(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースには、前記ベースの内面側に取り付けられる給電ケーブル及び動力伝達ケーブルのうちの少なくとも一方を外面側に案内する案内溝が設けられ、前記案内溝は、車幅方向において内方に窪みかつ前記切欠き部の縁に開口端を有する
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両ドアモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車両ドアモジュールでは次の課題がある。すなわち、窓ガラスが上死点または下死点で停止するときに窓ガラス昇降装置のプーリに衝撃力が加わり、ベースが変形する。このようなベースの変形は、窓ガラスの上死点または下死点で停止する度に生じるため、ベースの劣化が促進される恐れがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベースの劣化を抑制することができる車両ドアモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両ドアモジュールは、インナーパネルの開口部に取り付けられるベースと、前記ベースに取り付けられる窓ガラス昇降装置とを備える車両ドアモジュールであって、前記窓ガラス昇降装置は、窓ガラスを牽引するケーブルを巻くドラムと、前記ドラムを回転させる窓ガラス昇降用モータと、前記ケーブルを案内する少なくとも1個のプーリとを備え、前記ベースには、前記プーリを支持しかつ前記インナーパネルの前記開口部の縁部に支持される支持部が設けられ
ており、前記インナーパネルの前記開口部の前記縁部において前記プーリが取り付けられる取付部は、前記開口部の中央に向かって延び、前記ベースには、前記取付部が嵌る切欠き部が設けられ、前記支持部が前記切欠き部の縁から前記ベースに対して段違いに突出し、前記取付部と前記切欠き部とが嵌合するように前記ベースが前記インナーパネルの前記開口部に配置されたときに前記支持部における前記プーリの配置部が前記取付部に配置される。
【0007】
この構成によれば、プーリが支持部を介してインナーパネルに固定されるため、窓ガラスが上死点または下死点で停止するときに窓ガラス昇降装置のプーリに加わる衝撃力をインナーパネルに分散させることができる。これにより、ベースに加わる衝撃力が低下するため、ベースの劣化が抑制される。
【0009】
この構成によれば、ベースにおいて切欠き部から段違いに支持部が突出することにより、切欠き部の周辺部と支持部との間に、車幅方向に幅のある隙間が設けられる。
車両ドアモジュールをインナーパネルに取り付けるとき、取付部を切欠き部に挿入してベースをインナーパネルの開口部に配置する。このため、支持部と取付部とが干渉し合う。上記構成によれば、隙間があることにより支持部と取付部との干渉が少なくなるため、車両ドアモジュールの取り付けが容易となる。
【0010】
上記車両ドアモジュールにおいて、前記支持部は、前記ベースが前記インナーパネルの前記開口部に配置された状態のとき前記取付部の延長方向に対して交差する。
この構成によれば、支持部の両側に存在する2つの隙間のうちの一方が他方に比べて大きくなる。このため、車両ドアモジュールをインナーパネルに取り付けるときの作業者の負担が軽減される。
【0011】
上記車両ドアモジュールにおいて、前記ベースには、前記インナーパネルを有する車両ドアを移動するドア移動装置が設けられ、前記ドア移動装置は、車両本体に接続されるケーブルをドラムで巻くことにより前記車両ドアを移動させるものであり、前記ケーブルが前記ドア移動装置から引き出される方向と前記支持部が突き出る方向とが一致する。この構成によれば、インナーパネルに対するケーブルの配置が簡単になる。
【0012】
上記車両ドアモジュールにおいて、前記ベースには、前記ベースの内面側に取り付けられる給電ケーブル及び動力伝達ケーブルのうちの少なくとも一方を外面側に案内する案内溝が設けられ、前記案内溝は、車幅方向において内方に窪みかつ前記切欠き部の縁に開口端を有する。
【0013】
給電ケーブル及び動力伝達ケーブル等のケーブルをベースの内面側から外面側に渡るように配置する手段として、例えば、ベースに貫通孔を設ける方法もある。この場合、ケーブルを貫通孔に挿通させる必要があり、手間を要する。この点、上記構成では、ケーブルを案内する案内溝が切欠き部に設けられているため、ケーブルを切欠き部に掛けるようにすることによりケーブルをベースの内面側から外面側に渡るように配置することができる。このため、ケーブルの取付作業が容易になる。
【0014】
