特許第6384442号(P6384442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384442
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】受電コネクタ用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20180827BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B60Q1/24 Z
   B60Q1/50 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-188051(P2015-188051)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-61253(P2017-61253A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】松岡 陽一
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5582130(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/137029(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/140729(WO,A1)
【文献】 特開2006−324222(JP,A)
【文献】 実開昭56−175241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
B60Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外面から窪んで形成され収容底面(22)を有する受電収容室(21)と、前記収容底面に配設され給電コネクタと接続する受電部(3)と、を備える受電コネクタ(2)における前記収容底面に設けられた受電コネクタ用照明装置(1)であって、
前記収容底面に対向するカバー上面(12a)と、前記収容底面と前記カバー上面との間にあるカバー側面(12b)と、を有する照明カバー(11)を備え、
前記カバー側面は、光を出射させ少なくとも前記受電部を照明し、前記カバー上面から前記収容底面に向けて張り出すように傾斜する光出射面(61)を有し、
前記光出射面は、車両下方向側に向く第1出射部(61a)と、車両横方向側に向く第2出射部(61b、61c)とを有し、
前記収容底面に対する前記第1出射部の第1仰角(63a)は、前記収容底面に対する前記第2出射部の第2仰角(63b)よりも小さい受電コネクタ用照明装置。
【請求項2】
前記第1仰角に対する前記第2仰角の比が、1.05〜1.20である請求項1に記載の受電コネクタ用照明装置。
【請求項3】
前記照明カバー内に配設された光源(41)をさらに備え、
前記光源からの光が前記光出射面を透過する請求項1又は2に記載の受電コネクタ用照明装置。
【請求項4】
充電操作位置にいる操作者が充電操作を行うアイポイントを操作正面位置(P2)とし、充電操作位置にいる操作者が前記カバー上面を正面視するアイポイントを中央正面位置(P1)としたとき、
中央正面位置(P1)が操作正面位置(P2)よりも低くなるように前記収容底面に配設されている請求項1〜3の何れか一項に記載の受電コネクタ用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーを充電するための受電コネクタにおける照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両における照明装置は、様々な箇所に設けられている。例えば、電気自動車やハイブリッド自動車において、バッテリーへの充電を行う充電コネクタの近傍には、操作者の手元や足元を照らす照明装置が設けられている。充電コネクタは、給電側コネクタ及び受電側コネクタ(車両側インレット)から構成されている。
【0003】
特許文献1に開示されている照明装置は受電側コネクタの照明装置であり、車体外面に配設された充電口と、充電口の内部に形成された収容凹部と、収容凹部の内部に配設された充電用コネクタ(受電側コネクタ)と、収容凹部の上部周壁に埋設された照明用光源とを備え、照明用光源は収容凹部の上部周壁から下方へ向けて光を照射し充電用コネクタ(受電側コネクタ)や操作者の足元を照明している。
【0004】
