(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得部は、画像取得部によって取得された画像に対する画像処理を行い、該画像に含まれる前記機器に付随して設けられた識別子の情報を前記機器特定情報として取得する第1取得部と、
前記機器に付随して設けられた近距離通信タグと近距離通信を行って前記近距離通信タグに格納された格納情報を前記機器特定情報として取得する第2取得部と、
自装置の位置に基づいて前記機器の設置位置を示す位置情報を前記機器特定情報として取得する第3取得部と
の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1記載の点検作業支援装置。
前記取得部が、前記第1取得部、前記第2取得部、及び前記第3取得部のうちの少なくとも2つ以上を備える場合には、前記機器特定情報の取得を行うものを選択可能であることを特徴とする請求項2記載の点検作業支援装置。
前記第1表示処理部は、前記取得部が前記第3取得部を備える場合には、自装置の位置を特定する情報を、前記プラントの地図に重ね合わせて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項5記載の点検作業支援装置。
前記指示部で指示された前記点検対象を示す付加情報を、前記位置特定情報として前記画像取得部で取得された画像に重ね合わせて前記表示部に表示させる第2表示処理部を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の点検作業支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による点検作業支援装置、システム、及び方法について詳細に説明する。
【0014】
〈点検作業支援システム〉
図1は、本発明の一実施形態による点検作業支援システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態の点検作業支援システム1は、フィールド機器11(機器)、制御装置12、情報提供サーバ13、無線アクセスポイント14、及び端末装置15(点検作業支援装置)を備えており、プラントで行われる作業員Wによるフィールド機器11の点検作業を支援するシステムである。
【0015】
尚、本実施形態では、理解を容易にするために、フィールド機器11が点検対象とされており、作業員Wがフィールド機器11の点検作業を行う場合を例に挙げて説明する。但し、点検対象がフィールド機器11に制限されるという訳ではなく、プラントの現場に設置された任意の機器、装置、及び設備(以下、これらを総称する場合には、単に「機器」という)を点検対象とすることが可能である。ここで、上記のプラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。
【0016】
図1に示す通り、フィールド機器11と制御装置12とは、制御ネットワークN1に接続されている。また、制御装置12、情報提供サーバ13、及び無線アクセスポイント14は、イントラネットN2に接続されている。また、無線アクセスポイント14と端末装置15とは、無線ネットワークN3を介して接続される。
【0017】
制御ネットワークN1は、例えばプラントの現場に敷設された制御用のネットワークである。この制御ネットワークN1は、例えばHART(登録商標)、FieldBus等に準拠した有線の工業用ネットワークである。尚、制御ネットワークN1は、例えばISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等に準拠した無線の工業用ネットワークであってもよい。イントラネットN2は、例えばプラントの現場に制御ネットワークN1とは別に敷設されたイーサネット(登録商標)等のネットワークである。無線ネットワークN3は、無線アクセスポイント14によってプラントの現場に形成される無線のネットワークである。この無線ネットワークN3は、例えばWi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、3G/LTE(登録商標)等の無線通信規格に準拠した無線通信が可能な無線ネットワークである。
【0018】
フィールド機器11は、プラントの現場に設置されて制御装置12の制御の下でプロセス制御に必要な測定や操作等を行う機器である。このフィールド機器11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。尚、
図1においては、プラントの現場に設置された複数のフィールド機器11のうち、3つのフィールド機器11a〜11cを図示している。
【0019】
フィールド機器11には、必要に応じて、情報コードCD(識別子)やNFCタグTG(近距離通信ダグ)が付随して設けられる。
図1に示す例では、フィールド機器11aに情報コードCDが付随して設けられており、フィールド機器11bにNFCタグTGが付随して設けられている。尚、フィールド機器11cには、情報コードCD及びNFCタグTGの何れも付随して設けられていない。情報コードCDは、例えばバーコード等の一次元コード、或いはQRコード(登録商標)等のマトリックス型の二次元コードである。
【0020】
NFCタグTGは、アンテナ及びメモリ(何れも図示省略)を備えており、外部(例えば、端末装置15)からの給電により動作し、外部との間でNFC(Near Field Communication:近距離通信)を行う。ここで、NFCとは、例えば通信する装置間の距離が、数十cm以下である場合に可能となる通信(非接触通信)を意味し、通信する装置の筐体が接触した状態で行われる通信も含まれる。情報コードCDには、例えばフィールド機器11aを特定するための識別情報が含まれており、NFCタグTGには、例えばフィールド機器11bを特定するためのタグ情報(格納情報)が格納されている。
