(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開閉体を操作するための操作レバーに対する操作の有無を示す第1の信号と、前記開閉体を駆動するモータに供給される電流の大きさに応じた信号、又は、前記モータの回転数に応じた信号である第2の信号とが入力される入力部と、
前記第1の信号に基づいて前記開閉体の開作動又は閉作動を開始し、前記第2の信号に基づいて前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動の継続の可否を判断する制御部とを有し、
前記制御部は、前記操作レバーに対する操作が終了してからの前記開閉体の移動距離が第1の距離以上である場合には、前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動の継続の可否を第1の条件で判断し、前記操作レバーに対する操作が行われていることを前記第1の信号が示している場合、及び、前記操作レバーに対する操作が終了してからの前記開閉体の移動距離が第1の距離未満である場合には、前記第1の条件よりも前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動が継続されやすい条件である第2の条件で前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動の継続の可否を判断し、
前記制御部は、前記第1の条件の下では、前記第2の信号が第1の閾値を越えると、前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動を中止させ、前記第2の条件の下では、前記第2の信号が前記第1の閾値を越えた場合であっても、前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動を継続させ、
前記入力部には、前記開閉体を開閉するためのスイッチの操作に応じた第3の信号であって前記第1の信号とは異なる信号が更に入力され、
前記制御部は、更に、前記第3の信号に基づいて前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動の制御を行い、
前記制御部は、当該制御部が前記開閉体の開閉作動の継続の可否を判断している状態において、前記第1の信号が前記入力部に入力されておらず、且つ、前記第3の信号に基づいて前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動を行う場合には、前記移動距離にかかわらず、前記第1の条件で前記開閉体の前記開作動又は前記閉作動の継続の可否を判断する、制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下で説明する図面において、同じ機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による制御装置、その制御装置を用いた車両制御システム、及び、その制御装置を用いた車両制御方法を
図1乃至
図6を用いて説明する。
図1は、本実施形態による車両制御システムを示すブロック図である。
図2は、本実施形態による車両を示す側面図である。
【0015】
図2に示すように、車両2には、複数の開閉体36a〜36cが設けられている。車両2の前部座席(図示せず)に対応するように設けられている開閉体36aは、例えばスイングドアである。スイングドア36aは、例えば車両2の左右にそれぞれ設けられている。車両2の後部座席(図示せず)に対応するように設けられている開閉体36bは、例えばスライドドアである。スライドドア36bは、例えば車両2の左右にそれぞれ設けられている。スライドドア36bは、モータの動力を用いて自動で開閉し得る。かかるスライドドア36bは、パワースライドドアとも称される。車両2の後部に設けられている開閉体36cは、バックドアである。バックドア36cは、モータの動力を用いて自動で開閉し得る。かかるバックドアは、パワーバックドアとも称される。
【0016】
各々の開閉体36a〜36cには、開閉体36a〜36cをそれぞれ開閉操作するための操作レバー24a、24bが設けられている。
図2においては、開閉体36cに設けられた操作レバーについては、図示を省略している。操作レバー24a、24bは、開閉体36a〜36cにおける車室外側の面にそれぞれ設けられている。操作レバー24a、24bは、乗員(図示せず)等が車室外側から開閉体36a〜36cの開閉を行う際に用いられる。
【0017】
なお、
図1においては、複数の開閉体36a〜36cのうちの1つを、36という符号を用いて図示している。また、
図1においては、複数の操作レバー24a、24bのうちの1つを、24という符号を用いて図示している。
【0018】
開閉体36a〜36cによる物体や人体等の挟み込みや、物体や人体等への開閉体36a〜36cの衝突等(以下、これらを総称して「異常事態」ともいう)は、いずれの開閉体36を開閉する際にも生じ得るが、ここでは、スライドドア36bを開閉する場合を例に説明する。従って、ここでは、
図1に示す開閉体36を、
図2に示す開閉体(スライドドア)36bに対応するものとして説明する。また、ここでは、
図1に示す操作レバー24を、
図2に示す操作レバー24bに対応するものとして説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態による車両制御システム10は、制御装置12を有している。制御装置12は、例えば電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。
【0020】
制御装置12は、入力部14、制御部(CPU:Central Processing Unit)16、メモリ18、及び、出力部20を有している。入力部14、制御部16、メモリ18、及び、出力部20は、バスライン22を介して相互に信号(データ)を入出力し得る。
【0021】
制御装置12の入力部14には、操作レバー(ドアノブ)24に連動するスイッチ26からの信号が入力されるようになっている。操作レバー24に対する操作が行われた際、即ち、乗員等により操作レバー24が掴まれた際には、スイッチ26は例えばオン状態となる。一方、操作レバー24に対する操作が行われていない際、即ち、乗員等により操作レバー24が掴まれていない際には、スイッチ26は例えばオフ状態となる。こうして、操作レバー24に対する操作の有無を示す信号が、スイッチ26から入力部14に入力される。
【0022】
制御装置12の入力部14には、操作スイッチ28からの信号が入力されるようになっている。操作スイッチ28は、例えば、運転席等から手が届きやすい箇所に配されている。操作スイッチ28は、運転席等から開閉体36の開閉操作を行うためのものである。操作スイッチ28が押下された際には、操作スイッチ28は例えばオン状態となる。操作スイッチ28が押下されていない際には、操作スイッチ28は例えばオフ状態となる。こうして、操作スイッチ28が押下されているか否かを示す信号が、操作スイッチ28から入力部14に入力される。
【0023】
車両2には、開閉体36を駆動するためのモータ30が設けられている。モータ30は、車両2に設けられた複数の開閉体36の各々に対して適宜設けられているが、ここでは、複数のモータ30のうちの1つを図示している。制御装置12の制御部16は、出力部20を介してモータ30に電流を供給することによりモータ30を駆動する。モータ30をある方向に回転させると、開閉体36を開作動させることが可能である。一方、モータ30を反対方向に回転させると、開閉体36を閉作動させることが可能である。
【0024】
制御装置12の入力部14には、電流計(電流センサ、電流測定手段)34からの信号が入力されるようになっている。電流計34は、モータ電流の大きさ、即ち、モータ30に供給される駆動電流の大きさを測定するためのものである。モータ電流の大きさに応じた信号が、電流計34から入力部14に入力される。
【0025】
制御装置12の入力部14には、モータ30に設けられたパルスセンサ32からの信号が入力されるようになっている。パルスセンサ32は1つのモータ30に対して複数設けられているが、
図1においては、複数のパルスセンサ32のうちの1つを図示している。1つのモータ30に対して複数のパルスセンサ32を設けているのは、複数のパルスセンサ32の出力信号における位相の関係を観測することにより、開閉体36が開作動中であるか閉作動中であるかを判定するためである。制御部16は、パルスセンサ32の出力信号に基づいて、開閉体36が作動しているか否かを検出する。また、制御部16は、複数のパルスセンサ32の出力信号における位相の関係に基づいて、開閉体36の作動方向、即ち、開作動の方向か閉作動の方向かを検出する。また、制御部16は、パルスセンサ32の出力信号に基づいて、開閉体36の変位量を検出する。開閉体36の作動方向と変位量とを検出し得るため、制御部16は、開閉体36の位置を検出し得る。制御部16は、開閉体36の作動方向、変位量、位置等をメモリ18に適宜記憶する。
【0026】
制御部16は、操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号に基づいて開閉体36の開作動又は閉作動を開始する。開閉体36が閉じている状態で操作レバー24又は操作スイッチ28が操作された場合には、制御部16は、モータ30をある方向に回転させることにより開閉体36の開作動を開始する。一方、開閉体36が開いている状態で操作レバー24又は操作スイッチ28が操作された場合には、制御部16は、モータ30を反対方向に回転させることにより開閉体36の閉作動を開始する。
【0027】
制御部16は、開閉体36を開閉する際における異常事態の発生の有無を検出する。異常事態とは、上述したように、開閉体36による物体や人体等の挟み込みや、物体や人体等への開閉体36の衝突等のことである。開閉体36を開閉する際における異常事態の発生の有無は、例えば、モータ電流の大きさを第1の閾値と比較することにより検出される。即ち、モータ電流が第1の閾値より大きい場合には、制御部16は、挟み込みや衝突等の異常事態が生じていると判定する。一方、モータ電流が第1の閾値より小さい場合には、制御部16は、挟み込みや衝突等の異常事態は生じていないと判定する。
【0028】
