特許第6384613号(P6384613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384613
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】搬送制御装置及び搬送制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20180827BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-528325(P2017-528325)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2016066453
(87)【国際公開番号】WO2017010183
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-141065(P2015-141065)
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 賢治
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/049917(WO,A1)
【文献】 特開2003−264217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する一以上の搬送機の動作を制御する搬送制御装置であって、
前記物品の搬送要求を含む第1入力データに基づいて、前記搬送機に対して命令される動作を示す第1命令データを生成する第1処理手段と、
前記物品の搬送要求を含む第2入力データに基づいて、前記搬送機に対して命令される動作を示す第2命令データを生成する第2処理手段と、
前記第1処理手段によって生成された前記第1命令データ又は前記第2処理手段によって生成された前記第2命令データを前記搬送機に出力する出力手段と、
前記第1命令データ及び前記第2命令データのいずれか一方が前記出力手段によって出力されるように、前記第1処理手段、前記第2処理手段、及び前記出力手段の少なくともいずれかの動作を制御する切替手段と、を備える、
搬送制御装置。
【請求項2】
前記第2入力データは、前記第1入力データに含まれる基本項目と前記第1入力データに含まれない追加項目とを含み、
前記第2命令データは、前記第1命令データに含まれる基本項目と前記第1命令データに含まれない追加項目とを含み、
前記切替手段は、前記第2処理手段を優先的に動作させ、前記第1処理手段を動作させる要求を示すトリガを検出した際に、前記第1処理手段が動作するように切り替える、
請求項1記載の搬送制御装置。
【請求項3】
前記第2処理手段による処理を監視し、異常処理の発生を検知する異常処理検知手段を更に備え、
前記切替手段は、前記異常処理検知手段により前記異常処理の発生が検知された際に、当該異常処理の発生の検知を前記トリガとして検出し、前記第1処理手段が動作するように切り替える、
請求項2記載の搬送制御装置。
【請求項4】
前記異常処理検知手段により前記異常処理の発生が検知された際に、前記第2処理手段の処理内容を復旧する復旧手段を更に備え、
前記切替手段は、前記復旧手段による復旧が完了したことを検知し、前記第2処理手段が動作するように切り替える、
請求項3記載の搬送制御装置。
【請求項5】
物品を搬送する一以上の搬送機と、前記搬送機の動作を制御する搬送制御装置とを含んで構成される搬送制御システムであって、
前記搬送制御装置は、
前記物品の搬送要求を含む第1入力データに基づいて、前記搬送機に対して命令される動作を示す第1命令データを生成する第1処理手段と、
前記物品の搬送要求を含む第2入力データに基づいて、前記搬送機に対して命令される動作を示す第2命令データを生成する第2処理手段と、
前記第1処理手段によって生成された前記第1命令データ又は前記第2処理手段によって生成された前記第2命令データを前記搬送機に出力する出力手段と、
前記第1命令データ及び前記第2命令データのいずれか一方が前記出力手段によって出力されるように、前記第1処理手段、前記第2処理手段、及び前記出力手段の少なくともいずれかの動作を制御する切替手段と、を備え、
前記搬送機は、
前記第1命令データを受け取り、当該第1命令データに基づいて自機の動作を制御する第1動作制御手段と、
前記第2命令データを受け取り、当該第2命令データに基づいて自機の動作を制御する第2動作制御手段と、を備える、
搬送制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送制御装置及び搬送制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体を生産する工場等の生産ライン等において、半導体等の物品を搬送する台車の走行を制御するシステムが知られている。下記特許文献1には、複数の台車から地上側のコントローラへ周期的に台車の状態を報告するとともに、地上側のコントローラから複数の台車へ周期的に走行指令を送信することにより、台車間の車間距離を制御する台車システムが記載されている。下記特許文献2には、コントローラが、各台車から通知される位置、分岐か直進かを示す情報、及び時刻に基づいて各台車の現在位置を推定し、推定された各台車の現在位置の分布に基づいて渋滞を回避する走行ルートを探索することが記載されている。このように、台車の現在の状態等に基づいて将来の状態を予測し、予測結果に基づいて台車の走行速度や走行ルート等を決定する最適化処理を実行することにより、搬送効率を向上させることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5446055号公報
