(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明に係るフィン・アンド・チューブ型熱交換器の第1実施形態を示す概略斜視図である。
【
図2】この発明の第1実施形態における板状フィンと冷媒管の接合状態を示す要部正面図である。
【
図4】第1実施形態における板状フィンと冷媒管を示す分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態における板状フィンと冷媒管の直接接触部分と接着剤接合部分を示す要部拡大断面図である。
【
図6A】第1実施形態における冷媒管の第1変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図6B】第1実施形態における冷媒管の第2変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図6C】第1実施形態における冷媒管の第3変形例の接合状態を示す要部正面図(a)及び第3変形例の冷媒管の断面図(b)である。
【
図6D】第1実施形態における冷媒管の第4変形例の接合状態を示す要部正面図(a)及び第4変形例の冷媒管の断面図(b)である。
【
図6E】第1実施形態における冷媒管の第5変形例の接合状態を示す要部正面図(a)及び第5変形例の冷媒管の断面図(b)である。
【
図7】この発明に係るフィン・アンド・チューブ型熱交換器の第2実施形態を示す概略斜視図である。
【
図8】この発明の第7実施形態における板状フィンと冷媒管の接合状態を示す要部正面図(a)及び(a)のII−II線に沿う断面図(b)である。
【
図9】第2実施形態における板状フィンと冷媒管を示す分解斜視図である。
【
図10A】第2実施形態における冷媒管の第1変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図10B】第2実施形態における冷媒管の第2変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図10C】第2実施形態における冷媒管の第3変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図10D】第2実施形態における冷媒管の第4変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図10E】第2実施形態における冷媒管の第5変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図11】この発明に係るフィン・アンド・チューブ型熱交換器の第3実施形態を示す概略斜視図である。
【
図12】この発明の第13実施形態における板状フィンと冷媒管の接合状態を示す要部正面図である。
【
図15】第3実施形態における板状フィンと冷媒管を示す分解斜視図である。
【
図16A】第3実施形態における冷媒管の第1変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図16B】第3実施形態における冷媒管の第2変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図16C】第3実施形態における冷媒管の第3変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図16D】第3実施形態における冷媒管の第4変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図16E】第3実施形態における冷媒管の第5変形例の接合状態を示す要部正面図である。
【
図17】第3実施形態における冷媒管を板状フィンに設けられた挿通孔に挿通する状態を示す横断面図(a)及び正面図(b)である。
【
図18】第3実施形態における冷媒管を板状フィンに設けられた挿通孔の後縁側開口部に押圧する状態を示す横断面図(a)及び正面図(b)である。
【
図19】フィン・アンド・チューブ型熱交換器を性能評価に使用する状態を示す概略側面図である。
【
図20】接着剤に熱伝導性フィラーを含有させた場合の板状フィンと冷媒管の直接接触率(金属接触率)と放熱性能比との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
<第1実施形態>
この発明に係るフィン・アンド・チューブ型熱交換器1(以下に熱交換器1という)は、
図1ないし