制御部16は、モータ電流と第1の閾値とを比較することにより、衝突や挟み込み等の異常事態の有無を判定するが、操作レバー24により開閉体36の開閉操作が行われる場合には、開閉体36の開閉開始の直後におけるモータ電流の大きさが必ずしも安定しない。例えば、開閉体36の作動を促すように乗員等が力を加えた場合には、モータ30の負荷が小さくなるため、モータ電流の大きさは小さくなる。一方、開閉体36の作動を促す力を加えるのを乗員等が止めた直後には、モータ30への負荷が急増するため、モータ電流は急増する。また、開閉体36の作動を阻むような力を乗員等が加えた場合には、モータ30の負荷が大きくなるため、モータ電流は大きくなる。このように、操作レバー24により開閉体36の開閉操作が行われている際や、操作レバー24による操作が終了した直後には、モータ電流の大きさは必ずしも安定しない。このため、モータ電流と第1の閾値とを単に比較することにより異常事態の有無を判定した場合には、異常事態を誤検出してしまうことも考えられる。
【0029】
そこで、操作レバー24による操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合には、制御部16は、モータ電流が第1の閾値を
越えた場合であっても異常事態と判定せず、開閉体36の開閉作動を継続させる。また、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ電流が第1の閾値を
越えた場合であっても異常事態と判定せず、開閉体36の開閉作動を継続させる。
【0030】
ところで、操作レバー24に連動するスイッチ26が故障することも考えられる。例えば、ON状態に固着する故障がスイッチ26に生じることも考えられる。スイッチ26がON状態に固着した場合には、操作レバー24による操作が終了したにもかかわらず、スイッチ26からの信号は、操作レバー24による操作が行われていることを示してしまう。このような場合において、上記のような論理のみに基づいて開閉作動の制御を行った場合には、実際に挟み込み等の異常事態が生じた場合であっても、開閉体36の開閉作動が継続されてしまうこととなる。開閉体36の開閉作動において実際に挟み込み等の異常事態が生じている場合には、開閉体36の開閉作動を継続しないことが好ましい。そこで、本実施形態では、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上である場合には、操作レバー24に対する操作が行われていることをスイッチ26からの信号が示している場合であっても、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較する。そして、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定する。このため、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26に故障が生じた場合であっても、挟み込みや衝突等の異常事態を確実に検出することができる。モータ電流の大きさが第1の閾値より小さい場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。
【0031】
このように、制御部16は、開閉体36を駆動するモータ電流の大きさに基づいて、開閉体36の開作動又は閉作動の継続の可否を判断する。操作レバー24に対する操作が行われている場合、及び、操作レバー36に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、開閉体36の開作動又は閉作動が継続されやすい条件である第2の条件で、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断する。第2の条件の下では、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定せず、開閉体36の開作動又は閉作動を継続させる。
【0032】
一方、制御部16は、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)以上である場合には、第2の条件よりも開作動又は閉作動が継続されにくい条件である第1の条件で、開閉体36の開作動又は閉作動の可否を判断する。第1の条件の下では、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えなければ、開閉体36の開作動又は閉作動を継続させる。第1の条件の下では、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定し、開閉体36の開作動又は閉作動の継続を中止させる。開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定した場合には、制御部16は、開閉体36の作動を反転させる(反転作動)。即ち、開閉体36の開作動を行っていた場合には、制御部16は、開閉体36の作動を開作動から閉作動に転じさせる。一方、開閉体36の閉作動を行っていた場合には、制御部16は、開閉体36の作動を閉作動から開作動に転じさせる。
【0033】
図3は、操作レバーに連動するスイッチが正常な場合を示すタイムチャートである。
図3における横軸は、開閉体36の位置を示している。横軸の左端は開閉体36が全閉している位置に対応しており(全閉状態)、横軸の右端は開閉体36が全開している位置に対応している(全開状態)。
図3における縦軸は、モータ電流の大きさを示している。
図3(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。
図3(a)では、モータ電流の変化の例を破線を用いて示している。また、
図3(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
図3(b)では、モータ電流の変化の例を一点鎖線を用いて示している。また、
図3(a)及び
図3(b)の各々には、操作レバー24のスイッチ26の状態と操作スイッチ28の状態を併記している。
【0034】
なお、
図3には、開閉体36を開作動させる際のタイムチャート、即ち、開閉体36が全閉状態から全開状態に達するまでのタイムチャートが例示されているが、開閉体36を閉作動させる際についても同様である。
【0035】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作レバー24を掴んでいる際には、
図3(a)に示すように、スイッチ26はON状態となり、乗員等が操作レバー24から手を離した後には、スイッチ26はOFF状態となる。一方、操作スイッチ28は操作されていないため、操作スイッチ28はOFF状態である。開閉体36の開閉開始直後におけるモータ電流の大きさは不安定である。このため、開閉体36の開閉開始直後においては、モータ電流の大きさが第1の閾値より大きくなることも考えられる。しかし、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、異常事態が生じていると判定しない。従って、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。
【0036】
操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより、異常事態の発生の有無を判定する。操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上の範囲においては、モータ電流の大きさは安定する。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。異常事態が生じた場合のモータ電流の変化の例は、
図3(a)において、二点鎖線を用いて示されている。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0037】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図3(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となり、乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24は操作されていないため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。操作スイッチ26を用いて開閉体36を開閉作動させる場合には、モータ電流の大きさは安定している。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。異常事態が生じた場合のモータ電流の変化の例は、
図3(b)において、二点鎖線を用いて示されている。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0038】
図4は、操作レバーに連動するスイッチがOFFに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図4(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図4(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0039】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26は、操作レバー24を乗員が掴んでいる場合であっても、
図4(a)に示すように、OFF状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。このような場合、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより異常事態の発生の有無を判定する。このように、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0040】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図4(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図4(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチはOFF状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0041】
図5は、操作レバーに連動するスイッチがONに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図5(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図5(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0042】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障しているため、乗員等が操作レバー24から手を離した場合であっても、
