特許第6384402号(P6384402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384402
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】手動変速機のシフト装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/38 20060101AFI20180827BHJP
   F16H 63/36 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   F16H63/38
   F16H63/36
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-105771(P2015-105771)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-217514(P2016-217514A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松元 光輔
(72)【発明者】
【氏名】笹子 洋平
(72)【発明者】
【氏名】江南 徳行
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−374(JP,A)
【文献】 特開2008−232262(JP,A)
【文献】 特開2003−14117(JP,A)
【文献】 特開2011−202678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/38
F16H 63/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機ケースに取付けられたシフトケース本体を有するシフトケースと、
セレクト操作に応じて前記シフトケース本体に対して軸線方向に移動自在、かつ、シフト操作に応じて前記シフトケース本体に対して軸線周りに回転するように配設されたシフトアンドセレクトシャフトと、
シフトパターンに沿った形状のガイド溝を有するガイド部材と、
前記ガイド溝に挿入される先端部を有し、前記シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向および回転方向への移動量を規制するガイドピンと、
前記シフトアンドセレクトシャフトに固定され、カム面と、シフトヘッドを押圧することにより、ギヤシフトシャフトを前記ギヤシフトシャフトの軸線方向と平行なシフト方向に移動させるフィンガー部とを有するカム部材と、
前記カム部材を挟み込むようにC字状に形成されるとともに、前記フィンガー部の先端を突出させるスリットを有し、前記シフトアンドセレクトシャフトと一体で軸線方向に移動し、かつ、前記シフトアンドセレクトシャフトと相対回転するインタロック部材と、
前記カム部材の前記カム面に押し付け力を作用させることにより、前記シフトアンドセレクトシャフトが軸線方向および回転方向に移動するときの操作力を付与するディテント部材と、
前記インタロック部材が前記シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向周りに回転することを規制する規制部材とを備え、
前記ディテント部材が、前記シフトアンドセレクトシャフトの径方向に延びるように前記インタロック部材に固定される手動変速機のシフト装置であって、
前記シフトケースが、前記インタロック部材および前記カム部材を取り囲むようにして前記シフトケース本体から前記変速機ケースの内方に向かって延びるハウジングを有し、
前記ハウジングが、前記ギヤシフトシャフトの軸線方向と平行に設置される第1の縦壁と、前記第1の縦壁の軸線方向の両端部から前記ギヤシフトシャフトの軸線方向と直交する方向に延びる一対の第2の縦壁とを備え、
前記第1の縦壁に前記ガイド部材を設置し、前記第2の縦壁の一方に前記規制部材を設置し、前記第2の縦壁の他方に、前記ディテント部材が貫通され、かつ、前記ディテント部材を前記シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向で移動自在とする貫通孔を形成したことを特徴とする手動変速機のシフト装置。
【請求項2】
前記規制部材および前記ディテント部材は、前記規制部材および前記ディテント部材のそれぞれの軸線が、前記ギヤシフトシャフトの軸線と同方向に延びるように前記第2の縦壁に設置されることを特徴とする請求項1に記載の手動変速機のシフト装置。
【請求項3】
前記ギヤシフトシャフトの軸線方向に対する第1の縦壁の幅に対して、前記ギヤシフトシャフトと直交する方向に対する前記第2の縦壁の幅が小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の手動変速機のシフト装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動変速機のシフト装置に関し、特に、セレクト操作に応じてシフトケース本体に対して軸線方向に移動自在、かつ、シフト操作に応じてシフトケース本体に対して軸線周りに回転するように配設されたシフトアンドセレクトシャフトを備えた手動変速機のシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手動変速機のシフト装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたシフト装置は、開口部を有する変速機ケースに、コントロールカバー(シフトケース本体に相当)を介してシフトアンドセレクトシャフトが設置されている。
