(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384669
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】仮囲い板用止着具
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
E04G21/32 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-157(P2015-157)
(22)【出願日】2015年1月5日
(65)【公開番号】特開2016-125268(P2016-125268A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】397008502
【氏名又は名称】ニッコープランニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100174768
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】草間 良次
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−099437(JP,U)
【文献】
実開昭52−078323(JP,U)
【文献】
特開平10−280702(JP,A)
【文献】
米国特許第04143495(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
F16B 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略山形状の押付部(3)の内端に、略平坦形状の連結部(4)を連設した第一止着体(1)と、略山形状の押付部(5)の内端に、略平坦形状の連結部(6)を連設した第二止着体(2)とからなり、
前記第一止着体(1)の連結部(4)に設けた通孔(7)と、第二止着体(2)の連結部(6)に設けた通孔(8)とにボルト(9)を挿通し、このボルト(9)にナット(10)をねじ込んで締め付けることにより、
前記第一止着体(1)の押付部(3)が、仮囲い板(11)の一側端に形成した側面体(12)を上から押し付けるようにし、前記第二止着体(2)の連結部(6)が、前記側面体(12)を下から押し付けるようにすると共に、
前記第二止着体(2)の押付部(5)の外端(5a)が、前記仮囲い板(11)に沿わせたパネル状体(21)の側端部(21a)を上から押し付けるようにし、前記第一止着体(1)の連結部(4)の外端(4a)が、第二止着体(2)の押付部(5)を上から押し付けるようにしていることを特徴とする仮囲い板用止着具。
【請求項2】
前記通孔(7)は第一止着体(1)の連結部(4)の長さ方向に設けた長孔とし、通孔(8)は第二止着体(2)の連結部(6)の長さ方向に設けた長孔としていることを特徴とする請求項1記載の仮囲い板用止着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場や資材置場等で使用される仮囲い板に、防音パネル等のパネル状体を取り付けておくための仮囲い板用止着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場や資材置場では、基礎工事期間中や資材の積み降ろし作業時等に騒音が発生し、この騒音が建設現場や資材置場を包囲する仮囲い板の外に洩れ、付近住民や通行人に迷惑をかけるばかりでなく、建設現場や資材置場内でも騒音が仮囲い板に反射し、作業者に不快感を与えていた。
【0003】
そのため、このような騒音に対処するための仮囲い板として、例えば
図6、7に示したように、板本体31の内側に、軟質塩化ビニルシートよりなる防音材Sを設けたものが存在する(特許文献1)。
【0004】
このような仮囲い板は、建設現場や資材置場内で発生した騒音を、板本体31の内側に設けた軟質塩化ビニルシートよりなる防音材Sにより極力吸音できるので、建設現場や資材置場を包囲する仮囲い板の外に騒音が漏れにくくなり、付近住民や通行人にかける迷惑を極力低減することができると共に、建設現場や資材置場内でも騒音が仮囲い板に反射することなく吸音され、作業者に与える不快感を極力低減することができるとしている。
【0005】
しかしながら、前記仮囲い板は、軟質塩化ビニルシートよりなる防音材Sの厚さが1〜2mm程度であるため防音効果が不充分で、建設物の破壊工事が伴うような特に大きな騒音が発生する建設現場での使用には充分に対処することができないという問題点を有していた。
【0006】
そこで、本件出願人は、仮囲い板の内側に装着して使用するのに好ましい防音パネルとして、
図8に示したように、ハニカム状パネル32の多数のセル33内にフェノールフォーム34を埋設し、このハニカム状パネル32にカバー35を被せたものを、先に出願した。
