(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ管理手段は、前記ジョブにエラーが発生した場合に、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データが前記RAMディスクに記憶されているとき、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データを前記RAMディスクから前記記憶デバイスに移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記データ管理手段は、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データを前記RAMディスクから前記記憶デバイスに移動させた後、前記エラーが解除された場合に、前記エラーが解除された前記ジョブの前記データを前記記憶デバイスに維持することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、ジョブにエラーが発生しない場合に、多数のジョブが発生したとき、ジョブの実行に使用されるデータが多数のジョブのそれぞれに対してRAMに記憶されるので、RAMの容量を圧迫してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ジョブの実行に使用されるデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる画像形成装置およびジョブ実行プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、RAMによって形成されるRAMディスクと、前記RAMより低速の記憶デバイスと、ジョブの実行に使用されるデータを管理するデータ管理手段と、前記RAMディスクおよび前記記憶デバイスの何れかに記憶されている前記データを使用して前記ジョブを実行するジョブ実行手段とを備え、前記データ管理手段は、前記RAMディスクおよび前記記憶デバイスのうち特定の条件に応じた方に前記データを記憶することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、ジョブの実行に使用されるデータを全てRAMディスクに記憶するのではなく、少なくとも一部を記憶デバイスに記憶することが可能であり、RAMディスクおよび記憶デバイスの何れかに記憶されているデータを使用してジョブを実行するので、ジョブの実行に使用されるデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置において、前記データ管理手段は、前記ジョブにエラーが発生した場合に、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データが前記RAMディスクに記憶されているとき、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データを前記RAMディスクから前記記憶デバイスに移動させても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、エラーが発生したジョブのデータをRAMディスクから記憶デバイスに移動させるので、エラーが発生して実行が一時停止させられているジョブのデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記データ管理手段は、前記エラーが発生した前記ジョブの前記データを前記RAMディスクから前記記憶デバイスに移動させた後、前記エラーが解除された場合に、前記エラーが解除された前記ジョブの前記データを前記記憶デバイスに維持しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、エラーが発生したジョブのデータをRAMディスクから記憶デバイスに移動させた後、エラーが解除された場合に、エラーが解除されたジョブ、すなわち、エラーによる実行の停止によって既に実行速度の優先度が低下したジョブのデータをRAMディスクに戻さずに記憶デバイスに維持するので、エラーによる実行の停止によって既に実行速度の優先度が低下したジョブのデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる。
【0012】
本発明のジョブ実行プログラムは、RAMによって形成されるRAMディスクと、前記RAMより低速の記憶デバイスとを備える画像形成装置を、ジョブの実行に使用されるデータを管理するデータ管理手段、および、前記RAMディスクおよび前記記憶デバイスの何れかに記憶されている前記データを使用して前記ジョブを実行するジョブ実行手段として機能させ、前記データ管理手段は、前記RAMディスクおよび前記記憶デバイスのうち特定の条件に応じた方に前記データを記憶することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のジョブ実行プログラムは、ジョブの実行に使用されるデータを全てRAMディスクに記憶するのではなく、少なくとも一部を記憶デバイスに記憶することが可能であり、RAMディスクおよび記憶デバイスの何れかに記憶されているデータを使用してジョブを実行するので、ジョブの実行に使用されるデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置およびジョブ実行プログラムは、ジョブの実行に使用されるデータによるRAMの容量の圧迫を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、MFP10は、種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部11と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部12と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー13と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター14と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部15と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部16と、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部17と、MFP10全体を制御する制御部20とを備えている。
【0020】