特許文献1の受電側コネクタの照明装置では、照明装置の光源は収容凹部の上部周壁に埋設されている。このため、充電操作中に操作者が光源からの光を透過させる光出射面を視認することは困難である。したがって、この光出射面を例えば充電操作中の充電残量を示すインジケータとして利用することは難しい。そこで、光出射面をインジケータとしても用いる場合には、照明装置を収容凹部の底面に設け、操作者が視認できるように光出射面を表出させることが一例として考えられる。
【0005】
また、受電側コネクタがAC電源用とDC電源用を備える等、照明させるべき箇所が広範囲である場合には、受電側コネクタ用照明装置の光出射面からの光を広範囲に放射させる必要がある。そこで光が広範囲に亘って光出射面から放射されるように、光出射面を屈曲や湾曲させることが一例として考えられる。
【0006】
このように、光を広範囲に放射させるように屈曲や湾曲させた光出射面を操作者が視認できるように表出させた照明装置が収容凹部の底面に設けられた場合には、一般に操作者はこの光出射面を斜め上方向から視認することとなる。したがって、操作者の視点から見える光出射面の形状は均一にならない。よって、この操作者の視点から視認され得る光出射面の意匠性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5582130号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものでありその目的は、受電コネクタを広範囲に照明する受電コネクタ用照明装置において、操作者から視認可能な光出射面の意匠性を向上させることができる受電コネクタ用照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の受電コネクタ用照明装置は、車両外面から窪んで形成され収容底面を有する受電収容室と、収容底面に配設され給電コネクタと接続する受電部と、を備える受電コネクタにおける収容底面に設けられた受電コネクタ用照明装置であって、収容底面に対向するカバー上面と、収容底面とカバー上面との間にあるカバー側面とを有する照明カバーを備え、カバー側面は、光を出射させ少なくとも受電部を照明し、カバー上面から収容底面に向けて張り出すように傾斜する光出射面を有し、光出射面は、車両下方向側に向く第1出射部と、車両横方向側に向く第2出射部とを有し、収容底面に対する第1出射部の第1仰角は、収容底面に対する第2出射部の第2仰角よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を採る本発明の受電コネクタ用照明装置では、光出射面は、カバー上面から収容底面に向けて張り出すように傾斜しており、車両下方向側に向く第1出射部と、車両横方向側に向く第2出射部とを備えている。そして、収容底面に対する第1出射部の第1仰角は、収容底面に対する第2出射部の第2仰角よりも小さく構成されている。
【0011】
このように、光出射面がカバー上面から収容底面に向けて張り出すように傾斜して構成されることにより、第1出射部及び第2出射部は操作者から視認可能になる。また、第1仰角が第2仰角よりも小さくなるように第1出射部及び第2出射部が構成されることにより、光出射面が屈曲や湾曲していたとしても操作者の視線からは光出射面が均一に視認され得る。したがって、本発明の受電コネクタ用照明装置によれば、操作者からの視線における光出射面の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る受電コネクタ用照明装置1が適用された受電コネクタ2の正面図。
図2】本発明に係る受電コネクタ用照明装置1と操作者のアイポイントPとの関係を示す説明図。
図3】本発明に係る受電コネクタ用照明装置1の正面図。
図4】本発明に係る受電コネクタ用照明装置1を操作正面位置P2から見た斜視図。
図5図3における本発明に係る受電コネクタ用照明装置1のV−V断面図。
図6図3における本発明に係る受電コネクタ用照明装置1のVI−VI断面図。
図7】従来からの受電コネクタ用照明装置10の正面図。
図8】従来からの受電コネクタ用照明装置10を操作正面位置P2から見た斜視図。
図9図7における従来からの受電コネクタ用照明装置10のIX−IX断面図及びIXa−IXa断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図9を参照しながら本発明の受電コネクタ用照明装置の好適な実施形態について説明する。図1図9において、右、左、上、下は操作者が車両側に設けられた充電コネクタに向かって見た正面視の方向である。また、車両内部側に向かう方向を内とし、車両外部側に向かう方向を外とする。そして、当該明細書において使用する方向は、全てこの方向を意味している。また、当該明細書における操作者とは、受電部に給電コネクタを接続させる充電操作を行う操作者を意味する。操作者は、通常想定される操作姿勢、すなわち立った状態での操作姿勢をとる。
