特許第6384223号(P6384223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384223
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】静電気保護回路および集積回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20180827BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20180827BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20180827BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H01L27/06 311C
   H03K17/08 C
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-188813(P2014-188813)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-63031(P2016-63031A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 雅人
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−135723(JP,A)
【文献】 特開平03−019357(JP,A)
【文献】 特開2002−141467(JP,A)
【文献】 米国特許第06633468(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記電源ラインに接続された第3のトランジスタと、
前記電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのゲートに接続された第4のトランジスタと、
を含む静電気保護回路。
【請求項2】
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合にオン状態となり前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与え、
前記第4のトランジスタは、オン状態となることにより、前記第1のトランジスタのゲートから前記電源ラインに電荷を引き抜く、
請求項1に記載の静電気保護回路。
【請求項3】
前記第4のトランジスタは、前記第1のトランジスタのゲート電圧が前記電源ラインの電圧よりも高い場合にオン状態となる
請求項1または請求項2に記載の静電気保護回路。
【請求項4】
外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記電源ラインに接続された第3のトランジスタと、
前記電源ラインと前記第1のトランジスタとの間に接続された第4のトランジスタと、
入力端子が前記電源ラインに接続され、出力端子が前記第4のトランジスタのゲートに接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に、電源端子に供給された電圧に相当する出力電圧を前記出力端子から出力するバッファ回路と、
を含む静電気保護回路。
【請求項5】
前記電源ラインと前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタとの間に接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に前記第3のトランジスタとともにオン状態となり前記第3のトランジスタを介して前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与えるトランジスタであって、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードと前記電源ラインに接続されたカソードとを含む寄生ダイオードを有する第5のトランジスタを更に含む
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の静電気保護回路。
【請求項6】
静電気保護回路と、前記静電気保護回路によって外部端子に印加される静電気から保護される被保護回路と、を含む集積回路であって、
前記静電気保護回路は、
前記外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記電源ラインに接続された第3のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのゲートに接続された第4のトランジスタと、
を含む集積回路。
【請求項7】
静電気保護回路と、前記静電気保護回路によって外部端子に印加される静電気から保護される被保護回路と、を含む集積回路であって、
前記静電気保護回路は、
前記外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記電源ラインに接続された第3のトランジスタと、
前記電源ラインと前記第1のトランジスタとの間に接続された第4のトランジスタと、
入力端子が前記電源ラインに接続され、出力端子が前記第4のトランジスタのゲートに接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に、電源端子に供給された電圧に相当する出力電圧を前記出力端子から出力するバッファ回路と、
を含む集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、静電気保護回路および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)から半導体デバイスを保護する静電気保護回路に関し、例えば以下のような技術が知られている。
【0003】
すなわち、外部接続用パッドと接地線との間に挿入され、互いに直列に接続された第1のNMOSトランジスタおよび第2のNMOSトランジスタと、第1のゲート電位制御回路および第2のゲート電位制御回路を備える静電気放電保護回路が知られている。第1のゲート電位制御回路は、第1のNMOSトランジスタのゲートに接続され、容量素子を有し、通常動作時にそのゲートの電位を電源線と同電位に設定し、静電気サージ発生時にそのゲートの電位を実質的に接地レベルとする。第2のゲート電位制御回路は、第2のNMOSトランジスタのゲートに接続され、通常動作時にそのゲートの電位を接地レベルにする。
【0004】
また、入力線と内部ノードとの間に接続された第1のMOSトランジスタと、第2の電源線と上記内部ノードの間に接続されると共にそのゲート電極が該第2の電源線に接続された第2のMOSトランジスタとを、備えた半導体装置が知られている。この半導体装置は、更に第1の電源線と第1のMOSトランジスタのゲート電極の間に設けられて第1のMOSトランジスタが常時オン状態となる制御電圧を与える回路素子を有する。
【0005】
また、第1のMOSトランジスタのソース及び第2のMOSトランジスタのドレインが互いに接続された第1、第2のMOSトランジスタを備えたスタック型MOSトランジスタ保護回路が知られている。このスタック型MOSトランジスタ保護回路は、カソードが第1のMOSトランジスタのゲートに接続され、アノードが第1のトランジスタのドレインに接続されたダイオードをクランプ回路として有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−214420号公報
【特許文献2】特開2002−141467号公報
【特許文献3】特開2001−160615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トレラント回路は、トランジスタの標準的な動作電圧を超えた入力を回路的な工夫によって許容する回路である。例えば、5Vトレラント回路は、3.3Vまでの入力電圧を許容するトランジスタを用いて構成され、入力電圧として5Vを許容し得る回路構成を有する。
【0008】
トレラント回路を保護対象とする静電気保護回路は、自身もトレラント機能を備えている必要があることから、例えば、直列接続された2つのトランジスタを含んで構成され得る。2つのトランジスタのうち、高電位側のトランジスタは、外部端子に接続される。2つのトランジスタを直列接続することで、各トランジスタの許容電圧(例えば3.3V)を超える電圧(例えば5V)が外部端子に入力される場合でも、各トランジスタの各端子に印加される電圧を各トランジスタの許容電圧以下に抑えることが可能となる。
【0009】
直列接続された2つのトランジスタを含む静電気保護回路において、外部端子に印加されるESDサージに対する放電能力の向上させる手法として、ESDサージ印加に伴って上昇する高電位側のトランジスタのゲート電圧を保持することが有効である。しかしながらこの場合、通常動作時において外部端子に連続パルス信号(AC信号)が入力される場合にも高電位側のトランジスタのゲート電圧が上昇し、許容電圧を超えてしまうおそれがある。
