特許第6384061号(P6384061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000002
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000003
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000004
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000005
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000006
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000007
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000008
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000009
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000010
  • 特許6384061-シートリクライニング装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384061
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】シートリクライニング装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/025 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A47C1/025
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-33327(P2014-33327)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-156961(P2015-156961A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名倉 幹人
(72)【発明者】
【氏名】阿葉家 淳
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−215269(JP,A)
【文献】 特開2007−151682(JP,A)
【文献】 特開2003−310375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C1/024−1/025
B60N2/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に開口する収容部を有する第1ブラケットと、前記第1ブラケットに対して回転する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して回転するカムと、前記第1ブラケットの前記収容部に収容されて前記カムを付勢するばねと、前記カムに回転に基づいて前記第1ブラケットの径方向に移動して前記第2ブラケットに係合するポールと、前記ばねを覆うカバーとを備え、
前記カバーは、前記収容部に取り付けられ、前記カバーの外面が、前記第1ブラケットの外面と一致または前記第1ブラケットの外面よりも内方に位置しており、
前記第1ブラケットの外面には、固定部材に設けられた孔または切欠きに挿入または係合される凸部が設けられており、前記凸部は、前記カバーの外面よりも前記固定部材側に突出しており、
前記凸部が前記固定部材の前記孔または前記切欠きに挿入または係合された状態において、前記カバーの外面は前記固定部材により覆われている
シートリクライニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシートリクライニング装置において、
前記カバーは、前記収容部の内周面に圧接する当接部を有する
シートリクライニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシートリクライニング装置において、
前記ばねは、渦巻き部と、前記渦巻き部から外方に延びる延長部とを有する渦巻きばねであり、
前記収容部は、前記渦巻き部を収容する収容本体部と、前記延長部を収容する外方収容部とを有し、
前記カバーは、前記外方収容部を覆う突出部を有する
シートリクライニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシートリクライニング装置において、
