(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充放電制御装置は、平常時には予め定められた所定の時間帯に前記バッテリに対する充電を実行し、非常時には前記所定の時間帯に限らず前記バッテリに対する充電を実行する
請求項1または2に記載の電力供給システム。
前記充放電制御装置は、衝撃を検知する衝撃検知器を備え、前記電力供給ユニットから切り離され、かつ前記バッテリに接続された状態において前記衝撃検知器が衝撃を検知すると前記バッテリから外部への電力供給を禁止する
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態に係る電力供給システムおよびごみ処理システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[第1実施形態]
図1から
図21を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、電力供給システムおよびごみ処理システムに関する。
図1は、本発明の実施形態に係るごみ処理システムを示す図である。ごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3、ごみ収集車5、バッテリ1、および電力供給ユニット2を含む。
【0016】
ごみ焼却式発電設備3は、ごみGを焼却することで発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電設備である。ごみ焼却式発電設備3は、補助燃料として化石燃料を用いることなく、ごみGを燃焼させることができる。ごみ焼却式発電設備3は、発電した電力をごみ焼却式発電設備3の各装置に対して供給する。ごみ焼却式発電設備3は、ごみ焼却式発電設備3の消費電力を上回る発電能力を有している。すなわち、ごみ焼却式発電設備3は、系統電力(商用電源)からの供給を受けることなく、自家発電の電力によって継続して操業することが可能である。ごみ焼却式発電設備3は、系統電力と接続されており、系統電力からの受電および系統電力への送電(売電)が可能である。
【0017】
本実施形態のごみ収集車5は、電気自動車である。ごみ収集車5は、動力源としてのモータ5bを有する。モータ5bは、供給される電力を、走行用の動力および架台5aを駆動する動力に変換する。なお、走行用のモータ5bと架台5aの駆動用のモータ5bは独立していてもよい。ごみ収集車5には、バッテリ1が搭載可能である。ごみ収集車5は、バッテリ1をモータ5bに対する電力源とする。ごみ収集車5は、ごみGを圧縮しながら架台5aの内部に収納する。ごみ収集車5は、収集したごみGをごみ焼却式発電設備3に運搬し、ピット31に投入する。
【0018】
バッテリ1は、可搬式であり、充放電可能な二次電池である。バッテリ1は、ごみ収集車5の運転席と架台5aの間のスペースに搭載される。本実施形態のごみ収集車5には、1台につき1つのバッテリ1が搭載される。
【0019】
電力供給ユニット2は、ごみ焼却式発電設備3において発電された電力をバッテリ1に対して供給する。電力供給ユニット2は、複数のバッテリ1を搭載可能であり、バッテリ1を収納する収納設備(貯蔵設備)としての機能を有している。ごみ収集車5は、1日に複数の収集ルートを巡回する。ごみ収集車5は、1つの収集ルートのごみ収集を完了すると、ごみ焼却式発電設備3へ移動して、収集したごみGをピット31へ投入する。ごみ収集車5は、ごみ焼却式発電設備3に到着してから次の収集ルートへ出発するまでの間に、使用済みのバッテリ1を充電済の別なバッテリ1と交換する。ごみ収集車5は、例えば、1つの収集ルートにおける収集が完了するごとにバッテリ1を交換する。
【0020】
図2に示すように、電力供給ユニット2は、バッテリ1を収納する収納部11を複数有している。本実施形態の電力供給システム10は、1台のごみ収集車5に対して複数のバッテリ1を有している。例えば、1日のごみ収集について1台のごみ収集車5が5つのバッテリ1を使用する場合、1台につき少なくとも5つのバッテリ1が準備される。電力供給システム10が有する電力供給ユニット2の台数は、1日に稼働する全ごみ収集車5に必要な数のバッテリ1を全て収納可能な数である。各収納部11には、1つのバッテリ1が収納される。
【0021】