【0010】
開示の技術は、トランジスタを含む静電気保護回路において、外部端子に印加されるESDサージに対する放電能力の向上を図りつつ、外部端子への連続パルス信号の入力に伴う該トランジスタの端子電圧の上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の技術に係る静電気保護回路は、外部端子に接続された第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、を含む。前記静電気保護回路は、電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記電源ラインに接続された第3のトランジスタと、前記電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのゲートに接続された第4のトランジスタと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術は、静電気保護回路において、外部端子に印加されるESDサージに対する放電能力の向上を図りつつ、外部端子への連続パルス信号の入力に伴う高電位側のトランジスタのゲート電圧の上昇を抑制するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示の技術の実施形態に係る集積回路の構成を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る静電気保護回路を構成するN−MOSトランジスタの断面図である。
図3】開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路の詳細の構成を示す図である。
図4A】第1の比較例に係る静電気保護回路の構成を示す図である。
図4B】第2の比較例に係る静電気保護回路の構成を示す図である。
図5】開示の技術の第2の実施形態に係る静電気保護回路の構成を示す図である。
図6】開示の技術の実施形態に係るバッファ回路の構成の一例を示す図である。
図7】シミュレーションにより取得された、連続パルス信号入力時におけるVGATE波形を示す図である。
図8】シミュレーションにより取得された、連続パルス信号入力時におけるVGATE波形およびbuf_out波形を示す図である。
図9】シミュレーションにより取得された、ESDサージ印加時におけるVGATE波形を示す図である。
図10】シミュレーションにより取得された、ESDサージ印加時におけるVGATE波形およびbuf_out波形を示す図である。
図11】開示の技術の第3の実施形態に係る静電気保護回路の構成を示す図である。
図12】開示の技術の実施形態に係るP−MOSトランジスタの断面図である。
図13】開示の技術の第3の実施形態に係るP−MOSトランジスタおよびN−MOSトランジスタの断面図である。
図14】開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路におけるN−MOSトランジスタの断面図である。
図15】開示の技術の第4の実施形態に係る静電気保護回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の実施形態に係る集積回路60の構成を示す図である。集積回路60は、静電気保護回路10と、静電気保護回路10によってESDサージから保護される被保護回路50と、を含み、例えば、半導体チップ上に形成されている。
【0016】
被保護回路50は、集積回路60の本来的機能を発揮するべく構成されたトレラント機能を有する回路である。被保護回路50は、一例として、電源ラインVDEにソースが接続されたP−MOSトランジスタ51と、P−MOSトランジスタ51のドレインに抵抗素子55を介してドレインが接続されたN−MOSトランジスタ52を含む。被保護回路は、更にNMOSトランジスタ52のソースにドレインが接続され、自身のソースが基準電圧ラインVSSに接続されたN−MOSトランジスタ53を含む。また、被保護回路50は、P−MOSトランジスタ51のNウェル(図示せず)の電位を制御するウェル制御部56を含む。P−MOSトランジスタ51のドレインと抵抗素子55との接続点は、抵抗素子54を介して外部入力端子13に接続されている。被保護回路50は、外部入力端子13に供給される入力電圧が、P−MOSトランジスタ51、N−MOSトランジスタ52および53の許容電圧よりも大きい場合でも、これらのトランジスタの各端子間に印加される電圧が許容電圧を超えない構成となっている。なお、被保護回路50の構成は、上記したものに限定されるものではない。
【0017】
静電気保護回路10は、外部入力端子13にESDサージが印加された場合に放電経路を形成し、サージ電流Iの被保護回路50への流入を阻止する回路である。静電気保護回路10は、外部入力端子13に抵抗素子14を介してドレインが接続されたN−MOSトランジスタ11を含む。また、静電気保護回路10は、N−MOSトランジスタ11のソースにドレインが接続され、ソースが基準電圧ラインVSSに接続されたN−MOSトランジスタ12を含む。すなわち、N−MOSトランジスタ11とN−MOSトランジスタ12とは、外部入力端子13と基準電圧ラインVSSとの間で直列接続されている。
【0018】
N−MOSトランジスタ11および12のゲートは、ゲート制御部20に接続されている。ゲート制御部20は、電源ラインVDEと基準電圧ラインVSSとの間に接続され、N−MOSトランジスタ11および12のゲート電圧を制御する。なお、本実施形態に係る静電気保護回路10において、N−MOSトランジスタ12のゲートは、基準電圧ラインVSSに接続されており(図3参照)、N−MOSトランジスタ12は常時オフ状態とされている。
【0019】
図2は、静電気保護回路10を構成するN−MOSトランジスタ11および12の断面図である。N−MOSトランジスタ11は、p型のpウェル領域15の表面に形成されたn型のドレイン領域11Dおよびソース領域11Sと、ドレイン領域11Dとソース領域11Sとの間に形成されたゲート電極11Gと、を含む。同様に、N−MOSトランジスタ12は、pウェル領域15の表面に形成されたn型のドレイン領域12Dおよびソース領域12Sと、ドレイン領域12Dとソース領域12Sとの間に形成されたゲート電極12Gと、を含む。N−MOSトランジスタ11とN−MOSトランジスタ12は、ウェル領域15を共有している。N−MOSトランジスタ11のソース領域11SとN−MOSトランジスタ12のドレイン領域12Dは、共通のn型領域で形成されている。pウェル領域15の表面には、N−MOSトランジスタ12のソース領域12Sとともに基準電圧ラインVSSに接続されたp型のコンタクト領域12Cが形成されている。
【0020】
静電気保護回路10の外部入力端子13にESDサージが印加されると、ドレイン領域11D側の空欠層の内部の電界が大きくなり、ホールと電子のペアが発生する。ホールは基準電圧ラインVSSに電気的に接続されたpウェル領域15に向かい、これに伴ってpウェル領域15の電位は上昇する。これにより、N−MOSトランジスタ11のドレイン領域11Dをコレクタとし、N−MOSトランジスタ12のソース領域12Sをエミッタとし、pウェル領域15をベースとする寄生npnトランジスタ16がオンする。この現象は、スナップバックと称される。寄生npnトランジスタ16がオンすることにより、ESDサージ印加によるサージ電流Iは、外部入力端子13からN−MOSトランジスタ11および12を経由して基準電圧ラインVSSに向けて流れる。被保護回路50に設けられた抵抗素子54(図1参照)は、サージ電流Iの被保護回路50への流入を阻止し、サージ電流Iの殆どは、静電気保護回路10のN−MOSトランジスタ11および12を流れる。従って、被保護回路50は、静電気保護回路10によってESDサージから保護される。
【0021】
図3は、開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路10の詳細の構成を示す図である。なお、図3において、被保護回路50の図示は省略されている。静電気保護回路10は、ゲート制御部20として、2つのN−MOSトランジスタ21および22を含んでいる。N−MOSトランジスタ21は、ドレインおよびゲートが電源ラインVDEに接続され、ソースがN−MOSトランジスタ11のゲートに接続されている。N−MOSトランジスタ22は、ソースが電源ラインVDEに接続され、ドレインおよびゲートがN−MOSトランジスタ11のゲートに接続されている。すなわち、N−MOSトランジスタ21および22は、電源ラインVDEとN−MOSトランジスタ11のゲートとの間で、互いに逆向きとなるように並列接続されている。一方、N−MOSトランジスタ12のゲートは、基準電圧ラインVSSに接続され、N−MOSトランジスタ12は、常時オフ状態とされている。
【0022】
