(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本出願人は、別の出願で、この種の超音波式ネブライザであって、本体に対して作用槽(より具体的には、作用槽、薬剤槽および薬剤槽カバーを含む槽ユニット)を着脱可能に構成したものを提案している。その目的は、感染リスクを防止するなどの衛生上の観点から、ユーザ(医者や看護師など)が作用槽を簡単に洗浄および/または消毒できるようにするためである。
【0005】
その超音波式ネブライザでは、本体に対して槽ユニットを着脱可能に構成したのに伴って、上記本体には本体側接点電極が設けられ、上記槽ユニットには槽側接点電極が設けられている。上記本体に上記槽ユニットが装着された状態で、上記本体から発振回路の出力が上記本体側接点電極、上記槽側接点電極を通して超音波振動子に印加される。これにより、上記超音波振動子が発生する超音波振動が上記作用槽の作用液を介して上記薬剤槽に伝達されて、上記薬剤槽内の薬液が霧化される。
【0006】
ここで、仮に、上記本体に対して上記槽ユニットが装着されていない状態で、単にユーザの操作に基づいて霧化動作を開始すると、露出している上記本体側接点電極に上記発振回路の出力が現れる。このため、ユーザが上記本体側接点電極に触って感電する危険がある。また、単に上記槽ユニットを構成する複数の要素それぞれの装着の有無を検知する方式では、構成が複雑になる。
【0007】
そこで、この発明の課題は、本体に対して着脱可能に構成された槽ユニットを備えた超音波式ネブライザであって、簡単な構成で、感電の危険を無くすことができる超音波式ネブライザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の超音波式ネブライザは、
本体に対して着脱可能に構成された槽ユニットを備えた超音波式ネブライザであって、
上記槽ユニットは、
超音波振動子が組み込まれ、その超音波振動子に面して作用液を溜める作用槽と、
薬液を溜め、上記作用液に少なくとも底部が浸けられる薬剤槽と、
上記薬剤槽の上部を覆うとともに、上記本体に対して上記槽ユニットが装着された状態で上記本体に隣接して上記本体側から送風を取り込む風路を有する薬剤槽カバーとを、
順に上に重ねて配置されるように含み、さらに、
上記超音波振動子の電極に導通されている槽側接点電極を含み、
上記本体は、
上記超音波振動子を駆動すべき発振回路と、
上記発振回路の出力を送出すべき本体側接点電極とを備え、
上記本体に対して上記槽ユニットが装着された状態で、上記発振回路の出力が上記本体側接点電極、上記槽側接点電極を通して上記超音波振動子に印加されるようになっており、さらに、
上記薬剤槽カバーの上記風路を通して上記薬剤槽内へ送風を行う送風ファンと、
上記本体に対する上記槽ユニットの装着の有無として、上記薬剤槽カバーの上記風路が上記本体に隣接しているか否かを検知する薬剤槽カバー検知部と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本明細書で、本体に対して槽ユニット「着脱可能に」構成されているとは、上記本体に対して上記槽ユニットが装着され得る形状になっており、かつ、上記本体から上記槽ユニットが取り外され得る形状になっていることを意味する。
【0010】
また、「作用液」は、超音波振動を伝えられる媒体であれば良く、典型的には水が用いられる。「薬液」としては、例えば、生理食塩水や、生理食塩水とビソルボンとの混合液などが挙げられる。
【0011】
この発明の超音波式ネブライザでは、上記槽ユニットは、作用槽と、薬剤槽と、薬剤槽カバーとを、順に上に重ねて配置されるように含んでいる。つまり、作用槽、薬剤槽が配置されなければ、薬剤槽カバーは配置され得ない。したがって、上記薬剤槽カバーの上記風路が上記本体に隣接していること(言い換えれば、上記薬剤槽カバーが正しく装着されていること)を上記薬剤槽カバー検知部が検知すれば、上記本体に対して上記槽ユニットを構成する全ての要素(作用槽、薬剤槽および薬剤槽カバーを含む。)が、装着されていると判断される。その場合、ユーザは上記槽ユニットに遮られて上記本体側接点電極に触れることができないため、上記発振回路の出力が上記本体側接点電極に現れたとしても、ユーザは感電する危険がない。一方、上記薬剤槽カバーの上記風路が上記本体に隣接してないことを上記薬剤槽カバー検知部が検知すれば、上記本体に対して上記槽ユニットを構成する要素のうち少なくとも薬剤槽カバーが装着されていない可能性がある。薬剤槽カバーが装着されていなければ、上記本体に対して上記槽ユニットの他の構成要素(作用槽、薬剤槽)も装着されていない可能性がある。したがって、上記発振回路の出力が上記本体側接点電極に現れると、ユーザが上記本体側接点電極に触って感電する危険がある。
【0012】
このような考え方に基づいて、この発明の超音波式ネブライザでは、薬剤槽カバー検知部が、本体に対する槽ユニットの装着の有無として、上記薬剤槽カバーの上記風路が上記本体に隣接しているか否かを検知する。これにより、上記槽ユニットを構成する上記作用槽の装着の有無を検知しなくても、感電の危険を無くすことができる。したがって、簡単な構成で、感電の危険を無くすことができる。
【0013】
なお、この超音波式ネブライザでは、噴霧動作時には、上記発振回路の出力は、上記本体側接点電極、上記槽側接点電極を通して上記超音波振動子に印加される。これによって、上記超音波振動子が発生する超音波振動が上記作用槽の作用液を介して上記薬剤槽に伝達されて、上記薬剤槽内の薬液が霧化される。霧化された薬液は、上記風路を通して上記薬剤槽内に取り込まれた送風に乗せて放出される。
