特許第6384716号(P6384716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384716
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】給電装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20180827BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20180827BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/80
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-144988(P2014-144988)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-21832(P2016-21832A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(72)【発明者】
【氏名】古川 慧
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/099069(WO,A1)
【文献】 特開2012−249400(JP,A)
【文献】 特開2012−125112(JP,A)
【文献】 特開2013−046561(JP,A)
【文献】 特開2011−062008(JP,A)
【文献】 特開2014−017925(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/088488(WO,A1)
【文献】 特開2008−245359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信用電波を送信して、前記通信用電波から電磁誘導によって取得される電力によって動作する受電装置のICチップによって前記通信用電波に応答した前記受電装置からの応答情報を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信した前記応答情報を基に、前記通信用電波の伝送効率を検出する検出部と、
前記アンテナで受信した前記応答情報を基に、前記受電装置を認識する認識部と、
前記検出部で検出した前記伝送効率と前記認識部で認識した認識結果を基に、前記アンテナと前記受電装置のアンテナとの間のアンテナ間距離を特定し、特定した前記アンテナ間距離が所定の距離未満である場合に前記受電装置に給電用電波を出力させるように、前記アンテナから送信する給電用電波の出力を制御する出力制御機能を有する給電制御部と
を備える給電装置。
【請求項2】
前記給電制御部は、前記アンテナで受信した前記応答情報に含まれる前記受電装置のバッテリの充電状態を示す情報に基づいて、前記アンテナから送信する給電用電波の出力を制御する、請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記アンテナは、所定の所定時間毎に再度通信用電波を送信する、請求項1又は請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
アンテナから通信用電波を送信する送信工程と、
前記送信工程で送信した前記通信用電波から電磁誘導によって取得される電力によって動作する受電装置のICチップによって前記通信用電波に応答した前記受電装置からの前記通信用電波に応答した応答情報を前記アンテナで受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した前記応答情報を基に、前記通信用電波の伝送効率を検出する検出工程と、
前記受信工程で受信した前記応答情報を基に、前記受電装置を認識する認識工程と、
前記検出工程で検出された前記伝送効率と前記認識工程で認識した認識結果を基に、前記アンテナと前記受電装置のアンテナとの間のアンテナ間距離を特定し、特定した前記アンテナ間距離が所定の距離未満である場合に、前記受電装置に給電用電波を出力させるように、前記アンテナから送信する給電用電波の出力を制御する給電工程と
を含む、給電装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給電装置は、受電側の電子機器の電池の残容量に応じて、無線通信のための認証を行う(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、従来の給電装置は、一次自己共振コイルと二次自己共振コイルと間の距離を推定し、その推定された距離が所定値以下のとき、受電装置への給電を行う(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