上記車両ドアモジュールにおいて、前記支持部は補強部により補強されている。この構成によれば、支持部が補強されるため、支持部の劣化が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
上記車両ドアモジュールによれば、ベースの劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図5を参照して、車両ドアモジュール30について説明する。
図1は、車両1を俯瞰した平面図である。
図1では、ステアリングホイール1aの配置側が車両1の前側を示す。なお、以降の説明では、スライドドア10が車両本体2に取り付けられた状態で、車両1の上下方向と一致する方向を車両ドアモジュール30の「上下方向DZ」と規定する。車両1の前後方向と一致する方向を車両ドアモジュール30の「前後方向DY」と規定する。車両1の車幅方向と一致する方向を車両ドアモジュール30の「車幅方向DX」と規定する。
【0018】
スライドドア10は、車両本体2の乗降口3に取り付けられる。
スライドドア10は、乗降口3を閉鎖する全閉位置から、乗降口3を全開する全開位置までの範囲で、車両本体2に敷設されたドアレールに沿って移動する。スライドドア10は、全閉位置から車幅方向DXに移動可能に、かつ全閉位置から外側に移動した状態で前後方向DYに移動可能に、車両本体2に取り付けられている。
【0019】
図2は、スライドドア10の内部構造を示す模式図である。
スライドドア10は、アウターパネル11と、インナーパネル12と、インナーパネル12に取り付けられる車両ドアモジュール30と、窓ガラス4とを備えている。インナーパネル12の内側(車内側)には内装パネルが取り付けられる。
【0020】
インナーパネル12は、アウターパネル11の内側に取り付けられる。インナーパネル12には、車両ドアモジュール30が配置される開口部12aが設けられている。開口部12aの縁部12bの上辺側には、後述の窓ガラス昇降装置40のプーリ44が取り付けられる取付部12cがある。取付部12cは、開口部12aの中央に向けて延びる。取付部12cは、車幅方向DXからみて、縁部12b側に裾野を広げる山形に構成されている。また、取付部12cは、前後方向DYからみた断面視(
図5参照)で、外側に膨らむ形状(ボウル型)に形成されている。この構成により、取付部12cの曲げ強度が高められている。取付部12cにおいて最も外側に位置する部分は、プーリ44が配置される部分(以下、「中央部12d」という。)として構成されている。この中央部12dには、プーリ44の回転軸を固定するための貫通孔12eが設けられている。
【0021】
窓ガラス4は、インナーパネル12及び車両ドアモジュール30により構成されるインナー部材と、アウターパネル11との間の空間に収容され得る。
スライドドア10には、スライドドア10の前側に配置される第1ロック装置13と、スライドドア10の後側に配置される第2ロック装置14と、スライドドア10の下部に配置される第3ロック装置15とが設けられる。第1〜第3ロック装置13〜15は、アウターパネル11とインナーパネル12との間に配置される。
【0022】
第1ロック装置13は、車両本体2の乗降口3の前縁部に設けられたストライカ16a(
図1参照)に係合する。
第2ロック装置14は、車両本体2の乗降口3の後縁部に設けられたストライカ16b(
図1参照)に係合する。
【0023】
第3ロック装置15は、車両本体2の乗降口3の下縁部に設けられたストライカ(図示省略)に係合する。
スライドドア10は、全閉位置に位置するとき、第1及び第2ロック装置13,14に拘束される。また、スライドドア10は、全開位置に位置するとき、第3ロック装置15に拘束される。スライドドア10は、第1及び第2ロック装置13,14または第3ロック装置15により拘束されることによりその移動が制限される。
【0024】
図3を参照して、車両ドアモジュール30について説明する。
車両ドアモジュール30は、樹脂製のベース31と、窓ガラス4を昇降させる窓ガラス昇降装置40と、スライドドア10を移動させるドア移動装置50と、第1〜第3ロック装置13〜15を操作するドア開閉装置60とを備える。窓ガラス昇降装置40、ドア移動装置50及びドア開閉装置60はベース31に取り付けられている。
【0025】
窓ガラス昇降装置40は、窓ガラス4を牽引する第1及び第2ケーブル41,42と、第1及び第2ケーブル41,42を巻くドラム43と、ドラム43と協働して第1及び第2ケーブル41,42を張るプーリ44と、ドラム43を回転させる窓ガラス昇降用モータ45と、窓ガラス4の下端に取り付けられるキャリア46とを備える。
