特許第6384804号(P6384804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6384804足指のための吸水性包帯および吸水性包帯群
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6384804
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】足指のための吸水性包帯および吸水性包帯群
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/06 20060101AFI20180827BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61F13/06 M
   A61F13/00 351
【請求項の数】4
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2018-46419(P2018-46419)
(22)【出願日】2018年3月14日
【審査請求日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-220508(P2017-220508)
(32)【優先日】2017年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507131355
【氏名又は名称】鈴木 和博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木和博
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/077768(WO,A1)
【文献】 特表2010−504835(JP,A)
【文献】 実開平05−095520(JP,U)
【文献】 特開2009−178353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00−13/14
A61L 15/00−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯であって、前記吸水性包帯の長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯。
【請求項2】
通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯片(1)を少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に前記長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする請求項1に記載の足指のための吸水性包帯。
【請求項3】
前記吸水性包帯(3)において、薬品が付加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の足指のための吸水性包帯。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)であって、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐であるところの補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっていることを特徴とする足指のための吸水性包帯群。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品とその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
足指および足指股周辺の皮膚表面に発生する疾患として、白癬菌を原因とする皮膚の疾患、いわゆる水虫がある。この皮膚疾患を治療または予防する際の補助的な手段として足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収する手当の方法が知られている。そしてこの方法を実現するための用品に関する提案がなされている。(特許文献1から4)
それらは吸水性を有する用品であり足指にあてがうというものである。しかし本願発明者の理解の範囲内においてであるが、それらは広く一般の小売店舗等において陳列販売されているというものではなく、市場において受け入れられている様子がない。その理由として、それらの用品は前記の目的の用品として必要な特徴、すなわち要件を満たしていないのではないかと推測される。
【0003】
足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収し、前記皮膚疾患に悩む人々の助けとなり広く市場に受け入れられるためには当該用品が持つべきいくつかの特徴があり、それを満たす必要があると考えるのであるが、それらを満たした用品はまだ提供されていないのではないかというのが本願発明者の理解である。
本願発明では、前記皮膚疾患が発生し中々治らない原因のひとつとされる状況において、すなわち日中長く靴を履いて過ごす状況において、当該用品がその目的を達成しかつ広く消費者に受け入れられるために持つべき特徴とはどのようなものであるかについて考察し、それらの持つべき特徴を全て有する発明品を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−013123
【特許文献2】実開平01−180221
【特許文献3】実開平05−095520
【特許文献4】特開2009−178353
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品およびその作製方法を提供することを目的とする。
当該用品が対象とする前記皮膚疾患について、それが発生し中々治らない原因のひとつとされる状況とは、日中長く靴を履いて過ごす状況にある。このような状況において当該用品がその目的を達成しかつ広く消費者に受け入れられるために持つべき特徴とはどのようなものであるか、本願発明者が考えるところの要件としては以下が挙げられる。
すなわち、まず、適用すべき足指の本数について足指1本から5本まで対象とする本数の足指に適用可能であること。これは対象とする足指の本数に関する適用性である。
次に、それらの適用対象とする足指および足指股周辺に対してあてがうことが可能であること。これは対象とする足指へあてがう箇所もしくは場所に関する適用性である。
次に、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応すること。これは対象とする足指の大きさに関する適用性である。
次に、装着および脱着が容易であること。これは適用の前後における着脱に関する適用性である。
次に、適用中にずれたり外れたりしにくいこと。また、破れたりしないこと。これは継続的な装着に関する適用性である。
次に、高い吸水性を持つこと。これは適格な吸水効果に関する適用性である。
最後に、適用中に痛みがないこと。これは快適な装着に関する適用性である。
当該用品がその目的を達成しかつ広く消費者に受け入れられるために持つべき特徴とは以上であると考えられる。
また、これらに加えて、当該用品を作製する側面において持つべき特徴として、構成および構造がシンプルであること、複雑な作製工程が含まれていないこと、以上が挙げられる。
これらの特徴の全てを有する用品を提供することが本願発明における課題であり、本願発明はこれらの特徴の全てを有する用品を提供するものである。
【0006】