図5(a)に示すように、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このため、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0043】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作している際には、
図5(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態が維持される。操作レバー24に連動するスイッチ26がON状態に維持されているため、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより異常事態の発生の有無を判定する。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0044】
次に、本実施形態による車両制御システムの動作について
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態による車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、開閉体36の開閉作動、即ち、開作動又は閉作動が開始される(ステップS1)。開閉体36の開閉作動は、操作レバー24を用いて行われる場合もあるし、操作スイッチ26を操作することにより行われる場合もある。制御部16は、操作レバー24のスイッチ26がON状態になった場合、又は、操作スイッチ28がON状態になった場合には、モータ30を駆動させることにより、開閉体36の開閉作動を行う。
【0046】
開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態であった場合には(ステップS2)、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。また、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態でなく(ステップS2)、且つ、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作スイッチ28の状態がON状態でない場合には(ステップS4)、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。
第2の条件の下では、モータ電流が第1の閾値を
越えた場合であっても、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続する。操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になるまでは(ステップS4)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。
【0047】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になった場合には(ステップS4)、第2の条件より開閉体36の開閉作動が継続されにくい条件である第1の条件に基づいて、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。第1の条件の下では、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えなければ(ステップS5)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。開閉体16の開閉作動が完了するまで(ステップS6)、モータの電流の大きさと第1の閾値との比較が繰り返し行われ、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えなければ、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉体36の開閉作動が完了するに至った場合(ステップS6)、即ち、開作動において開閉体36が全開状態に達したとき、又は、閉作動において開閉体36が全閉状態に達したときは、制御部16は、開閉作動を終了させる。
【0048】
モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には(ステップS5)、開閉体36による物体や人体等の挟み込みや、物体や人体等への開閉体36の衝突等、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると考えられる。このような異常事態が開閉体36の開閉作動において生じているにもかかわらず開閉体36の開閉作動を継続した場合には、物体や人体等に対してダメージが及ぶことも考えられる。このため、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、開閉体36の反転作動を開始する(ステップS7)。例えば、開閉体36を開作動させている際にモータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、開閉体36の作動を閉作動に転じさせる。開閉体36を閉作動させている際にモータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、開閉体36の作動を開作動に転じさせる。開閉体36の反転作動は、モータ30の回転方向を反転させることにより行うことが可能である。反転作動が完了するに至った場合には(ステップS8)、開閉体36の開閉作動が終了となる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、モータ電流の大きさが不安定となることが見込まれる範囲内においては、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、挟み込み等の異常事態が発生しているとは判定しない。即ち、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合であっても、異常事態と判断しない。このため、本実施形態によれば、開閉体36の開閉作動における異常事態の誤検出を防止することができ、ひいては、利便性の向上に寄与することができる。
【0050】
また、上述したように、本実施形態によれば、開作動又は閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上になった場合には、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより、開閉体36の開閉作動の可否を判断する。このため、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26が固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0051】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による制御装置、その制御装置を用いた車両制御システム、及び、その制御装置を用いた車両制御方法について
図7乃至
図10を用いて説明する。
図1乃至
図6に示す第1実施形態による制御装置等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0052】
本実施形態による車両制御システムは、モータ電流の大きさが不安定になることが見込まれる範囲においては、比較的緩やかな閾値である第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較するものである。
【0053】
本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、第2の条件を適用する。第2の条件の下では、モータ電流と第2の閾値を比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判断する。第2の閾値は、第1の閾値より緩やかな閾値である。開閉体36の開閉作動を開始した直後においては、比較的緩やかな閾値である第2の閾値に基づいて異常事態の発生の有無を判定するため、モータ電流が急激に増加した場合であっても異常事態とは判断されにくい。このため、開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ電流の大きさが不安定になった場合であっても、本実施形態によれば、異常事態の誤検出を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、開作動又は閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上である場合には、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合であっても、第2の条件よりも開閉体の開閉作動が継続されにくい条件である第1の条件を適用する。第1の条件の下では、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じた場合には、モータ電流の大きさは第1の閾値を
越える。このため、挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じた場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じたと判定することができる。従って、本実施形態によれば、開閉レバー24に連動するスイッチ26が固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0055】
図7は、操作レバーに連動するスイッチが正常な場合を示すタイムチャートである。
図7(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図7(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0056】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。
