(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のモジュールにおいて、前記アンテナは、棒状に形成されたコアと、前記コアに巻き付けられたコイルと、を備え、前記コアの長手方向における一端部側から他端部側に向けて磁界が発生することを特徴とするモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜
図5を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド(図示せず)を取り付けるためのバンド取付部2が設けられている。この腕時計ケース1の3時側には、時刻修正などのスイッチ動作をする竜頭などのスイッチ装置3が設けられている。
【0011】
また、この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、10時側には、
図1に示すように、押釦スイッチ4がそれぞれ設けられており、この腕時計ケース1の6時側には、上面スイッチ5が設けられている。また、この腕時計ケース1の9時側には、
図1および
図3に示すように、高度計用の圧力センサ6が設けられており、この腕時計ケース1の12時側には、水深用の圧力センサ7が設けられている。
【0012】
一方、この腕時計ケース1の内部には、
図2〜
図4に示すように、時計モジュール8が設けられている。この時計モジュール8は、上部ハウジング10と下部ハウジング11と回路基板12と導電板である地板13とを備えている。上部ハウジング10には、時計ムーブメント(図示せず)、表示装置14、および照明装置15が搭載されており、この上部ハウジング10の上面には、文字板16が配置されている。
【0013】
時計ムーブメントは、時刻指示機能と副表示機能とを備えている。この場合、時刻指示機能は、
図1に示すように、その表示領域が文字板16のほぼ全域に亘って設けられている。副表示機能は、方位を示すレトログラード機能であり、その表示領域が文字板16の3時側から6時側に亘ってほぼ扇形状に設けられている。
【0014】
また、この時計ムーブメントは、複数のステップモータおよび輪列機能(いずれも図示せず)を備え、
図2および
図4に示すように、輪列機能の指針軸17aと副針軸18aとが、文字板16の貫通孔16a、16bを通して文字板16の上方にそれぞれ突出するように構成されている。
【0015】
この場合、時計ムーブメントの時刻指示機能は、
図2および
図4に示すように、文字板16の中央部に設けられた貫通孔16aを通して上方に突出した指針軸17aの上端部に、秒針、分針、時針などの指針17が取り付けられ、この指針17が文字板16の上方を運針するように構成されている。これにより、時刻指示機能は、
図1に示すように、指針17が文字板16の外周に設けられた時字16cを指示して、時刻を文字板16のほぼ全域に亘る領域内で指示表示するように構成されている。
【0016】
また、この時計ムーブメントのレトログラード機能は、
図2および
図4に示すように、文字板16のほぼ5時側に設けられた貫通孔16bを通して上方に突出した副針軸18aの上端部に、副針である小針18が取り付けられ、この小針18が文字板16の副表示部19の上方で12時方向を中心に左右方向に振れるように構成されている。これにより、レトログラード機能は、
図1に示すように、小針18が文字板16の3時側から6時側に亘るほぼ扇形状の領域内において、方位を指示表示するように構成されている。
【0017】
また、上部ハウジング10の表示装置14は、
図1および
図2に示すように、文字板16の12時側に横長に配置されている。この表示装置14は、
図4に示すように、表示パネル14aとバックライト14bとを備え、これらが上部ハウジング10の表示収納部10a内に配置されている。この表示装置14は、
図1に示すように、表示パネル14aに表示された情報が文字板16の12側に設けられた横長の表示窓部16dを通して腕時計ケース1の上方から見えるように構成されている。
【0018】
この場合、表示パネル14aは、
図1、
図2および
図4に示すように、液晶表示パネルであり、時刻や曜日、日付などの情報を電気光学的に表示するように構成されている。バックライト14bは、表示パネル14aを裏面側から照明することにより、表示パネル14aに表示された情報が鮮明に見えるように構成されている。また、照明装置15は、
図2および
図4に示すように、LEDなどの発光素子であり、上部ハウジング10の6時側に配置され、文字板16の上面側を照明するように構成されている。
【0019】
また、下部ハウジング11には、
図3および
図4に示すように、釦型の電池20を収納する電池収納部11aおよびアンテナ21を収納するアンテナ収納部11bが設けられている。この場合、電池収納部11aは、下部ハウジング11のほぼ5時側に円形状に設けられている。アンテナ収納部11bは、下部ハウジング11の7時側に長方形状に設けられている。
【0020】
また、この下部ハウジング11の下面には、
図3および
図4に示すように、導電板である金属製の地板13が配置されている。この地板13には、下部ハウジング11の電池収納部11a内に配置された電池20を押える電極板13aが設けられている。また、この地板13には、回路基板12の電極端子(図示せず)に接触する基板接続部13bと、腕時計ケース1の下部に取り付けられる裏蓋(図示せず)に接触する蓋接続部13cと、が設けられている。