【0014】
一実施形態の超音波式ネブライザでは、上記風路が上記本体に隣接していることを上記薬剤槽カバー検知部が検知したことを動作開始条件の一つとして、霧化動作を許容または禁止する制御を行う制御部を備えたことを特徴とする。
【0015】
この一実施形態の超音波式ネブライザでは、制御部は、上記風路が上記本体に隣接していることを上記薬剤槽カバー検知部が検知したことを動作開始条件の一つとして、霧化動作を許容または禁止する制御を行う。
【0016】
上記風路が上記本体に隣接しているとき、すなわち、上記本体に対して上記槽ユニットが装着されているとき、他の動作開始条件が充足されていれば、制御部によって霧化動作が許容される。したがって、上記本体から上記発振回路の出力が上記本体側接点電極、上記槽側接点電極を通して上記超音波振動子に印加され得る。これによって、上記超音波振動子が発生する超音波振動が上記作用槽の作用液を介して上記薬剤槽に伝達されて、上記薬剤槽内の薬液が霧化される。霧化された薬液は、上記風路を通して上記薬剤槽内に取り込まれた送風に乗せて放出される。
【0017】
なお、「他の動作開始条件」としては、例えば、上記発振回路を冷却するための冷却ファンの停止(ロック)が無いこと、上記送風ファンを覆う送風カバーが装着されていることなどが挙げられる。
【0018】
一方、上記風路が上記本体に隣接していないとき、すなわち、上記本体に対して上記槽ユニットの作用槽、薬剤槽が装着されていない可能性があるとき、制御部によって霧化動作が禁止される。すなわち、上記発振回路の出力が上記本体側接点電極に現れるのが禁止される。したがって、ユーザが上記本体側接点電極に触ったとしても、感電する危険がない。
【0019】
一実施形態の超音波式ネブライザでは、
上記風路内に磁石が組み込まれ、
上記薬剤槽カバー検知部は、上記磁石の磁力によって、上記風路が上記本体に隣接しているか否かを検知することを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の超音波式ネブライザでは、上記風路内に磁石が組み込まれている。上記薬剤槽カバー検知部は、上記磁石の磁力によって、上記風路が上記本体に隣接しているか否かを検知する。このようにした場合、上記薬剤槽カバー検知部は、例えばホールIC(磁気センサを含む集積回路)によって、簡単かつ安価に構成され得る。
【発明の効果】
【0021】
以上より明らかなように、この発明の超音波式ネブライザによれば、簡単な構成で、感電の危険を無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明の一実施形態の超音波式ネブライザ(全体を符号1で示す。)を分解状態で右斜め上方から見たところを示している。
図2は、
図1の超音波式ネブライザ1を前方から見たところを示している。
【0025】
これらの
図1,
図2によって分かるように、この超音波式ネブライザ1は、大別して、本体2と、この本体2に対して着脱可能に構成された槽ユニット3とを備えている。
【0026】
槽ユニット3は、作用槽4と、薬剤槽受け5と、薬剤槽6と、薬剤槽カバー7とを含んでいる。槽ユニット3のこれらの要素4,5,6,7は、工具を用いる必要なしに人の手で、順に上に重ねて嵌め込み式に組み立てられ、また、その逆に分解可能になっている。
【0027】
本体2は、筐体をなす主部2bと、この主部2bの上面に設けられた前後方向に延びる持ち運び用の取っ手2aとを備えている。主部2bの左半分(取っ手2aよりも左側)には、槽ユニット3を取り囲んで収容するための略円筒状の収容部2uが設けられている。主部2bの後面側には、収容部2uに連なる開口2wが設けられている。開口2wの幅(左右方向の寸法)は、槽ユニット3の装着の便宜のために、人の拳が入り得る寸法に設定されている。収容部2uの底(主部2bの下部)には、槽ユニット3が装着されるべき着座台部2d(
図3、
図4参照)が設けられている。
図1,
図2に示すように、取っ手2aの前部には、薬剤槽カバー7に取り付けられた吸気ホース8(
図9参照)の先端部を保持するためのC字状のホースホルダ2tが設けられている。
【0028】
本体2の上面の右半分(取っ手2aよりも右側)には、操作スイッチ部24と、LED(発光ダイオード)表示部25と、LCD(液晶表示素子)表示部26とが設けられている。操作スイッチ部24は、ユーザ(医師、看護師など)が連続噴霧時間を入力するためのタイマ調整キースイッチ24Aと、第1の操作部としての風量設定値を入力するための風量調整キースイッチ24Bと、第2の操作部としての霧化量設定値を入力するための霧化量調整キースイッチ24Cと、噴霧スタートまたはストップを指示するための噴霧スタート/ストップスイッチ24Dとを含んでいる。なお、各キースイッチ24A,24B,24Cは、それぞれ入力値を増減するためのアップキーとダウンキー(
図1,
図2中に左右一対の丸印で示す。)を含んでいる。LED表示部25およびLCD表示部26は、後述するCPU28(
図9参照)から霧化量、風量、タイマ、噴霧スタート、エラーなどの状態を表す信号を受けて、表示する。
【0029】
図1中に示すように、本体2の右側面には、この超音波式ネブライザ1のための電源スイッチ48が設けられている。また、本体2の右後部には、後述の送風ファンを覆う送風カバー2cが設けられている。