【0026】
ドラム43及びプーリ44は、ベース31の外面に配置される。また、プーリ44は、窓ガラス4が下死点(窓ガラス4の移動範囲における最下点)に位置するときの窓ガラス4の下端よりも上方に配置される。窓ガラス昇降用モータ45は、ベース31の内面(車幅方向DXにおける車内側の面。以下、同じ。)に配置される。窓ガラス昇降用モータ45とドラム43とは減速機47を介して接続される。なお、減速機47の出力軸は、ベース31に設けられた貫通孔を挿通して、ドラム43に接続される。
【0027】
第1ケーブル41はプーリ44で折り返されるように張られる。第1ケーブル41の一端はドラム43に、他端はキャリア46に接続される。
第2ケーブル42は、キャリア46に対して第1ケーブル41とは反対方向に延びるように張られる。第2ケーブル42の一端はキャリア46に、他端はドラム43に接続される。
【0028】
ドラム43の回転により第1ケーブル41または第2ケーブル42がドラム43に巻かれると、第1ケーブル41及び第2ケーブル42の移動に伴ってキャリア46が移動する。これにより、窓ガラス4が所定移動範囲内で昇降する。
【0029】
ドア移動装置50は、スライドドア10を牽引する第3及び第4ケーブル51,52と、第3及び第4ケーブル51,52を巻くドラム53と、ドラム53を回転させるドア移動用モータ54とを備える。ドラム53とドア移動用モータ54とは減速機を介して接続されている。
【0030】
第3ケーブル51及び第4ケーブル52それぞれの一端は車両本体2に接続される。第3ケーブル51及び第4ケーブル52それぞれの他端はドラム53に接続される。第3ケーブル51のドラム53に対する巻き方向と第4ケーブル52のドラム53に対する巻き方向とは互いに逆である。ドラム53の回転により第3ケーブル51または第4ケーブル52がドラム53に巻かれると、スライドドア10が移動する。
【0031】
ドア開閉装置60は、スライドドア10の内側に配置されるインナーハンドル61と、各種の動作に基づいて第1〜第3ロック装置13〜15を動作させる伝達機構63とを備える。スライドドア10の外側に取り付けられるアウターハンドル62は、ドア開閉装置60に接続される。
【0032】
インナーハンドル61は、回転可能に車両ドアモジュール30のベース31に取り付けられている。インナーハンドル61は、内装パネルから車幅方向DXの内側(座席側)に突出するように設けられている。
【0033】
第1の所定操作(以下、「閉操作」という。)によりインナーハンドル61が第1の所定方向に回転するとき、この回転動作が伝達機構63を介して第3ロック装置15に伝達されて、第3ロック装置15が操作される。
【0034】
また、第2の所定操作(以下、「開操作」という。)によりインナーハンドル61が第2の所定方向に回転するとき、この回転動作が伝達機構63を介して第1及び第2ロック装置13,14それぞれに伝達されて第1及び第2ロック装置13,14が操作される。
【0035】
所定操作によりアウターハンドル62が所定方向に回転するとき、この回転動作が伝達機構63を介して第1〜第3ロック装置13〜15に伝達されて、伝達された動力により第1〜第3ロック装置13〜15が操作される。
【0036】
図3及び
図4を参照して、ベース31の構造及び各装置の配置について説明する。
図4は、
図3に示す車両ドアモジュール30の支持部33を外側から見た斜視図である。
ベース31は樹脂で成形される。例えば、ベース31は、発泡樹脂により形成される。発泡樹脂によれば、発泡しない樹脂に比べて、ベース31の厚みを増すことができ、これによりベース31の強度及び剛性が高まる。
【0037】
ベース31の周縁には、防止用シールが貼り付けられている。車両ドアモジュール30は、防水用シールが押し潰されるように、インナーパネル12の開口部12aに取り付けられる。これにより、ベース31の周縁とインナーパネル12の開口部12aとの間の隙間から水が浸入することが抑制される。
【0038】
ベース31の上縁部には、中央に向かって入り込む部分(切り欠いて形成されたように見えるため、以下では「切欠き部32」という。)が設けられている。切欠き部32には、窓ガラス昇降装置40のプーリ44を支持する支持部33が突出するように設けられている。切欠き部32は、インナーパネル12の取付部12cが嵌るように構成されている。例えば、切欠き部32は、車幅方向DXからみてV字形状に構成される。
【0039】
支持部33は、切欠き部32から延長する延長部33aと、延長部33aに設けられて窓ガラス昇降装置40のプーリ44が配置される部分(以下、プーリ配置部33b)とを有する。
【0040】
図4及び