【0021】
さらに、この地板13の外周部には、
図3および
図4に示すように、複数のフック部22が上方に突出して設けられている。複数のフック部22は、下部ハウジング11の下面に地板13が配置された状態で、下部ハウジング11上に回路基板12が配置され、この回路基板12上に上部ハウジング10が配置された際に、これらの外周面に沿って上側に延び、この延びた上端部の係止孔22aが、上部ハウジング10の外周面に設けられた複数の突起部10bにそれぞれ係合するように構成されている。
【0022】
これにより、地板13は、
図3および
図4に示すように、下部ハウジング11、回路基板12、上部ハウジング10が重ね合わされた際に、複数のフック部22の各係止孔22aが、上部ハウジング10の外周面に設けられた複数の突起部10bにそれぞれ係合することにより、下部ハウジング11、回路基板12、および上部ハウジング10を一体的に組み付けるように構成されている。
【0023】
回路基板12は、
図3〜
図5に示すように、上部ハウジング10と下部ハウジング11との間に配置されるように構成されている。この回路基板12の下面(
図5では表面)には、アンテナ21、磁気センサ24、第1コネクタ25、第2コネクタ26が設けられているほか、コンデンサ27などの各種の電子部品が設けられている。
【0024】
アンテナ21は、
図3および
図5に示すように、バーアンテナであり、棒状に形成されたコアと、このコアに巻き付けられたコイル(いずれも図示せず)と、を備え、コアの長手方向における一端部21a側から他端部21b側に向けて磁界が発生するように構成されている。このアンテナ21は、回路基板12の下面(
図5では表面)における7時側に位置する箇所に、8時側から6時側に向けて傾いた状態で配置されている。
【0025】
この場合、アンテナ21は、
図3および
図5に示すように、下部ハウジング11の電池収納部11a内に収納された電池20からできるだけ離れた状態で、かつ下部ハウジング11の電池収納部11a内に収納された電池20の接線方向とほぼ平行な方向に沿った状態で、回路基板12の下面(
図5では表面)に配置されている
【0026】
磁気センサ24は、レトログラード機能の方位を検出するためのものであり、
図5に示すように、アンテナ21から最も離れた位置、例えば回路基板12の下面(
図5では表面)における11時側に配置されている。第1コネクタ25は、高度計用の圧力センサ6が接続されるものであり、回路基板12の下面における9時側に配置されている。第2コネクタ26は、水深用の圧力センサ7が接続されるものであり、回路基板12の下面における12時側に配置されている。
【0027】
また、回路基板12の外周部には、
図5に示すように、複数の接点端子28が複数の押釦スイッチ4および上面スイッチ5にそれぞれ対応して設けられている。すなわち、複数の接点端子28は、回路基板12の外周部における2時側、4時側、6時側、8時側、および10時側にそれぞれ設けられている。
【0028】
この場合、地板13の外周部には、
図3に示すように、回路基板12の外周部に設けられた複数の接点端子28にそれぞれ接離可能に接触する複数の変位部である複数の金属製の板ばね30が設けられている。これら複数の板ばね30は、複数の接点端子28と同様、複数の押釦スイッチ4および上面スイッチ5それぞれに対応して設けられている。
【0029】
すなわち、これら複数の板ばね30それぞれは、
図3に示すように、地板13の外周部から回路基板12の外周面に向けて突出し、この突出した端部から回路基板12の外周面に沿って延び、この延びた先端部30aが複数の接点端子28それぞれに接離可能に接触するように構成されている。
【0030】
これにより、複数の板ばね30は、
図3に示すように、複数の押釦スイッチ4および上面スイッチ5それぞれのスイッチ操作に応じて撓み変形し、この撓み変形した複数の板ばね30の各先端部30aが回路基板12の外周面に設けられた複数の接点端子28それぞれに接触することにより、スイッチ動作するように構成されている。
【0031】
ところで、アンテナ21は、
図4に示すように、その上下方向の位置が回路基板12の外周に配置された複数の板ばね30の上下方の位置と対応する位置に配置されている。このアンテナ21は、
図3および
図5に示すように、その一端部21a側を回路基板12の8時側に向け、他端部21b側を回路基板12の6時側に向けた状態で、回路基板12の7時側に位置する箇所に傾いて配置されている。
【0032】
この場合、アンテナ21は、
図3に示すように、回路基板12の7時側に傾いて配置される際に、8時側の押釦スイッチ4に対応して7時側から8時側に向けて配置された板ばね30に沿った状態で、アンテナ21の一端部21aが8時側の板ばね30の先端部30a側に向けて配置されている。また、アンテナ21の中心軸21cの延長線上に板ばね30が配置されていない。
【0033】
すなわち、このアンテナ21は、
図3において、その一端部21a側から他端部21b側に向けて磁界が発生することにより、8時側の押釦スイッチ4に対応する板ばね30によってアンテナ21に発生する磁界が妨げられない状態で、回路基板12の7時側に傾いて配置されている。
