(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記潤滑剤供給路のうち前記スライダ本体と前記アダプタとの境界部にゴム管が装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の直動案内装置。
前記潤滑剤供給路のうち前記スライダ本体と前記アダプタとの境界部にOリングが装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の直動案内装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本願の第1実施形態に係る直動案内装置100を
図1ないし
図5を参照しつつ説明する。
図1は、中央の破線より左側が本願の第1実施形態に係る直動案内装置1を案内レールの延在方向に見た図であり、中央の破線より右側が案内レールの延在方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0019】
本第1実施形態に係る直動案内装置100は、案内レール2と、案内レール2上を滑走可能に跨嵌したスライダ3と、スライダ3の上部に固定されたアダプタ4と、からなる。
【0020】
図1は、直動案内装置100の使用状態の一例を示しており、案内レール2はテーブル5の上に固定され、アダプタ4の上には、ステージ6が固定されている。スライダ3の両側には、案内レール2と同程度の長さを有し、案内レール2と平行にステージ6に固定されたサイドカバー7a、7bが配置されている。ステージ6とアダプタ4との間にはカバープレート8が配置されている。カバープレート8は、案内レール2と同程度の長さを有し、案内レール2と平行に配置され、両端部においてステージ6に固定されている(図示は省略)。サイドカバー7a、7bとカバープレート8は、防塵カバーとして、切粉や溶接スパッタ等の異物が案内レール2及びスライダ3に付着するのを防ぐ。サイドカバー7a、7b、及びカバープレートの材料としては、金属の板材、プラスチック、セラミックス等を用いることができる。
【0021】
直動案内装置100は、案内レール2とスライダ3との間を転動する転動体9を多数備えており、スライダ3が案内レール2の延在方向の外力を受けたときに転動体9が転動することで、スライダ3と、アダプタ4と、ステージ6とが案内レール2の延在方向に滑走する。スライダ3は、転動体9を循環させるための戻り路16a、16b、16c、16dを備えており、案内レール2とスライダ3との間を転動した転動体9は、スライダ3の端部に設けられたエンドキャップ17a、17b(
図2参照)に形成された方向転換路で反転し、戻り路16a、16b、16c、16dを通って、反対側の端部に設けられたエンドキャップ17a、17bの方向転換路で再度反転して、案内レール2とスライダ3との間に戻る。エンドキャップ4a、4bは、樹脂、金属、又はセラミックスから形成される。樹脂としては、ポリアセタール、ポリフェニレンサルフェイド、ナイロン、金属としては、SUS440、SUS316、SUS316L、セラミックスとしては、窒化ケイ素、アルミナ、部分安定化ジルコニアを用いることができる。
【0022】
直動案内装置100は、転動体9と転動体9が接触する部分との摩擦を低減し、摩耗を防ぐため、転動体9と戻り路16a、16b、16c、16dに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路32a、32b、32c、32d、32e、32f、32g、32h(32eないし32hは不図示)を有する。また、直動案内装置100は、エンドキャップ17a、17bに形成された不図示の潤滑剤供給路を有している。
【0023】
図2は、本願の第1実施形態に係る直動案内装置100の案内レール2とスライダ3を示す斜視図である。
【0024】
案内レール2は金属製で、細長い略四角柱状をしており、上下方向に貫通したレール取付け孔11が複数形成されている。レール取付け孔11は、ボルト15によって案内レール2をテーブル5等に固定するのに用いられる。案内レール2には、断面が略円弧状をして、長手方向に延びる上部転動溝12a、12b及び側部転動溝13a、13bが形成されている。側部転動溝13a、13bの底部には逃げ溝が形成されている。
【0025】
スライダ3は、スライダ本体3aと、スライダ3の前後に取り付けられたエンドキャップ17a、17bと、エンドキャップ17a、17bを介してスライダ本体3に取り付けられたサイドシール18a、18bとから構成されている。
【0026】
サイドシール18a、18bは、弾性体からなり、案内レール2と摺接して、スライダ本体3と案内レール2との間に異物が侵入するのを防ぐ。サイドシール18a、18bには、潤滑剤の注入口10a、10b(10bは不図示)がそれぞれ形成されている。注入口10a、10bは、エンドキャップ17a、17bに形成され、エンドキャップ17a、17b内の方向転換路に繋がる不図示の孔部とともに潤滑剤供給路を構成している。したがって、使用者は、注入口10a、10bから潤滑剤を注入することで、エンドキャップ17a、17bに形成された方向転換路と、該方向転換路内を通過する転動体に潤滑剤を供給することができる。