前記突出部が前記外方収容部を覆うように前記カバーが位置決めされた場合に、前記ばねの渦巻き部と前記収容部の収容本体部との間で隙間が生じる部分に対応する部分に前記当接部が設けられている
シートリクライニング装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシートリクライニング装置において、
前記凸部が前記固定部材の前記孔または前記切欠きに挿入または係合された状態において、前記固定部材は、前記カバーのカバー本体部の外面を覆う
シートリクライニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートリクライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
座席のシートクッションに対してシートバックを所定角度に維持するシートリクライニング装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
シートリクライニング装置は、シートクッションに取り付けられる第1ブラケットと、第1ブラケットに対して回転するカムと、カムの回転により第1ブラケットの径方向に移動するポールと、シートバックに取り付けられて第1ブラケットに対して回転する第2ブラケットを備える。カムの回転によりポールが外方に移動して、ポールの外歯が第2ブラケットの外周壁に設けられた内歯と噛み合うことにより、第2ブラケットの回転が阻止される。これにより、第1ブラケットに対する第2ブラケットが所定角度に維持される。
【0003】
また、ポールの外歯と第2ブラケットの内歯との噛合を維持するために、カムは渦巻きばねにより所定回転方向に付勢される。渦巻きばねは、例えば、第1ブラケットに設けられた収容部に収容される。
【0004】
ところで、特許文献1の技術では、この収容部は外側に開口する。このため、粉塵等が収容部に侵入するおそれがある。この点に関し、渦巻きばねをカバーで覆う技術が知られている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−100021号公報
【特許文献2】特開2013−215269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の技術の場合、カバーが第1ブラケットの外側に取り付けられているため、第1ブラケットを固定部材(例えば、シートクッションを構成するフレーム)に取り付けにくいといった問題が生じる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブラケットの取り付け性が高いシートリクライニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するシートリクライニング装置は、外側に開口する収容部を有する第1ブラケットと、前記第1ブラケットに対して回転する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して回転するカムと、前記第1ブラケットの前記収容部に収容されて前記カムを付勢するばねと、前記カムに回転に基づいて前記第1ブラケットの径方向に移動して前記第2ブラケットに係合するポールと、前記ばねを覆うカバーとを備え、前記カバーは、前記収容部に取り付けられ、前記カバーの外面が、前記第1ブラケットの外面と一致または前記第1ブラケットの外面よりも内方に位置しており、前記第1ブラケットの外面には、固定部材に設けられた孔または切欠きに挿入または係合される凸部が設けられており、前記凸部は、前記カバーの外面よりも前記固定部材側に突出しており、前記凸部が前記固定部材の前記孔または前記切欠きに挿入または係合された状態において、前記カバーの外面は前記固定部材により覆われている
【0009】
この構成によれば、カバーの外面が、第1ブラケットの外面と一致または第1ブラケットの外面よりも内方に位置することから、第1ブラケットを固定部材に取り付ける際に、カバーが邪魔にならない。すなわち、第1ブラケットの取り付け性が高い。
また、凸部を介して固定部材に第1ブラケットを取り付ける構成では、この凸部の掛かり長さが確保されていることが好ましい。従来の構造、すなわちカバーが第1ブラケットの外面から突出するようにカバーが設けられている構造では、この掛かり長さが小さくなる。この点、上記構成のシートリクライニング装置では、カバーが第1ブラケットの外面から突出することがないため、この掛かり長さが小さくことがない。
【0010】
上記シートリクライニング装置において、前記カバーは、前記収容部の内周面に圧接する当接部を有する。この構成によれば、圧入によりカバーを取り付けることができるため、第1ブラケットへのカバーが簡単である。
【0011】