【特許文献2】特許第4438095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した最適化処理は比較的複雑な処理であるため、当該処理を実行するソフトウェア(プログラム)については、現実にどのように動作するかを検証しつつ、継続的に機能改良のためのアップデートを実施する必要があると考えられる。一方、このようなソフトウェアのアップデートを実施した際には、アップデート後のソフトウェアに問題(バグ等)があることが判明する場合がある。このような場合、通常、オペレータ等によって、ソフトウェアをアップデート前の状態に切り戻すロールバック処理が実行される。上述のロールバック処理が実行されることにより、アップデート前のソフトウェアによる正常な処理が再開される。しかしながら、ロールバック処理が完了するまでは、搬送機の動作を決定するための最適化処理が停止してしまう。このため、搬送機の動作が停止し、物品の搬送作業が停止してしまうといった問題が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、搬送機の動作停止を抑制することができる搬送制御装置及び搬送制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る搬送制御装置は、物品を搬送する一以上の搬送機の動作を制御する搬送制御装置であって、物品の搬送要求を含む第1入力データに基づいて、搬送機に対して命令される動作を示す第1命令データを生成する第1処理手段と、物品の搬送要求を含む第2入力データに基づいて、搬送機に対して命令される動作を示す第2命令データを生成する第2処理手段と、第1処理手段によって生成された第1命令データ又は第2処理手段によって生成された第2命令データを搬送機に出力する出力手段と、第1命令データ及び第2命令データのいずれか一方が出力手段によって出力されるように、第1処理手段、第2処理手段、及び出力手段の少なくともいずれかの動作を制御する切替手段と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る搬送制御装置では、搬送機に出力するための命令データを第1処理手段及び第2処理手段によって生成することが可能となっている。また、第1処理手段及び第2処理手段のいずれによって生成された命令データを出力するかは、切替手段によって切り替え可能となっている。従って、上記搬送制御装置によれば、第1処理手段及び第2処理手段の一方に例えばソフトウェアのバグ等があり異常処理が発生したとしても、第1処理手段及び第2処理手段の他方によって生成された命令データが出力されるように切り替えることができる。これにより、出力手段による搬送機への命令データの出力を継続することができる。その結果、搬送機に命令データに基づく動作を継続させることが可能となるため、搬送機の動作停止を抑制することができる。
【0008】
上記搬送制御装置では、第2入力データは、第1入力データに含まれる基本項目と第1入力データに含まれない追加項目とを含み、第2命令データは、第1命令データに含まれる基本項目と第1命令データに含まれない追加項目とを含み、切替手段は、第2処理手段を優先的に動作させ、第1処理手段を動作させる要求を示すトリガを検出した際に、第1処理手段が動作するように切り替えてもよい。
【0009】
上記搬送制御装置では、第1入力データよりも多くの情報項目を含む第2入力データに基づいて第1命令データよりも多くの情報項目を含む第2命令データを生成する第2処理手段が、優先的に動作させられる。これにより、通常時において、第1命令データよりも詳細な第2命令データを搬送機に出力することが可能となり、搬送機の搬送動作の高度化(効率化、最適化等)を図ることができる。一方、切替手段は、第1処理手段を動作させる要求を示すトリガを検出した際には、第1処理手段が動作するように切り替える。これにより、例えば第2処理手段の処理内容を変更する必要があり、第2処理手段による処理を実行することができない場合等には、第1処理手段によって生成された第1命令データを搬送機に出力することで、搬送機の動作を継続させることができる。
【0010】
上記搬送制御装置は、第2処理手段による処理を監視し、異常処理の発生を検知する異常処理検知手段を更に備え、切替手段は、異常処理検知手段による異常処理の発生の検知を上記トリガとして検出し、第1処理手段が動作するように切り替えてもよい。
【0011】
上記搬送制御装置では、第2処理手段による処理において異常処理の発生が検知された際に、切替手段が、第1処理手段が動作するように自動的に切り替える。これにより、異常処理が継続されることを防止するとともに、第1処理手段が生成する第1命令データによって搬送機の動作を継続させることができる。
【0012】
上記搬送制御装置は、異常処理検知手段により異常処理の発生が検知された際に、第2処理手段の処理内容を復旧する復旧手段を更に備え、切替手段は、復旧手段による復旧が完了したことを検知し、第2処理手段が動作するように切り替えてもよい。
【0013】
上記搬送制御装置では、異常処理の発生が検知された際に、切替手段が、第1処理手段が動作するように自動的に切り替えるとともに、復旧手段が、第2処理手段の処理内容を復旧する。そして、復旧完了後には、切替手段が、再度第2処理手段が動作するように切り替える。このように、上記搬送制御装置によれば、第2処理手段の処理内容の復旧が完了するまでは、第1処理手段を動作させることによって搬送機の動作を継続させることができる。また、第2処理手段の処理内容の復旧が完了した後には、再度第2処理手段を動作させることによって、搬送機の動作の高度化(効率化、最適化等)を図ることができる。
【0014】
本発明の一側面に係る搬送制御システムは、物品を搬送する一以上の搬送機と、搬送機の動作を制御する搬送制御装置とを含んで構成される搬送制御システムであって、搬送制御装置は、物品の搬送要求を含む第1入力データに基づいて、搬送機に対して命令される動作を示す第1命令データを生成する第1処理手段と、物品の搬送要求を含む第2入力データに基づいて、搬送機に対して命令される動作を示す第2命令データを生成する第2処理手段と、第1処理手段によって生成された第1命令データ又は第2処理手段によって生成された第2命令データを搬送機に出力する出力手段と、第1命令データ及び第2命令データのいずれか一方が出力手段によって出力されるように、第1処理手段、第2処理手段、及び出力手段の少なくともいずれかの動作を制御する切替手段と、を備え、搬送機は、第1命令データを受け取り、当該第1命令データに基づいて自機の動作を制御する第1動作制御手段と、第2命令データを受け取り、当該第2命令データに基づいて自機の動作を制御する第2動作制御手段と、を備える。
【0015】