【0027】
潤滑剤としては、カルシウム石けんグリース、リチウム石けんグリース、アルミニウムコンプレックスグリース、リチウムコンプレックスグリース、ウレアグリース、ベントナイトグリース、鉱油、ジエステル油、多価エステル油、シリコーン油、フッ素油、合成炭化油などを用いることができる。
【0028】
スライダ本体3aは、略逆U字型をした金属製の部材であり、案内レール2の側面に対向する面には、上述の上部転動溝12a、12b、側部転動溝13a、13bにそれぞれ対向する転動溝が形成されており、これらの対向する溝により形成された隙間には、それぞれ複数の転動体9(
図1参照)が転動可能に介在している。
【0029】
スライダ3aの側面には、戻り路16a、16b、16c、16dまで貫通した側部貫通孔19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g、19h(19a、19b、19e、及び19fは不図示)が形成されている。側部貫通孔19aないし19hは、後述する連結路35aないし35hの一部となり、アダプタ4の表面から戻り路16a、16b、16c、16dまで繋がった潤滑剤供給路32aないし32hを構成する。また、スライダ本体3aの上部には、アダプタ4を固定するためのボルト孔20a、20b、20c、20dが形成されている。
【0030】
図3は、本願の第1実施形態に係る直動案内装置100のアダプタ4を示す図である。(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【0031】
アダプタ4は、鋳造や鍛造、ダイスを用いた引抜成形等で一体に形成され、案内レール2の延在方向に見た姿が略W型をしており、案内レール2の延在方向の寸法は、スライダ本体3aと略同じ寸法である。アダプタ4の材料としてステンレスを用いることにより、高温環境における材料の劣化を防ぐことができ、高温環境下でも使用できるようになる。
【0032】
アダプタ4は、スライダ本体3aの上側に配置される上部21と、該上部21の両側の側部からそれぞれ全長にわたって下方へ延びる側部22a、22bと、側部22a、22bの下部から全長にわたって外側へ延びる下部23a、23bと、下部23aと23bの外側部分から全長にわたって上方へ延びる立上部24a、24bとを有している。アダプタ4は、このような形状により、
図1に示すようにカバープレート8、サイドカバー7a、7bとの干渉を避けながら、ステージ6のような直動案内の対象物を載置することができる。
【0033】
上部21には、上下に貫通した固定用孔21a、21b、21c、21dが形成されている。固定用孔21aないし21dには、スライダ本体3aに形成されたボルト孔20aないし20dに螺合するボルトが通される。また、上部21のうち、案内レール2の延在方向と略垂直な側面の両端部付近には、潤滑剤供給路32a、32c、32e、32gに潤滑剤を注入するための注入口21e、21f、21g、21hが案内レール2の延在方向に形成されている。注入口21e、21f、21g、21h(21g、21っは不図示)は、後述する潤滑剤供給路32a、32c、32e、32gの一部を構成する。注入口21e、21f、21g、21hを戻り路16a、16cよりも高い位置に設けることで、潤滑剤を重力によって戻り路16a、16cへ供給することができるようになる。また、注入口21e、21f、21g、21hを高い位置に配置することで、潤滑剤供給路32a、32c、32e、32gが長くなり、潤滑剤を多く溜めることができるようになる。潤滑剤の注入は種々の方法を採用することができるが、例えば、注入口21eないし21hにグリースニップルを取り付け、グリースガンを用いて潤滑剤を注入することができる。
【0034】
側部22a、22bは、スライダ本体3aに形成された側部貫通孔19aないし19hに対向する位置に開口部25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g、25h(25cないし25hは不図示)を有している。開口部25aないし25hは、後述する潤滑剤供給路32aないし32hの一部を構成する。側部22a、22bの下部には、案内レール2の延在方向の全長にわたって切り欠かれた切欠部26a、26bが形成されている。切欠部26a、26bは、サイドカバー7a、7bと干渉するのを防ぐ。
【0035】
下部23a、23bには、
図3(b)に示すように、上下に貫通した排出孔27a、27bがそれぞれ形成されている。排出孔27a、27bは、側部板22a、22bと立上部24a、24bとの間に堆積した切粉や溶接スパッタ等の異物を除去する際に、異物を下方へ落下させるためのものである。
【0036】
立上部24a、24bの上面には、ステージ6の下面に設けられた孔部に挿入され、ステージ6のズレを防止するためのピン28(
図1参照)を圧入するピン孔29a、29b、29c、29dが形成されている。また、立上部24a、24bのうち案内レール2の延在方向に対して垂直な側面の上部には、潤滑剤供給路32b、32d、32f、32hにつながり、潤滑剤を注入するための注入口30a、30b、30c、30dが案内レール2の延在方向に形成されている。注入口30a、30b、30c、30dは、後述する潤滑剤供給路32b、32d、32f、32hの一部を構成する。注入口30a、30b、30c、30dを戻り路16b、16dよりも高い位置に設けることで、潤滑剤を重力によって戻り路16b、16dへ供給することができるようになる。また、注入口30a、30b、30c、30dを高い位置に配置することで、潤滑剤供給路32b、32d、32f、32hが長くなり、潤滑剤を多く溜めることができるようになる。