【0003】
シフトアンドセレクトシャフトには、インナレバーと、インナレバーの周囲に設置されたインタロック部材と、シフトパターンに沿った形状の凹穴を有するガイドプレートとが設けられており、インタロック部材およびガイドプレートは、シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向に並んで設けられている。
【0004】
変速機ケースには凹穴に挿入される先端部を有し、シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向および回転方向への移動量を規制するガイドピンと、インナレバーに接触してインナレバーに押し付け力を作用させることにより、シフトアンドセレクトシャフトが軸線方向および回転方向に移動するときの操作力を付与するロックボールアッシュ(ディテント部材に相当)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−32167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の手動変速機のシフト装置にあっては、ロックボールアッシュとガイドピンとが変速機ケースから外方に突出するように変速機ケースに取付けられている。これに加えて、ロックボールアッシュおよびガイドピンの軸線が、長尺なギヤシフトシャフトの軸線方向に対して直交するものと考えられる。
このため、シフト装置が大型化してしまい、結果的にシフト装置が搭載される手動変速機が大型化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、シフト装置の小型化を図ることができ、手動変速機を小型化することができる手動変速機のシフト装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、変速機ケースに取付けられたシフトケース本体を有するシフトケースと、セレクト操作に応じてシフトケース本体に対して軸線方向に移動自在、かつ、シフト操作に応じてシフトケース本体に対して軸線周りに回転するように配設されたシフトアンドセレクトシャフトと、シフトパターンに沿った形状のガイド溝を有するガイド部材と、ガイド溝に挿入される先端部を有し、シフトアンドセレクトシャフトの軸線方向および回転方向への移動量を規制するガイドピンと、シフトアンドセレクトシャフトに固定され、カム面と、シフトヘッドを押圧することにより、ギヤシフトシャフトをギヤシフトシャフトの軸線方向と平行なシフト方向に移動させるフィンガー部とを有するカム部材と、カム部材を挟み込むようにU字状に形成されるとともに、フィンガー部の先端を突出させるスリットを有し、シフトアンドセレクトシャフトと一体で軸線方向に移動し、かつ、シフトアンドセレクトシャフトと相対回転するインタロック部材と、カム部材のカム面に押し付け力を作用させることにより、シフトアンドセレクトシャフトが軸線方向および回転方向に移動するときの操作力を付与するディテント部材と、インタロック部材がシフトアンドセレクトシャフトの軸線方向周りに回転することを規制する規制部材とを備え、ディテント部材が、シフトアンドセレクトシャフトの径方向に延びるようにインタロック部材に固定される手動変速機のシフト装置であって、シフトケースが、インタロック部材およびカム部材を取り囲むようにしてシフトケース本体から変速機ケースの内方に向かって延びるハウジングを有し、ハウジングが、ギヤシフトシャフトの軸線方向と平行に設置される第1の縦壁と、第1の縦壁の軸線方向の両端部からギヤシフトシャフトの軸線方向と直交する方向に延びる一対の第2の縦壁とを備え、第1の縦壁にガイド部材を設置し、第2の縦壁の一方に規制部材を設置し、第2の縦壁の他方に、ディテント部材が貫通され、かつ、ディテント部材をシフトアンドセレクトシャフトの軸線方向で移動自在とする貫通孔を形成したものから構成されている。
【発明の効果】
【0009】
このように上記の本発明によれば、長尺なギヤシフトシャフトと同方向に規制部材およびディテント部材を設置することで、ギヤシフトシャフトの軸線方向と直交する方向に規制部材およびディテント部材を設置する必要がない。
【0010】
これにより、シフトアンドセレクトシャフトに対してギヤシフトシャフトの軸線と直交する方向にハウジングが拡大されることを防止して、シフト装置を小型化できる。このため、ギヤシフトシャフトやシフト装置を含んだシフト機構を小型化して、結果的に、手動変速機を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、手動変速機の上面図である。
図2図2は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、手動変速機の側面図である。
図3図3は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、シフト装置および変速歯車機構の斜視図である。
図4図4は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、シフト装置および変速歯車機構を車幅方向左側から見た図である。
図5図5は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、シフト装置および変速歯車機構を車幅方向右側から見た図である。
