(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の区分は、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時に最も近い第1区分と、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた第2区分と、前記第1区分と前記第2区分との間の少なくとも1つの第3区分と、を含む、
請求項1または2に記載の調剤スケジュール管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
〔処理構成〕
図1は、第1実施形態における調剤スケジュール管理システムの処理構成を概念的に示すブロック図である。
図1において、調剤スケジュール管理システム1は、調剤スケジュール管理装置10とサーバ20とを備えている。調剤スケジュール管理装置10は、所謂クライアント側の端末であり、例えば、タブレット端末といった携帯型端末または据え置き型の汎用端末等である。また、サーバ20は、例えば、据え置き型の汎用端末等である。調剤スケジュール管理装置10は、指示取得部110と、指示振分部120と、スケジュール生成部130と、を有する。サーバ20は、指示記憶部210と指示送信部220とを有する。
【0015】
指示記憶部210は処方指示情報を記憶している。処方指示情報は医師から出される処方指示に関する情報である。処方指示情報は、例えば、処方指示を登録する他の機能等を用いて、医師が操作する他の端末において医師が診療内容に基づく処方指示を入力することにより生成され、指示記憶部210に記憶される。また、処方指示情報は、処方指示の登録日時と、薬剤の投与日時とを少なくとも含んでいる。処方指示の登録日時は、処方指示情報の生成に応じて取得され、当該処方指示情報に設定される。薬剤の投与日時は、医師の指示内容に応じて1以上の日時が設定され得る。例えば、薬剤の投与日時は、「○○日の朝」や「○○日から××日間、朝、昼、夕」等のように設定される。また、指示送信部220は、調剤スケジュール管理装置10からの要求に応じて、指示記憶部210に記憶される処方指示情報を調剤スケジュール管理装置10へ送信する。
【0016】
指示取得部110は指示記憶部210から処方指示情報を取得する。指示取得部110は、例えば、調剤スケジュール管理装置10の入力装置等を介して調剤スケジュールの生成要求を取得し、当該生成要求に応じて処方指示情報の送信要求をサーバ20に送信して、指示記憶部210から処方指示情報を取得する。また、これに限らず、指示取得部110は、所定のタイミングや所定の間隔等に応じてサーバ20に要求を送信し、指示記憶部210から処方指示情報を取得してもよい。
【0017】
指示振分部120は、処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分に基づいて、指示取得部110で取得された処方指示情報を複数の区分の中で対応する区分に振り分ける。複数の区分は、例えば、調剤業務の緊急度に応じて定められている。一般的に、処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分が小さいほど、調剤業務の緊急度が高いと判断できる。指示振分部120は、例えば、処方指示の登録日時および薬剤の投与日時の差分と、緊急度に応じて区分毎に予め設定された閾値とを比較することにより、処方指示情報が属する区分を判別して振り分けることができる。
【0018】
また、薬剤の投与日時からの時間に基づいて複数の区分が定められている場合、指示振分部120は、薬剤の投与日時によって決まる複数の区分と、処方指示の登録日時との対応関係から、処方指示情報を各区分に振り分けることもできる。具体的には、例えば、指示振分部120は、
図2に示すような情報を基に、薬剤の投与日時によって決まる複数の区分を特定できる。
図2は、薬剤の投与日時と複数の区分との対応関係を定義する情報の一例を示す図である。
図2に示される情報は、例えば図示しない記憶部に格納されており、指示振分部120はその記憶部を参照して処方指示情報を対応する区分に振り分ける。
【0019】
図2(a)では、所定の対象期間(例えば、来週1週間等)に投与される薬剤の処方箋を所定日に一括で発行して調剤するといった、定期的な調剤スケジュールに基づいて区分を振り分ける情報が定義されている。
図2(a)の例では、例えば、12月9日の発行予定日に、12月9日までに発行され、12月10日から12月16日までの範囲の薬剤の投与日時を含む処方指示情報に基づく処方箋が一括で発行される。そして、薬剤部に所属する薬剤師は、発行された処方箋に従って調剤業務を行うことになる。
【0020】
指示振分部120は、