【0037】
図4は、本願の第1実施形態に係る直動案内装置100と共に用いられるカバープレート8とサイドカバー7a、7bを示す斜視図である。
【0038】
カバープレート8は、案内レール2と略同じ長さと、アダプタ4の上部21よりも広く、立上部24aと立上部24bの間に収まる幅と、を有する上板8aと、上板の両側から全長にわたって下方へ延びる側板8b、8cとから構成されている。側板8b、8cは、ステージ6とアダプタ4の下部23a、23bとの間に収まる高さを有している。
【0039】
サイドカバー7a、7bは、案内レール2と略同じ長さを有し、テーブル等に固定される下板31a、31bと、下板31a、31bの内側の端部から全長にわたって上方へ伸びる立上板31c、31dとから構成されている。立上板31c、31dは、テーブル5とアダプタ4に形成された切欠部26a、26bとの間に収まる高さを有している。
【0040】
図5は、本願の第1実施形態に係る直動案内装置100の拡大断面図である。潤滑剤供給路32c、32dの位置で案内レール2の延在方向と垂直に切断した断面を示している。
図5においては、直動案内装置100の一方の側のみを示し、他方の側を省略しているが、直動案内装置100は、
図5の一点鎖線を軸として線対称に構成されている。また、スライダ3の滑走時に前後となる両側も互いに同じ構成をしている。
【0041】
上側の戻り路16cに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路32cは、アダプタ4に形成された注入口21fと、注入口21fから下方へ延びる縦孔33cと、縦孔33cの下端と繋がり案内レール2の延在方向に延びる横孔34cと、横孔34cから斜め下方へ延び、戻り路16cに繋がる連結路35cと、から構成されている。
【0042】
連結路35cは戻り路16c側が低くなるように傾けることで、潤滑剤が流れやすくしている。連結路35cの内部には連結管36cが収容されており、連結管36cの内部には誘導部材37cが充填されている。連結管36cと誘導部材37cは、戻り路16cまで延び、先端は戻り路16cと同一円柱面上の曲面を形成している。連結管36cは、スライダ本体3aとアダプタ4との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0043】
連結管36cの材料としては、ゴム、熱可塑性エラストマなどを用いることができる。ゴムとしては、ニトリル系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴムを用いることができる。耐油性、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ性を考慮するとニトリル系ゴムが好ましい。熱可塑性エラストマとしては、ポリオレフィン系、スチレン系、塩ビ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系を用いることができる。耐油性、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ性を考慮すると、ポリウレタン系が好ましい。
【0044】
誘導部材37cとしてはフェルトを用いることができる。フェルトの材料としては、不織布、羊毛、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテル繊維、ポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などを用いることができる。これらの材料によれば、毛細管現象によって潤滑剤を誘導することができる。ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維を用いることが特に好ましい。また、溶接機械などの高温環境下で直動案内装置100を用いる場合には、誘導部材37cの材料として、メチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェレンオイサイトを用いることが好ましい。この中でも、転動体との衝突によって誘導部材が破損しないようにするため、ポリアミドが好ましい。
【0045】
下側の戻り路16dに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路32dは、アダプタ4に形成された注入口30bと、注入口30bから下方へ延びる縦孔33dと、縦孔33dの下端と繋がり、スライダ本体3aに向かって延び、側部22b中で案内レール2の延在方向へ屈曲した横孔34dと、横孔34dから斜め下方へ延び、戻り路16dに繋がる連結路35dと、から構成されている。
【0046】