図7(a)に示すように、開閉体36の開閉開始直後におけるモータ電流の大きさは不安定である。このため、開閉体36の開閉開始直後においては、モータ電流の大きさが第1の閾値より大きくなることも考えられる。しかし、本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、第1の閾値より緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判断する。このため、開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ電流の大きさが不安定になったとしても、異常事態が生じているとは判定されない。従って、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。
【0057】
操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ電流の大きさと第1の閾値とを比較することにより、異常事態の発生の有無を判定する。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0058】
次に、操作スイッチ26を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。
図7(b)に示すように、モータ電流の大きさは安定している。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0059】
図8は、操作レバーに連動するスイッチがOFFに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図8(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図8(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0060】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26は、
図8(a)に示すように、OFF状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。このような場合、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このように、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0061】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図7(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図7(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチはOFF状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0062】
図9は、操作レバーに連動するスイッチがONに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図9(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図9(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0063】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障しているため、
図9(a)に示すように、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。操作レバー24に連動するスイッチ26がON状態に維持されるため、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このため、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0064】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図9(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図9(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態が維持される。操作レバー24に連動するスイッチ26がON状態に維持されるため、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越える。モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ電流の大きさが閾値を
越えていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0065】
このように、本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われている場合、及び、操作レバー36に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、開閉体36の開作動又は閉作動が継続されやすい条件である第2の条件で、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断する。第2の条件の下では、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の有無を判定する。開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ電流の大きさが不安定になったとしても、モータ電流の大きさは第2の閾値を
越えない。このため、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。一方、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)以上である場合には、第2の条件よりも開作動又は閉作動が継続されにくい条件である第1の条件で、開閉体36の開作動又は閉作動の可否を判断する。このため、挟み込み等の異常事態が生じた場合には、確実に検出することができる。
【0066】
次に、本実施形態による車両制御システムの動作について
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態による車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0067】
まず、開閉体36の開閉作動、即ち、開作動又は閉作動が開始される(ステップS11)。制御部16は、操作レバー24のスイッチ26がON状態になった場合、又は、操作スイッチ28がON状態になった場合には、モータ30を駆動させることにより、開閉体36の開閉作動を行う。
【0068】
開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態であった場合には(ステップS12)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否が判定する。また、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態でなく(ステップS12)、且つ、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作スイッチ28の状態がON状態でない場合には(ステップS13)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否が判定する。第2の条件の下では、比較的緩やかな第2の閾値をモータ電流の大きさが
越えなければ(ステップS14)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。
【0069】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になるまでは(ステップS15)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する(ステップS14)。
【0070】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になった場合には(ステップS15)、制御部16は、第1の条件に基づいて開閉体36の開閉操作の継続の可否を判定する。第1の条件の下では、第2の閾値より厳しい第1の閾値をモータ電流の大きさが
越えなければ(ステップS16)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉体36の開閉作動が完了するまで、モータの電流の大きさと第1の閾値との比較が繰り返し行われ(ステップS16)、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えなければ、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉体36の開閉作動が完了するに至った場合(ステップS17)、即ち、開作動において開閉体36が全開状態に達したとき、又は、閉作動において開閉体36が全閉状態に達したときは、制御部16は、開閉作動を終了させる。
【0071】
モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には(ステップS16)、挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じていると考えられる。このような異常事態が開閉体36の開閉作動において生じているにもかかわらず開閉作動を継続した場合には、物体や人体等に対してダメージが及ぶことも考えられる。このため、モータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、制御部16は、開閉体36の反転作動を開始する(ステップS18)。例えば、開閉体36を開作動させている際にモータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、開閉体36の閉作動を開始する。開閉体36を閉作動させている際にモータ電流の大きさが第1の閾値を