上記搬送制御システムでは、搬送制御装置は、搬送機に出力するための命令データを第1処理手段及び第2処理手段によって生成することが可能となっている。また、搬送機は、受け取ることが可能な第1命令データ及び第2命令データのそれぞれに対応した動作制御手段を備えている。すなわち、搬送制御装置及び搬送機は、第1命令データに基づく搬送機の動作制御を行うための系統(第1処理手段及び第1動作制御手段のペア)と、第2命令データに基づく搬送機の動作制御を行うための系統(第2処理手段及び第2動作制御手段のペア)とを備えている。従って、上記搬送制御システムによれば、例えば一方の系統において異常処理が発生したとしても、切替手段によって他方の系統が動作するように切り替えることによって搬送機の動作制御を継続することができる。これにより、搬送機の動作停止を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送機の動作停止を抑制することができる搬送制御装置及び搬送制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送制御システムのレイアウト例を示す図である。
図2】搬送制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】搬送制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】搬送制御システムにおいて使用されるデータの例を示す図である。
図5】アップデート処理及びロールバック処理を説明するための模式図である。
図6】搬送制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送制御システムのレイアウト例を示す図である。図2は、搬送制御システムの機能構成を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る搬送制御システム1は、物品を搬送する一以上の台車(搬送機)2と、各台車2の動作を制御するコントローラ(搬送制御装置)3とを含んで構成されている。搬送制御システム1は、低レベルの動作命令(基本命令データ)に基づく台車2の動作制御を実行する制御系統と、高レベルの動作命令(最適化命令データ)に基づく台車2の動作制御を実行する制御系統とを備え、これらの制御系統を切り替えることが可能に構成されている。これにより、通常時には高レベルの動作命令に基づく台車2の動作制御を行うことで搬送制御の全体最適を図ることができる。また、高レベルの動作命令を生成するための処理内容(すなわち当該処理内容を規定するソフトウェア)に問題があった場合等には、低レベルの動作命令に基づく台車2の動作制御に切り替えることで、台車2の動作制御を継続することが可能となっている。
【0020】
図1に示すように、台車2は、工場内に敷設されたレール等の搬送路4に沿って走行可能に設けられている。台車2は、特定の種類に限定されないが、例えば天井走行車、無人搬送車、有軌道台車等である。本実施形態では一例として、台車2によって搬送される物品は、複数枚の半導体ウェハが収容されるカセット(いわゆるFOUP(Front Opening Unified Pod))である。
【0021】
搬送路4は、複数(図1の例では12個)の区画(ベイ)に分けられており、各ベイ内のルート(イントラベイルート)5と、異なるベイ間を接続するルート(インターベイルート)6とを形成している。これらのルート5,6に沿って、ロードポート7及びバッファ8が設けられている。ロードポート7は、図示しない処理装置と台車2との間でFOUPの受け渡しをする地点である。バッファ8は、台車2がFOUPを仮置きできる地点である。合流部9は、ルート5,6上において、複数の台車2が同時に進入することを排除する排他制御が必要となる地点である。
【0022】
コントローラ3は、各台車2に対して無線通信によって搬送命令を出力することにより、各台車2の搬送動作を制御する。搬送動作とは、FOUPを搬送するために行われる一連の動作であり、例えばロードポート7及びバッファ8等においてFOUPを積む動作(荷積み動作)及びFOUPを下ろす動作(荷下ろし動作)、並びに搬送路4を走行する走行動作等を含む。コントローラ3は、例えば図示しないMES(Manufacturing Execution System)等の上位コントローラから、FOUPの搬送に関する要求を示す搬送要求(例えば、どの地点から、どの地点まで、どのFOUPを搬送するかを示す情報)を受け付けて、台車2に割り付ける。すなわち、コントローラ3は、上位コントローラから受け付けた搬送要求のそれぞれについて、当該搬送要求の割り付け先となる台車2を決定し、決定された台車2に対して当該搬送要求を実行するように命令する。これにより、個々の搬送要求は、当該搬送要求が割り付けられた台車2によって実行される。本実施形態では一例として、コントローラ3が図1に示す制御対象エリア全体に存在する台車2を直接制御する構成について説明する。ただし、コントローラ3による制御の構成は、この例に限られない。例えば制御対象エリアが複数のゾーンに分割され、ゾーン内の台車2を制御するためのゾーンコントローラがゾーン毎に設けられてもよい。この場合、コントローラ3がゾーンコントローラを介して台車2を制御する構成となる。
【0023】
図2に示すように、台車2は、機能的構成要素として、通知部21と、受信部22と、基本動作制御部23と、最適化動作制御部24と、を備える。また、コントローラ3は、機能的構成要素として、受付部31と、基本処理データ記憶部32と、最適化処理データ記憶部33と、基本処理部34と、最適化処理部35と、出力部36と、異常処理検知部37と、切替部38と、復旧部39と、を備える。
【0024】
図3に示すように、コントローラ3は、ハードウェア構成として、一以上のCPU(Central Processing Unit)301と、主記憶装置である一以上のRAM(Random Access Memory)302及び一以上のROM(Read Only Memory)303と、オペレータが操作入力を行うためのキーボード等の入力装置304と、オペレータに情報を提示するディスプレイ等の出力装置305と、外部との有線通信又は無線通信を行うための通信モジュール306と、ハードディスクドライブ及び半導体メモリ等の補助記憶装置307と、を含むコンピュータシステムとして構成される。なお、コントローラ3は、1台のサーバ装置として構成されてもよいし、協調して動作する複数台のサーバ装置として構成されてもよい。図2に示したコントローラ3の各機能は、例えば、図3に示されるCPU301、RAM302等のハードウェア上に所定のプログラムを読み込ませることにより、CPU301の制御のもとで入力装置304及び出力装置305を動作させるとともに通信モジュール306を動作させ、RAM302及び補助記憶装置307におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0025】