連結路35dは戻り路16d側が低くなるように傾けることで、潤滑剤が流れやすくしている。連結路35dの内部には連結管36dが収容されており、連結管36dの内部には誘導部材37dが充填されている。連結管36dと誘導部材37dは、戻り路16dの内部まで延び、先端は戻り路16dと同一円柱面上の曲面を形成している。連結管36cは、スライダ本体3aとアダプタ4との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0047】
連結管36dの材料としては、ゴム、熱可塑性エラストマなどを用いることができる。ゴムとしては、ニトリル系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴムを用いることができる。耐油性、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ性を考慮するとニトリル系ゴムが好ましい。熱可塑性エラストマとしては、ポリオレフィン系、スチレン系、塩ビ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系を用いることができる。耐油性、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ性を考慮すると、ポリウレタン系が好ましい。
【0048】
誘導部材37dとしてはフェルトを用いることができる。フェルトの材料としては、不織布、羊毛、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテル繊維、ポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などを用いることができる。これらの材料によれば、毛細管現象によって潤滑剤を誘導することができる。ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維を用いることが特に好ましい。また、溶接機械などの高温環境下で直動案内装置100を用いる場合には、誘導部材37dの材料として、メチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェレンオイサイトを用いることが好ましい。この中でも、転動体との衝突によって誘導部材が破損しないようにするため、ポリアミドが好ましい。
【0049】
以上のように構成された潤滑剤供給路32c、32dによれば、注入口21f、30bから注入された潤滑剤は縦孔33c、33dと横孔34c、34dの内部に溜まり、潤滑剤の自重及び誘導部材37c、37dの誘導作用によって、誘導部材37c、37dに染み込む。誘導部材37c、37dに染み込んだ潤滑剤は、誘導部材37c、37dと転動体との接触により転動体9に塗布される。塗布された分の潤滑剤は、縦孔33c、33dと横孔34c、34dから誘導部材37c、37dに逐次補給される。
【0050】
このように、潤滑剤供給路32c、32dは、注入口21f、30bから戻り路16c、16dまで潤滑剤を誘導するだけでなく、内部に潤滑剤を溜めておくことで、使用者が潤滑剤を注入する頻度を低くすることができる。注入頻度は溜められる潤滑剤の量によって変化する。溜められる潤滑剤の量は、横孔34c、34dの案内レール2の延在方向の長さを変えることで増加又は減少させることができる。また、潤滑剤供給路32c、32dによれば、誘導部材37が転動体9に接触して潤滑剤を塗布することで、確実に潤滑剤を供給することを可能としながら、潤滑剤の注入時に潤滑剤が一度に過剰に供給されるのを防いで潤滑剤の注入頻度を更に低くすることができる。さらに、アダプタ4を取り外さずに潤滑剤を注入することができるため、注入作業の負担が小さい。加えて、注入作業においてスパッタ等の異物が潤滑剤に混入しにくいため、異物の混入による転動面のはく離といった破損を防ぐことができる。
【0051】
(第2実施形態)
本願の第2実施形態に係る直動案内装置200を
図6を参照しつつ説明する。本第2実施形態に係る直動案内装置200は、上記第1実施形態に係る直動案内装置100とは潤滑剤供給路の構成のみが異なり、その他の構成は直動案内装置100と同様であるため、重複する説明を省略し、以下、本第2実施形態に係る直動案内装置200の潤滑剤供給路について説明する。
【0052】
図6は、本第2実施形態に係る直動案内装置200の拡大断面図であり、上記第1実施形態の
図5に対応する。
図6は、直動案内装置200の一方の側のみを示し、他方の側を省略しているが、直動案内装置200は、
図6の一点鎖線を軸として線対称に構成されている。また、滑走時に前後となる両側も互いに同じ構成をしている。
【0053】
上側の戻り路216cに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路232cは、アダプタ4に形成された注入口221fと、注入口221fから下方へ延びる縦孔233cと、縦孔233cの下端と繋がり案内レール202の延在方向に延びる横孔234cと、横孔234cから斜め下方へ延び、戻り路216cに繋がる連結路235cと、から構成されている。
【0054】
連結路235cの内部には連結管236cが収容されており、連結管236cの内部には誘導部材237cが充填されている。連結管236cと誘導部材237cは、戻り路216cの手前まで延びている。連結管236cは、スライダ本体203aとアダプタ204との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0055】