図6図6は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、シフト装置の正面図である。
図7図7は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、シフト装置を車両の前方から見た図である。
図8図8は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、図4のVIII−VIII方向矢視断面図である。
図9図9は、本発明の手動変速機のシフト装置の一実施の形態を示す図であり、図6のIX−IX方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る手動変速機のシフト装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1図9は、本発明に係る一実施の形態の手動変速機のシフト装置を示す図である。なお、図1図9において、上下左右方向は、車両に搭乗する運転者から見た方向を示している。
【0013】
まず、構成を説明する。
図1図2において、車両に搭載される手動変速機1は、車両の走行状態に応じて内燃機関としてのエンジン10の回転速度および回転トルクを変換し、図示しない駆動輪に伝える。
【0014】
手動変速機1は、変速機ケース2を有し、変速機ケース2の内部にはシフト装置3や図3図4に示す変速歯車機構4等の様々な構成部品が設けられている。図8に示すように、変速機ケース2の開口部2aにはシフトケース5のシフトケース本体6の外周部が複数のボルト7(図1図2参照)によって締結されている。
【0015】
シフトケース本体6は、図示しないシール部材を介して変速機ケース2に取付けられることにより、変速機ケース2の内部が密閉されている。このため、変速機ケース2の内部に収容される潤滑油が外部に漏出することが防止される。
【0016】
図5図8に示すように、変速機ケース2の内部にはシフトアンドセレクトシャフト8が収容されており、このシフトアンドセレクトシャフト8は、セレクト操作に応じてシフトケース本体6に対して軸線方向に移動自在、かつ、シフト操作に応じてシフトケース本体6に対して軸線周りに回転する。図4図7において、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線をOで示す。
【0017】
図3図7において、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向への移動をセレクト方向S1で示し、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線周りの回転をシフト方向S2で示す。
また、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向上端側は、シフトケース本体6に移動自在に支持されており、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向下端側は、変速機ケース2の支持部2Aに移動自在に支持されている(図7参照)。
【0018】
図1図7において、シフトケース本体6の外方に突出するシフトアンドセレクトシャフト8の上端部にはL字形状のセレクトアウタレバー11とシフトアウタレバー12とが取付けられている。セレクトアウタレバー11の一端部には図示しないセレクトケーブルの一端部が連結されており、セレクトアウタレバー11の他端部は、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向上端部に連結されている。
【0019】
セレクトケーブルの他端部は、運転席近傍に設けられて運転者によって操作される図示しないシフトレバーの下端部に連結されており、運転手によってシフトレバーがセレクト方向に操作されると、セレクトケーブルを介してセレクトアウタレバー11がシフトアンドセレクトシャフト8を軸線方向に移動させる。
【0020】
シフトアウタレバー12の一端部には図示しないシフトケーブルの一端部が連結されており、シフトアウタレバー12の軸線方向中央部は、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向上端部に固定されている。
【0021】
シフトケーブルの他端部は、上述したシフトレバーの下端部に連結されており、運転手によってシフトレバーがシフト方向に操作されると、シフトケーブルを介してシフトアウタレバー12がシフトアンドセレクトシャフト8を軸線方向周りに回転させる。
【0022】
本実施の形態のシフト装置3は、所謂、リモートコントロール型のシフト装置3から構成されているが、これに限られるものではなく、シフトアンドセレクトシャフト8に直接シフトレバーを取付けた、所謂、ダイレクトコントロール方式のシフト装置3であってもよく、これらの方式に限定されるものでもない。
【0023】
図7図9において、シフトアンドセレクトシャフト8には第1のカム部材13が固定されている。図9において、第1のカム部材13は、カム面13Aと、カム面13Aと直交する方向からシフトアンドセレクトシャフト8の径方向外方に突出する第1のフィンガー部13Bと、第1のフィンガー部13Bの取付け面と反対側の面からシフトアンドセレクトシャフト8の径方向外方に突出するガイドピン13Cとを有する。本実施の形態の第1のカム部材13は、本発明のカム部材を構成し、第1のフィンガー部13Bは、本発明のフィンガー部を構成する。