越えた場合には、開閉体36の開作動を開始する。開閉体36の反転作動は、モータ30の回転方向を反転させることにより行うことが可能である。反転作動が完了するに至った場合には(ステップS19)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を終了させる。
【0072】
このように、モータ電流の大きさが不安定となることが見込まれる範囲内においては、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較するようにしてもよい。即ち、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、比較的緩やかな第2の閾値とモータ電流の大きさとを比較するようにしてもよい。本実施形態においても、開閉体36の開閉作動における異常事態の誤検出を防止することができ、ひいては、利便性の向上に寄与することができる。
【0073】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による制御装置、その制御装置を用いた車両制御システム、及び、その制御装置を用いた車両制御方法について図
11乃至
図14を用いて説明する。
図11は、本実施形態による制御システムを示すブロック図である。
図1乃至
図10に示す第1又は第2実施形態による制御装置等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0074】
本実施形態による車両制御システムは、モータ30の回転数に基づいて、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定するものである。
【0075】
図11に示すように、モータ30に設けられたパルスセンサ32からの信号が入力部16に入力されるようになっている。制御部16は、パルスセンサ32からの信号に基づいて、モータ30の回転数を検出する。本実施形態では、開閉体36を開閉する際における異常事態の発生の有無は、モータ30の回転数を第1の閾値と比較することにより検出される。即ち、モータ30の回転数が第1の閾値より小さい場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において衝突や挟み込み等の異常事態が生じていると判定する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値より大きい場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において衝突や挟み込み等の異常事態が生じていないと判定する。
【0076】
このように、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより、衝突や挟み込み等の異常事態の有無を判定するが、操作レバー24により開閉体36の開閉操作が行われる場合には、開閉体36の開閉開始の直後におけるモータ30の回転数が必ずしも安定しない。例えば、開閉体36の作動を促すように乗員等が力を加えた場合には、モータ30の回転数は大きくなる。一方、開閉体36の作動を促す力を加えるのを乗員等が止めた直後には、モータ30の回転数が急減する場合もある。また、開閉体36の作動を阻むような力を乗員等が加えた場合には、モータ30の回転数は小さくなる。このように、操作レバー24により開閉体36の開閉操作が行われている際や、操作レバー24による操作が終了した直後には、モータ30の回転数が必ずしも安定しない。このため、モータ30の回転数と第1の閾値とを単に比較することにより異常事態の有無を判定した場合には、異常事態を誤検出してしまうことも考えられる。
【0077】
そこで、本実施形態では、操作レバー24による操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えた場合であっても異常事態と判定せず、開閉体36の開閉作動を継続させる。なお、ここで、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えるとは、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなることを意味する。
【0078】
ところで、操作レバー24に連動するスイッチ26が故障することも考えられる。例えば、ON状態に固着する故障がスイッチ26に生じることも考えられる。スイッチ26がON状態に固着した場合には、操作レバー24による操作が終了したにもかかわらず、スイッチ26からの信号は、操作レバー24による操作が行われていることを示してしまう。このような場合において、上記のような論理のみに基づいて開閉作動の制御を行った場合には、実際に異常事態が生じた場合であっても、開閉体36の開閉作動が継続されてしまうこととなる。開閉体36の開閉作動において実際に異常事態が生じている場合には、開閉体36の開閉作動を継続しないことが好ましい。そこで、本実施形態では、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上である場合には、操作レバー24に対する操作が行われていることをスイッチ26からの信号が示している場合であっても、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較する。そして、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えた場合、即ち、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定する。このため、本実施形態によれば、操作レバー24に連動するスイッチ26に故障が生じた場合であっても、衝突や挟み込み等の異常事態を確実に検出することができる。
【0079】
このように、本実施形態では、開閉体36を駆動するモータ30の回転数に応じた信号に基づいて、制御部16は、開閉体36の開作動又は閉作動の継続の可否を判定する。操作レバー24に対する操作が行われている場合、及び、操作レバー36に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、開閉体36の開作動又は閉作動が継続されやすい条件である第2の条件で、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。第2の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回った場合であっても、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定せず、開閉体36の開作動又は閉作動を継続させる。
【0080】
一方、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)以上である場合には、第2の条件よりも開作動又は閉作動が継続されにくい条件である第1の条件で、開閉体36の開作動又は閉作動の可否を判断する。第1の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくならなければ、開閉体36の開作動又は閉作動を継続させる。第1の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定し、開閉体36の開作動又は閉作動の継続を中止させる。開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定した場合には、制御部16は、開閉体36の作動を反転させる(反転作動)。
【0081】
図12は、操作レバーに連動するスイッチが正常な場合を示すタイムチャートである。
図12(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図12(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0082】
なお、
図12には、開閉体36を開作動させる際のタイムチャート、即ち、開閉体36が全閉状態から全開状態に達するまでのタイムチャートが例示されているが、開閉体36を閉作動させる際についても同様である。
【0083】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作レバー24を掴んでいる際には、
図12(a)に示すように、スイッチ26はON状態となり、乗員等が操作レバー24から手を離した後にはスイッチ26はOFF状態となる。一方、操作スイッチ28は操作されていないため、操作スイッチ28はOFF状態である。
図12(a)に示すように、開閉体36の開閉開始直後におけるモータ30の回転数は不安定である。このため、開閉体36の開閉開始直後においては、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えることも考えられる。即ち、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなることも考えられる。しかし、上述したように、本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合であっても、異常事態が生じていると判定しない。従って、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。
【0084】
操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより、異常事態の発生の有無を判定する。
図12(a)に示すように、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上の範囲においては、モータ30の回転数は安定する。開閉体36の開閉作動中に物体等への挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回る。異常事態が生じた場合のモータ30の回転数の例は、
図12(a)において、二点鎖線を用いて示されている。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなっていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0085】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。
