特許第6384334号(P6384334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384334
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/76 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   H01H37/76 G
   H01H37/76 P
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-3079(P2015-3079)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2016-129097(P2016-129097A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大道寺 龍弥
(72)【発明者】
【氏名】杉沢 佑樹
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−226932(JP,A)
【文献】 特表2013−503441(JP,A)
【文献】 特表2010−522418(JP,A)
【文献】 特開2009−289507(JP,A)
【文献】 特開2013−258013(JP,A)
【文献】 特開2006−196189(JP,A)
【文献】 特開2007−280758(JP,A)
【文献】 特開平11−111137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電路と第2の導電路とが設けられている基板と、
前記第1の導電路と前記第2の導電路との電気的接続を遮断する温度ヒューズ構造であって、
熱溶融性の第1の導電材を介して前記第1の導電路に接続されているとともに、熱溶融性の第2の導電材を介して前記第2の導電路に接続されており、前記第1の導電材及び前記第2の導電材の各々の溶融温度より溶融温度が高い金属部材と、
前記第1の導電路と前記第2の導電路との電気的接続を遮断する方向に前記金属部材を付勢している付勢部と、
を備える温度ヒューズ構造と、
前記基板に搭載された発熱素子と、
前記基板が固定されている筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記基板が固定されている第1のケースと、前記第1のケースに組み付けられる第2のケースとを有し、
前記第2のケースには前記付勢部が設けられており、
前記付勢部は、前記第1のケースと前記第2のケースとを組み付ける際に前記金属部材に当接して前記遮断する方向とは逆方向に撓むことによって前記金属部材を前記遮断する方向に付勢している、電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記金属部材は、前記第1の導電路及び前記第2の導電路が接続されている接続部と、前記接続部から延出され、前記基板から離間して設けられた面を有する延出部とを有し、
前記付勢部は前記延出部を前記遮断する方向に付勢している、電気接続箱
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続箱であって、
前記延出部は前記接続部から前記基板とは逆側に延出しており、
前記付勢部は前記延出部を前記基板に略平行な方向に付勢している、電気接続箱
【請求項4】
請求項1に記載の電気接続箱であって、
前記基板には前記第1の導電路と前記第2の導電路との間に貫通孔が形成されており、
前記付勢部は前記基板と対向し、前記第1の導電路及び前記第2の導電路とは反対方向側から前記貫通孔を介して前記金属部材を前記基板に略垂直な方向に付勢している、電気接続箱
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
温度が上昇すると電気接続を遮断する温度ヒューズ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度が上昇すると電気的接続を遮断する温度ヒューズ構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の温度ヒューズは、一対の取付け板の間に熱溶融性の金属を設けるとともに、この熱溶融性の金属の中に溶融しない部材を設けたものである。この温度ヒューズでは、温度が上昇して熱溶融性の金属が溶融した場合にこの溶融しない部材が重力によって落下し、熱溶融性の金属がこの溶融しない部材によって引き落とされることによって電気的接続が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−193222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、溶融しない部材を熱溶融性の金属によって固定した場合、溶融した熱溶融性の金属の粘度が高いなどの理由により、熱溶融性の金属が溶融しても溶融しない部材が落下しないこともある。このため、上述した特許文献1に記載の温度ヒューズによると、温度が上昇して熱溶融性の金属が溶融しても溶融しない部材が落下しないことが懸念される。つまり、上述した特許文献1に記載の温度ヒューズは確実性が懸念される。
【0005】
