特許第6384743号(P6384743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6384743
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】スチール製黒板及びボード用のコンパス
(51)【国際特許分類】
   B43L 9/02 20060101AFI20180827BHJP
   B43L 9/20 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   B43L9/02 B
   B43L9/20
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-171590(P2017-171590)
(22)【出願日】2017年8月21日
【審査請求日】2017年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511207604
【氏名又は名称】有限会社コバック
(74)【代理人】
【識別番号】100094868
【弁理士】
【氏名又は名称】打保 敏典
(72)【発明者】
【氏名】小林 太志
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−37245(JP,U)
【文献】 実開昭63−43795(JP,U)
【文献】 特表平8−501033(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3044867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 9/02 − 9/06
B43L 9/20
G01B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチール製黒板、ボードに円周等図形を描くコンパスに関して、コンパス本体(1)は両脚を有し、描画片脚(2)は図形を描く部材チョーク、マーカー等を取付け可能とし、他方の片脚はコンパス軸脚(3)であり、コンパス軸脚(3)はコンパス支持部(4)とコンパス針部(5)とで連結形成するが、コンパス支持部(4)の下方先端部に嵌合受部(6)を設け、コンパス針部(5)の部位として上方に位置する連結部(7)を嵌合受部(6)に回動自在に嵌入することで連結し、コンパス針部(5)下方にはスチール製凹型曲面部(8)を形成し、球形ネオジウム磁石(9)がスチール製凹型曲面部(8)に嵌合固着した段階で、球形ネオジウム磁石(9)及びスチール製凹型曲面部(8)を一体的に外嵌着するラバー(10)から形成されるスチール製黒板及びボード用のコンパス
【請求項2】
コンパス支持部(4)の下方先端部に位置する嵌合受部(6)の素材を真鍮とする請求項1のスチール製黒板及びボード用のコンパス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に学習用のスチール製黒板、ボード面に対し、チョーク、マーカー等にて円等図形を描くべくスチール製黒板及びボード用のコンパスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
黒板は従来ベニア板面を塗装したものが殆どであり、その表面にチョーク等にて文字を書いたり図形を描いたりすることができ、円周等図形を描く際には、大型の黒板用コンパスを用いてコンパス軸先端をゴム製品にて被着することで、摩擦抵抗が増え、黒板表面にコンパス軸を滑ることなく当接できたため、円周ラインを引いてもずれることなく簡単にきれいな円周等図形を作図することができた。
【0003】
然しながら近年では磁力性貼付物止具や本体自体が磁力性を有するマグネット貼付物を学習教材として利用する機会が頻出し、黒板自体の品質が耐用性等も鑑みベニア製からスチール製、ホワイトボード等へと変更され製造されるようになった。
【0004】
しかもスチール製黒板、ボードの表面は、磁力性効果や書き易さが要求されるため、従前のベニア製黒板と比較しても滑らかにコーティング処理されており、チョークやマーカーペンを用いて文字、図形を抵抗なくスムースに描くことが可能となっている。
【0005】
ところで従来の主な黒板の使用形態は、水平方向に倒して使用するのではなく、垂直に立てる設定である為、垂直面に文字、図形等を描かなければならないのであり、コンパスを用いる場合、作図者は重力に逆らいながら、コンパスの軸を黒板表面に当接させて円周等図形を描かなければならなかった。
【0006】