また、従来の給電装置は、受電装置と送電ユニットとの間の距離検出を行なうとともに、検出した距離に応じて伝送効率の高い受電用の二次自己共振コイルを選択して給電を行なう(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−007862号公報
【特許文献2】特開2010−252446号公報
【特許文献3】再公表WO2011/001524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の給電装置では、受電装置に応じて送電出力を最適化することができない場合があった。
【0007】
本発明は、受電側装置に応じて送電出力を最適化する非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、給電装置は、通信用電波を送信して、前記通信用電波から電磁誘導によって取得される電力によって動作する受電装置のICチップによって前記通信用電波に応答した前記受電装置からの応答情報を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した前記応答情報を基に、前記通信用電波の伝送効率を検出する検出部と、前記アンテナで受信した前記応答情報を基に、前記受電装置を認識する認識部と、前記検出部で検出した前記伝送効率と前記認識部で認識した認識結果を基に、前記アンテナと前記受電装置のアンテナの間のアンテナ間距離を特定し、特定した前記アンテナ間距離が所定の距離未満である場合に、前記受電装置に給電用電波を出力させるように、前記アンテナから送信する給電用電波の出力を制御する出力制御機能を有する給電制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受電側の装置に応じて送電出力を最適化する非接触給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における給電装置のシステムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態における給電装置の機能を例示するブロック図である。
図3】給電装置と受電装置の第1の配置を例示する図である。
図4】給電装置と受電装置の第2の配置を例示する図である。
図5】アンテナ間距離と伝送効率の関係を例示するグラフである。
図6】アンテナ間距離と給電用電波の出力の関係を例示するグラフである。
図7】本実施形態における給電装置の制御を例示するフローチャートである。
図8】受電装置の認識処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態における給電装置を、図面を参照して説明する。なお、各図において同一箇所については同一の符号を付して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における給電装置のシステムの構成例を示す図である。図1において、給電装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)14、アンテナI/F(Interface)15、アンテナ16、及びネットワークI/F17を備える。
【0013】
CPU11は、給電装置1の動作を制御する。CPU11は、例えばROM12に記憶されたプログラムをRAM13に読みだして、RAM13をワークメモリとして実行する。EEPROM14は、CPU11が使用するデータやCPU11の処理結果を格納する。EEPROM14には、例えば後述する受電装置のデバイスの種類の情報、給電用電波の基準出力などのデータを格納しておくことができる。
【0014】
アンテナI/F15は、アンテナ16を介して受電装置2と送受信する電波の、例えば、増幅処理、検波処理、変調処理、復調処理などを行う。
【0015】
アンテナ16は、受電装置2との無線通信を行う通信用電波の送受信を行う。アンテナ16は、通信用電波を送信して、送信した通信用電波に応答した受電装置2からの応答情報を受信する。通信用電波とは、受電装置2との間で無線通信を行うための電波である。通信用電波は、例えばアンテナ16から送信される受電装置2を参照(ポーリング)するための参照用電波(Reference Wave)である。受電装置2は、参照用電波を受信すると、それに応答して応答情報を送信する。応答情報には、例えば受電装置2のID、受電装置2のデバイスの種類の情報、受電装置2のバッテリの充電状態、受電装置2に登録された利用者情報などを含めることができる。応答情報は、例えば受電装置2に内蔵される図示しないICチップによって送信される。ICチップは、通信用電波から電磁誘導によって取得される電力によって動作してもよい。
【0016】
アンテナ16から出力される通信用電波は、例えば数十cmの通信距離に対応する微弱な出力とすることができる。従って、通信用電波の出力は、例えば公的機関によって定められた放射電磁波の人体に対する防護指針を満足させることができる。なお、通信用電波には、例えば、ISM(Industry-Science-Medical)バンドとして規定された、13.56MHzや27.12MHzの周波数を利用することができる。