【0014】
説明に利用する図面は概略図であり、細かい部分での形状や相対的な位置関係、大きさの関係などは必ずしも厳密に記載されているものではない。なお、以下の説明において説明を分かりやすくする目的で、異なる実施形態の間においても同じ部材や同様の作用効果を発現する部材については同じ符号又は関連する符号をつけている場合があるが、それは両者の関係を不必要に限定することを意図するものではない。
【0015】
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
(実施形態)
当該実施形態における受電コネクタ用照明装置1は、電気自動車等の車両外面(ボディ)に設けられた受電コネクタ(車両インレット)2に配設されている。電気自動車等の車両には、モータを駆動するためのバッテリーが搭載されている。このバッテリーへの充電として、充電コネクタが用いられている。充電コネクタは、電気を供給する外部からの給電コネクタと、給電コネクタと結合及び脱離可能な受電コネクタ2からなる。
【0017】
図1に示すように受電コネクタ2は、ボディ(図示略)の所定位置に配設されており、ボディから窪んだ凹部である受電収容室21と、充電時に受電収容室21を車外に露出させ充電時以外に受電収容室21を車外から遮蔽するリッド(図示略)からなる。受電収容室21は、収容底面22と、給電コネクタ(図示略)と結合や脱離する受電部3と、受電コネクタ用照明装置1を有する。
【0018】
図1に示すように収容底面22は、ボディの開口よりも車内側に窪んで設けられた受電収容室21の底面を構成している。収容底面22は、車両内部の構造をカバーする樹脂製の意匠カバーである。収容底面22には、給電コネクタと連結するコネクタ7を露出させる受電開口33が設けられている。コネクタ7は、収容底面22よりもさらに車内側に配設されている。当該実施形態において、コネクタ7はAC電源用の第1コネクタ71とDC電源用の第2コネクタ72とから構成されている。したがって、受電開口33は第1コネクタ71を露出させる第1受電開口33aと第2コネクタ72を露出させる第2受電開口33bとから構成されている。第1受電開口33aと第2受電開口33bは、左右方向に並設されている。
【0019】
受電部3は受電開口33とコネクタ7から構成されており、当該実施形態において受電部3は、第1受電開口33aと第1コネクタ71からなる第1受電部31と、第2受電開口33bと第2コネクタ72からなる第2受電部32とから構成されている。
【0020】
受電コネクタ用照明装置1は、受電部3と操作者の足元を照明する照明装置である。
【0021】
図1に示すように受電コネクタ用照明装置1は、第1受電部31と第2受電部32の間であって収容底面22上端部に設けられている。受電コネクタ用照明装置1は、図3に示すように操作者からの正面視において逆三角形であって各頂点が切り落とされた形状をなしている。
【0022】
受電コネクタ用照明装置1は、後述する基板固定部材5を介して受電収容室21の収容底面22と対向するカバー上面12aと、カバー上面12aと基板固定部材5との間に位置しカバー上面12aから収容底面22に向けて張り出すように傾斜するカバー側面12bとを有する。カバー上面12aは、後述するカバー本体部12の上面を形成している。カバー側面12bは、カバー本体部12の側面と後述する光透過部材6の表面の一部である光出射面61とから構成されている。
【0023】
当該実施形態においてカバー上面12aは、収容底面22に対して平行になるよう配設されている。なお、カバー上面12は、収容底面22に対して小さく傾斜していてもよい。例えば、カバー上面12aは収容底面22に対して1〜10度程度の傾斜角を有していてもよい。
【0024】
カバー側面12bは、下端水平部14と第1傾斜部15と第2傾斜部16とを有する。第1傾斜部15は、左側のカバー側面12bであって上方から下方に向かって右方向に傾斜している。第2傾斜部16は、右側のカバー側面12bであって上方から下方に向かって左方向に傾斜している。下端水平部14は、カバー側面12bの最も下方であって第1傾斜部15と第2傾斜部16に連続して左右方向に延びている。第1傾斜部15と第2傾斜部16は、上下方向に平行な線に対して互いに線対称の形状をなしている。
【0025】
第1傾斜部15は第1受電部31側に位置し、第2傾斜部16は第2受電部32側に位置し、そして下端水平部14は車両下方側に位置している。第1傾斜部15、第2傾斜部16、及び下端水平部14には後述する光出射面61が設けられている。
【0026】