台車2のハードウェア構成は、例えば、上述のコントローラ3のハードウェア構成から入力装置及び出力装置を省略した構成である。図2に示した台車2の各機能についても、上述したコントローラ3と同様に、CPU、RAM等のハードウェア上に所定のプログラムを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで通信モジュールを動作させ、RAM及び補助記憶装置におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0026】
図4を用いて、台車2及びコントローラ3によって使用されるデータについて説明する。図4の(a)は、コントローラ3に対して入力されるデータの例を示す。図4の(a)に示すデータのうち、搬送路、ロードポート、搬送要求に関するデータは、例えば、上述した上位コントローラ等からの外部入力によってコントローラ3に入力されるデータである。また、台車に関するデータは、例えば、台車2の通知部21から定期的にコントローラ3に通知される台車2の状態を示すデータである。
【0027】
図4の(a)に示す基本項目は、FOUPの搬送要求を含む基本入力データ(第1入力データ)32aに含まれる項目である。基本入力データ32aは、基本処理データ記憶部32に記憶されるデータである。基本入力データ32aは、基本処理部34が基本命令データ(第1命令データ)32bを生成するために用いるデータである。基本命令データ32bは、台車2に比較的単純な低レベルの搬送動作を実行させるための命令データである。
【0028】
図4の(a)に示す追加項目は、基本入力データに含まれず、最適化入力データ(第2入力データ)33aのみに含まれる項目である。すなわち、最適化入力データ33aは、基本項目及び追加項目の両方を含むデータである。最適化入力データ33aは、最適化処理データ記憶部33に記憶されるデータである。最適化入力データ33aは、最適化処理部35が最適化命令データ(第2命令データ)33bを生成するために用いるデータである。最適化命令データ33bは、台車2に比較的複雑な高レベルの搬送動作を行わせるための命令データである。なお、後述する最適化処理部35が基本入力データのみを用いて処理を実行する場合には、追加項目は空であってもよい。すなわち、基本入力データ32aと最適化入力データ33aとが同一であってもよい。
【0029】
図4の(a)の例では、搬送路(ルート5,6)に関する基本項目は、搬送路を識別する搬送路ID、搬送路の長さ、カーブや直線状等の形状、及び搬送路におけるループの有無等を示す閉鎖状態である。搬送路に関する追加項目は、搬送路使用計画(例えば搬送路のメンテナンス時間帯及び使用可能時間帯等を含む計画情報)である。また、ロードポート(ロードポート7)に関する基本項目は、ロードポートを識別するロードポートID、及びFOUPの有無である。ロードポートに関する追加項目は、ロードポート使用計画(例えばロードポートのメンテナンス時間帯及び使用可能時間帯等を含む計画情報)である。
【0030】
また、台車(台車2)に関する基本項目は、台車を識別する台車ID、搬送路4上における台車の位置、当該位置に台車が存在した時刻、台車のタイプ(例えば天井走行車等の台車の種類を示す情報)、及び台車に割り付けられた搬送要求の有無等を示す命令実行状態である。図4の(a)の例では、台車に関する追加項目はない。また、搬送要求に関する基本項目は、搬送要求を識別する搬送要求ID、荷積み地点を示す「From」、荷下ろし地点を示す「To」、及び搬送対象となるFOUPを識別するFOUPIDである。搬送要求に関する追加項目は、複数の搬送要求間の優先度である。
【0031】
図4の(b)は、コントローラ3から台車2に出力される命令データの例を示す。図4の(b)に示す基本項目は、基本命令データ32bに含まれる項目である。図4の(b)に示す追加項目は、最適化命令データ33bにのみ含まれる項目である。すなわち、最適化命令データ33bは、基本項目及び追加項目の両方を含むデータである。図4の(b)の例では、基本項目は、台車命令を識別する台車命令ID、荷積み地点を示す「From」、荷下ろし地点を示す「To」、搬送対象となるFOUPを識別するFOUPID、及び割り付けられた搬送要求を示す搬送要求IDである。追加項目は、台車2に対して指示される走行ルート(例えば搬送路4上に予めいくつか設定された特定地点を通る順序等)、並びに到着位置及び時間の一以上のセット情報(例えば上記特定地点と当該特定地点に到着すべき時間とを対応付けた情報等)である。
【0032】
図2に戻り、搬送制御システム1を構成する台車2及びコントローラ3の各機能要素について説明する。
【0033】
まず、台車2の各機能について説明する。通知部21は、台車2の状態を定期的に(例えば1m秒〜1秒等の周期で)コントローラ3に通知する手段である。具体的には、図4の(a)に示したように、通知部21は、台車ID、位置、時刻、タイプ、及び命令実行状態を含む台車の状態を示すデータ(以下「台車報告データ」という。)をコントローラ3に通知する。
【0034】
受信部22は、コントローラ3からの命令データを受信する手段である。受信部22は、コントローラ3からの命令データの種別を例えば命令データのヘッダに含まれる情報から判別する。受信部22は、受信された命令データが基本命令データ32bであると判別した場合には、当該基本命令データ32bを基本動作制御部23に受け渡す。一方、受信部22は、受信された命令データが最適化命令データ33bであると判別した場合には、当該最適化命令データ33bを最適化動作制御部24に受け渡す。このように、本実施形態では一例として、台車2は、受信部22が命令データの種別を判別し、命令データの種別に応じて適切な動作制御部(基本動作制御部23又は最適化動作制御部24)に命令データ(基本命令データ32b又は最適化命令データ33b)を割り振る。これにより、2つの異なる系統の命令を切り替えて実行することが可能となっている。
【0035】
基本動作制御部23は、基本命令データ32bを受け取り、当該基本命令データ32bに基づいて自機の動作を制御する手段(第1動作制御手段)である。最適化動作制御部24は、最適化命令データ33bを受け取り、当該最適化命令データ33bに基づいて自機の動作を制御する手段(第2動作制御手段)である。最適化動作制御部24は、基本命令データ32bに加えて走行ルート並びに到着位置及び時間の一以上のセット情報に基づく制御を実行できる点で、基本動作制御部23よりも高度な制御を実行可能になっている。
【0036】