【0024】
第1のフィンガー部13Bは、2つのシフトヘッド17A、17Bのいずれかに係合してシフトヘッド17A、17Bのいずれかをシフト方向S2に移動させる。
図7図8において、シフトアンドセレクトシャフト8には第1のカム部材13を覆うようにインタロックプレート20が取付けられている。
【0025】
インタロックプレート20は、シフトアンドセレクトシャフト8に相対回転自在に取付けられており、インタロックプレート20は、第1のカム部材13を挟み込むようにC字状に形成されている。
【0026】
図7において、インタロックプレート20にはスリット20aが形成されており、第1のカム部材13の第1のフィンガー部13Bは、スリット20aを通してインタロックプレート20の外方に突出することにより、2つのシフトヘッド17A、17Bのいずれかに係合する。本実施の形態のスリット20aは、本発明のスリットを構成する。
【0027】
シフトアンドセレクトシャフト8には図示しないスナップリングが取付けられており、スナップリングは、インタロックプレート20の内周面に接触している。これにより、インタロックプレート20は、シフトアンドセレクトシャフト8と一体で軸線方向に移動し、かつ、シフトアンドセレクトシャフト8と相対回転する。本実施の形態のインタロックプレート20は、本発明のインタロック部材を構成する。
【0028】
図3図5に示すように、シフトヘッド17Aは、車幅方向に延びる長尺なギヤシフトシャフト18Aに連結されており、シフトヘッド17Bは、ギヤシフトシャフト18Bに連結されている。それぞれのギヤシフトシャフト18A、18Bは、シフトアンドセレクトシャフト8と直交で、かつ、互いに平行に延びており、ギヤシフトシャフト18A、18Bの延びる方向は、エンジン10の図示しないクランクシャフトと略平行となっている。
【0029】
ギヤシフトシャフト18Aは、シフトフォーク19Aの一端部を保持しており、ギヤシフトシャフト18Bは、シフトフォーク19Bの一端部を保持している。
【0030】
図3において、シフトフォーク19A、19Bの他端部は、それぞれハブスリーブ23A、23Bに連絡しており、シフトフォーク19A、19Bがハブスリーブ23A、23Bを図3中、車幅方向に移動させることで変速が行なわれる。
【0031】
インタロックプレート20は、スリット20aに第1のフィンガー部13Bが設置されており、第1のフィンガー部13Bは、シフトヘッド17A、17Bのいずれか一方に係合し、シフトヘッド17A、17Bのいずれか一方をギヤシフトシャフト18A、18Bの延びる方向に移動させる。
【0032】
このとき、シフトヘッド17A、17Bの他方は、インタロックプレート20の外周面に当接して、第1のフィンガー部13Bに係合しない。このようにインタロックプレート20は、第1のフィンガー部13Bがシフトヘッド17A、17Bの両方を同時に選択することを防止する機能を有している。
【0033】
図3図6において、シフトアンドセレクトシャフト8には第2のカム部材21が固定されており、図4図6に示すように、第2のカム部材21は、シフトアンドセレクトシャフト8の径方向外方に突出する第2のフィンガー部21Aを有する。
【0034】
第2のフィンガー部21Aは、2つのシフトヘッド17C、17Dのいずれかに係合してシフトヘッド17C、17Dのいずれかをシフト方向S2に移動させる。
【0035】
図3図7において、シフトアンドセレクトシャフト8にはインタロックプレート22が設けられており、インタロックプレート22は、第2のカム部材21を覆うようにインタロックプレート20の下方に設置されている。
【0036】
インタロックプレート22は、シフトアンドセレクトシャフト8に相対回転自在に取付けられており、インタロックプレート22は、第2のカム部材21を挟み込むようにC字状に形成されている。
【0037】
インタロックプレート22にはスリット22aが形成されており(図6参照)、第2のカム部材21の第2のフィンガー部21Aは、スリット22aを通してインタロックプレート22の外方に突出することにより、2つのシフトヘッド17C、17Dのいずれかに係合する。
【0038】
シフトアンドセレクトシャフト8には図示しないスナップリングが取付けられており、スナップリングは、インタロックプレート22の内周面に接触している。これにより、インタロックプレート22は、シフトアンドセレクトシャフト8と一体で軸線方向に移動し、かつ、シフトアンドセレクトシャフト8と相対回転する。
【0039】
図3図5に示すように、シフトヘッド17Cは、ギヤシフトシャフト18Cに連結されており、シフトヘッド17Dは、ギヤシフトシャフト18Dに連結されている。それぞれのギヤシフトシャフト18C、18Dは、シフトアンドセレクトシャフト8と直交で、かつ、互いに平行に延びており、ギヤシフトシャフト18C、18Dの延びる方向は、エンジン10のクランクシャフトと略平行となっている。
【0040】
ギヤシフトシャフト18Cは、シフトフォーク19Cの一端部を保持しており、ギヤシフトシャフト18Dは、シフトフォーク19Dの一端部を保持している。
シフトフォーク19C、19Dの他端部は、それぞれハブスリーブ23C、23Dに連絡しており、シフトフォーク19C、19Dがハブスリーブ23C、23Dを図3中、車幅方向に移動させることで変速が行なわれる。
【0041】
インタロックプレート22は、スリット22aに第2のフィンガー部21Aが設置されており、第2のフィンガー部21Aは、シフトヘッド17C、17Dのいずれか一方に係合し、シフトヘッド17C、17Dのいずれか一方をギヤシフトシャフト18C、18Dの延びる方向に移動させる。