図12(b)に示すように、乗員等が操作スイッチ28を操作した際には操作スイッチ28はON状態となり、乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24は操作されていないため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。操作スイッチ26を用いて開閉体36を開閉作動させる場合には、モータ30の回転数は安定している。開閉体36の開閉作動中に挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回る。異常事態が生じた場合のモータ30の回転数の変化の例は、
図12(b)において、二点鎖線を用いて示されている。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなっていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0086】
なお、開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、モータ30の回転数が比較的小さいため、モータ30の回転数は第1の閾値として設定された回転数より小さくなる。従って、開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断しない。開閉作動が開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離を
越えた場合、又は、開閉体36の開閉作動を開始してからの時間が所定時間を
越えた場合に、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断し始める。
【0087】
図13は、操作レバーに連動するスイッチがOFFに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図13(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図13(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0088】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障しているため、操作レバー24を乗員等が掴んでいる場合であっても、操作レバー24に連動するスイッチ26は、
図13(a)に示すように、OFF状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。このような場合、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えた場合、即ち、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回った場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより異常事態の発生の有無を判定する。従って、操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0089】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図13(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図13(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチはOFF状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。開閉体36の開閉中に挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなる。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回っていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0090】
図14は、操作レバーに連動するスイッチがONに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図14(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図14(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0091】
操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障しているため、
図14(a)に示すように、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。
【0092】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このため、操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0093】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図14(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図14(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態が維持される。操作レバー24に連動するスイッチ26がON状態に維持されるため、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合であっても、開閉体36に異常事態が生じているとは判定しない。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより異常事態の発生の有無を判定する。
【0094】
次に、操作スイッチ26を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなる。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなっていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0095】
次に、本実施形態による車両制御システムの動作について
図15を用いて説明する。
図15は、本実施形態による車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0096】
まず、開閉体36の開閉作動、即ち、開作動又は閉作動が開始される(ステップS21)。制御部16は、操作レバー24のスイッチ26がON状態になった場合、又は、操作スイッチ28がON状態になった場合には、モータ30を駆動させることにより、開閉体36の開閉作動を行う。
【0097】
開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、モータ30の回転数が比較的小さいため、モータ30の回転数は第1の閾値として設定された回転数より小さくなる。従って、開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断しない。開閉作動が開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離を
越えた場合、又は、開閉体36の開閉作動を開始してからの時間が所定時間を
越えた場合に、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断し始める(ステップS22)。
【0098】
開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態であった場合には(ステップS23)、制御部16は、第1の条件より緩やかな条件である第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。また、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態でなく(ステップS23)、且つ、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作スイッチ28の状態もON状態でない場合にも(ステップS24)、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。第2の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合であっても、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。
【0099】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になるまでは(ステップS25)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の可否を判定する。
【0100】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になった場合には(ステップS25)、第2の条件より厳しい条件である第1の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する。第1の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくならなければ(ステップS26)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。開閉体16の開閉作動が完了するまで、モータ30の回転数と第1の閾値として設定された回転数との比較が繰り返し行われ(ステップS26)、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくならなければ、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉作動が完了するに至った場合(ステップS27)、即ち、開作動において開閉体36が全開状態に達したとき、又は、閉作動において開閉体36が全閉状態に達したときは、制御部16は、開閉作動を終了させる。
【0101】
モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には(ステップS26)、挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じていると考えられる。このため、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、開閉体36の反転作動を開始する(ステップS28)。反転作動が完了するに至った場合には(ステップS29)、開閉体36の開閉作動が終了となる。
