特許第6384370号(P6384370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384370
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】コントロールバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/18 20060101AFI20180827BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F16K15/18 E
   F16K47/02 D
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-53762(P2015-53762)
(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公開番号】特開2016-173155(P2016-173155A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】西口 裕己
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−193709(JP,A)
【文献】 特開2001−330005(JP,A)
【文献】 特開2011−084368(JP,A)
【文献】 特開2007−263243(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0056103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00 − 15/20
F16K 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液圧供給源からの作動液圧をシリンダに供給する上昇位置、シリンダから排出される作動液をタンクに戻す下降位置及び中立位置をとることができる切換弁と、この切換弁が中立位置にあるときに閉弁するとともに前記切換弁が下降位置にあるときに作動液供給源またはシリンダからの作動液圧とポペット弁体の背圧室内の作動液圧との差圧を利用して開弁するリフトロックポペットバルブと、このリフトロックポペットバルブの前記背圧室前記切換弁における前記中立位置では閉止し前記上昇位置では前記作動液圧供給源に連通し前記下降位置では前記タンクに連通するポートとの間に設けられるパイロットチェックバルブと、前記切換弁の前記ポートと前記リフトロックポペットバルブの前記作動液供給源からの作動液圧を受けるポートとを結ぶ中間通路とを備えるコントロールバルブであって、
前記パイロットチェックバルブが、前記背圧室に連通する高圧室と前記中間通路との間を遮断する閉弁位置及び前記高圧室と前記中間通路とを連通する開弁位置の間で移動可能なチェック弁体と、前記閉弁位置に位置するチェック弁体が着座する弁座を備えるバルブボディと、前記チェック弁体を前記弁座に着座する側に付勢する閉止側付勢手段と、パイロット室に作動液の供給を受けた際に、前記閉止側付勢手段による付勢力に反してチェック弁体を前記弁座から離間する側に付勢し前記バルブボディに設けたピン挿通孔内を摺動可能なピンとを備え、
前記ピンが、前記チェック弁体を開弁位置に移動させた際に一端部が高圧室に連通し他端部が中間通路に対向する切り欠きを有し、前記ピンの前記切り欠きが存在する部位とピン挿通孔との間の幅の大きな隙間を経て作動液が流通するようになっているとともに、チェック弁体が弁座から離間してから前記ピンの前記切り欠きの一端部が高圧室に連通するまでの間は、前記ピンの前記切り欠きよりも高圧室側の部位とピン挿通孔との間に存在する、前記幅の大きな隙間に比べて幅の小さな隙間を経て作動液が流通するようになっているコントロールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等の産業用車両の液圧回路中に設けられるコントロールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトに代表される産業用車両の液圧回路中に設けられるコントロールバルブの一例として、図1図7及び図8を参照しつつ以下に示すようなものが挙げられる。
【0003】