静電気保護回路10は、通常動作時において、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に所定の電圧(例えば3.3V)が印加される。これにより、N−MOSトランジスタ21はオン状態となり、電源ラインVDEの電圧(3.3V)がN−MOSトランジスタ11のゲートに与えられる。より厳密には、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、電源ラインVDEの電圧(3.3V)からN−MOSトランジスタ21の閾値電圧Vthを差し引いた大きさとなる。これにより、N−MOSトランジスタ11は、オン状態となる。一方、N−MOSトランジスタ12は、オフ状態を維持する。このとき、N−MOSトランジスタ11とN−MOSトランジスタ12との接続点であるノードAの電位は、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEからN−MOSトランジスタ11の閾値電圧Vthを差し引いた大きさとなる。このように、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に所定の電圧が印加されるとノードAの電位が基準電圧ラインVSSの電位よりも高い電位に固定される。これにより、N−MOSトランジスタ11および12の許容電圧を超える電圧を、外部入力端子13に入力することを許容するトレラント機能が発揮される。なお、N−MOSトランジスタ12は、常時オフ状態とされているので、外部入力端子13への入力電圧の印加に伴ってN−MOSトランジスタ11および12に過大な電流が流れることはない。
【0023】
ここで、図4Aは、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aの構成を示す図であり、図4Bは、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bの構成を示す図である。図4Aおよび図4Bにおいて、開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路10(図3参照)の構成要素と同一または対応する構成要素については、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0024】
図4Aに示すように、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aは、N−MOSトランジスタ11のゲートが電源ラインVDEに直接接続されている点が、開示の技術の実施形態に係る静電気保護回路10(図3参照)と異なる。静電気保護回路100Aは、通常動作時において、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に例えば所定の電圧(例えば3.3V)の電圧が印加される。これにより、N−MOSトランジスタ11がオン状態となる一方、N−MOSトランジスタ12はオフ状態を維持し、開示の技術の実施形態に係る静電気保護回路10と同様、トレラント機能が発揮される。
【0025】
静電気保護回路100Aにおいて、外部入力端子13にESDサージが印加されると、静電気保護回路10と同様、N−MOSトランジスタ11および12の寄生npnトランジスタがオン状態となり、N−MOSトランジスタ11および12にサージ電流が流れる(スナップバック)。ここで、ESDサージ印加時において、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEを持ち上げて、N−MOSトランジスタ11をオン状態に近づけることで、静電気保護回路の放電能力を高めることができる。しかしながら、ESD印加時においては、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間には電圧は供給されず、静電気保護回路100Aによれば、ESDサージ印加時におけるN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、ほぼ0Vである。すなわち、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aにおいては、ESDサージ印加時にN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEを持ち上げて、ESDサージに対する放電能力を向上させることは困難である。
【0026】
ESDサージに対する放電能力を向上させるための構成として、図4Bに示す第2の比較例に係る静電気保護回路100Bの構成が考えられる。静電気保護回路100Bは、N−MOSトランジスタ11のゲートと電源ラインVDEとの間にダイオード30を有する点が、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aと異なる。ダイオード30は、アノードが電源ラインVDEに接続され、カソードがN−MOSトランジスタ11のゲートに接続されている。静電気保護回路100Bにおいて、外部入力端子13にESDサージが印加されると、N−MOSトランジスタ11のドレイン−ゲート間のACカップリングにより、N−MOSトランジスタ11のドレイン電圧の上昇に追随してゲート電圧VGATEが上昇する。すなわち、外部入力端子13にESDサージが印加されると、N−MOSトランジスタ11のドレイン−ゲート間の寄生容量を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに電荷がチャージされ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の電源ラインへの移動は、ダイオード30によって阻止され、該電荷は、N−MOSトランジスタ11のゲートに留まる。これにより、ESDサージ印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲートの電圧VGATEは、そのまま維持される。このように、静電気保護回路100Bによれば、ESDサージ印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが維持されるので、ESDサージに対する放電能力は、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aよりも高くなる。
【0027】
しかしながら、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bによれば、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力される場合に新たな問題が発生する。すなわち、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力される場合には、ESDサージ印加時と同様、ドレイン−ゲート間のACカップリングにより、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。そして、上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、そのまま維持される。すなわち、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bによれば、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合に、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが許容電圧を超えた状態が維持されるおそれがある。
【0028】
一方、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aにおいては、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合には、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷は電源ラインVDEに放電される。従って、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは上昇せず、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bにおける上記の問題が発生することはない。しかしながら、第1の比較例に係る静電気保護回路100Aは、上記したように、ESDサージに対する放電能力が十分ではない。
【0029】
以下に、開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路10において、外部入力端子13にESDサージを印加した場合および連続パルス信号(AC信号)を入力した場合のそれぞれの動作について図3を参照しつつ説明する。なお、外部入力端子13へのESDサージ印加時においては、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に電圧が印加されないものとする。
【0030】