【0030】
図5は、組み立てられた状態にある槽ユニット3の、
図2の紙面と平行な縦断面を示している。
図6は、そのような槽ユニット3の、
図2の紙面と垂直な縦断面を示している。
【0031】
これらの
図5,
図6によって分かるように、作用槽4は、上方へ開いており、略円筒状の内周壁4aと、この内周壁4aの下部を塞ぐ内底面4bと、内周壁4aの周りを取り巻く略円筒状の外周壁4cと、この外周壁4cの下部を塞ぐ外底面4dと、内周壁4aの上縁と外周壁4cの上縁とをつなぐ頂部4eと、外周壁4cに一体に取り付けられた持ち運び用の取っ手4tとを有している。作用槽4の内面を構成する内周壁4aと内底面4bとが形成する槽内空間4iには、作用液(この例では、水)4Lが溜められる。内底面4bと外底面4dとの間には、隙間4hが設けられている。これにより、作用槽4は2重底構造になっている。
【0032】
より詳しくは、作用槽4は、主に(取っ手4tを別にして)、内周壁4aと外周壁4cをなすABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂からなる第1の部材4Aと、内底面4bをなすPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなる第2の部材4Bと、外底面4dをなすPPS樹脂からなる第3の部材4Cとで構成されている。第1の部材4Aは、略円筒状で、その下部4Abが下方へ凸状に湾曲し、内側に持ち上がって略円形の開口4Aaを形成している。第2の部材4Bは、略円筒状で、その上部がOリング4oを介して、第1の部材4Aの開口4Aa内に液密に嵌合されている。第2の部材4Bの上部は、作用槽4の内底面4bを形成している。作用槽4(第2の部材4B)の内底面4bには、開口4Baが形成されている。第3の部材4Cは、略角筒状の外形を有し、その上部がOリング4o′を介して、第2の部材4Bの下部の周りに液密に嵌合されている。第3の部材4Cの下部は塞がって、作用槽4の外底面4dを形成している。第3の部材4Cは、複数のねじ4s(
図5中に1つのみ示す。)によって、第1の部材4Aの下部4Abに取り付けられている。この結果、作用槽4は、第1の部材4Aと第3の部材4Cとの間に第2の部材4Bを挟む態様で、一体に組み立てられている。なお、外底面4d(第3の部材4C)には、作用槽4の脚4kが下方へ突起して設けられている。
【0033】
作用槽4の2重底構造をなす隙間4hには、板状の超音波振動子10が組み込まれている。超音波振動子10の振動面は、内底面4bの下方から、この内底面4bに設けられた開口4Baを通して槽内空間4iに面して配置されている。より詳しくは、超音波振動子10は、枠状のゴム製ホルダ10gに嵌まって保持されている。ゴム製ホルダ10gは、図示しないねじによって内底面4bに取り付けられた押圧部材4jによって、内底面4bの開口4Baの周りに下方から押しつけられている。これにより、超音波振動子10がホルダ10gとともに、槽内空間4iから開口4Baを通して作用液4Lを漏らさない態様で組み込まれている。
【0034】
また、槽内空間4iの予め定められた高さレベルには、作用液4Lの液面を検出するための水位センサ15が配置されている。水位センサ15は、作用槽4内の作用液4Lの水位が上記高さレベル(必要レベル)を越えているか否かを表す電圧信号を発生する。水位センサ15は、内底面4bを貫通して、Oリング15oによって液密に取り付けられている。
【0035】
この例では、作用槽4の底部(第3の部材4C)に、外壁を貫通して、第1、第2、第3、第4の槽側接点電極11B,12B,13B,14Bが設けられている(
図1,
図2中に作用槽4の前面側の第1、第2の槽側接点電極11B,12Bを示し、
図5中に作用槽4の後面側の第3、第4の槽側接点電極13B,14Bを示し、
図6中に第1、第3の槽側接点電極11B,13Bを示す。)。各槽側接点電極11B,12B,13B,14Bは、それぞれOリングによって、外壁に対して液密に取り付けられている(
図6中に第1、第3の槽側接点電極11B,13Bに対応するOリング11o,13oを示す。)。
図9中に示すように、第1、第2の槽側接点電極11B,12Bは、それぞれ配線81,82によって、超音波振動子10の第1、第2の電極10p,10nに導通されている。また、第3の槽側接点電極13Bは、配線83によって、水位センサ15に導通されている。なお、
図5,
図6中の金属部材81A,83Aは、それぞれ配線81,83の一部をなしている。金属部材84Aは第4の槽側接点電極(ダミーの槽側接点電極)14Bにつながっている。
【0036】
なお、
図5,
図6に加えて、
図1,
図2中に示すように、作用槽4では、第1の部材4Aの周方向に関して特定(前方から見て左右一対)の箇所が槽内へ向かって湾曲している。これにより、外周壁4cに左右一対の窪み4q,4qが形成されている。また、内周壁4aに左右一対の隆起4p,4pが形成されている。窪み4q,4qは、本体2(主部2b)に対して槽ユニット3(作用槽4)を装着する際に、槽ユニット3(作用槽4)を案内するために用いられる。隆起4p,4pは、作用槽4に対して薬剤槽受け5の向き(方位)を定めるために用いられる。
【0037】
図5,
図6に加えて、
図1,