図2に示すように、電力供給ユニット2は、ごみ処理場の構内道路に隣接して設置されている。電力供給ユニット2には、ごみ焼却式発電設備3において発電された交流電力が供給される。ごみ収集車5は、収集作業用に使用した後のバッテリ1を電力供給ユニット2によって充電された新たなバッテリ1と交換する。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2に収納されたバッテリ1を取り出して運搬し、ごみ収集車5に搭載する機能、およびごみ収集車5に搭載されたバッテリ1を取り出して運搬し、電力供給ユニット2に収納する機能を有する。バッテリ運搬装置6の詳細については後述する。
【0022】
図3には、収納部11の拡大図が示されている。本実施形態の電力供給システム10は、バッテリ1、電力供給ユニット2、および充放電制御装置4を含む。
図3に示すように、収納部11には、支持板12と、スプリング13と、固定棒14と、ローラコンベア15が配置されている。なお、以下の説明では、収納部11に対してバッテリ1が出入りする移動方向であり、かつ水平な方向をY軸方向と称する。また、水平面上でY軸と直交する方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向と称する。X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、互いに直交する。
【0023】
支持板12は、各収納部11の奥部に設置されている板状の部材である。スプリング13は、支持板12の下端と電力供給ユニット2の躯体との間に介在しており、支持板12を下方から支持している。すなわち、支持板12は、電力供給ユニット2の躯体に対して鉛直方向(Z軸方向)に相対移動可能である。
【0024】
固定棒14は、支持板12が電力供給ユニット2の躯体に対してY軸方向へ相対移動することを規制すると共に、Z軸方向への相対移動を許容する支持部材である。固定棒14は、電力供給ユニット2の躯体に固定されている。固定棒14は、X軸方向に延在している棒状の部材であり、支持板12に対してY軸方向の両側に平行に配置されている。一対の固定棒14は、支持板12がZ軸方向に移動することを許容するように、支持板12の厚みよりもわずかに大きな隙間を設けて配置されている。
【0025】
充放電制御装置4は、バッテリ1に対する充電およびバッテリ1からの電力供給を制御する制御装置である。また、充放電制御装置4は、バッテリ1および電力供給ユニット2のそれぞれに対して着脱可能である。本実施形態の充放電制御装置4の形状は、直方体形状である。充放電制御装置4は、例えば、ボルトおよびナットのような締結部材によって支持板12に対して固定されている。
【0026】
ローラコンベア15は、収納部11に収納されるバッテリ1を充放電制御装置4に導くガイド機構であり、かつバッテリ1を下方から支持する支持部材でもある。ローラコンベア15は、複数のローラ15bと、ローラ15bを回転自在に支持する枠15aを有する。ローラ15bは、X軸方向の回転軸線周りに回転する。複数のローラ15bは、Y軸方向に沿って、所定の間隔で互いに平行に配置されている。バッテリ1は、ローラ15bの上に載置されて押し込まれると、ローラコンベア15によって矢印Y1で示すように充放電制御装置4に向けて案内される。一対の枠15aのX軸方向における間隔の大きさは、ローラコンベア15の手前側の端部15cから奥側の端部15dへ向かうに従って小さくなる。つまり、一対の枠15aによって、充放電制御装置4とバッテリ1とのX軸方向の位置合わせがなされる。奥側の端部15dにおける枠15aの間隔は、充放電制御装置4とバッテリ1とのX軸方向のずれの大きさが許容範囲内の値となるように設定されている。また、スプリング13は、バッテリ1がローラコンベア15の奥側の端部15dにあるときの充放電制御装置4とバッテリ1とのZ軸方向のずれの大きさが許容範囲内の値となるように設計されている。
【0027】
本実施形態のバッテリ1の形状は、直方体形状である。バッテリ1は、最も面積が大きい面(以下、「側面」と称する。)1aがX軸方向と直交するように、ローラコンベア15上に載置される。バッテリ1には、上部保持部材7および下部保持部材8が取り付けられている。後述するバッテリ運搬装置6は、各保持部材7,8を保持しながらバッテリ1を運搬する。本実施形態の上部保持部材7の形状は、直方体形状である。上部保持部材7は、バッテリ1の両側の側面1a,1aにそれぞれ固定されている。上部保持部材7は、バッテリ1の上部に配置されており、バッテリ1の前端面1bから後端面1cまで延在している。上部保持部材7には、溝部7aが設けられている。溝部7aは、上部保持部材7におけるバッテリ1と対向する面に設けられており、上部保持部材7の前端から後端まで形成されている。本実施形態では、溝部7aの断面積は、前端側から後端側へ向かうに従って大きくなっている。