図3に示すように、それぞれアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製部材からなる、互いに平行に配列された複数の板状フィン2(以下にフィン2という)と、各フィン2に設けられた挿通孔21に挿通されるアルミニウム製の円形状の冷媒管3とを、冷媒管3の表面の一部に塗布された接着性樹脂からなる接着剤4を介して接合してなる。
【0027】
この場合、
図4に示すように、冷媒管3の表面の略半周に接着剤4が塗布された状態で、フィン2に設けられた挿通孔21内に挿通されることにより、冷媒管3とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3とフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7を具備した状態でフィン2と冷媒管3が接合される(
図5参照)。
【0028】
上記冷媒管3とフィン2が直接接触する部分6は、冷媒管3の外周面積の5%〜75%の範囲とするのが好ましい。その理由は、冷媒管3とフィン2が直接接触する部分6が冷媒管3の外周面積の5%未満であると、伝熱性能の向上に寄与できず、また、冷媒管3の外周面積の75%を超えると、接着剤4の占める面積が少なくなり、接着強度が不十分となるからである。
【0029】
また、フィン2には、鉛直方向に沿う2列に適宜等間隔の位置に設けられる円形状の挿通孔21が互いに千鳥状に設けられている。なお、各挿通孔21には同一方向に円筒状のカラー部22が設けられている。この場合、挿通孔21及びカラー部22の内径は冷媒管3の外径より僅かに大きく形成されている。
【0030】
このように形成されるフィン2は、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされたプレコートフィンが好ましい。なお、伝熱を促進させるためにフィン2の板状基部2aにスリットあるいはルーバー(図示せず)を設けてもよい。
【0031】
一方、冷媒管3は、断面円形の流路30を有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0032】
なお、複数のフィン2の挿通孔21を挿通した冷媒管3の突出側端部同士はエルボ状の接続管5によって接続されている。
【0033】
<第1実施形態の変形例>
上記第1実施形態では、冷媒管3が円形チューブにて形成される場合について説明したが、冷媒管3の形状はこれに限定されるものではなく、別の形状にしてもよい。
【0034】
例えば、
図6Aに示すように、円筒状の管基部32の内周面に、熱伝導用の凹凸条34を設けた冷媒管3Aとしてもよい(第1変形例)。このように構成することにより、冷媒管3Aは、該冷媒管3A内に冷媒と接触する複数の熱伝導部を有するので、管内熱伝達率を高めることができ、同径の丸管に比べて熱伝導が向上する。
【0035】
また、
図6Bに示すように、円筒状の管基部32の内方に、該管基部32の長手方向と直交する断面を区画する熱伝導用の仕切り壁35を設けた複数の区画された冷媒流路30を有する冷媒管3Bとしてもよい(第2変形例)。このように構成することにより、冷媒管3Bは、該冷媒管3B内に冷媒と接触する複数の仕切り壁35(熱伝導部)を有するので、管内熱伝達率を高めることができ、同径の丸管に比べて熱伝導が向上する。
【0036】
また、
図6Cに示すように、円筒状の管基部32の外周の表面に、ジグザグ状に該冷媒管3Cの長手方向に沿う複数の接着剤塗布用の溝31を設けた冷媒管3Cとしてもよい(第3変形例)。また、
図6Dに示すように、内外周面がジグザグ状の管基部33の外周の表面に、該冷媒管3Dの長手方向に沿う複数の接着剤塗布用の溝31を設けると共に、内周全面に凹凸条34を設けた冷媒管3Dとしてもよい(第4変形例)。更には、
図6Eに示すように、円筒状の管基部32の外周の表面に、管基部32の長手方向に沿うジグザグ状の複数の接着剤塗布用の溝31を設けると共に、管基部32の内方に、該管基部32の長手方向と直交する断面を区画する熱伝導用の仕切り壁35を設けた複数の区画された冷媒流路30を有する冷媒管3Eとしてもよい(第5変形例)。
第2〜第5変形例において、溝31の形状が三角形であるが、三角形以外の形状、例えば逆台形状にしてもよい。
【0037】
上記のように構成される冷媒管3A〜3Eは、アルミニウム製押出形材にて形成される。なお、第1〜第5変形例において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0038】