このコントロールバルブ1は、図1に示すように、作動液圧供給源であるポンプPに連通するポンプ通路1a、作動液を溜めておくためのタンクTに連通するタンク通路1b、リフトLを昇降させるためのシリンダ2に連通するシリンダ通路1cを内部に備えている。また、このコントロールバルブ1は、中立位置C、上昇位置U及び下降位置Dを選択的にとることができる切換弁3と、前記シリンダ通路1cの途中に設けられるリフトロックポペットバルブ4と、前記リフトロックポペットバルブ4の背圧室4a1と中間通路1eとの間に設けられるパイロットチェックバルブ5とを組み合わせ、同一のハウジング内に収納したものである(例えば、特許文献1を参照)。前記中間通路1eは、前記切換弁3と前記リフトロックポペットバルブ4とを結ぶ通路である。
【0004】
さらに、このコントロールバルブ1は、切換弁3を上昇位置Uに切り換えるためのパイロットポートX、切換弁3を下降位置Dに切り換えるためのパイロットポートY、パイロットポートYのパイロット圧をパイロットチェックバルブ5に供給するためのパイロット通路1f、前記背圧室4a1と前記中間通路1eとを接続する背圧通路1gも内部に備えている。前記背圧通路1gの途中には、前記パイロットチェックバルブ5が設けられている。また、前記背圧通路1gは、前記パイロットチェックバルブ5より背圧室4a1側の高圧室1g1と、前記パイロットチェックバルブ5より切換弁3側の中間室1g2とに区画されている。
【0005】
以下、パイロットチェックバルブ5の構成の一例を述べる。このパイロットチェックバルブ5は、図7に示すように、バルブボディであるスリーブ6と、このスリーブ6の高圧室6aに連通する部位に配されたチェック弁体7と、前記スリーブ6のピストン収納室6x内に配され前記チェック弁体7を付勢するためのピストン8とを備えている。
【0006】
前記スリーブ6は、前記高圧室1g1を経て前記背圧室4a1に連通する高圧室6a、前記中間室1g2を経て前記中間通路1eに連通する中間通路6b、前記パイロット通路1fに連通するパイロット通路6c、前記タンク通路1bに連通するタンク通路6d、並びに前記パイロット通路6c及び前記タンク通路6dに連通する前記ピストン収納室6xを備えている。また、前記高圧室6aと前記中間通路6bとの間には、ピン挿通孔6yが設けられている。このピン挿通孔6y内には、チェック弁体7を付勢するためのピン9が摺動可能に収納されている。前記ピン挿通孔6yの高圧室6a側の端縁には、弁座6eが形成されている。そして、前記ピン挿通孔6yに前記ピン9を挿し通した状態で前記チェック弁体7が前記弁座6eに着座することにより、高圧室6aと中間通路6bとの間が遮断されるようにしている。
【0007】
前記チェック弁体7は、前記スリーブ6の高圧室6a内に配されている。また、このチェック弁体7は、第1の圧縮コイルスプリング71によって、閉弁側すなわち弁座6eに着座する方向に付勢されている。
【0008】
前記ピストン8は、前記ピストン収納室6x内を摺動可能である。また、このピストン8は、前記ピストン収納室6xを、パイロット通路6cに連通するパイロット圧受空間6x1とドレン通路6dに連通するタンク圧空間6x2とに区画する。このピストン8は、第2の圧縮コイルスプリング81によって、前記チェック弁体7から離間する方向に付勢されている。
【0009】
そして、パイロットポートYにパイロット圧力が付加され、前記切換弁3が中立位置Cから下降位置Dに移動し、パイロットチェックバルブ5がパイロット通路1fからパイロット圧力の供給を受けると、前記パイロット圧受空間6x1と前記タンク圧空間6x2との間の圧力差に由来する力により、まずピストン8が、図8に示すように、第2の圧縮コイルスプリング81による付勢力に抗して高圧室6a側に向かい移動し、前記ピン9に衝き当たる。その後、前記ピン9を介して前記チェック弁体7を前記第1の圧縮コイルばね71による付勢力に抗して弁座6eから離間する方向に付勢する。このとき、前記チェック弁体7が前記弁座6eから離間してパイロットチェックバルブ5が開弁状態となり、背圧室4a1から高圧室1g1、中間室1g2、中間通路1e、切換弁3、タンク通路1bを通過してタンクTに作動液が排出される。これを受けて、リフトロックポペットバルブ4が開弁する。
【0010】
そして、この種のパイロットチェックバルブ5においては、従来、ピン挿通孔6yの高圧室6a側に、該ピン挿通孔6yを拡開させて環状通路6zを設けている。
