特許第6384232号(P6384232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソシオネクストの特許一覧

<>
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000002
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000003
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000004
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000005
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000006
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000007
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000008
  • 特許6384232-半導体装置及びその制御方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384232
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 17/16 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   G11C17/16
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-192422(P2014-192422)
(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公開番号】特開2016-62635(P2016-62635A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】山田 智之
【審査官】 酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0202183(US,A1)
【文献】 特開2011−103154(JP,A)
【文献】 特開平11−096776(JP,A)
【文献】 特開2003−141881(JP,A)
【文献】 特開2002−367390(JP,A)
【文献】 特開2010−092588(JP,A)
【文献】 特開2013−218753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 17/00 − 17/18
G11C 16/02 − 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート絶縁膜を破壊することでデータの書き込みが行われる、複数の不揮発性メモリセルと、
前記不揮発性メモリセルを選択するための複数のワード線を駆動する駆動回路と、
前記不揮発性メモリセルに対してデータを入出力するための複数のビット線が接続される書込・読出回路とを有し、
前記複数の不揮発性メモリセルは、第1の不揮発性メモリセルと、前記第1の不揮発性メモリセルと同じ前記ビット線に接続されるとともに前記第1の不揮発性メモリセルとは異なる前記ワード線に接続される第2の不揮発性メモリセルとにより1ビットのデータを記憶し、
前記不揮発性メモリセルに対するデータの書き込み及び読み出しは、前記駆動回路により前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルを同時に選択して行い、前記不揮発性メモリセルに対するベリファイは、前記駆動回路により前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルを1つの不揮発性メモリセル毎に個別に選択して行うことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記不揮発性メモリセルは、前記ワード線がそれぞれのゲートに接続された選択トランジスタ及びメモリセルトランジスタを有し、前記メモリセルトランジスタの前記ゲート絶縁膜に電圧を印加して前記ゲート絶縁膜を破壊することでデータの書き込みが行われることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
それぞれがワード線及びビット線に接続され、ゲート絶縁膜を破壊することでデータの書き込みが行われる、複数の不揮発性メモリセルを有し、前記複数の不揮発性メモリセルは、第1の不揮発性メモリセルと、前記第1の不揮発性メモリセルと同じ前記ビット線に接続されるとともに前記第1の不揮発性メモリセルとは異なる前記ワード線に接続される第2の不揮発性メモリセルとにより1ビットのデータを記憶する半導体装置の制御方法であって、
前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルを同時に選択して前記不揮発性メモリセルに対するデータの書き込みを行い、