図2(a)に示されるような情報を用いて、処方指示情報を対応する区分に振り分けることができる。
図2(a)に示される情報によれば、処方指示情報の薬剤の投与日時がある対象期間の範囲に含まれており、当該対象期間に対応する発行予定日より処方指示情報の登録日時が前である場合、指示振分部120は、その処方指示情報を「定期区分」に振り分けることができる。例えば、薬剤の投与日時が「12月13日」である処方指示情報が「12月8日」に登録された場合を考える。この場合、処方指示の登録日時「12月8日」は、薬剤の投与日時「12月13日」に対応する発行予定日「12月9日」より前である。そのため、指示振分部120は処方指示情報を「定期区分」に振り分ける。
【0021】
図2(b)では、
図2(a)で示される発行予定日以降に、対象期間の処方指示が登録された場合に用いられる情報が定義されている。指示振分部120は、
図2(a)で示される発行予定日以降に対象期間の処方指示が登録された場合、
図2(b)に示されるような情報を用いて、処方指示情報を対応する区分に振り分ける。
図2(b)では、1日が複数の時間帯に分けられており、それぞれの時間帯毎に「緊急区分」および「臨時区分」が設定されている。これにより、指示振分部120は、薬剤の投与時間帯に応じて、処方指示情報をより詳細な単位の区分(緊急度)に振り分けることができる。
【0022】
具体的な例として、例えば、薬剤の投与日時が「12月13日の朝」である処方指示情報が「12月12日の15:00」に登録された場合を考える。この場合、処方指示情報の登録日時「12月12日」は、薬剤の投与日時「12月13日」に対応する発行予定日「12月9日」を過ぎている。そのため、指示振分部120は、
図2(b)の情報を用いて当該処方指示情報の区分を振り分ける。詳細には、処方指示情報の登録日時は「投与日の前日(12月12日)の17:00」より前である。そのため、指示振分部120は、処方指示情報を「臨時区分」に振り分ける。また、他の例として、薬剤の投与日時が「12月13日の朝」である処方指示情報が「12月12日の18:00」に登録された場合を考える。この場合は、処方指示情報の登録日時は「投与日の前日(12月12日)の17:00」より後である。そのため、指示振分部120は、処方指示情報を「緊急区分」に振り分ける。
【0023】
なお、
図2における「緊急区分」は、投与日時を基準として当該投与日時から最も近い区分(第1区分)と呼ぶこともできる。また、
図2における「定期区分」は、投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた区分(第2区分)と呼ぶこともできる。また、
図2における「臨時区分」は、第1区分と第2区分との間の区分(第3区分)と呼ぶこともできる。
【0024】
また、
図2において、複数の区分が「第1区分(緊急区分)」、「第2区分(定期区分)」、および「第3区分(臨時区分)」の3つの区分を含む例を示したが、複数の区分の定義はこの例に限定されない。例えば、複数の区分は「第1区分(緊急区分)」と「第2区分(定期区分)」の2つのみを含んでいてもよい。また、例えば、複数の区分は、更に細かく分けられて4つ以上の区分を含んでいてもよい。具体的には、複数の区分は「第1区分」と「第2区分」の間に複数の「第3区分」を有していてもよい。
【0025】
また、薬剤の成分または種別によっては、使用期間が限定される場合もあり得る。例えば、衛生面等の理由により長期保存を避けた方が好ましい種別の薬剤や、効能が保持される時間等の理由により調剤した後に所定時間以内に投与することが好ましい成分を含む薬剤も存在し得る。そのため、複数の区分は、さらに、薬剤の成分または種別に基づいて定められていてもよい。ここで、「薬剤の成分」とは、各薬剤を構成する成分をいう。また、「薬剤の種別」とは、例えば、内用薬、外用薬、および注射薬といった投与経路別の分類や、抗がん剤、治験薬、および麻薬等のような分類をいう。複数の区分は、薬物の成分や種別に紐付けられて図示しない記憶部に記憶されており、指示振分部120は、処方指示情報に含まれる薬剤の成分や種別を基に当該記憶部を参照し、対応する複数の区分を特定する。このようにすることで、指示振分部120は、薬剤の成分や種別ごとの緊急度に合わせて、処方指示情報をより詳細な単位の区分に振り分けることができる。
【0026】
例として、処方指示情報に含まれる薬剤の種別が「注射薬」である場合を考える。注射薬は長期間保存できないこともあり、例えば、1日単位で調剤され得る。この場合、「注射薬」に対応する複数の区分は、例えば
図3に示されるような1日単位の情報として、記憶部に記憶される。
図3は、薬剤の成分または種別に応じて設定される複数の区分の一例を示す図である。指示振分部120は、処方指示情報に含まれる薬剤の種別が「注射薬」である場合、