【0042】
このとき、シフトヘッド17C、17Dの他方は、インタロックプレート22の外周面に当接して、第2のフィンガー部21Aに係合しない。このようにインタロックプレート22は、第2のフィンガー部21Aがシフトヘッド17C、17Dの両方を同時に選択することを防止する機能を有している。
【0043】
シフト装置3は、シフトアンドセレクトシャフト8がニュートラル位置からセレクト方向S1の上方に移動すると、第1のフィンガー部13Bに係合されるシフトヘッド17A、17Bが選択される。
【0044】
その後、シフトアンドセレクトシャフト8がシフト方向S2に回転すると、第1のフィンガー部13Bに係合したシフトヘッド17A、17Bのいずれか1つに連結されるシフトフォーク19A、19Bのいずれか1つが、ハブスリーブ23A、23Bのいずれか1つをシフト方向S2である図3中、車幅方向に移動させることで変速が行なわれる。
【0045】
シフト装置3は、シフトアンドセレクトシャフト8がニュートラル位置からセレクト方向S1の下方に移動すると、第2のフィンガー部21Aに係合されるシフトヘッド17C、17Dが選択される。
【0046】
その後、シフトアンドセレクトシャフト8がシフト方向S2に回転すると、第2のフィンガー部21Aに係合したシフトヘッド17C、17Dのいずれか1つに連結されるシフトフォーク19C、19Dのいずれか1つが、ハブスリーブ23C、23Dのいずれか1つをシフト方向S2である図3中、車幅方向に移動させることで変速が行なわれる。
【0047】
図4図5において、変速歯車機構4は、図示しないクラッチを介してエンジン10の出力が伝達されるインプットシャフト30と、インプットシャフト30に取付けられた複数のドライブギヤ31とを備えており、ドライブギヤ31は、インプットシャフト30に固定されてインプットシャフト30と一体回転する。
【0048】
図3図5において、変速歯車機構4は、インプットシャフト30と平行に設けられたカウンタシャフト32、33と、カウンタシャフト32、33に設けられた複数のカウンタギヤ34、35とを備えている。
【0049】
カウンタギヤ34は、カウンタシャフト32に対して空転し、シフトアンドセレクトシャフト8が、シフト方向S2に回転してハブスリーブ23A、23Bのいずれか一方がギヤシフトシャフト18A、18Bの軸線方向に移動すると、空転するカウンタギヤ34のいずれか1つがカウンタシャフト32に噛み合ってカウンタシャフト32に共に回転する。これにより、インプットシャフト30からカウンタシャフト32に動力が伝達される。
【0050】
本実施の形態のカウンタシャフト32は、最上位に位置するギヤシフトシャフト18Aがカウンタシャフト32の軸線方向に移動することで5速または6速の変速を実行し、ギヤシフトシャフト18Aの下方に位置するギヤシフトシャフト18Bがカウンタシャフト32の軸線方向に移動することで3速または4速の変速を実行する。
【0051】
カウンタギヤ35は、カウンタシャフト33に対して空転し、シフトアンドセレクトシャフト8が、シフト方向S2に回転してハブスリーブ23C、23Dのいずれか一方がギヤシフトシャフト18C、18Dの軸線方向に移動すると、空転するカウンタギヤ35のいずれか1つがカウンタシャフト33に噛み合ってカウンタシャフト33に共に回転する。これにより、インプットシャフト30からカウンタシャフト33に動力が伝達される。
【0052】
本実施の形態のカウンタシャフト33は、上方に位置するギヤシフトシャフト18Cがカウンタシャフト33の軸線方向に移動することでリバース段の変速を実行し、ギヤシフトシャフト18Cの下方に位置するギヤシフトシャフト18Dがカウンタシャフト33の軸線方向に移動することで1速または2速の変速を実行する。
【0053】
また、カウンタシャフト32、33と平行に図示しないアウトプットシャフトが設けられており、アウトプットシャフトにはカウンタギヤ34、35に噛み合う図示しないドリブンギヤが設けられている。
カウンタシャフト32、33からアウトプットシャフトに伝達された変速段に応じた回転数の動力は、図示しないディファレンシャル装置を介して駆動輪に伝達される。
【0054】
このように本実施の形態の変速歯車機構4は、複数のドライブギヤ31と複数のカウンタギヤ34、35との組み合わせによって前進6速、後進1速の変速段が構成される。但し、本実施の形態の手動変速機1は、6速の変速段に限定されるものではなく、5速以下または7速以上の変速段を実行する手動変速機に適用してもよい。
【0055】
図5図7において、シフトケース5の下端にはハウジング53が一体に形成されており、図8に示すように、ハウジング53は、シフトケース本体6から変速機ケース2の内方に向かって延びている。ハウジング53は、インタロックプレート20および第1のカム部材13を取り囲む3つの縦壁54〜56を有し、第1のフィンガー部13Bに対向する部位には開口57が形成されている。
【0056】
縦壁54は、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と平行に設置されており、縦壁55、56は、縦壁54の軸線方向の両端部からギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と直交する方向に延びている。本実施の形態の縦壁54は、本発明の第1の縦壁を構成し、縦壁55、56は、本発明の第2の縦壁を構成する。