前記データの書き込みを行った後、前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルを1つの不揮発性メモリセル毎に個別に選択して前記不揮発性メモリセルに対するベリファイを行い、
前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルを同時に選択して前記不揮発性メモリセルに対するデータの読み出しを行うことを特徴とする半導体装置の制御方法。
【請求項4】
前記不揮発性メモリセルに対するベリファイの結果、データが正しく書き込まれていない前記不揮発性メモリセルがある場合には、前記不揮発性メモリセルに対するデータの書き込みを再び行うことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンタイムプログラマブル(OTP:One Time Programmable)メモリは、1度だけ書き込み可能な不揮発性メモリである。OTPメモリには、フローティングゲート型の不揮発性メモリセルを使用するものと、ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルを使用するものがある。
【0003】
従来はフローティングゲート型の不揮発性メモリセルを使用するOTPメモリが多かったが、近年は通常のCMOSプロセスで素子が作れ、またテクノロジの依存性がないという理由でゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルを使用するOTPメモリが増えてきている。ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルでは、電界効果トランジスタのゲート絶縁膜に高電圧を印加し、ゲート絶縁膜を破壊することでデータの書き込みが行われる。
【0004】
また、1ビットのデータを複数の不揮発性メモリセルに記憶することにより信頼性を高める技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。例えば、同じデータを書き込んだ複数の不揮発性メモリセルを同時に読み出すことで、データ書き込み後に、ある不揮発性メモリセルにて経時劣化等によりデータが消失しても読み出し不良の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−43691号公報
【特許文献2】特開2011−103154号公報
【特許文献3】特開平11−96776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術では、1ビットのデータを複数の不揮発性メモリセルに記憶するとき、1つの不揮発性メモリセル毎にデータの書き込みを行うので、書き込み工程のコストが大きい。例えば特許文献3に記載のように、2つの不揮発性メモリセルに同時にデータの書き込みを行い、その2つの不揮発性メモリセルに対するデータの読み出しを同時に行うことで、書き込み工程のコストを低減することが可能である。
【0007】
また、ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルでは、データの書き込みが十分ではない場合、破壊後のゲート絶縁膜の導電性の経時劣化等により読み出し電流の劣化が起きることが知られている。そのため、2つの不揮発性メモリセルに対して同時にデータの書き込みを行い、同時にデータの読み出しを行う手法をゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルを使用するOTPメモリに適用すると、図8に示すように出荷前は良品と判定されるが出荷後に不良となる可能性がある。
【0008】
図8は、2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bに同時にデータの書き込みを行い、同時にベリファイ(データの読み出し)を行った場合の判定例を説明するための図である。図8において、書き込みにおける“○”は十分にデータが書き込めた状態を示し、“×”はデータが書き込めていない状態(書き込み失敗状態)を示す。また、“書込不足”は、データの書き込みが十分ではないが、読み出し時に多少の読み出し電流が流れる状態を示し、経時劣化により未書き込み状態に戻りやすい状態である。2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bのどちらか一方にデータが書き込めてさえいれば、ベリファイにおいては良品(PASS)と判定される。
【0009】
したがって、図8に示したように、2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bの内の一方が書き込み不足又は書き込み失敗であっても良品(PASS)と判定される(ケース2及びケース3)。また、2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bがともに書き込み不足であっても、2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bによりある程度の大きさの読み出し電流が得られると、良品(PASS)と判定されてしまう可能性がある(ケース4)。