【0028】
下部保持部材8は、バッテリ1の下面に固定されている。本実施形態の下部保持部材8の形状は、直方体形状である。下部保持部材8は、バッテリ1の前端面1bから後端面1cまで延在している。下部保持部材8には、貫通孔8aが設けられている。貫通孔8aは、下部保持部材8の前端から後端まで貫通している。本実施形態では、貫通孔8aの断面積は、前端側から後端側へ向かうに従って大きくなっている。
【0029】
図4に示すように、充放電制御装置4の対向面4bには、コネクタ41およびガイドピン42が配置されている。対向面4bは、充放電制御装置4とバッテリ1が接続される際にバッテリ1と対向する面である。ガイドピン42は、コネクタ41に隣接して配置されており、コネクタ41よりもY軸方向に突出している。ガイドピン42は、断面形状が円形の棒状部材である。ガイドピン42は、基端から先端へ向かうに従って断面積が減少する先細形状である。本実施形態のコネクタ41の形状は、直方体形状である。ガイドピン42は、コネクタ41におけるバッテリ1と対向する面の対角線上に1本ずつ配置されている。
【0030】
バッテリ1の前端面1bには、コネクタ41と対応するコネクタ18が配置されている。コネクタ18は、バッテリ1に接続された案内部16と、案内部16から突出するコネクタ部17を有する。充放電制御装置4は、コネクタ41がコネクタ部17と係合することでバッテリ1と接続され、コネクタ41がコネクタ部17から外れることでバッテリ1と遮断される。このように、充放電制御装置4は、バッテリ1に対して着脱可能となっている。コネクタ18は、案内部16の断面積がコネクタ部17の断面積よりも大きい2段形状となっている。本実施形態の案内部16およびコネクタ部17の形状は、直方体形状である。充放電制御装置4とバッテリ1は、コネクタ18,41を介して電気的に接続される。案内部16には、ガイド孔16aが設けられている。ガイド孔16aの直径は、ガイドピン42の先端の直径よりも大きい。ガイド孔16aの位置は、ガイドピン42の位置に応じて定められている。すなわち、ガイド孔16aは、コネクタ部17の対角線上にコネクタ部17に隣接して1つずつ設けられている。
【0031】
矢印Y2に示すようにバッテリ1が充放電制御装置4に接近していくと、ガイドピン42がガイド孔16aに挿入される。ガイドピン42の直径が先端から基端に向けて大きくなっていることから、バッテリ1が充放電制御装置4へ近づくことによりコネクタ41とコネクタ部17との位置合わせがなされる。ガイドピン42およびガイド孔16aからなる案内機構によって、X軸方向およびZ軸方向の位置合わせがなされて、コネクタ部17がコネクタ41と接続される。充放電制御装置4は、衝撃検知器43を備えている。衝撃検知器43は、例えば、加速度センサであり、充放電制御装置4に加えられた衝撃の大きさを検知する。
【0032】
図5には、充放電制御装置4の前面4aが示されている。前面4aは、対向面4bとは反対側の面である。
図5に示すように、充放電制御装置4の前面4aには、充電用接続部44、切替スイッチ45、残量メータ46、警告灯47、出力表示灯48、選択スイッチ49、コンセント50、および供給用接続部51が配置されている。
【0033】
充電用接続部44は、電力供給ユニット2から供給される電力の入力部である。
図3に示す支持板12には、充電用接続部44が露出するように、充電用接続部44に対応する孔部が設けられている。充電用接続部44には、電力供給ユニット2の充電用コネクタが接続される。
【0034】
図5に戻り、切替スイッチ45は、平常モードと非常モードの切り替え用のスイッチである。充放電制御装置4の平常モードは、平常時において実行されるモードであり、基本的に電力供給ユニット2に接続された状態で実行される。一方、充放電制御装置4の非常モードは、非常時において実行されるモードであり、電力供給ユニット2に接続された状態、および電力供給ユニット2から切り離された状態で異なる動作を行う。本実施形態における非常時は、系統電力の供給が停止・制限されている場合を含む。系統電力の供給が停止・制限される原因としては、例えば、地震、火災等の災害や、電力会社のシステムトラブルによる停電などが挙げられる。
【0035】