静電気保護回路10において、外部入力端子13にESDサージが印加されると、N−MOSトランジスタ11および12の寄生npnトランジスタがオン状態となり、N−MOSトランジスタ11および12にサージ電流が流れる(スナップバック)。また、外部入力端子13へのESDサージの印加によってN−MOSトランジスタ11のドレイン−ゲート間の寄生容量を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに電荷がチャージされ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22がオン状態となり、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷が電源ラインVDEに引き抜かれる。これにより、ESDサージ印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じるものの、N−MOSトランジスタ22のオン抵抗によってゲート電圧VGATEの低下は抑制され、一定レベルのゲート電圧VGATEが確保される。このように、静電気保護回路10によれば、ESDサージ印加時において、一定レベルのゲート電圧VGATEが確保されるので、ESDサージに対する放電能力を第1の比較例に係る静電気保護回路100Aよりも高めることが可能である。
【0031】
一方、通常動作時において、静電気保護回路10の外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力されると、ESDサージ印加時と同様、ドレイン−ゲート間のACカップリングにより、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22がオン状態となり、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷が電源ラインVDEに引き抜かれる。すなわち、N−MOSトランジスタ11のゲートと電源ラインVDEとの間に、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の放電経路が形成される。これにより、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じることができる。従って、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合に、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bのように、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが許容電圧を超えた状態が維持されることを防止できる。
【0032】
以上のように、開示の技術の実施形態に係る静電気保護回路10によれば、外部入力端子13に印加されるESDサージに対する放電能力の向上を図りつつ外部入力端子13への連続パルス信号の入力に伴うゲート電圧VGATEの上昇を抑制することが可能となる。
【0033】
[第2の実施形態]
図5は、開示の技術の第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aの構成を示す図である。図5において、第1の実施形態に係る静電気保護回路10(図3参照)の構成要素と同一または対応する構成要素については、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、図5において、被保護回路50(図1参照)の図示は省略されている。
【0034】
静電気保護回路10Aは、ゲート制御部20において、バッファ回路23を更に含む点が、第1の実施形態に係る静電気保護回路10と異なる。バッファ回路23は、電源ラインVDEに接続された入力端子iと、N−MOSトランジスタ22のゲートに接続された出力端子oと、を含む。バッファ回路23は、更に、N−MOSトランジスタ11のゲートに接続された正側電源端子vpと、基準電圧ラインVSSに接続された負側電源端子vnと、を含む。
【0035】
バッファ回路23は、正側電源端子vpと負側電源端子vnとの間に供給される電圧を電源電圧として動作する。バッファ回路23は、電源ラインVDEと基準電圧ラインVSSとの間に所定の電圧(例えば3.3V)が供給されている場合(すなわち、入力端子iに所定の電圧が入力されている場合)に、正側電源端子vpおよび負側電源端子vnとの間に供給される電源電圧(すなわち、ゲート電圧VGATE)相当の出力電圧buf_outを、出力端子oから出力する。一方、電源ラインVDEと基準電圧ラインVSSとの間に電圧が供給されていない場合(すなわち、バッファ回路23の入力電圧が0Vの場合)には、バッファ回路23の出力電圧buf_outは、0Vとなる。
【0036】
図6は、バッファ回路23の構成の一例を示す図である。図6に示すように、バッファ回路23は、直列接続された2つのCMOS(Complementary MOS)インバータ31および32を含んで構成されていてもよい。
【0037】
以下に、第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aの動作について説明する。静電気保護回路10Aは、通常動作時において、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に例えば所定の電圧(例えば3.3V)の電圧が印加される。これにより、N−MOSトランジスタ11がオン状態となる一方、N−MOSトランジスタ12はオフ状態を維持する。これにより、第1の実施形態に係る静電気保護回路10と同様、N−MOSトランジスタ11および12の許容電圧を超える大きさの電圧を、外部入力端子13に入力することを許容するトレラント機能が発揮される。
【0038】
また、通常動作時において、バッファ回路23は、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATE相当の出力電圧buf_outを出力端子oから出力し、これをN−MOSトランジスタ22に供給する。従って、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合におけるN−MOSトランジスタ22の動作は、第1の実施形態に係る静電気保護回路10におけるN−MOSトランジスタ22の動作と同様となる。すなわち、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力され、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇して電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22がオン状態となる。これにより、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷が電源ラインVDEに引き抜かれ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じることができる。従って、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bのように、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが許容電圧を超えた状態が維持されることを防止できる。
【0039】
一方、静電気保護回路10Aにおいて、外部入力端子13にESDサージが印加されると、N−MOSトランジスタ11および12の寄生npnトランジスタがオン状態となり、N−MOSトランジスタ11および12にサージ電流が流れる(スナップバック)。また、外部入力端子13へのESDサージの印加によってN−MOSトランジスタ11のドレイン−ゲート間の寄生容量を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに電荷がチャージされ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。
【0040】
ESDサージ印加時には、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に電圧が印加されないので、バッファ回路23の出力電圧buf_outは、0Vに維持され、N−MOSトランジスタ22は、オフ状態を維持する。その結果、外部入力端子13へのESDサージの印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、下降することなく維持される。従って、第2の比較例に係る静電気保護回路10Aによれば、ESDサージ印加時におけるN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEのレベルを、第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも高くすることができる。つまり、第2の比較例に係る静電気保護回路10Aによれば、ESDサージに対する放電能力を第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも向上させることが可能となる。
【0041】
