特許第6384269号(P6384269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車エンジニアリング株式会社の特許一覧 ▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000002
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000003
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000004
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000005
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000006
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000007
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000008
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000009
  • 特許6384269-自動車用カバー 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384269
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】自動車用カバー
(51)【国際特許分類】
   B60J 11/04 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   B60J11/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-219518(P2014-219518)
(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公開番号】特開2016-84085(P2016-84085A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】濱田 一弥
(72)【発明者】
【氏名】山碕 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康司
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−248947(JP,A)
【文献】 実開昭55−157022(JP,U)
【文献】 特開平09−039582(JP,A)
【文献】 特開平04−019220(JP,A)
【文献】 特開2012−126267(JP,A)
【文献】 実開昭53−013725(JP,U)
【文献】 特開2009−254136(JP,A)
【文献】 実開平05−060922(JP,U)
【文献】 米国特許第5845958(US,A)
【文献】 特開平11−059295(JP,A)
【文献】 実開昭60−128814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉蓋により開閉される充電口が設けられた車体を覆う自動車用カバーであって、
前記車体を覆い前記充電口に対応した箇所に充電用開口部が設けられた本体部と、筒状を成して前記充電用開口部から延設された筒部とを備え、
前記筒部は、前記筒部の内部で前記充電口を開いた状態の前記開閉蓋を収容できかつ前記充電口に接続された充電ガンの収容を可能とした断面積で形成され、
前記筒部の長さは、前記充電口に接続された前記充電ガンの全長部分を収容できる寸法で形成されている、
ことを特徴とする自動車用カバー。
【請求項2】
前記筒部の先部の開口を閉塞し、同開口の閉塞状態を保持可能な閉塞保持部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の自動車用カバー。
【請求項3】
前記本体部に設けられ、前記筒部を前記充電用開口部から前記本体部の内側に挿入した状態で前記充電用開口部を覆う蓋部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用カバー。
【請求項4】
前記閉塞保持部は、前記筒部の先部の全周に沿って通された紐を含んで構成され、
前記紐の先部は、前記蓋部に取着されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動車用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーから供給される電力によって駆動される電気モータが搭載された車両としてプラグインハイブリッド車や電気自動車などの電動車が提供されている。
これらの電動車の車体には、充電口が設けられており、バッテリーの充電の際には、充電口に充電ガンを接続し、充電ガンから電力が供給されることでバッテリーが充電される(特許文献1参照)。
ところで、駐車時に車体を雨、塵埃、雪などから保護するために、車体を覆う自動車用カバーが提供されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254136号公報
【特許文献2】実開平5−60922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば自宅の駐車スペースに駐車した電動車に対してバッテリーの充電を行なう場合は、商用電源にケーブルを介して接続された充電ガンを充電口に接続して充電を行なうことが多い。
充電には、数時間がかかるため、車体を雨や塵埃から保護する観点から自動車用カバーを車体に被せたままで充電を行なうことが望ましい。
この場合、充電口に対応する自動車用カバーの箇所に蓋部で開閉される開口部を設け、充電時には蓋部を開放して開口部から充電口を露出させ、充電口に充電ガンを接続するようにすることが考えられる。