第3〜第5変形例においても、隣接する溝31間に位置するフィン2との接触部分は、冷媒管3C〜3Eの外周面積の5%〜75%の範囲とする方が好ましい。
【0039】
第3〜第5変形例によれば、冷媒管3C〜3Eの外周面に冷媒管3C〜3Eの長手方向に沿う複数の溝31が設けられているので、溝31内に充填された接着剤4によってフィン2と冷媒管3C〜3Eとが接着し、冷媒管3C〜3Eの溝31以外の表面がフィン2の挿通孔21及びカラー部21の内周面に直接接触する。
【0040】
また、第4,第5変形例によれば、冷媒管3D,3Eの内周面に凹凸条34あるいは仕切り壁35が設けられているので、流路30内を流れる冷媒との接触面積を増やすことができ、伝熱性能の向上が図れる。
【0041】
<第2実施形態>
この発明に係る第2実施形態の熱交換器1Aは、
図7ないし
図9に示すように、それぞれアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製部材からなる、互いに平行に配列された複数のフィン2と、各フィン2に設けられた扁平楕円形状の挿通孔21Aに挿通されるアルミニウム製の扁平多孔状の冷媒管3Fとを、冷媒管3Fの表面の一部に塗布された接着性樹脂からなる接着剤4を介して接合してなる。
【0042】
この場合、冷媒管3Fは、幅方向の両端が半円弧状で表裏面が平坦状の略扁平楕円形状に形成され、区画壁36によって複数の流路30が形成されている。
【0043】
また、フィン2には、鉛直方向に沿う互いに平行な複数の扁平楕円形状の挿通孔21Aが設けられている。なお、各挿通孔21Aには同一方向に扁平楕円形状のカラー部22Aが設けられている。この場合、挿通孔21A及びカラー部22Aの内径は冷媒管3Fの外径より僅かに大きく形成され、挿通孔21A及びカラー部22A内に冷媒管3Fが挿通された際に幅方向に隙間23が形成される。
【0044】
第2実施形態におけるフィン2も、第1実施形態と同様に、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされたプレコートフィンが好ましい。なお、伝熱を促進させるためにフィン2の板状基部2aにスリットあるいはルーバー(図示せず)を設けてもよい。
【0045】
また、
図8(a)に示すように、冷媒管3Fの表面の一方の平坦状部を含む略半周に接着剤4が塗布された状態で、フィン2に設けられた挿通孔21A及びカラー部22A内に挿通されることにより、冷媒管3Fの他方の平坦状部とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Fとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3Fが接合される(
図8参照)。この場合、冷媒管3Fとフィン2が直接接触する部分6は、冷媒管3Fの外周面積の5%〜75%の範囲とするのが好ましい。
【0046】
なお、複数のフィン2の挿通孔21A及びカラー部22Aを挿通した冷媒管3Fの突出側端部同士は断面扁平多孔状のエルボ状接続管5Aによって接続されている。
【0047】
<第2実施形態の変形例>
上記第2実施形態では、冷媒管3Fが扁平多孔状にて形成される場合について説明したが、冷媒管3Fの形状はこれに限定されるものではなく、別の形状にしてもよい。
【0048】
例えば、
図10Aに示すように、流路30の内周面に、熱伝導用の凹凸条34Aを設けた扁平多孔状の冷媒管3Gとしてもよい(第1変形例)。このように構成することにより、冷媒管3Gは、該冷媒管3G内に冷媒と接触する複数の熱伝導部を有するので、管内熱伝達率を高めることができ、冷媒管3Fに比べて熱伝導が向上する。
【0049】
また、
図10B又は
図10Cに示すように、表裏の平坦状部の一方又は双方の外周の表面に、長手方向に沿う互いに平行な複数の接着剤塗布用の溝31Aを設けた冷媒管3H又は3Iとしてもよい(第2,3変形例)。また、
図10D又は
図10Eに示すように、表裏の平坦状部の一方又は双方の外周の表面に、長手方向に沿う互いに平行な複数の接着剤塗布用の溝31Aを設けると共に、流路30の内周面に、熱伝導用の凹凸条34Aを設けた扁平多孔状の冷媒管3J,3Kとしてもよい(第4,5変形例)。
【0050】
上記のように構成される冷媒管3F〜3Kは、アルミニウム製押出形材にて形成される。なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0051】