【0007】
このような防音パネルは、例えば
図9、10に示したように、建設現場や資材置場を包囲するそれぞれの仮囲い板Bの板本体36の内側上下に一枚ずつ沿わせ、この板本体36の両側面体37間に止め板38を掛け渡し、止め板38の両端を両側面体37の折曲部37aに設けたネジ孔にネジ39で止めれば、この止め板38で押さえ付けられた状態で、仮囲い板Bの上下に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−288098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような防音パネルを装着した仮囲い板は、建設物の破壊工事が伴うような特に大きな騒音が発生する建設現場での使用にも充分に対処することのできるものとなった。
【0010】
しかしながら、このような仮囲い板では、板本体と止め板との間に防音パネルを挟み込んでいるだけであり、防音パネルが止め板で押さえ付けられるといっても、その押さえ付ける力は弱く、板本体に防音パネルを確りと止めておくことができず、使用中に板本体から防音パネルがずれて食み出たり、場合によっては板本体から防音パネルが外れてしまうという問題点を有していた。
【0011】
そこで、本発明は、防音パネル等のパネル状体を仮囲い板に確りと止めておくことができると共に、その止着作業も簡単に行なえる仮囲い板用止着具を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明の仮囲い板用止着具は、略山形状の押付部3の内端に、略平坦形状の連結部4を連設した第一止着体1と、略山形状の押付部5の内端に、略平坦形状の連結部6を連設した第二止着体2とからなり、前記第一止着体1の連結部4に設けた通孔7と、第二止着体2の連結部6に設けた通孔8とにボルト9を挿通し、このボルト9にナット10をねじ込んで締め付けることにより、前記第一止着体1の押付部3が、仮囲い板11の一側端に形成した側面体12を上から押し付けるようにし、前記第二止着体2の連結部6が、前記側面体12を下から押し付けるようにすると共に、前記第二止着体2の押付部5の外端5aが、前記仮囲い板11に沿わせたパネル状体21の側端部21aを上から押し付けるようにし、前記第一止着体1の連結部4の外端4aが、第二止着体2の押付部5を上から押し付けるようにしている。
【0013】
さらに、本発明の仮囲い板用止着具において、前記通孔7は第一止着体1の連結部4の長さ方向に設けた長孔とし、通孔8は第二止着体2の連結部6の長さ方向に設けた長孔としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の仮囲い板用止着具は、以上に述べたような構成としているので、防音パネル等のパネル状体を仮囲い板に確りと止めておくことができると共に、その止着作業も簡単に行なえるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の仮囲い板用止着具の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の仮囲い板用止着具を使用して仮囲い板に防音パネルを止着した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2中に○で囲んだ部分の拡大斜視図である。
【
図4】
図2中に○で囲んだ部分の拡大平面図である。
【
図6】従来の防音材付き仮囲い板の一例を示す斜視図である。
【
図8】従来の防音パネルの一例を示す斜視図である。
【
図9】従来の仮囲い板用止着具を使用して仮囲い板に防音パネルを止着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の仮囲い板用止着具を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明の仮囲い板用止着具は、
図1に示したように、それぞれが長めの金属板や合成樹脂板よりなる第一止着体1と第二止着体2とから構成されている。
【0018】
第一止着体1は、略山形状の押付部3の内端に、略平坦形状の連結部4を連設したものとし、第二止着体2も同様に略山形状の押付部5の内端に、略平坦形状の連結部6を連設したものとしている。このようにした第一止着体1と第二止着体2は、図示したものでは、対称形状にしているが、特に対称形状にしなくてもよい。
【0019】
前記第一止着体1の押付部3と第二止着体2の押付部5は、平坦な円弧面状とすることにより、引っ掛かりがなく滑らかな略山形状としているが、平坦な三角屋根状などとしてもよく、略山形状としていれば特に限定されることはない。
【0020】