連結管236cの材料と誘導部材237cの材料については、それぞれ、上述の第1実施形態に係る連結管36c、誘導部材37cと同様である。
【0056】
下側の戻り路216dに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路232dは、戻り路216cの下部から戻り路216dの上部まで貫通した縦孔によって構成されている。
【0057】
以上のように構成された本第2実施形態に係る潤滑剤供給路232c、232dによれば、注入口221fから注入された潤滑剤は縦孔233cと横孔234cの内部に溜り、潤滑剤の自重及び誘導部材237cの誘導作用によって、誘導部材237cに染み込む。誘導部材237c、237dに染み込んだ潤滑剤は、誘導部材237cの戻り路216c側の端部から染み出し、戻り路216cと戻り路216cを通過する転動体とを潤滑する。また、戻り路216cに染み出した潤滑剤は、重力によって潤滑剤供給路232dから戻り路216dへ流れ、戻り路216dと戻り路216dを通る転動体209とを潤滑する。誘導部材237cから染み出した分の潤滑剤は、縦孔233cと横孔234cから誘導部材237cに逐次補給される。
【0058】
本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第2実施形態によれば、潤滑剤の注入箇所が上記第1実施形態よりも少ないため、潤滑剤の注入作業の負担を軽減することができる。
【0059】
(第3実施形態)
本願の第3実施形態に係る直動案内装置300を
図7を参照しつつ説明する。本第3実施形態に係る直動案内装置300は、上記第1実施形態に係る直動案内装置100とは潤滑剤供給路の構成のみが異なり、その他の構成は直動案内装置100と同様であるため、重複する説明を省略し、以下、本第3実施形態に係る直動案内装置300の潤滑剤供給路について説明する。
【0060】
図7は、本第3実施形態に係る直動案内装置300の拡大断面図であり、上記第1実施形態の
図5に対応する。
図7は、直動案内装置300の一方の側のみを示し、他方の側を省略しているが、直動案内装置300は、
図7の一点鎖線を軸として線対称に構成されている。また、滑走時に前後となる両側も互いに同じ構成をしている。
【0061】
上側の戻り路316cに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路332cは、アダプタ4の上部321の側面中央に形成された注入口321eと、該注入口から案内レール302の延在方向と垂直な方向に延びる横孔334cと、該横孔334cの端部から下方へ延びる連結路335cと、から構成されている。横孔334cは、図示を省略した
図7に向かって左側の部分に形成された不図示の横孔334aと繋がっており、注入口321eも横孔334aと横孔334cとで共通の注入口としている。
【0062】
連結路335cのうちアダプタ304とスライダ本体303aとの境界部には、Oリング338cが装着されている。Oリング338cは、スライダ本体303aとアダプタ304との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0063】
潤滑剤供給路332cには、全長にわたって誘導部材337cが充填されている。
【0064】
Oリング338cの材料と誘導部材337cの材料については、それぞれ、上述の第1実施形態に係る連結管36c、誘導部材37cと同様である。
【0065】
下側の戻り路316dに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路332dは、アダプタ304に形成された注入口330bと、注入口330bから下方へ延びる縦孔333dと、縦孔333dの下端と繋がり、スライダ本体3aに向かって延び、途中で案内レール2の延在方向へ屈曲した横孔334dと、横孔334dから斜め下方へ延び、戻り路316dに繋がる連結路335dと、から構成されている。
【0066】
連結路335dのうちアダプタ304とスライダ本体303aとの境界部には、Oリング338dが装着されている。Oリング338dは、スライダ本体303aとアダプタ304との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0067】
潤滑剤供給路333dには、全長にわたって誘導部材337dが充填されている。
【0068】
Oリング338dの材料と誘導部材337dの材料については、それぞれ、上述の第1実施形態に係る連結管36c、誘導部材37cと同様である。
【0069】
上述の潤滑剤供給路332cによれば、注入口321eから注入された潤滑剤は、横孔334cと連結路335cの内部に溜り、潤滑剤の自重及び誘導部材337cの誘導作用によって、戻り路316cを通過する転動体309に塗布される。塗布された分の潤滑剤は、潤滑剤供給路332cに溜まった潤滑剤が逐次転動体309との接触箇所に補給される。また、潤滑剤供給路332dによれば、注入口330bから注入された潤滑剤は、縦孔333dと横孔334dの内部に溜り、潤滑剤の自重及び誘導部材337dの誘導作用によって、戻り路316dを通過する転動体309に塗布される。