【0034】
この場合、8時側の押釦スイッチ4に対応する板ばね30と地板13との間には、
図3に示すように、板ばね30と地板13とを連結する連結部31が設けられている。この連結部31は、幅の狭い帯板状に形成され、8時側の押釦スイッチ4に対応する板ばね30に沿うアンテナ21の長手方向における中心部に対応した状態で、アンテナ21に発生する磁界をほぼ直角に横切って回路基板12の外周部に延びるように構成されている。
【0035】
すなわち、この連結部31は、
図3に示すように、地板13の外周部からアンテナ21の長手方向における中心部に対応する箇所を通り、回路基板12の7時側の外周部に向けて延び、この延びた端部に板ばね30が設けられた構成になっている。これにより、連結部31は、アンテナ21に発生する磁界を妨げないように構成されている。
【0036】
また、連結部31の両側に位置する箇所の地板13には、
図3に示すように、アンテナ21に対する重なりを避けるための逃げ部32が設けられている。これにより、アンテナ21の近傍に位置する地板13は、逃げ部32によってアンテナ21に対する重なりを防いで、アンテナ21に発生する磁界を妨げないように構成されている。
【0037】
さらに、アンテナ21は、
図3に示すように、その長手方向における他端部21bが6時側に位置するフック部22と6時側に位置して上面スイッチ5に対応する板ばね30との間に対応した状態で、配置されている。この場合、6時側に位置するフック部22と6時側の上面スイッチ5に対応する板ばね30とは、所定間隔をもって離れた状態で配置されている。
【0038】
これにより、アンテナ21は、
図3に示すように、その中心軸21cの延長線が、6時側に位置するフック部22と6時側の上面スイッチ5に対応する板ばね30との間に位置した状態で配置されている。つまり、アンテナ21の中心軸21cの延長線上に板ばね30またはフック部22が配置されていない。このため、アンテナ21は、その他端部21b側に発生する磁界が6時側に位置するフック部22と6時側の上面スイッチ5に対応する板ばね30とによって妨げられないように構成されている。
【0039】
次に、このような腕時計における時計モジュール8の作用について説明する。
この時計モジュール8では、上部ハウジング10の上面に配置された文字板16のほぼ全域の領域に時計ムーブメントの時刻指示機能が配置され、この文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状の領域に時計ムーブメントのレトログラード機能が配置されている。
【0040】
このため、この時計モジュール8では、時刻指示機能の指針17が文字板16の上方のほぼ全域で運針して時刻を指示するので、時刻の指示表示が見やすい。また、レトログラード機能の小針18が文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状の広い領域内で12時方向を中心に左右に大きく振れるので、小針18による方位の指示が見やすい。
【0041】
この場合、レトログラード機能は、その副表示部19が文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状の広い面積で設けられていることにより、副表示部19が見やすく、かつ小針18を長く形成することができる。このため、小針18の視認性が向上する共に、小針18によってユーザが直感的に方位指示を視認することができるので、小針18による方位指示が、より一層、見やすくなる。
【0042】
また、この時計モジュール8では、表示装置14がレトログラード機能の副表示部19の表示領域を妨げないように、12時側に配置されていることにより、レトログラード機能の小針18が表示装置14の表示領域に重なることがないため、表示装置14の設置領域を広くして表示パネル14aの表示面積を広くし、これにより表示パネル14aに表示された情報が見やすくなっている。
【0043】
また、この時計モジュール8では、9時側に高度計用の圧力センサ6が設けられ、12時側に水深用の圧力センサ7が設けられていることにより、高度計用の圧力センサ6で高度や気圧を検出することができると共に、水深用の圧力センサ7で水深や水圧を検出することができるので、アウトドアにおける幅広い活動ができる。
【0044】
さらに、この時計モジュール8では、下部ハウジング11に電池20を収納する電池収納部11aを2時側から6時側に亘る5時側に円形状に設け、回路基板12の下面における7時側にアンテナ21を配置した。このため、アンテナ21は、電池収納部11aから十分な距離を離して配置されていると共に、表示装置14による電波障害を受けないように、表示装置14からも大きく離れた位置に配置されている。
【0045】
この場合、アンテナ21は、
図3に示すように、その一端部21a側を回路基板12の8時側に向け、他端部21b側を回路基板12の6時側に向けた状態で、回路基板12の7時側に位置する箇所に傾いて配置されている。このため、アンテナ21は、下部ハウジング11の電池収納部11a内に収納された電池20から十分な距離を離して設置することができる。
【0046】
また、このアンテナ21は、
図3に示すように、下部ハウジング11の電池収納部11a内に収納された電池20に対する接線方向とほぼ平行な方向に沿って配置されていることにより、アンテナ21に発生する磁界が電池20の影響を受け難くし、電池20による電波障害が生じないように設置されている。