図3に示されるような情報を用いて、区分を振り分ける。具体的には、指示振分部120は、指示情報の登録日時が「投与前日の14:00」より前であれば、処方指示情報を「定期区分」に振り分ける。また、指示振分部120は、指示情報の登録日時が「投与前日の14:00」以降で「投与前日の22:00」より前であれば、処方指示情報を「臨時区分」に振り分ける。また、指示振分部120は、指示情報の登録日時が「投与前日の22:00」以降であれば、処方指示情報を「緊急区分」に振り分ける。
【0027】
また、処方指示情報には、薬剤の投与日時が複数含まれ得る。例えば、医師が「薬剤Aを明日から2週間投与」というような処方指示を出した場合、14日分の投与日時が処方指示情報に含まれることになる。この場合、指示振分部120は、複数の投与日時のそれぞれに対して、処方指示情報を区分に振り分ける処理を行う。詳細には、指示振分部120は、処方指示の登録日時と、薬剤の各投与日時との差分に基づいて、投与日時ごとに処方指示情報を対応する区分に振り分ける。
【0028】
具体的な例として、薬剤の投与日時が「12月11日から12月24日までの合計14日間(朝、夕2回)」である処方指示情報が、「12月10日の19:00」に登録された場合を考える。この場合、
図2(a)の情報によれば、薬剤の投与日時が「12月17日」以降である部分に関しては、処方指示の登録日時が発行予定日より前になる。そのため、指示振分部120は、薬剤の投与日時が「12月17日の朝」から「12月24日の夕」の部分を「定期区分」に振り分ける。また、薬剤の投与日時が「12月17日」より前の部分に関しては、処方指示の登録日時が発行予定日を過ぎている。そのため、指示振分部120は
図2(b)の情報を用いて区分を振り分ける。詳細には、指示振分部120は、薬剤の投与日時が「朝」の時間帯に含まれる場合は、処方指示情報の登録日時が「投与前日の17:00」より前か否かを判定する。また、指示振分部120は、薬剤の投与日時が「夕」の時間帯に含まれる場合は、処方指示情報の登録日時が「投与当日の15:00」より前か否かを判定する。薬剤の投与日時が「12月11日の夕」から「12月16日の夕」である部分に関しては、処方指示の登録日時が「投与前日の17:00」あるいは「投与当日の15:00」より前となる。そのため、指示振分部120は、薬剤の投与日時が「12月11日の夕」から「12月16日の夕」の部分を「臨時区分」に振り分ける。また、薬剤の投与日時が「12月11日の朝」の部分に関しては、処方指示の登録日時が「投与前日の17:00」より後となる。そのため、指示振分部120は、薬剤の投与日時が「12月11日の朝」の部分を「緊急区分」に振り分ける。
【0029】
このように、処方指示情報に薬剤の投与日時が複数含まれる場合、1つの処方指示情報が複数の区分に対応することも有り得る。なお、指示振分部120は、「緊急区分」が発生した場合に、
図2の情報によらず、緊急時でも調剤可能な量の作業(例えば、2日間分等)を「緊急区分」に自動的に振り分けるようにしてもよい。このようにすれば、緊急対応できる範囲の調剤業務をまとめることができ、作業の効率化が図れる。なお、この範囲は各医療機関の体系等に応じて適宜設定され得る。
【0030】
スケジュール生成部130は、指示振分部120で振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて、調剤スケジュールデータを生成する。調剤スケジュールデータは、施用毎の調剤業務を示すデータである。詳細には、スケジュール生成部130は、基となる処方指示情報の区分を施用毎の調剤業務の区分に設定し、調剤スケジュールデータを生成する。ここで、「施用」とは薬剤の投与単位をいう。例えば、「薬剤Aを12月10日〜12月11日、朝、夕の2回」という処方指示情報には、「12月10日の朝」、「12月10日の夕」、「12月11日の朝」、「12月11日の夕」の4つの施用が含まれる。ここで、この処方指示情報の区分が「緊急区分」であれば、緊急区分の調剤業務が4つ存在することを示す調剤スケジュールデータがスケジュール生成部130により生成される。
【0031】
また、スケジュール生成部130は、生成された調剤スケジュールデータを図示しない記憶部(例えば、サーバ20に備えられた調剤スケジュールデータを保持するデータベース等)に保持する。保持された調剤スケジュールデータは、図示しない出力部によって、例えばディスプレイ等の出力装置に出力される。
【0032】
図4は、調剤スケジュールデータをリスト表示する画面の一例を示している。
図4の例において、指示振分部120により振り分けられた区分が「処方区分」の項目に反映される。薬剤師は「処方区分」の項目に基づいて各処方指示に基づく調剤業務の緊急度を判断することができる。また、