上記シートリクライニング装置において、前記ばねは、渦巻き部と、前記渦巻き部から外方に延びる延長部とを有する渦巻きばねであり、前記収容部は、前記渦巻き部を収容する収容本体部と、前記延長部を収容する外方収容部とを有し、前記カバーは、前記外方収容部を覆う突出部を有する。この構成によれば、外方収容部から粉塵が侵入することを抑制することができる。
【0012】
上記シートリクライニング装置において、前記突出部が前記外方収容部を覆うように前記カバーが位置決めされた場合に、前記ばねの渦巻き部と前記収容部の収容本体部との間で隙間が生じる部分に対応する部分に前記当接部が設けられている。
【0013】
この構成によれば、カバーの突出部が第1ブラケットの外方収容部を覆うようにカバーを位置決めすると、カバーの当接部が、ばねの渦巻き部と前記収容部の収容本体部との間で隙間が生じる部分に位置決めされる。カバーに突出部がない場合には、カバーの位置決めを目視で行わなければならず、その作業に手間がかかるが、この構成によれば、このような手間がかからないため、カバーの取り付けが容易である。
【0014】
上記シートリクライニング装置において、前記凸部が前記固定部材の前記孔または前記切欠きに挿入または係合された状態において、前記固定部材は、前記カバーのカバー本体部の外面を覆う。
【発明の効果】
【0016】
上記構成に係るシートリクライニング装置は、ブラケットの取り付け性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】シートリクライニング装置を備えるシートの側面図。
図2図1のII−II線に沿うシートリクライニング装置の断面図。
図3】シートリクライニング装置の分解斜視図。
図4】第1ブラケットについて、(a)はその平面図(内側からみた図)、(b)はその側面図。
図5】カバーが取り付けられた第1ブラケットについて、(a)はその平面図(外側からみた図)、(b)は、(a)のV−V線に沿う断面図。
図6】第2ブラケットについて、(a)はその平面図、(b)は(a)のVI−VI線に沿う断面図。
図7図2のVII−VII線に沿う断面の模式図であり、(a)はロック状態を示す模式図、(b)はロック解除状態を示す模式図、(c)はロック制限状態を示す模式図。
図8】固定部材に取り付けられたシートリクライニング装置について、その取付部分の拡大図。
図9】変形例に係るカバーの斜視図。
図10】第1ブラケットについて、変形例に係るカバーの当接部の配置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図8を参照して実施形態に係るシートリクライニング装置について説明する。
図1に示すように、シートリクライニング装置20は、例えば、車両フロア1等に設置されるシート2に適用される。例えば、適用に係るシート2は、座面を構成するシートクッション3と、背もたれを構成するシートバック4とを備え、シートバック4がシートクッション3に対して回転可能にかつ所定角度に維持可能なものである。
【0019】
シートバック4は、シートリクライニング装置20を介してシートクッション3に取り付けられる。このシートリクライニング装置20が、シートバック4をシートクッション3に対して所定角度に維持する。
【0020】
図2に示すように、シートリクライニング装置20の一方の回転体(後述の第1及び第2ブラケット21,31のうちの一方)が、シートクッション3に取り付けられているプレート3aに固定される。シートリクライニング装置20の他方の回転体(後述の第1及び第2ブラケット21,31のうちの他方)は、シートバック4に取り付けられているプレート4aに固定される。この実施形態における説明では、図2に示すように、第1ブラケット21がシートクッション3側のプレート3aに固定され、第2ブラケット31がシートバック4側のプレート4aに固定されたものとして説明する。
【0021】
また、シートリクライニング装置20の中央部にシャフト5が貫通する。このシャフト5は、シートリクライニング装置20内に設けられたカム機構を動作させる。このシャフト5の端部には、このシャフト5を回転させるための操作レバー5aが取り付けられている。
【0022】
シートリクライニング装置20がシート2に取り付けられた状態において、シャフト5の回転軸C1とシートリクライニング装置20の回転軸C2(第1ブラケット21及び第2ブラケット31の回転軸)とは一致する。
【0023】
なお、以降の説明では、シートリクライニング装置20の回転軸C2を中心軸とする円周に沿う方向を周方向といい、この回転軸C2に垂直な方向(法線方向)を径方向という。また、シートバック4が後方に倒れるのに伴って第2ブラケット31が回転する方向を後回転方向RXという。
【0024】
図3を参照して、シートリクライニング装置20の構成を説明する。