第2〜第5変形例においても、隣接する溝31A間に位置するフィン2との接触部分は、冷媒管3G〜3Kの外周面積の5%〜75%の範囲とする方が好ましい。
【0052】
第2〜第5変形例によれば、冷媒管3G〜3Kの外周面に冷媒管3G〜3Kの長手方向に沿う複数の溝31Aが設けられているので、溝31A内に充填された接着剤4によってフィン2と冷媒管3G〜3Kとが接着し、冷媒管3G〜3Kの溝31A以外の表面がフィン2の挿通孔21A及びカラー部21Aの内周面に直接接触する。
【0053】
また、第1,4,5変形例によれば、冷媒管3F,3J,3Kの内周面に凹凸条34Aが設けられているので、流路30A内を流れる冷媒との接触面積を増やすことができ、伝熱性能の向上が図れる。
【0054】
<第3実施形態>
この発明に係る第3実施形態の熱交換器1Bは、
図11ないし
図15に示すように、それぞれアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製部材からなる、互いに平行に配列された複数のフィン2と、各フィン2に設けられた挿通孔21Bに挿通されるアルミニウム製のテーパ付き扁平多孔状の冷媒管3Lとを、冷媒管3Lの表面の一部に塗布された接着性樹脂からなる接着剤4を介して接合してなる。
【0055】
この場合、冷媒管3Lは、アルミニウム製押出形材にて形成されており、風上側に位置する幅方向の前縁部37から風下側に位置する幅方向の後縁部38に向かって狭小テーパ状に形成されている。この場合、前縁部37は大径の半円弧状に形成され、後縁部38は小径の半円弧状に形成されており、前縁部37と後縁部38の間にテーパ部39が形成されている。
【0056】
また、冷媒管3Lは、該冷媒管3Lの長手方向と直交する断面が区画壁36によって区画された矩形状の複数の同一断面積の流路30を有している。
【0057】
一方、フィン2には、鉛直方向に適宜間隔をおいて挿通孔21Bが設けられている。この場合、挿通孔21Bは、冷媒管3Lの前縁部37との間に隙間23を有する前縁側開口部24と、冷媒管3Lの後縁部38に接触する後縁側開口部25と、前縁側開口部24と後縁側開口部25を結ぶテーパ部26とからなる。
【0058】
なお、前縁側開口部24は、冷媒管3の半円弧状前縁部37の半径より大きい半径を有する半円弧状に形成され、後縁側開口部は、冷媒管3の半円弧状後縁部38の半径より僅かに大きい半径を有する半円弧状に形成されている。また、各挿通孔21Bには同一方向に挿通孔21Bと相似形状のカラー部22Bが設けられている。
【0059】
このように構成することにより、挿通孔21Bに冷媒管3を挿通するときは、冷媒管3Lの前縁部37を挿通孔21Bの前縁側開口部24及びカラー部22Bの内面に摺接させるようにして挿通することができる。また、挿通孔21Bに冷媒管3Lを挿通した後、冷媒管3Lの後縁部38を挿通孔21Bの後縁側開口部25に向かって押圧して、後縁部38を後縁側開口部25に接触させることができる。なお、冷媒管3の後縁部38を後縁側開口部25側に押圧する動作は、挿通孔21Bに冷媒管3を挿通すると同時に行ってもよい。
【0060】
このように形成されるフィン2は、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされたプレコートフィンが用いられている。
【0061】
また、
図12及び
図14に示すように、冷媒管3Lの表面の一方のテーパ部26を含む略半周に接着剤4が塗布された状態で、フィン2に設けられた挿通孔21B及びカラー部22B内に挿通されることにより、冷媒管3Lの他方のテーパ部26とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Lとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3Lが接合される。この場合、冷媒管3Lとフィン2が直接接触する部分6は、冷媒管3Lの外周面積の5%〜75%の範囲とするのが好ましい。
【0062】
なお、複数のフィン2の挿通孔21B及びカラー部22Bを挿通した冷媒管3Lの突出側端部同士は断面がテーパ付き扁平多孔状のエルボ状接続管5Bによって接続されている。
【0063】
<第3実施形態の変形例>
上記第3実施形態では、冷媒管3Lがテーパ付き扁平多孔状にて形成される場合について説明したが、冷媒管3Lの形状はこれに限定されるものではなく、別の形状にしてもよい。
【0064】
例えば、