【0021】
制御装置12は、分散制御システム(DCS)の中核をなす装置であり、フィールド機器11から各種データ(例えば、流量、温度、圧力等を示すデータ)を収集し、収集した各種データを用いてプロセス制御を行うための操作量を求めてフィールド機器11の制御を行う。また、制御装置12は、端末装置15からの制御要求に基づいて、フィールド機器11にスコーク(Squawk:応答処理)を行わせる。例えば、制御装置12は、端末装置15からの制御要求で指示されたフィールド機器11に設けられた表示装置やランプ(何れも図示省略)を点滅させる制御を行う。このような制御を行うのは、プラントに設置された点検対象としてのフィールド機器11の特定を迅速且つ正確に行うことを可能にするためである。
【0022】
情報提供サーバ13は、プラントに設置されたフィールド機器11の機器情報(フィールド機器11の名称、型番、仕様、その他の情報)を格納しており、イントラネットN2を介して送信されてくる送信要求に応じたフィールド機器11の機器情報を、イントラネットN2を介して提供する。例えば、情報提供サーバ13は、フィールド機器11に取り付けられているバーコードの情報(フィールド機器11を特定する情報)が、端末装置15からイントラネットN2を介して送信されてきた場合には、その情報で特定されるフィールド機器11の機器情報を、イントラネットN2を介して端末装置15に提供する。
【0023】
無線アクセスポイント14は、上述した無線ネットワークN3を形成し、無線ネットワークN3を介して送受信されるデータと、イントラネットN2を介して送受信されるデータとの中継を行う。このような無線アクセスポイント14が設けられていることで、端末装置15と、制御装置12及び情報提供サーバ13との間の通信が可能になる。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、無線ネットワークN3をイントラネットN2に直接接続する無線アクセスポイント14を例に挙げて説明するが、無線アクセスポイント14は、3G(第3世代移動通信システム)又は4G(第3世代移動通信システム)等の公衆回線を経由してイントラネットN2に接続するための中継機器であっても良い。
【0024】
端末装置15は、プラントに設置された機器の点検を行う際に用いられる装置であり、点検作業を行う作業員Wによって使用される。この端末装置15は、例えばスマートフォンやタブレット型のコンピュータであるが、点検作業を行うために必要な機能(例えば、表示機能、無線通信機能等)を備えている端末装置であれば、任意の形態の端末装置(例えば、メガネ型或いは腕時計型の端末装置)を用いることができる。
【0025】
〈点検作業支援装置〉
図2は、本発明の一実施形態による点検作業支援装置としての端末装置の要部構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、端末装置15は、カメラ21(画像取得部)、NFCリーダライタ22(取得部、第2取得部)、測位部23(取得部、第3取得部)、姿勢検出部24、タッチパネル25(表示部、操作部)、無線通信部26(通信部)、機器通信部27、格納部28、及びデータ処理部29を備える。
【0026】
カメラ21は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子を備えており、静止画及び動画の撮影が可能である。NFCリーダライタ22は、NFCタグTGに対して非接触で給電を行うとともに、NFCタグTGとの間でNFCを行って、NFCタグTGに格納されているタグ情報(機器特定情報)を取得する。尚、NFCリーダライタ22は、NFCタグTGに対するデータの書き込みも可能である。
【0027】
測位部23は、端末装置15の位置を測定する。具体的に、測位部23は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの電波を受信するとともに、受信信号に対する信号処理を行って端末装置15の位置を示す情報(機器特定情報)を取得する。ここで、例えばフィールド機器11cの設置位置に端末装置15を配置すれば、フィールド機器11cの設置位置を示す位置情報が測位部23で取得されることとなる。姿勢検出部24は、ジャイロセンサや地磁気センサ(電子コンパス)等を備えており、端末装置15の姿勢や方位を検出する。尚、姿勢検出部24の検出結果を用いると、例えばカメラ21の撮影方向を特定することができる。
【0028】
タッチパネル25は、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の表示装置とタッチパッド等の入力装置とを組み合わせた操作表示装置である。無線通信部26は、前述したWi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、3G/LTE(登録商標)等の無線通信規格に準拠した無線通信が可能であり、無線ネットワークN3を介した通信を行う。機器通信部27は、フィールド機器11との間で、赤外線通信等の無線通信、或いは、USB(Universal Serial Bus)通信等の有線通信を行う。
【0029】