【0057】
図7図9において、インタロックプレート20にはディテント部材60が取付けられている。図8図9において、ディテント部材60は、インタロックプレート20に固定される筒状本体61と、筒状本体61の内部に設けられ、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向と直交する方向に移動自在な移動体62と、移動体62と筒状本体61の底面との間に介装され、移動体62をカム部材のカム面13Aに押し付けるコイルスプリング63とを備えている。
【0058】
ディテント部材60は、コイルスプリング63によって移動体62が付勢されると、移動体62を第1のカム部材13のカム面13Aに押し付ける。ディテント部材60は、シフトアンドセレクトシャフト8がセレクト方向S1およびシフト方向S2に回転するときに、カム面13Aに沿って移動体62が転動する。
【0059】
ディテント部材60は、第1のカム部材13がセレクト方向S1およびシフト方向S2に移動するときに、移動体62をカム面13Aに押し付けるコイルスプリング63の押し付け力を作用させることによって、シフトアンドセレクトシャフト8が軸線方向であるセレクト方向S1および回転方向であるシフト方向S2に移動するときの操作力を付与する。
【0060】
図6において、ハウジング53の縦壁54にはガイド部材36がボルト37によって固定されており、ガイド部材36はガイドピン13Cに対向している。ガイド部材36にはシフトパターンに沿った形状のガイド溝38が形成されており、ガイド溝38にはガイドピン13Cの先端部13c(図9参照)が挿入されている。
【0061】
図6において、ガイド部材36に形成されたガイド溝38は、1速用の溝39A、2速用の溝39B、3速用の溝39C、4速用の溝39D、5速用の溝39E、6速用の溝39Fおよびリバース用の溝39Gを備えている。
【0062】
ガイドピン13Cは、シフトアンドセレクトシャフト8がセレクト方向S1に移動するとともに、シフト方向S2に回転するのに伴ってガイド溝38に沿って移動する。
【0063】
そして、シフト終了後(変速終了後)にガイドピン13Cの先端が、1速用の溝39A、2速用の溝39B、3速用の溝39C、4速用の溝39D、5速用の溝39E、6速用の溝39Fあるいはリバース用の溝39Gの壁面に当接する。
【0064】
これにより、シフトアンドセレクトシャフト8のセレクト方向S1およびシフト方向S2への移動量が規制されて、シフトアンドセレクトシャフト8がセレクト方向S1およびシフト方向S2にがたつくことが防止される。
【0065】
図5図9において、ハウジング53の縦壁55にはボルト40が取付けられている。図8図9において、インタロックプレート20にはスリット20bが形成されており、スリット20bは、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に延び、かつ、ボルト40の先端部40Aと同程度の幅を有する。
【0066】
ボルト40の先端部40Aは、インタロックプレート20のスリット20bに係合しており、インタロックプレート20は、ボルト40の先端部40Aに沿ってシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に移動自在で、かつ、ボルト40の先端部40Aに係合することでシフトアンドセレクトシャフト8の回転方向に回転することが規制される。本実施の形態のボルト40は、本発明の規制部材を構成する。
【0067】
図4図8図9において、縦壁56には貫通孔56Aが形成されており、貫通孔56Aにはディテント部材60が貫通されている。具体的には、ディテント部材60は、インタロックプレート20から貫通孔56Aを通してシフトアンドセレクトシャフト8の径方向に突出している。すなわち、ディテント部材60は、縦壁56に設置されている。
【0068】
貫通孔56Aは、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に延びており、シフトアンドセレクトシャフト8が軸線方向に移動したときに、ディテント部材60が貫通孔56Aに沿ってシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に移動自在となる。
【0069】
このように本実施の形態のシフト装置3は、開口57を除いたハウジング53を構成する縦壁54、55にガイド部材36およびボルト40が取付けられるとともに、縦壁56にディテント部材60が貫通され、かつ、ディテント部材60をシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向で移動自在とする貫通孔56Aが形成される。
【0070】
また、ボルト40およびディテント部材60は、ボルト40およびディテント部材60のそれぞれの軸線が、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線と同方向に延びるように縦壁55、56に設置されている。
【0071】
図9において、ギヤシフトシャフト18A、18Bの軸線方向に対する縦壁54の幅L1に対して、ギヤシフトシャフト18A、18Bと直交する方向に対する縦壁55、56の幅L2は、小さく形成されている。
【0072】
図7において、ハウジング53は、底壁58を有し、底壁58は、縦壁54〜56の下端部を接続してインタロックプレート20の下方を覆っている。底壁58には開口部58Aが形成されており、シフトアンドセレクトシャフト8は、開口部58Aに挿入され、底壁58に対して相対移動自在となっている。