図16Aに示すように、流路30の内周面に、熱伝導用の凹凸条34Aを設けたテーパ付き扁平多孔状の冷媒管3Mとしてもよい(第1変形例)。このように構成することにより、冷媒管3Mは、該冷媒管3M内に冷媒と接触する複数の熱伝導部を有するので、管内熱伝達率を高めることができ、冷媒管3Lに比べて熱伝導が向上する。
【0065】
また、
図16B又は
図16Cに示すように、表裏のテーパ部26の一方又は双方の外周の表面に、長手方向に沿う互いに平行な複数の接着剤塗布用の溝31Aを設けたテーパ付き扁平多孔状の冷媒管3N又は3Pとしてもよい(第2,3変形例)。また、
図16D又は
図16Eに示すように、表裏のテーパ部26の一方又は双方の外周の表面に、長手方向に沿う互いに平行な複数の接着剤塗布用の溝31Aを設けると共に、流路30の内周面に、熱伝導用の凹凸条34Aを設けたテーパ付き扁平多孔状の冷媒管3Q,3Rとしてもよい(第4,5変形例)。
【0066】
上記のように構成される冷媒管3L〜3N,3P〜3Rは、アルミニウム製押出形材にて形成される。なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0067】
第2〜第5変形例においても、隣接する溝31A間に位置するフィン2との接触部分は、冷媒管3N,3P〜3Rの外周面積の5%〜75%の範囲とする方が好ましい。
【0068】
第2〜第5変形例によれば、冷媒管3N,3P〜3Rの外周面に冷媒管3N,3P〜3Rの長手方向に沿う複数の溝31Aが設けられているので、溝31A内に充填された接着剤4によってフィン2と冷媒管3N,3P〜3Rとが接着し、冷媒管3N,3P〜3Rの溝31A以外の表面がフィン2の挿通孔21B及びカラー部21Bの内周面に直接接触する。
【0069】
また、第1,4,5変形例によれば、冷媒管3M,3Q,3Rの内周面に凹凸条34Aが設けられているので、流路30A内を流れる冷媒との接触面積を増やすことができ、伝熱性能の向上が図れる。
【0070】
<第4実施形態>
第4実施形態は、冷媒管3,3A〜3N,3P〜3Rとフィン2の接合部分7に伝熱性能の向上を図れるようにした場合である。すなわち、接着剤4中に熱伝導性フィラーを混入して、冷媒管3とフィン2の接合部分7に伝熱性能をもたせるようにした場合である。
【0071】
この場合、熱伝導性フィラーには、例えばシリカ,アルミナ,アルミニウム,窒化アルミ,窒化ホウ素,ダイアモンド等の粉末を使用することができる。
【0072】
接着剤4中の熱伝導性フィラーの含有量は、接着剤4と熱伝導性フィラー量の合計値を100%としたときの熱伝導性フィラー量が5%〜60%含有しているのが好ましい。その理由は、熱伝導性フィラーが5%未満であると、伝熱性能の向上に寄与できず、また、伝導性フィラーが60%を超えると、接着強度が不十分となるからである。
【0073】
このように構成することにより、冷媒管と板状フィンとを接着剤を介して接合する部分の伝熱性能を高めることができる。
【0074】
次に、この発明に係る熱交換器1,1A,1Bの製造方法について説明する。ここでは、第1実施形態の冷媒管3,第2実施形態の冷媒管3F,第3実施形態の冷媒管3Lを代表して説明する。
【0075】
<製造方法1>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21とカラー部22を有する複数のフィン2を用意する。
【0076】
一方、押出成形された冷媒管3の表面の略半周部分に熱可塑性樹脂を主成分とするエポキシ系の接着剤4を、公知のスプレー式あるいはローラー式等を用いて塗布する。接着剤4を塗布した後、冷媒管3を、例えば、50℃以上で5分以上加熱して乾燥する(塗布・乾燥工程)。このように接着剤4を塗布した後、乾燥した冷媒管3を準備する。
【0077】
次に、複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21及びカラー部22が合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。そして、各フィン2に設けられた挿通孔21及びカラー部22に冷媒管3を挿通して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3とフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7を具備した状態でフィン2と冷媒管3が組み付けられる(
図5参照)。
【0078】