【0010】
しかし、図8に示したケース2、ケース3、及びケース4の場合には、経時劣化等によりデータの読み出し時における読み出し電流の劣化が起きると、読み出し不良が発生する可能性が高くなる。特に、2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bがともに書き込み不足であるケース4の場合には、経時劣化等により読み出し不良が発生する可能性が非常に高い。
【0011】
本発明の目的は、ゲート絶縁膜破壊型の複数の不揮発性メモリセルにより1ビットのデータを記憶するOTPメモリにて、書き込み工程のコストの増大を抑制しつつ、書き込み後のデータの信頼性を向上させることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
半導体装置の一態様は、ゲート絶縁膜破壊型の複数の不揮発性メモリセルと、不揮発性メモリセルを選択するための複数のワード線を駆動する駆動回路と、不揮発性メモリセルに対してデータを入出力するための複数のビット線が接続される書込・読出回路とを有する。複数の不揮発性メモリセルは、同じビット線が接続され、異なるワード線が接続される第1の不揮発性メモリセルと第2の不揮発性メモリセルとにより1ビットのデータを記憶する。不揮発性メモリセルに対するデータの書き込み及び読み出しは、第1の不揮発性メモリセル及び第2の不揮発性メモリセルを同時に選択して行い、不揮発性メモリセルに対するベリファイは、第1の不揮発性メモリセル及び第2の不揮発性メモリセルを1つの不揮発性メモリセル毎に個別に選択して行う。
【発明の効果】
【0013】
開示の半導体装置は、書き込み工程のコストの増大を抑制しつつ、書き込み後のデータの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態における半導体装置の構成例を示す図である。
図2】本実施形態における不揮発性メモリセルの一例を示す図である。
図3】本実施形態におけるワードドライバの一例を示す図である。
図4】本実施形態における動作時の印加電圧の例を示す図である。
図5】本実施形態における半導体装置に係る動作シーケンスの例を示す図である。
図6】本実施形態におけるベリファイ読み出しでの判定結果を示す図である。
図7】本実施形態における半導体装置に係る動作シーケンスの他の例を示す図である。
図8】従来技術によるベリファイ読み出しでの判定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態における半導体装置は、ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルを複数有し、1ビットのデータを2以上の不揮発性メモリセルにより記憶するワンタイムプログラマブル(OTP:One Time Programmable)メモリを含む。本実施形態における半導体装置は例えば、OTPメモリに加えて、そのOTPメモリに記憶されたデータに基づいて、所望の処理を実行する処理回路を含む集積回路である。以下では、2つのゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルにより1ビットのデータを記憶するOTPメモリを例に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態における半導体装置に含まれるOTPメモリの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態におけるOTPメモリは、複数の不揮発性メモリセル(MC)11、アドレスレジスタ12、ロウデコーダ13、カラムデコーダ14、ワードドライバ15、書込・ベリファイ・読出回路16、及びクロックバッファ17を有する。
【0017】
不揮発性メモリセル(MC)11は、ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルであり、後述するようにメモリセルトランジスタと選択トランジスタとの2つのトランジスタを有する。不揮発性メモリセル11は、メモリセルトランジスタとしての電界効果トランジスタのゲート絶縁膜に高電圧を印加して、そのゲート絶縁膜を破壊することでデータの書き込みを行うことができる。
【0018】
本実施形態におけるOTPメモリでは、同じ行かつ同じ列の第1の不揮発性メモリセル11A及び第2の不揮発性メモリセル11Bを1組とする2つの不揮発性メモリセルにより、1ビットのデータが記憶される。ここで、本実施形態におけるOTPメモリでは、後述するようにデータの書き込み及び読み出し(通常読み出し)は、2つの不揮発性メモリセルに対して同時に行い、データ書き込み後にデータが正しく書き込まれたか否かを確認するベリファイ(ベリファイ読み出し)は、1つの不揮発性メモリセル毎に分けて行う。
【0019】