【0073】
インタロックプレート22は、上部にレバー22Aを備えており、レバー22Aは、シフトアンドセレクトシャフト8がニュートラル位置に位置したときに、図示しないセンサによって検知される。本実施の形態のシフト装置3において、レバー22Aは、インタロックプレート22に含まれる。
【0074】
インタロックプレート22の上面であるレバー22Aの上面と底壁58の下面との間にはコイルスプリング65が介装されている。底壁58の下面には環状リング67が取付けられている。
【0075】
環状リング67は、開口部58Aの開口面積よりも小さい直径を有し、環状リング67にはコイルスプリング65の上端部が当接している。これにより、コイルスプリング65が上方に移動することが規制される。本実施の形態の環状リング67は、本発明の当接部を構成する。
コイルスプリング65は、シフトアンドセレクトシャフト8がニュートラル位置から上方の5速、6速または3速、4速側の変速段にセレクト操作されたときに圧縮される。
【0076】
コイルスプリング65は、シフトアンドセレクトシャフト8が5速、6速または3速、4速側の変速段から下方のニュートラル位置までセレクト方向S1に移動したときに、レバー22Aを下方に押圧することで、シフトアンドセレクトシャフト8のセレクト方向S1への操作力をアシストする。本実施の形態のコイルスプリング65は、本発明の弾性部材を構成する。
【0077】
図7図8において、シフトアンドセレクトシャフト8の下部にはスナップリング68が固定されており、シフトアンドセレクトシャフト8は、スナップリング68が変速機ケース2の支持部2Aの上面に位置している。
【0078】
インタロックプレート22の下面とスナップリング68の上面との間にはコイルスプリング66が介装されている。コイルスプリング66は、シフトアンドセレクトシャフト8がニュートラル位置から下方の1速、2速またはリバース側の変速段にセレクト操作されたときに、圧縮される。
【0079】
コイルスプリング66は、シフトアンドセレクトシャフト8が1速、2速またはリバース側の変速段から上方のニュートラル位置までセレクト方向S1に移動したときに、インタロックプレート22を上方に押圧することで、シフトアンドセレクトシャフト8のセレクト方向S1への操作力をアシストする。
【0080】
図6図8において、ハウジング53には突出片59が形成されており、突出片59は、底壁58からインタロックプレート22に向かって延びている。インタロックプレート22には突出片22Bが形成されており、突出片22Bは、インタロックプレート22の上部からハウジング53の底壁58に向かって延び、シフトアンドセレクトシャフト8の径方向で突出片59と重なっている。
【0081】
突出片59にはボルト59Aが形成されており、突出片22Bには縦溝22bが形成されている。縦溝22bは、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に延びており、縦溝22bは、ボルト59Aの幅と同程度の幅を有する。本実施の形態のボルト59Aは、本発明の突部を構成する。
【0082】
縦溝22bにはボルト59Aが挿入されており、ボルト59Aが縦溝22bの延びる方向に沿って移動することにより、インタロックプレート22は、シフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向に移動することが許容される。
【0083】
また、インタロックプレート22がシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向周りに回転するときには、ボルト59Aが縦溝22bに接触することで、インタロックプレート22がシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向周りに回転することが規制される。
【0084】
図7において、底壁58の下面に窪み部58Bが形成されている。図8において、窪み部58Bは、シフトアンドセレクトシャフト8の径方向において環状リング67および突出片59の間で環状リング67よりも上方に窪んでいる。
これにより、シフトアンドセレクトシャフト8がセレクト操作されて軸線方向上方に移動した際に、突出片22Bの上端部を窪み部58Bに入り込ませることができる。
【0085】
以上のように構成されたシフト装置3によれば、シフトケース5が、インタロックプレート20および第1のカム部材13を取り囲むようにしてシフトケース本体6から変速機ケース2の内方に向かって延びるハウジング53を有する。
【0086】
さらに、ハウジング53が、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と平行に設置される縦壁54と、縦壁54の軸線方向の両端部からギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と直交する方向に延びる一対の縦壁55、56とを備え、縦壁54にガイド部材36を設置し、縦壁55にボルト40を設置し、縦壁56に、ディテント部材60が貫通され、かつ、ディテント部材60をシフトアンドセレクトシャフト8の軸線方向で移動自在とする貫通孔56Aを形成した。
【0087】
これにより、長尺なギヤシフトシャフト18A〜18Dと同方向にボルト40およびディテント部材60を設置することで、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と直交する方向にボルト40およびディテント部材60を設置する必要がない。