本明細書では、温度が上昇したときにより確実に電気的接続を遮断できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する温度ヒューズ構造は、基板に設けられている第1の導電路と第2の導電路との電気的接続を遮断する温度ヒューズ構造であって、熱溶融性の第1の導電材を介して前記第1の導電路に接続されているとともに、熱溶融性の第2の導電材を介して前記第2の導電路に接続されており、前記第1の導電材及び前記第2の導電材の各々の溶融温度より溶融温度が高い金属部材と、前記第1の導電路と前記第2の導電路との電気的接続を遮断する方向に前記金属部材を付勢している付勢部と、を備えている。
【0007】
上記の温度ヒューズ構造によると、付勢部によって金属部材を第1の導電路と第2の導電路との電気的接続を遮断する方向に付勢しているので、温度が上昇して第1の導電材及び第2の導電材が溶融したとき、金属部材が基板から外れ、第1の導電路と第2の導電路との電気的接続が遮断される。この温度ヒューズ構造では金属部材を重力によって落下させる必要がないので、従来のように溶融しない部材を重力によって落下させる場合に比べ、第1の導電路と第2の導電路との電気的接続をより確実に遮断できる。
【0008】
また、前記金属部材は、前記第1の導電路及び前記第2の導電路が接続されている接続部と、前記接続部から延出され、前記基板から離間して設けられた面を有する延出部とを有し、前記付勢部は前記延出部を前記遮断する方向に付勢してもよい。
【0009】
例えば金属部材が薄い平らな板であり、それが基板に貼り付けられるようにして設けられているとする。この場合、金属部材の側端面を付勢することによって金属部材を外そうとすると、金属部材の厚みが薄いため付勢することが困難である。上記の温度ヒューズ構造によると、延出部を付勢するので、金属部材をより確実に付勢することができる。
【0010】
また、前記延出部は前記接続部から前記基板とは逆側に延出しており、前記付勢部は前記延出部を前記基板に略平行な方向に付勢してもよい。
【0011】
上記の温度ヒューズ構造によると、付勢部によって延出部を基板に略平行な方向に付勢することにより、金属部材を前記遮断する方向に付勢することができる。
【0012】
また、前記基板には前記第1の導電路と前記第2の導電路との間に貫通孔が形成されており、前記付勢部は前記基板と対向し、前記第1の導電路及び前記第2の導電路とは反対方向側から前記貫通孔を介して前記金属部材を前記基板に略垂直な方向に付勢してもよい。
【0013】
上記の温度ヒューズ構造によると、付勢部によって第1の導電路及び第2の導電路とは反対方向側から貫通孔を介して金属部材を基板に略垂直な方向に付勢することにより、金属部材を前記遮断する方向に付勢することができる。
【0014】
また、本明細書で開示する電気接続箱は、第1の導電路と第2の導電路との電気的接続を遮断する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の温度ヒューズ構造を有し、前記第1の導電路と前記第2の導電路とが設けられている基板と、前記基板に搭載された発熱素子と、前記基板が固定されている筐体と、を備える。
【0015】
上記の電気接続箱によると、温度が上昇したときに第1の導電路と第2の導電路との電気的接続をより確実に遮断できる。
【0016】
また、前記筐体は、前記基板が固定されている第1のケースと、前記第1のケースに組み付けられる第2のケースとを有し、前記第2のケースには前記付勢部が設けられており、前記付勢部は、前記第1のケースと前記第2のケースとを組み付ける際に前記金属部材に当接して前記遮断する方向とは逆方向に撓むことによって前記金属部材を前記遮断する方向に付勢している。
【0017】
上記の電気接続箱によると、第1のケースと第2のケースとを組み付けるという作業により、第1の導電路と第2の導電路との電気的接続を遮断する方向に金属部材を付勢するよう付勢部を撓ませることができる。このため、第1のケースと第2のケースとを組み付ける作業とは別に付勢部を撓ませる作業を行う場合に比べて作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本明細書で開示する温度ヒューズ構造によれば、温度が上昇したときにより確実に電気的接続を遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る電気接続箱を簡略化して示す断面図
図2】第1の導電材及び第2の導電材が溶融したときの電気接続箱を簡略化して示す断面図
図3】実施形態2に係る電気接続箱を簡略化して示す断面図
図4】実施形態3に係る電気接続箱を簡略化して示す断面図
図5】他の実施形態に係る電気接続箱を簡略化して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図2に基づいて説明する。
【0021】
(1)電気接続箱の構成
図1を参照して、実施形態1に係る電気接続箱1について概略的に説明する。電気接続箱1は図示しない車両に搭載され、電源から車載電装品等の負荷に供給される電流をオン/オフする装置である。電気接続箱1は合成樹脂製のケース10、ケース10の内側に収容されているプリント基板11、発熱素子12、及び、温度ヒューズ構造13を備えている。ケース10は筐体の一例である。また、プリント基板11は基板の一例である。