【0011】
このような構成を有するパイロットチェックバルブ5では、パイロット圧受空間6x1にパイロット圧の供給を受け、チェック弁体7がピストン8により付勢されて弁座6eから離間すると、前記高圧室6aと前記中間通路1eとが前記環状通路6z、中間通路6bを介して連通する。このとき、高圧室6a内の作動液圧力が急速に中間通路1eを経て切換弁3に向かい伝播し、衝撃音が発生するという不具合が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−84368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、チェック弁体が弁座から離間する際の衝撃音を抑制可能な構成のパイロットチェックバルブを備えたコントロールバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決すべく、本発明に係るコントロールバルブは、以下に述べるような構成を有する。すなわち本発明に係るコントロールバルブは、作動液圧供給源からの作動液圧をシリンダに供給する上昇位置、シリンダから排出される作動液をタンクに戻す下降位置及び中立位置をとることができる切換弁と、この切換弁が中立位置にあるときに閉弁するとともに前記切換弁が下降位置にあるときに作動液供給源またはシリンダからの作動液圧とポペット弁体の背圧室内の作動液圧との差圧を利用して開弁するリフトロックポペットバルブと、このリフトロックポペットバルブの前記背圧室前記切換弁における前記中立位置では閉止し前記上昇位置では前記作動液圧供給源に連通し前記下降位置では前記タンクに連通するポートとの間に設けられるパイロットチェックバルブと、前記切換弁の前記ポートと前記リフトロックポペットバルブの前記作動液供給源からの作動液圧を受けるポートとを結ぶ中間通路とを備えるコントロールバルブであって、前記パイロットチェックバルブが、前記背圧室に連通する高圧室と前記中間通路との間を遮断する閉弁位置及び前記高圧室と前記中間通路とを連通する開弁位置の間で移動可能なチェック弁体と、前記閉弁位置に位置するチェック弁体が着座する弁座を備えるバルブボディと、前記チェック弁体を前記弁座に着座する側に付勢する閉止側付勢手段と、パイロット室に作動液の供給を受けた際に、前記閉止側付勢手段による付勢力に反してチェック弁体を前記弁座から離間する側に付勢し前記バルブボディに設けたピン挿通孔内を摺動可能なピンとを備え、前記ピンが、前記チェック弁体を開弁位置に移動させた際に一端部が高圧室に連通し他端部が中間通路に対向する切り欠きを有し、前記ピンの前記切り欠きが存在する部位とピン挿通孔との間の大隙間を経て作動液が流通するようになっているとともに、チェック弁体が弁座から離間してから前記ピンの前記切り欠きの一端部が高圧室に連通するまでの間は、前記ピンの前記切り欠きよりも高圧室側の部位とピン挿通孔との間に存在する、前記大隙間よりもよりも小さな小隙間を経て作動液が流通するようになっている
【0015】
このようなものであれば、チェック弁体が弁座から離間しても、高圧室と中間通路との間はピンとピン挿通孔との間の円環状の隙間を介してのみ連通することとなるので、高圧室内の流体の圧力が急激に切換弁に向けて伝播することがない。その上で、前記高圧室と前記中間通路とが切り欠きを介して連通するまでピンを移動させれば、ピンとピン挿通孔との間の隙間の幅が大きくなるので、高圧室から中間通路への流量を確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チェック弁体が弁座から離間する際の衝撃音を抑制可能な構成のパイロットチェックバルブを備えたコントロールバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係る液圧装置を概略的に示す液圧回路図。
図2】同実施形態に係るパイロットチェックバルブの構成を示す概略図。
図3】同実施形態に係るパイロットチェックバルブの動作説明図。
図4】同実施形態に係るパイロットチェックバルブの動作説明図。
図5】本発明の第二実施形態に係るパイロットチェックバルブの構成を示す概略図。
図6】同実施形態に係るパイロットチェックバルブの動作説明図。
図7】従来のパイロットチェックバルブの構成を示す概略図。