【0017】
また、アンテナ16は、受電装置2に送信する給電用電波の送信を行う。給電用電波は、例えば受電装置2のバッテリを充電するための電力を供給するための強度で出力される。したがって、給電用電波は通信用電波に比べて高い出力にて受電装置2に送信される。
【0018】
本実施形態では、通信用電波の送受信で使用するアンテナ16を給電用電波の送信で使用するアンテナとして共用する。通信用電波と給電用電波は、共用するアンテナ16から出力を切り替えて送信される。したがって、受電装置2への給電用に別途アンテナを用意する必要がない。これにより、電波の送受信に必要なアンテナI/Fなどの周辺モジュールを含めて、給電装置1の小型化、低コスト化、設計の容易化、制御の簡単化等を図ることが可能となる。なお、アンテナ16は、例えばループ型アンテナやスパイラルアンテナを用いることができる。
【0019】
給電装置1と受電装置2との無線電波の送電効率は、アンテナ16と受電装置2のアンテナとの共振特性やアンテナ同士の結合係数によって影響する。共振特性は、アンテナ同士のインピーダンス特性によって影響する。したがって、アンテナ16は、受電装置2のアンテナとの共振特性を考慮して、インダクタンス及びキャパシタンスのインピーダンスを整合する。アンテナ16の巻線には、例えば、直径数mmのエナメル銅線を用いることができる。巻線の直径によってインピーダンスを変えることができる。
【0020】
ネットワークI/F17は、ネットワーク3を介して接続された受電装置2を承認する認証装置4とのネットワーク通信を制御する。ネットワークI/F17には、例えばNIC(Network Interface Card)を用いることができる。認証装置4による認証処理の例は後述する。
【0021】
次に、図2を用いて、給電装置1の制御機能を説明する。図2は、本実施形態における給電装置1の機能を例示するブロック図である。
【0022】
図2において、制御機能10は、検出部101、認識部102、給電制御部103、アンテナ制御部104、及びネットワーク制御部105の各機能を含む。図2で例示する各機能は、それぞれの機能ブロックで説明する機能を備える限り、例えば複数の機能ブロックを一つの機能ブロックにまとめて実施してもよい。また、一つの機能ブロックを複数の機能ブロックに分けて実施してもよい。
【0023】
制御機能10の各機能は、本実施形態では、CPU10によって実行されるプログラムのよって実現する場合を例示している。ただし、制御機能10の各機能の実現方法は本実施形態に限定されるものではない。例えば、制御機能10の全ての機能又は一部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのLSIによって実装されるファームウエアで実現してもよい。また、制御機能10の全ての機能又は一部の機能をハードウエアによって実現してもよい。
【0024】
検出部101は、アンテナ16で受信した応答情報を基に、通信用電波の伝送効率を検出する。伝送効率ηは、アンテナ16から出力する送信電力をPs、アンテナ21(図3参照)から入力される受信電力をPdとすると、次式で求めることができる。
η=Pd/Ps (式1)
【0025】
検出部101は、式1により、伝送効率を求めることができる。なお、本実施形態においては、受電装置2は無線電波を受信したときに誘導電力により応答情報を送信するので、所定の損失が発生するが、式1では、損失を考慮しない場合を例示している。
【0026】
認識部102は、アンテナ16で受信した受電装置2からの応答情報を基に、受電装置2を認識する。応答情報には、前述のとおり、受電装置2のID、受電装置2のデバイスの種類の情報、受電装置2のバッテリの充電状態、受電装置2に登録された利用者情報などを含めることができる。認識部102は、図1で説明したEEPROM14に記憶されたデータと、受信した応答情報に含まれる情報とを照合して受電装置2を認識してもよい。例えば、受電装置2のIDを基に、そのIDの受電装置が給電対象であるか否かを認識する。また、受電装置2のバッテリの充電状態により、給電すべき受電装置を認識する。
【0027】
また、認識部102は、受電装置2を認識するために、外部の認証装置を利用してもよい。認識部102は、例えば、図1で説明した、ネットワーク3を介して接続された認証装置4に対して受電装置2のIDや受電装置2に登録された利用者情報などの情報を送信する。認証装置4は、送信された情報によって認証処理を行い、認証結果を給電装置1に送信する。認識部102は、受信した認証結果を基に、受電装置2を認識する。認証装置4は、送信された利用者情報などにより課金処理を行い、課金処理に基づき認証結果を送信してもよい。認証結果には、受電装置2に対する給電を許可する処理結果、給電時間、または給電回数等を含めてもよい。