【0022】
ケース10はロワケース10Aとアッパーケース10Bとを備えている。アッパーケース10Bには電源が接続される図示しない電源側コネクタ、及び、車載電装品等の負荷が接続される図示しない負荷側コネクタが設けられている。ロワケース10Aは「第1のケース」の一例であり、アッパーケース10Bは「第2のケース」の一例である。
【0023】
プリント基板11はロワケース10Aに固定されている。プリント基板11には公知のプリント配線技術により銅などによって導電路が設けられており、発熱素子12や温度ヒューズ構造13の一部などが実装されている。発熱素子12はFET(Field Effect Transistor)、IPD(Intelligent Power Device)、コイルなどである。なお、発熱素子12はこれらに限定されるものではない。
【0024】
図1に示す例ではプリント基板11に少なくとも第1の導電路14、第2の導電路15、及び、第3の導電路16が設けられている。第3の導電路16は一端が前述した図示しない電源側コネクタに接続されており、他端が発熱素子12に接続されている。第1の導電路14は一端が発熱素子12に接続されており、他端が温度ヒューズ構造13の後述する金属部材17に接続されている。第2の導電路15は一端が金属部材17に接続されており、他端が図示しない負荷側コネクタに接続されている。
【0025】
温度ヒューズ構造13は、プリント基板11に実装されている金属部材17と、アッパーケース10Bに一体に形成されている付勢部18とを備えている。金属部材17は細長い金属板をL字状に折り曲げたものである。以降の説明では金属部材17のうち図1において水平方向に延びている部分を接続部17Aといい、接続部17Aの左縁からプリント基板11とは逆側に略垂直に延びている部分を延出部17Bというものとする。図1において延出部17Bの左側を向く面は「基板から離間して設けられた面」の一例である。
【0026】
接続部17Aは下を向く面が半田19を介して第1の導電路14に接続されているとともに、半田20を介して第2の導電路15に接続されている。半田19は「熱溶融性の第1の導電材」の一例であり、半田20は「熱溶融性の第2の導電材」の一例である。
【0027】
発熱素子12が発熱すると、その熱が第1の導電路14を介して、あるいは輻射熱として半田19及び20に伝わり、半田19及び20の温度が上昇する。半田19及び20の溶融温度は、発熱素子12の温度が正常な範囲内のときに伝わる熱によって上昇する温度より高い温度であり、且つ、プリント基板11やケース10に発火や発煙などが生じる温度より低い温度であるとする。また、金属部材17の溶融温度は半田19及び20の各々の溶融温度より高いものとする。
【0028】
付勢部18はアッパーケース10Bの上壁から下に向かって棒状に延びる腕部21と、腕部21の先端部から延出部17B側(図1において右側)に向かって突出している突起22とを有している。
【0029】
腕部21は延出部17Bの概ね上方に設けられており、突起22が延出部17Bに当接することによって左側に撓んだ状態で組み付けられている。このため、延出部17Bは腕部21が元の形状に復帰しようとする弾性力によって常に右側に付勢されている。右側は「遮断する方向」、及び、「基板に略平行な方向」の一例である。
【0030】
ここで、付勢部18を撓んだ状態で組み付けることは、ロワケース10Aとアッパーケース10Bとを組み付けることによって行うことができる。具体的には、突起22は撓んでいない状態において上に向かって右に傾斜する斜面22Aを有している。付勢部18はアッパーケース10Bをロワケース10Aに上から組み付ける際に斜面22Aが金属部材17に当接し、突起22が金属部材17から受ける反力によって腕部21が左側に撓む。これにより付勢部18が撓んだ状態で組み付けられる。
【0031】
(2)温度ヒューズ構造の作用
次に、図2を参照して、温度ヒューズ構造13の作用について説明する。何らかの理由で発熱素子12が異常発熱し、それにより半田19及び20の温度が溶融温度を超えると半田19及び20が溶融する。半田19及び20が溶融すると、金属部材17が付勢部18に押されてプリント基板11から外れる。これにより、発火や発煙などが生じる前に第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続が遮断される。
【0032】
(3)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る温度ヒューズ構造13によると、付勢部18によって金属部材17を第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続を遮断する方向に付勢しているので、温度が上昇して半田19及び20が溶融したとき、金属部材17がプリント基板11から外れ、第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続が遮断される。この温度ヒューズ構造13では金属部材17を重力によって落下させる必要がないので、従来のように溶融しない部材を重力によって落下させる場合に比べ、第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続をより確実に遮断できる。
【0033】