図3に示すように、シートリクライニング装置20は、第1ブラケット21と、第2ブラケット31と、第1〜第3ポール40A〜40Cと、カム50と、カム50を付勢する渦巻きばね60と、渦巻きばね60を覆うカバー70と、第1及び第2ブラケット21,31とを保持する保持部材80とを備えている。また、シートリクライニング装置20は、第1ポール40Aの余分な動きを抑制するためのボールカム90を備える。なお、上記カム機構は、カム50、渦巻きばね60、第1〜第3ポール40A〜40C、及びボールカム90により構成される。
【0025】
カム50は、第1及び第2ブラケット21,31の間に配置される(図2参照)。
カム50は、カム本体部51と、3本のポール係合部52と、渦巻きばね60の内方係合部63(図3参照)に係合する2本のばね係合部53とを有する。3本のポール係合部52は、第1〜第3ポール40A〜40Cにそれぞれ係合する。ポール係合部52は、カム50の一方の面(第1面50a)に設けられ、ばね係合部53は、カム50の他方の面(第2面50b(図2参照))に設けられている。
【0026】
カム本体部51の中央部には、シャフト5が嵌合する嵌合孔54が設けられている。このカム50はシャフト5の回転に連動する。具体的には、シャフト5に取り付けられている操作レバー5aの操作によりカム50が回転する。
【0027】
カム本体部51の周面には、各ポール40A〜40Cのカム面44A〜44Cに当接する3個のカム部(以下、それぞれを「第1カム部55」、「第2カム部56」、「第3カム部57」という。)が等角度間隔で設けられている。
【0028】
カム50は、渦巻きばね60によって第1ブラケット21に対して所定の回転方向(以下、この方向を「付勢方向RB」という。)に付勢される。すなわち、カム50には、付勢方向RBに回転する付勢力が付与されている。
【0029】
第1ポール40Aは、互いに段違いに配置された第1ブロック41Aと第2ブロック42Aとを備える。第1ブロック41Aは径方向において外方に、第2ブロック42Aは径方向において内方に配置される。
【0030】
第1ブロック41Aの径方向外方端面(第2ブラケット31の内歯37と対向する端面)は、円弧状に構成されている。この径方向外方端面には、第2ブラケット31の内歯37と噛合する外歯43Aが形成されている。
【0031】
第1ブロック41Aの径方向内方端(径方向外方端面とは逆側の端面)には、カム50の第1カム部55が当接する第1カム面44Aが形成されている。
また、第1ブロック41Aの径方向内方端には、第1カム面44Aから連続して、ボールカム90を収容するための凹曲面部45Aが設けられている。ボールカム90は、第1ポール40Aの凹曲面部45Aと、カム50の第1カム部55と、ガイド部23のガイド面24とにより構成されるボールカム収容室Sに収容される(図7(a)参照。)。
【0032】
第2ブロック42Aは、カム50の第1面50a側に配置される。すなわち、回転軸C2に沿う方向においてカム50よりも第2ブラケット31側に配置される(図2参照)。そして、第2ブロック42Aの径方向外方端面が、第2ブラケット31の外周部35または内周部36(図6参照)に対向するように、第2ブロック42Aが配置される。
【0033】
第2ブロック42Aの径方向外方端面には、第2ブラケット31の内周部36に当接して第1ポール40Aの外方への移動を制限する制限部46Aが設けられている。また、第2ブロック42Aの中央部には板厚方向に貫通するカム孔47Aが設けられている。
【0034】
第2ポール40Bは、第1ポール40Aと略同じ構造を有する。
第2ポール40Bは、第1ポール40Aと同様に、外歯43B及び第2カム面44Bを有する第1ブロック41Bとカム孔47Bを有する第2ブロック42Bとを備えるが、第2ブロック42Bの径方向外方端面には、制限部46Aに相当する構造はない。第3ポール40Cは、第2ポール40Bと同じ構造を有する。
【0035】
渦巻きばね60は、渦巻き部61と、渦巻き部61の外端である外方係合部62と、渦巻き部61の内端である内方係合部63とを有する。
具体的には、渦巻きばね60は、金属線材を渦巻き状に巻くことにより形成されるものであり、金属線材の渦巻き状の部分が渦巻き部61に対応し、金属線材の外端が外方係合部62に対応し、金属線材の内端が内方係合部63に対応する。外方係合部62は、渦巻き状の径方向に延びる延長部62bと、延長部62bに対して直角に曲がる端部62aとを有する。外方係合部62は、第1ブラケット21に係合する。内方係合部63は、カム50のばね係合部53に係合する。
【0036】