次に、フィン2と冷媒管3の組付け体を、接着剤4が溶融する温度、例えば、100℃以上で5分以上加熱して、フィン2の挿通孔内面と冷媒管表面の接合部分7に接着剤4を充填させる(接着剤充填工程)。
【0079】
次いで、組付け体を冷却して、接着剤4を固化させることにより、フィン2と冷媒管3を接合(接合工程)して、熱交換器1を作製する。
【0080】
この製造方法によれば、拡管が不要のため、拡管のための装置や設備が必要でない上、少ない工程で熱交換器1を容易に作製することができる。
【0081】
<製造方法2>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21とカラー部22を有する複数のフィン2を用意する。
【0082】
複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21及びカラー部22が合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。
【0083】
一方、押出成形された冷媒管3の表面の略半周部分にエポキシ系の2液反応型接着剤4を、公知のスプレー式を用いて塗布する(塗布工程)。
【0084】
そして、2液反応型の接着剤が固化する前に、各フィン2に設けられた挿通孔21及びカラー部22に冷媒管3を挿通して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3とフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7を具備した状態でフィン2と冷媒管3が組み付けられる(
図5参照)。
【0085】
その後、2液反応型の接着剤4の固化により、フィン2と冷媒管3を接合(接合工程)して、熱交換器1を作製する。
【0086】
この製造方法2によれば、接着剤を溶融、冷却する必要がないので、製造方法1の効果に加えて、更に少ない工程で熱交換器1を容易に作製することができる。
【0087】
<製造方法3>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21Aとカラー部22Aを有する複数のフィン2を用意する。
【0088】
一方、押出成形された扁平多孔状の冷媒管3Fの表面の一方の平坦状部を含む略半周に熱可塑性樹脂を主成分とするエポキシ系の接着剤4を、公知のスプレー式あるいはローラー式等を用いて塗布する。接着剤4を塗布した後、冷媒管3Fを、例えば、50℃以上で5分以上加熱して乾燥する(塗布・乾燥工程)。このように接着剤4を塗布した後、乾燥した冷媒管3Fを準備する。
【0089】
次に、複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21A及びカラー部22Aが合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。そして、各フィン2に設けられた挿通孔21A及びカラー部22Aに冷媒管3Fを挿通して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3Fとフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Fとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3Fが組み付けられる(
図8(a)参照)。
【0090】
次に、フィン2と冷媒管3Fの組付け体を、接着剤4が溶融する温度、例えば、100℃以上で5分以上加熱して、フィン2の挿通孔内面と冷媒管表面の接合部分7に接着剤4を充填させる(接着剤充填工程)。
【0091】
次いで、組付け体を冷却して、接着剤4を固化させることにより、フィン2と冷媒管3Fを接合(接合工程)して、熱交換器1Aを作製する。
【0092】
この製造方法によれば、拡管が不要のため、拡管のための装置や設備が必要でない上、少ない工程で熱交換器1Aを容易に作製することができる。
【0093】
<製造方法4>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21Aとカラー部22Aを有する複数のフィン2を用意する。
【0094】
複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21A及びカラー部22Aが合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。
【0095】