【0028】
給電制御部103は、検出部101で検出した伝送効率と認識部102で認識した認識結果を基に、アンテナ16から送信する給電用電波の出力を制御する出力制御機能を有する。また、給電制御部は、アンテナ16から送信する電波を通信用電波と給電用電波とで切り替える切替機能を有する。給電制御部103の出力制御機能は、認識部102が認識した受電装置2のデバイスの種類の情報に応じて給電用電波の基準出力を選択してもよい。例えば、受電装置2がスマートフォンであった場合は基準出力を5wとして、受電装置2がタブレットPCであった場合は基準出力を10wとすることができる。給電制御部103は、上述のように認証結果に応じて給電用電波による給電時間や給電回数を制御してもよい。
【0029】
また、給電制御部103は、検出部101で検出した伝送効率を基に、給電用電波の基準出力を調整する出力制御を行うことができる。ここで、図3図6を用いて、検出部101によって検出される通信用電波の伝送効率と給電用電波の出力について説明する。図3は、給電装置1と受電装置2の第1の配置を例示する図である。図4は、給電装置1と受電装置2の第2の配置を例示する図である。
【0030】
図3において、給電装置1は、アンテナ16を図示上面に備えている。また、受電装置2は、アンテナ21を図示下面に備えている。図3は、アンテナ16とアンテナ21とが距離Aにて離隔して保持されている場合を例示している。給電装置1と受電装置2の間の無線電波の伝送効率は、アンテナ15とアンテナ21の距離が小さくなるとアンテナ同士の結合係数が大きくなるため、距離Aが小さくなると高くなる。一方、距離Aが大きくなると、結合係数が小さくなり、伝送効率は低くなる。なお、給電装置1のアンテナの向きは、例えばテーブルのような水平面に設置してもよいし、壁のような垂直面に設置してもよい。
【0031】
一方、図4は、給電装置1と受電装置2とが接触し、アンテナ16とアンテナ21の中心が距離B離れて保持されている場合を例示している。図4で例示するように、アンテナの中心位置がずれている場合も、アンテナ同士の結合係数が小さくなるため、伝送効率が低下する。
【0032】
給電装置1に対して受電装置2は様々な位置関係で保持される場合があり、図3及び図4で例示したように、アンテナ同士の位置関係によって伝送効率は変化する。したがって、給電装置1からの給電用電波の出力を一定にした場合には、受電装置2に対して十分な電力が供給されない場合がある。図5は、図3で例示した、アンテナ間距離と伝送効率の関係を例示するグラフである。図6は、給電制御部103によって制御される、アンテナ間距離と給電用電波の出力の関係を例示するグラフである。
【0033】
図5において、x軸は、図3で説明したアンテナ間距離Aを示す。また、y軸は、アンテナ間距離Aの変化に対する伝送効率である。伝送効率は、アンテナ間距離にほぼ反比例して、アンテナ間距離に応じて一意に決定される。図5で例示した伝送効率と距離の関係は、予め参照データとして、例えば図1で説明したEEPROM14に記録しておき、検出部101によって、検出した伝送効率からアンテナ間距離を特定することができる。図5では、アンテナ間距離が0〜30cmの場合の伝送効率を例示している。
【0034】
図6において、給電制御部103は、特定されたアンテナ間距離を基に、アンテナ16から出力する給電用電波の出力を求める。図6における、給電用電波出力の100%は、基準出力を示している。例えば、アンテナ間距離が0cm、つまり図3で説明した距離Aが0cmの場合、給電制御部103は、基準出力に対して約40%の出力で給電用電波を出力するように制御する。なお、本実施形態では、アンテナ間距離が0cmのときに基準出力の40%において受電装置2に対する定格の給電入力がされるものとする。
【0035】
アンテナ間距離が大きくなるにつれて、送電効率が小さくなるため、給電制御部103は、アンテナ間距離が所定の値になるまで給電用電波の出力を増加させる。図6は、給電制御部103が、アンテナ間距離が15cmになるまで出力を増加させていき、アンテナ間距離が15cm以上で出力を100%に制御する場合を例示している。本実施形態では、放射電磁波の人体に対する防護指針を考慮して、最大出力である基準出力を設定している。したがって、給電制御部103は、安全な範囲内で給電用電波の出力を制御することができる。また、給電制御部103は、アンテナ間距離が20cm以上と判断した場合は、給電用電波の出力を停止する。これにより、伝送効率の低下によるエネルギーの無駄を防止することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、検出部101は、検出した伝送効率からアンテナ間距離を特定し、給電制御部103は、特定されたアンテナ間距離から給電用電波の出力を制御する場合を説明した。しかし、給電制御部103は、アンテナ間距離を求めずに、検出した伝送効率を基に給電用電波の出力を制御してもよい。例えば、図3及び図4で説明した通り、伝送効率は受電装置2の配置状況によって影響を受けるため、直線的なアンテナ間距離を特定できない場合があるからである。伝送効率をそのまま使用することにより、受電装置2の配置状況にかかわらず給電用電波の出力を制御することが可能となる。