【0102】
このように、モータ30の回転数に基づいて、挟み込み等の有無を判定するようにしてもよい。本実施形態においても、開閉体36の開閉作動における異常事態の誤検出を防止することができ、ひいては、利便性の向上に寄与することができる。また、操作レバー24に連動するスイッチ26が固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0103】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による制御装置、その制御装置を用いた車両制御システム、及び、その制御装置を用いた車両制御方法について
図16乃至
図19を用いて説明する。
図1乃至
図15に示す第1乃至第3実施形態による制御装置等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0104】
本実施形態による車両制御システムは、モータ30の回転数が不安定になることが見込まれる範囲においては、第1の閾値より緩やかな第2の閾値を適用するものである。
【0105】
本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、第2の条件を適用する。第2の条件の下では、第1の閾値より緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判断する。第2の閾値として設定される回転数は、第1の閾値として設定される回転数より小さい。本実施形態では、第1の閾値より緩やかな第2の閾値に基づいて異常事態の発生の有無を判定するため、モータ30の回転数が急激に減少した場合であっても、異常事態とは判断されにくい。このため、開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ30の回転数が不安定になったとしても、本実施形態によれば、異常事態の誤検出を防止することができる。
【0106】
また、本実施形態では、開作動又は閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上である場合には、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合であっても、第2の条件よりも開閉体の開閉作動が継続されにくい条件である第1の条件を適用する。第1の条件の下では、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。
【0107】
挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じた場合には、モータ30の回転数は第1の閾値を
越える、即ち、モータ30の回転数は第1の閾値として設定される回転数より小さくなる。このため、衝突や挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じた場合には、制御部16は、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じたと判定することができる。従って、本実施形態によっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0108】
このように、本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われている場合、及び、操作レバー36に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、開閉体36の開作動又は閉作動が継続されやすい条件である第2の条件で、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断する。第2の条件の下では、比較的緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の有無を判定する。開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ30の回転数が不安定になったとしても、モータ30の回転数は第2の閾値の回転数を下回らない。このため、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。
【0109】
一方、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)以上である場合には、第2の条件よりも開作動又は閉作動が継続されにくい条件である第1の条件で、開閉体36の開作動又は閉作動の可否を判断する。第1の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくならなければ、制御部16は、開閉体36の開作動又は閉作動を継続させる。第1の条件の下では、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定し、開閉体36の開作動又は閉作動の継続を中止させる。開閉体36の開閉作動において異常事態が生じていると判定した場合には、制御部16は、開閉体36の作動を反転させる。
【0110】
図16は、操作レバーに連動するスイッチが正常な場合を示すタイムチャートである。
図16における横軸は、開閉体36の位置を示している。
図16(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図16(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0111】
なお、
図16には、開閉体36を開作動させる際のタイムチャート、即ち、開閉体36が全閉状態から全開状態に達するまでのタイムチャートが例示されているが、開閉体36を閉作動させる際についても同様である。
【0112】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。
図16(a)に示すように、乗員等が操作レバー24を掴んでいる際にはスイッチ26はON状態となり、乗員等が操作レバー24から手を離した後にはスイッチ26はOFF状態となる。一方、操作スイッチ28は操作されていないため、操作スイッチ28はOFF状態である。
図16(a)に示すように、開閉体36の開閉開始直後におけるモータ30の回転数は不安定である。このため、開閉体36の開閉開始直後においては、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回ることも考えられる。しかし、上述したように、本実施形態では、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、比較的緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、異常事態の発生の有無を判断する。このため、開閉体36の開閉作動を開始した直後において、モータ30の回転数が不安定になったとしても、モータ30の回転数は、第2の閾値として設定された回転数より小さくならず、異常事態が生じているとは判定されない。従って、本実施形態によれば、開閉体36を開閉作動させる際における異常事態の誤検出を防止することができる。
【0113】
操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)を
越えた場合には、制御部16は、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより、異常事態の発生の有無を判定する。
図16(a)に示すように、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上の範囲においては、モータ30の回転数は安定する。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回る。モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回った場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回っていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0114】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。
図16(b)に示すように、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合には、乗員等が操作スイッチ28を操作した際には操作スイッチ28はON状態となり、乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24は操作されていないため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。開閉体36の開閉中に物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回る。モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回った場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回っていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0115】
図17は、操作レバーに連動するスイッチがOFFに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図17(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図17(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0116】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26は、