平常モードにおける充放電制御装置4の主な機能は、バッテリ1に対する充電制御である。充放電制御装置4は、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御する。非常モードの充放電制御装置4は、電力供給ユニット2に接続された状態では、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御する。非常モードの充放電制御装置4は、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態でバッテリ1から外部への電力供給を制御する。従って、本実施形態の充放電制御装置4は、バッテリ1と組み合わされることで、災害時における非常用の可搬式電源ユニットとして機能することができる。
【0036】
残量メータ46は、バッテリ1の残量を表示するメータである。警告灯47は、過負荷を警告するランプである。バッテリ1から充放電制御装置4を介して外部に電力を供給する際に、過負荷が検出されると警告灯47が点灯する。出力表示灯48は、バッテリ1から外部に電力を供給しているときに点灯する。選択スイッチ49は、バッテリ1から出力する交流電力の周波数を切り替えるスイッチである。コンセント50は、単相100Vの出力用のコンセントである。供給用接続部51は、三相200Vの出力用の接続部である。
【0037】
図6に示すように、充放電制御装置4は、入力用AC/DCコンバータ52、出力用DC/ACインバータ53、DC/DCコンバータ54、および制御部55を有する。入力用AC/DCコンバータ52は、DC/DCコンバータ54を介してバッテリ1と接続されている。入力用AC/DCコンバータ52は、ごみ焼却式発電設備3から供給される単相200Vの交流電力を直流電力に変換してDC/DCコンバータ54に送る。DC/DCコンバータ54は、双方向の電流を変圧することができる変圧器である。DC/DCコンバータ54は、入力用AC/DCコンバータ52から供給される電力をバッテリ1用の電圧に変圧してバッテリ1に充電することができる。また、DC/DCコンバータ54は、バッテリ1が放電する電力を予め定められた電圧に変圧して出力用DC/ACインバータ53に供給することができる。出力用DC/ACインバータ53は、DC/DCコンバータ54から供給される電力を単相100Vおよび三相200Vに変換して出力する。
【0038】
制御部55は、入力用AC/DCコンバータ52、出力用DC/ACインバータ53およびDC/DCコンバータ54を制御する制御装置であり、例えば、電子制御ユニットである。制御部55は、入力用AC/DCコンバータ52およびDC/DCコンバータ54に指令を与えてバッテリ1の充電制御を行う。制御部55は、出力用DC/ACインバータ53およびDC/DCコンバータ54に指令を与えてバッテリ1から外部への電力供給制御を行う。
【0039】
制御部55は、充放電制御装置4の切替スイッチ45が平常モードの位置に設定されている場合、予め定められた所定の時間帯にバッテリ1に対する充電を実行する。所定の時間帯は、例えば、系統電力の電力料金が安価となる夜間の時間帯である。ごみ焼却式発電設備3によって発電される電力によって夜間にバッテリ1の充電を実行し、系統電力の電力料金が高価となる時間帯、すなわち所定の時間帯以外の時間帯にはバッテリ1の充電を行わずに余剰電力を売電するようにすれば、ごみ処理システム100の経済性を向上させることができる。バッテリ1の充電を実行する際には、
図7に示すように、充放電制御装置4の充電用接続部44にごみ焼却式発電設備3が入力電源として接続される。充放電制御装置4は、ごみ焼却式発電設備3からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ1を充電する。
【0040】
制御部55は、充放電制御装置4の切替スイッチ45が非常モードの位置に設定されている場合、所定の時間帯に限らずバッテリ1に対する充電を実行する。制御部55は、非常時において、残量が低下したバッテリ1が接続された場合、常にバッテリ1に対する充電を行うことが好ましい。このようにすれば、ごみ収集車5の稼働用の電源を確保できるだけでなく、ごみ収集車5によって使用されていないバッテリ1を非常用の電源として公共施設や避難所等に配置することができる。
【0041】
ここで、電力供給ユニット2に併設されたバッテリ運搬装置6について説明する。