図2中に示すように、薬剤槽受け5は、作用槽4の槽内空間4iに収容される円筒状部分5aと、この円筒状部分5aの上端に沿って設けられた平坦な受け部5bと、この受け部5bの外縁に沿って設けられ、下方へ断面コの字状に開いた係合部5eと、上記受け部5bの内縁に沿って設けられ、上方へ突起した突起部5cとを有している。円筒状部分5aの周方向に関して特定(前方から見て左右一対)の箇所に、下方へコの字状に開いた切り欠き5q,5qが形成されている。
図5,
図6中に示すように、薬剤槽受け5は、係合部5eが作用槽4の頂部4eに嵌合することによって、上方から作用槽4に重ねて配置される。このとき、作用槽4の隆起4pに対して切り欠き5qを合わせることによって、作用槽4に対して薬剤槽受け5の向き(方位)が定められる。逆に、作用槽4から薬剤槽受け5を上方へ引き抜けば、作用槽4から薬剤槽受け5が取り外される。なお、薬剤槽受け5には、係合部5eの内側の周方向に関して特定の箇所に、薬剤槽カバー7を係止するための突起5fが設けられている。
【0038】
薬剤槽6は、下方へ凸に略半球状に形成された主部6aと、この主部6aの上端に沿って設けられた平坦な段部6bと、この段部6bの外縁に沿って設けられ、下方へ断面コの字状に開いた係合部6eとを有している。薬剤槽6は、係合部6eが薬剤槽受け5の突起部5cに嵌合することによって、上方から薬剤槽受け5に重ねて配置される。逆に、薬剤槽受け5から薬剤槽6を上方へ引き抜けば、薬剤槽受け5から薬剤槽6が取り外される。薬剤槽6内には、霧化されるべき薬液6Lが溜められる。薬液6Lとしては、例えば、生理食塩水や、生理食塩水とビソルボンとの混合液などが挙げられる。槽ユニット3が組み立てられた状態では、薬剤槽6の底部は作用槽4内の作用液4Lに浸けられるようになっている。
【0039】
図5、
図6に加えて、薬剤槽カバー7を単独で示す
図7に示すように、薬剤槽カバー7は、薬剤槽6の上方を覆うように上部が塞がれた短円筒状のカバー部7bと、カバー部7bに連通し側方へ延在する風路7aと、カバー部7bに連通し上方へ延在する放出口7cとを有している。また、カバー部7bの周囲に沿って平坦なフランジ部7dが形成されている。さらに、このフランジ部7dの外縁に沿って、下方へ突起した環状の外縁部7fが形成されている。
図7中に示すように、風路7aの入口下部には、磁石取付用ケース7hとともに、本体2に対してこの薬剤槽カバー7が正しく装着されたか否かの検知のために用いられる磁石17が組み込まれている。
【0040】
図1、
図2および
図5中に示すように、薬剤槽カバー7には、外縁部7fの周方向に関して特定の箇所に、薬剤槽受け5の係合部5eに係止されるべき係合部7gが形成されている。
図5、
図6に示すように、薬剤槽カバー7は、カバー部7bの下部7eの周りにOリング7oが取り付けられた状態で、上方から薬剤槽6に重ねて配置される。より詳しくは、薬剤槽カバー7によって、Oリング7oを介して、上方から薬剤槽6の係合部6eを押圧する。これとともに、薬剤槽カバー7をカバー部7bの中心(鉛直方向)の周りに少しだけ回転(この例では、上から見て時計回り)させることによって、係合部7gを薬剤槽受け5の突起5fの下に潜らせて係止させる。これにより、薬剤槽カバー7と薬剤槽受け5の突起部5cとの間にOリング7oを介して薬剤槽6の係合部6eを挟む態様で、薬剤槽カバー7を薬剤槽受け5に対して取り付けるとともに、作用槽4(の取っ手4t)に対して薬剤槽カバー7の風路7aを所定の向き(方位)に配置する。この例では、作用槽4の取っ手4tに正対して見たとき、薬剤槽カバー7の風路7aの入口が左を向くように配置される。逆に、薬剤槽カバー7をカバー部7bの中心の周りに少しだけ反時計回りに回転させ、薬剤槽カバー7を上方へ引き抜けば、薬剤槽カバー7が取り外される。
【0041】
図3は本体2に対して槽ユニット3が装着された状態(槽ユニット装着状態)を上方から見たところを示している(本体2の前面が上、後面が下に描かれている。)。また、
図4は
図3におけるIV-IV線矢視断面を示している。
【0042】
図3、
図4に示すように、槽ユニット装着状態では、本体2の収容部2uの底の着座台部2d上に槽ユニット3が取り付けられる。槽ユニット3は、作用槽4の取っ手4tが本体2の後方へ向き、取っ手4tの外側が本体2の後面と略一致する態様で取り付けられる。薬剤槽カバー7の風路7aの入口は、本体2(主部2b)の上方へ延在した配置になる。槽ユニット装着状態では、本体2に取り囲まれて槽ユニット3が保護され、本体2から槽ユニット3(特に、作用槽4)が不用意に離脱しなくなる。
【0043】
図4中に示すように、本体2(主部2b)の上部には、薬剤槽6への送風のための送風ファン(ファンを回転させるモータを含む。)38が配置されている。送風ファン38は、主部2bに対して着脱可能な送風カバー2cによって覆われている。送風カバー2cには、槽ユニット装着状態で槽ユニット3側の風路7aに連通する送風口2eが設けられている。主部2b内で、風路7aの磁石17の直下に相当する箇所には、薬剤槽カバー検知部41が設けられている。薬剤槽カバー検知部41は、ホールIC(磁気センサを含む集積回路)を含み、薬剤槽カバー7に組み込まれた磁石17の磁力によって、主部2bに対して薬剤槽カバー7が正しく装着されているか(送風口2eに風路7aが合っているか)否かを検出する。
【0044】
また、送風カバー2cの内側には、主部2bに対して送風カバー2cが装着されたか否かの検知のために用いられる磁石39が取り付けられている。主部2b内で、送風カバー2cの磁石39の直下に相当する箇所には、送風カバー検知部40が設けられている。送風カバー検知部40は、ホールICを含み、送風カバー2cに取り付けられた磁石39の磁力によって、主部2bに対して送風カバー2cが装着されているか否かを検出する。