外部入力端子13に印加されるESDサージに対する放電能力の向上を図りつつ、外部入力端子13への連続パルス信号の入力に伴うゲート電圧VGATEの上昇を抑制することが可能となる。また、静電気保護回路10Aによれば、ESDサージに対する放電能力を第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも向上させることが可能となる。
【0042】
図7は、開示の技術の第1、第2の実施形態に係る静電気保護回路10、10Aおよび第2の比較例に係る静電気保護回路100Bについて、シミュレーションにより取得された、連続パルス信号(AC信号)入力時におけるVGATE波形(N−MOSトランジスタ11のゲート電圧波形)を示す図である。このシミュレーションでは、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に3.6V印加し、外部入力端子13に5.5Vの連続パルス信号(AC信号)を入力した。
【0043】
図7に示すように、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bでは、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に追随するように、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。静電気保護回路100Bでは、上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、入力信号が下降しない限り、下降することなく維持されている。これは、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の移動がダイオード30(図4B参照)によって阻止されるためである。
【0044】
一方、開示の技術の第1および第2の実施形態に係る静電気保護回路10および10Aでは、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、直ちに下降に転じている。これは、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも高くなると、N−MOSトランジスタ22がオン状態となり、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷が、電源ラインVDEに引き抜かれるためである。このように、開示の技術の第1および第2の実施形態に係る静電気保護回路10および10Aによれば、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に伴うN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEの上昇を抑制することができる。従って、N−MOSトランジスタ11に許容電圧を超える電圧の印加を防止することができる。
【0045】
図8は、開示の技術の第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aについてシミュレーションにより取得された、連続パルス信号(AC信号)入力時におけるVGATE波形およびbuf_out波形(バッファ回路23の出力電圧波形)を示す図である。なお、VGATE波形および入力波形(外部入力端子13に入力された連続パルス信号(AC信号)波形)については、図7に示したものと同一である。図8に示すように、buf_out波形はVGATE波形と略一致し、バッファ回路23が想定どおりの動作となっている。
【0046】
図9は、開示の技術の第1、第2の実施形態に係る静電気保護回路10、10Aおよび第2の比較例に係る静電気保護回路100Bについて、シミュレーションにより取得された、ESDサージ印加時におけるVGATE波形を示す図である。このシミュレーションでは、基準電圧ラインVSSおよび電源ラインVDEの電圧を0Vとし、ESDサージを模擬した5.5Vのパルス電圧を外部入力端子13に入力した。
【0047】
図9に示すように、開示の技術の第1の実施形態に係る静電気保護回路10では、ESDサージの印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、徐々に減少していくものの、一定の電圧が確保されている。これは、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも高くなることによってオン状態となったN−MOSトランジスタ22のオン抵抗によるものである。このように、ESDサージ印加時において、一定レベルのゲート電圧VGATEが確保されることにより、ESDサージに対する放電能力が向上する。
【0048】
開示の技術の第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aでは、ESDサージの印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bと同様、下降することなく維持されている。これは、ESDサージ印加時においては、バッファ回路23の出力電圧buf_outが0Vとなり、N−MOSトランジスタ22がオフ状態に維持され、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の移動が阻止されるためである。このように、ESDサージ印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが下降することなく維持されるので、ESDサージに対する放電能力は、第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも高くなる。
【0049】
図10は、開示の技術の第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aについてシミュレーションにより取得された、ESDサージ印加時におけるVGATE波形およびbuf_out波形を示す図である。なお、VGATE波形および入力波形(外部入力端子13に入力されたESDサージを想定した電圧波形)については、図9に示したものと同一である。図10に示すように、buf_out波形は、ESDサージ印加時に一瞬立ち上がるものの直ちに0Vに収束している。これにより、ESDサージ印加時において、バッファ回路23の出力電圧buf_outをゲート入力とするN−MOSトランジスタ22のオフ状態が維持される。
【0050】
[第3の実施形態]
図11は、開示の技術の第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bの構成を示す図である。図11において、第1の実施形態に係る静電気保護回路10(図3参照)の構成要素と同一または対応する構成要素については、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、図11において、被保護回路50(図1参照)の図示は省略されている。第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bは、電源ラインVDEとN−MOSトランジスタ21および22との間に、P−MOSトランジスタ24を更に含む点が、第1の実施形態に係る静電気保護回路10と異なる。すなわち、P−MOSトランジスタ24のソースは電源ラインVDEに接続され、ドレインおよびゲートはN−MOSトランジスタ21のドレインおよびN−MOSトランジスタ22のソースに接続されている。
【0051】
静電気保護回路10Bは、通常動作時において、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に所定の電圧(例えば3.3V)が印加される。これにより、P−MOSトランジスタ24およびN−MOSトランジスタ21はともにオン状態となり、電源ラインVDEの電圧(3.3V)が、P−MOSトランジスタ24およびN−MOSトランジスタ21を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに与えられる。より厳密には、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、電源ラインVDEの電圧(3.3V)からN−MOSトランジスタ21の閾値電圧Vthを差し引いた大きさとなる。従って、N−MOSトランジスタ11は、オン状態となる。一方、N−MOSトランジスタ12は、オフ状態を維持する。これにより、第1の実施形態に係る静電気保護回路10と同様、N−MOSトランジスタ11および12の許容電圧を超える大きさの電圧を、外部入力端子13に入力することを許容するトレラント機能が発揮される。
【0052】
静電気保護回路10Bは、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力されると、N−MOSトランジスタ11のゲートに電荷がチャージされ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22およびP−MOSトランジスタ24の寄生ダイオード25がオン状態となる。これにより、N−MOSトランジスタ11のゲートと電源ラインVDEとの間に、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の放電経路が形成される。