格納部28は、例えばハードディスク或いは不揮発性の半導体メモリで実現され、作業員Wがプラントの現場で点検作業を行うために必要となる各種情報を格納する。具体的に、格納部28は、機器台帳L1、点検リストL2、進捗情報P、及び地図情報Mを格納する。機器台帳L1は、プラントに設置された機器の機器情報が登録された台帳(電子化された台帳)である。点検リストL2は、作業員Wが点検作業を行う必要のある点検対象の一覧を示すリスト(電子化されたリスト)である。進捗情報Pは、作業員Wによる点検作業の進捗情報を示す情報である。地図情報Mは、プラントの地図の情報である。尚、地図情報Mは、2次元の地図情報であっても、3次元の地図情報であっても良い。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態で用いられる機器台帳の内容の一例を示す図である。
図3に示す通り、機器台帳L1は、「名称」及び「型番」等の機器情報と、「位置情報」、「識別情報」、「タグ情報」、及び「スコークサポート」を含む付属情報とが、プラントに設置された機器毎に格納されたものである。「名称」は機器の名称を示す情報であり、「型番」は機器の型番を示す情報である。「位置情報」は、機器の設置位置を示す情報である。「識別情報」は、機器に付随して設けられた情報コードCDに格納された情報であり、「タグ情報」は、機器に付属して設けられたNFCタグTGに格納された情報である。「スコークサポート」は、機器がスコークをサポートしているか否か(スコークが可能であるか否か)を示す情報である。
【0031】
尚、
図3に示す機器台帳L1のエントリE1に格納された情報は、
図1に示すフィールド機器11aについてのものであり、エントリE2に格納された情報は、
図1に示すフィールド機器11bについてのものであり、エントリE3に格納された情報は、
図1に示すフィールド機器11cについてのものである。
図1に示す通り、フィールド機器11aには情報コードCDが付随して設けられているため、エントリE1の「識別情報」には情報コードCDに含まれる識別情報“AAA”が格納されている。また、フィールド機器11bにはNFCタグTGが付随して設けられているため、エントリE2の「タグ情報」にはNFGタグTGに格納されたタグ情報“TG02”が格納されている。尚、フィールド機器11cには、情報コードCD及びNFCタグTGの何れも付随して設けられていないため、エントリE3の「識別情報」及び「タグ情報」には情報が格納されていない。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態で用いられる点検リストの内容の一例を示す図である。
図4に示す通り、点検リストL2は、「点検順番」、「点検対象」、「着目点」、及び「位置情報」等が対応づけられたリストである。「点検順番」は、文字通り、点検対象としてのフィールド機器11の点検順番を示す情報である。「点検対象」は、作業員Wが点検作業を行うべきフィールド機器11を示す情報である。「着目点」は、作業員Wが点検対象の点検作業を行う際に着目すべきポイントを示す情報である。「位置情報」は、点検対象の設置位置を示す情報である。尚、
図4に例示する点検リストL2は、点検作業が
図1に示すフィールド機器11a〜11cの順で行われる場合の点検リストである。
【0033】
データ処理部29は、端末装置15で取り扱われる各種データの処理を行う。例えば、データ処理部29は、カメラ21〜姿勢検出部24で得られる各種データ、タッチパネル25に表示させるデータ及びタッチパネル25から入力されるデータ、無線通信部26或いは機器通信部27を介して送受信されるデータ、格納部28に入出力されるデータ、その他のデータの処理を行う。
【0034】
このデータ処理部29は、識別情報取得部29a(取得部、第1取得部)、進捗管理部29b(指示部)、検索部29c、登録部29d、スコーク処理部29e(応答処理部)、マップ表示処理部29f(第1表示処理部)、及びAR表示処理部29g(第2表示処理部)を備える。識別情報取得部29aは、カメラ21で撮影された画像に対する画像処理を行って、情報コードCDに含まれる識別情報(機器特定情報)を取得する。尚、識別情報取得部29aでの処理は、カメラ21で撮影された画像が情報コードCDの画像を含む画像である場合には行われるが、情報コードCDの画像を含まない画像である場合には行われない。
【0035】
進捗管理部29bは、格納部28に格納された点検リストL2及び進捗情報Pを用いて作業員Wによって行われる点検作業の進捗情報を管理する。具体的に、進捗管理部29bは、作業員Wの進捗状況に応じて進捗情報Pを更新し、進捗情報Pと点検リストL2の内容とに基づいて次に点検すべき点検対象を指示する。例えば、
図4に示す点検リストL2が格納部28に格納されている場合において、作業員Wによる「流量計A」の点検作業が終了した場合には、進捗管理部29bは、「流量計A」の点検作業が終了した旨を示す情報を進捗情報Pに格納し、点検リストL2に基づいて次に点検すべき点検対象として「流量計B」を指示する。
【0036】
検索部29cは、識別情報取得部29aで取得された識別情報、NFCリーダライタ22で取得されたタグ情報、或いは測位部23で取得された位置情報に基づいて、格納部28に格納された機器台帳L1を検索して機器情報を得る。尚、機器台帳L1を検索する際にキーとして用いる情報は、識別情報取得部29aで取得された識別情報、NFCリーダライタ22で取得されたタグ情報、及び測位部23で取得された位置情報の中から選択可能である。
【0037】
登録部29dは、タッチパネル25の操作内容に基づいて、点検対象とすべき機器の機器情報を機器台帳L1に登録するとともに、その機器を点検対象として点検リストL2に追加する。この登録部29dは、例えば作業員Wが、点検作業中に、点検リストL2に規定されてはいないものの点検の必要があると気づいた機器を新たに登録可能とするために設けられる。