【0045】
主部2b内の下部には、後述するAC−DC変換部20と、放熱部35とが配置されている。
【0046】
図8は、本体2において槽ユニット3を収容するための収容部2uを上方から見たところを示している(本体2の前面側が下、後面側が上に描かれている。)。収容部2uの内面の周方向に関して特定(前方から見て左右一対)の箇所に、作用槽4の窪み4q,4q(
図1,
図2参照)に嵌合すべき隆起2p,2pが形成されている。収容部2uの底の着座台部2dには略矩形の窪み2qが形成され、この窪み2qの側壁2q1から突出するように第1、第2、第3、第4の本体側接点電極11A,12A,13A,14Aが設けられている。これらの第1、第2、第3、第4の本体側接点電極11A,12A,13A,14Aは、図示しないコイルばねによって側壁2q1から突出する向きに付勢されている。なお、作用液4L等が万一こぼれた場合のために、窪み2qの底壁2q2は中央に向かって次第に低くなるように傾斜しており、底壁2q2の中央には排水口2oが設けられている。
【0047】
図8中に示した本体2の収容部2u内の着座台部2dに対して、作用槽4(または槽ユニット3。この段落において以下同様。)は、正立した姿勢で上方から下方へ降ろされることによって装着される。このとき、作用槽4の窪み4q,4q(
図2,
図5参照)が収容部2uの内面の隆起2p,2pに嵌合して、水平面内で作用槽4が案内される。また、作用槽4の略角筒状の底部(第3の部材4C)が着座台部2dの窪み2qに嵌合することによって、本体2に対して作用槽4の向き(方位)が定まる(なお、本体2に対する作用槽4の向きは、作用槽4の取っ手4tの向きによって概ね定まっている。)。第1、第2、第3、第4の本体側接点電極11A,12A,13A,14Aは、作用槽4が上方から降ろされて着座したとき、それぞれ作用槽4の第1、第2、第3、第4の槽側接点電極11B,12B,13B,14Bに接触して導通する。逆に、作用槽4は、本体2の着座台部2dから上方へ引き抜かれることによって、本体2から取り外される。
【0048】
このように、この超音波式ネブライザ1では、本体2に対して作用槽4が着脱可能に構成されている。また、既述のように、作用槽4に対して、薬剤槽受け5を介して薬剤槽6、薬剤槽カバー7が着脱可能に構成されている。したがって、ユーザ(医者や看護師など)は、例えば、槽ユニット装着状態で、まず本体2から槽ユニット3(作用槽4、薬剤槽受け5、薬剤槽6、薬剤槽カバー7を含む。)を取り外し、続いて、槽ユニット3の作用槽4から薬剤槽カバー7、薬剤槽6、薬剤槽受け5を順に取り外すことによって、作用槽4のみを容易に取り出すことができる。または、槽ユニット装着状態で、まず薬剤槽受け5から薬剤槽6、薬剤槽カバー7を取り外し、続いて作用槽4から薬剤槽受け5を取り外し、さらに本体2から作用槽4を取り外すことによって、作用槽4のみを容易に取り出すことができる。したがって、作用槽4を単独で簡単に洗浄および/または消毒することができる。また、薬剤槽カバー7、薬剤槽6、薬剤槽受け5もそれぞれ単独で、簡単に洗浄および/または消毒液で消毒することができる。
【0049】
図9は、この超音波式ネブライザ1(槽ユニット装着状態にある)の概略ブロック構成を模式的に示している。なお、
図9では、簡単のため、薬剤槽受け5、第4の本体側接点電極14A、第4の槽側接点電極14B等の図示は省略されている。
【0050】
本体2(主部2b)には、既述の電源スイッチ48と、AC(交流)プラグ49と、AC−DC変換部20と、表示基板50と、制御基板51と、発振ユニット部34と、この発振ユニット部34に沿って配置された放熱部35および冷却ファン36と、電流調整部37と、送風カバー検知部40と、薬剤槽カバー検知部41とが設けられている。表示基板50には、既述の操作スイッチ部24、LED(発光ダイオード)表示部25およびLCD(液晶表示素子)表示部26に加えて、ブザー部27と、このこの超音波式ネブライザ1全体の動作を制御するCPU28とが搭載されている。制御基板51には、第1のDC−DC変換部21と、第2のDC−DC変換部22と、渇水検知部29と、送風モータ制御部30と、発振ユニット制御部31と、冷却ファンロック検知部32とが搭載されている。
【0051】
ACプラグ49は、商用交流電源(この例では、AC100V)に接続される。電源スイッチ48は、この超音波式ネブライザ1全体の電源をオン/オフするために用いられる。
【0052】
AC−DC変換部20は、商用交流電源からのAC100VをDC48Vに変換する。このDC48Vは、発振ユニット部34や超音波振動子10を動作させるための電源として用いられる。
【0053】
第1のDC−DC変換部21は、そのDC48VをDC12Vに降圧する。このDC12Vは、送風カバー検知部40、送風ファン38、冷却ファン36を動作させるための電源として用いられる。
【0054】
第2のDC−DC変換部22は、そのDC12VをDC5Vに降圧する。このDC5Vは、主にシステム電源として、表示基板50上の要素24〜28を動作させるために用いられる。
【0055】
操作スイッチ部24は、既述のように、ユーザ(医師、看護師など)が霧化量、風量、タイマ、噴霧スタートなどのスイッチ入力を行うために設けられている。操作スイッチ部24は、スイッチ入力をCPU28へ伝達する。