即ち、黒板表面が水平上ならば、コンパスの軸をほぼ重力垂直方向に立てればよく、円周を描く際も、ほぼ均等に近い押圧をかけるだけでスムースに始点から終点まで予定の円等を完成させることができるのだが、黒板表面が垂直に立地している場合では、円周等図形を描くべくコンパスの軸を黒板表面に当接させようとすると、重力により、コンパスの軸が下方へずれ落ちてしまう危険性があり、コンパスの軸を滑らさないで円周等図形を描くには水平面に対しコンパスの軸としての先端部を立てる押圧力より大きな力が必要であり且つ上下左右に対する押圧バランスも異なるため、チョークやマーカーでの円周等図形を描くべく回転力への不均衡な負担が掛かり、円を描く始点と終点がずれる等スムースに描くことができない可能性がある。
【0007】
増してや最近の黒板はスチール製やボード等が多く、表面がかなり滑らかで文字を書くのはスムースだが、コンパスを用いて円周等図形を描く場合、コンパスの軸を黒板表面に当接した段階で、黒板自体垂直に位置しかつ摩擦抵抗が極めて小さいためコンパスの軸は滑り易く、例え滑ることなく黒板表面に当接したとしても、円周等図形を描く段階ではコンパスの軸を傾斜して使用しなければならないため、増々滑り易くなり、円周ラインをスムースに描くことが困難となる。
【0008】
そこで、滑り易い黒板表面に対応すべく特開平11−78373号では、コンパス軸先端部に吸盤等を設け、例えば円周を描こうとする際、吸盤等にて円の中心点に吸着止し、チョーク等を有する描部脚を適宜に伸ばして円周を描くコンパスが発明されている。
【0009】
又、スチール製黒板、ボードに対し、コンパスの軸に磁石を内包させた実用新案登録第3171457号(本発明と同一実用新案権者)の考案も開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−78373号
【実用新案文献2】
実用新案登録第3171457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
学習等に用いるスチール製黒板、ホワイトボードは垂直に立てられて使用される場合が多く、コンパスを用いて円周等図形を描く際、コンパスの軸を黒板表面に当接させなければならないが、スチール製黒板、ホワイトボードの表面はとても滑らかに加工されており、コンパス軸が下方にずれ落ちる可能性があり、この段階で軸を当接させるための押圧バランスの調整が必要であり、コンパスの軸当接後、円周等図形を描くためにコンパスを開脚させ、コンパス頭部を持ち回動させようとすると、斜方向に傾けて描かざるを得ず、コンパスの軸がやはり滑り易い不安定な当接状態に陥ってしまうためあらためて押圧バランスの調整が必要となる。
【0012】
ところで、学習等に用いる黒板に円周等図形を描く際に求められるのは、製図のように時間をかけてラインの太さも含めて正確な形状を描くことではなく、生徒等に向けた説明と同時進行に近い状況下での描画能力である。
【0013】
然しながら、製図ほどの正確さは求められてはいないが、主に生徒を目前にした描画であるため、円周を描くならば、中心がずれることなくかつ円周ラインから外れることなく始点と終点が重なるべく図形が要求され、かつ生徒等に対する説明とほぼ同時進行であるため、速やかに円周等図形を必要な数だけ描かなければならない故、作図者にとって、コンパスの軸及び描くべくラインに対する押圧等の調整やコンパス開脚等への調整負担を最小限にとどめることが重要となる。
【0014】
加えて、マグネットの貼付等利用範疇が拡大された黒板の品質がスチール製、ホワイトボードに代わったことで黒板等の表面加工があまりにも滑らかになり、従ってコンパスの軸を滑らさずに当接させることがより困難になっている。
【0015】
そこで、コンパス軸の当接部に吸着装置を設置し、円周等図形の中心に吸着装置を押圧し、その後脚部を必要な長さに調節し円周ラインを描くべく特開平11−78373号が発明されている。
【0016】
然しながら学習用黒板に円周等図形を描く目的は、生徒等に説明をしながらほぼ同時に描くものであり、余分な作業等施さないで瞬時にしてラインを引き終わることが要求されているのであり、確かに特開平11−78373号の考案は中心軸をずらさず円周を描くことは出来るが、中心軸を確保するために吸着部を押圧することで吸着部を固定し、次に必要な半径等の距離に合わせて脚部を伸ばし円周ラインを描き、描画終了後引き剥がす等吸着部内の空気を抜くことで、固定した吸着部を黒板表面からはずさなければならない。
【0017】
更に、次の円周等図形を描くべく同様の工程を繰り返さなければならず、作図者にとって負担なく瞬時に正確な円周等図形を描く目的から掛け離れ、余分な作業負担が続くことになる。
