昇降用ハンドル75を回すことでワイヤ72が伸びる方向と縮む方向に操作でき、昇降用ハンドル75の手動操作で容易に散布ブーム14を昇降させることができる。この際、配管60を支持部材70により散布ブーム14と一体構成とすると、散布ブーム14の昇降に合わせて配管60も同じように作動する。
【0035】
化成肥料などの散布作業中に、泡67の滴下のタイミングが合わずに早く滴下したい場合、昇降用ハンドル75を回して噴管60を一時的に上下させることで、噴管60に振動を与えて、出にくい泡を出しやすくすることができる。従って、計画的に泡67を滴下させることができる。
【0036】
また、繰出装置11のロール駆動モータ25の回転センサ27をモータ軸(図示せず)に設け、回転センサ27がロール駆動モータ25の回転を検出すると、制御装置100によりコンプレッサ59を作動させる構成としても良い。本構成により、散布作業の開始とほぼ同時に泡滴下装置53も作動させることができる。従って、粒状物散布装置1とは別に泡滴下装置53を作動させる手間が省けると共に、泡滴下装置53のコンプレッサスイッチ85のスイッチ操作の押し忘れによるミスを防止できる。すなわち、本構成により、散布作業時には必ず泡67の滴下作業も行えるという利点がある。
【0037】
また、
図6には、泡滴下装置53の別の例の滴下口付近の平面図を示す。
図6には、泡滴下装置53の配管60を平面視で散布ブーム14と重複する位置に設けて、上方から散布ブーム14を支持した場合を示している。そして、配管60の先端を散布ブーム14の延長線上から後方に曲げることで、滴下口62を散布ブーム14に対してオフセットして設けている。
【0038】
散布ブーム14の噴出口50からは肥料51が散布されるが、散布ブーム14の先端の噴出口50から散布される肥料51は左右外側に飛ばされるため、配管60を先端まで散布ブーム14の延長線上に設けた場合は、肥料51が配管60の先端の滴下口62に当たってしまう可能性がある。
【0039】
しかし、本構成では滴下口62が噴出口50の後方に位置しているため、肥料51が配管60の先端の滴下口62に当たることもなく、散布精度が低下することもない。なお、
図2に示すように泡滴下装置53の配管60を散布ブーム14より後方に設けた場合でも、配管60の先端部を後方に曲げるとより確実に散布精度の低下を防止できる。