ここで、最適化命令データ33bに含まれる走行ルート及び上記セット情報は、例えばFOUPの搬送作業における全体最適の観点から最適化処理部35により生成された情報である。具体的には、走行ルートは、複数の搬送要求を最短時間で実行完了できるように台車2に対して設定された走行ルート(最適化された走行ルート)である。また、到着位置及び時間の一以上のセット情報は、複数の台車2の間で干渉(車間距離が詰まり過ぎたり、一の台車2が他の台車2の走行を邪魔したりすること)が生じないように決定された情報である。従って、最適化動作制御部24は、最適化命令データに含まれる走行ルートに基づいて、自機を最適化された走行ルートに沿って移動させることができる。また、最適化動作制御部24は、例えば、最適化命令データに含まれるセット情報に基づいて、自機の加減速を制御して特定地点に到着する時刻を調整することで、他の台車2との干渉を生じないように自機の走行を制御することができる。
【0037】
次に、コントローラ3の各機能について説明する。受付部31は、上位コントローラ及び台車2等から、基本入力データ32a及び最適化入力データ33aの元となるデータ(図4の(a)に示したデータ)を受け付ける手段である。受付部31は、受け付けたデータのうち基本項目に関するデータを基本入力データ32aとして基本処理データ記憶部32に格納し、受け付けたデータのうち基本項目及び追加項目に関するデータを最適化処理データ記憶部33に格納する。
【0038】
基本処理データ記憶部32は、基本処理部34からのデータアクセス(読み書き等)が可能に構成された記憶手段であり、基本処理部34の処理に用いられる基本入力データ32aを記憶するとともに、基本処理部34によって生成された基本命令データ32bを記憶する。最適化処理データ記憶部33は、最適化処理部35からのデータアクセス(読み書き等)が可能に構成された記憶手段であり、最適化処理部35の処理に用いられる最適化入力データ33aを記憶するとともに、最適化処理部35によって生成された最適化命令データ33bを記憶する。
【0039】
本実施形態では、上述の通り、基本処理データ記憶部32と最適化処理データ記憶部33とを別々に設ける構成を例示する。ただし、基本処理データ記憶部32と最適化処理データ記憶部33とは、共通の記憶部として構成されてもよい。この場合、基本入力データ32aを必要とする基本処理部34は、共通の記憶部に記憶されたデータのうち基本項目に関するデータのみを用いて処理を実行することができる。また、最適化入力データ33aを必要とする最適化処理部35は、記憶部に記憶されたデータのうち基本項目及び追加項目の両方に関するデータを用いて処理を実行することができる。
【0040】
基本処理部34は、基本入力データ32aに基づいて、台車2に対して命令される動作を示す基本命令データ32bを生成する手段(第1処理手段)である。最適化処理部35は、最適化入力データ33aに基づいて、台車2に対して命令される動作を示す最適化命令データ33bを生成する手段(第2処理手段)である。基本処理部34及び最適化処理部35は、同時にはいずれか一方が動作するように、切替部38によって切り替えられる。ただし、基本処理部34及び最適化処理部35を同時に動作させてもよい。この場合、切替部38は、基本処理部34及び最適化処理部35のいずれか一方によって生成された命令データを出力部36が出力するように、出力部36の動作を切り替えてもよい。本実施形態では一例として、切替部38は、基本処理部34及び最適化処理部35のいずれか一方を動作させるように、基本処理部34及び最適化処理部35の動作を制御するものとする。より具体的には、本実施形態では、切替部38によって、最適化処理部35が優先的に動作するように切り替えられる。すなわち、最適化処理部35の処理内容に例えばソフトウェア上のバグ等の問題がない場合には、最適化処理部35が、基本処理部34に優先して動作する。以下、上位コントローラから入力される搬送要求と各台車2から通知される台車報告データとに基づいて、コントローラ3が各台車2に搬送要求を割り付ける割り付け制御を実行する例に着目して、基本処理部34及び最適化処理部35について説明する。
【0041】
基本処理部34は、最適化処理部35よりも低レベルの処理を実行する。上述の割り付け制御の例では、基本処理部34は、搬送路4、ロードポート7、及びバッファ8等の配置のレイアウト等に依存しない比較的単純な内容の基本命令データ32bを生成する。具体的には、基本処理部34は、上位コントローラから通知された搬送要求のそれぞれを、搬送要求が通知された順に処理する。基本処理部34は、搬送要求が示す搬送対象のFOUP(すなわち搬送要求に含まれるFOUPIDが示すFOUP)が存在する地点(すなわち搬送要求の「From」が示す地点)から最も近い位置に存在する台車2に割り付ける。
【0042】
より具体的には、基本処理部34は、各台車2から通知された台車報告データ(すなわち、基本入力データ32aの台車の項目)を参照することにより、搬送要求が示す搬送対象のFOUPに最も近い位置に存在する台車2を特定する。そして、基本処理部34は、特定された台車2に当該搬送要求を実行するように指示する情報(すなわち図4の(a)に示した基本項目)を含む基本命令データ32bを生成する。基本処理部34によって生成された基本命令データ32bは、例えば、基本処理データ記憶部32に格納される。そして、出力部36が、当該基本命令データ32bを取り出して、命令対象の台車2に出力する。上述の基本処理部34による処理は例示に過ぎないが、基本処理部34は、このように比較的単純な低レベルの処理を実行する。
【0043】
一方、最適化処理部35は、基本処理部34よりも多くの情報を用いることにより、基本処理部34よりも高レベルの処理を実行する。最適化処理部35は、例えば、搬送要求の追加項目である「優先度」の情報にも基づくことで、上位コントローラから通知された複数の搬送要求のうち優先度が高い搬送要求を優先して処理する。また、最適化処理部35は、複数の搬送要求が最短時間で完了するように各搬送要求を各台車2に割り付ける最適化処理を実行する。すなわち、最適化処理部35は、基本処理部34のように搬送要求を通知された順に処理するのではなく、優先度の高い搬送要求を優先して処理しつつ、複数の搬送要求が最も効率的に最短時間で実行完了するように最適化が図られた割り付けを行う。
【0044】