【0018】
即ち、円周等図形を描くのに一通りの工程をこなさなければならず、必要な円周等図形のみを描くことは可能だが、説明と同時進行しつつ図形を速やかに描かなければならない使用者にとってはあまりにも負担が大きく、コンパス機能としては不適である要素が存在している。
【0019】
次に、実用新案登録第3171457号では、コンパスの軸に回動自在なコンパス針を設け、コンパス針先端部側面にネオジウム磁石を捲着し、黒板等に当接する接点部は半球状をなし、先端部全体をラバーでコーティングしたコンパスを提供している。
【0020】
上記考案は、コンパス針部を支点として一定の角度をもって開脚した他方のコンパス脚部を回動させて予定の円等を描くことになるが、コンパス脚部の回動に呼応してコンパス軸支持部もまた回動しつつコンパス軸支持部の延長方向に位置するコンパス針部は当接点をずらすことなく係止させることを目的としている。
【0021】
その為コンパス針先端部、即ちスチール黒板、ボード等の当接する部位の形状を半球状として抵抗なくスムースに回動することを優先しており、かつ当接するコンパス針先端部が滑りずれることを防ぐためコンパス針先端部をラバーティングしている。
【0022】
しかしながらネオジウム磁石自体、スチール製黒板、ボード面に対し直接当接するのではなく、実際に当接する半球状の鉄製接点部の側部に捲着させることで接面に対し均等に磁力効果を得るよう形成しているが、間接的磁力効果しかなくコンパス針先端部をスチール製黒板、ボード面に当接押圧し円等を描くとする際、描き方によってはコンパス針先端部がずれてしまう可能性もある。
【0023】
そこで本発明では、コンパスの軸をずらすことなく円周等図形を安定かつスムースに描くために、スチール製黒板、ボード面に対し直接当接するコンパス脚先端部をいかにして係止させ、更には使用部材を最小限に抑え効率よく生産することで上記課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明はスチール製黒板、ボード等に円周等図形を描くことを目的とする黒板用コンパスであり、脚の片脚先端部にチョーク及びマーカーを取付可能とする描画部を有し、他の脚先端部に円周等図形を描く中心軸としてスチール製黒板、ボードの表面に当接させるべくコンパス針部と連結しているコンパス軸支持部を設けている。
【0025】
予定の円等図形を描く場合の重要点は、コンパスの軸を垂直に立った状態に位置しているスチール製黒板、ボードの表面に軸となるコンパス針先端部を当接させた後、予定の円等図形を描く際、当接した先端部がずれることなくスムースに回動することで予定の円等図形を描くことである。
【0026】
ところで、従前使用されていたベニア板黒板であれば表面の摩擦抵抗が一定程度あり、コンパス軸先端部は滑りにくく無理なく円周等図形を描くことができたのだが、最近のスチール製黒板、ボードの表面は滑らかで摩擦抵抗が少なく、従来のコンパス軸先端部をラバー等で被着させたとしても、円周等図形を描くべく描画部を回動させる際、コンパス軸先端部を係止させ続けることは容易にはできない。
【0027】
そこで、実用新案登録第3171457号では、コンパスの軸先端部に固定した基軸を設け、基軸の周りに回動自在の回動部を被着させ、回動部先端付近にネオジウム磁石を捲着させ、ネオジウム磁石にはコンパス軸の針部として黒板に接地すべく半球状の鉄製接点部が当着し、回動部、ネオジウム磁石及び半球状の鉄製接点部を一体的にラバーコーティングにて外嵌しているコンパス軸の先端部を用いることで、当接部がずれることなく、予定の円等図形をスムースに描くことを目的とした考案がなされた。
【0028】
しかしながら、ネオジウム磁石自体がスチール製黒板、ボード面に対し直接当接するのではなく、実際に当接する半球状の鉄製接点部の側部に捲着させることで接面に対し均等に磁力効果を得るよう形成しているが、間接的磁力効果しかなくコンパス軸先端部をスチール製黒板、ボード面に当接押圧し円周等図形を描くとする際、描き方によってはコンパス軸先端部がずれてしまう可能性がある。
【0029】
本発明は、コンパス針の支持部はコンパス軸下面に回動自在となるよう嵌合し、コンパス針先端部には球状のネオジウム磁石を設置し、かつ球状のネオジウム磁石を含むコンパス針部全体をラバーコーティングすることで、スチール製黒板、ボードに予定の円等図形を描く際、当接させたコンパス針先端部がずれることなくスムースに他方の脚に形成した描画部を回動させることを可能とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明と従来の公知技術との差異はスチール製黒板、ボードに円周等図形を描く際、回動の軸となるコンパス針部を予定された一点に係止し、スムースに予定の図形を描くことができるか否かである。