また、従来のように溶融しない部材が落下して熱溶融性の金属を引き落とす構成の場合は、溶融しない部材が落下するとしても、溶融した熱溶融性の金属の粘度が高いなどの理由により、熱溶融性の金属が溶融してから溶融しない部材が落下するまでに時間を要することも懸念される。これに対し、温度ヒューズ構造13によると、付勢部18によって金属部材17を付勢するので、温度が上昇して半田19及び20が溶融したときに速やかに金属部材17を外すことができ、安全性が向上する。
【0034】
更に、温度ヒューズ構造13によると、金属部材17はプリント基板11から離間して設けられた面を有する延出部17Bを有している。例えば金属部材17が薄い平らな板であり、それがプリント基板11に貼り付けられるようにして設けられているとする。この場合、金属部材17の側端面を付勢することによって金属部材17を外そうとすると、金属部材17の厚みが薄いため付勢することが困難である。温度ヒューズ構造13によると、延出部17Bを付勢するので、金属部材17をより確実に付勢することができる。
【0035】
また、温度ヒューズ構造13によると、接続部17Aからプリント基板11とは逆側に延出している延出部17Bを付勢部18によってプリント基板11に略平行な方向に付勢することにより、金属部材17を「遮断する方向」に付勢することができる。
【0036】
また、実施形態1に係る電気接続箱1によると、ロワケース10Aとアッパーケース10Bとを組み付けるという作業により、金属部材17を付勢するよう付勢部18を撓ませることができる。このため、ロワケース10Aとアッパーケース10Bとを組み付ける作業とは別に付勢部18を撓ませる作業を行う場合に比べて作業効率が向上する。
【0037】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図3に基づいて説明する。
図3に示すように、実施形態2に係る電気接続箱201は実施形態1に係る温度ヒューズ構造13に替えて温度ヒューズ構造213を備えている。実施形態2に係る金属部材217は、接続部217Aの右縁からプリント基板11とは逆側(紙面上側)に略垂直に延出している第1の延出部217Bと、第1の延出部217Bの先端部から接続部217Aとは逆側(紙面右側)に略垂直に延出している第2の延出部217Cとを有している。
【0038】
第1の延出部217B及び第2の延出部217Cは「延出部」の一例である。また、図3において第2の延出部217Cの上側を向く面は「基板から離間して設けられた面」の一例である。
【0039】
付勢部218はアッパーケース210Bの側壁の内面から左側に向かって棒状に延びる腕部221と、腕部221の先端部から下に向かって突出している突起222とを有している。
【0040】
腕部221は上下方向の位置が第2の延出部217Cと概ね同じであり、突起222が第2の延出部217Cに上から当接することによって上側に撓んだ状態で組み付けられている。このため、第2の延出部217Cは腕部221が元の形状に復帰しようとする弾性力によって常に下に付勢されている。下は「遮断する方向」の一例である。
【0041】
何らかの理由で発熱素子12が異常発熱して半田219及び220が溶融すると、金属部材217は付勢部218に押され、接続部217Aの右端を支点として梃子の原理によって斜めに傾く。これにより金属部材217がプリント基板11から外れ、第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続が遮断される。
【0042】
以上説明した実施形態2に係る温度ヒューズ構造213によると、付勢部218によって第2の延出部217Cを下に付勢することにより、金属部材217を「遮断する方向」に付勢することができる。
【0043】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図4に基づいて説明する。
図4に示すように、実施形態3に係る電気接続箱301は上側に開口する箱状に形成されているロワケース310の開口を上から塞ぐようにプリント基板311が取り付けられている。実施形態3に係るプリント基板311も実施形態1と同様に第1の導電路14、第2の導電路15、及び、第3の導電路16が形成されている。
【0044】
金属部材317は細長い板状に形成されており、下を向く面に半田319を介して第1の導電路14が接続されているとともに、半田320を介して第2の導電路15が接続されている。また、図4に示すように、プリント基板311には金属部材317の下方に貫通孔311Aが形成されている。
【0045】
付勢部318はロワケース310に一体に形成されており、ロワケース310の底面から上方に延びる第1の直線部分318Aと、直線部分318Aの上端から上方に向かって半円状に湾曲して延びる湾曲部分318Bと、湾曲部分318Bの上端から上方に延びる第2の直線部分318Cとを有している。付勢部318は湾曲部分318Bが撓むことによって上下方向に弾性変形可能である。付勢部318が自然長のときの第2の直線部分318Cの上端の位置はプリント基板311の表面より高いものとする。
【0046】