本実施形態では一例として、最適化処理部35は、上述の割り付けを実現するために、各台車2にどの搬送要求を割り付けるかを決定するとともに、各台車2の走行ルート並びに到着位置及び時間の一以上のセット情報を生成する。そして、最適化処理部35は、各台車2に各搬送要求を実行するように指示する情報(すなわち図4の(a)に示した基本項目)を含むとともに各台車2に具体的な走行制御を指示する情報(すなわち図4の(b)に示した追加項目)を含む最適化命令データ33bを生成する。最適化処理部35によって生成された最適化命令データ33bは、例えば、最適化処理データ記憶部33に格納される。そして、出力部36が、当該最適化命令データ33bを取り出して、命令対象の台車2に出力する。上述の最適化処理部35による処理は例示に過ぎないが、最適化処理部35は、このように比較的複雑な高レベルの最適化処理を実行する。
【0045】
出力部36は、上述の通り、基本処理部34によって生成されて基本処理データ記憶部32に記憶された基本命令データ32b、又は最適化処理部35によって生成されて最適化処理データ記憶部33に記憶された最適化命令データ33bを、命令対象の台車2に出力する手段(出力手段)である。コントローラ3の制御周期毎に基本処理データ記憶部32及び最適化処理データ記憶部33のいずれか一方にのみ命令データ(基本命令データ32b又は最適化命令データ33b)が記憶され、出力部36は、当該命令データを出力してもよい。或いは、コントローラ3の制御周期毎に基本処理データ記憶部32及び最適化処理データ記憶部33の両方に命令データが記憶され、出力部36は、基本処理データ記憶部32及び最適化処理データ記憶部33のうち一方に記憶された命令データを選択して出力してもよい。後者の場合において、出力部36が基本命令データ32b及び最適化命令データ33bのいずれを選択するかは、切替部38によって切り替えられてもよい。なお、どの台車2にどの命令データ(基本命令データ32b又は最適化命令データ33b)を出力するかを出力部36に把握させる方法は何でもよい。例えば、基本処理部34又は最適化処理部35は、命令データの項目として命令対象の台車IDを含めることで出力部36に命令対象の台車2を把握させてもよい。また、基本処理部34又は最適化処理部35は、台車命令IDと台車IDとの紐付けを示す情報を出力部36に個別に通知してもよい。
【0046】
異常処理検知部37は、最適化処理部35による処理を監視し、異常処理の発生を検知する手段(異常処理検知手段)である。異常処理検知部37は、例えば最適化処理部35による演算処理において任意の例外処理(例えば予め定められた例外パターンに該当する処理)が発生した場合、異常処理の発生を検知する。また、異常処理検知部37は、最適化処理部35によってアクセスされる最適化処理データ記憶部33に格納されたデータ(例えば最適化入力データ33a)を監視することにより、異常処理の発生を検知してもよい。例えば、異常処理検知部37は、最適化処理部35によるデータ処理の過程で、最適化処理データ記憶部33に格納されたデータが不正な値に置き換えられたこと(例えば予め自然数と規定されているデータに負値が代入されたこと等)を、異常処理の発生として検知してもよい。異常処理検知部37は、異常処理の発生を検知すると、異常処理の発生を検知したことを示す検知情報を切替部38及び復旧部39に通知する。
【0047】
切替部38は、基本命令データ32b及び最適化命令データ33bのいずれか一方が出力部36によって出力されるように、基本処理部34、最適化処理部35、及び出力部36の少なくともいずれかの動作を制御する手段(切替手段)である。切替部38は、例えば、基本処理部34及び最適化処理部35のいずれか一方が動作するように切り替えてもよい。また、切替部38は、基本処理部34及び最適化処理部35の両方を同時に動作させ、出力部36にいずれか一方の処理結果のみを出力させるように、出力部36の動作を制御してもよい。上述した通り、本実施形態では一例として、切替部38は、最適化処理部35を優先的に動作させ、基本処理部34を動作させる要求を示すトリガを検出した際に、基本処理部34が動作するように切り替える。また、切替部38は、基本処理部34が動作しているときに最適化処理部35を動作させる要求を示すトリガを検出した際には、最適化処理部35が動作するように切り替える。ここで、トリガは、切替部38において、処理切替の契機として予め設定されている。トリガの具体例としては、例えばオペレータ操作によって手動で入力された処理切替要求や、異常処理検知部37から通知されたロールバック処理を指示する制御信号等が挙げられる。例えば、各トリガには、基本処理部34及び最適化処理部35のいずれを動作させるように切り替えるかを示す情報が関連付けられている。この場合、切替部38は、当該情報を参照することにより、基本処理部34及び最適化処理部35の一方が動作するように切り替えることができる。
【0048】
切替部38は、異常処理検知部37により異常処理の発生が検知された際、すなわち異常処理検知部37から検知情報を通知された際に、当該検知情報の通知を、基本処理部34を動作させる要求を示すトリガとして検出し、基本処理部34が動作するように切り替える。すなわち、切替部38は、異常処理の発生が検知された最適化処理部35の処理を停止させるとともに、基本処理部34の処理を開始させる。このように、最適化処理部35による処理において異常処理の発生が検知された際に、切替部38が、基本処理部34が動作するように自動的に切り替えることにより、異常処理が継続されることを防止するとともに、基本処理部34が生成する基本命令データ32bによって台車2の動作を継続させることができる。
【0049】
また、切替部38は、後述する復旧部39から完了情報の通知を受けることによって、復旧部39による最適化処理部35の処理内容の復旧が完了したことを検知し、最適化処理部35が動作するように切り替える。すなわち、切替部38は、復旧部39からの完了情報の通知を、最適化処理部35を動作させる要求を示すトリガとして検出し、最適化処理部35が動作するように切り替える。このように、切替部38は、異常処理の発生を検知してから復旧部39からの完了情報の通知を受けるまでは、基本処理部34を動作させ、復旧部39からの完了情報の通知を受けると、再度最適化処理部35が動作するように切り替える。これにより、復旧部39による最適化処理部35の処理内容の復旧が完了するまでは、基本処理部34を動作させることによって台車2の動作を継続させることができる。また、最適化処理部35の処理内容の復旧が完了した後には、再度最適化処理部35を動作させることによって、台車2の搬送動作の高度化(効率化、最適化等)を図ることができる。