しかしながら、充電ガンが接続された状態では、開口部から充電ガンおよび充電口が自動車用カバーの外側に露出していることから、雨、塵埃、雪から充電ガンおよび充電口を保護する上で改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、充電時において充電ガンおよび充電口を雨、塵埃、雪から確実に保護する上で有利な自動車用カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、開閉蓋により開閉される充電口が設けられた車体を覆う自動車用カバーであって、前記車体を覆い前記充電口に対応した箇所に充電用開口部が設けられた本体部と、筒状を成して前記充電用開口部から延設された筒部とを備え、前記筒部は、前記筒部の内部で前記充電口を開いた状態の前記開閉蓋を収容できかつ前記充電口に接続された充電ガンの収容を可能とした断面積で形成され、前記筒部の長さは、前記充電口に接続された前記充電ガンの全長部分を収容できる寸法で形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記筒部の先部の開口を閉塞し、同開口の閉塞状態を保持可能な閉塞保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動車用カバー。
請求項3記載の発明は、前記本体部に設けられ、前記筒部を前記充電用開口部から前記本体部の内側に挿入した状態で前記充電用開口部を覆う蓋部を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記閉塞保持部は、前記筒部の先部の全周に沿って通された紐を含んで構成され、前記紐の先部は、前記蓋部に取着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、充電口に充電ガンが接続された状態でも、筒部によって充電口および充電ガンを覆うことが可能となるので、充電時に充電口や充電ガンを雨、塵埃、雪等から確実に保護することができ、自動車用カバーの商品価値を高める上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、強風等により、筒部がめくれて充電口や充電ガンが露出することを確実に防止することができるので、充電口と充電ガンとを雨、塵埃、雪等から保護する上でより一層有利となる。
請求項3記載の発明によれば、充電を行わない場合に、筒部が本体部の外側に露出することを防いで筒部を通じて雨、塵埃、雪等が本体部の内側に侵入することを防止することができ、車体を雨、塵埃、雪等から保護する上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、蓋部を開放した状態で紐が孔内に露出するため、その紐を把持して孔から引き出すことにより、筒部を容易に孔から引っ張り出すことができ、充電時の作業性の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の自動車用カバーの使用状態を車両の前方から見た斜視図である。
図2】自動車用カバーの蓋部を閉塞した状態を示す図である。
図3】自動車用カバーの蓋部を開放した状態を示す図である。
図4】自動車用カバーの充電用開口部から筒部が引き出された状態を示す図である。
図5】筒部の上面に面ファスナーを介して蓋部が貼り付けられた状態を示す図である。
図6】充電口に充電ガンが接続された状態を示す図である。
図7】筒部を延ばした状態を示す図である。
図8】筒部の開口が閉塞された状態を示す図である。
図9】自動車用カバーの変形例において自動車用カバーの蓋部を開放した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の自動車用カバーが使用される車両は、バッテリーから供給される電力によって駆動される電気モータが搭載されたプラグインハイブリッド車、電気自動車などの電動車である。
図6に示すように、電動車の車体10には、凹部12が設けられ、凹部12の底壁1202にはバッテリーに接続された充電口14が設けられている。凹部12には、充電口14を開閉する開閉蓋16(リッド)が設けられている。
本実施の形態では、充電口14は、車体10の側部に設けられている。
【0009】
図1図8に示すように、自動車用カバー18は、本体部20と、筒部22と、閉塞保持部24と、蓋部26とを含んで構成されている。
本体部20は、電動車の車体10を覆うものであり、防水性のシートにより車体10に対応した大きさと形状で構成され、充電口14に対応した箇所に充電用開口部28が設けられている。
本実施の形態では、充電用開口部28は、矩形状を呈し、凹部12の開口がその内側に収容される大きさで形成されている。
また、図3図4に示すように、本体部20の外面の箇所で充電用開口部28の下縁と、前縁と、後縁とに沿って面ファスナー30が取着されている。
【0010】
筒部22は、本体部20の充電用開口部28から延びる筒状の部材であり、防水性のシートで構成されている。筒部22は、その基部が充電用開口部28の周囲で本体部20に縫製や接着等によって接合されている。すなわち、筒部22は、充電用開口部28を囲む筒状に形成され、筒部22の先部の開口2201と充電用開口部28とが連通した構成とされている。
筒部22は、筒部22の内部で充電口14を開いた状態の開閉蓋16を収容できかつ充電口14に接続された充電ガン2の収容を可能とした断面積で形成されている。
本実施の形態では、筒部22は、断面矩形状を呈している。
また、筒部22の長さは、充電口14に接続された充電ガン2の全長部分を収容できる寸法で形成されている。
筒部22は、不使用時(非充電時)は、図3に示すように、本体部20の内側(裏側)に垂れ下がった状態で収容され、使用時(充電時)には、図4図5に示すように、充電用開口部28から本体部20の外側に引き出された状態とされる。
図4に示すように、筒部22は、引き出された状態で上方に対向する上面に、後述する蓋部26の面ファスナー38のうち下縁の面ファスナー38と係合する面ファスナー32が取着されている。
【0011】
閉塞保持部24は、図8に示すように、筒部22の先部に設けられており、筒部22の先部の開口2201を閉じ、充電口14に接続された充電ガン2を覆った被覆状態に筒部22を保持するものである。
閉塞保持部24は、図7に示すように、筒部22の先部の開口2201の全周に沿って通された紐34を含んで構成されている。紐34の両端部は、筒部22の先部から露出されており、この紐34の両端部を引くことで開口2201が絞られて閉塞される仕組みとなっている。紐34には筒部22の開口2201を閉じた閉塞状態(絞った状態)で紐34が緩まないように紐34の位置を規制し、開口2201の閉塞状態を保持するコードストッパ36(留め具)が装着されている。なお、コードストッパ36は、従来公知の様々な構造のものを使用することができる。