【0047】
さらに、この時計モジュール8では、アンテナ21が回路基板12の7時側に位置する箇所に傾いて配置されていることにより、回路基板12の8時側と6時側とに位置する外周部に板ばね30がそれぞれ配置されていても、これらの板ばね30によるアンテナ21の電波障害が軽減されている。
【0048】
すなわち、アンテナ21は、その長手方向が8時側の押釦スイッチ4に対応する板ばね30に沿った状態で、アンテナ21の一端部21aが8時側の板ばね30の先端部30a側に向けて配置されている。これにより、アンテナ21は、8時側に位置する板ばね30がアンテナ21に発生する磁界を妨げないため、8時側に位置する板ばね30によるアンテナ21の電波障害が軽減される。
【0049】
この場合、8時側に位置する板ばね30は、下部ハウジング11の下面に配置される金属製の地板13に連結部31によって連結されているが、この連結部31がアンテナ21の電波障害を起こさないように配置されている。すなわち、この連結部31は、幅の狭い帯板状に形成され、8時側に位置する板ばね30に沿うアンテナ21の長手方向における中心部に対応した状態で、アンテナ21に発生する磁界を横切って配置されている。このため、アンテナ21は、連結部31によるアンテナ21の電波障害が軽減される。
【0050】
また、金属製の地板13には、アンテナ21に対する重なりを避けるための逃げ部32が設けられていることにより、アンテナ21に対する地板13の重なりよるアンテナ21の電波障害が軽減される。さらに、アンテナ21は、その中心軸21cの延長線が地板13の6時側に設けられたフック部22と地板13の6時側に設けられた他の板ばね30との間に位置した状態で、回路基板12に配置されている。このため、アンテナ21は、フック部22と他の板ばね30とによる電波障害が軽減される。
【0051】
このように、この腕時計の時計モジュール8によれば、回路基板12の外周に沿って配置され、スイッチ操作に応じて変位する金属製の板ばね30と、回路基板12上に、板ばね30に沿った状態で一端部21aが板ばね30の先端部30a側に向けて配置されたアンテナ21と、を備えていることにより、金属製の板ばね30による電波障害を軽減させることができ、これによりアンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0052】
すなわち、この時計モジュール8では、アンテナ21が板ばね30に沿って配置されているので、アンテナ21に発生する磁界を金属製の板ばね30に沿って発生させることができる。このため、アンテナ21の一端部21aを板ばね30の先端部30a側に向けて配置しても、板ばね30によるアンテナ21の電波障害を軽減させることができるので、アンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0053】
この場合、アンテナ21は、棒状に形成されたコアと、このコアに巻き付けられたコイルと、を備えたバーアンテナであり、コアの長手方向における一端部21a側から他端部21b側に向けて磁界が発生する構成であるから、アンテナ21がその一端部21aから他端部21bに向けて磁界を発生する際に、アンテナ21を板ばね30に沿って配置させることにより、アンテナ21に発生する磁界が金属製の板ばね30によって妨げられないようにすることができる。
【0054】
また、この時計モジュール8では、アンテナ21を搭載する回路基板12を挟んで保持する上部ハウジング10および下部ハウジング11と、回路基板12を上部ハウジング10と下部ハウジング11との間に挟んで取り付ける導電板である地板13と、を備え、この地板13に板ばね30が設けられていることにより、上部ハウジング10と下部ハウジング11との間に回路基板12を配置した状態で、下部ハウジング11の下面に地板13を配置することにより、回路基板12の外周に板ばね30を配置することができる。
【0055】
すなわち、地板13は、その外周部に複数の板ばね30と複数のフック部22とが設けられた構成であるから、下部ハウジング11、回路基板12、上部ハウジング10を重ね合わせた状態で、下部ハウジング11の下面に地板13を配置すると、複数の板ばね30が回路基板12の外周に配置された状態で、複数のフック部22が上部ハウジング10の外周面に設けられた複数の突起部10bそれぞれに係合することにより、下部ハウジング11、回路基板12、および上部ハウジング10を一体的に組み付けることができる。
【0056】
この場合、この時計モジュール8では、導電板である地板13と板ばね30との間に、その両方を連結する連結部31が設けられ、この連結部31が幅の狭い帯板状に形成され、板ばね30に沿うアンテナ21の長手方向における中心部に対応した状態で、アンテナ21の磁界を横切って配置されていることにより、アンテナ21の長手方向における中心部に連結部31を対応させて配置しても、連結部31によるアンテナ21の電波障害を軽減することができ、これによってもアンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0057】
