【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために、巻取軸に設定した多条の開閉巻取板に巻き付けた多条製品コイルの最内周面と、前記開閉巻取板の外周面外径を縮小して形成し
た該開閉巻取板の外周面との間隙に滑り板を介することにより、該滑り板の表面と前記それぞれの製品コイルの最内周面を一直線状に接しめ、最端部の製品コイルを連続的に押圧して多条製品コイルを水平状に滑らせることにより、それぞれの開閉巻取板から製品コイルのみを一挙に抜き出しできる多条均等堅巻製品コイルの一括搬出方法を提供するにある。
【0009】
そして、前記方法を具体的に実施するために、円周下部の直径に対し円周上部の直径を小径にした変形巻取板において
、開閉ドラムの上端部が互いに前記変形巻取板円周上部の中央で接合し、かつ
、前記開閉ドラムの直径が前記変形巻取板の円周下部の直径と同一
である左右一対の開閉ドラムの両下端部を、前
記変形巻取板の円周上部の直径に対し空隙を以って覆包して前記変形巻取板に支承するとともに、前記接合部の下部に設けた左右切欠き部間の内部にそれぞれの開閉カムを介在し、前
記変形巻取板の円周下部には該直径と同一、かつ、中央部を切欠き部とした弧状バランサー
を前記変形巻取板の表裏に固定して該部の円周幅(肉厚)が前記開閉ドラムの円周幅(肉厚)と同じくし、さらに、前記変形巻取板の上部中央にカム開閉穴及び下部中央に位置決め穴をそれぞれ穿ち
、前記変形巻取板の表裏両面に該変形巻取板より小径の押さえ板を圧接し、かつ、該変形巻取板と押さえ板間にフェルト状オーリング及びゴム製オーリングを介して前記変形巻取板を挟持してなる開閉巻取板の多数を、ベッド上に設けた駆動軸と連動し、かつ、水平状に突出する巻取軸に設定し、前記開閉巻取板のそれぞれと対向するオートセパレーターをベッドに設定した垂直支柱のガイド軌に水平設定するとともに、ベッド内に水平設定した油
圧シリンダーに固定したプッシャー板を、前記開閉巻取板に跨って駆動装置間に介在してなるリコイラー装置の下方に、台車に受台並びに位置決めバーを装備したコイルカーを遊動設定した多条均等堅巻製品コイルの一括搬出装置を提供するにある。
【0010】
上記の課題解決手段による作用は次のとおりである。
広幅材料コイルを小幅にスリットされた多条材料コイルは、ベルトラッパーにて自動的に案内され、オートセパレーターを用いてそれぞれの開閉巻取板に巻き付けられて多条製品コイルとなる。
【0011】
このようにして、巻き付けが完了すると開閉巻取板の上部外径を縮小させ、コイルカーの受台で前記多条製品コイルを僅かに持ち上げて多条製品コイルの外径に接したのち、油圧プッシャーの押力により開閉巻取板から多条製品コイルのみを同時後退進するコイルカーの受台に一括して一挙に搬出できる。
【0012】
すなわち、オートセパレーターの多条のセパレーターディスクをコイル巻はじめのそれぞれの開閉巻取板に対向するように定位置に設定し、オートラッパーにて多条材料コイルを開閉巻取板に巻き付ける。
【0013】
巻取軸の回転により、多条材料コイルはセパレーターディスクに幅方向を規制されながら整然と開閉巻取板に巻き取られる。
【0014】
所望するコイル厚を得て巻取完了後にコイル外径の後端をテープ止めし、オートセパレーターを垂直軌条に沿って上昇端まで移動する。
【0015】
次に、コイルカーをリコイラー装置の前進端まで進めて固定する。
コイルカーに装備された位置決めバーを、リコイラー本体をゆっくり回転させながら、開閉巻取板における変形巻取板の下部に穿った穴に差し込むと、該位置決めバーが差し込まれた開閉巻取板の回転を中止し、開閉巻取板が押さえ板に対してスリップしてカム開閉穴が確実に開閉巻取板の真上で停止する。
【0016】
この動作を順次連続して行えば、全条数の開閉巻取板の回転は瞬時に停止し、カム開閉穴が一直線状に揃う。
【0017】
このとき、リコイラー装置を停止させて前記カム開閉穴に開閉バーを差し込むことができる。
【0018】
そして、コイルカーの受台を少し持ち上げてコイル外径に接触したところで停止させ、開閉用バーを反時計(左)方向に90度回動させれば多数の左右一対の開閉ドラムの接合部が互いに一斉に縮小し、多条製品コイルの最内周面との間に間断的に連続する間隙が形成される。
