(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成によると、LED部を構成するLED回路と、LED駆動手段を構成する点灯回路と、これらを保護するための保護回路とが一体的に形成されている。そのため、LEDモジュールと点灯装置(電源装置)とが別置されるような構成に上記の保護回路を適用しようとすると、LEDモジュールと点灯装置との間に多数の複雑な配線が必要となり、現実的な実施とはならない。また更に、既存の点灯装置に後から接続されるLEDモジュールに上記の保護回路を適用することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、点灯装置から独立して構成されたLEDモジュール及びLED照明装置において、点灯装置との間に別途の配線を要することなくLEDモジュール又は点灯装置の異常保護を可能とする構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態による、第1及び第2の端子を有するLEDモジュールは、第1の端子にアノード端が接続されたLEDと、LEDのカソード端と第2の端子の間に接続されたスイッチ素子と、LEDモジュールの温度を検出する温度検出回路と、温度検出回路によって検出される検出温度が閾値未満である場合にスイッチ素子を導通させ、検出温度が閾値以上となる場合にスイッチ素子を開放するように構成された制御回路とを備える。
【0007】
上記LEDモジュールには、LEDに直列接続されたスイッチ素子と、LEDモジュールの温度を検出する温度検出回路と、検出温度が所定値未満である場合にスイッチ素子を導通させ、検出温度が所定値以上である場合にスイッチ素子を開放するように構成された制御回路が設けられる。これにより、点灯装置から独立して構成されたLEDモジュールにおいて、点灯装置との間に別途の配線を要することなくLEDモジュール又はLEDモジュールに接続される点灯装置の異常保護が可能となる。
【0008】
本発明の第2の形態による、第1の端子を有するLEDモジュール及び第2の端子を有するスイッチモジュールを備えるLED照明装置は、LEDモジュールに含まれ、第1の端子にアノード端が接続されたLEDと、スイッチモジュールに含まれ、LEDのカソード端と第2の端子の間に接続されたスイッチ素子と、温度検出素子を有し、LEDモジュールの温度を検出するように構成され、少なくとも温度検出素子がLEDモジュールに含まれ、残余の部分がスイッチモジュールに含まれた温度検出回路と、温度検出回路によって検出される検出温度が閾値未満である場合にスイッチ素子を導通させ、検出温度が閾値以上となる場合にスイッチ素子を開放するように構成され、全部又は一部がスイッチモジュールに含まれ、残余の部分がLEDモジュールに含まれた制御回路とを備える。
【0009】
上記LEDモジュールによると、LED及び温度検出素子が含まれるLEDモジュールと、LEDに接続されたスイッチ素子が含まれるスイッチモジュールが設けられる。そして、温度検出素子による検出温度が所定値未満である場合にスイッチ素子を導通させるとともに検出温度が所定値以上である場合にスイッチ素子を開放するように構成された制御回路が、LEDモジュールとスイッチモジュールに適宜分配されて実装される。これにより、点灯装置から独立して構成されたLEDモジュールを含むLED照明装置において、点灯装置との間に別途の配線を要することなくLEDモジュール又はLEDモジュールに接続される点灯装置の異常保護が可能となる。また、LEDだけが実装された既存のLEDモジュールに対しても、簡素な付加構成によって上記の効果が得られる。
【0010】
上記第1の形態のLEDモジュール又は第2の形態のLED照明装置において、制御回路がサイリスタを含み、サイリスタのアノード端子がスイッチ素子の制御端子に接続されるとともに抵抗を介して第1の端子に接続され、サイリスタのカソード端子が第2の端子に接続され、検出温度が閾値以上となると第2の端子に対する電圧が上昇する回路によってサイリスタが導通するように構成することが好ましい。この構成によると、検出温度の異常上昇時にサイリスタに保持電流が流れ、その導通状態が保持される。したがって、スイッチ素子の非導通状態、すなわちLEDの消灯による保護状態が維持され、異常又は故障の進展を確実に防止することができる。
【0011】