不揮発性メモリセル11は、不揮発性メモリセルを選択するためのロウ方向に配置された2(n+1)本(nは自然数)のワード線WLA、WLB、及び不揮発性メモリセルに対してデータを入出力するためのカラム方向に配置された(m+1)本(mは自然数)のビット線BLに接続されている。第i行第j列(iは0〜nの整数、jは0〜mの整数)の第1の不揮発性メモリセル11Aは、第i行の第1のワード線WLA<i>及び第j列のビット線BL<j>に接続され、第i行第j列の第2の不揮発性メモリセル11Bは、第i行の第2のワード線WLB<i>及び第j列のビット線BL<j>に接続されている。すなわち、同じ行かつ同じ列の2つの不揮発性メモリセルは、同じビット線BLに接続されるとともに、同じ行の異なるワード線WLA又はWLBに接続される。
【0020】
図2(A)は、不揮発性メモリセル11の構成例を示す断面図である。不揮発性メモリセル11は、選択トランジスタ21及びメモリセルトランジスタ22を有する。選択トランジスタ21は、データの書き込み時にワード線WLを介してゲート電極に高電圧が印加されても素子破壊が起きない高耐圧のトランジスタで構成される。メモリセルトランジスタ22は、データの書き込み時にワード線WLに高電圧を印加することでゲート絶縁膜を破壊可能なトランジスタ(コアトランジスタ)で構成される。
【0021】
不揮発性メモリセル11は、ワード線WLを介してメモリセルトランジスタ22のゲート電極23に高電圧を印加し、そのゲート絶縁膜24を破壊することでデータが書き込まれる。また、不揮発性メモリセル11からのデータの読み出しは、ワード線WLに所定の電圧を与えることで選択トランジスタ21をオン状態(導通状態)にする。そして、データが書き込まれている場合には、破壊されたゲート絶縁膜24(例えば図示した箇所25)を介してビット線BLに対して電流が流れ、データが書き込まれていない場合には、ゲート絶縁膜24を介してビット線BLに対して電流が流れないことを利用してデータの読み出しが行われる。
【0022】
すなわち、データが書き込まれていない場合(非書き込み状態)、不揮発性メモリセル11の等価回路は図2(B)に示す回路となり、ワード線WLに所定の電圧を印加し、選択トランジスタ21がオンしてもビット線BLには電流は流れない。一方、データが書き込まれている場合(書き込み状態)、不揮発性メモリセル11の等価回路は図2(C)に示す回路となり、すなわちメモリセルトランジスタ22が導電性を有する抵抗26として作用し、ワード線WLに所定の電圧を印加し、選択トランジスタ21がオンすると抵抗26を介してビット線BLに電流が流れる。
【0023】
図1に戻り、アドレスレジスタ12は、外部から入力されるアドレス(ロウアドレス及びカラムアドレス)を保持する。アドレスレジスタ12は、保持したロウアドレスをロウデコーダ13に供給し、保持したカラムアドレスをカラムデコーダ14に供給する。クロックバッファ17は、ロウデコーダ13、カラムデコーダ14、及び書込・ベリファイ・読出回路16に動作クロックを供給する。
【0024】
ロウデコーダ13は、アドレスレジスタ12から供給されるロウアドレスをデコードし、デコード結果に応じたデコード信号DEC<i>を出力する。すなわち、ロウデコーダ13は、供給されるロウアドレスのデコード結果に基づいて、デコード信号DEC<0>〜DEC<n>の内の1つをアサートする(真を示す“1”にする)。カラムデコーダ14は、アドレスレジスタ12から供給されるカラムアドレスをデコードし、デコード結果に応じてデコード信号を出力する。カラムデコーダ14は、供給されるカラムアドレスを基にビット線BL<j>の選択等を行う。
【0025】
書込・ベリファイ・読出回路16は、図示しないカラムスイッチやセンスアンプや電圧制御部等を有し、カラムデコーダ14からのデコード信号等を受けて、ビット線BLの選択制御やワード線電源VWLの電圧制御等を行う。書込・ベリファイ・読出回路16は、不揮発性メモリセル11から読み出したデータを外部に出力したりする。書込・ベリファイ・読出回路16は、例えばデータの書き込み時にはワード線電源VWLの制御を行う。また、書込・ベリファイ・読出回路16は、例えばベリファイ(ベリファイ読み出し)時には読み出し時間や読み出し電圧の制御等を行う。
【0026】
書込・ベリファイ・読出回路16は、供給されるデコード信号等に基づいて、信号MODE及び信号SELを出力する。信号MODEは、OTPメモリの動作モードを示す信号であり、本例では、データの書き込み時及び読み出し(通常読み出し)時に“1”とされ、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時には“0”とされるものとする。また、信号SELは、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時に選択するワード線WLA、WLBを示す信号であり、本例では第1のワード線WLAを選択する場合に“1”とされ、第2のワード線WLBを選択する場合に“0”とされるものとする。
【0027】