図5に示されるように、支持部33は、切欠き部32の最下部から上方向かつ車幅方向DX外側に向かって斜めに延びる。すなわち、車幅方向DXにおいて、プーリ配置部33bがベース31と段違いに配置されるように支持部33が構成され、これにより、支持部33の両側に車幅方向DX及び前後方向DYに広がる隙間Sが構成される。
【0041】
また、ベース31の切欠き部32にインナーパネル12の取付部12cが嵌ったときにプーリ配置部33bが取付部12cの外面側に配置されるように、支持部33が構成されている。なお、プーリ44は、プーリ配置部33bの車幅方向DX外面側に配置される。
【0042】
また、
図4に示されるように、延長部33aの外面には、延長部33aを補強するための補強部が設けられている。補強部は、例えば、支持部33と一体成形される複数本のリブ33cとして構成される。リブ33cはベース31にまで延長する。すなわち、リブ33cの一端はベース31に接続され、他端は、支持部33の延長部33aの先端部まで延びる。プーリ配置部33bには、プーリ44の回転軸を支持するための貫通孔33dが設けられている。また、プーリ配置部33bには、プーリ44を囲む壁33eが設けられている。
【0043】
窓ガラス昇降装置40は次のようにベース31に配置される(
図3参照)。すなわち、ベース31の中央下部における内面に、窓ガラス昇降用モータ45及び減速機47が配置され、その外面には、窓ガラス昇降装置40のドラム43が配置される。
【0044】
ベース31の上方前部の内面には、ドア開閉装置60が配置される。ドア開閉装置60は、インナーハンドル61と複数個のレバー(伝達機構63)とを備える。このうちの幾つかのレバーは、動力伝達ケーブル17を介して上記第1〜第3ロック装置13〜15に接続されている。これら動力伝達ケーブル17は、ドア開閉装置60から延びてベース31の切欠き部32を通過してベース31の外面側に引き渡されて後述の案内溝34に沿うように延ばされる。そして、動力伝達ケーブル17は第1〜第3ロック装置13〜15にそれぞれ接続される。
【0045】
また、ベース31には、窓ガラス昇降用モータ45等の各電装品に電力を供給するための給電モジュール70が取り付けられる。給電モジュール70は、複数本の給電ケーブル71から構成されている。このうちの数本の給電ケーブル71はベース31の内面側に配置されている電装品に接続され、残りの給電ケーブル71はベース31の切欠き部32を通過してベース31の外面側に引き渡され更に案内溝34に沿うように延ばされて、ベース31の外面側に配置される電装品に接続される。
【0046】
図4に示されるように、ベース31の切欠き部32には、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71を案内する案内溝34が設けられている。案内溝34は、ベース31の切欠き部32の縁において支持部33以外の部分から延びるように構成され、かつ車幅方向DXの内側に窪むように構成される。案内溝34における切欠き部32側の端部は、切欠き部32を含む面(概ね、ベース31が広がる方向に延びる平面)に対して垂直な面を含む開口端面として構成される。すなわち、案内溝34は、ベース31が広がる方向に対して垂直な開口端34a(
図3参照)を有する。動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71は、このような開口端34aを通過してベース31の内面側から外面側に渡るように配置されるため、ベース31の内面側から外面側に渡る範囲において大きく屈曲されない。更に、案内溝34の開口端34aが切欠き部32の縁に構成されていることにより、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71を切欠き部32に掛けるだけで、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71は、ベース31の内面側から外面側に渡るように取り付けられる。このような作業は、ベース31に設けた貫通孔に動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71を挿通する作業に比べて、簡単である。
【0047】
また、案内溝34の開口端34aは、ベース31が広がる方向に対して垂直であるため、車両ドアモジュール30がインナーパネル12の開口部12aに配置されたときに、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71が、インナーパネル12の取付部12cとベース31とによって挟まれて押圧されるようなことがない。このため、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71の機能が損なわれることが抑制される。