また、制御回路がトランジスタを含み、トランジスタのコレクタ端子がスイッチ素子の制御端子に接続されるとともに抵抗を介して第1の端子に接続され、トランジスタのエミッタ端子が第2の端子に接続され、検出温度が閾値以上となると第2の端子に対する電圧が上昇する回路によってトランジスタがオンするように構成してもよい。この構成によると、異常発生後に異常が解消された場合に、スイッチ素子の導通、すなわちLEDの点灯を復帰させることができる。
【0012】
また、制御回路が第1及び第2のトランジスタを含み、第1のトランジスタのコレクタ端子がスイッチ素子の制御端子に接続されるとともに第1の抵抗を介して第1の端子に接続され、第1のトランジスタのエミッタ端子が第2の抵抗を介して第2の端子に接続され、第1のトランジスタのベース端子が第2のトランジスタのコレクタ端子に接続されるとともに第3の抵抗を介して第1の端子に接続され、第2のトランジスタのエミッタ端子が第1のトランジスタのエミッタ端子に接続され、検出温度が閾値以上となると第2の端子に対する電圧が低下する回路によって第2のトランジスタがオンするように構成してもよい。この構成によると、LEDの消灯動作から点灯復帰動作までの復帰特性を適宜設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
図1に、本発明の第1の実施形態によるLEDモジュール1のブロック図を示す。LEDモジュール1は点灯装置(電源装置又は安定器)5と別置される。LEDモジュール1は高電位側の端子T1及び低電位側の端子T2を有し、端子T1及びT2はそれぞれ点灯装置5の高電位出力端子T3及び低電位出力端子T4に配線W1及びW2を介して接続される。点灯装置5は、商用電源等の交流電源が入力されて所望の直流電流(LED電流)を出力するAC/DCコンバータであってもよいし、バッテリ等の直流電源が入力されて所望の直流電流(LED電流)を出力するDC/DCコンバータであってもよい。すなわち、点灯装置5からの直流電流がLEDモジュール1に供給される。
【0015】
LEDモジュール1は、端子T1−T2間に、LED10、スイッチ素子20、温度検出回路30及び制御回路40を備える。これらの回路要素は、例えば同一の基板に実装される。なお、各回路素子がどの回路に属するかについての分類は説明の便宜上のものであり、本発明を拘束するものではない。
【0016】
図2に、LEDモジュール1の回路構成を示す。以降において、端子T1と略同電位の回路配線をラインL1といい、端子T2と略同電位の回路配線をラインL2というものとする。また、端子T1及びT2は、配線W1及びW2がLEDモジュール1に接続されるノードを意味し、コネクタ、ソケット等で構成されていてもよいし、基板上に配置されたノードであってもよい。
【0017】
LED10は、複数のLED素子11が直列接続されたLEDアレイからなり、LED10のアノード端は端子T1、すなわちラインL1に接続される。なお、上記のLEDアレイは、複数のLED素子11が直並列接続されたものであってもよい。
【0018】
スイッチ素子20はLED10に直列接続され、本実施形態ではNPN型のMOSFETからなる。具体的には、スイッチ素子20のドレイン端子(入力端子)はLED10のカソード端に接続され、ソース端子(出力端子)は端子T2、すなわちラインL2に接続され、ゲート端子(制御端子)は後述する制御回路40に接続される。なお、スイッチ素子20は、IGBT等であってもよく、この場合は、入力端子がコレクタ端子であり、出力端子がエミッタ端子となる。以降において、スイッチ素子20を、必要に応じてFET20ともいう。また、本明細書において、FET、トランジスタ、サイリスタ、ダイアック等の半導体スイッチ素子について、「導通」及び「オン」は実質的に同義であるものとし、「非導通」、「オフ」及び「開放」も実質的に同義であるものとする。
【0019】
温度検出回路30は、抵抗31及び温度検出素子であるPTC(正特性)サーミスタ32の直列回路からなる。抵抗31がラインL1に接続され、PTCサーミスタ32がラインL2に接続され、ラインL1−L2間の電圧が抵抗31とPTCサーミスタ32によって分圧される。周囲温度(本体温度)が上昇するとPTCサーミスタ32の抵抗値及び両端電圧が上昇し、これによりLEDモジュール1の温度上昇が検出される。なお、LEDモジュール1の温度は、回路基板の温度であってもよいし、LED10の近傍の雰囲気温度であってもよい。また、LEDモジュール1が筐体に含まれる場合には、LEDモジュール1の温度は、その筐体内部又は外面のいずれかの箇所の温度であればよい。
【0020】