【0038】
スコーク処理部29eは、点検対象にスコークを行わせるためのものである。具体的に、スコーク処理部29eは、検索部29cで得られた機器情報を参照して点検対象の機器がスコークをサポートしているか否か(スコークサポートの有無:
図3参照)を判断し、スコークをサポートしていると判断した場合に、その機器にスコークを行わせる。ここで、スコーク処理部29eは、上記の機器にスコークを行わせるための制御要求を、無線通信部26を介して制御装置12に送信することで、上記の機器にスコークを行わせる。
【0039】
マップ表示処理部29fは、格納部28に格納された地図情報Mを用いて、少なくとも進捗管理部29bで指示された点検対象(次に点検すべき点検対象)の位置を特定する情報(例えば、アイコン)がプラントの地図に重ね合わせられた地図(静的地図)をタッチパネル25に表示させる。このマップ表示処理部29fは、測位部23で端末装置15の位置情報が得られる場合には、進捗管理部29bで指示された点検対象の位置を特定する情報に加えて端末装置15の位置を特定する情報(例えば、アイコン)がプラントの地図に重ね合わせられた地図(動的地図)をタッチパネル25に表示させる。動的地図が表示される場合には、現在の位置から次に点検すべき点検対象までの距離及び方位の把握がより容易になる。
【0040】
AR表示処理部29gは、拡張現実(AR:Augmented Reality)技術を用いて、進捗管理部29bで指示された点検対象を示す付加情報(例えば、アイコン)が、カメラ21で撮影された画像に重ね合わせられた画像(AR画像)をタッチパネル25に表示させる。このAR表示処理部29gは、測位部23で得られる位置情報から端末装置15の位置を特定し、姿勢検出部24の検出結果から端末装置15の姿勢や方位(カメラ21の撮影方向)を特定する。
【0041】
尚、
図2を用いて説明した端末装置15は、カメラ21、NFCリーダライタ22、測位部23、姿勢検出部24、及び機器通信部27を全て備えるものであったが、プラントの現場で複数の作業員Wに使用される複数の端末装置15は、必ずしもこれらを全て備えているとは限らない。例えば、NFCリーダライタ22を備えないもの、カメラ21を備えないもの(或いは、カメラ21を備えていてもセキュリティの観点から利用不可とされているもの)、姿勢検出部24は備えているが測位部23を備えないもの等、様々である。本実施形態では、このような端末装置15であっても、作業員Wの支援を行うことが可能である。
【0042】
〈点検作業支援方法〉
図5は、本発明の一実施形態による点検作業支援方法の一例を示すフローチャートである。また、
図6は、
図5中のステップS12で行われる処理の詳細を示すフローチャートであり、
図7は、
図5中のステップS16で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。尚、
図5に示すフローチャートの処理は、作業員Wが端末装置15のタッチパネル25(
図2参照)を操作し、端末装置15に対して点検作業の開始を指示することによって開始される。
【0043】
図5に示すフローチャートの処理が開始されると、まず格納部28に格納された点検リストL2及び進捗情報Pを読み出し、これら点検リストL2及び進捗情報Pの内容に基づいて点検すべき点検対象を指示する処理が進捗管理部29bによって行われる(ステップS11)。尚、
図4に示す点検リストL2の場合には、最初の点検対象として、位置情報が“P01”であるフィールド機器11a(
図1参照)が指示される。次に、進捗管理部29bによって指示された点検対象をタッチパネル25に表示する処理が、マップ表示処理部29f又はAR表示処理部29gによって行われる(ステップS12:第1ステップ)。
【0044】
ステップS12の処理では、
図6に示す通り、まず測位部23及び姿勢検出部24が利用可であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS21)。測位部23及び姿勢検出部24が利用不可であると判断された場合(ステップS21の判断結果が「NO」の場合)には、静的地図をタッチパネル25に表示する処理がマップ表示処理部29fによって行われる(ステップS22)。つまり、格納部28に格納された地図情報Mを読み出し、点検対象(フィールド機器11a)の位置を特定する情報(例えば、アイコン)がプラントの地図に重ね合わせられた地図(静的地図)を生成してタッチパネル25に表示させる処理がマップ表示処理部29fによって行われる。
【0045】
他方、測位部23及び姿勢検出部24が利用可であると判断された場合(ステップS21の判断結果が「YES」の場合)には、カメラ21が利用可であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS23)。カメラ21が利用不可であると判断された場合(ステップS23の判断結果が「NO」の場合)には、動的地図をタッチパネル25に表示する処理がマップ表示処理部29fによって行われる(ステップS24)。つまり、格納部28に格納された地図情報Mを読み出し、点検対象(フィールド機器11a)の位置を特定する情報(例えば、アイコン)に加えて、測位部23で得られる端末装置15の位置を特定する情報(例えば、アイコン)がプラントの地図に重ね合わせられた地図(動的地図)を生成してタッチパネル25に表示させる処理がマップ表示処理部29fによって行われる。
【0046】