また、この時計モジュール8では、導電板である金属製の地板13に、アンテナ21に対する重なりを避けるための逃げ部32が設けられていることにより、アンテナ21に対する地板13の重なりによる電波障害を軽減することができるので、これによってもアンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0058】
さらに、この時計モジュール8では、アンテナ21の中心軸21cの延長線が地板13の6時側に設けられたフック部22と地板13の6時側に設けられた他の板ばね30との間に位置した状態で、回路基板12に配置されていることにより、フック部22と他の板ばね30とによるアンテナ21の電波障害を軽減することができるので、これによってもアンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0059】
この場合、この時計モジュール8では、アンテナ21がその一端部21a側を回路基板12の8時側に向け、他端部21b側を回路基板12の6時側に向けた状態で、回路基板12の7時側に位置する箇所に傾いて配置されていることにより、回路基板12の外周部の複数箇所にそれぞれ金属製の板ばね30が配置されていても、これら複数の板ばね30による電波障害がほとんど生じないようにすることができる。
【0060】
すなわち、この時計モジュール8では、アンテナ21を回路基板12における7時側に位置する箇所に配置しても、地板13に設けられた複数の板ばね30および地板13によるアンテナ21の電波障害を軽減することができるので、アンテナ21を回路基板12における7時側に位置する箇所に良好に設置することができる。
【0061】
このため、この時計モジュール8では、アンテナ21を回路基板12における7時側に傾けて設置していることにより、このアンテナ21を避けた位置に、時計ムーブメント、表示装置14、電池20、高度計用の圧力センサ6、水深用の圧力センサ7、および磁気センサ24などの各種の部品を効率良く設置することができる。
【0062】
すなわち、この時計モジュール8では、電池20がアンテナ21の近傍に位置する5時側に配置されていても、電池20を収納する下部ハウジング11の電池収納部11aから十分な距離を離してアンテナ21を配置することができると共に、下部ハウジング11の電池収納部11aの接線方向とほぼ平行な方向に沿った状態でアンテナ21を配置することができるので、電池20によるアンテナ21の電波障害を軽減することができ、これによってもアンテナ21の受信感度の低下を防ぐことができる。
【0063】
また、この時計モジュール8では、高度計用の圧力センサ6を9時側に配置し、水深用の圧力センサ7を12時側に配置し、磁気センサ24を11時側に配置することにより、これらがアンテナ21に電波障害を起こさないように、効率良く設置することができる。
【0064】
さらに、この時計モジュール8では、表示装置14をアンテナ21から最も離れた回路基板12の12時側に設置することができるので、表示装置14の設置領域を広くして表示パネル14aの表示面積を広くすることができ、これにより表示パネル14aに表示された情報を見やすくすることができる。
【0065】
このため、この時計モジュール8では、上部ハウジング10の上面に配置された文字板16のほぼ全域の領域に時計ムーブメントの時刻指示機能の表示領域を配置し、この文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状の領域に時計ムーブメントのレトログラード機能の表示領域を、表示装置14の表示領域に重なることなく配置することができる。
【0066】
これにより、この時計モジュール8では、時刻指示機能の指針17を文字板16の上方のほぼ全域で運針させて時刻を指示させることができ、時刻の指示表示を見やすくすることができる。また、レトログラード機能では、小針18が文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状の広い領域内で12時方向を中心に左右に大きく振れるので、小針18による方位指示を見やすくすることができる。
【0067】
この場合、レトログラード機能は、その副表示部19を表示装置14の表示領域に重なることがなく、文字板16の3時側から6時側に亘る扇形状に広い面積で設けることができ、これにより副表示部19を見やすくし、かつ小針18を長く形成することができる。このため、小針18の視認性を向上させることができると共に、小針18によってユーザが直感的に方位指示を視認することができるので、小針18による方位指示を、より一層、見やすくすることができる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、時計ムーブメントの副表示機構として、方位を指示するレトログラード機能を設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、潮の満ち引き、または月の満ち欠けなどの情報を表示する副表示機能を設けても良い。
【0069】