ワードドライバ15は、信号DEC、MODE、SELに応じて、ワード線WLA、WLBを駆動制御する。ワードドライバ<i>15−iは、第i行のワード線WLA<i>、WLB<i>が接続され、ロウデコーダ13からのデコード信号DEC<i>と、書込・ベリファイ・読出回路16からの信号MODE及び信号SELとを受け、これらの信号に応じてワード線WLA<i>、WLB<i>を駆動する。
【0028】
図3(A)は、ワードドライバ<i>15−iの構成例を示す図である。ワードドライバ<i>15−iは、インバータ30、32A、32B、否定論理和演算回路(NOR回路)31A、31B、否定論理積演算回路(NAND回路)33A、33B、及びドライバ(インバータ)34A、34Bを有する。
【0029】
NOR回路31Aは、信号MODEと信号SELとが入力され、その演算結果を出力する。NOR回路31Bは、信号MODEとインバータ30により反転された信号SELとが入力され、その演算結果を出力する。また、NAND回路33Aは、信号DEC<i>とインバータ32Aにより反転されたNOR回路31Aの出力が入力され、その演算結果を出力する。NAND回路33Bは、信号DEC<i>とインバータ32Bにより反転されたNOR回路31Bの出力が入力され、その演算結果を出力する。
【0030】
ドライバ(インバータ)34Aは、それぞれのゲートにNAND回路33Aの出力が供給されるPチャネル型トランジスタPTA及びNチャネル型トランジスタNTAを有する。トランジスタPTAは、ソースがワード線電源VWLに対して接続され、ドレインがトランジスタNTAのドレインに接続される。トランジスタNTAは、ソースが基準電位VSSに接続される。また、トランジスタPTAのドレインとトランジスタNTAのドレインとの接続点に第1のワード線WLA<i>が接続される。
【0031】
ドライバ(インバータ)34Bは、それぞれのゲートにNAND回路33Bの出力が供給されるPチャネル型トランジスタPTB及びNチャネル型トランジスタNTBを有する。トランジスタPTBは、ソースがワード線電源VWLに対して接続され、ドレインがトランジスタNTBのドレインに接続される。トランジスタNTBは、ソースが基準電位VSSに接続される。また、トランジスタPTBのドレインとトランジスタNTBのドレインとの接続点に第2のワード線WLB<i>が接続される。
【0032】
信号DEC<i>が“1”かつ信号MODEが“1”であるとき、NOR回路31A、31Bの出力がともに“0”となり、NAND回路33A、33Bの出力がともに“0”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34A、34Bにおいて、トランジスタPTA、PTBがオン状態(導通状態)、トランジスタNTA、NTBがオフ状態(非導通状態)となり、第1のワード線WLA<i>及び第2のワード線WLB<i>がワード線電源VWLに接続される。すなわち、ワードドライバ<i>15−iは、データの書き込み時又は読み出し(通常読み出し)時であって、かつ対応する行がアドレス選択された場合には、接続された第i行の第1のワード線WLA<i>及び第2のワード線WLB<i>をともにハイレベル(選択状態)にする。
【0033】
信号DEC<i>が“1”、かつ信号MODEが“0”、かつ信号SELが“1”であるとき、NOR回路31Aの出力が“0”となり、NAND回路33Aの出力が“0”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34Aにおいて、トランジスタPTAがオン状態(導通状態)、トランジスタNTAがオフ状態(非導通状態)となり、第1のワード線WLA<i>がワード線電源VWLに接続される。また、このとき、NOR回路31Bの出力が“1”となり、NAND回路33Bの出力が“1”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34Bにおいて、トランジスタPTBがオフ状態(非導通状態)、トランジスタNTBがオン状態(導通状態)となり、第2のワード線WLB<i>が基準電位VSSに接続される。すなわち、ワードドライバ<i>15−iは、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時であって、対応する行がアドレス選択され、信号SELが“1”である場合には、接続された第i行の第1のワード線WLA<i>をハイレベル(選択状態)にし、第2のワード線WLB<i>をローレベル(非選択状態)にする。
【0034】