図17(a)に示すように、OFF状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。このような場合、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このように、操作レバー24に連動するスイッチ26がOFFに固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0117】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図17(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図17(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチはOFF状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はOFF状態である。挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動中に生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなる。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、物体等への衝突や物体等の挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなっていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0118】
図18は、操作レバーに連動するスイッチがONに固着故障した場合を示すタイムチャートである。
図18(a)は、操作レバー24を用いて開閉体36を開く場合の例を示している。また、
図18(b)は、操作スイッチ28を操作することにより開閉体36を開く場合を示している。
【0119】
まず、操作レバー24を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障しているため、
図18(a)に示すように、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態となっている。一方、操作スイッチ26は操作されていないため、操作スイッチ26はOFF状態である。開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。このため、操作レバー24に連動するスイッチ26がONに固着故障している場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0120】
次に、操作スイッチ28を用いて開閉体36を開閉作動させる場合について説明する。乗員等が操作スイッチ28を操作した際には、
図18(b)に示すように、操作スイッチ28はON状態となる。乗員等が操作スイッチ28から手を離した後には、
図18(b)に示すように、操作スイッチ28はOFF状態となる。一方、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態に固着故障しているため、操作レバー24に連動するスイッチ26はON状態が維持される。操作レバー24に連動するスイッチ26がON状態に維持されるため、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)未満である場合には、制御部16は、比較的緩やかな第2の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の有無を判定する。一方、開閉操作を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)を
越えた場合には、制御部16は、第2の閾値より厳しい第1の閾値とモータ30の回転数とを比較することにより、開閉体36の開閉作動における異常事態の発生の有無を判定する。開閉体36の開閉中に挟み込み等の異常事態が生じた場合には、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回る。モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、挟み込み等の異常事態が開閉体36に生じていると判断する。一方、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなっていない場合には、制御部16は、かかる異常事態が開閉体36に生じていないと判断する。
【0121】
次に、本実施形態による車両制御システムの動作について
図19を用いて説明する。
図19は、本実施形態による車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
【0122】
まず、開閉体36の開閉作動、即ち、開作動又は閉作動が開始される(ステップS31)。制御部16は、操作レバー24のスイッチ26がON状態になった場合、又は、操作スイッチ28がON状態になった場合には、モータ30を駆動させることにより、開閉体36の開閉作動を行う。
【0123】
開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、モータ30の回転数が比較的小さいため、モータ30の回転数は閾値を下回る。従って、開閉体36の開閉作動が開始された直後においては、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断しない。開閉作動が開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離を
越えた場合、又は、開閉体36の開閉作動を開始してからの時間が所定時間を
越えた場合に、制御部16は、開閉体36の開閉作動の継続の可否を判断し始める(ステップS32)。
【0124】
開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態であった場合には(ステップS33)、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否が判定される。また、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作レバー24のスイッチ26の状態がON状態でなく(ステップS33)、且つ、開閉体36の開閉作動が開始された際における操作スイッチ28の状態もON状態でない場合には(ステップS34)、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否が判定される。第2の条件の下では、比較的緩やかな第2の閾値の回転数をモータ30の回転数が下回らなければ(ステップS35)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。
【0125】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になるまでは(ステップS36)、制御部16は、第2の条件に基づいて開閉体36の開閉作動の継続の可否を判定する(ステップS35)。
【0126】
操作レバー24のスイッチ26がON状態からOFF状態に変化してからの開閉体36の移動距離が第1の距離以上、又は、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上になった場合には(ステップS36)、制御部16は、第1の条件に基づいて開閉体36の開閉操作の継続の可否を判断する。第1の条件の下では、第2の閾値より厳しい第1の閾値の回転数よりモータ30の回転数が小さくなれなければ(ステップS37)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉体36の開閉作動が完了するまで、モータ30の回転数と第1の閾値との比較が繰り返し行われ(ステップS37)、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくならなければ、制御部16は、開閉体36の開閉作動を継続させる。そして、開閉作動が完了するに至った場合(ステップS38)、即ち、開作動において開閉体36が全開状態に達したとき、又は、閉作動において開閉体36が全閉状態に達したときは、制御部16は、開閉作動を終了させる。
【0127】
モータ30の回転数が第1の閾値を
越えた場合、即ち、モータ30の回転数が第1の閾値の回転数を下回った場合には(ステップS37)、挟み込み等の異常事態が開閉体36の開閉作動において生じていると考えられる。このため、モータ30の回転数が第1の閾値を
越えた場合、即ち、モータ30の回転数が第1の閾値として設定された回転数より小さくなった場合には、制御部16は、開閉体36の反転作動を開始する(ステップS39)。反転作動が完了するに至った場合には(ステップS40)、制御部16は、開閉体36の開閉作動を終了させる。
【0128】
このように、本実施形態によれば、操作レバー24に対する操作が行われていることを操作レバー24に連動するスイッチ26からの信号が示している場合、及び、操作レバー24に対する操作が終了してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第1の距離)未満である場合には、比較的緩やかな第2の閾値の回転数をモータ30の回転数が下回らなければ、異常事態と判断しない。このため、本実施形態においても、開閉体36の開閉作動における異常事態の誤検出を防止することができ、ひいては、利便性の向上に寄与することができる。
【0129】
また、開作動又は閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が所定距離(第2の距離)以上になった場合には、モータ30の回転数と第1の閾値とを比較することにより、開閉体36の開閉作動の可否を判断する。このため、操作レバー24に連動するスイッチ26が固着故障した場合であっても、異常事態の誤検出を防止しつつ、異常事態を確実に検出することができる。
【0130】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0131】
例えば、上記実施形態では、開閉作動を開始してからの開閉体36の移動距離が第2の距離以上である場合には、開閉体36の開閉作動の可否を第1の条件により判断したが、これに限定されるものではない。例えば、操作レバー24に連動するスイッチ26の信頼性が十分に高い場合には、かかる論理を適用しなくてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、車両2の側部に配されたスライドドア36bを開閉させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、様々な開閉体36を開閉させる際に適用することができる。