【0056】
また、LED表示部25およびLCD表示部26は、CPU28から霧化量、風量、タイマ、噴霧スタート、エラーなどの状態を表す信号を受けて、表示する。
【0057】
ブザー部27は、CPU28からタイマ終了やエラーなどの状態を表す信号を受けて、音で報知する。
【0058】
渇水検知部29は、槽ユニット装着状態で水位センサ15から出力される電圧信号を受けて、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているか否かを表す検知信号をCPU28に伝達する。
【0059】
送風モータ制御部30は、CPU28から送風ファン38の回転数を制御するためのPWM(パルス幅変調)信号を受けて、そのPWM信号に応じて送風ファン38を駆動する。
【0060】
送風ファン38は、この例ではシロッコファンと、このシロッコファンを送風モータ制御部30からのPWM信号に応じた回転数で回転させるモータとを含んでいる。駆動される送風ファン38は、送風口2eを通して、槽ユニット3側へ送風90を行う。
【0061】
発振ユニット制御部31は、CPU28から超音波振動子10による霧化量を制御するためのPWM信号を受けて、発振ユニット部34に伝達する。
【0062】
発振ユニット部34は、この例ではコルピッツ発振回路を含み、発振ユニット制御部31から超音波振動子10を駆動するためのPWM信号を受けて、そのPWM信号に基づいて発振波形(交流発振電位)を生成して超音波振動子10へ出力する。
【0063】
放熱部35は、この例ではフィンを有する金属板(銅板など)からなっている。放熱部35は、発振ユニット部34から伝達された熱を、冷却ファン36からの風によって本体2の外部へ放出する。
【0064】
電流調整部37は、発振ユニット部34が超音波振動子10へ流す電流を調整する。
【0065】
冷却ファンロック検知部32は、冷却ファン36が停止(ロック)した際に発生する電圧信号(これを「冷却ファンロック信号」と呼ぶ。)を受けて、CPU28に入力可能な電圧レベルに変換する。その電圧変換された冷却ファンロック信号は、CPU28に入力される。冷却ファンがロックした場合、CPU28は、LED表示部25およびLCD表示部26に冷却ファン36が停止した旨のエラーを表示し、噴霧動作を停止する制御を行う。
【0066】
送風カバー検知部40は、既述のように、送風カバー2cに取り付けられた磁石39の磁力によって、主部2bに対して送風カバー2cが装着されているか否かを検出する。その送風カバー2cが装着されているか否かを表す検知結果は、CPU28に入力される。送風カバー2cが装着されていない場合、CPU28は、LED表示部25およびLCD表示部26に送風カバー2cが装着されていない旨のエラーを表示し、噴霧動作を停止する制御を行う。
【0067】
また、薬剤槽カバー検知部41は、薬剤槽カバー7に組み込まれた磁石17の磁力によって、主部2bに対して薬剤槽カバー7が正しく装着されているか(送風口2eに風路7aが合っているか)否かを検出する。その薬剤槽カバー7が正しく装着されているか否かを表す検知結果は、CPU28に入力される。薬剤槽カバー7が正しく装着されていない場合、CPU28は、LED表示部25およびLCD表示部26に薬剤槽カバー7が正しく装着されていない旨のエラーを表示し、噴霧動作を停止する制御を行う。
【0068】
槽ユニット装着状態では、既述のように、第1、第2の本体側接点電極11A,12Aは、それぞれ第1、第2の槽側接点電極11B,12Bに接触して導通している。噴霧動作時には、本体2内の発振ユニット部34からの出力が、第1、第2の本体側接点電極11A,12A、第1、第2の槽側接点電極11B,12Bを通して、超音波振動子10の電極10p,10nに印加される。これにより、作用槽4内の超音波振動子10が駆動されて超音波振動を発生する。この超音波振動は、作用液4Lを介して、薬剤槽6内の薬液6Lに伝達され、これにより、薬剤槽6内の薬液6Lが霧化される。霧化された薬液(エアロゾル)91は、送風ファン38からの送風90に乗せて、この例では吸気ホース8とマウスピース9とを通して、患者へ供給される。なお、マウスピース9に代えて、吸入マスクや、鼻孔からの吸入のためのガラスオリーブなどを含んでもよい。
【0069】
さて、仮に、本体2に対して槽ユニット3が装着されていない状態で、単にユーザの操作に基づいて霧化動作を開始すると、露出している本体側接点電極11A,12Aに発振ユニット部34の出力が現れる。このため、ユーザが本体側接点電極11A,12Aに触って感電する危険がある。また、槽ユニット3を構成する複数の要素(例えば、作用槽4と薬剤槽カバー7)それぞれの装着の有無を検知する方式では、構成が複雑になる。ここで、この例では、槽ユニット3は、作用槽4と、薬剤槽受け5と、薬剤槽6と、薬剤槽カバー7とを、順に上に重ねて配置されるように含んでいる。つまり、作用槽4、薬剤槽受け5および薬剤槽6が配置されなければ、薬剤槽カバー7は配置され得ない。したがって、薬剤槽カバー7が正しく装着されていること(薬剤槽カバー7の風路7aが本体2に隣接して送風口2eに合っていること)を薬剤槽カバー検知部41が検知すれば、本体2に対して槽ユニット3を構成する全ての要素(作用槽4、薬剤槽受け5、薬剤槽6および薬剤槽カバー7)が、装着されていると判断される。その場合、ユーザは槽ユニット3に遮られて本体側接点電極11A,12Aに触れることができないため、発振ユニット部34の出力が本体側接点電極11A,12Aに現れたとしても、ユーザは感電する危険がない。一方、薬剤槽カバー7が正しく装着されていないことを薬剤槽カバー検知部41が検知すれば、本体2に対して槽ユニット3の構成要素のうち少なくとも薬剤槽カバー7が装着されていない可能性がある。薬剤槽カバー7が装着されていなければ、本体2に対して槽ユニット3の他の構成要素(作用槽4、薬剤槽受け5および薬剤槽6)も装着されていない可能性がある。したがって、発振ユニット部34の出力が本体側接点電極11A,12Aに現れるのを禁止するのが望ましい。そのようにした場合、ユーザが本体側接点電極11A,12Aに触ったとしても、感電の危険を無くすことができる。