一方、押出成形された冷媒管3Fの表面の一方の平坦状部を含む略半周部分にエポキシ系の2液反応型接着剤4を、公知のスプレー式を用いて塗布する(塗布工程)。
【0096】
そして、2液反応型の接着剤が固化する前に、各フィン2に設けられた挿通孔21A及びカラー部22Aに冷媒管3Fを挿通して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3Fとフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Fとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3が組み付けられる(
図8(a)参照)。
【0097】
その後、2液反応型の接着剤4の固化により、フィン2と冷媒管3Fを接合(接合工程)して、熱交換器1Aを作製する。
【0098】
この製造方法4によれば、接着剤を溶融、冷却する必要がないので、製造方法3の効果に加えて、更に少ない工程で熱交換器1を容易に作製することができる。
【0099】
<製造方法5>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21Bとカラー部22Bを有する複数のフィン2を用意する。
【0100】
一方、押出成形されたテーパ付き扁平多孔状の冷媒管3Lの表面の一方のテーパ部26を含む略半周に熱可塑性樹脂を主成分とするエポキシ系の接着剤4を、公知のスプレー式あるいはローラー式等を用いて塗布する。接着剤4を塗布した後、冷媒管3Lを乾燥する(塗布・乾燥工程)。このように接着剤4を塗布した後、乾燥した冷媒管3Lを準備する。
【0101】
次に、複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21B及びカラー部22Bが合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。そして、
図17に示すように、各フィン2に設けられた挿通孔21B及びカラー部22Bの前縁側開口部24に接するように冷媒管3Lを挿通した後、又は挿通と同時に、
図18に示すように、冷媒管3Lの後縁部38を挿通孔21Bの後縁側開口部25に接するように押圧して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3Lの他方のテーパ部26とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Lとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3Lが接合される(
図12及び
図14参照)。
【0102】
次に、フィン2と冷媒管3Lの組付け体を、接着剤4が溶融する温度に加熱して、フィン2の挿通孔21B及びカラー部22Bの内面と冷媒管表面の接合部分7に接着剤4を充填させる(接着剤充填工程)。
【0103】
次いで、組付け体を冷却して、接着剤4を固化させることにより、フィン2と冷媒管3Lを接合(接合工程)して、熱交換器1Bを作製する。
【0104】
この製造方法5によれば、フィン2に設けられた挿通孔21Bへの冷媒管3Lの挿通を容易にし、フィン2と冷媒管3Lの接触による熱抵抗を減少させて、フィン2に対する冷媒管3Lの位置決めを容易にすることができる。また、拡管が不要のため、拡管のための装置や設備が必要でない上、少ない工程で熱交換器1Bを容易に作製することができる。
【0105】
<製造方法6>
まず、アルミニウム製素材の表面に親水性あるいは撥水性、及び耐食性を有する樹脂製皮膜がコーティングされた所定の寸法のアルミニウム製板材をプレス加工によって挿通孔21Bとカラー部22Bを有する複数のフィン2を用意する。
【0106】
複数のフィン2を、各フィン2に設けられた挿通孔21B及びカラー部22Bが合致した状態で所定の間隔をおいて積層して、図示しない固定具によって固定する。
【0107】
一方、押出成形された冷媒管3Lの表面の一方のテーパ部26を含む略半周にエポキシ系の2液反応型接着剤4を、公知のスプレー式を用いて塗布する(塗布工程)。
【0108】
そして、2液反応型の接着剤が固化する前に、
図17に示すように、各フィン2に設けられた挿通孔21B及びカラー部22Bの前縁側開口部24に接するように冷媒管3Lを挿通した後、又は挿通と同時に、
図18に示すように、冷媒管3Lの後縁部38を挿通孔21Bの後縁側開口部25に接するように押圧して組み付ける(組付け工程)。この状態で、冷媒管3Lの他方のテーパ部26とフィン2が直接接触する部分6と、冷媒管3Lとフィン2が接着剤4を介在する部分すなわち接合部分7と、隙間23を具備した状態でフィン2と冷媒管3Lが接合される(