信号DEC<i>が“1”、かつ信号MODEが“0”、かつ信号SELが“0”であるとき、NOR回路31Aの出力が“1”となり、NAND回路33Aの出力が“1”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34Aにおいて、トランジスタPTAがオフ状態(非導通状態)、トランジスタNTAがオン状態(導通状態)となり、第1のワード線WLA<i>が基準電位VSSに接続される。また、このとき、NOR回路31Bの出力が“0”となり、NAND回路33Bの出力が“0”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34Bにおいて、トランジスタPTBがオン状態(導通状態)、トランジスタNTBがオフ状態(非導通状態)となり、第2のワード線WLB<i>がワード線電源VWLに接続される。すなわち、ワードドライバ<i>15−iは、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時であって、対応する行がアドレス選択され、信号SELが“0”である場合には、接続された第i行の第1のワード線WLA<i>をローレベル(非選択状態)にし、第2のワード線WLB<i>をハイレベル(選択状態)にする。
【0035】
信号DEC<i>が“0”であるとき、NAND回路33A、33Bの出力がともに“1”となる。したがって、ドライバ(インバータ)34A、34Bにおいて、トランジスタPTA、PTBがオフ状態(非導通状態)、トランジスタNTA、NTBがオン状態(導通状態)となり、第1のワード線WLA<i>及び第2のワード線WLB<i>が基準電位VSSに接続される。すなわち、ワードドライバ<i>15−iは、対応する行がアドレス選択されていない場合には、接続された第i行の第1のワード線WLA<i>及び第2のワード線WLB<i>をともにローレベル(非選択状態)にする。
【0036】
前述したワードドライバ<i>15−iの動作をまとめると、図3(B)に示すようになる。すなわち、デコーダでのアドレス選択時、ワードドライバ<i>15−iは、信号MODEによりデータの書き込み時又は読み出し(通常読み出し)時と、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時とのワード線選択制御を行う。ワードドライバ<i>15−iは、データの書き込み時又は読み出し(通常読み出し)時の場合、2つのワード線を選択し、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時の場合、1つのワード線を選択する。また、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時には、ワードドライバ<i>15−iは、信号SELによりワード線WLA<i>、WLB<i>のどちらのワード線を選択するかを決定する。
【0037】
このようにして本実施形態では、データの書き込み時又は読み出し(通常読み出し)時には2つの不揮発性メモリセルを同時に選択し、ベリファイ(ベリファイ読み出し)時には1つの不揮発性メモリセル毎に選択する制御が可能になる。なお、図3(A)に示したワードドライバ<i>15−iの構成は一例であり、これに限定されるものではない。ワードドライバ<i>15−iは、図3(B)に示したように、信号DEC<i>、MODE、SELに応じたワード線WLA<i>、WLB<i>の選択制御を行えれば良く、その構成は任意である。
【0038】
図4は、本実施形態における各動作時の印加電圧の例を示す図である。不揮発性メモリセルに対するデータの書き込み時には、ワード線電源VWLは電圧VDD1に制御され、選択するワード線には電圧VDD1が印加され、非選択のワード線は基準電位VSSとされる。また、選択するビット線は基準電位VSSとされ、非選択のビット線はフローティング状態とされる。電圧VDD1は、データの読み出し(通常読み出し)時又はベリファイ(ベリファイ読み出し)時に印加される電圧VDD2よりも高い電圧である。
【0039】
また、不揮発性メモリセルに対するデータの読み出し(通常読み出し)時又はベリファイ(ベリファイ読み出し)時には、ワード線電源VWLは電圧VDD2に制御され、選択するワード線には電圧VDD2が印加され、非選択のワード線は基準電位VSSとされる。また、選択するビット線は、基準電位VSSにプリチャージされた後にフローティング状態とされ、非選択のビット線はフローティング状態とされる。
【0040】
図5は、本実施形態における動作シーケンスの一例を示す図である。図5には、データの書き込み及びベリファイ(ベリファイ読み出し)を含む書き込み工程の動作シーケンスを示している。
【0041】
ロウアドレスのデコード結果に応じたデコード信号DEC<i>により1つのワードドライバ<i>15−iが選択される。さらに、信号MODEにより、2つのワード線が選択される制御にし、選択されたワードドライバ<i>15−iが、接続される2つのワード線WLA<i>、WLB<i>を同時に選択することで、1つのビットを構成する2つの不揮発性メモリセル11A、11Bに同時にデータの書き込みを行う(501)。
【0042】
次に、信号MODEにより、2つのワード線のうちのどちらか一方のワード線が選択される制御に切り替える。そして、選択されたワードドライバ<i>15−iが、信号SELにより、接続される2つのワード線WLA<i>、WLB<i>のうちのどちらか一方のワード線を選択することで、不揮発性メモリセル11A、11Bの一方に対するベリファイを行う。ベリファイ成功であれば、選択されたワードドライバ<i>15−iが、信号SELにより、もう一方のワード線を選択することで、不揮発性メモリセル11A、11Bの他方に対するベリファイを行う(502)。