【0070】
図10は、上述の考え方に沿って創出された、CPU28が制御部として噴霧動作(霧化動作と送風動作とを同時に行う。)を許容するか否かを判断する制御フローを示している。
【0071】
i) 本体2の電源スイッチ48がオンされると、CPU28は、
図10のステップS1に示すように、薬剤槽カバー検知部41の検知結果に基づいて、本体2に対して薬剤槽カバー7が正しく装着されているか(送風口2eに風路7aが合っているか)否かを判断する。ここで、薬剤槽カバー7が正しく装着されていないときは(ステップS1でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に薬剤槽カバー7が装着されていない旨のエラーを表示し、噴霧動作を禁止することを表す噴霧動作禁止フラグを立てる(
図10のステップS5)。一方、薬剤槽カバー7が正しく装着されているときは(ステップS1でYES)、本体2に対して槽ユニット3が装着されていると判断して、次のステップS2へ進む。
【0072】
ii) ステップS2では、CPU28は、渇水検知部29の検知結果に基づいて、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているか否かを判断する。ここで、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされていないときは(ステップS2でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に作用槽4内の作用液4Lが不足している旨のエラーを表示し、噴霧動作を禁止することを表す噴霧動作禁止フラグを立てる(
図10のステップS5)。一方、ステップS2で、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているときは(ステップS2でYES)、次のステップS3へ進む。
【0073】
iii) ステップS3では、CPU28は、CPU28は、他の動作開始条件が充足されているか否かを判断する。他の動作開始条件としては、
図9中に示した冷却ファン36の停止(ロック)が無いこと(冷却ファンロック検知部32によって検知される。)、送風カバー2cが装着されていること(送風カバー検知部40によって検知される。)が含まれる。他の動作開始条件が充足されていない場合(ステップS3でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に非充足の動作開始条件を示すエラーを表示し、噴霧動作禁止フラグを立てる(
図10のステップS11)。
【0074】
iv) 一方、
図10のステップS3で他の動作開始条件が充足されている場合(ステップS3でYES)、CPU28は、ステップS4へ進んで、噴霧動作禁止フラグを解除して、噴霧動作を許容することを表す噴霧動作許容フラグを立てる。これにより、全ての動作開始条件が充足されている場合のみ、噴霧動作を許容することができる。
【0075】
CPU28は、本体2の電源スイッチ48がオンされている限り、周期的にステップS1〜ステップS5の処理を繰り返す。そして、噴霧動作許容フラグが立っている状態で、操作スイッチ部24の噴霧スタートスイッチ24Dが押されると、噴霧動作を開始する制御を行う。一方、噴霧動作禁止フラグが立っている状態では、操作スイッチ部24の噴霧スタートスイッチ24Dが押されても、噴霧動作を開始しない。
【0076】
このように、この超音波式ネブライザ1によれば、まず本体2に対して薬剤槽カバー7が正しく装着されていれば、本体2に対して槽ユニット3が装着されていると判断し
図10のステップS1)、続いて、槽ユニット3の装着が前提となる、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているか否かを判断している(
図10のステップS2)。すなわち、本体2に対する槽ユニット3の装着の有無として、本体2に対して薬剤槽カバー7が正しく装着されているか否かを判断している。そして、本体2に対して薬剤槽カバー7が正しく装着されていることを動作開始条件の一つとして、噴霧動作を許容または禁止している。これにより、槽ユニット3を構成する作用槽4の装着の有無を検知しなくても、感電の危険を無くすことができる。例えば、作用槽4の装着の有無を検知するために、例えば
図9中に破線で示すように、作用槽4に磁石16を設け、本体2にその磁石16の磁力を検知する作用槽検知部(ホールICを含む。)42を設けるような必要が無い。したがって、簡単な構成で、感電の危険を無くすことができる。
【0077】