【0070】
本第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第4実施形態)
本願の第4実施形態に係る直動案内装置400を
図8を参照しつつ説明する。本第4実施形態に係る直動案内装置400は、上記第1実施形態に係る直動案内装置100とは潤滑剤供給路の構成のみが異なり、その他の構成は直動案内装置100と同様であるため、重複する説明を省略し、以下、本第4実施形態に係る直動案内装置400の潤滑剤供給路について説明する。
【0072】
図8は、本第4実施形態に係る直動案内装置400の拡大断面図であり、上記第1実施形態の
図5に対応する。
図8は、直動案内装置400の一方の側のみを示し、他方の側を省略しているが、直動案内装置400は、
図8の一点鎖線を軸として線対称に構成されている。また、滑走時に前後となる両側も互いに同じ構成をしている。
【0073】
上側の戻り路416cに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路432cは、アダプタ404の上部421の側面中央に形成された注入口421eと、該注入口421eから案内レール402の延在方向と垂直な方向に延びる横孔434cと、該横孔434cの端部から下方へ延びる連結路435cと、から構成されている。横孔434cは、図示を省略した
図8に向かって左側の部分に形成された不図示の横孔434aと繋がっており、注入口421eも横孔434aと横孔434cとで共通の注入口としている。
【0074】
連結路435cのうちアダプタ404とスライダ本体403aとの境界部には、Oリング438cが装着されている。Oリング438cは、スライダ本体403aとアダプタ404との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0075】
Oリング438cの材料については、上述の第1実施形態に係る連結管36cと同様である。
【0076】
下側の戻り路416dに潤滑剤を供給する潤滑剤供給路432dは、アダプタ404に形成された注入口430bと、注入口430bから下方へ延びる縦孔433dと、縦孔433dの下端と繋がり、スライダ本体403aに向かって延び、途中で案内レール402の延在方向へ屈曲した横孔434dと、横孔434dから斜め下方へ延び、戻り路416dに繋がる連結路435dと、から構成されている。
【0077】
連結路435dのうちアダプタ404とスライダ本体403aとの境界部には、Oリング438dが装着されている。Oリング438dは、スライダ本体403aとアダプタ404との間から潤滑剤が流出するのを防ぐ。
【0078】
Oリング438dの材料については、上述の第1実施形態に係る連結管36cの材料と同様である。
【0079】
以上のように構成された潤滑剤供給路432c、432dによれば、適度な流動性を有する潤滑剤を注入口421e、430bから注入することにより、該潤滑剤は、潤滑剤供給路432c、432d内に溜り、戻り路416c、416dに供給され、戻り路416c、416dと戻り路416c、416d内を通過する転動体409とを潤滑する。例えば、上記第1ないし第3実施形態で用いる潤滑剤よりも流動性(ちょう度)の低いグリースを用いることができる。グリースとしては、耐熱性のあるリチウム系グリース、ジウレア系グリースを用いることが好ましい。潤滑剤供給路432c、432dは、注入口421e、430bから戻り路416c、416dまで潤滑剤を誘導するだけでなく、内部に潤滑剤を溜めておくことで、使用者が潤滑剤を注入する頻度を低くすることができる。また、アダプタ404を取り外さずに潤滑剤を注入することができるため、注入作業の負担が小さい。さらに、注入作業においてスパッタ等の異物が潤滑剤に混入しにくいため、異物の混入による転動面のはく離といった破損を防ぐことができる。
【0080】
以上、本願発明の説明のため具体的な実施形態を示したが、本願発明はこれに限られるものではなく、種々の変更・改良が可能である。
【0081】
例えば、潤滑剤供給路の経路のとり方は、直動案内装置の用途等に応じて適宜変更することができる。例えば、立上部に形成される注入口の位置は、案内レールの延在方向に垂直な面に限らず、案内レールと平行な外側の側面に形成することもできる。
【0082】
また、誘導部材の配置の有無、連結管又はOリングの装着も、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0083】
潤滑剤供給路は、上記実施形態のように転動体としてボールを用いた構成以外にも、円柱状のころを用いた直動案内装置に適用することもできる。
【0084】
本願の直動案内装置は、
図1に示したようにカバープレート及びサイドカバーと共に用いる場合に限らず、直動案内装置単体、直動案内装置とカバープレートの組み合わせ、直動案内装置とサイドカバーとの組合せ、直動案内装置とその他の要素との組合せのいずれでも用いることができる。
【0085】
以上のように、本発明によれば、潤滑剤の供給頻度の低い直動案内装置を提供することができる。