渦巻きばね60の厚さ(ばねの中心軸に沿う寸法)は、第1ブラケット21の本体部22の厚さ(回転軸C2に沿う寸法)よりも小さい。具体的には、渦巻きばね60の厚さ寸法は、第1ブラケット21の本体部22の厚さ寸法からカバー本体部71の板厚寸法を引いた寸法と等しいか、またはこの寸法よりも小さい。これにより、回転軸C2方向においてカバー70の外面70aが第1ブラケット21の外面22bと一致するかまたは内方(回転軸C2に沿う内方)に位置するように、カバー70を第1ブラケット21に取り付けることができる。
【0037】
図4を参照して、第1ブラケット21について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1ブラケット21は、円板状の本体部22と、ポール40A,40B,40Cの移動を案内する3つのガイド部23と、第1ブラケット21を固定部材に取り付けるための凸部27とを有する。
【0038】
ガイド部23は、本体部22の内面22aから突出するように設けられている。
ガイド部23は、外方に向かって延びるガイド面24と内側面23aとを有する。3つのガイド部23の内側面23aに囲まれる領域には、カム50が収容される。
【0039】
隣り合う2つのガイド部23において互いに対向する2つのガイド面24は、互いに平行であり、そして、これらガイド面24は本体部22の内面22aと協働してガイド溝26を構成する。ガイド溝26は、ポール40A,40B,40Cを径方向への移動に案内する。
【0040】
3つのガイド部23は、同一形状を有し、周方向に等角度で配置されている。すなわち、3つのガイド溝26は、周方向に等角度間隔に配置される。ガイド部23の反対側(第1ブラケット21の外面22b側)は、ガイド部23に対応して陥没する。
【0041】
凸部27は、各ガイド溝26の反対側の面(本体部22の外面22b)から突出するように設けられる。凸部27の反対側(第1ブラケット21の内面22a側)は、凸部27に対応して陥没する。凸部27の反対側に構成される陥没部の一つが、上記収容凹部28として用いられる。この収容凹部28には、渦巻きばね60の端部62aが収容される。
【0042】
第1ブラケット21を固定部材(例えば、プレート3a)に取り付ける際には、固定部材に設けられる孔または切欠きにこの凸部27が挿入または係合される。そして、この凸部27と固定部材とが溶接される。
【0043】
本体部22の中央部には、渦巻きばね60の渦巻きばね60が収容される収容部25が設けられている。
収容部25は、本体部22を貫通するように構成される。この収容部25は、渦巻きばね60の渦巻き部61を収容する収容本体部25aと、渦巻きばね60の延長部62bを収容する外方収容部25bとを有する。この外方収容部25bは、収容部25と収容凹部28とを連通する。外方収容部25bから収容凹部28にかけて、渦巻きばね60の外方係合部62(図10参照)が係合する。
【0044】
このような第1ブラケット21は、プレス加工により形成される。
例えば、金属板のプレス加工により、ガイド部23とガイド部23の反対側の陥没構造と、凸部27とその反対側の陥没構造とが、一組の金型で形成される。
【0045】
第1ブラケット21に取り付けられるカバー70は次の構成を有する。
カバー70(図3参照)は、第1ブラケット21の収容本体部25aを覆うカバー本体部71と、外方収容部25bを覆う突出部72と、カバー本体部71の周縁から設けられて収容本体部25aの内周面25cに圧接する当接部73とを有する。
【0046】
カバー本体部71は、略円形であり、中央部にはシャフト5が挿通する貫通孔71aが設けられている。
突出部72は、カバー本体部71の周縁からその径方向に突出する。当接部73は、カバー本体部71の周縁に沿うように、かつカバー本体部71の外面に対して垂直に突出するように設けられている。
【0047】
図5を参照して、カバー70の取り付け構造を説明する。
図5(a)に、カバー70が取り付けられた第1ブラケット21について、その外面22b側からみた平面図を示す。図5(b)に、図5(a)に示す第1ブラケット21のV−V線に沿う断面図を示す。
【0048】
カバー70は圧入により第1ブラケット21の収容部25に取り付けられる。すなわち、第1ブラケット21にカバー70を取り付けると、当接部73が第1ブラケット21の収容本体部25aの内周面25cに圧接する。
【0049】
図5(a)に示すように、カバー70が第1ブラケット21の収容部25に取り付けられることにより、このカバー70によって渦巻きばね60の略全部が覆われる。すなわち、渦巻きばね60の渦巻き部61がカバー本体部71により覆われ、渦巻きばね60の延長部62bがカバー70の突出部72により覆われる。
【0050】
また、図5(b)に示すように、カバー70が第1ブラケット21の収容部25に取り付けられた状態で、このカバー70の外面70aは、第1ブラケット21の外面22bと一致または第1ブラケット21の外面22bよりも内方に位置する。すなわち、カバー70が、第1ブラケット21の外面22bから突出しないように、第1ブラケット21に取り付けられる。