これに対し、カメラ21が利用可であると判断された場合(ステップS23の判断結果が「YES」の場合)には、AR画像をタッチパネル25に表示する処理がAR表示処理部29gによって行われる(ステップS25)。つまり、点検対象(フィールド機器11a)を示す付加情報(例えば、アイコン)がカメラ21で撮影された画像に重ね合わせられた画像(AR画像)を生成してタッチパネル25に表示させる処理がAR表示処理部29gによって行われる。
【0047】
端末装置15のタッチパネル25に表示された静的地図、動的地図、或いはAR画像を参照することで、作業員Wは、点検対象(フィールド機器11a)の設置場所を容易に把握することができる。静的地図がタッチパネル25に表示される場合には、プラント内における点検対象の設置位置を容易に把握することができる。動的地図がタッチパネル25に表示される場合には、現在の位置から点検対象までの距離及び方位を容易に把握することができる。また、AR画像がタッチパネル25に表示される場合には、端末装置15に設けられているカメラ21の撮影方向を変える操作を行えば、その撮影方向の先に点検対象が設置されているか否かを容易に把握することができる。このため、作業員Wは、点検対象の設置場所に迅速且つ正確に移動することが可能である。
【0048】
作業員Wが、点検対象(フィールド機器11a)の設置場所に赴くと、作業員Wの指示及び操作に応じた機器特定情報を取得する処理が行われる(ステップS13:第2ステップ)。作業員Wが点検対象(フィールド機器11a)の設置場所に赴いた場合には、端末装置15のタッチパネル25に対して情報コードCDの読み取り指示を行い、フィールド機器11aに付随して設けられた情報コードCDをカメラ21で撮影する操作が作業員Wによって行われる。このような指示及び操作が行われると、カメラ21で撮影された画像に対する画像処理を行って、情報コードCDに含まれる識別情報“AAA”を機器特定情報として取得する処理が識別情報取得部29aで行われる。
【0049】
続いて、取得された機器特定情報に基づいて、格納部28に格納された機器台帳L1を検索する処理が検索部29cによって行われる(ステップS14:第3ステップ)。具体的には、識別情報取得部29aで取得された識別情報“AAA”がキーとされて機器台帳L1が検索され、識別情報“AAA”が含まれる情報(
図3に示す機器台帳L1のエントリE1に格納された情報)が検索部29cによって取得される。次いで、検索部29cによって取得された情報をタッチパネル25に表示する処理がデータ処理部29によって行われる(ステップS15:第4ステップ)。
【0050】
これにより、タッチパネル25には、点検リストL2に基づいて進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11a)を示す情報と、フィールド機器11aに付随して設けられた情報コードCDに基づいて得られるフィールド機器11aの情報とが表示されることになる。これら2つの情報を突き合わせることにより、作業員Wは、目の前の点検対象(情報コードCDが付随している点検対象)が、進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11a)であることを確認することができる。
【0051】
続いて、スコーク処理が行われる(ステップS16)。ステップS16の処理では、
図7に示す通り、まずステップS13で取得された機器特定情報が、識別情報であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS31)。前述した通り、ステップS13では、作業員Wの指示及び操作によって、情報コードCDに含まれる識別情報“AAA”が機器特定情報として取得されている。このため、ここでの判断結果は「YES」になってスコークは実施されない。情報コードCDがフィールド機器11aに付随して設けられていることは明らかであり、作業員が、情報コードCDが他のフィールド機器(例えば、フィールド機器11b,11c)に付随していると誤る可能性は極めて低いため、スコークは実施されない。
【0052】
以上の処理が終了すると、全ての点検対象の点検が終了したか否かが進捗管理部29bで判断される(ステップS17)。全ての点検対象の点検が終了していないと判断された場合(ステップS17の判断結果が「NO」の場合)には、再びステップS11〜S16の処理が行われる。尚、
図4に示す点検リストL2の場合には、2番目の点検対象として、位置情報が“P02”であるフィールド機器11b(
図1参照)が指示され(ステップS11)、この点検対象をタッチパネル25に表示する処理が、マップ表示処理部29f又はAR表示処理部29gによって行われる(ステップS12)。
【0053】
作業員Wが、点検対象(フィールド機器11b)の設置場所に赴くと、作業員Wの指示及び操作に応じた機器特定情報を取得する処理が行われる(ステップS13)。作業員Wが点検対象(フィールド機器11b)の設置場所に赴いた場合には、端末装置15のタッチパネル25に対してNFC通信の指示を行い、端末装置15のNFCリーダライタ22をNFCタグTGに近づける操作が作業員Wによって行われる。このような指示及び操作が行われると、フィールド機器11bに付随して設けられたNFCタグTGとNFCリーダライタ22との間でNFCが行われ、NFCタグTGに格納されているタグ情報“TG02”が機器特定情報として取得される。
【0054】
続いて、取得された機器特定情報に基づいて、格納部28に格納された機器台帳L1を検索する処理が検索部29cによって行われる(ステップS14)。具体的には、識別情報取得部29aで取得されたタグ情報“TG02”がキーとされて機器台帳L1が検索され、タグ情報“TG02”が含まれる情報(