図8に示すように、バッテリ運搬装置6は、レール61、台車部62、ターンテーブル63、ガイド板64、上部アーム65、および下部アーム66を有する。一対のレール61は、X軸方向に沿って敷設されている。台車部62は、レール61に対応する車輪を有しており、レール61上を自走することができる。ターンテーブル63は、台車部62に対してZ軸周りに相対回転可能である。ターンテーブル63と台車部62との間には、台車部62に対してターンテーブル63を相対回転させる回転用アクチュエータが介在している。また、ターンテーブル63は、台車部62に対して、Y軸方向に相対移動可能である。ターンテーブル63と台車部62との間には、台車部62に対してターンテーブル63をY軸方向に相対移動させる位置調整用アクチュエータが介在している。
【0042】
ガイド板64は、ターンテーブル63と直交する板状のガイド部材である。ガイド板64は、ターンテーブル63上を直線移動可能である。バッテリ運搬装置6は、ガイド板64をターンテーブル63に対してターンテーブル63の長手方向に相対移動させるスライド用アクチュエータを有している。上部アーム65および下部アーム66は、ガイド板64に支持されており、かつZ軸方向に移動可能である。バッテリ運搬装置6は、上部アーム65および下部アーム66をZ軸方向に移動させる上下動用アクチュエータを有している。一対の上部アーム65、および下部アーム66は、ガイド板64の一方側の面に配置されている。上部アーム65は、上部保持部材7の溝部7aに挿入されて、上部保持部材7を介してバッテリ1を保持する。上部アーム65の全長は、溝部7aの全長よりも長い。下部アーム66は、下部保持部材8の貫通孔8aに挿入されて、下部保持部材8を介してバッテリ1を保持する。下部アーム66の全長は、貫通孔8aの全長よりも長い。
【0043】
バッテリ運搬装置6は、台車部62の位置や各アクチュエータの位置・作動量を検出するセンサ、および各アクチュエータを制御する制御部を有しており、バッテリ1の運搬を自動で行うことが可能である。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2に収納されたバッテリ1を搬出する場合、
図9に示すように、搬出対象のバッテリ1に対応する位置に台車部62を位置づけ、ガイド板64をバッテリ1の後端面1cと対向させる。バッテリ運搬装置6は、上下動用アクチュエータによって上部アーム65を溝部7aに対応する位置に位置づけ、下部アーム66を貫通孔8aに対応する位置に位置づける。バッテリ運搬装置6は、スライド用アクチュエータによって、矢印Y3で示すようにガイド板64をY軸方向にスライドさせて上部アーム65を溝部7aに、下部アーム66を貫通孔8aにそれぞれ挿入する。バッテリ運搬装置6は、各アーム65,66を溝部7aおよび貫通孔8aに所定位置まで挿入すると、上下動用アクチュエータによって各アーム65,66を上方に移動させてバッテリ1を持ち上げる。なお、収納部11からバッテリ1が搬出される際には、予めバッテリ1のコネクタ18が充放電制御装置4のコネクタ41から外されている。
【0044】
次に、バッテリ運搬装置6は、
図10に示すようにガイド板64をスライドさせてバッテリ1を搬出する。バッテリ運搬装置6は、電力供給ユニット2からのバッテリ1の搬出が完了すると、
図11に示すように回転用アクチュエータによってターンテーブル63を回転させ、
図12に示すようにバッテリ1の前端面1bを車両側に向ける。バッテリ運搬装置6は、ごみ収集車5へバッテリ1を搭載するための所定位置まで台車部62を車両側に向けて走行させる。バッテリ運搬装置6は、例えば、ごみ収集車5の停車位置を検出して、自動的にバッテリ1の位置を調整する。
図13に示すように、バッテリ運搬装置6は、台車部62を走行させてX軸方向におけるごみ収集車5とバッテリ1との相対位置を調整する。また、バッテリ運搬装置6は、位置調整用アクチュエータによって、Y軸方向におけるごみ収集車5とバッテリ1との相対位置を調整する。バッテリ運搬装置6は、X軸方向およびY軸方向の位置調整が完了すると、上下動用アクチュエータおよびスライド用アクチュエータによってバッテリ1をごみ収集車5の搭載位置まで運搬する。ごみ収集車5は、バッテリ1に接続するハーネスを有している。ハーネスは、例えば、ごみ収集車5のオペレータによってバッテリ1に着脱される。
【0045】
バッテリ運搬装置6は、ごみ収集車5からバッテリ1を回収して電力供給ユニット2に搬入する場合、上記の手順とは逆の手順を実行する。電力供給ユニット2からのバッテリ1の搬出およびごみ収集車5への搭載作業や、ごみ収集車5からのバッテリ1の回収および電力供給ユニット2への搬入作業は、例えば、オペレータの操作によって実行される。