【0050】
復旧部39は、異常処理検知部37により異常処理の発生が検知された際、すなわち異常処理検知部37から検知情報を通知された際に、最適化処理部35の処理内容を復旧する手段(復旧手段)である。具体的には、復旧部39は、予め設定された復旧方法により、切替部38によって動作が停止するように切り替えられた最適化処理部35の処理内容を復旧する。この際、最適化処理部35のデータ処理によって最適化処理データ記憶部33に破壊されたデータが記憶されている場合等には、復旧部39は、最適化処理データ記憶部33に記憶されたデータの復旧(例えば初期化等)を実行する。また、最適化処理データ記憶部33に記憶されたデータの初期化等が必要になる場合には、復旧部39は、初期化を実行する前に、初期化対象のデータを別の記憶領域に退避(コピー)してもよい。退避させられたデータは、異常発生の原因解析等に用いることができる。
【0051】
ここで、最適化処理部35の処理内容を規定するソフトウェアに対して新たな機能追加等のアップデート処理を行った後に、アップデート後のソフトウェアの不具合によって異常処理の発生が検知された場合について考える。以下、「最適化処理部35の処理内容を規定するソフトウェア」のことを「最適化処理部35のソフトウェア」という。この場合、復旧部39は、最適化処理部35のソフトウェアをアップデート前のソフトウェアに切り戻すロールバック処理を実行することにより、最適化処理部35の処理内容を復旧することができる。復旧部39は、このような復旧処理を完了すると、復旧が完了したことを示す完了情報を切替部38に通知する。
【0052】
図5を用いて、最適化処理部35のソフトウェアのアップデート処理及びロールバック処理について説明する。図5は、アップデート処理及びロールバック処理を説明するための模式図である。図5において、「最適化処理v1」のブロックは、アップデート処理前の最適化処理部35の処理を示し、「最適化処理v2」のブロックは、アップデート処理後の最適化処理部35の処理を示し、「基本処理」のブロックは、基本処理部34の処理を示す。
【0053】
図5の(a)は、アップデート処理前の状態を示す。この状態では、切替部38によって最適化処理部35が優先的に動作するように切り替えられているため、最適化処理部35の処理(最適化処理v1)によって生成された最適化命令データ33bが台車2に出力される。
【0054】
図5の(c)は、アップデート処理後の状態を示す。この状態では、切替部38によって最適化処理部35が優先的に動作するように切り替えられているため、最適化処理部35の処理(最適化処理v2)によって生成された最適化命令データ33bが台車2に出力される。
【0055】
図5の(b)は、アップデート処理中又はロールバック処理中の中間状態を示す。この中間状態は、アップデート処理中又はロールバック処理中において、最適化処理部35による処理を実行できない状態を示す。中間状態では、切替部38によって基本処理部34が動作するように切り替えられることにより、基本処理部34の処理(基本処理)によって生成された基本命令データ32bが台車2に出力される。
【0056】
図6を用いて、アップデート処理の前後におけるコントローラ3の動作例(ステップS1,S2)、及び、ロールバック処理の前後におけるコントローラ3の動作例(ステップS3〜S8)について説明する。
【0057】
図5の(a)に示すアップデート処理前の状態において、例えばオペレータ等の操作により最適化処理部35のソフトウェアのアップデート処理の実行が指示されると、切替部38は、当該指示を処理切替のトリガとして検出し、基本処理部34が動作するように切り替える(ステップS1)。すなわち、ステップS1において、切替部38は、最適化処理部35の処理を停止させるとともに、基本処理部34の処理を開始させる。これにより、図5の(b)に示す中間状態に移行する。このように、切替部38が、最適化処理部35のソフトウェアのアップデート処理の実行をトリガとして検出し、基本処理部34が動作するように切り替えることにより、基本命令データ32bに基づいて台車2の動作制御を継続させることができる。この間、全体最適が図られた高レベルの搬送制御が実現されなくなるものの、安定して動作する低レベルの基本処理に切り替えることによって台車2の動作停止を抑制し、FOUPの搬送作業を継続させることができる。なお、アップデート用のソフトウェア(最適化処理v2を規定するソフトウェア)は、アップデート処理前に、オペレータ等の操作により、予めコントローラ3の補助記憶装置307等に格納される。また、アップデート前のソフトウェア(最適化処理v1を規定するソフトウェア)は、アップデート処理後においても、ロールバック処理用にコントローラ3の補助記憶装置307等に格納される。
【0058】
最適化処理部35のソフトウェアのアップデート処理が完了し、例えばオペレータ等の操作により再度最適化処理部35を動作させるように指示されると、切替部38は、当該指示を処理切替のトリガとして検出し、最適化処理部35が動作するように切り替える(ステップS2)。すなわち、ステップS2において、切替部38は、基本処理部34の処理を停止させるとともに、最適化処理部35の処理を再開させる。これにより、図5の(c)に示すアップデート処理後の状態に移行する。
【0059】
図5の(c)に示すアップデート処理後の状態において、異常処理検知部37は、最適化処理部35の処理を監視する。異常処理検知部37は、異常処理の発生を検知すると、検知情報を切替部38及び復旧部39に通知する(ステップS3)。切替部38は、異常処理検知部37からの検知情報の通知を受けると、当該検知情報の通知をトリガとして検出し、基本処理部34が動作するように切り替える(ステップS4)。すなわち、ステップS4において、切替部38は、最適化処理部35の処理を停止させるとともに、基本処理部34の処理を開始させる。これにより、図5の(b)に示す中間状態に移行する。続いて、復旧部39は、検知情報の通知を受けた後、切替部38によって最適化処理部35の処理が停止させられた後に、最適化処理部35のソフトウェアを、アップデート後のソフトウェア(最適化処理v2を規定するソフトウェア)からアップデート前のソフトウェア(最適化処理v1を規定するソフトウェア)に切り戻すロールバック処理を実行する(ステップS5)。また、最適化処理部35のデータ処理によって最適化処理データ記憶部33に記憶されたデータが破壊されている場合には、復旧部39は、最適化処理データ記憶部33に記憶されたデータの復旧(例えば初期化等)を実行する(ステップS6)。ここで、最適化処理データ記憶部33に記憶されたデータの初期化等が必要になる場合には、復旧部39は、初期化を実行する前に、初期化対象のデータを別の記憶領域に退避(コピー)してもよい。退避させられたデータは、異常発生の原因解析等に用いることができる。なお、ステップS5及びステップS6の実行順序は、図6に示す順序に限られない。例えば、ステップS5及びステップS6は並列で実行されてもよいし、ステップS6が実行された後にステップS5が実行されてもよい。