【0051】
図6を参照して、第2ブラケット31について説明する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2ブラケット31は、シャフト5が挿通する挿通孔32aを有する円板状の本体部32と、本体部32の外縁に沿って設けられた外周壁33とを有する。
【0052】
外周壁33の内周面33aには、全周にわたって、第1〜第3ポール40A〜40Cの外歯43A〜43Cと噛合する内歯37が設けられている。
外周壁33の外周面33bは、保持部材80に摺接する。外周壁33の外面33cは、保持部材80の突起83(図2参照)に摺接する。
【0053】
本体部32の中央部には、略円形の凹部34が設けられている。
凹部34は、所定の第1半径の周面を有する外周部35と、第1半径よりも小さい第2半径の周面を有する内周部36とを有する。すなわち、外周部35の周面を基準面としたとき、内周部36は径方向における内方に突出する。
【0054】
外周部35は、第1ポール40Aの制限部46Aが当接しないように構成されている。すなわち、外周部35は、第1ポール40Aの外方への移動を制限しないように、構成されている。
【0055】
内周部36は、第1ポール40Aが最も外側に移動するまでの途中において、第1ポール40Aの制限部46Aが当接するように構成されている。すなわち、内周部36は、第1ポール40Aの外歯43Aと第2ブラケット31の内歯37とを噛合させないように、第1ポール40Aの外方への移動を制限する。
【0056】
次に、保持部材80を説明する。
図3に示すように、保持部材80は、円環状の本体部81と、本体部81の一方の周縁から中心部に向かって延びるフランジ部82とを備える。フランジ部82には、内側(第2ブラケット31側)に向かって突出する突起83が設けられている。この突起83により、第2ブラケット31の回転軸C2方向への移動の遊び(余裕度)が調整される。
【0057】
保持部材80の本体部81は、第1ブラケット21の外周面22c及び第2ブラケット31の外周面33bを覆う。また、保持部材80の本体部81は、第1ブラケット21の外周面22cにレーザ溶接される。保持部材80のフランジ部82は、第2ブラケット31の外周壁33の外面33c(図2参照)を覆う。これにより、保持部材80は、第1ブラケット21と第2ブラケット31との間の距離を、回転軸C2方向において所定距離に維持して、両者を保持する。
【0058】
図7を参照して、シートリクライニング装置20の動作を説明する。
図7(a)〜図7(c)は、図2のVII−VII線に沿う断面の模式図であり、ガイド部23及び保持部材80についてはその図示を省略している。
【0059】
図7(a)は、各ポール40A〜40Cの外歯43Aと第2ブラケット31の内歯37とが噛合する状態(以下、「ロック状態」)を示す。
図7(b)は、各ポール40A〜40Cが径方向における内方側の位置に維持されることにより、各ポール40A〜40Cの外歯43A〜43Cと第2ブラケット31の内歯37とが噛合していない状態(以下、「ロック解除状態」)を示す。
【0060】
図7(c)は、第1ポール40Aの外方への移動が制限されることにより、各ポール40A〜40Cの外歯43A〜43Cと第2ブラケット31の内歯37とが噛合しない状態(以下、「ロック制限状態」)を示す。
【0061】
次に、シートリクライニング装置20の各状態におけるカム機構の動作について説明する。
図7(a)に示すロック状態は、シートバック4がシートクッション3に対して所定範囲内の角度に傾けられて、操作レバー5aが操作されないときの、シートリクライニング装置20の態様である。
【0062】
シートバック4がシートクッション3に対して所定範囲内の角度で傾けられるとき、すなわち第2ブラケット31の外周部35が第1ポール40Aの制限部46Aに対応する位置にあるときは、第1ポール40Aの径方向への移動が制限されない。
【0063】
そして、操作レバー5aが操作されていないとき、すなわちカム50に付勢方向RBとは反対方向の力が加えられていないときは、カム50に加えられている付勢力によりカム50は付勢方向RBに回転するため、第1〜第3カム部55〜57が各ポール40A〜40Cの第1〜第3カム面44A〜44Cを押圧する。これにより、各ポール40A〜40Cが外方に押圧されるため、各ポール40A〜40Cの外歯43Aが第2ブラケット31の内歯37に噛合する。すなわち、シートリクライニング装置20がロック状態になる。
【0064】
図7(b)に示すロック解除状態は、操作レバー5aを操作しているときのシートリクライニング装置20の態様である。