【0046】
(非常時の電源ユニットの運搬)
災害による系統電力の停電時等の非常時には、バッテリ1および充放電制御装置4を組み合わせた電源ユニット20が非常用電源として用いられる。電源ユニット20は、例えば、
図14に示すように台車70に積載されて運搬される。
図15に示すように、非常時には、バッテリ1は、充放電制御装置4が接続された電源ユニット20の状態で電力供給ユニット2から搬出される。電源ユニット20は、バッテリ運搬装置6によって搬出され、台車70に積載される。また、使用済みの電源ユニット20は、バッテリ運搬装置6によって、台車70から回収されて電力供給ユニット2に搬入される。非常時には、バッテリ運搬装置6は手動操作される。バッテリ運搬装置6は、ごみ焼却式発電設備3を電源としているため、系統電力の停電時であっても動作可能である。台車70に積載された電源ユニット20は、例えば、トラック等の運搬車両によって各所への運搬および回収がなされる。
【0047】
電源ユニット20は、例えば、
図16に示すように、市役所や交番等の行政機関81において電源として使用される。なお、電源ユニット20は、ケース71の内部に収納されて使用されることが好ましい。電源ユニット20は、
図17に示すように、屋外の避難場所82の電源として使用されてもよい。電源ユニット20は、
図18に示すように、緊急時の治療所83の電源として使用されてもよい。電源ユニット20は、
図19に示すように、病院や診療所等の既存の診療設備84の電源として使用されてもよい。電源ユニット20は、
図20に示すように、コンビニエンスストア等の商業施設85の電源として使用されてもよい。電源ユニット20は、
図21に示すように、指定避難所等の避難施設86の電源として使用されてもよい。
【0048】
充放電制御装置4は、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態、すなわち電源ユニット20を構成する状態において、衝撃検知器43が衝撃を検知するとバッテリ1から外部への電力供給を禁止する。これにより、例えば、電力供給中の電源ユニット20が衝撃を受けた場合に電力供給を中止あるいは中断して安全を確保することができる。衝撃検知機43が検知する衝撃としては、例えば、地震による振動、電源ユニット20の運搬中の振動、載置されている電源ユニット20に車両や人がぶつかった場合の衝撃などが挙げられる。充放電制御装置4は、衝撃が検知された場合に、衝撃が検知されている間は電力供給を停止するようにしても、ユーザーによってリセット等の解除操作がなされるまで電力供給を停止するようにしてもよい。
【0049】
なお、充放電制御装置4は、電力供給ユニット2に接続された状態において、衝撃検知機43が衝撃を検知した場合に、バッテリ1に対する充電を禁止するようにしてもよい。この場合、切替スイッチ45が平常モードおよび非常モードの何れの位置にあっても充電が禁止されることが好ましい。充放電制御装置4は、衝撃が検知された場合に、衝撃が検知されている間はバッテリ1に対する充電を停止するようにしても、ユーザーによってリセット等の解除操作がなされるまで充電を停止するようにしてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る電力供給システム10によれば、バッテリ1と充放電制御装置4を組み合わせた可搬式の電源ユニット20を非常用の電源として活用することができる。また、電力供給システム10は、系統電力が停電している場合であってもごみ焼却式発電設備3によって発電される電力でバッテリ1を継続的に充電することができる。よって、電力供給システム10は、行政機関や治療施設などに非常用の電力を継続的に供給し、社会インフラの機能を維持させることができるという優れた効果を奏する。また、電力供給システム10は、避難施設や商業施設に非常用の電力を継続的に供給し、被災者の生活環境を向上させることができるという優れた効果を奏する。
【0051】