【0048】
次に、本実施形態に係る車両ドアモジュール30の効果を説明する。
(1)本実施形態では、ベース31には、窓ガラス昇降装置40のプーリ44を支持する支持部33が設けられている。支持部33は、インナーパネル12の開口部12aの縁部12bに支持される。
【0049】
この構成によれば、プーリ44が支持部33を介してインナーパネル12に固定されるため、窓ガラス4が上死点または下死点で停止するときに窓ガラス昇降装置40のプーリ44に加わる衝撃力をインナーパネル12に分散させることができる。これにより、ベース31(支持部33を含む)に加わる衝撃力が低下するため、ベース31の劣化が抑制される。
【0050】
(2)上記実施形態では、インナーパネル12の開口部12aの縁部12bにおいてプーリ44が取り付けられる取付部12cは、開口部12aの中央に向かって延びる。ベース31には、インナーパネル12の取付部12cが嵌る切欠き部32が設けられている。ベース31の支持部33は切欠き部32の縁から段違いに突出する。インナーパネル12の取付部12cとベース31の切欠き部32とが嵌合するように当該ベース31がインナーパネル12の開口部12aに配置されたときに支持部33におけるプーリ配置部33b(プーリ44の配置部)が取付部12cに配置される。
【0051】
この構成によれば、ベース31において切欠き部32から段違いに支持部33が突出することにより、切欠き部32の周辺部と支持部33との間に、車幅方向DXに幅のある隙間Sが設けられる。
【0052】
車両ドアモジュール30をインナーパネル12に取り付けるとき、インナーパネル12の取付部12cを切欠き部32に挿入してベース31をインナーパネル12の開口部12aに配置する。このとき、支持部33と取付部12cとが互いに干渉し合うようになる。この点、上記構成によれば、切欠き部32の周辺部と支持部33との間に隙間Sがあることにより支持部33と取付部12cとの干渉が少なくなるため、車両ドアモジュール30の取り付けが容易となる。
【0053】
(3)上記実施形態では、ベース31には、ベース31の内面側に取り付けられる給電ケーブル71及び動力伝達ケーブル17を外面側に案内する案内溝34が設けられている。案内溝34は、車幅方向DXにおいて内方に窪みかつ切欠き部32の縁に開口端34aを有する。
【0054】
給電ケーブル71及び動力伝達ケーブル17等のケーブルをベース31の内面側から外面側に渡るように配置する手段として、例えば、ベース31に貫通孔を設ける方法もある。この場合、ケーブル17,71を貫通孔に挿通させる必要があり、手間を要する。この点、上記構成では、ケーブル17,71を案内する案内溝34がベース31の切欠き部32に設けられているため、ケーブル17,71を切欠き部32に掛けるようにすることによりケーブル17,71をベース31の内面側から外面側に渡るように配置することができる。このため、ケーブル17,71の取付作業が容易になる。
【0055】
(4)上記実施形態では、ベース31の支持部33はリブ33c(補強部)により補強されている。この構成によれば、支持部33がリブ33cで補強されるため、支持部33の劣化が抑制される。
【0056】
(5)上記実施形態では、案内溝34の開口端34aは、ベース31が広がる方向に対して垂直である。このため、車両ドアモジュール30がインナーパネル12の開口部12aに配置されたときに、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71が、インナーパネル12の取付部12cとベース31とによって挟まれることがないため、動力伝達ケーブル17及び給電ケーブル71の機能が損なわれることが抑制される。
【0057】
(6)上記実施形態では、プーリ44は、窓ガラス4が下死点に位置するときの窓ガラス4の下端よりも上方に配置される。
ベース31の周縁には防水用シールが設けられているが、支持部33の周囲には防水用シールが取り付けられない。これは、支持部33がインナーパネル12の取付部12cに配置されるように、切欠き部32から段違いに突出するためである。このため、窓ガラス4が濡れた状態でインナーパネル12とアウターパネル11との間に収容されると、支持部33の周囲から車両ドアモジュール30の内側(座席側)に水が漏れるおそれがある。特に、プーリ44が、窓ガラス4が下死点に位置するときの窓ガラス4の下端よりも下方に位置すると、窓ガラス4の下端から落ちる水滴によりプーリ44及び支持部33が濡れ、この水が支持部33を伝って車両ドアモジュール30の内面側に浸入する。この点、上記構成、すなわち、プーリ44が、窓ガラス4が下死点に位置するときの窓ガラス4の下端よりも上方に配置される構成によれば、窓ガラス4の下端から落ちる水滴がプーリ44及び支持部33に落ちることがなくなるため、このような経路での水の浸入が抑制されるようになる。