【0060】
ステップS5及びステップS6の処理が完了すると、復旧部39は、ロールバック処理の完了を示す完了情報を切替部38に通知する(ステップS7)。切替部38は、復旧部39からの完了情報の通知を受けると、当該完了情報の通知をトリガとして検出し、最適化処理部35が動作するように切り替える(ステップS8)。すなわち、ステップS8において、切替部38は、基本処理部34の処理を停止させるとともに、最適化処理部35の処理を再開させる。これにより、図5の(a)に示すアップデート処理前の状態に移行する。
【0061】
以上述べた通り、本実施形態に係るコントローラ3では、台車2に出力するための命令データを基本処理部34及び最適化処理部35によって生成することが可能となっている。また、基本処理部34及び最適化処理部35のいずれによって生成された命令データを出力するかは、切替部38によって切り替え可能となっている。従って、コントローラ3によれば、基本処理部34及び最適化処理部35の一方(本実施形態では一例として最適化処理部35)に例えばソフトウェアのバグ等があり異常処理が発生したとしても、基本処理部34及び最適化処理部35の他方によって生成された命令データが出力されるように切り替えることができる。これにより、出力部36による台車2への命令データの出力を継続することができる。その結果、台車2に命令データに基づく動作を継続させることが可能となるため、台車2の動作停止を抑制することができる。
【0062】
また、コントローラ3では、基本入力データ32aよりも多くの情報項目を含む最適化入力データ33aに基づいて基本命令データ32bよりも多くの情報項目を含む最適化命令データ33bを生成する最適化処理部35が、優先的に動作させられる。これにより、通常時において、基本命令データ32bよりも詳細な最適化命令データ33bを台車2に出力することが可能となり、台車2の搬送動作の高度化(効率化、最適化等)を図ることができる。一方、切替部38は、基本処理部34を動作させる要求を示すトリガを検出した際において、基本処理部34が動作するように切り替える。これにより、例えばソフトウェアのアップデート処理及びロールバック処理等によって最適化処理部35の処理内容を変更する必要があり、最適化処理部35による処理を実行することができない場合等には、基本処理部34によって生成された基本命令データ32bを台車2に出力することで、台車2の動作を継続させることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る搬送制御システム1では、コントローラ3は、台車2に出力するための命令データを基本処理部34及び最適化処理部35によって生成することが可能となっている。また、台車2は、受け取ることが可能な基本命令データ32b及び最適化命令データ33bのそれぞれに対応した動作制御部(基本動作制御部23及び最適化動作制御部24)を備えている。すなわち、コントローラ3及び台車2は、基本命令データ32bに基づく台車2の動作制御を行うための基本制御系統(基本処理部34及び基本動作制御部23のペア)と、最適化命令データ33bに基づく台車2の動作制御を行うための最適化制御系統(最適化処理部35及び最適化動作制御部24のペア)とを備えている。従って、上記搬送制御システム1によれば、一方の系統(本実施形態では一例として最適化制御系統)の処理において異常処理が発生したとしても、切替部38によって他方の系統が動作するように切り替えることによって台車2の動作制御を継続することができる。これにより、台車2の動作停止を抑制することができる。
【0064】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
【0065】
上記実施形態では、搬送制御システム1による搬送制御の一例として、搬送要求を台車2に割り付ける割り付け制御について説明した。しかし、搬送制御システム1による制御は、割り付け制御以外の制御(例えば合流部9への台車2の進入の順番の制御、台車2間の車間距離の制御等)であってもよい。また、最適化処理及び基本処理の内容は、特定の処理内容に限定されず、搬送制御システム1によって実行される制御の内容に応じた内容とすることができる。
【0066】
また、コントローラ3によって制御される対象の搬送機は、上記実施形態で挙げた台車に限られず、例えばスタッカークレーン等の台車以外の搬送機であってもよい。また、上記実施形態では、コントローラ3が制御対象の搬送機(台車2)とは別の装置として設けられる場合について説明したが、例えば制御対象の搬送機が1機だけの場合等には、コントローラ3は搬送機の中に組み込まれてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、異常処理検知部37が異常処理の発生を検知した際にロールバック処理を指示する制御信号を切替部38及び復旧部39に通知する例を説明したが、切替部38及び復旧部39に対するロールバック処理の指示は、オペレータによる手動操作によって行われてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…搬送制御システム、2…台車(搬送機)、3…コントローラ(搬送制御装置)、21…通知部、22…受信部、23…基本動作制御部(第1動作制御手段)、24…最適化動作制御部(第2動作制御手段)、31…受付部、32…基本処理データ記憶部、32a…基本入力データ(第1入力データ)、32b…基本命令データ(第1命令データ)、33…最適化処理データ記憶部、33a…最適化入力データ(第2入力データ)、33b…最適化命令データ(第2命令データ)、34…基本処理部(第1処理手段)、35…最適化処理部(第2処理手段)、36…出力部(出力手段)、37…異常処理検知部(異常処理検知手段)、38…切替部(切替手段)、39…復旧部(復旧手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6