【0043】
ベリファイの結果、不揮発性メモリセル11A、11Bのそれぞれに対してベリファイ成功であれば、PASSと判定し(503)、どちらか一方でもベリファイ成功でなければFAILと判定して(504)、書き込み工程を終了する。ベリファイにおける判定は、例えば、読み出したデータを書込・ベリファイ・読出回路16から外部に出力し、テスタや評価回路等により期待値と比較することにより行う。
【0044】
なお、データの読み出し(通常読み出し)では、ロウアドレスのデコード結果に応じたデコード信号DEC<i>により1つのワードドライバ<i>15−iが選択される。さらに、信号MODEにより、2つのワード線が選択される制御にし、選択されたワードドライバ<i>15−iが、接続される2つのワード線WLA<i>、WLB<i>を同時に選択することで、1つのビットを構成する2つの不揮発性メモリセル11A、11Bに対して同時にデータの読み出しを行う。
【0045】
本実施形態によれば、1ビットのデータを第1の不揮発性メモリセル11A及び第2の不揮発性メモリセル11Bに記憶するOTPメモリにて、データの書き込み時又は読み出し(通常読み出し)時には2つの不揮発性メモリセルを同時に選択して書き込み又は読み出しを行う。データの書き込み後にデータが正しく書き込まれたか否かを確認するベリファイ(ベリファイ読み出し)時には1つの不揮発性メモリセル毎に個別に選択してベリファイを行う。
【0046】
これにより、図6に示すように、従来の手法では良品(PASS)と判定される、1ビットを構成する2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bの内の一方が書き込み不足又は書き込み失敗である場合(ケース2及びケース3)、本実施形態では不良(FAIL)と判定される。また、従来の手法では良品(PASS)と判定される可能性があった、1ビットを構成する2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bがともに書き込み不足である場合(ケース4)、本実施形態では不良(FAIL)と判定される。
【0047】
つまり、本実施形態では、1ビットを構成する2つの不揮発性メモリセルMC−A、MC−Bのどちらもデータが十分に書き込めた状態である場合(ケース1)だけ、ベリファイにおいて良品(PASS)と判定される。その結果、劣化による不良発生頻度が小さくなり、高い信頼性を保障できることになる。
【0048】
また、書き込み工程におけるベリファイ(ベリファイ読み出し)に要する時間は、データの書き込みに要する時間と比較して非常に短いので、1つの不揮発性メモリセル毎に個別に選択してベリファイを行っても、書き込み工程に要する時間はほとんど増加しない。したがって、本実施形態によれば、書き込み工程のコストの増大を抑制しつつ、書き込み後のデータの信頼性を向上させることができる。
【0049】
ここで、ゲート絶縁膜破壊型の不揮発性メモリセルは、ベリファイによりFAILと判定された場合でも、追加でデータの書き込みを行うことが可能である。また、既にデータの書き込みが完了している不揮発性メモリセルに追加で書き込みを行っても不都合はない。そこで、図7に示すように、ベリファイによりFAILと判定された場合には、再びデータの書き込みを行うようにしても良い。
【0050】
図7は、本実施形態における動作シーケンスの他の例を示す図である。図7には、データの書き込み及びベリファイ(ベリファイ読み出し)を含む書き込み工程の動作シーケンスを示している。
【0051】
図5に示した動作シーケンスと同様にして、1つのビットを構成する2つの不揮発性メモリセル11A、11Bに同時にデータの書き込みを行い(701)、1つの不揮発性メモリセル毎に個別にベリファイを行う(702)。ベリファイの結果、不揮発性メモリセル11A、11Bのそれぞれに対してベリファイ成功であれば、PASSと判定し(703)、書き込み工程を終了する。
【0052】
一方、ベリファイの結果、不揮発性メモリセル11A、11Bのどちらか一方でもベリファイ成功でなければ、データの書き込み及びベリファイ(ベリファイ読み出し)を行った回数を示すカウント値の判定を行う(704)。判定の結果、カウント値がしきい値THA未満である場合には、カウント値を1増加させ、再び2つの不揮発性メモリセル11A、11Bに対するデータの書き込みを行う(701)。また、判定の結果、カウント値がしきい値THAである場合には、FAILと判定して(705)、書き込み工程を終了する。
【0053】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
11A、11B 不揮発性メモリセル
12 アドレスレジスタ
13 ロウデコーダ
14 カラムデコーダ
15 ワードドライバ
16 書込・ベリファイ・読出回路
WLA、WLB ワード線
BL ビット線
21 選択トランジスタ
22 メモリセルトランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8