図12及び
図14参照)。
【0109】
その後、2液反応型の接着剤4の固化により、フィン2と冷媒管3Lを接合(接合工程)して、熱交換器1Bを作製する。
【0110】
この製造方法6によれば、フィン2に設けられた挿通孔21Bへの冷媒管3Lの挿通を容易にし、フィン2と冷媒管3Lの接触による熱抵抗を減少させて、フィン2に対する冷媒管3Lの位置決めを容易にすることができる。また、接着剤4を溶融、冷却する必要がないので、製造方法5の効果に加えて、更に少ない工程で熱交換器1を容易に作製することができる。
【実施例】
【0111】
次に、フィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いて、フィンと冷媒管の直接接触率(金属接触率)と放熱性能比との関係の評価試験について説明する。
【0112】
<評価実験用フィン・アンド・チューブ型熱交換器>
サイズ:幅100mm×高さ123mm×奥行き22mm
冷媒管:直径9.5mm×肉厚0.6mm 5本
フィン:板厚0.2mm×60枚 フィンピッチ1.5mm
【0113】
<試験条件>
循環液:温水(純水)
温水と空気の温度差:30℃
【0114】
<放熱量算出式>
Qw=Cpw×yw×Fw×(θwi−θwo)
ここで、Qw:温水放熱量(W)、Cpw:温水の定圧比熱{kJ/(kg・℃)}
yw:温水の比重量(kg/m
3)、Fw:流量(m
3/h)
θwi:温水の入側温度(℃)、θwo:温水の出側温度(℃)である。
【0115】
上記熱交換器を
図19に示すように設置して、上記条件と放熱量算出式に基づいてフィン2と冷媒管3の直接接触率(金属接触率)を0%,5%〜80%に変えて、放熱性能比を調べたところ、全面を接着剤4で接合した接触率0%の比較例の放熱性能比が100%に対して、表1に示すような結果が得られた。
【表1】
【0116】
なお、表1において、放熱性能について、評価「〇」は、比較例1の超えるものを示し、評価「×」は、比較例1の超えないものを示す。また、接着性について、評価「〇」は、比較例1と同等の作業性及び接着強度のものを示し、評価「△」は、比較例1に比べ作業性又は接着強度が劣るものを示し、評価「×」は、比較例1に比べ作業性及び接着強度が劣るものを示す。
【0117】
上記評価試験の結果、直接接触率0%の比較例1の放熱性能比が100%に比べて、実施例1の直接接触率70%,実施例2の直接接触率50%,実施例3の直接接触率25%,実施例4の直接接触率10%,実施例5の直接接触率5%のものはいずれも放熱性能比が100%を超えた値を示し放熱性能比が良好であった。
【0118】
なお、直接接触率が5%未満であると、十分な放熱性能比がえられない。また、直接接触率が75%より多くなる比較例2(直接接触率80%)のような場合は放熱性能比も高くなるが、接触率が75%を超えると、接合面積が小さいため、接着強度が低下する。
【0119】
上記より、直接接触率5%〜75%の範囲とすることにより、十分な放熱性能比が得られることが判った。
【0120】
次に、接着剤4に熱伝導性フィラー(以下にフィラーという)を含有した場合の直接接触率と放熱性能比との関係を調べるための評価試験を行ったところ、
図21及び表1に示すような結果が得られた。ここで、フィラーの含有率とは、接着剤4とフィラー量の合計値を100%としたときのフィラー量の値をいう。なお、フィラーには、例えばシリカ,アルミナ,アルミニウム,窒化アルミ,窒化ホウ素,ダイアモンド等の粉末を使用することができる。
【0121】
上記評価試験の結果、フィラー含有率5%の実施例6(直接接触率75%),実施例7(直接接触率50%),実施例8(直接接触率5%)と、フィラー含有率30%の実施例9(直接接触率75%),実施例10(直接接触率50%),実施例11(直接接触率5%)と、フィラー含有率60%の実施例12(直接接触率75%),実施例13(直接接触率50%),実施例14(直接接触率5%)のものは、いずれも放熱性能比及び接着性の評価が「〇」であった。これに対して、フィラー含有率70%の比較例3(直接接触率5%)のものは添加フィラーが多く、接着剤の樹脂分がすくないため、安定した塗布が困難であった。
【0122】
上記より、直接接触率5%〜75%の範囲において、接着剤4と熱伝導性フィラー量の合計値を100%としたときの熱伝導性フィラー量が5%〜60%含有しているのが好ましい。