制御回路40は、サイリスタ41、抵抗42、45及び47、ダイアック43、ツェナーダイオード44並びにコンデンサ46を有する。サイリスタ41のアノード端子はFET20のゲート端子に接続されるとともに、抵抗42を介してラインL1に接続され、カソード端子はラインL2に接続される。サイリスタ41の制御端子はダイアック43の一端に接続され、ダイアック43の他端は抵抗31とPTCサーミスタ32の接続点に接続される。PTCサーミスタ32の電圧がラインL2に対して上昇してダイアック43がオンすると、サイリスタ41が導通する。ツェナーダイオード44及び抵抗45がFET20のゲート−ソースに並列接続され、サイリスタ41の非導通時におけるゲート−ソース間電圧を適正化する。コンデンサ46及び抵抗47は、温度検出回路30の出力部からサイリスタ41の制御端子への入力電圧及び電流並びにダイアック43の動作条件を適正化する。なお、ダイアック43の代わりにツェナーダイオード等他のスイッチ素子を用いることも可能である。
【0021】
以下に、LEDモジュール1の動作を説明する。概略として、制御回路40は、温度検出回路30によって検出される検出温度が異常閾値未満である場合(正常点灯時)にはスイッチ素子20を導通させ、検出温度が異常閾値以上となる場合(異常発生時)にはスイッチ素子20を開放させる。すなわち、LEDモジュール1は、正常点灯時にはLED10を点灯させ、異常時にはLED10への電流経路を遮断してLED10を消灯する。
【0022】
LEDモジュール1(特に、LED10)において検出温度が異常閾値以上となる原因として、主に以下が想定される。
第1に、点灯装置5の出力電流制御(例えば、定電流制御)に異常が発生し、LED10の定格電流を超える出力電流がLED10に投入されている場合に、LEDモジュール1において異常な温度上昇が発生し得る。
第2に、LEDモジュール1が夜間のみに点灯される設定であるにもかかわらず、点灯装置5に別途接続される自動点滅器の故障により日中にLED10が点灯されてしまった場合に、LEDモジュール1において異常な温度上昇が発生し得る。
第3に、LEDモジュール1の端子T1又はT2(あるいは、配線W1又はW2)が点灯装置5の出力端子に正しく接続されない場合(例えば、点灯装置5の入力端子に接続された場合等)に、LED10の定格を超える電流又は電圧がLED10に投入され、LEDモジュール1において異常な温度上昇が発生し得る。
第4に、LEDモジュール1が、それに適合しない点灯装置(HID用安定器、銅鉄安定器、定格電流、定格電圧又は定格電力の過大なLED電源装置等)に接続された場合に、LED10の定格を超える電流、電圧又は電力がLED10に投入され、LEDモジュール1において異常な温度上昇が発生し得る。
なお、上記第1乃至第4のような異常が発生した状態においては、LEDモジュール1若しくは点灯装置5又はその両方が故障する可能性がある。
【0023】
正常点灯時、すなわち、検出温度が異常閾値未満の場合においては、PTCサーミスタ32の抵抗値及びその両端電圧は相対的に低い。この場合、ダイアック43にかかる電圧はダイアック43の降伏電圧以下であり、ダイアック43はオフ状態に維持される。これにより、サイリスタ41の制御端子に電流は流れず、サイリスタ41は非導通状態に維持される。したがって、ラインL1−L2間の電圧を抵抗42及び45で分圧した電圧のうちの抵抗45の両端電圧(ツェナーダイオード44によってクランプされる場合にはそのクランプ電圧、以下同じ)がFET20のゲート−ソース端子間に印加される。これにより、FET20は導通状態に維持される。
【0024】
一方、異常時において、検出温度が異常閾値以上となると、PTCサーミスタ32の抵抗値及びその両端電圧(すなわち、ラインL2に対する電圧)が上昇する。そして、ダイアック43にかかる電圧がダイアック43の降伏電圧を超え、ダイアック43がオン状態となる。これにより、サイリスタ41の制御端子に電流が流れ、サイリスタ41が導通状態となる。したがって、FET20のゲート−ソース間電圧が実質的にゼロとなり、FET20はオフされる。そして、抵抗42からサイリスタ41を介してラインL2に流れる電流がサイリスタ41の保持電流となり、サイリスタ41の導通状態及びFET20の非導通状態が維持される。このFET20の非導通状態は、点灯装置5からLEDモジュール1への給電が停止してから再開されるまで継続される。この構成によると、異常時にサイリスタ41の導通状態がラッチされ、スイッチ素子20の非導通状態、すなわちLED10の消灯による保護状態が維持され、異常又は故障の進展を確実に防止することができる。