操作レバー5aの操作により、カム50が付勢方向RBとは反対方向に回転すると、各ポール40A〜40Cが径方向の内方に移動するため、各ポール40A〜40Cの外歯43A〜43Cと第2ブラケット31の内歯37とが離間する。これにより、シートリクライニング装置20がアンロック状態になる。
【0065】
図7(c)に示すロック制限状態は、シートバック4がシートクッション3に対して所定範囲以外の角度に傾けられて、操作レバー5aが操作されないときの、シートリクライニング装置20の態様である。
【0066】
シートバック4がシートクッション3に対して所定範囲以外の角度で傾けられるとき、すなわち第2ブラケット31の内周部36が第1ポール40Aの制限部46Aに対応する位置にあるときは、第1ポール40Aの制限部46Aが第2ブラケット31の内周部36に当接するため、第1ポール40Aの径方向への移動が制限される。このため、各ポール40A〜40Cの外歯43A〜43Cと第2ブラケット31の内歯37とが離間する。すなわち、シートリクライニング装置20がロック制限状態(第2ブロック31の回転が許容される状態)になる。
【0067】
図8を参照して、シートリクライニング装置20の取付構造の一例について説明する。
図8は、シートクッション3のプレート3aに取り付けられたシートリクライニング装置20について、その取付部分の断面図である。
【0068】
この取付構造では、シートリクライニング装置20の凸部27は、シートクッション3のプレート3aに設けられた貫通孔3bに挿通する。そして、第1ブラケット21の外面22bがプレート3aに接触する態様でシートリクライニング装置20がプレート3aに取り付けられる。
【0069】
このような態様でシートリクライニング装置20を取り付けることができるのは、カバー70の外面70aが、第1ブラケット21の外面22bと一致または第1ブラケット21の外面22bよりも内方に位置するように構成されているからである。
【0070】
従来構造のシートリクライニング装置20では、カバー70が第1ブラケット21の外面22bよりも外側に突出するため、プレート3aに対して凸部27が引っ掛かる部分の長さ(以下、「掛かり長さL」という。)が短くなり、その取付構造の強度が低下するおそれがあった。この点、本実施形態に係るシートリクライニング装置20では、カバー70の外面70aが、第1ブラケット21の外面22bと一致または第1ブラケット21の外面22bよりも内方に位置し、カバー70が第1ブラケット21の外面22bから突出しないため、掛かり長さLが短くならない。このため、シートリクライニング装置20の取付構造の強度が低下するおそれも小さい。
【0071】
以上に説明したように、本実施形態に係るシートリクライニング装置20は、次の効果を奏する。
(1)例えば、渦巻きばね60を構成する金属線材間に粉塵が入ったり、渦巻きばね60と収容部25との間に粉塵が詰まったりすると、渦巻きばね60の動きが制限されてシートリクライニング装置20の動作に支障が生じる。この点、上記実施形態に係るシートリクライニング装置20は、渦巻きばね60を覆うカバー70を備えるため、渦巻きばね60を収容する収容部25に粉塵が侵入することを抑制することができる。
【0072】
また、カバー70の外面70aが、第1ブラケット21の外面22bと一致または第1ブラケット21の外面22bよりも内方(回転軸C2に沿う内方)に位置する。
このため、第1ブラケット21を固定部材に取り付ける際に、カバーが邪魔にならない。すなわち、第1ブラケットの取り付け性が高い。
【0073】
また、カバー70が第1ブラケット21の外面22bから突出しないため、第1ブラケット21の外面22bをシートクッション3のプレート3a(固定部材)に接触させることができる。すなわち、第1ブラケット21の外面22bからカバー70が突出するように取り付けられる場合に比べて、第1ブラケット21とプレート3aとの間の隙間を狭くすることができる。
【0074】
(2)上記実施形態では、カバー70は、収容部25における収容本体部25aの内周面25cに圧接する当接部73を有する。この構成によれば、圧入によりカバー70を取り付けることができるため、第1ブラケット21へのカバー70が簡単である。
【0075】
(3)上記実施形態では、収容部25は、渦巻きばね60の渦巻き部61を収容する収容本体部25aと、渦巻きばね60の延長部62bを収容する外方収容部25bとを有する。カバー70は、この外方収容部25bを覆う突出部72を有する。このため、外方収容部25bから粉塵が侵入することを抑制することができる。
【0076】
(4)上記実施形態では、第1ブラケット21は、固定部材(例えば、プレート3a)に係合させるための凸部27がその外面22bに有する。