前記第一止着体1の連結部4には、長さ方向に長孔とした通孔7を設け、第二止着体2の連結部6にも、長さ方向に長孔とした通孔8を設けている。そして、これら通孔7と通孔8とにボルト9を挿通し、このボルト9にナット10をねじ込んで締め付け、第一止着体1と第二止着体2とを連結できるようにしている。なお、前記通孔7と通孔8に挿通するボルト9の位置は、これらの長孔をずらすことにより自由に変えることができるので、第一止着体1の押付部3の外端3aから第二止着体2の押付部5の外端5aまでの長さL(
図4参照)を調節することができる。また、第一止着体1および第二止着体2には、それぞれの連結部4、6から押付部3、5にかけて、それらの両側部にリブRを設け、連結部4、6および押付部3、5の強度を補強している。
【0021】
そして、本発明の仮囲い板用止着具は、前記ボルト9にナット10をねじ込んで締め付けることにより、第一止着体1の押付部3が、仮囲い板11の一側端に形成した側面体12を上から押し付けるようにし、前記第二止着体2の連結部6が、前記側面体12を下から押し付けるようにしている。これにより、前記仮囲い板11の一側端は、これら第一止着体1の押付部3と第二止着体2の連結部6によって挟み付けられる(
図5参照)。
【0022】
さらに、本発明の仮囲い板用止着具は、前記ボルト9にナット10をねじ込んで締め付けることにより、第二止着体2の押付部5の外端5aが、仮囲い板11に沿わせた防音パネル等のパネル状体21の側端部21aを上から押し付けるようにし、前記第一止着体1の連結部4の外端4aが、第二止着体2の押付部5を上から押し付けるようにしている。これにより、第二止着体2の押付部5の外端5aにより、防音パネル等のパネル状体21の側端部21aが押し付けられた状態に維持される(
図5参照)。
【0023】
前記仮囲い板11は、
図2、3に示したように、板本体の両端部を内側に折り曲げて前記側面体12を形成し、側面体12の上部、中央部、下部の適宜位置にはそれぞれ仮囲い板11どうしを繋ぐ番線の通し穴(図示せず)を設けたものとしている。さらに、前記側面体12には、互いに突き合わせたときに位置決めしやすいように、嵌合部13を形成したものとしている。
【0024】
前記パネル状体21は、防音パネルとした場合には前述したように、ハニカム状パネル32の多数のセル33内にフェノールフォーム34を埋設し、このハニカム状パネル32にカバー35を被せたものとしているが、もちろんこのようなものに限定されることはなく、仮囲い板11に沿わせることができるものであればよい。
【0025】
以上のように構成した本発明の仮囲い板用止着具を使用して、防音パネルとしたパネル状体を仮囲い板に止着するには、以下のようにして行なう。
【0026】
先ず、建設現場や資材置場を包囲するそれぞれの仮囲い板11の内側上下に、先に述べたような防音パネルとしたパネル状体(
図8参照)を一枚ずつ沿わせる。
【0027】
次に、仮囲い板11に沿わせたそれぞれのパネル状体21の四隅において、それぞれの上から、パネル状体21の側端部21aに第二止着体2の押付部5の外端5aを突き当て、これら側端部21a寄りの仮囲い板11の側面体12の下に第二止着体2の連結部6を入り込ませ、さらにこれら側面体12に上から第一止着体1の押付部3を突き当てる。
【0028】
そこで、ボルト9にねじ込んだナット10を締め付けると、第一止着体1の押付部3が、仮囲い板11の側面体12を上から押し付け、第二止着体2の連結部6が、仮囲い板11の側面体12を下から押し付ける共に、第二止着体2の押付部5の外端5aが、それぞれのパネル状体21の側端部21aを上から押し付け、第一止着体1の連結部4の外端4aが、第二止着体2の押付部5を上から押し付けることになる。
【0029】
このようにすることにより、仮囲い板11の側面体12は、これら第一止着体1の押付部3と第二止着体2の連結部6によって挟み付けられ、第二止着体2の押付部5の外端5aにより、パネル状体21の側端部21aが押し付けられた状態が維持されるので、
図2に示したように、仮囲い板11の上下に沿わせたパネル状体21を、その仮囲い板11に確りと止めておくことができる。
【0030】
なお、仮囲い板11の側面体12とパネル状体21との間に隙間が生じている場合には、前記通孔7と通孔8に挿通するボルト9の位置を、これら通孔7の長孔と通孔8の長孔をずらして変えることにより、第一止着体1の押付部3の外端3aから第二止着体2の押付部5の外端5aまでの長さLを調節すれば、その隙間に丁度対応するものとすることができる。
【0031】
よって、本発明の仮囲い板用止着具は、防音パネル等のパネル状体を仮囲い板に確りと止めておくことができると共に、その止着作業も簡単に行なえるものとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 第一止着体
2 第二止着体
3 押付部
3a 外端
4 連結部
4a 外端
5 押付部
5a 外端
6 連結部
7 通孔
8 通孔
9 ボルト
10 ナット
11 仮囲い板
12 側面体
21 パネル状体
21a 側端部