図3に示す機器台帳L1のエントリE2に格納された情報)が検索部29cによって取得される。次いで、検索部29cによって取得された情報をタッチパネル25に表示する処理がデータ処理部29によって行われる(ステップS15)。
【0055】
これにより、タッチパネル25には、点検リストL2に基づいて進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11b)を示す情報と、フィールド機器11bに付随して設けられたNFCタグTGに基づいて得られるフィールド機器11bの情報とが表示されることになる。これら2つの情報を突き合わせることにより、作業員Wは、目の前の点検対象(NFCタグTGが付随している点検対象)が、進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11b)であろうと推測することができる。
【0056】
続いて、スコーク処理が行われる(ステップS16)。ステップS16の処理では、
図7に示す通り、まずステップS13で取得された機器特定情報が、識別情報であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS31)。前述した通り、ステップS13では、作業員Wの指示及び操作によって、NFCタグTGに含まれるタグ情報“TG02”が機器特定情報として取得されている。このため、ここでの判断結果は「NO」になり、ステップS14で得られた情報に含まれるスコークサポートが“有”であるか否かがスコーク処理部29eで判断される(ステップS32)。
【0057】
図3を参照すると、機器台帳L1のエントリE2に格納された「スコークサポート」は“有”であるため、ここでの判断結果は「YES」になる。すると、フィールド機器11bにスコークを行わせるための制御要求を、無線通信部26を介して制御装置12に送信する処理がスコーク処理部29eで行われる(ステップS33:第5ステップ)。尚、仮に、「スコークサポート」が“無”である場合には、ステップS32の判断結果は「NO」になり、スコークを行わせるための制御要求は送信されない。
【0058】
無線通信部26から送信された制御要求は、無線ネットワークN3、無線アクセスポイント14、及びイントラネットN2(
図1参照)を順に介して制御装置12に受信される。制御装置12は、端末装置15からの制御要求に基づいて、フィールド機器11bにスコークを行わせる。これにより、例えばフィールド機器11bに設けられた表示装置やランプが点滅し、作業員Wは、目の前の点検対象(表示装置やランプが点滅している点検対象)が、進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11b)であることを確認することができる。
【0059】
ここで、NFCタグTGがフィールド機器11bに付随して設けられていることは、情報コードCDがフィールド機器11aに付随して設けられていることと同様に、明らかであり、作業員が、NFCタグTGが他のフィールド機器(例えば、フィールド機器11a,11c)に付随していると誤る可能性は極めて低い。しかしながら、NFCの通信距離は数十cm程度であり、NFCタグTGの近くに他のNFCタグが設置されている場合には、誤って他のNFCタグとの間でNFCが行われる可能性が考えられる。このため、上述の通り、スコークを行うことで、作業員Wが、目の前の点検対象(NFCタグTGが付随している点検対象)が進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11b)であることを最終的に確認するようにしている。
【0060】
以上の処理が終了すると、全ての点検対象の点検が終了したか否かが進捗管理部29bで再度判断される(ステップS17)。全ての点検対象の点検が終了していないと判断された場合(ステップS17の判断結果が「NO」の場合)には、ステップS11〜S16の処理が再度行われる。尚、
図4に示す点検リストL2の場合には、3番目の点検対象として、位置情報が“P03”であるフィールド機器11c(
図1参照)が指示され(ステップS11)、この点検対象をタッチパネル25に表示する処理が、マップ表示処理部29f又はAR表示処理部29gによって行われる(ステップS12)。
【0061】
作業員Wが、点検対象(フィールド機器11c)の設置場所に赴くと、作業員Wの指示及び操作に応じた機器特定情報を取得する処理が行われる(ステップS13)。作業員Wが点検対象(フィールド機器11c)の設置場所に赴いた場合には、端末装置15のタッチパネル25に対して位置情報取得の指示を行い、端末装置15をフィールド機器11cの設置位置に近づける操作が作業員Wによって行われる。このような指示及び操作が行われると、端末装置15の位置情報が機器特定情報として測位部23で取得される。尚、端末装置15は、位置情報が取得される際にフィールド機器11cに近接配置されているため、測位部23で取得された位置情報は、フィールド機器11cの設置位置を示す位置情報とみなすことができる。
【0062】
続いて、取得された機器特定情報に基づいて、格納部28に格納された機器台帳L1を検索する処理が検索部29cによって行われる(ステップS14)。具体的には、測位部23で取得された位置情報がキーとされて機器台帳L1が検索され、フィールド機器11cの位置情報“P03”が含まれる情報(
図3に示す機器台帳L1のエントリE3に格納された情報)が検索部29cによって取得される。次いで、検索部29cによって取得された情報をタッチパネル25に表示する処理がデータ処理部29によって行われる(ステップS15)。