本願発明では、前記の特徴の全てを有する用品を提供することがその目的である。しかしながら他の用品、すなわち先行技術文献に掲載した特許文献が提示する用品は、前記の要件のうち少なくとも1つの要件についてそれを満たしていないものと思われる。
【0007】
例えば、用品が紐状のもので、その両端を接着するものの場合、その長さが固定されるため、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応出来ない。
同様に用品が紐状のもののときで、その長さが短すぎる場合、足指1本から5本まで対象とする本数の足指に適用可能でなく、また、適用中にずれたり外れたりする恐れがあり、また、装着と脱着が容易ではない。また、その長さが長すぎる場合、余った部分がずれたり、余った部分によって皮膚が圧迫されたりして痛みの原因となる恐れがある。
用品が足指の間に挟む形態の場合、装着時や適用中にずれたり外れたりする恐れがあり、また、足指の周辺をより広く適用対象としてあてがうことができない。
用品が輪の形状で足指を通す形態の場合、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応出来ず、また、装着と脱着が容易ではない。
【0008】
これらの考察からすると、適用する際に長さを調節できるような比較的長めの紐状の形態が本目的の用品として適しているものと考えられる。紐状の用品はこれを足指にあてがい巻いて適用するため、足指1本から5本まで適用可能であり、足指および足指股周辺に対してあてがうことができ、装着も脱着も楽であり、ずれにくく外れにくい。長さが合わない場合はちょうどよい長さに切ることで老若男女の様々に異なる足指のサイズにも対応可能である。適切な吸水性素材を包含させることで吸水性を確保することができ、また、紐状の包帯の作製は比較的に容易であると考えられる。
しかし、紐状の用品を足指にあてがい巻いて適用し靴を履く場合、そのままでは痛みが発生する恐れがある。特に足指の腹の側でなく甲の側、および親指および小指の側面で靴に当たる側において用品が皮膚を圧迫して痛みを生じさせる恐れがある。また、特許文献4のように低反発性ポリウレタンのような痛みが少ない素材を用いるとしても、均一的な吸水性を確保するために吸水性素材を均一に配置し保持する工夫が必要である。その一例として高分子吸水性ポリマー等の吸水性の特性を有する高分子化合物の粒子を綿状パルプのような繊維素材に配合させるとあるが、このため一定の厚さを持つことになり、一定の厚さを持つ包帯をそのまま足指にあてがい巻いて適用した場合は適用中に痛みを生じさせる恐れがある。したがってその痛みを軽減するかまたは回避する対応策が必要となる。本願発明はこれらの問題を解決する手段を提案するものであり、これにより前記の特徴の全てを有する用品を提供するものである。
なお本出願の発明者は前記問題に対して既にある特許を得ているものであるが、それとは別に、本出願において再度、異なる着想と独創性に基づき、前記問題に対する新たな解決策を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は前記の問題を解決するものであり、本願発明の1は、通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯であって、前記吸水性包帯の長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯である。
【0010】
すなわち、本願発明の1であるところの吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性素材(6)を内部に有し、引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯である。
【0011】
すなわち、本願発明の1の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性を有する包帯であり、適宜にこれを引き伸ばすことができるという機能性を有する足指のための吸水性包帯である。
【0012】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性を有する包帯である。したがって、通気性があり水分も通過する素材により成る包帯である。しかし、部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられることがあってもよい。前記吸水性包帯(3)を構成する素材のうち、通気性があり水分も通過する素材が用いられる部分の割合と、通気性がなく水分が通過しない素材の部分の割合は、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
なお、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯であるが、これは紐状といってもよい。したがって、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯状または紐状である。
【0013】
ここで、吸水性素材(6)とは、吸水性を有する素材である。吸水性素材(6)としては、ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物をはじめとして種々の素材がある。ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物が性能とコストの面から好適であるが、しかしながらこれら以外でもよいものとする。
【0014】
また、前記吸水性包帯(3)の吸水性の度合いは、その内部の吸水性素材(6)の量とその素材の吸水性の度合いに依る。この吸水性の度合いは、本願発明の主旨と目的に沿って決定されるべき項目である。例として挙げたポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物の粒状体は、自身の重量の約100倍から約300倍の重量の水分を吸収することが出来るため、これらの粒状体を全体で数グラム程包含する吸水性包帯(3)であれば、それを例えば一日中足指に装着したとしてその間足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収することが出来る。このような検討のもとに、適切な吸水性を有するように素材の種類と量について適切な選択をして設計および製造されなければならない。その吸水性の数値の規定に関しては、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0015】
ここで、「通気性」と「水分の通過」の意味とその関係性であるが、「通気性」とは「水分以外を通過させて水分を通過させない性質」とするものではない。本願発明では「通気性」をそのように限定的に用いる必要はなく、したがってそのような限定的な意味としては用いない。ここで「通気性」といえば通常そうであるように「水分も通過させる」という意味である。しかし、前記吸水性包帯(3)の素材を「通気性のある素材」とした場合に、本願発明の趣旨と関係なく水分の通過が排除されて解釈される恐れがあるので、上記のように意味的に重なる点があるが「通気性があり水分も通過する素材」または「通気性があり水分も通過する包帯」等と表現している。
また、「通気性がなく」と「水分が通過しない」の意味とその関係性であるが、「通気性がなく」とは水分や水蒸気を含めて空気の通過ができないことを指し、「水分が通過しない」とは文字通り水分や水蒸気が通過できないことを指す。したがって、「通気性がなく水分が通過しない」とは意味的に重なる点があるが「水分が通過しない」ことを表現している。