【0025】
以上のように、本実施形態によると、LED10に直列接続されたスイッチ素子20と、LEDモジュール1の温度を検出する温度検出回路30と、検出温度が所定値未満である場合にスイッチ素子20を導通させ、検出温度が所定値以上となる場合にスイッチ素子20を開放するように構成された制御回路40がLEDモジュール1に設けられる。これにより、点灯装置5から独立して構成されたLEDモジュール1において、点灯装置5との間に別途の配線を要することなくLEDモジュール1又は点灯装置5の異常保護が可能な構成が提供される。
【0026】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態ではLEDモジュール内にLED10、スイッチ素子20、温度検出回路30及び制御回路40が含まれる構成を示したが、本実施形態では、上記構成要素がLEDモジュール及びスイッチモジュールに分散されて配置される構成を示す。
図3に、本実施形態によるLEDモジュール2及びスイッチモジュール3を含むLED照明装置4のブロック図を示す。なお、本実施形態において、第1の実施形態と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
LEDモジュール2は高電位側の端子T1を有し、端子T1は点灯装置5の高電位出力端子T3に配線W1を介して接続される。スイッチモジュール3は低電位側の端子T2を有し、端子T2は点灯装置5の低電位出力端子T4に配線W2を介して接続される。このように、LED照明装置4は点灯装置5から別置される。本実施形態では、LEDモジュール2とスイッチモジュール3とは、後述する各配線によって相互に接続される。あるいは、LEDモジュール2とスイッチモジュール3とがコネクタ等によって接続され、一体形成されるようにしてもよい。
【0028】
LEDモジュール2は、LED10、及び温度検出回路30の少なくともPTCサーミスタ32を含む部分(以下、「温度検出回路30´」という)を含む。LEDモジュール2の基板B1には、LED10及び温度検出回路30´が実装される。スイッチモジュール3は、スイッチ素子20、(ある場合には)温度検出回路30の温度検出回路30´以外の部分、及び制御回路40の全部又は一部(以下、「制御回路40´」という)を含む。スイッチモジュール3の基板B2には、スイッチ素子20及び制御回路40´が実装される。なお、制御回路40のうちの制御回路40´に含まれない残余の部分がある場合には、その部分は基板B1に実装される。言い換えると、温度検出回路30の主たる部分は温度検出回路30´としてLEDモジュール2に含まれ、制御回路40の主たる部分は制御回路40´としてスイッチモジュール3に含まれる。なお、PTCサーミスタ32は基板B1に対して半田付けされて固定されていてもよいし、半田付けされずに固定されていてもよい。
【0029】
図4A及び
図4Bに、LED照明装置4の回路構成の例を示す。
図4A又は
図4Bに示すように、基板B1には、LED10及びPTCサーミスタ32(温度検出回路30´)が実装され、基板B2には、スイッチ素子20、抵抗31及び制御回路40が実装される。基板B1において、PTCサーミスタ32は、いずれの回路とも電気的には接続されていないが、部品本体が基板B1上に実装又は配置される。そして、LEDモジュール2に含まれるPTCサーミスタ32及びスイッチモジュール3に含まれる抵抗31によって検出されるLEDモジュール2の温度が制御回路40に入力される。
【0030】
図4Aに示す例では、LEDモジュール2は配線W3〜W6によってスイッチモジュール3に接続される。LED10のカソード端が端子T31−配線W3−端子T32を介してFET20のドレイン端子に接続され、ラインL1が端子T41−配線W4−端子T42を介して抵抗31及び42に接続される。そして、PTCサーミスタ32の高電位側端子が端子T51−配線W5−端子T52を介してダイアック43と抵抗31の接続点に接続され、PTCサーミスタ32の低電位側端子が端子T61−配線W6−端子T62を介してラインL2に接続される。
【0031】
図4Bに示す例でも、LEDモジュール2は配線W3〜W6によってスイッチモジュール3に接続されるが、配線W4の構成が
図4Aの例と異なる。
図4Bの例においては、配線W4は、端子T1と端子T42の間に、例えばLEDモジュール2の外部に(すなわち、内部を通らずに)直接接続される。この場合、端子T41が不要となる。