【0063】
これにより、タッチパネル25には、点検リストL2に基づいて進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11c)を示す情報と、位置情報に基づいて得られるフィールド機器11cの情報とが表示されることになる。これら2つの情報を突き合わせることにより、作業員Wは、目の前の点検対象が、進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11c)であろうと推測することができる。
【0064】
続いて、スコーク処理が行われる(ステップS16)。ステップS16の処理では、
図7に示す通り、まずステップS13で取得された機器特定情報が、識別情報であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS31)。前述した通り、ステップS13では、作業員Wの指示及び操作によって、位置情報が機器特定情報として取得されている。このため、ここでの判断結果は「NO」になり、ステップS14で得られた情報に含まれるスコークサポートが“有”であるか否かがスコーク処理部29eで判断される(ステップS32)。
【0065】
図3を参照すると、機器台帳L1のエントリE3に格納された「スコークサポート」は“有”であるため、ここでの判断結果は「YES」になる。すると、フィールド機器11cにスコークを行わせるための制御要求を、無線通信部26を介して制御装置12に送信する処理がスコーク処理部29eで行われる(ステップS33)。制御装置12は、端末装置15からの制御要求に基づいて、フィールド機器11cにスコークを行わせる。これにより、例えばフィールド機器11cに設けられた表示装置やランプが点滅し、作業員Wは、目の前の点検対象(表示装置やランプが点滅している点検対象)が、進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11c)であることを確認することができる。
【0066】
ここで、測位部23で取得される位置情報には、数十センチメートル〜数メートル程度の誤差が含まれており、フィールド機器11cの近くに他のフィールド機器(例えば、フィールド機器11a,11b)が設置されていると、そのフィールド機器の機器情報が検索されている可能性が考えられる。このため、上述の通り、スコークを行うことで、作業員Wが、目の前の点検対象が進捗管理部29bによって指示された点検対象(フィールド機器11c)であることを最終的に確認するようにしている。
【0067】
以上の通り、作業員Wの進捗状況に応じて、点検リストL2に基づきステップS11〜S16の処理が繰り返し行われる。これにより、作業員Wの点検作業が支援され、点検対象の特定を迅速且つ正確に行うことができる。そして、全ての点検対象の点検が終了したと進捗管理部29bで判断された場合(ステップS17の判断結果が「NO」の場合)に、
図5に示す一連の処理が終了する。
【0068】
尚、作業員Wが、上述した点検対象の点検作業を行っている最中に、例えば点検リストL2に含まれていない機器の異常の兆候を感じた場合には、その機器を新たな点検対象として登録することが可能である。
図8は、本発明の一実施形態において新たな機器を点検対象として登録する際に行われる処理の一例を示すフローチャートである。尚、
図8に示すフローチャートの処理は、作業員Wが端末装置15のタッチパネル25を操作し、端末装置15に対して点検対象の新規登録を指示することによって開始される。
【0069】
図8に示すフローチャートの処理が開始されると、まず測位部23が利用可であるか否かがデータ処理部29で判断される(ステップS41)。測位部23が利用可であると判断された場合(ステップS41の判断結果が「YES」の場合)には、新たに点検対象とすべき機器を、測位部23で取得された位置情報を付加して機器台帳L1に登録する処理が行われる(ステップS42)。
【0070】
機器台帳L1への登録が完了すると、新たに点検対象とすべき機器を点検リストL2に追加する処理が登録部29dで行われる(ステップS43)。具体的には、最後に点検作業を終えた点検対象と、進捗管理部29bによって指示された次の点検対象の間に、新たに点検対象とすべき機器を追加する処理が登録部29dで行われる。このような処理を行うことで、新たな点検対象とすべき機器が、最後に点検作業を終えた点検対象と次の点検対象との間の点検ルート上に配置されている事を後から知ることができる。
【0071】
他方、測位部23が利用不可であると判断された場合(ステップS41の判断結果が「NO」の場合)には、点検対象とすべき機器を手動で登録する処理が行われる(ステップS44)。つまり、作業員Wによるタッチパネル25の操作内容に基づいて、点検対象とすべき機器を機器台帳L1に登録する処理が行われる。尚、点検対象とすべき機器の位置情報も手動で登録される。機器台帳L1への登録が完了すると、新たに点検対象とすべき機器を点検リストL2に追加する処理が登録部29dで行われる(ステップS43)。
【0072】
このように、点検リストL2に基づいて点検作業を行っている最中に、作業員Wが、点検対象の新規登録の指示を端末装置15に対して行うことで、新たに点検対象とすべき機器を登録することが可能である。ここで、新たに点検対象とすべき機器は、点検リストL2において、最後に点検作業を終えた点検対象と、進捗管理部29bによって指示された次の点検対象の間に追加される。また、測位部23が利用可能な場合には、点検対象とすべき機器に位置情報が付加されて登録される。このため、点検対象の新規登録を行った作業員Wとは異なる作業員Wであっても、新規登録された点検対象を容易に特定することができる。尚、新たに登録された点検対象の識別情報が含まれる情報コードCDを発行する発行装置を端末装置15に設け、発行された情報コードCDをその点検対象に付随して設けることにより、新たに登録された点検対象を確実に特定することができる。