【0053】
図12は、P−MOSトランジスタ24の断面図である。P−MOSトランジスタ24は、n型のnウェル領域26の表面に形成されたp型のドレイン領域24Dおよびソース領域24Sと、ドレイン領域24Dとソース領域24Sとの間に形成されたゲート電極24Gと、を含む。また、P−MOSトランジスタ24は、nウェル領域26の表面に形成され、ソース領域24Sとともに電源ラインVDEに接続されたn型のコンタクト領域24Cを含む。また、P−MOSトランジスタ24は、ドレイン領域24Dをアノードとし、n−ウェル領域26をカソードとして含む寄生ダイオード25を有する。
【0054】
寄生ダイオード25は、N−MOSとトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22とともにオン状態となる。これにより、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷が電源ラインVDEに引き抜かれ、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じることができる。従って、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合に、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bのように、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが許容電圧を超えた状態が維持されることを防止できる。
【0055】
静電気保護回路10Bにおいて、外部入力端子13にESDサージが印加されると、N−MOSトランジスタ11および12の寄生npnトランジスタがオン状態となり、N−MOSトランジスタ11および12にサージ電流が流れる(スナップバック)。また、外部入力端子13へのESDサージの印加によってN−MOSトランジスタ11のドレイン−ゲート間の寄生容量を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに電荷がチャージされ、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22およびP−MOSトランジスタ24の寄生ダイオード25がオン状態となる。これにより、ESDサージ印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じるものの、N−MOSトランジスタ22および寄生ダイオード25のオン抵抗によってゲート電圧VGATEの低下は抑制される。従って、ESDサージ印加時において、一定レベルのゲート電圧VGATEを確保することができ、ESDサージに対する放電能力を高めることができる。
【0056】
第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bによれば、ESDサージ印加に伴ってN−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷は、N−MOSトランジスタ22および寄生ダイオード25の2段の素子を介して電源ラインVDEに放電される。これにより、ESDサージ印加時においてN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEの低下を抑制する効果を、第1の実施形態に係る静電気放電回路10よりも高めることができる。すなわち、第3の実施形態に係る静電気放電回路10Bによれば、ESDサージに対する放電能力を第1の実施形態に係る静電気放電回路10よりも高めることが可能である。
【0057】
また、静電気保護回路10Bによれば、P−MOSトランジスタ24が追加されたことにより、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加されるESDサージに対する耐性を、第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも高めることができる。以下にその理由を説明する。
【0058】
図13は、P−MOSトランジスタ24およびN−MOSトランジスタ21の断面図である。P−MOSトランジスタ24の断面構造は、先に説明したとおりである。N−MOSトランジスタ21は、p型のpウェル領域27の表面に形成されたn型のドレイン領域21Dおよびソース領域21Sと、ドレイン領域21Dとソース領域21Sとの間に形成されたゲート電極21Gと、を含む。pウェル領域27の表面には、基準電圧ラインVSSに接続されたp型のコンタクト領域22Cが形成されている。pウェル領域27は、nウェル領域26に接している。また、電源ラインVDEと基準電圧ラインVSSとの間には、静電気保護用のダイオード40が接続されているものとする。
【0059】
第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bにおいて、サージ電流Iの方向が基準電圧ラインVSSから電源ラインVDEに向かう方向となるESDサージを、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加した場合について考える。この場合、サイズの大きい(すなわち抵抗の小さい)静電気保護用のダイオード40と、pウェル領域27およびnウェル領域26によって形成される寄生ダイオード41とによってESDサージに対するメインの放電経路(図13において太い矢印で示す)が形成される。また、pウェル領域27とドレイン領域21Dとによって形成される寄生ダイオード42およびドレイン領域24Dとnウェル領域26とによって形成される寄生ダイオード43も放電経路(図13において細い矢印で示す)を形成する。しかしながら、寄生ダイオード42および43は直列接続されており、メインの放電経路よりも抵抗が大きいため、寄生ダイオード42および43に流れるサージ電流Iは抑制される。
【0060】
なお、図13において、N−MOSトランジスタ21をN−MOSトランジスタ22に置換することも可能である。すなわち、N−MOSトランジスタ22は、寄生ダイオード43に直列に接続された寄生ダイオードを有する。このN−MOSトランジスタ22の寄生ダイオードと、P−MOSトランジスタ24の寄生ダイオード43との直列接続によってESDサージに対する放電経路が形成される。この放電経路は、メインの放電経路よりも抵抗が大きいため、N−MOSトランジスタ22の寄生ダイオードおよびP−MOSトランジスタ23の寄生ダイオード43に流れるサージ電流は抑制される。
【0061】
一方、図14は、第1の実施形態に係る静電気保護回路10におけるN−MOSトランジスタ21の断面図である。第1の実施形態に係る静電気保護回路10では、N−MOSトランジスタ21のドレイン領域21Dは、電源ラインVDEに直接接続されている。また、電源ラインVDEと基準電圧ラインVSSとの間には、静電気保護用のダイオード40が接続されているものとする。
【0062】
第1の実施形態に係る静電気保護回路10において、サージ電流Iの方向が基準電圧ラインVSSから電源ラインVDEに向かう方向となるESDサージを、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加した場合について考える。第1の実施形態に係る静電気保護回路10では、N−MOSトランジスタ21のpウェル領域27とドレイン領域21Dとによって形成される寄生ダイオード42が、静電気保護用のダイオード40と並列接続される。このため、静電気保護用のダイオード40のみならず、寄生ダイオード42にもサージ電流Iが流れる。第1の実施形態に係る静電気保護回路10では、寄生ダイオード42に流れるサージ電流Iを抑制し得る構成を有していないので、過大なサージ電流IによってN−MOSトランジスタ21が破壊に至るリスクがある。
【0063】
なお、図14において、N−MOSトランジスタ21をN−MOSトランジスタ22に置換することも可能である。すなわち、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加されるESDサージによってN−MOSトランジスタ22も破壊に至るリスクがある。
【0064】
一方、第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bでは、電源ラインVDEとN−MOSトランジスタ21、22との間に挿入されたP−MOSトランジスタ24によって、N−MOSトランジスタ21、22の寄生ダイオードに流れるサージ電流Iが抑制される。従って、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加されるESDサージによってN−MOSトランジスタ21および22が破壊に至るリスクは第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも小さい。すなわち、第3の実施形態に係る静電気保護回路10Bによれば、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加されるESDサージに対する耐性を、第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも高めることができる。