図4の例において、区分別の処方指示情報の件数が「総件数」の項目に反映される。薬剤師は「総件数」の項目に基づいて各処方指示に基づく調剤業務の作業量を判断することができる。また、処方指示情報に基づく処方箋が発行されたか否か(「出力済」または「未発行」等)を他の処理部等で管理しておき、
図4の例に示すように、その結果を表示することにより、調剤業務の進捗状況を容易に把握することができる。なお、
図4では、調剤スケジュールデータを病棟別および薬剤を投与する時間帯別に分けて表示する例が示されているが、画面の表示内容は
図4に示す例に限定されない。例えば、調剤スケジュールデータは、指示を出した医師が所属する診療科など、他の項目に基づいてさらに分けられていてもよい。また、例えば、調剤スケジュールデータは、単に指示振分部120で振り分けられた区分のみ基づいて分けられていてもよい。
【0033】
なお、
図1に示した調剤スケジュール管理装置10およびサーバ20の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。調剤スケジュール管理装置10およびサーバ20の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0034】
〔動作例〕
図5を用いて、本実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理の流れを説明する。
図5は、第1実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0035】
調剤スケジュール管理装置10は、例えば、入力装置を介して入力された調剤スケジュールデータの生成要求等をトリガとして、処方指示情報の送信要求をサーバ20へ送信する(S102)。処方指示の送信要求を受信したサーバ20は、指示記憶部210から処方指示情報を読み出し(S104)、調剤スケジュール管理装置10に向けて送信する(S106)。
【0036】
調剤スケジュール管理装置10は、S106で送信された処方指示情報に含まれる、処方指示の登録日時および薬剤の投与日時に基づいて、処方指示情報に対応する区分に振り分ける(S108)。調剤スケジュール管理装置10は、例えば、処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分と、区分毎に設定された閾値とを比較することにより、処方指示情報の区分を特定して振り分ける。また、複数の区分が薬剤の投与日時からの時間に基づいて定められている場合、調剤スケジュール管理装置10は、薬剤の投与日時に応じて決まる複数の区分と、処方指示の登録日時との対応関係に基づいて、処方指示情報の区分を特定して振り分けることもできる。調剤スケジュール管理装置10は、S106で送信されたすべての処方指示情報を対応する区分に振り分ける。
【0037】
調剤スケジュール管理装置10は、振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて、調剤スケジュールデータを生成し(S110)、図示しない記憶部に保持する。調剤スケジュール管理装置10は、例えば、区分別の処方指示情報を施用毎の調剤業務に分解し、施用毎の調剤業務を示す調剤スケジュールデータを生成する。ここで、調剤スケジュール管理装置10は、基となる処方指示情報の区分を施用毎の調剤業務の区分として設定する。また、保持された調剤スケジュールデータは、例えばディスプレイ等の出力装置を介して出力される。
【0038】
〔第1実施形態の作用と効果〕
以上、本実施形態では、処方指示情報に含まれる、処方指示の登録日時と薬剤の投与日時とに基づいて、調剤業務の緊急度別に分けられた複数の区分の中で対応する区分に処方指示情報が自動的に振り分けられる。そして、振り分けられた区分(緊急度)別の処方指示情報に応じて施用毎の調剤業務を示す調剤スケジュールデータが生成される。区分(緊急度)別の処方指示情報を基に生成された調剤スケジュールデータは、処方指示によって発生する調剤業務を区分(緊急度)別に示す。よって、薬剤師は、調剤スケジュールデータを確認することにより、緊急性を有する調剤業務を容易に判断することができる。
【0039】
また、本実施形態では、各処方指示の緊急度を示す情報(区分)が自動的に付与される。これにより、本実施形態によれば、医師が電子カルテシステム上で処方指示情報を入力する際に、自身の作業と直接関係のない薬剤部の調剤業務を考慮して、処方指示情報の緊急性を示す情報を別途入力する必要がない。よって、医師は必要な分量の薬剤を指定するだけでよく、電子カルテシステムの利便性を向上させることができる。
【0040】