【0032】
このような部品の分配により、LED10及びPTCサーミスタ32を含むLEDモジュール2と、スイッチ素子20、抵抗31及び制御回路40を含むスイッチモジュール3とが比較的少ない配線及び端子で接続される。また、LED10が実装されただけの既存のLEDモジュールに対しても、簡素な構成を付加するだけでLEDモジュール2乃至はLED照明装置4を構成することができる。特に、PTCサーミスタ32が基板B1に半田付けされず、かつ配線W4が端子T1に直接接続される構成の場合(
図4B)には、LED10のみが実装された既存のLEDモジュールの基板において配線パターンを変更する必要がなく、基板のコスト管理上好ましい。
【0033】
また、代替例として、
図5に示すように、LEDモジュール2(基板B1)に、LED10、温度検出回路30及び抵抗42が実装され、スイッチモジュール3(基板B2)に、スイッチ素子20、及び制御回路40の抵抗42以外の部分(制御回路40´)が実装されるようにしてもよい。
【0034】
この場合、LEDモジュール2は配線W3及びW6〜W8によってスイッチモジュール3に接続される。
図4A及び
図4Bに示す例と同様に、LED10のカソード端が端子T31−配線W3−端子T32を介してFET20のドレイン端子に接続され、PTCサーミスタ32の低電位側端子が端子T61−配線W6−端子T62を介してラインL2に接続される。そして、
図5に示すように、抵抗42が、端子T71−配線W7−端子T72を介してサイリスタ41のアノード側の回路配線に接続され、PTCサーミスタ32の高電位側端子が端子T81−配線W8−端子T82を介してダイアック43に接続される。
【0035】
この分配においては、LEDモジュール2(基板B1)とスイッチモジュール3(基板B2)の間で、高電位側のラインL1の電位が印加され得る配線が配線W3のみとなり(スイッチ素子20の非導通時)、基板B2上では、全体として低電圧回路が構成される。これにより、スイッチモジュール3における絶縁設計が比較的容易となる。
【0036】
なお、上記の端子T31〜T82の各々は、関連する配線が各モジュールに接続されるノードを意味し、コネクタ、ソケット等で構成されていてもよいし、各モジュールに設けられた挿通孔であってもよいし、各基板上に設けられたノードであってもよい。
【0037】
LED照明装置4の動作について、LED照明装置4の回路構成は第1の実施形態のLEDモジュール1(
図2)の回路構成と同一であるから、その動作も第1の実施形態において説明したLEDモジュール1の動作と同様である。
【0038】
以上のように、本実施形態によるLED照明装置4は、LED10及び温度検出回路30の少なくとも温度検出素子31が含まれるLEDモジュール2と、LED10に接続されたスイッチ素子20が含まれるスイッチモジュール3を備える。そして、検出温度が所定値未満である場合にスイッチ素子20を導通させるとともに検出温度が所定値以上となる場合にスイッチ素子20を開放するように構成された制御回路40が、LEDモジュール2とスイッチモジュール3に適宜分配されて実装される。これにより、点灯装置5から独立して構成されたLEDモジュール2を含むLED照明装置4において、点灯装置5との間に別途の配線を要することなくLEDモジュール2又は点灯装置5の異常保護が可能な構成が提供される。また、LEDだけが実装された既存のLEDモジュールに対しても、簡素な付加構成によって上記の効果が得られる。
【0039】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。以下の変形例1及び2は制御回路40に関するものであり、変形例3及び4は温度検出回路30に関するものである。これらの変形例1又は2と変形例3又は4とは、特に断りがない限り、相互に組合せることが可能である。
【0040】
(1)変形例1(制御回路40の変形)
上記各実施形態においては、制御回路40における制御用のスイッチ素子としてサイリスタ41を用いたが、サイリスタ41の代わりにトランジスタを用いてもよい。これにより、検出温度が異常閾値以上となった後に異常閾値未満に戻ると、LED10の点灯が復帰するように構成することができる。