また、上述した実施形態では、アンテナ21が板ばね30に沿って配置されているが、板ばね30に沿って配置されていなくても良く、回路基板12の外周に沿って配置されていれば良い。また、上述した実施形態では、アンテナ21を回路基板12における7時側に位置する箇所に配置しているが、これに限らず、回路基板12の外周に沿って配置されていれば良く、例えば、アンテナ21を回路基板12における5時側に位置する箇所に配置する等、アンテナ21の一端部21aが3時又は9時の方向に向けて配置され、他端部21bが6時又は12時の方向に向けて配置されていても良い。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えば、トラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は必ずしも時計である必要はなく、例えば、携帯電話機、携帯情報端末機などの電子機器にも広く適用することができる。
【0071】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0072】
(付記)
請求項1に記載の発明は、回路基板と、前記回路基板の外周に沿って配置され、スイッチ操作に応じて変位する導電性の変位部と、前記回路基板上に、前記回路基板の外周に沿った状態で一端部が3時または9時の方向に向けて配置され、他端部が6時または12時の方向に向けて配置されたアンテナと、を備えていることを特徴とするモジュールである。
【0073】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモジュールにおいて、前記アンテナは、棒状に形成されたコアと、前記コアに巻き付けられたコイルと、を備え、前記コアの長手方向における一端部側から他端部側に向けて磁界が発生することを特徴とするモジュールである。
【0074】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のモジュールにおいて、前記回路基板が配置されるハウジングと、前記回路基板を前記ハウジングに取り付けるための導電板と、を備え、前記導電板に前記変位部が設けられていることを特徴とするモジュールである。
【0075】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモジュールにおいて、前記導電板は、前記回路基板を前記ハウジングに取り付けるためのフック部を備え、前記アンテナの中心軸の延長線上に前記変位部または前記フック部が配置されていないことを特徴とするモジュールである。
【0076】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のモジュールにおいて、前記導電板と前記変位部との間には、その両方を連結する連結部が設けられ、前記連結部は、前記変位部に沿う前記アンテナの長手方向における中心部に対応した状態で、前記アンテナの磁界を横切って配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0077】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜請求項5のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記導電板には、前記アンテナに対する重なりを避けるための逃げ部が設けられていることを特徴とするモジュールである。
【0078】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜請求項6のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記導電板には、前記ハウジングに係止されて前記回路基板を前記ハウジングに取り付けるためのフック部と、前記フック部に隣接して配置された他の変位部とが、前記アンテナの長手方向の他端部側に対応して設けられ、前記アンテナは、その中心軸の延長線が前記フック部と前記他の変位部との間に位置した状態で、前記回路基板に配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0079】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記アンテナは、前記一端部側を前記回路基板の8時側に向け、前記他端部側を前記回路基板の6時側に向けた状態で、前記回路基板の7時側に位置する箇所に傾いて配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0080】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記アンテナが配置された前記回路基板の一面側には、前記アンテナを避けた位置に、電池、圧力センサ、および磁気センサが配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0081】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載のモジュールにおいて、前記アンテナが配置された前記回路基板の他面側には、時刻指示機能および副表示機能を備えたムーブメントと、情報を電気光学的に表示する表示装置とが、配置され、前記副表示機能と前記表示装置とが前記アンテナを避けた位置に配置されていることを特徴とするモジュールである。
【0082】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載されたモジュールを備えていることを特徴とする時計である。