図8】従来のパイロットチェックバルブの動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第一実施形態を、図1図4を参照しつつ以下に述べる。
【0019】
本実施形態に係るコントロールバルブ1は、図1に示すように、作動液圧供給源であるポンプPに連通するポンプ通路1a、作動液を溜めておくためのタンクTに連通するタンク通路1b、リフトLを昇降させるためのシリンダ2に連通するシリンダ通路1cを内部に備えている。また、このコントロールバルブ1は、中立位置C、上昇位置U及び下降位置Dを選択的にとることができる切換弁3と、前記シリンダ通路1cの途中に設けられるリフトロックポペットバルブ4と、前記リフトロックポペットバルブ4の背圧室4a1と中間通路1eとの間に設けられるパイロットチェックバルブ5とを組み合わせ、同一のハウジング内に収納したものである。前記中間通路1eは、前記切換弁3と前記リフトロックポペットバルブ4とを結ぶ通路である。
【0020】
さらに、このコントロールバルブ1は、パイロットポートYのパイロット圧をパイロットチェックバルブ5に供給するためのパイロット通路1f、前記背圧室4a1と前記タンク通路1bとを接続する背圧通路1gも内部に備えている。
【0021】
前記背圧通路1gの途中には、前記パイロットチェックバルブ5が設けられている。また、前記背圧通路1gは、前記パイロットチェックバルブ5より背圧室4a1側の高圧室1g1と、前記パイロットチェックバルブ5より中間通路1e側の低圧室1g2とに区画されている。
【0022】
前記切換弁3が中立位置Cをとるときには、ポンプPから供給される作動液は前記ポンプ通路1aと前記タンク通路1bを通過して、無負荷でタンクTへ戻る。そして、前記シリンダ通路1cと前記ポンプ通路1a及び前記タンク通路1bとの間はいずれも遮断される。パイロットポートXにパイロット圧力が付加され、前記切換弁3が上昇位置Uをとるときには、前記ポンプ通路1aと前記シリンダ通路1cとが連通する。そして、パイロットポートYにパイロット圧力が付加され、前記切換弁3が下降位置Dをとるときには、前記ポンプ通路1aと前記タンク通路1bとが連通するとともに、前記タンク通路1bと前記シリンダ通路1cとが連通する。そして、前記パイロット通路1fを介して前記パイロットチェックバルブ5にパイロット液圧が供給される。
【0023】
前記リフトロックポペットバルブ4は、ポペット弁体4a及びポペット弁体4aを着座方向に付勢するスプリング4bを有し、ポペット弁体4aの内部に背圧室4a1を有する、この種の液圧装置に用いられるリフトロックポペットバルブとして周知のものと同様の構成を有する。すなわち、通常はポペット弁体4aが図示しない弁座に着座する方向への付勢力を受けており、シリンダ2から供給される液圧と背圧室4a1内との液圧との差圧が大きくなると、この差圧に由来する力が前記付勢力に打ち勝って開弁するものである。また、前記背圧室4a1と前記中間通路1eとは、前述したように、前記背圧通路1gにより接続されている。
【0024】
前記パイロットチェックバルブ5は、図2図4に示すように、バルブボディであるスリーブ6と、このスリーブ6の高圧室6a内に配されたチェック弁体7と、前記スリーブ6のピストン収納室6x内に配され前記チェック弁体7を付勢するためのピストン8とを備えている。
【0025】
前記スリーブ6は、前記背圧通路1gの高圧室1g1を経て背圧室4a1に連通する前記高圧室6a、前記背圧通路1gの中間室1g2を経て前記中間通路1eに連通する中間通路6b、前記パイロット通路1fに連通するパイロット通路6c、タンク通路1bに連通するドレン通路6d、並びに前記パイロット通路6c及び前記ドレン通路6dに連通する前記ピストン収納室6xを備えている。また、前記高圧室6aと前記中間通路6bとの間には、ピン挿通孔6yが設けられている。このピン挿通孔6y内には、チェック弁体7を付勢するためのピン9が摺動可能に収納されている。また、このピン挿通孔6yの高圧室6a側の端縁には、弁座6eが形成されている。そして、このピン挿通孔6yに前記ピン9を挿し通した状態で前記チェック弁体7が前記弁座6eに着座することにより、高圧室6aと中間通路6bとの間が遮断されるようにしている。
【0026】