図6に、本変形例による制御回路40を有するLEDモジュール1を示す。本変形例において、第1の実施形態と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、制御回路40はトランジスタ48を有し、トランジスタ48のコレクタ端子がFET20のゲート端子に接続され、エミッタ端子がラインL2に接続され、ベース端子がダイアック43に接続される。なお、トランジスタ48にはゲート抵抗が適宜付加されてもよいし、トランジスタ48を抵抗内蔵型のトランジスタとしてもよい。
【0042】
正常点灯時、すなわち、検出温度が異常閾値未満の場合においては、PTCサーミスタ32の抵抗値及びその両端電圧は相対的に低く、ダイアック43はオフ状態に維持される。したがって、トランジスタ48のベース端子に電流は流れず、トランジスタ48はオフ状態に維持される。これにより、ラインL1−L2間の電圧を抵抗42及び45で分圧した電圧のうちの抵抗45の両端電圧がFET20のゲート−ソース間に印加され、FET20は導通状態に維持される。
【0043】
一方、異常が発生して検出温度が異常閾値以上となると、PTCサーミスタ32の抵抗値及びその両端電圧(ラインL2に対する電圧)が上昇し、ダイアック43がオン状態となる。したがって、トランジスタ48のベース端子に電流が流れ、トランジスタ48がオン状態となる。これにより、FET20のゲート−ソース電圧が実質的にゼロとなり、FET20はオフされる。その後、検出温度が異常閾値未満に戻り、PTCサーミスタ32の抵抗値及びその両端電圧が低下すると、再び上記の正常点灯時の動作状態が得られる。
【0044】
このように、本変形例の構成によると、異常発生後に異常が解消された場合にスイッチ素子20の導通状態、すなわちLED10の点灯を復帰させることができる。なお、本変形例を第1の実施形態のLEDモジュール1の変形として説明したが、本変形例の構成は第2の実施形態のLED照明装置4にも適用可能である。この場合、
図4又は
図5に示す回路配置において、サイリスタ41をトランジスタ48に置き換えるだけでよい。
【0045】
(2)変形例2(制御回路40の変形)
上記各実施形態においては、制御回路40における制御用のスイッチ素子としてサイリスタ41を用いたが、サイリスタ41の代わりにトランジスタを用いたシュミットトリガ回路を用いてもよい。これにより、温度検出回路30による検出温度変化に対するLED10の点灯復帰動作にヒステリシスをもたせることができる。
図7に、本変形例による制御回路40を有するLEDモジュール1を示す。本変形例において、第1の実施形態と実質的に同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、温度検出回路30はPTCサーミスタ33及び抵抗34の直列回路からなり、PTCサーミスタ33がラインL1に接続され、抵抗34がラインL2に接続される。周囲温度が上昇するとPTCサーミスタ33の抵抗値及び両端電圧が増加するとともに抵抗34の両端電圧が減少し、これによりLEDモジュール1の温度上昇が検出される。
【0047】
制御回路40は、サイリスタ41の代わりにトランジスタ49及び50並びに抵抗51及び52を含む。トランジスタ49のコレクタ端子は、FET20のゲート端子に接続されるとともに抵抗42を介してラインL1に接続される。トランジスタ49のエミッタ端子は、抵抗51を介してラインL2に接続される。トランジスタ49のベース端子は、トランジスタ50のコレクタ端子に接続されるとともに抵抗52を介してラインL1に接続される。トランジスタ50のエミッタ端子はトランジスタ49のエミッタ端子に接続され、ベース端子はダイアック43に接続される。
【0048】
正常点灯時、すなわち、検出温度が異常閾値未満の場合においては、PTCサーミスタ33の抵抗値及び両端電圧は相対的に低いために抵抗34に発生する電圧は相対的に高く、ダイアック43はオン状態に維持される。したがって、トランジスタ50のベース端子に電流が流れ、トランジスタ50はオン状態に維持される。これにより、トランジスタ49のベース端子に電流は流れず、トランジスタ49はオフ状態に維持される。したがって、ラインL1−L2間の電圧を抵抗42と抵抗45で分圧した電圧のうちの抵抗45の両端電圧がFET20のゲート−ソース端子間に印加される。これにより、FET20は導通状態に維持される。
【0049】