また、コードストッパ36を用いることなく紐34を結ぶことで筒部22の開口2201を通された紐34が緩まないようにしてもよいが、コードストッパ36を用いると紐34の位置の規制を簡単かつ確実に行なう上で有利となる。
【0012】
蓋部26は、図2図3に示すように、充電用開口部28を開閉可能に覆うものであり、防水性のシートで構成されている。蓋部26は、充電用開口部28の上縁に接続されて上下に開閉可能とされており、筒部22を充電用開口部28から本体部20の内側(裏側)に挿入した状態で充電用開口部28を覆うように閉じられる。つまり、蓋部26は、充電を行わない場合に、筒部22が本体部20の外側に露出されないように充電用開口部22を閉塞できるよう構成されている。
また、図3図4に示すように、蓋部26の内面には、蓋部26の下縁、前縁、後縁に沿って面ファスナー38が設けられ、蓋部26が充電用開口部28を閉塞した状態で蓋部26の面ファスナー38と充電用開口部28の周囲の面ファスナー30とが係脱可能となっている。
なお、本実施の形態では、本体部20と筒部22と蓋部26は同一の材料で形成されている。
【0013】
次に、自動車用カバー18により電動車の車体10を覆った状態でバッテリーの充電を行なう場合の使用方法について説明する。
図1に示すように、予め、自動車用カバー18が電動車の車体10を覆った状態となっているものとする。
充電を行なわない場合、筒部22は充電用開口部28から本体部20の内側に挿入され、図2に示すように、蓋部26が充電用開口部28を閉塞した状態で蓋部26の面ファスナー38が充電用開口部28の周囲の面ファスナー30と係合されている。この状態では、筒部22が充電用開口部28から本体部20の外側に露出されるのを防ぎ、筒部22を通じて雨水や埃が本体部20の内部に侵入することが確実に防止されている。
【0014】
まず、図3に示すように、蓋部26を把持して蓋部26の面ファスナー38を充電用開口部28の周囲の面ファスナー30から引き離し、充電用開口部28を開放する。
次いで、図4に示すように、充電用開口部28内に位置する筒部22の部分を把持して、本体部20の内側に挿入されている筒部22を充電用開口部28から本体部20の外側に引き出す。
次いで、図5に示すように、筒部22の上面の面ファスナー32に蓋部26の面ファスナー38を係合させる。これにより充電用開口部28から引き出された筒部22の姿勢が僅かに保持される。
【0015】
次いで、図6に示すように、筒部22をめくって開閉蓋16を筒部22から露出させ、開閉蓋16を開いて充電口14を露出させ、充電ガン2を充電口14に接続する。なお、図中符号4は充電ガン2のケーブルを示す。
次いで、図7に示すように筒部22を伸ばし充電口14、開閉蓋16、充電ガン2を筒部22で覆った被覆状態とする。
そして、図8に示すように、紐34を引き筒部22の開口2201を絞って閉じたのち、コードストッパ36で紐34が緩まないように紐34の位置を規制する。
これにより筒部22を充電口14に接続された充電ガン2を覆うよう伸ばした被覆状態に保持する。
この状態で充電ガン2によるバッテリーの充電を実施する。
【0016】
以上説明したように本実施の形態では、自動車用カバー18の本体部20に充電口14に対応した充電用開口部28を設けると共に、充電用開口部28の周囲から延びる筒部22とを設け、筒部22の内部で充電口14を開いた状態の開閉蓋16を収容すると共に、充電口14に接続された充電ガン2を収容するようにした。
したがって、充電口14に充電ガン2が接続された充電中であっても、筒部22によって充電口14と充電ガン2を覆うことが可能となるので、充電口14と充電ガン2とを雨、塵埃、雪等から確実に保護することができ、自動車用カバー18の商品価値を高める上で有利となる。
【0017】
また、本実施の形態では、筒部22の先部に、筒部22の先部の開口2201を閉塞し、閉塞した状態を保持する閉塞保持部24が設けられているので、筒部22を充電ガン2全体を覆うように伸ばした被覆状態で筒部22の開口2201を閉じることで、筒部22を被覆状態に保持することができる。これにより、例えば、強風等によって筒部22が捲れて充電口14や充電ガン2が露出することを防止することができ、充電口14と充電ガン2とを雨、塵埃、雪等から保護する上でより一層有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、筒部22を充電用開口部28から本体部20の内側に挿入した状態で充電用開口部28を覆う蓋部26が本体部20に設けられているので、自動車用カバー18で車体10を覆った状態で充電を行わない場合に、筒部22が本体部20の外側に露出されるのを防止することができ、筒部22を通じて本体部20の内側に雨、塵埃、雪等が侵入することを確実に防ぐことができる。したがって、車体10を雨、塵埃、雪等から保護する上で有利となる。
【0019】
次に、図9を参照して変形例について説明する。
変形例では、上記実施の形態と同様に、閉塞保持部24は、筒部22の先部の全周に沿って通された紐34を含んで構成されているが、紐34の先部が蓋部26の内面2602の箇所に取着されている点が上記実施の形態と異なっている。
このような変形例によれば、上記実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、蓋部26を開放した状態で紐34が充電用開口部28から露出するため、その紐34を把持して充電用開口部28から引き出すことにより、本体部20の裏側にある筒部22を容易に充電用開口部28から本体部20の外側に引っ張り出すことができ、充電時の作業性の向上を図る上で有利となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、充電用開口部28を矩形状とし、筒部22を断面矩形状の筒状としているが、充電用開口部28が円形で、筒部22が円筒状であってもよい。
また、閉塞保持部24は、筒部22の開口2201を紐34で絞り込む構造としているが、開口2201を塞ぐ構成であれば、例えば、筒部22の開口2201の上下を面ファスナー等で接合して塞ぐような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
2 充電ガン
10 車体
14 充電口
16 開閉蓋
18 自動車用カバー
20 本体部
22 筒部
24 閉塞保持部
26 蓋部
28 充電用開口部
34 紐
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9