【0073】
最後に、点検対象の登録方法について説明する。
図9は、本発明の一実施形態において点検対象の登録方法を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートの処理は、作業員Wによる点検作業が行われている最中に、点検対象とされていない機器を新たに点検対象として機器台帳L1に登録する際に行われるものであった。これに対し、
図9に示すフローチャートの処理は、例えばプラントが構築されてプラントが稼働される前に、点検リストL2を作成する際に行われるものである。
【0074】
点検対象の登録を行う場合には、まず端末装置15がバーコードを識別可であるか否かが作業員Wによって判断される(ステップS51)。バーコードが識別可であると判断した場合(ステップS51の判断結果が「YES」の場合)には、端末装置15のタッチパネル25に対してバーコードの読み取り指示を行い、点検対象に取り付けられているバーコードをカメラ21で撮影する操作が作業員Wによって行われる。このような指示及び操作が行われると、カメラ21で撮影された画像に対する画像処理が行われて、バーコードに含まれる情報が取得される。
【0075】
バーコードに含まれる情報が取得されると、その情報を含む送信要求(機器情報の送信要求)が、端末装置15から情報提供サーバ13に向けて送信される。端末装置15からの送信要求を受信すると、情報提供サーバ13は、受信した送信要求に含まれる情報で特定される機器の機器情報を端末装置15に向けて送信する。情報提供サーバ13からの機器情報が端末装置15で受信されると、その機器情報を機器台帳L1に登録する処理が行われる(ステップS52)。
【0076】
以上の処理が終了すると、測位部23が利用可であるか否かが端末装置15で判断される(ステップS53)。測位部23が利用可であると判断された場合(ステップS53の判断結果が「YES」の場合)には、測位部23で得られる位置情報を、ステップS52で機器台帳L1に登録された点検対象の設置位置を示す位置情報として登録する処理が行われる(ステップS54)。他方、測位部23が利用不可であると判断された場合(ステップS53の判断結果が「NO」の場合)には、位置情報を手動で登録する処理が行われる(ステップS55)。
【0077】
これに対し、バーコードが識別不可であると作業員Wが判断した場合(ステップS51の判断結果が「NO」の場合)には、機器通信が可であるか否かが作業員Wによって判断される(ステップS56)。機器通信が可であると判断した場合(ステップS56の判断結果が「YES」の場合)には、機器通信部27によって行われる機器通信で得られる機器情報を機器台帳L1に登録する処理が行われる(ステップS57)。そして、位置情報の登録が行われる(ステップS53〜S55)。
【0078】
他方、機器通信が不可であると判断した場合(ステップS56の判断結果が「NO」の場合)には、機器情報を手動で機器台帳L1に登録する処理が行われる(ステップS58)。そして、位置情報の登録が行われる(ステップS53〜S55)。尚、登録された点検対象の識別情報が含まれる情報コードCDを発行する発行装置を端末装置15に設け、例えばステップS57,S58で登録された点検対象の情報コードCDを発行してその点検対象に付随して設けるようにしても良い。
【0079】
以上の通り、本実施形態では、点検リストL2に基づいて進捗管理部29bによって指示された点検対象を示す情報と、機器特定情報に基づいて得られるフィールド機器11の情報とを端末装置15のタッチパネル25に表示するようにしている。このため、これら2つの情報を突き合わせることによって、点検対象の特定を迅速且つ正確に行うことができる。また、スコークが可能なフィールド機器11にはスコークを行わせるようにしているため、点検対象の特定をより正確に行うことができる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態による点検作業支援装置、システム、及び方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、機器台帳L1、点検リストL2、進捗情報P、及び地図情報Mが端末装置15の格納部28に格納されている例について説明した。しかしながら、これらの情報を情報提供サーバ13に格納し、端末装置15が必要に応じて情報提供サーバ13にアクセスして利用するようにしても良い。また、上記実施形態では機器情報の表示を行ってからスコークを行うようにしていたが、スコークを行う場合には機器情報の表示を省略するようにしても良い。
【0081】
また、上記実施形態では、理解を容易にするために、端末装置15が、狭義の近距離通信(NFC通信)を行うものとして説明した。しかしながら、端末装置15は、Wi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の広義の近距離通信を行うものであっても良い。また、上述した実施形態では、フィールド機器11の機器情報が情報提供サーバ13から提供される例について説明したが、フィールド機器11の機器情報を端末装置15に格納して情報提供サーバ13を省略しても良い。また、これに併せて、無線アクセスポイント14及び無線ネットワークN3を省略しても良い。