また、本実施形態に係るごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3と、可搬式のバッテリ1を収納する収納部11を備え、ごみ焼却式発電設備3において発電された電力をバッテリ1に対して供給する電力供給ユニット2と、バッテリ1を電力源とするモータ5bによって作動し、収集したごみGをごみ焼却式発電設備3に運搬するごみ収集車5と、を有する。本実施形態のごみ処理システム100は、ごみ焼却式発電設備3によって発電された電力を利用して、ごみ収集車5によってごみGを収集する。よって、化石燃料の供給や系統電力からの電力供給を受けることなくごみ収集サイクルを自立的に行うことが可能である。従って、本実施形態のごみ処理システム100は、従来のごみ処理システムと比較して環境に対する負荷が小さい。また、ごみ処理システム100は、系統電力が停電している場合であっても、ごみ焼却式発電設備3によって発電される電力によりごみ処理サイクルを継続することができる。
【0052】
また、本実施形態のごみ処理システム100は、更に、バッテリ1および電力供給ユニット2のそれぞれに対して着脱可能な充放電制御装置4を有しており、充放電制御装置4は、収納部11に収納されたバッテリ1と電力供給ユニット2との間に介在してバッテリ1に対する充電を制御し、電力供給ユニット2から切り離され、かつバッテリ1に接続された状態でバッテリ1から外部への電力供給を制御する。従って、本実施形態のごみ処理システム100は、停電時等の非常時にはバッテリ1と充放電制御装置4とを組み合わせた非常用の電源ユニット20により、非常用の電力を継続的に供給することができる。
【0053】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図22は、第1変形例に係るボールコンベアの斜視図である。第1変形例のボールコンベア73は、上記実施形態のローラコンベア15のローラ15bに代えて、ボール73bを有する。枠73a内には、複数のボール73bが配置されている。それぞれのボール73bは、回転自在に保持されている。バッテリ1は、ボール73bを回転させながら移動することができる。
【0054】
[実施形態の第2変形例]
非常用の電力源としてのバッテリ1は、トラック等の運搬車両に代えてごみ収集車5によって各所に集配されてもよい。この場合、ごみ収集車5は、電力供給ユニット2から行政機関81や屋外の避難場所82等(以下、単に「バッテリ使用箇所」と称する。)にバッテリ1を運搬する場合、供給用のバッテリ1を電力源としてバッテリ使用箇所まで走行する。運搬してきたバッテリ1は、バッテリ使用箇所においてごみ収集車5から下ろされ、使用済みのバッテリ1がごみ収集車5に搭載される。充放電制御装置4は、ごみ収集車5によってバッテリ1と共に運搬されるか、バッテリ使用箇所に予め準備されていることが望ましい。
【0055】
ここで、使用済みのバッテリ1には、ごみ収集車5を電力供給ユニット2まで走行させるために必要な電力量が残されている。ごみ収集車5は、回収したバッテリ1を電力源として電力供給ユニット2まで走行する。充放電制御装置4は、バッテリ使用箇所においてバッテリ1からの電力供給を制御する場合に、バッテリ1の残量が予め定められた所定量まで低下すると、バッテリ1からの電力供給を禁止する。上記の所定量は、バッテリ使用箇所から電力供給ユニット2までの走行距離に応じて定められる。なお、ごみ収集車5は、ごみGの収集を行いながらバッテリ使用箇所までバッテリ1を運搬するようにしても、回収したバッテリ1をごみGの収集を行いながら電力供給ユニット2まで運搬するようにしてもよい。
【0056】
[実施形態の第3変形例]
上記実施形態では、1台のごみ収集車5に1つのバッテリ1が搭載されていたが、バッテリ1の搭載数は複数であってもよい。例えば、1台のごみ収集車5に2つのバッテリ1が搭載されてもよい。この場合、非常時には一方のバッテリ1をごみ収集車5のモータ5bの電力源とし、他方のバッテリ1を非常用の電力源として各所に集配するようにしてもよい。他方のバッテリ1は、充放電制御装置4が装着された電源ユニット20として運搬可能であることが望ましい。
【0057】
[実施形態の第4変形例]
非常時には、ごみ収集車5から架台5aを外し、電源ユニット20を運搬するバッテリ運搬車両として使用するようにしてもよい。あるいは、非常時には、ごみ収集車5の架台5a内に電源ユニット20を収納して運搬するようにしてもよい。
【0058】
[実施形態の第5変形例]
上記実施形態のごみ収集車5は、走行用および架台5aの駆動用の動力源がいずれもモータ5bであったが、モータ5bは走行用あるいは架台5aの駆動用の何れか一方の動力源とされてもよい。
【0059】
上記の実施形態および各変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。