[第2実施形態]
本実施形態は、以下の点を除いて、第1実施形態と同様である。
【0041】
〔処理構成〕
図6は、第2実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理構成を概念的に示すブロック図である。
図6において、調剤スケジュール管理装置10は、仮データ記憶部140と、出力部160と、処方箋発行部170と、を更に有する。
【0042】
仮データ記憶部140は、本登録用の調剤スケジュールデータを記憶する記憶領域とは異なる記憶領域である。例えば、仮データ記憶部140は、メモリ等の一時的な記憶領域である。なお、「本登録用のデータ」とは、例えば、データベース等の記憶領域に非一時的に記憶されるデータである。本実施形態のスケジュール生成部130は、調剤スケジュールデータをシミュレーションし、仮データ記憶部140に一時的に記憶する。なお、本実施形態における「シミュレーション」とは、例えばメモリといった一時記憶領域等において、本登録用のデータを一時的に再現することをいう。一時記憶領域上で再現されるデータは「仮データ」と呼ぶこともできる。
【0043】
出力部160は、仮データ記憶部140に記憶される調剤スケジュールデータを出力する。出力部160は、例えば
図4に示すような画面を、ディスプレイ等の出力装置に出力する。
【0044】
処方箋発行部170は、調剤スケジュールデータにより示される各調剤業務に対応する処方箋の発行指示を、調剤スケジュール管理装置10の入力装置等を介して受け付け、処方箋を発行する。また、処方箋発行部170は、処方箋を発行した部分に対応する調剤スケジュールデータを本登録用のデータとして非一時的な記憶領域に記憶する。本実施形態では、サーバ20に備えられた非一時的な記憶領域である本登録データ記憶部230に、処方箋を発行した部分に対応する調剤スケジュールデータが記憶される。
【0045】
〔動作例〕
図7を用いて、本実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理の流れを説明する。
図7は、第2実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる工程(S202〜210)について説明する。
【0046】
調剤スケジュール管理装置10は、S106で区分別に振り分けられた処方指示情報を基に、調剤スケジュールデータをシミュレートし(S110)、仮データ記憶部140に一時的に記憶する(S202)。調剤スケジュール管理装置10は、S202で一時的に記憶された調剤スケジュールデータを基に、例えば
図4で示されるような画面を表示する(S204)。
【0047】
そして、調剤スケジュール管理装置10は、調剤スケジュールデータに含まれる各調剤業務に対する処方箋の発行指示に基づいて処方箋を発行する(S206)。例えば、調剤スケジュール管理装置10は、S204で表示される画面を介して、画面上で選択された調剤業務に対する発行指示を受け付ける。そして、調剤スケジュール管理装置10は受け付けた処方箋の発行指示に応じて、仮データの本登録指示をサーバ20へ送信する(S208)。本登録指示には、発行された処方箋に対応する調剤スケジュールデータが含まれる。サーバ20は、S208で受信した調剤スケジュールデータを本登録用のデータとして、非一時的な記憶領域に記憶(本登録)する(S208)。なお、仮データ記憶部140に一時的に記憶されている仮データは、例えばS204で表示された画面を閉じるタイミング等に応じて削除される。
【0048】
〔第2実施形態の作用と効果〕
以上、本実施形態では、調剤スケジュールデータが、例えばメモリ等の一時記憶領域において仮データとして生成される。仮データとして生成された調剤スケジュールデータは、仮データを本登録する指示等を受けるまでは、データベース等の非一時的な記憶領域に記憶されない。そのため、例えば、医師が処方指示を病状の変化等に合わせて処方指示情報の内容を修正しても、仮データを本登録する指示を受ける前であれば、処方指示情報の修正内容と本登録用の調剤スケジュールデータとの整合性を保つ処理を実行する必要がない。これにより、本実施形態によれば、処方指示情報の修正による影響範囲を小さくすることができる。
【0049】
[第3実施形態]
本実施形態は、薬剤の成分または種別によって処方指示情報を更に分類する分類部を有する点を除いて、第1及び第2実施形態と同様である。なお、本実施形態では、第2実施形態の構成をベースに説明する。
【0050】
〔処理構成〕
図8は、第3実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理構成を概念的に示すブロック図である。調剤スケジュール管理装置10は、区分に振り分けた後の処方指示情報を、処方指示情報に含まれる薬剤の成分または種別に基づいて分類する分類部150を更に有する。