【0065】
[第4の実施形態]
図15は、開示の技術の第4の実施形態に係る静電気保護回路10Cの構成を示す図である。図15において、第2の実施形態に係る静電気保護回路10A(図5参照)の構成要素と同一または対応する構成要素については、同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、図15において、被保護回路50(図1参照)の図示は省略されている。第4の実施形態に係る静電気保護回路10Cは、電源ラインVDEとN−MOSトランジスタ21および22との間に、P−MOSトランジスタ24を更に含む点が、第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aと異なる。すなわち、P−MOSトランジスタ24のソースは電源ラインVDEに接続され、ドレインおよびゲートはN−MOSトランジスタ21のドレインおよびN−MOSトランジスタ22のソースに接続されている。
【0066】
静電気保護回路10Cは、通常動作時において、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に所定の電圧(例えば3.3V)が印加される。これにより、P−MOSトランジスタ24およびN−MOSトランジスタ21はともにオン状態となり、電源ラインVDEの電圧(3.3V)が、P−MOSトランジスタ24およびN−MOSトランジスタ21を介してN−MOSトランジスタ11のゲートに与えられる。より厳密には、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、電源ラインVDEの電圧(3.3V)からN−MOSトランジスタ21の閾値電圧Vthを差し引いた大きさとなる。従って、N−MOSトランジスタ11は、オン状態となる。一方、N−MOSトランジスタ12は、オフ状態を維持する。これにより、第1の実施形態に係る静電気保護回路10と同様、N−MOSトランジスタ11および12の許容電圧を超える大きさの電圧を、外部入力端子13に入力することを許容するトレラント機能が発揮される。
【0067】
静電気保護回路10Cは、通常動作時において、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力されると、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが上昇する。N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが電源ラインVDEの電圧よりも大きくなると、N−MOSトランジスタ22およびP−MOSトランジスタ24の寄生ダイオード25がオン状態となる。これにより、N−MOSトランジスタ11のゲートと電源ラインVDEとの間に、N−MOSトランジスタ11のゲートにチャージされた電荷の放電経路が形成される。従って、外部入力端子13への連続パルス信号(AC信号)の入力に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは低下に転じることができる。従って、外部入力端子13に連続パルス信号(AC信号)が入力された場合に、第2の比較例に係る静電気保護回路100Bのように、N−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEが許容電圧を超えた状態が維持されることを防止できる。
【0068】
静電気保護回路10Cにおいて、外部入力端子13にESDサージが印加された場合の動作は、第2の実施形態に係る静電気放電回路10Aと同様である。すなわち、ESDサージ印加時においてN−MOSトランジスタ22はオフ状態に維持され、外部入力端子13へのESDサージの印加に伴って上昇したN−MOSトランジスタ11のゲート電圧VGATEは、下降することなく維持される。これにより、ESDサージに対する放電能力を第1の実施形態に係る静電気保護回路10よりも向上させることが可能となる。
【0069】
静電気保護回路10Cによれば、静電気保護回路10Bと同様、P−MOSトランジスタ24の挿入によって、VSS−VDE間のESDサージ印加時におけるN−MOSトランジスタ21、22の寄生ダイオードに流れるサージ電流が抑制される。従って、基準電圧ラインVSSと電源ラインVDEとの間に印加されるESDサージに対する耐性を第2の実施形態に係る静電気保護回路10Aよりも高めることができる。
【0070】
なお、静電気保護回路10、10A、10B、10Cは開示の技術の静電気保護回路に対応する。集積回路60は開示の技術の集積回路に対応する。被保護回路50は開示の技術の被保護回路に対応する。N−MOSトランジスタ11は開示の技術の第1のトランジスタに対応し、N−MOSトランジスタ12は、開示の技術の第2のトランジスタに対応する。N−MOSトランジスタ21は開示の技術の第3のトランジスタに対応し、N−MOSトランジスタ122は開示の技術の第4のトランジスタに対応する。P−MOSトランジスタ24は開示の技術の第5のトランジスタに対応する。外部入力端子13は開示の技術の外部端子に対応する。電源ラインVDEは開示の技術の電源ラインに対応する。バッファ回路23は開示の技術のバッファ回路に対応する。
【0071】
以上の第1乃至第4の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0072】
(付記1)
外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に前記第3のトランジスタと逆向きに接続された第4のトランジスタと、
を含む静電気保護回路。
【0073】
(付記2)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合にオン状態となり前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与え、
前記第4のトランジスタは、オン状態となることにより、前記第1のトランジスタのゲートから前記電源ラインに電荷を引き抜く
付記1に記載の静電気保護回路。
【0074】
(付記3)
前記第4のトランジスタは、前記第1のトランジスタのゲート電圧が前記電源ラインの電圧よりも高い場合にオン状態となる
付記1または付記2に記載の静電気保護回路。
【0075】
(付記4)
入力端子が前記電源ラインに接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に、電源端子に供給された電圧に相当する出力電圧を出力端子から出力するバッファ回路を更に含み、
前記第4のトランジスタは、前記バッファ回路の出力電圧に応じてオン状態となる
付記1または付記2に記載の静電気保護回路。
【0076】
(付記5)
前記電源ラインと前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタとの間に接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に前記第3のトランジスタとともにオン状態となり前記第3のトランジスタを介して前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与えるトランジスタであって、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードと前記電源ラインに接続されたカソードとを含む寄生ダイオードを有する第5のトランジスタを更に含む
付記1から付記4のいずれか1つに記載の静電気保護回路。
【0077】
(付記6)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたドレインおよびゲートと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインおよびゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記3に記載の静電気保護回路。
【0078】
(付記7)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたドレインおよびゲートと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインと、前記バッファ回路の出力端子に接続されたゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記4に記載の静電気保護回路。
【0079】
(付記8)