【0019】
そして、前記間隙に滑り板を差し込み、油圧プッシャーとコイルカーを同時に作動することにより、それぞれの開閉巻取板から多条製品コイルのみが前記滑り板に沿って一挙にコイルカーの受台に滑り落ち、これらを一括して搬出できる。
【0020】
次に、開閉巻取板について説明する。
開閉巻取板の前記構成によると、左右一対の開閉ドームの両下端部が変形巻取板に支承され、しかも、該変形巻取板の直径に対し、空間を以って覆包しているから、前記一対の開閉ドラムは前記支承部を支点として、前記空間の範囲内において回動できる。
【0021】
したがって、変形巻取板の上部に穿ったカム開閉穴に開閉バーを挿通し、該開閉バーを時計(右)方向に廻すことにより、前記一対の開閉ドラムの下部に設けた開閉カムの爪が長手方向に水平になり、開閉ドラムの左右切欠き部を押圧し、開閉ドラムが支承部を支点として全開となり、開閉巻取板の外径が真円に保たれる。なお、一対の開閉ドラム上部に、変形巻取板を介して開閉遊動ピンを設けることにより、開閉ドラムの過動作防止に役立つ。
【0022】
巻取作業は、前記のように開閉巻取板の外径が真円の状態で行う。この開閉巻取板の内部、すなわち、変形巻取板を中心として、その両面から押さえ板によって挟持されている内部のオーリング等による高荷重・耐摩耗性に優れたスリップ機構と相まっているから、多条材料コイルの圧延による僅かな左右板厚偏差があっても堅く、かつ、均等に巻き取ることができる。
【0023】
つまり、コイルの巻き取りが進むに従って巻取軸に荷重が加わり巻取軸の回転は遅くなるが、材料コイルが薄い場合には押さえ板に対する開閉巻取板のスリップ回転を少なくして早く巻き取って弛みをなくし、材料コイルが厚い場合には押さえ板に対する開閉巻取板のスリップ回転を多くして遅く巻き取ることにより、堅く、かつ、均等に開閉巻取板に巻き取ることができる。
【0024】
したがって、多条材料コイルの僅かな板厚偏差があっても、開閉巻取板がその両側から押圧する押さえ板に対してスリップすることで対処できる。
【0025】
そして、巻き上がった製品コイルの外周端をテープ止めし、開閉巻取板をゆっくり回転させながら、変形巻取板下部中央の位置決め穴がリコイラー本体の真下に位置すると、コイルカーに装備された位置決めバーが前記位置決め穴に自動的に差し込まれ、一番手前の巻取板が停止し、次の開閉巻取板の位置決め穴が真下に位置すると該位置決め穴に位置決めバーが差し込まれる。
【0026】
この動作を製品コイルが巻かれている条数回繰り返すことにより、開閉巻取板の停止状態が一直線状に揃う。
【0027】
したがって、この状態により上部の開閉カムの開閉穴も一直線状に揃うから、該開閉穴に開閉バーを差し込み、その両端から反時計(左)方向に90度廻せば、開閉カムの長手方向の爪が前記開閉ドラムの左右切欠き部から外れて、開閉カムの長手方向の爪が垂直状態となる。
【0028】
このとき、同時に支承部に介在したスプリングの押力により、開閉巻取板の開閉ドラムの接合部が縮小し、製品コイルの上部最内周面と開閉ドラムの上部外径間に弧状の間隙が生ずる。
【0029】
つまり、左右一対の開閉ドラムの接合部は、左開閉ドラムの上部端が凹部を、また、右開閉ドラムの上部端は凸部をそれぞれ形成することにより、開閉カムの長手方向が水平状態にあるときの接合部は、凹部に凸部が僅かに嵌合して開閉巻取板の外径を真円に保ち、また、開閉カムの長手方向が垂直状態になると、左開閉ドラムと右開閉ドラムが互いに内側に縮小するので、凹部に凸部が中央部で奥深くまで嵌合し、開閉巻取板の外径は真円を保全できなくなり、多数の開閉巻取板の上部外径と多条製品コイルの最内周面との間に弧状の間隙が間断的に生ずることになる。
【0030】
この間隙に滑り板を差し込めば、多条製品コイルの上部内周面が滑り板に一直線状に接し、油圧プッシャーの押力に従って多条製品コイルのみが多条開閉巻取板から外れ、これが滑り板に沿って同時に後退進するコイルカーの受台に連続的、かつ、一挙に滑り落ち一括して搬出される。