【0031】
従来の公知技術では作図者が垂直に位置するスチール製黒板、ボード等にコンパスの回動軸としてコンパス針部を立てた際、従来のコンパス針部ではスチール製黒板、ボード表面から滑り易くかつ作図開始の際コンパス針部を傾けつつコンパスを回動運動させなければならず、コンパス針部はより滑り易くなるため作図者は押圧等のバランスを取るのが困難であった。
【0032】
そこで本発明となるコンパス針部の先端部には球形ネオジウム磁石が内蔵されているため、磁力によりコンパス針部は滑ることなくスチール製黒板、ボードの表面の一点に容易く係止させることができ、円周等図形を描く際、コンパス針部を傾けて回動運動させる際も滑り外れることなく描くことが可能となる。
【0033】
しかも、コンパス針部先端部に位置するスチール製凹型曲面部、ネオジウム磁石はラバーによって外嵌着されている為、当接点に対し磁力、ゴムの摩擦力の相まった効果で滑ること確実に係止しなくかつ描くべく円周等の回転方向に対してはスムースに接点からずれることなく回動し、正確な図形を簡単に描くことが可能となる。
【0034】
更に、球形をなすネオジウム磁石の半球部はスチール製凹型曲面部に磁力によって嵌合着する為、嵌合の為の接着工程の必要もなく製造工程が1段階省略でき、効率的にもコスト的にも容易にコンパス針部先端部を形成することができる。
【0035】
又、コンパス針部を連結させるコンパス支持部の嵌合受部の素材を請求項2のように真鍮にすると、真鍮は銅と亜鉛の合金であり磁力は存在しなく球形ネオジウム磁石、真鍮間の磁界は発生しない為、球形ネオジウム磁石の磁力線は上方向に位置する嵌合受部に走行することはなく、その殆どがコンパス針部先端部とスチール製黒板、ボード間に集中走行することで球形ネオジウム磁石の磁力はより強力に働き、その結果係止力をより高めることができる。
【0036】
次に、コンパス描画部を回動して円周等図形のラインを描く場合、本発明の構成部位である嵌合受部にはコンパス針部の上方部に位置する連結部が回動自在に嵌入するが、その目的はコンパス描画部脚を回動させた段階で連動してコンパス針部もまた回動することを防止する為である。
【0037】
即ち、スチール製黒板、ボードに当接すべくコンパス針部先端部自体は回動せずコンパス支持部のみを回動させることが、極めて安定した円周等図形を描くための重要な要素の一つといえる。
【0038】
加えて、コンパス針部先端部をラバーで被覆することによりスチール製黒板、ボード等の表面を傷つけることなく安心して使用することができる。
【0039】
又、描画終了後係止していたコンパス針部をスチール製黒板、ボード表面から外すことも何ら抵抗無くできる。
【0040】
以上の如く本発明は、作図者にとって無駄な力、バランス力も必要なく極めて効率的かつ正確にとても簡単に予定された円周等図形を描くことができ、従って次の円周等図形を描くことも作図者にとって全く負担がかからず、極めて簡単な作業効率を生み出すことができ、かつ本発明品の制作もまた余分な部材、余分なスペースを必要とすることなく効率よく形成することができるのであり、優れたスチール製黒板、ボード用コンパスを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】 本発明のコンパス本体
図2】 本発明のコンパス軸脚にかかる各部品の正面図
【発明を実施するための形態】
【0042】
自在に開閉可能な両脚を有するスチール製黒板、ボード用コンパスである本発明の部材は、円周等のラインを描くべくチョーク、マーカー等を取付け可能な描画片脚と本発明の特許請求の範囲となるコンパスの回動軸となるコンパス針部を有するコンパス軸脚から形成されている。
【0043】
本発明の効果を最良に発揮可能な形態としては、垂直に位置するスチール製黒板、ボードにコンパスを用いて円周等図形描く際コンパス両脚を開脚させ一定の半径幅を確保した後コンパス針部をコンパスの回動軸としてスチール製黒板、ボードの表面に当接させることになるが、一形態としてコンパスの両脚は予めハの字状に開脚し、コンパス針部をスチール製黒板、ボード表面に対しほぼ垂直な状態で当接することとする。
【0044】
次に、コンパス針部をスチール製黒板、ボードに当接させた後ラインを描くべくチョーク、マーカー等取付けた片脚を必要な半径幅分開脚してラインを描く際コンパス針部を斜め方向に傾けることになる。
【0045】