【0058】
なお、その他の実施形態を説明する。
・上記実施形態では、
図3に示されるように、ベース31の支持部33は切欠き部32の内側の空間を略二等分するように構成されているが、支持部33の構成はこれに限定されない。
【0059】
図6に示されるように、例えば、支持部33は、ベース31がインナーパネル12の開口部12aに配置された状態のとき取付部12cの延長方向DAに対して交差する。すなわち、支持部33の両側に存在する2つの隙間SA,SBのうちの一方が他方に比べて大きくなる。なお、取付部12cの延長方向DAとは、窓枠の下縁からの取付部12cの延びる方向を示す。実質的に、取付部12cは下方に延びる。
【0060】
車両ドアモジュール30をインナーパネル12に取り付けるとき、2つの隙間SA,SBのうち寸法が大きい隙間に取付部12cが挿入するように車両ドアモジュール30をインナーパネル12の開口部12aに近づける。具体的には、車両ドアモジュール30をインナーパネル12の前後方向DYに沿うように移動させて、支持部33をインナーパネル12の取付部12cの外側に配置させることが可能である。
【0061】
図7を参照して、車両ドアモジュール30をインナーパネル12に取り付ける方法を説明する。
図7は、インナーパネル12を外側から見た図である。
車両ドアモジュール30をインナーパネル12に取り付けるとき、まず、車両ドアモジュール30が、インナーパネル12の前方に配置される。そして、車両ドアモジュール30は後方に移動させる。そうすると、上述したように、支持部33とベース31との間の隙間SBにインナーパネル12の取付部12cが入り、取付部12cにおける車幅方向DX外側に支持部33が配置される。
【0062】
一方、支持部33の両脇の2つの隙間SA,SBが略同様の大きさに形成されている場合は、車両ドアモジュール30をインナーパネル12の下側に配置し、その状態から上方に移動させることにより、支持部33をインナーパネル12の取付部12cの外側に配置させる。車両ドアモジュール30を上方に持ち上げる作業は作業者にとって負担が大きい。この点、上記構成によれば、車両ドアモジュール30を上方に持ち上げる作業がないため、比較的負担が小さい。このように、上述の支持部33の構造によれば、2つの隙間SA,SBが略同様の大きさに形成されている場合に比べて、車両ドアモジュール30を取り付けるときの作業者の負担が軽減される。
【0063】
また、
図7に示されるように、第3,第4ケーブル51,52がドア移動装置50から引き出される方向と支持部33が突き出る方向とが一致する場合、次のような効果が得られる。
【0064】
車両ドアモジュール30をインナーパネル12に取り付けられるとき、上述したように、車両ドアモジュール30は後方に移動させる。
このとき、ドア移動装置50から引き出されているケーブル51,52は、インナーパネル12側に向かう。すなわち、第3,第4ケーブル51,52の移動方向は、ドア移動装置50に対する第3,第4ケーブル51,52の引き出し方向と一致する。このため、第3,第4ケーブル51,52をインナーパネル12のケーブル用挿通孔12fに簡単に挿通させることができる。すなわち、インナーパネル12に対する第3,第4ケーブル51,52の配置が簡単である。
【0065】
・上記実施形態において、車両ドアモジュール30のベース31には、上記に示した装置とは別の装置が取り付けられ得る。例えば、音響用のスピーカユニット等が取り付けられ得る。
【0066】
・上記実施形態では、ドア開閉装置60は複数本のレバーにより構成されているが、ドア開閉装置60の構造はこれに限定されない。また、インナーハンドル61の構造も実施形態に限定されない。
【0067】
・上記実施形態では、窓ガラス昇降装置40は、1個のプーリ44とドラム43とでケーブル41,42を張るものであるが、窓ガラス昇降装置40の構成はこれに限定されない。例えば、窓ガラス昇降装置40は、2個のプーリとドラム43とによりケーブル41,42を張るもの、または4個のプーリとドラム43とによりケーブル41,42を張るものとして構成され得る。
【0068】
・上記実施形態では、スライドドア10に取り付けられる車両ドアモジュール30に適用されているが、当該技術は、スイングドアに取り付けられる車両ドアモジュール30にも適用されうる。