受電コネクタ用照明装置1は、照明カバー11と、基板4に設けられた光源41と、基板4を固定する基板固定部材5とを有している。
【0027】
照明カバー11は、基板4及び基板固定部材5を覆う部材であり、樹脂製のカバー本体部12と、光透過部材6とからなる。カバー本体部12は、光透過部材6の一部の表面である光出射面61を露出させる切り欠き部13を有し、光出射面61以外の光透過部材6を覆っている。
【0028】
カバー本体部12は光を遮光する部材である。したがって、光源41からの光は光出射面61からのみ出射される。当該実施形態における切り欠き部13は、カバー側面12bにおける第1傾斜部15の略中央から下端水平部14を経て第2傾斜部16の略中央まで設けられている。
【0029】
光出射面61は、光源41からの光を透過させる光透過部材6の一部の表面である。具体的に光出射面61は、光透過部材6を覆うカバー本体部12の切り欠き部13から露出した光透過部材6の一部の表面である。
【0030】
光透過部材6は、端部が環状であり、基板固定部材5及び基板4を覆うようなカバー形状をなしている。光透過部材6は例えば樹脂部材からなり、樹脂部材には、光がより拡散されるように光拡散剤を含有させることが望ましい。光拡散剤は公知のものを適用することができ、例えばアクリル系架橋ビーズやMS系架橋ビーズなどの有機系粒子や、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタンなどの無機系粒子が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
図3及び図4に示すように、当該実施形態において光出射面61は、カバー側面12bの下端水平部14に設けられている第1出射部61aと、第1傾斜部15側に設けられている第2出射部61bと、第2傾斜部16側に設けられている第2出射部61cとを有する。
【0032】
第1出射部61aは車両下方向側を向いており、第2出射部61b及び第2出射部61cは車両横方向側を向いている。ここで車両横方向とは、一般に乗員が乗降するドア側の車両外面に受電コネクタ2が設けられている場合には車両進行方向における前後方向を意味し、車両前後側の車両外面、例えば車両背面に受電コネクタ2が設けられている場合には車幅方向を意味する。
【0033】
当実施形態において第1傾斜部15と第2傾斜部16は、上下方向に平行な線に対して互いに線対称の形状をなしている。したがって、左側の第2出射部61bと右側の第2出射部61cも同様に、互いに線対称の形状をなしている。
【0034】
第1出射部61aは、光源41からの光を透過させたり拡散させて操作者の足元側を照明し、かつ操作者が正面から視認できるように傾斜している。具体的には、受電コネクタ用照明装置1の正面視において、カバー上面12aから第1出射部61aに対する垂直断面図(図3のV−V断面図)である図5に示すように、第1出射部61aはカバー上面12aから収容底面22に向けて張り出すように傾斜している。つまり、第1出射部61aはカバー上面12aから収容底面22に向けて上方から下方に傾斜している。よって図5に示すように、第1出射部61aは、第1出射部突出量62aだけカバー上面12aより下方側へ突出している。ゆえに、操作者は光出射面61である第1出射部61aを正面から視認することができる。
【0035】
左側の第2出射部61bは、光源41からの光を透過させたり拡散させて第1受電部31側を照明し、かつ操作者が正面から視認できるような傾斜をしている。具体的には、受電コネクタ用照明装置1の正面視において、カバー上面12aから第2出射部61bに対する垂直断面図(図3のVI−VI断面図)である図6に示すように、第2出射部61bはカバー上面12aから収容底面22に向けて張り出すように傾斜している。つまり、第2出射部61bはカバー上面12aから収容底面22に向けて上方から下方に傾斜している。よって図6に示すように、第2出射部61bは、第2出射部突出量62bだけカバー上面12aより下方側へ突出している。ゆえに、操作者は光出射面61である第2出射部61bを正面から視認することができる。当実施形態において、第2受電部32側を照明する右側の第2出射部61cは、第2出射部61bと線対称の形状をなしているため、第2出射部61cも第2傾斜部61bと同じ第2出射部突出量62bを有する。
【0036】