【0088】
このため、シフトアンドセレクトシャフト8に対してギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線と直交する方向にハウジング53が拡大されることを防止して、シフト装置3を小型化できる。このため、ギヤシフトシャフト18A〜18Dやシフト装置3を含んだシフト機構が大型化することを防止して手動変速機1を小型化できる。
【0089】
一方、例えば、従来のように、ボルトやディテント部材が変速機ケースに設けられている場合には、ボルトやディテント部材とシフトアンドセレクトシャフトとの距離を詰めてシフトアンドセレクトシャフトを変速機ケースに組み付ける必要がある。これにより、変速機ケースに対するシフト装置の設置自由度が低くなる上に、変速機ケースにシフト装置を組み付ける作業の作業性が低くなる。
【0090】
これに対して、本実施の形態のシフト装置3によれば、ボルト40、ディテント部材60およびガイド部材36を変速機ケース2ではなく、シフト装置3に取付けているので、変速機ケース2に対するシフト装置3の設置自由度を高くできる。
【0091】
これに加えて、作業者は、ボルト40、ディテント部材60およびガイド部材36が組付けられたシフト装置3を変速機ケース2に組み付けることができるので、変速機ケース2とシフト装置3との距離を考慮することを不要にでき、シフト装置3を変速機ケース2に容易に組み付けることができ、シフト装置3の組み付け作業の作業性を向上できる。
【0092】
また、本実施の形態のシフト装置3によれば、ボルト40およびディテント部材60のそれぞれの軸線がギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線と同方向に延びるように、ボルト40およびディテント部材60が縦壁55、56に設置される。
【0093】
これにより、ボルト40およびディテント部材60がシフトアンドセレクトシャフト8からギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線に対して直交する方向に突出することを防止できる。このため、ギヤシフトシャフト18A〜18Dとシフト装置3とを含んだシフト機構が大型化することをより効果的に防止して、手動変速機1をより効果的に小型化できる。
【0094】
また、本実施の形態のシフト装置3によれば、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向に対する縦壁54の幅L1に対して、ギヤシフトシャフト18A〜18Dと直交する方向に対する縦壁55、56の幅L2が小さく形成される。
【0095】
これにより、ギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向に大きい面積を確保できる縦壁54に、大きい取付け座面を必要とするガイド部材36を容易に、かつ、安定して取付けることができる。
【0096】
これに加えて、縦壁54に比べて小さい面積の縦壁55にボルト40を設置できるので、ボルト40を縦壁55に安定して取付けることができる。具体的には、縦壁54に比べて小さい面積の縦壁55にボルト40を設置すれば、ボルト40を介して縦壁55に荷重が伝達された場合に、縦壁54によってボルト40およびボルト40の周囲の縦壁54の部位が変形することを防止できる。これにより、ボルト40を安定してハウジング53に取付けることができる。
【0097】
さらに、縦壁54をギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線方向と平行に設置するとともに、縦壁54の幅L1に対して縦壁55、56の幅L2を小さく形成することで、縦壁54をギヤシフトシャフト18A〜18Dに近づけることができる。これにより、ギヤシフトシャフト18A〜18Dから縦壁55、56までの距離を短縮でき、シフト機構をギヤシフトシャフト18A〜18Dの軸線に対して直交する方向で小型化できる。
【0098】
これに加えて、縦壁54をシフトアンドセレクトシャフト8に近づけて設置できるので、第1のフィンガー部13Bの全長を短縮できるとともに、シフトアンドセレクトシャフト8をギヤシフトシャフト18A〜18Dに近づけることができ、シフト機構の小型化を図ることができる。
【0099】
本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0100】
1...手動変速機、2...変速機ケース、3...シフト装置、5...シフトケース、6...シフトケース本体、8...シフトアンドセレクトシャフト、13...第1のカム部材(カム部材)、13A...カム面、13B...第1のフィンガー部(フィンガー部)、13C...ガイドピン、13c...先端部、17A〜17D...シフトヘッド、18A〜18D...ギヤシフトシャフト、20...インタロックプレート(インタロック部材)、20a...スリット、36...ガイド部材、40...ボルト(規制部材)、40A...先端部、53...ハウジング、54...縦壁(第1の縦壁)、55,56...縦壁(第2の縦壁)、56A...貫通孔、60...ディテント部材、S1...セレクト方向、S2...シフト方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9