前記チェック弁体7は、前述したように、スリーブ6の高圧室6a内に配されている。また、このチェック弁体7は、図2に示すように、閉止側付勢手段である第1の圧縮コイルスプリング71によって、閉弁側すなわち弁座6eに着座する方向に付勢されている。第1の圧縮コイルスプリング71の一端部は、スリーブ6の一端部に接続したリテーナ72に接続されている。第1の圧縮コイルスプリング71の他端部は、前記チェック弁体7に接続されている。
【0027】
前記ピストン8は、図2に示すように、前記ピストン収納室6x内を摺動可能であり、付勢手段である第2の圧縮コイルスプリング81によって、前記チェック弁体7から離間する方向に付勢されている。また、このピストン8は、前記ピストン収納室6xを、前記パイロット通路6cを介してパイロット通路1fに連通するパイロット圧受空間6x1と、前記ドレン通路6dを介してタンク通路1bに連通するタンク圧空間6x2とに区画する。そして、パイロット通路1fからパイロット圧力の供給を受け、前記パイロット圧受空間6x1と前記タンク圧空間6x2との間の圧力差に由来する力が前記第2の圧縮コイルスプリング81による付勢力を上回ると、前記ピン9を介して、前記チェック弁体7を開弁側つまり弁座6eから離間する方向に付勢する。
【0028】
前記ピン9は、図2図4に示すように、前記ピン挿通孔6y内部を摺動可能な概略円柱状の部材である。このピン9の長手方向中間部には、前記チェック弁体7が弁座6eから離間する開弁状態をとる際に前記高圧室6a(及び高圧室1g1)と前記中間通路6b(及び中間室1g2)とを連通する切り欠き9aを設けている。
【0029】
以下、前記切換弁3が中立位置Cから下降位置Dに移動した際における、前記パイロットチェックバルブ5の各部の動作を示す。
【0030】
パイロットポートYにパイロット圧力が付加されると、前記切換弁3が中立位置Cから下降位置Dに移動すると同時に、前記ピストン収納室6x内のパイロット圧受空間6x1にパイロット液圧が供給される。パイロット圧受空間6x1内と前記タンク圧空間6x2内との間の圧力差に由来する力が前記第2の圧縮コイルスプリング81による付勢力を上回ると、前記ピストン8は高圧室6a側に移動する。
【0031】
このとき、まず、図3に示すように、前記ピストン8が前記ピン9に衝き当たり、次いで、前記ピストン8により前記ピン9が高圧室6a側に向かう方向、すなわちチェック弁体7に向かう方向への作用を受ける。
【0032】
前記チェック弁体7は、前記切換弁3が中立位置Cから下降位置Dに移動を開始した時点では、前記第1の圧縮コイルスプリング71による付勢力を受けて弁座6eに着座している。しかし、前記ピン9から受ける作用が前記第1の圧縮コイルスプリング71による付勢力を上回ると、図3に示すように、チェック弁体7は弁座6eから離間し、チェック弁体7と弁座6eとの間に環状の隙間が形成される。このとき、前記環状の隙間及びピン9とピン挿通孔6yとの間の隙間を介して、作動液が、背圧室4a1から高圧室6a及び中間通路6bを経てタンクTに向かい流通する。ここで、ピン9の切り欠き9aの一部は、中間通路6bに対向している。
【0033】
ピン9が高圧室6aに向けてさらに移動すると、ピン9の切り欠き9aの一部が中間通路6bに対向している状態を保ちつつ、図4に示すように、ピン9の切り欠き9aの一端部が高圧室6aに連通する。このとき、ピン9の切り欠き9aを介して高圧室6aと中間通路6bとが連通し、高圧室6aから中間通路6bに(背圧室4a1からタンクTに)向かう作動液の流量が増加する。
【0034】
そして、ポペット弁体4aの背圧室4a1内の圧力がシリンダ2からシリンダ通路1cに供給される作動液の液圧を大きく下回り、これらの間の差圧に由来する力がリフトロックポペットバルブ4のスプリング4bによる付勢力を上回るので、リフトロックポペットバルブ4が開弁する。
【0035】
以上に述べたように、本実施形態によれば、チェック弁体7が弁座6eから離間しても、高圧室6aと中間通路6bとの間はピン9とピン挿通孔6yとの間の円環状の隙間を介してのみ連通することとなるので、高圧室6a内の流体が急激に中間通路6bに流れ込むことがない。その上で、前記高圧室6aと前記中間通路6bとが切り欠き9aを介して連通するまでピン9を移動させれば、ピン9とピン挿通孔6yとの間の隙間の幅が大きくなるので、高圧室6aから中間通路6bへの流量を確保することができる。
【0036】
次いで、本発明の第二実施形態を、図5及び図6を参照しつつ以下に述べる。
【0037】