図5及び図6に示すように、第1出射部61aは収容底面22に対して第1仰角63aの角度に傾斜しており、第2出射部61b及び第2出射部61cは収容底面22に対して第2仰角63bの角度に傾斜している。ここで、第1仰角63aとは、光出射面61における第1出射部61aと収容底面22のなす角のうち劣角側を意味する。また、第2仰角63bとは、光出射面61における第2出射部61b又は第2出射部61cと収容底面22のなす角のうち劣角側を意味する。そして、当該実施形態において第1仰角63aは、第2仰角63bよりも小さくなるよう構成されている。すなわち、第1出射部61aは第2出射部61b及び第2出射部61cよりも収容底面22に対して緩やかに傾斜している。よって、第1出射部突出量62aは第2出射突出量62bよりも大きくなっている。
【0037】
ところで、操作者が充電操作を行う際、受電コネクタ2を視認する操作者のアイポイントPは、受電コネクタ2が車両に設けられている位置よりも鉛直方向において高い位置にあるのが一般的である。そして、受電コネクタ用照明装置1と操作者との間の距離Lは、300mm〜700mm程度であるのが一般的であり、受電コネクタ用照明装置1からの操作者のアイポイントPの高さHは、500mm〜1000mm程度であるのが一般的である。また、充電操作位置とは、操作者が受電コネクタ用照明装置1の正面に立った時であって受電コネクタ用照明装置1から距離Lだけ離れた位置を意味する。
【0038】
当該実施形態において図2に示すように、充電操作位置にいる操作者がカバー上面12aを正面視するアイポイントPを中央正面位置P1とし、充電操作位置にいる操作者が充電操作を行うアイポイントPを操作正面位置P2としている。そして、操作正面位置P2のアイポイントPは、中央正面位置P1のアイポイントPよりも高い位置にある。すなわち、中央正面位置P1が操作正面位置P2よりも低くなるように受電コネクタ用照明装置が収容底面22に配設されている。
【0039】
ここで、図7図9に示す従来からの受電コネクタ用照明装置10を用いて説明する。従来からの受電コネクタ用照明装置10における湾曲した光出射面81は、図9に示すように第1仰角83a及び第2仰角83bは共に同じになるように形成されていた。すなわち、図9に示す第1出射部突出量82a及び第2出射部突出量82bが同じになるように形成されていた。図9は、図7のIX−IX断面図における第1出射部81a及び図7のIXa−IXa断面図における第2出射部81c(第2出射部81b)を示す図である。
【0040】
このような場合において、図2に示す操作正面位置P2から操作者が視認できる光出射面81の形状は、図8に示すように第1出射部81aの幅が第2出射部81b、81cの幅よりも小さくなる。
【0041】
しかしながら、当該実施形態においては、図5及び図6に示すように第1出射部61aにおける第1仰角63aは、第2出射部61b、61cにおける第2仰角63bよりも小さくされており、その結果として第1出射部61aにおける第1出射部突出量62aは第2出射部61b、61cにおける第2出射突出量62bよりも大きくされている。
【0042】
このように第1出射部61a及び第2出射部61b,61cが形成されることにより、図2に示す操作正面位置P2における操作者は、図4に示すように第1出射部61aの幅と、第2出射部61b及び第2出射部61cの幅が均一になるように視認できる。つまり、カバー上面12aから張り出した光出射面61の張り出し方向における幅が、第2出射部61bから第1出射部61aを介して第2出射部61cまで均一になるように操作者は視認できる。したがって当該実施形態であれば、操作者が視認する光出射面61の意匠性を向上させることができる。また、光出射面61を均一に操作者に視認させることができるため、例えば充電状態を伝える等幅インジケータとしての利用も可能である。ここで、当該明細書における均一とは略均一の意味も含まれる。
【0043】
図5及び図6に示す第1出射部61aにおける第1仰角63aに対する第2出射部61b、61cにおける第2仰角63bの比(第2仰角63b/第1仰角63a)は、1.05〜1.20であることが望ましい。この範囲内であれば、図2に示す操作正面位置P2のアイポイントPにおける操作者は、図4に示すようにカバー上面12aから張り出した光出射面61の張り出し方向における幅が、第2出射部61bから第1出射部61aを介して第2出射部61cまで均一になるように操作者は視認できる。また、第1出射部61aは操作者の足元側である車両下方側をより効果的に照明でき、第2出射部61b、61cはそれぞれに対応する第1受電部31及び第2受電部32をより効果的に照明することができる。
【0044】
また、図5及び図6に示す第2出射部61b、61cにおける第2出射部突出量62bに対する第1出射部61aにおける第1出射部突出量62aの比(第1出射部突出量62a/第2出射部突出量62b)は、1.4〜1.8であることが望ましい。この範囲内であれば、上述した第1仰角63aに対する第2仰角63bの比における効果と同様の効果を奏することができる。