前記電源ラインに接続されたソースと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたドレインおよびゲートと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードおよび前記電源ラインに接続されたカソードを含む寄生ダイオードと、を有するP−MOSトランジスタである第5のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたゲートと、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたドレインと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインおよびゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記3に記載の静電気保護回路。
【0080】
(付記9)
前記電源ラインに接続されたソースと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたドレインおよびゲートと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードおよび前記電源ラインに接続されたカソードを含む寄生ダイオードと、有するP−MOSトランジスタである第5のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたゲートと、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたドレインと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインと、前記バッファ回路の出力端子に接続されたゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記4に記載の静電気保護回路。
【0081】
(付記10)
前記寄生ダイオードの前記アノードは前記第5のトランジスタのドレイン領域を含んで構成され、前記寄生ダイオードの前記カソードは前記第5のトランジスタのウェル領域を含んで構成されている
付記8または付記9に記載の静電気保護回路。
【0082】
(付記11)
前記バッファ回路の電源端子は、前記第1のトランジスタのゲートに接続されている
付記4に記載の静電気保護回路。
【0083】
(付記12)
静電気保護回路と、前記静電気保護回路によって外部端子に印加される静電気から保護される被保護回路と、を含む集積回路であって、
前記静電気保護回路は、
前記外部端子に接続された第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列接続され且つ常時オフ状態とされる第2のトランジスタと、
電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記電源ラインと前記第1のトランジスタのゲートとの間に前記第3のトランジスタと逆向きに接続された第4のトランジスタと、
を含む集積回路。
【0084】
(付記13)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合にオン状態となり前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与え、
前記第4のトランジスタは、オン状態となることにより、前記第1のトランジスタのゲートから前記電源ラインに電荷を引き抜く
付記12に記載の集積回路。
【0085】
(付記14)
前記第4のトランジスタは、前記第1のトランジスタのゲート電圧が前記電源ラインの電圧よりも高い場合にオン状態となる
付記12または付記13に記載の集積回路。
【0086】
(付記15)
入力端子が前記電源ラインに接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に、電源端子に供給された電圧に相当する出力電圧を出力端子から出力するバッファ回路を更に含み、
前記第4のトランジスタは、前記バッファ回路の出力電圧に応じてオン状態となる
付記12または付記13に記載の集積回路。
【0087】
(付記16)
前記電源ラインと前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタとの間に接続され、前記電源ラインに所定の電圧が供給されている場合に前記第3のトランジスタとともにオン状態となり前記第3のトランジスタを介して前記電源ラインの電圧を前記第1のトランジスタのゲートに与えるトランジスタであって、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードと前記電源ラインに接続されたカソードとを含む寄生ダイオードを有する第5のトランジスタを更に含む
付記12から付記15のいずれか1つに記載の集積回路。
【0088】
(付記17)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたドレインおよびゲートと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインおよびゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記14に記載の集積回路。
【0089】
(付記18)
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたドレインおよびゲートと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインと、前記バッファ回路の出力端子に接続されたゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記15に記載の集積回路。
【0090】
(付記19)
前記電源ラインに接続されたソースと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたドレインおよびゲートと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードおよび前記電源ラインに接続されたカソードを含む寄生ダイオードと、を有するP−MOSトランジスタである第5のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたゲートと、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたドレインと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記第5のトランジスタ24のドレインおよびゲートに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインおよびゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記14に記載の集積回路。
【0091】
(付記20)
前記電源ラインに接続されたソースと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたドレインおよびゲートと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに接続されたアノードおよび前記電源ラインに接続されたカソードを含む寄生ダイオードと、有するP−MOSトランジスタである第5のトランジスタを更に含み、
前記第3のトランジスタは、前記電源ラインに接続されたゲートと、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたドレインと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたソースと、を有するN−MOSトランジスタであり、
前記第4のトランジスタは、前記第5のトランジスタのドレインおよびゲートに接続されたソースと、前記第1のトランジスタのゲートに接続されたドレインと、前記バッファ回路の出力端子に接続されたゲートと、を有するN−MOSトランジスタである
付記15に記載の集積回路。
【0092】
(付記21)
前記寄生ダイオードの前記アノードは前記第5のトランジスタのドレイン領域を含んで構成され、前記寄生ダイオードの前記カソードは前記第5のトランジスタのウェル領域を含んで構成されている
付記19または付記20に記載の集積回路。
【0093】
(付記22)
前記バッファ回路の電源端子は、前記第1のトランジスタのゲートに接続されている
付記15に記載の集積回路。
【符号の説明】
【0094】
10、10A、10B、10C 静電気保護回路
11、12、21、22 N−MOSトランジスタ
13 外部入力端子
23 バッファ回路
24 P−MOSトランジスタ
26 nウェル領域
50 被保護回路
60 集積回路
VDE 電源ライン
VSS 基準電圧ライン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15