【0037】
再び図2に戻り、アンテナ制御部104は、アンテナI/F15を制御する。また、ネットワーク制御部105は、ネットワークI/F17を制御する。アンテナ制御部104及びネットワーク制御部105は、アンテナI/F15及びネットワークI/F17に比べて、例えば階層化された通信方式における上位のレイヤの制御を行うようにしてもよい。例えば、通信方式における通信情報の暗号化処理、または復号化処理を行うようにしてもよい。また、CPU11が実行するプログラムに対して、アンテナI/F15及びネットワークI/F17を制御するプログラミングI/Fを提供してもよい。
【0038】
次に、図7及び図8を用いて、給電装置1の制御機能10による制御動作を説明する。図7は、本実施形態における給電装置1の制御を例示するフローチャートである。図8は、受電装置2の認識処理を例示するフローチャートである。
【0039】
図7において、図2で説明した検出部101は、通信用電波を送信する(S1)。通信用電波の送信出力は給電制御部103によって制御される。次に、検出部101は、通信用電波に応答した受電装置2からの応答情報を受信して受電装置2を検出したかどうかを判断する(S2)。応答を検出しない場合(S2:NO)、検出がされるまで待ち状態となる。
【0040】
応答を検出した場合(S2:YES)、認識部102は、応答情報をデコードして(S3)、受電装置を認識する(S4)。ここで、ステップS4の受電装置の認識処理について、図8を用いて説明する。
【0041】
図8において、認識部102は、受信した応答情報を基にした認証装置4による認証処理が必要であるか否かを判断する(S41)。認証装置4による認証処理として、例えば、受信した受電装置2のIDにより、社内で保有する受電装置か、社外の受電装置かを認証装置4にて判断してもよい。また、給電装置1の利用が有料である場合に、認証装置4による課金処理を実施してもよい。
【0042】
認証装置4による認証処理が必要と判断した場合(S41:YES)、認識部102は、認証装置4に対して受電装置2から受信した応答情報の全部又は一部を送信する(S42)。認識部102は、認証結果を受信するまで待機して(S43:NO)、認証結果を受信した場合(S43:YES)、受信した認証結果を基に受電装置2を認識する(S44)。
【0043】
一方、認証装置4による認証処理が必要でないと判断した場合(S41:NO)、ステップS42〜S43の処理はスキップされる。認識部102は、例えばEEPROM14等給電装置1の内部に記憶されたデータを基に受電装置2を認識する。以上でステップS4の処理を終了する。
【0044】
再び図7に戻り、検出部101は、受信した応答情報を基に通信用電波の伝送効率を検出する(S5)。
【0045】
給電制御部103は、切替機能によって、アンテナ16から送信する電波を通信用電波から給電用電波に切り替える。給電制御部103は、出力制御機能によって、検出部101で検出した伝送効率と認識部102で認識した認識結果を基に、アンテナ16から送信する給電用電波の出力を制御する(S6)。以上で給電装置1の制御機能10による動作を終了する。図7で説明した動作は、各ステップの工程として給電装置1の制御方法を例示している。
【0046】
なお、本実施形態では、通信用電波に応答した受電装置からの応答情報を一度受信して、給電用電波の出力を求める場合の制御を説明したが、例えば、所定時間毎に再度通信用電波を送信して、再度伝送効率を検出して給電用電波の出力を変更するようにしてもよい。本実施形態では、通信用電波の送受信と給電用電波の送信を、アンテナ16を共用して行う。しかし、所定の時間毎にアンテナ16から出力する電波を通信用と給電用で切り替えることにより、例えば、受電装置2が給電中で移動した場合であっても受電装置2に対して効率の良い給電が可能となる。
【0047】
上述した通り、実施形態における制御機能10はコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0048】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 給電装置、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 EEPROM、15 アンテナI/F、16 アンテナ、17 ネットワークI/F、10 制御機能、101 検出部、102 認識部、103 給電制御部、104 アンテナ制御部、105 ネットワーク制御部、2 受電装置、21 アンテナ、3 ネットワーク、4 認証装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8