以上の実施形態により、コンパス針部をスチール製黒板、ボード表面に対し垂直だけではなく傾斜して当接させた場合にコンパス針部が当接点からずれることなくコンパス回動軸としての役割を果たす効果を見定めることができる。
【実施例】
【0046】
本発明はスチール製黒板、ボード用コンパスを提示するものであるが、その構成として、コンパス本体(1)は開閉自在な両脚を有し、描画片脚(2)にはチョーク、マーカー等で図形ラインを描く部材を有し、他方の片脚はコンパス軸脚(3)であり、コンパス軸脚(3)はコンパス支持部(4)とコンパス針部(5)とで連結形成している。
【0047】
コンパス支持部(4)の下方先端部に嵌合受部(6)を設けており、コンパス針部(5)の部位は上方に位置する連結部(7)と連結部(7)下方にスチール製凹型曲面部(8)を形成している。
【0048】
連結部(7)の先端部はコンパス支持部(4)の嵌合受部(6)に回動自在に滑動するよう嵌入連結している。
【0049】
コンパス針部(5)の下方に位置するスチール製凹型曲面部(8)には、球形ネオジウム磁石(9)がその磁力によりスチール製凹型曲面部(8)に嵌合固着し、連結部(7)の先端部がコンパス支持部(4)の嵌合受部(6)に嵌入する箇所以外のコンパス針部(5)を一体的に外嵌着するラバー(10)を形成している。
【0050】
本発明のスチール製黒板・ボード用コンパスを使用する形態は円周等図形を描く際に、主としてコンパス本体(1)の両脚を描くべく半径幅を確保して開脚した状態で垂直に位置するスチール製黒板、ボードの表面にコンパスの回動軸となるコンパス針部(5)の先端部をボード等に当接させるか、その先端部をボード等に垂直に当接した後必要とされる半径幅を確保する2通りの作図方法がある。
【0051】
いずれにしても円周等図形を作図する際に、コンパス針部(5)の先端部はラバー(10)でコーティングされた状態で垂直に位置するスチール製黒板、ボードの表面に対し、傾斜した状態で押圧当接することになる。
【0052】
従って、コンパス針部(5)の先端部は球形ネオジウム磁石(9)の磁力により、スチール製黒板、ボード(1)の表面を滑ることなく係止し、コンパス針部(5)を回動軸として容易に正確な円周等図形のラインを描く段階に進めることができる。
【0053】
次にラインを描ぐ段階において、描画片脚(2)を回動させると連動してコンパス軸脚(3)の上部に位置するコンパス支持部(4)自体は回動するが、コンパス軸脚(3)の下部に位置するコンパス針部(5)は連結部(7)がコンパス支持部(4)の嵌合受部(6)に嵌入し回動自在に滑動する為、コンパス支持部(4)自体が回動しても、コンパス針部(5)は回動することなく予め当接した地点で安定して係止させることができる。
【0054】
それ故、予定の回動運動が可能となり、円周等図形の始点と終点がずれることなく一致して描き終えることができる。
【0055】
予定の円周等図形を描き終えた後、コンパス針部(5)をスチール製黒板、ボードの表面から容易に離脱させることができ、次の円周等図形の作図へとスムースに進行することが可能である。
【0056】
またコンパス針部(4)を全体的にラバー(10)でコーティングしているためスチール製黒板、ボードの表面に当接する部位には一定の摩擦力が発生し、球形ネオジウム磁石(9)による磁力と相まってより安定した係止が確保されることになりかつスチール製黒板、ボードの表面を傷つけることもなく長期に亘り安定して使用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のスチール製黒板及びボード用のコンパスは、学校等での学習、プレゼンス等において、スチール製黒板及びボードに円周等図形を描くための用具として利用可能とすることを目的とする。
【符号の説明】
【0058】
1 コンパス本体
2 描画片脚
3 コンパス軸脚
4 コンパス支持部
5 コンパス針部
6 嵌合受部
7 連結部
8 スチール製凹型曲面部
9 球形ネオジウム磁石
10ラバー
【要約】
【課題】 本発明はコンパスを用いてスチール製黒板、ボード上に円等図形を描画する際、コンパス軸脚を一定の磁力によりずれたり離れたりすることなく係止させ、安定した円等図形を描くことを課題としている。
【解決手段】 コンパス軸脚はコンパス支持部とコンパス針部から形成され、コンパス針部先端に球形ネオジウム磁石を有することでコンパス針部がスチール製黒板、ボード上に磁力により係止し、かつコンパス針部はコンパス支持部に回動自在に嵌入している為、円等図形を描画する際、コンパス支持部はコンパス本体と連動して回動するが、コンパス針部は回動しない為、安定して予定の円等図形を描くことが可能なスチール製黒板及びボード用のコンパスを提供する。
【選択図】図1
図1
図2