一方、異常が発生して検出温度が異常閾値以上となると、PTCサーミスタ33の抵抗値及び両端電圧が上昇するために抵抗34に発生する電圧(ラインL2に対する電圧)が低下し、ダイアック43はオフ状態となる。したがって、トランジスタ50のベース端子に電流は流れず、トランジスタ50はオフ状態となる。これにより、トランジスタ49のベース端子に電流が流れ、トランジスタ49はオン状態となる。したがって、ラインL1−L2間の電圧を抵抗42と抵抗45及び51の並列回路で分圧した電圧のうちの抵抗45及び51の両端電圧がFET20のゲート−ソース端子間に印加される。なお、このときの抵抗45及び51の両端電圧がFET20のオン閾値よりも低くなるように各抵抗値が設定されるものとする。これにより、FET20がオフされる。
【0050】
ここで、トランジスタ49がオフ状態からオン状態(FET20が導通から非導通)に移行するのに必要なダイアック43の出力よりも、トランジスタ49がオン状態からオフ状態(FET20が非導通から導通)に移行するのに必要なダイアック43の出力の方が大きい。したがって、検出温度が異常閾値を超えてLED10が消灯されてから、検出温度が所定量以上低下した後にLED10の点灯が復帰する。この所定量(ヒステリシスの量)は、抵抗42、51及び52の値を適宜設定することにより決定される。
【0051】
このように、本変形例の構成によると、LED10の消灯動作から点灯復帰動作までの間隔を所望の長さに設定することができる。なお、本変形例を第1の実施形態のLEDモジュール1の変形として説明したが、本変形例の構成は第2の実施形態のLED照明装置4にも適用可能である。この場合、
図7における破線Aより上側の回路(LED10及びPTCサーミスタ33)がLEDモジュール2(基板B1)に含まれ、破線Aより下側の回路(スイッチ素子20、抵抗34及び制御回路40)がスイッチモジュール3(基板B2)に含まれる。
図7に示すように、破線Aによって分断される回路配線は3か所だけであるので、より少ない配線でLEDモジュール2とスイッチモジュール3とを接続することができる。
【0052】
(3)変形例3(温度検出素子の変形)
上記各実施形態においては、温度検出回路30の温度検出素子としてPTCサーミスタを用いたが、周囲温度(本体温度)が上昇すると抵抗値が減少するNTC(負特性)サーミスタを用いてもよい。この場合、例えば、
図8に示すように、ラインL1にNTCサーミスタ35が接続され、NTCサーミスタ35とラインL2の間に抵抗36が接続され、NTCサーミスタ35と抵抗36の接続点がダイアック43に接続される。本変形例の回路動作は、第1の実施形態で説明した回路動作と実質的に同じである。
【0053】
なお、本変形例を第1の実施形態のLEDモジュール1の変形として説明したが、本変形例の構成は第2の実施形態のLED照明装置4にも適用可能である。この場合、
図8に示すように、破線Bより上側の回路(LED10及びNTCサーミスタ35)がLEDモジュール2(基板B1)に含まれ、破線Bより下側の回路(スイッチ素子20、抵抗36及び制御回路40)がスイッチモジュール3(基板B2)に含まれる。あるいは、
図8に示すように、破線Cより上側の回路(LED10、NTCサーミスタ35及び抵抗42)がLEDモジュール2(基板B1)に含まれ、破線Cより下側の回路(スイッチ素子20、抵抗36、及び制御回路40の残余の部分)がスイッチモジュール3(基板B2)に含まれるようにしてもよい。いずれの場合も、
図8に示すように、破線B又はCによって分断される回路配線は3か所だけであるので、より少ない配線でLEDモジュール2とスイッチモジュール3とを接続することができる。
【0054】
(4)変形例4(温度検出素子の変形)
上記各実施形態では、温度検出回路30の温度検出素子として復帰型の素子(PTCサーミスタ)を用いた。一方、点灯装置5のみの保護を目的として、すなわち、一度異常が検出されたLEDモジュール1又は2を再使用しない前提であれば、温度検出素子として温度ヒューズ等の非復帰型を用いてもよい。温度ヒューズを用いる場合、温度ヒューズの動作温度が異常閾値に設定される。各実施形態において、PTCサーミスタ32の代わりに温度ヒューズが用いられる場合、LEDモジュール1又は2の温度が上記動作温度に達すると温度ヒューズが溶断し、その結果サイリスタ41が導通し、スイッチ素子20がオフされる。その後は、点灯装置5からLEDモジュール1又は2への給電状態にかかわらず、スイッチ素子20は非導通状態となり、LED10の消灯が継続される。なお、本変形例は、非復帰型の保護動作を前提とするものであるので、制御回路40における制御用のスイッチ素子としてサイリスタ41(各実施形態)を用いる構成又はトランジスタ48(変形例1)を用いる構成を採用することが望ましい。