【0051】
ここで、「薬剤の成分」とは、各薬剤を構成する成分をいう。また、「薬剤の種別」とは、例えば、抗がん剤、治験薬、および麻薬等のような薬剤の種類をいう。この場合、例えば、各薬剤の分類を示す情報が図示しない記憶部に記憶されており、分類部150は、処方指示情報に含まれる薬剤を基に記憶部を参照し、処方指示情報の分類を特定する。
【0052】
具体的には、分類部150は、例えば、
図9に示すような情報を用いて、処方指示情報の分類を特定できる。
図9は、各薬剤の分類を特定するための情報の一例を示す図である。
図9の例によれば、処方指示情報に薬剤Aが含まれている場合、分類部150は、その処方指示情報を「麻薬」に分類する。なお、
図9の例に限らず、薬剤の成分と分類との対応関係を示す情報が記憶部に記憶されていてもよい。この場合、分類部150は、薬剤を構成する成分を基に記憶部を参照し、処方指示情報の分類を特定する。
【0053】
また、本実施形態のスケジュール生成部130は、分類部150で分類された処方指示情報に基づいて、分類別の調剤スケジュールデータを生成する。詳細には、スケジュール生成部130は、基となる処方指示情報の分類を調剤スケジュールデータの分類に設定する。例えば、処方指示情報が分類部150により「麻薬」に分類された場合、スケジュール生成部130は、その処方指示情報を基に生成される調剤スケジュールデータの分類に「麻薬」であることを示す情報を付与する。
【0054】
そして、本実施形態の出力部160は、調剤スケジュールデータに含まれる薬剤の分類を識別可能に出力装置に出力する。例えば、出力部160は、調剤スケジュールデータを設定された分類別に分けて画面に表示する。
【0055】
〔動作例〕
図10を用いて、本実施形態における調剤スケジュール管理システムの処理の流れを説明する。
図10は、第3実施形態における調剤スケジュール管理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる工程(S302〜S304)について説明する。
【0056】
調剤スケジュール管理装置10は、各区分に振り分けられた処方指示情報を、薬剤の成分または種別に基づいて更に分類する(S302)。調剤スケジュール管理装置10は、例えば、処方指示情報に含まれる薬剤と、図示しない記憶部に記憶されている各薬剤の分類を示す情報とに基づいて特定される分類に、処方指示情報を分類する。調剤スケジュール管理装置10は、S302で分類された各処方指示情報に基づいて、各処方指示情報の分類を調剤スケジュールデータの分類に設定し、分類別の調剤スケジュールデータを生成する(S304)。
【0057】
〔第3実施形態の作用と効果〕
以上、本実施形態では、薬剤の成分または種別に基づいて更に分類された処方指示情報に基づいて、調剤スケジュールデータが生成される。生成された分類別の調剤スケジュールデータは出力部を介して表示装置等に出力される。ここで、薬剤の成分または種別によって、調剤業務を行う調剤室が決められていることもある。これにより、本実施形態によれば、処方指示情報に含まれる薬剤を調剤する調剤室毎に分類された、より詳細な調剤スケジュールデータを出力することができる。
【0058】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、指示振分部120等の調剤スケジュール管理装置10の処理部の一部が、サーバ20に備えられていてもよい。
【0059】
また、上述の説明で用いた複数のシーケンス図では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0060】
以下、参考形態の例を付記する。
1.処方指示の登録日時および薬剤の投与日時を含む処方指示情報を記憶する記憶手段から、前記処方指示情報を取得する指示取得手段と、
処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分に基づいて、前記取得された処方指示情報を複数の区分の中で対応する区分に振り分ける指示振分手段と、
前記振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて調剤スケジュールデータを生成するスケジュール生成手段と、
を有する、調剤スケジュール管理装置。
2.前記複数の区分は前記薬剤の投与日時からの時間に基づいて定められており、
前記処方指示振分手段は、前記登録日時に対応する前記区分に前記処方指示情報を振り分ける、
1.に記載の調剤スケジュール管理装置。
3.前記複数の区分は、さらに、薬剤の成分または種別に基づいて定められている、