付勢部318はプリント基板311の貫通孔311Aから金属部材317に下から当接しており、上下方向に圧縮された状態で組み付けられている。このため、金属部材317は付勢部318が元の形状に復帰しようとする弾性力によって常に上に付勢されている。すなわち、付勢部318はプリント基板311と対向し、第1の導電路14及び第2の導電路15とは反対方向側から貫通孔311Aを介して金属部材317を上に付勢している。上は「遮断する方向」及び「基板に略垂直な方向」の一例である。
【0047】
何らかの理由で発熱素子12が異常発熱して半田319及び320が溶融すると、付勢部318によって上に付勢されていることによって金属部材317がプリント基板311から外れる。これにより第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続が遮断される。
【0048】
以上説明した実施形態3に係る温度ヒューズ構造313によると、付勢部318によって金属部材317を上に付勢することにより、金属部材317を「遮断する方向」に付勢することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術的範囲は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0050】
(1)上記実施形態1では付勢部18によって延出部17Bを右側に付勢する場合を例に説明した。しかしながら、付勢部18によって付勢する方向は第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続が遮断される方向であればこれに限られない。例えば付勢部18は延出部17Bを左側に付勢してもよい。
実施形態2についても同様であり、付勢部218は第2の延出部217Cを上に付勢してもよい。また、実施形態2の変形例として、第2の延出部217Cは第1の延出部217Bの先端部から図3において左側に延出していてもよい。すなわち金属部材217はコ字状に形成されていてもよい。そして、付勢部18は第2の延出部217Cを上に付勢してもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では基板として導電路がプリントされたプリント基板11を例に説明した。しかしながら、基板はプリント基板11に限定されるものではない。例えば導電路がプリントされていない基板に金属製のバスバーを貼り付けたものであってもよい。その場合はバスバーが導電路の一例である。
【0052】
(3)上記実施形態では付勢部18が合成樹脂製のケース10に一体に設けられている場合を例に説明した。しかしながら、付勢部18はケース10以外に設けられていてもよい。例えば図5に示す例では負荷側コネクタのハウジング50に実施形態3と同様の付勢部418が水平方向に延びるように一体に形成されている。そして、図5に示す例では実施形態1に示す金属部材17が実施形態1とは左右逆に固定されており、ハウジング50から延びる付勢部418によって延出部17Bが左側に付勢されている。
【0053】
(4)上記実施形態では付勢部18が合成樹脂製である場合を例に説明した。しかしながら、付勢部18は合成樹脂製でなくてもよい。例えば金属製の板ばね、ねじりばね、コイルばねなどを付勢部18としてケース10にネジなどによって固定してもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では金属部材17が第1の導電路14を介して発熱素子12と電気的に接続されている場合を例に説明した。これに対し、金属部材17は発熱素子12と電気的に接続されておらず、発熱素子12の近傍に設けられていてもよい。この場合も発熱素子12から放射される輻射熱によって半田19及び20が溶融することにより、第1の導電路14と第2の導電路15との電気的接続を遮断できる。
【0055】
(6)上記実施形態では付勢部18がケース10に設けられている場合を例に説明した。これに対し、プリント基板11に付勢部18を設けてもよい。例えばプリント基板11を樹脂成形する際に付勢部18を一体に形成してもよいし、金属などで形成された付勢部18をネジによってプリント基板11に固定してもよい。
【0056】
(7)上記実施形態では熱溶融性の第1の導電材及び熱溶融性の第2の導電材として半田を例に説明したが、銀ろう等のろう材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1・・・電気接続箱、10・・・ケース(筐体)、10A・・・ロワケース(第1のケース)、10B・・・アッパーケース10B(第2のケース)、11・・・プリント基板(基板)、12・・・発熱素子、13・・・温度ヒューズ構造、14・・・第1の導電路、15・・・第2の導電路、17・・・金属部材、17A・・・接続部、17B・・・延出部、18・・・付勢部、19・・・半田(熱溶融性の第1の導電材)、20・・・半田(熱溶融性の第2の導電材)、201・・・電気接続箱、213・・・温度ヒューズ構造、217・・・金属部材、217A・・・接続部、217B・・・第1の延出部(延出部)、217C・・・第2の延出部(延出部)、218・・・付勢部、219・・・半田(熱溶融性の第1の導電材)、220・・・半田(熱溶融性の第2の導電材)、301・・・電気接続箱、311・・・プリント基板(基板)、311A・・・貫通孔、313・・・温度ヒューズ構造、317・・・金属部材、318・・・付勢部、319・・・半田(熱溶融性の第1の導電材)、320・・・半田(熱溶融性の第2の導電材)
図1
図2
図3
図4
図5