また、薬剤槽カバー7の装着を検知する方式は、薬剤槽カバー7の風路7aに磁石17を設け、ホールICを含む薬剤槽カバー検知部41によって検知する方式であるから、簡単かつ安価に構成され得る。
【0078】
上述の
図10のフローでは、CPU28が噴霧動作を許容するか否かを判断するために、薬剤槽カバー7の装着の有無(ステップS1)、作用液4Lの水位レベルの充足/非充足(ステップS2)、他の動作開始条件の充足/非充足(ステップS3)を順に判断している。ただし、判断の順序はこれに限られるものではなく、例えば互いに並行して判断(並列処理)してもよい。
【0079】
図11は、
図10に対する比較例の制御フローを示している。この制御フローは、本体2に対する作用槽4の装着の有無を検知するための作用槽検知部が設けられていること(例えば、
図9中に破線で示すように、作用槽4に磁石16が設けられ、本体2にその磁石16の磁力を検知する作用槽検知部(ホールICを含む。)42が設けられていること)を仮定している。
【0080】
i) 本体2の電源スイッチ48がオンされると、CPU28は、
図11のステップS11に示すように、作用槽検知部42の検知結果に基づいて、本体2に対して作用槽4が装着されているか否かを判断する。ここで、作用槽4が装着されていないときは(ステップS11でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に作用槽4が装着されていない旨のエラーを表示し、噴霧動作を禁止することを表す噴霧動作禁止フラグを立てる(
図11のステップS16)。一方、本体2に対して作用槽4が装着されているときは(ステップS11でYES)、次のステップS12へ進む。
【0081】
ii) ステップS12では、CPU28は、渇水検知部29の検知結果に基づいて、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているか否かを判断する。ここで、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされていないときは(ステップS12でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に作用槽4内の作用液4Lが不足している旨のエラーを表示し、噴霧動作を禁止することを表す噴霧動作禁止フラグを立てる(
図11のステップS16)。一方、ステップS12で、作用槽4内の作用液4Lが必要レベルまで満たされているときは(ステップS12でYES)、次のステップS13へ進む。
【0082】
iii) ステップS13では、CPU28は、薬剤槽カバー検知部41の検知結果に基づいて、本体2(主部2b)に対して薬剤槽カバー7が正しく装着されているか(送風口2eに風路7aが合っているか)否かを判断する。ここで、本体2(主部2b)に対して薬剤槽カバーが正しく装着されていないときは(ステップS13でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に薬剤槽カバー7が正しく装着されていない旨のエラーを表示し、噴霧動作を禁止することを表す噴霧動作禁止フラグを立てる(
図11のステップS16)。一方、ステップS13で、薬剤槽カバーが正しく装着されているときは(ステップS13でYES)、次のステップS14へ進む。
【0083】
iv) 次に、
図11のステップS14で、CPU28は、他の動作開始条件が充足されているか否かを判断する。他の動作開始条件としては、
図9中に示した冷却ファン36の停止(ロック)が無いこと(冷却ファンロック検知部32によって検知される。)、送風カバー2cが装着されていること(送風カバー検知部40によって検知される。)が含まれる。他の動作開始条件が充足されていない場合(ステップS14でNO)、
図1中に示したLED表示部25およびLCD表示部26に非充足の動作開始条件を示すエラーを表示し、噴霧動作禁止フラグを立てる(
図11のステップS16)。
【0084】
v) 一方、
図11のステップS14で他の動作開始条件が充足されている場合(ステップS14でYES)、CPU28は、ステップS15へ進んで、噴霧動作禁止フラグを解除して、噴霧動作を許容することを表す噴霧動作許容フラグを立てる。これにより、全ての動作開始条件が充足されている場合のみ、噴霧動作を許容することができる。
【0085】
CPU28は、本体2の電源スイッチ48がオンされている限り、周期的にステップS11〜ステップS16の処理を繰り返す。そして、噴霧動作許容フラグが立っている状態で、操作スイッチ部24の噴霧スタートスイッチ24Dが押されると、噴霧動作を開始する制御を行う。一方、噴霧動作禁止フラグが立っている状態では、操作スイッチ部24の噴霧スタートスイッチ24Dが押されても、噴霧動作を開始しない。
【0086】
この
図11のフローによっても、感電の危険を無くすことができる。ただし、
図10の制御フローに比して、最初に本体2に対する作用槽4の装着の有無を検知するステップS11の分だけ、ステップ数が増加している。なお、
図11中の判断の順序は、これに限られるものではなく、
図10のフローに関して述べたのと同様に、例えば互いに並行して判断(並列処理)してもよい。
【0087】
上述の実施形態は例示に過ぎず、この発明の範囲から逸脱することなく種々の変形が可能である。上述した実施の形態の中の種々の特徴は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、それらの特徴同士の組みあわせも可能である。