2.に記載の調剤スケジュール管理装置。
4.前記複数の区分は、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時に最も近い第1区分と、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた第2区分と、前記第1区分と前記第2区分との間の少なくとも1つの第3区分と、を含む、
2.または3.に記載の調剤スケジュール管理装置。
5.1日が複数の時間帯に分けられており、前記第1区分および前記第3区分は前記複数の時間帯のそれぞれに対して設定されている、
4.に記載の調剤スケジュール管理装置。
6.前記処方指示情報は、前記薬剤の投与日時を複数有しており、
前記処方指示振分手段は、
前記複数の投与日時のそれぞれに対して、前記取得された処方指示情報を前記区分に振り分ける処理を行う、
1.から5.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理装置。
7.前記スケジュール生成手段は、前記調剤スケジュールデータを、本登録用のデータを記憶する領域とは異なる記憶領域で仮データとして生成する、
1.から6.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理装置。
8.前記区分に振り分けた後の処方指示情報を、該処方指示情報に含まれる薬剤の成分または種別に基づいて分類する分類手段を更に有し、
前記スケジュール生成手段は、
前記分類された処方指示情報に基づいて分類別の調剤スケジュールデータを生成する、
1.から7.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理装置。
9.端末とサーバとを備え、
前記サーバは、
処方指示の登録日時および薬剤の投与日時を含む処方指示情報を記憶する指示記憶手段と、
前記端末からの要求に応じて、前記指示記憶手段に記憶されている処方指示情報を前記端末へ送信する指示送信手段と、
を有し、
前記端末は、
処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分に基づいて、前記サーバから送信された処方指示情報を複数の区分の中で対応する区分に振り分ける指示振分手段と、
前記振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて調剤スケジュールデータを生成するスケジュール生成手段と、
を有する調剤スケジュール管理システム。
10.前記複数の区分は前記薬剤の投与日時からの時間に基づいて定められており、
前記処方指示振分手段は、前記登録日時に対応する前記区分に前記処方指示情報を振り分ける、
9.に記載の調剤スケジュール管理システム。
11.前記複数の区分は、さらに、薬剤の成分または種別に基づいて定められている、
10.に記載の調剤スケジュール管理システム。
12.前記複数の区分は、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時に最も近い第1区分と、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた第2区分と、前記第1区分と前記第2区分との間の少なくとも1つの第3区分と、を含む、
10.または11.に記載の調剤スケジュール管理システム。
13.1日が複数の時間帯に分けられており、前記第1区分および前記第3区分は前記複数の時間帯のそれぞれに対して設定されている、
12.に記載の調剤スケジュール管理システム。
14.前記処方指示情報は、前記薬剤の投与日時を複数有しており、
前記処方指示振分手段は、
前記複数の投与日時のそれぞれに対して、前記取得された処方指示情報を前記区分に振り分ける処理を行う、
9.から13.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理システム。
15.前記スケジュール生成手段は、
前記調剤スケジュールデータを、前記端末上の記憶領域で仮データとして生成する、
9.から14のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理システム。
16.前記端末は、
前記区分に振り分けた後の処方指示情報を、該処方指示情報に含まれる薬剤の成分または種別に基づいて分類する分類手段を更に有し、
前記スケジュール生成手段は、
前記分類された処方指示情報に基づいて分類別の調剤スケジュールデータを生成する、
9.から15.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理システム。
17.コンピュータが、
処方指示の登録日時および薬剤の投与日時を含む処方指示情報を記憶する記憶手段から、前記処方指示情報を取得し、