本発明の第二実施形態は、以下に述べる点を除き、前述した第一実施形態と同様の構成を有する。なお、以下の説明においては、上述した第一実施形態におけるものに対応する各部位に同一の名称及び符号を付している。
【0038】
本実施形態では、図5及び図6に示すように、上述した第一実施形態におけるチェック弁体7及びピン9に代えて、弁座6eに着座可能な弁体本体701と、この弁体本体701から中間通路6bに向かって伸びピン挿通孔6y内を摺動可能なピン部702とを一体に有するチェック弁体70を備えている。
【0039】
本実施形態においても、図5及び図6に示すように、弁体本体701及びピン部702は、第1の圧縮コイルスプリング71により、弁体本体701が弁座6eに着座する側に付勢されている。また、前記ピン部702は、前述した第一実施形態におけるピン9と同様に、その長手方向中間部に切り欠き703を有する。この切り欠き703は、前記弁体本体701が弁座6eから離間する開弁状態をとる際に前記高圧室6aと前記中間通路6bとを連通する。
【0040】
ここでパイロットポートYにパイロット圧力が付加され、前記切換弁3が中立位置Cから下降位置Dに移動すると同時に、パイロット通路1fから前記ピストン収納室6x内のパイロット圧受空間6x1に作動液が供給される。パイロット圧受空間6x1内と前記タンク圧空間6x2内との間の圧力差に由来する力が前記第2の圧縮コイルスプリング81による付勢力を上回ると、前記ピストン8は高圧室6a側に移動する。
【0041】
このとき、図6に示すように、前記ピストン8が前記チェック弁体70のピン部702に衝き当たり、次いで前記チェック弁体70が前記ピストン8から高圧室6a側に向かう方向への作用を受ける。
【0042】
すると、弁体本体701は弁座6eから離間し、弁体本体701と弁座6eとの間に環状の隙間が形成される。このとき、前記環状の隙間及びピン部702とピン挿通孔6yとの間の隙間を介して、作動液が高圧室6aから中間通路6bに向かって流通する。ここで、ピン部702の切り欠き703の一部は、中間通路6bに対向している。
【0043】
弁体70が高圧室6aに向けてさらに移動すると、ピン部702の切り欠き703の一部が中間通路6bに対向している状態を保ちつつ、ピン部702の切り欠き703の一端部が高圧室6aに連通する。このとき、図6に示すように、ピン部702の切り欠き703を介して高圧室6aと中間通路6bとが連通し、高圧室6aから中間通路6bに向かう作動液の流量が増加する。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態の構成を採用した場合でも、第一実施形態と同様に、チェック弁体70が弁座6eから離間しても、高圧室6aと中間通路6bとの間はピン部702とピン挿通孔6yとの間の円環状の隙間を介してのみ連通することとなるので、高圧室6a内の流体が急激に中間通路6bに流れ込むことがない。その上で、前記高圧室6aと前記中間通路6bとが前記切り欠き703を介して連通するまでチェック弁体70を移動させれば、ピン部702とピン挿通孔6yとの間の隙間の幅が大きくなるので、高圧室6aから中間通路6bへの流量を確保することができる。
【0045】
なお、本発明は、以上に述べた実施形態に限らない。
【0046】
例えば、リフトロックポペットバルブの背圧室とタンクとの間の通路の構成は、上述した第一及び第二実施形態に係るものに限らず、例えば、特許第4973662号公報に示されているようなコントロールバルブのようなものであってもよい。
【0047】
また、前述した第二実施形態のように弁体とピンとを一体に設ける代わりに、パイロット圧を受けるピストンとピンとを一体に設けるようにしてもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0049】
1…コントロールバルブ
1e…中間通路
2…シリンダ
3…切換弁
4…リフトロックポペットバルブ
4a…ポペット弁体
4a1…背圧室
5…パイロットチェックバルブ
6…バルブボディ(スリーブ)
6a…高圧室
6b…中間通路
6e…弁座
7…チェック弁体
71…閉止側付勢手段(第1の圧縮コイルスプリング)
9…ピン
9a…切り欠き
P…作動液圧供給源(ポンプ)
T…タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8