【0045】
基板4は、車両に搭載されたバッテリーからリードを介して受電し、光源41を発光させる点灯回路を有する。図5に示すように基板4は、下方側の面に光源41を有する薄板状である。光源41はLEDランプで構成されているが、この他に例えば有機ELランプ、白熱ランプ等によって構成されていてもよい。
【0046】
基板固定部材5は基板4を固定するとともに、爪係合等により照明カバー11を固定している。当該実施形態においては図5及び図6に示すように、基板固定部材5は基板4を片持ち梁状に固定している。基板固定部材5は受電コネクタ用照明装置1の外縁形状と同様の形状をなす樹脂部材である。基板固定部材5は、例えばねじ止め等の方法により意匠カバーである収容凹部22に取り付けられている。
【0047】
当該実施形態の受電コネクタ用照明装置1は、次のようにして受電コネクタ2に組み付けられている。まず、基板4を基板固定部材5に固定する。基板4を固定した基板固定部材5を、意匠カバーである収容凹部22に車外側すなわち受電収容室21側から固定する。
【0048】
次に、基板4を固定した基板固定部材5を覆うようにして光透過部材6を基板固定部材5に溶着する。具体的には、光透過部材6と基板固定部材5とが接する光透過部材6の端部全周を基板固定部材5に溶着させることが望ましい。これにより、光透過部材6内に収容された基板4が、雨水等による水に曝されることを抑制できる。溶着方法は特に限定されるものではなく、超音波溶着、振動溶着、高周波溶着、レーザー溶着、熱溶着等が用いられる。
【0049】
最後に、照明カバー11のカバー本体12に設けられた切り欠き部13が光透過部材6の一部を露出するように、すなわち照明カバー11の光出射面61を形成するようにして、カバー本体12を基板固定部材5に取付ける。このようにして、図1に示すように、当該実施形態の受電コネクタ用照明装置1が収容凹部22に組み付けられる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態として説明してきたが、本発明は特に上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態における基板4を基板固定部材5に固定する方法や受電コネクタ用照明装置1の取付方法は、特に限定されるものではない。
【0051】
また、上記実施形態における光出射面61は、受電コネクタ用照明装置1のカバー側面12bの下端部周縁に設けられているが、カバー側面12bの全周に亘って光出射面61が設けられていても上記実施形態と同様の効果が得られる。また、第1出射部61aと第2出射部61bと第2出射部61cとは互いに連続していなくてもよい。
【0052】
また、上記実施形態における光出射面61は、光源41からの光を透過させたり拡散させて受電部3側及び操作者の足元側を照明している。これに代えて、光源41を設けず光出射面61自体が発光するように構成してもよい。例えば、光出射面61に相当する光透過部材6内に光源を組み込む場合や、光出射面61に相当する光透過部材6内に導光体を設けて他の部位に設けた光源からの光を導光させ光出射面61を発光させる場合等であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態における下端水平部14は左右方向に対して水平に設けられているが、所望とする方向に小さく傾斜していてもよい。例えば、家庭用電源である第1受電部31側により多くの光を照射させたい場合には、下端水平部14は、左方から右方に向けて下方に小さく傾斜していてもよい。この場合には、第1傾斜部15と第2傾斜部16は互いに線対称の形状をとらない。
【0054】
また、上記実施形態における収容底面22が第1底面及び第2底面から構成されており、第1底面及び第2底面が互いに交差して連続する屈曲面又は湾曲面であってもよい。この場合、第1底面に受電部3が配設され第2底面に受電コネクタ用照明装置1が配設されている。例えば、収容底面は、略水平の第1底面と略鉛直の第2底面からなり、エンジンルームカバー下のエンジンルーム内に設けられている。
【符号の説明】
【0055】
1:受電コネクタ用照明装置 11:照明カバー 12a:カバー上面
12b:カバー側面
2:受電コネクタ 21:受電収容室 22:収容底面
3:受電部 41:光源
61:光出射面 61a:第1出射部 61b、61c:第2出射部
63a:第1仰角 63b:第2仰角
P:アイポイント P1:操作正面位置 P2:中央正面位置
図1
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図9