すなわち、このシートリクライニング装置20は、固定部材に係合させるための凸部27を有するものであり、カバー70の外面70aが、第1ブラケット21の外面22bと一致または第1ブラケット21の外面22bよりも内方(回転軸C2に沿う内方)に位置するものである。
【0077】
このような凸部27を介して固定部材に第1ブラケット21を取り付ける構成では、この凸部27の掛かり長さLが確保されていることが好ましい。従来の構造、すなわちカバーが第1ブラケットの外面から突出するようにカバーが設けられている構造では、この掛かり長さが小さくなる。この点、上記構成のシートリクライニング装置20では、カバー70が第1ブラケット21の外面22bから突出することがないため、この掛かり長さLが小さくことがない。
【0078】
なお、上記実施形態は以下のように変更することもできる。
・上記実施形態では、カバー70の当接部73をカバー本体部71の周縁の略全体にわたって設けているが、当接部73を周縁の一部分に設けるようにしてもよい。
【0079】
図9に、変形例に係るカバー170を示す。図10は、当接部173の配置を示す図である。
このカバー170では、突出部172が第1ブラケット21の外方収容部25bを覆うようにカバー170が位置決めされた場合に、カバー本体部71の周縁において、渦巻き部61と収容部25の収容本体部25aとの間で隙間が生じる部分(図10の矢印に示す範囲)に対応する部分に、当接部73が設けられている。
【0080】
この構成によれば、カバー170の突出部172が第1ブラケット21の外方収容部25bを覆うようにカバー170を位置決めすると、カバー170の当接部173が、渦巻き部61と収容部25の収容本体部25aとの間で隙間が生じる部分に位置決めされる。カバー170に突出部172がない場合には、カバー170の位置決めを目視で行わなければならず、その作業に手間がかかるが、この構成によれば、このような手間がかからないため、カバー70の取り付けが容易である。
【0081】
・上記実施形態では、シートバック4が後方側に倒れるときの第2ブラケット31の後回転方向RXとカム50の付勢方向RBとが一致しているが、これを異なるように構成することもできる。すなわち、シートバック4が後方側に倒れるときの第2ブラケット31の後回転方向RXとカム50の付勢方向RBとを互いに逆になるように構成してもよい。
【0082】
・上記実施形態では、第1ブラケット21内に3つのポール40A,40B,40Cを配置しているが、ポールの個数は限定されない。また、複数のポールが配置される場合、これらの動作が連動する構成であれば互いに異なる形状であってもよいし、また、同一形状であってもよい。
【0083】
・上記実施形態では、第1ブラケット21をシートクッション3側に固定し、第2ブラケット31をシートバック4側に固定したが、この固定関係を逆に構成してもよい。すなわち、第1ブラケット21をシートバック4側に固定し、第2ブラケット31をシートクッション3側に固定してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…車両フロア、2…シート、3…シートクッション、3a…プレート、3b…貫通孔、4…シートバック、4a…プレート、5…シャフト、5a…操作レバー、20…シートリクライニング装置、21…第1ブラケット、22…本体部、22a…内面、22b…外面、22c…外周面、23…ガイド部、23a…内側面、24…ガイド面、25…収容部、25a…収容本体部、25b…外方収容部、25c…内周面、26…ガイド溝、27…凸部、28…収容凹部、31…第2ブラケット、32…本体部、32a…挿通孔、33…外周壁、33a…内周面、33b…外周面、33c…外面、34…凹部、35…外周部、36…内周部、37…内歯、40A…第1ポール、41A…第1ブロック、42A…第2ブロック、43A…外歯、44A…第1カム面、45A…凹曲面部、46A…制限部、47A…カム孔、40B…第2ポール、41B…第1ブロック、42B…第2ブロック、43B…外歯、44B…第2カム面、47B…カム孔、40C…第3ポール、43C…外歯、44C…第3カム面、50…カム、50a…第1面、50b…第2面、51…本体部、52…ポール係合部、53…ばね係合部、54…嵌合孔、55…第1カム部、56…第2カム部、57…第3カム部、60…渦巻きばね、61…渦巻き部、62a…端部、62b…延長部、62…外方係合部、63…内方係合部、70…カバー、70a…外面、71…カバー本体部、71a…貫通孔、72…突出部、73…当接部、80…保持部材、81…本体部、82…フランジ部、83…突起、90…ボールカム、170…カバー、172…突出部、173…当接部、RB…付勢方向、RX…後回転方向、C1…回転軸、C2…回転軸、S…ボールカム収容部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10