記憶部17は、ジョブを実行するためのジョブ実行プログラム17aを記憶している。ジョブ実行プログラム17aは、MFP10の製造段階でMFP10にインストールされていても良いし、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部記憶媒体からMFP10に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からMFP10に追加でインストールされても良い。
【0021】
記憶部17は、ジョブの実行に使用されるデータ(以下「ジョブ用データ」と言う。)17bを複数記憶可能である。ここで、ジョブ用データ17bは、例えば、記録媒体を供給するための複数の媒体供給部のうち特定の媒体供給部から記録媒体を搬送するという情報など、ジョブの実行に使用される各種の情報を含んだデータである。
【0022】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)21と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)22と、CPU21の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)23とを備えている。CPU21は、ROM22または記憶部17に記憶されているプログラムを実行する。RAM23は、CPU21の作業領域として用いられるワークメモリー24と、各種の情報を記憶するRAMディスク25とを備えている。
【0023】
RAM23は、記憶部17より高速である。したがって、RAMディスク25は、記憶部17より高速である。一方、RAMディスク25は、記憶部17より容量が小さい。RAMディスク25は、ジョブ用データ25aを複数記憶可能である。
【0024】
図2は、制御部20の機能のブロック図である。
【0025】
図2に示すように、制御部20は、記憶部17(
図1参照。)に記憶されているジョブ実行プログラム17a(
図1参照。)を実行することによって、ジョブの実行に使用されるデータを管理するデータ管理手段20a、および、記憶部17(
図1参照。)およびRAMディスク25(
図1参照。)の何れかに記憶されているジョブ用データを使用してジョブを実行するジョブ実行手段20bとして機能する。
【0026】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0027】
まず、ジョブの実行のモードが設定される場合のMFP10の動作について説明する。
【0028】
制御部20は、ジョブの実行のモードの設定の開始が例えば操作部11から指示されると、ジョブ実行プログラム17aを実行することによって、ジョブの実行のモードの設定を開始する。具体的には、制御部20は、ジョブの種類と、ジョブの実行のモードとの対応関係が操作部11を介して指示されると、指示された対応関係を記憶部17に記憶する。
【0029】
ここで、ジョブの実行のモードには、ジョブの同時実行数の多さよりジョブのパフォーマンスの高さを優先するパフォーマンス優先モードと、ジョブのパフォーマンスの高さよりジョブの同時実行数の多さを優先する同時実行数優先モードとが存在する。
【0030】
次に、ジョブを実行する場合のMFP10の動作について説明する。
【0031】
図3は、ジョブを実行する場合のMFP10の動作のフローチャートである。
【0032】
図3に示すように、ジョブ実行手段20bは、対象のジョブの実行を開始する(S101)。
【0033】
次いで、データ管理手段20aは、記憶部17に記憶されている対応関係と、対象のジョブの種類とに基づいて、対象のジョブの実行のモードを判断する(S102)。
【0034】
データ管理手段20aは、対象のジョブの実行のモードがパフォーマンス優先モードであるとS102において判断すると、対象のジョブのジョブ用データ25aのための領域を記憶部17より高速のRAMディスク25に作成して(S103)、S103において作成した領域にジョブ用データ25aを設定する(S104)。
【0035】
データ管理手段20aは、対象のジョブの実行のモードが同時実行数優先モードであるとS102において判断すると、対象のジョブのジョブ用データ17bのための領域を記憶部17に作成して(S105)、S105において作成した領域にジョブ用データ17bを設定する(S106)。
【0036】
ジョブ実行手段20bは、S104またはS106の処理の後、S104またはS106において設定されたジョブ用データを使用して対象のジョブを実行する(S107)。ここで、ジョブ実行手段20bは、S104またはS106において設定されたジョブ用データを記憶部17またはRAMディスク25からワークメモリー24に読み出して使用する。
【0037】
ジョブ実行手段20bは、S107の処理が終了すると、
図3に示す動作を終了する。
【0038】
次に、ジョブを実行する場合にエラーが発生したときのMFP10の動作について説明する。
【0039】
制御部20は、ジョブを実行する場合にエラーが発生したとき、
図3に示す動作を一時停止する。
【0040】
ここで、エラーとしては、例えば、プリンター14による印刷を伴うジョブの場合、記録媒体が媒体供給部に無くなったというエラー、記録媒体がプリンター14内で詰まったというエラー、プリンター14のトナーが無くなったというエラーなどのエラーがある。プリンター14による印刷を伴うジョブは、これらのエラーが発生した場合、印刷を継続することができないため一時停止される。なお、MFP10は、これらのエラーが発生した場合であっても、プリンター14による印刷を伴うジョブを新たに受け付けることは可能である。
【0041】
図4は、ジョブ用データをRAMディスク25から記憶部17に移動する場合のMFP10の動作のフローチャートである。
【0042】
データ管理手段20aは、
図3に示す動作が開始されてから終了されるまで、
図3に示す動作の対象のジョブに対して
図4に示す動作を繰り返し実行する。
【0043】
図4に示すように、データ管理手段20aは、対象のジョブにエラーが発生したか否かを判断する(S131)。
【0044】
データ管理手段20aは、エラーが発生していないとS131において判断すると、
図4に示す動作を終了する。
【0045】
データ管理手段20aは、エラーが発生したとS131において判断すると、対象のジョブのジョブ用データがRAMディスク25に記憶されているか否かを判断する(S132)。
【0046】
データ管理手段20aは、対象のジョブのジョブ用データがRAMディスク25に記憶されていないとS132において判断すると、
図4に示す動作を終了する。
【0047】
データ管理手段20aは、対象のジョブのジョブ用データがRAMディスク25に記憶されているとS132において判断すると、対象のジョブのジョブ用データ25aをRAMディスク25から記憶部17に移動させて(S133)、
図4に示す動作を終了する。
【0048】