処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分に基づいて、前記取得された処方指示情報を複数の区分の中で対応する区分に振り分け、
前記振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて調剤スケジュールデータを生成する、
ことを含む調剤スケジュール管理方法。
18.前記複数の区分は前記薬剤の投与日時からの時間に基づいて定められており、
前記コンピュータが、前記登録日時に対応する前記区分に前記処方指示情報を振り分ける、
ことを含む17.に記載の調剤スケジュール管理方法。
19.前記複数の区分は、さらに、薬剤の成分または種別に基づいて定められている、
18.に記載の調剤スケジュール管理方法。
20.前記複数の区分は、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時に最も近い第1区分と、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた第2区分と、前記第1区分と前記第2区分との間の少なくとも1つの第3区分と、を含む、
18.または19.に記載の調剤スケジュール管理方法。
21.1日が複数の時間帯に分けられており、前記第1区分および前記第3区分は前記複数の時間帯のそれぞれに対して設定されている、
20.に記載の調剤スケジュール管理方法。
22.前記処方指示情報は、前記薬剤の投与日時を複数有しており、
前記コンピュータが、
前記複数の投与日時のそれぞれに対して、前記取得された処方指示情報を前記区分に振り分ける処理を行う、
ことを含む17.から21.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理方法。
23.前記コンピュータが、前記調剤スケジュールデータを、本登録用のデータを記憶する領域とは異なる記憶領域で仮データとして生成する、
ことを含む17.から22.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理方法。
24.前記コンピュータが、
前記区分に振り分けた後の処方指示情報を、該処方指示情報に含まれる薬剤の成分または種別に基づいて更に分類し、
前記分類された処方指示情報に基づいて分類別の調剤スケジュールデータを生成する、
ことを含む17.から23.のいずれか1つに記載の調剤スケジュール管理方法。
25.コンピュータを、
処方指示の登録日時および薬剤の投与日時を含む処方指示情報を記憶する記憶手段から、前記処方指示情報を取得する指示取得手段、
処方指示の登録日時と薬剤の投与日時との差分に基づいて、前記取得された処方指示情報を複数の区分の中で対応する区分に振り分ける指示振分手段、
前記振り分けられた区分別の処方指示情報に基づいて調剤スケジュールデータを生成するスケジュール生成手段、
として機能させるためのプログラム。
26.前記複数の区分は前記薬剤の投与日時からの時間に基づいて定められており、
前記コンピュータに、前記登録日時に対応する前記区分に前記処方指示情報を振り分ける処理を実行させる、
25.に記載のプログラム。
27.前記複数の区分は、さらに、薬剤の成分または種別に基づいて定められている、
26.に記載のプログラム。
28.前記複数の区分は、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時に最も近い第1区分と、薬剤の投与日時を基準として当該投与日時から最も離れた第2区分と、前記第1区分と前記第2区分との間の少なくとも1つの第3区分と、を含む、
26.または27.に記載のプログラム。
29.1日が複数の時間帯に分けられており、前記第1区分および前記第3区分は前記複数の時間帯のそれぞれに対して設定されている、
28.に記載のプログラム。
30.前記処方指示情報は、前記薬剤の投与日時を複数有しており、
前記コンピュータに、
前記複数の投与日時のそれぞれに対して、前記取得された処方指示情報を前記区分に振り分ける処理を実行させる、
25.から29.のいずれか1つに記載のプログラム。
31.前記コンピュータに、前記調剤スケジュールデータを、本登録用のデータを記憶する領域とは異なる記憶領域で仮データとして生成させる、
25.から30.のいずれか1つに記載のプログラム。
32.前記コンピュータを、
前記区分に振り分けた後の処方指示情報を、該処方指示情報に含まれる薬剤の成分または種別に基づいて分類する分類手段として更に機能させ、
前記コンピュータに、
前記分類された処方指示情報に基づいて分類別の調剤スケジュールデータを生成させる、
25.から31.のいずれか1つに記載のプログラム。