なお、ジョブ実行手段20bは、対象のジョブのジョブ用データがS133においてRAMディスク25から記憶部17に移動させられた場合、ジョブのエラーが解除された後のS107(
図3参照。)の処理において、対象のジョブのジョブ用データを記憶部17からワークメモリー24に読み出す。
【0049】
以上に説明したように、MFP10は、記憶部17およびRAMディスク25のうち、特定の条件に応じた方、すなわち、記憶部17に記憶されている対応関係と、対象のジョブの種類とに基づいて定まる方にジョブ用データを記憶する(S102〜S106)。この構成により、MFP10は、ジョブ用データを全てRAMディスク25に記憶するのではなく、少なくとも一部を記憶部17に記憶することが可能であり、記憶部17およびRAMディスク25の何れかに記憶されているジョブ用データを使用してジョブを実行する(S107)ので、ジョブ用データによるRAM23の容量の圧迫を抑えることができる。したがって、MFP10は、パフォーマンスの高さが求められるジョブに対して、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0050】
MFP10は、試し印刷のジョブのように、パフォーマンスの高さが求められるジョブに対して、パフォーマンス優先モードが設定されることによって、記憶部17より高速のRAMディスク25にジョブ用データ25aを記憶するので、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0051】
一方、MFP10は、パフォーマンスの高さが特に求められないジョブに対して、同時実行数優先モードが設定されることによって、RAM23より低速の記憶部17にジョブ用データ17bを記憶するので、パフォーマンスの高さが特に求められないジョブのジョブ用データによるRAM23の容量の圧迫を抑えることができる。したがって、MFP10は、パフォーマンスの高さが求められるジョブに対して、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0052】
また、MFP10は、エラーが発生したジョブのジョブ用データをRAMディスク25から記憶部17に移動させるので(S133)、エラーが発生して実行が一時停止させられているジョブのジョブ用データによるRAM23の容量の圧迫を抑えることができる。したがって、MFP10は、パフォーマンスの高さが求められるジョブに対して、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0053】
MFP10において、データ管理手段20aは、エラーが発生したジョブのジョブ用データをRAMディスク25から記憶部17に移動させた(S133)後、ジョブのエラーが解除された場合に、エラーが解除されたジョブ、すなわち、エラーによる実行の停止によって既に実行速度(パフォーマンス)の優先度が低下したジョブのジョブ用データをRAMディスク25に戻さずに記憶部17に維持する。したがって、MFP10は、エラーによる実行の停止によって既に実行速度の優先度が低下したジョブのジョブ用データによるRAM23の容量の圧迫を抑えることができ、パフォーマンスの高さが求められるジョブに対して、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0054】
なお、MFP10は、エラーが発生したジョブのジョブ用データをRAMディスク25から記憶部17に移動させた後、ジョブのエラーが解除された場合に、エラーが解除されたジョブのジョブ用データをRAMディスク25に戻しても良い。
【0055】
MFP10は、本実施の形態において事前に対応関係が登録される。しかしながら、MFP10は、ジョブの実行の度に、ジョブの実行のモードが例えば操作部11を介して指示されても良い。
【0056】
MFP10は、本実施の形態において対象のジョブの実行時にジョブ用データのための領域を記憶部17およびRAMディスク25の何れかに作成する(S103またはS105)。しかしながら、MFP10は、ジョブの実行前、例えば、MFP10のシステムの起動処理中にジョブ用データのための領域を記憶部17およびRAMディスク25の少なくとも一方に作成しても良い。この構成によって、MFP10は、ジョブの実行時間を短縮することができる。
【0057】
なお、本実施の形態において、データ管理手段20aは、ジョブ用データ全体について、対象のジョブの実行のモードを判断するが、ジョブ用データ全体の代わりにジョブ用データの各部分について、対象のジョブのうち対応する部分の実行のモードを判断してもよい。例えば、データ管理手段20aは、複数ページのデータを含む印刷のジョブのジョブ用データについて、各ページの実行のモードを判断してもよい。ここで、複数ページのデータを含む印刷のジョブのジョブ用データのうち、ファーストプリント(1枚目の印刷)に対応するページのように、パフォーマンスの高さが求められるページのデータに対して、パフォーマンス優先モードが設定されてもよい。これにより、データ管理手段20aは、複数ページのデータを含む印刷のジョブのジョブ用データのうち、ファーストプリントに対応するページのように、パフォーマンスの高さが求められるページのデータを、記憶部17より高速のRAMディスク25にジョブ用データ25aとして記憶する。さらに、複数ページのデータを含む印刷のジョブのジョブ用データのうち、ファーストプリントに対応するページに続くページのデータに対して、同時実行数優先モードが設定されてもよい。これにより、データ管理手段20aは、複数ページのデータを含む印刷のジョブのジョブ用データのうち、ファーストプリントに対応するページに続くページのデータを、記憶部17にジョブ用データ17bとして記憶する。したがって、MFP10は、対象のジョブのジョブ用データのうち、対象のジョブの中でパフォーマンスの高さが特に求められない部分のデータによるRAM23の容量の圧迫を抑えることができるとともに、対象のジョブの中でパフォーマンスの高さが求められる部分に対して、高いパフォーマンスを実現することができる。
【0058】
また、データ管理手段20aは、ジョブ用データの種別に応じて、ジョブ実行のモードを設定してもよい。例えば、データ管理手段20aは、パフォーマンスの高さが求められるジョブが開始されると、パフォーマンス優先モードを設定してもよい。また、データ管理手段20aは、ジョブ開始後、ジョブ用データに含まれる部分(例えばページ)のうち、パフォーマンスの高さが求められる部分(例えばページ)に対して、パフォーマンス優先モードを設定してもよい。
【0059】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機、コピー専用機、スキャナー専用機、FAX専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。