なお、通気性と水分の通過の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0016】
通気性があり水分も通過する素材の例としては、不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。一般に上記に記した繊維素材をはじめとする素材は通気性を持ち、水分も通過することが出来、加工性に優れている。なお、例外的にはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等の通常は通気性がなく水分が通過しない素材であってもそれに水分が通過するための穴等がある場合または細長くされて組み合わされた場合は水分が通過するので吸水性包帯(3)の素材の例に含まれるものとする。吸水性包帯(3)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
前記吸水性包帯(3)は、その素材少なくとも1枚を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施されてできた包帯であり、その素材の重ね合わせの間の空間に吸水性を有する吸水性素材(6)を含んでいる。
【0017】
吸水性包帯(3)は部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられてもよい。通気性がなく水分が通過しない素材の例としては、ビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等がある。
【0018】
上記の素材の総称を以下では包帯素材ともいうこととする。したがって、吸水性包帯(3)には主に通気性があり水分も通過する包帯素材が用いられ、部分的に通気性がなく水分が通過しない包帯素材が用いられてもよい。
【0019】
本願の吸水性包帯(3)は、前記のような構成の形態を含むものであり、かつ引き伸ばし手段が施されている。
ここで引き伸ばし手段とは、それが施されている前記吸水性包帯(3)を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりしたとき、その部分およびその周辺の形状が変化し、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がるような工夫が前記吸水性包帯(3)の素材に対して施されている状態を指すものであり、そのような工夫を引き伸ばし手段と呼ぶものである。
本願発明における引き伸ばし手段の例としては、素材に対して切れ目もしくはミシン目等の工夫を施すことであり、そのような工夫がある素材を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
例えば切れ目もしくはミシン目が交互に施されているとき、すなわち例えば、切れ目が交互に施されているとき、またはミシン目が交互に施されているとき、または切れ目とミシン目が混合して交互に施されているとき、これを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
前記吸水性包帯(3)の素材として、伸縮性もしくは弾性のある素材例えば糸ゴムや弾性繊維を用いた素材を用いたとしてもよいが、素材そのままでは素材のもつ復元力が働き、足指に適用した場合に足指を締め付けることになるので、その復元力を軽減するための工夫が必要であり、その場合の引き伸ばし手段としては例えば前記のような切れ目もしくはミシン目を交互に施すなどの例や、または、糸ゴムの場合はその糸ゴムに細かな切れ込みをあらかじめ入れておくとか、糸ゴムをあらかじめ短く切っておくなどの工夫が引き伸ばし手段に該当する。このような工夫がある場合は本発明品を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりすると、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、糸ゴムの場合は細かな切れ込みの箇所で切れて、完全には元に戻らないため、足指を締め付けるということがない。
このように引き伸ばし手段には、素材が有する復元力について、もしそれが必要以上に強い場合は、その復元力を軽減する工夫も含まれる。
すなわち引き伸ばし手段には、引き伸ばすことができるようにする工夫の側面と、引き伸ばした状態が保たれるようにする工夫の側面がある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯(3)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
引き伸ばし手段の例として図1図9で表している。
【0020】
以上のような引き伸ばし手段を施した吸水性包帯(3)であるので、これを足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は、前記吸水性包帯(3)を引き伸ばして、その状態を変化させることが出来る。
使用者は痛みを感じるところや違和感を持つところについてその箇所かまたはその箇所の周辺を引っ張ることで、その特定の箇所の前記吸水性包帯(3)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。ここで動かすとは、その位置が変化することを意味する。また、その状態を変化させるとは、適用されているところの足指に当たるところの位置や角度などを変化させることを意味する。
【0021】
ここで引き伸ばし手段としては、引き伸ばした際に素材に強い復元力がかからないものとしなければならない。その理由としては、引き伸ばした後に強く復元力がかかるとすると、元に戻ってしまうとか、または足指を強く締め付けるなどの状態が発生する恐れがあり、適用の際に快適であるべきという本願発明の課題解決の1つに沿わない結果となるからである。引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持することが求められる。したがって強い復元力を有するような工夫を講ずるべきでない。この引き伸ばし手段には復元力は特に必要としない。しかしこれは復元力をゼロとするべきであるという意味ではない。前記に示したように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられるが、どのような引き伸ばし手段を講じたとしてもそれを引き伸ばしたときに多少の弾力性により復元力が生ずるものである。また素材そのものにも通常弾力性や復元力があるものである。したがって、引き伸ばし手段により生ずるところの弾力性と復元力の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。したがって前記吸水性包帯(3)の作製においては種々の設計に応じた素材を用いて、種々の引き伸ばし手段を施すことができる。
【0022】
前記のように、また図にも示したように、引き伸ばし手段の形態としては様々なものがある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯(3)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0023】
また、この引き伸ばし手段とは前記吸水性包帯(3)に対して施されるものであるが、これを引っ張ったときに中に包含されている吸水性素材(6)が外に出ることのないような工夫が必要である。この工夫には様々な方式が考えられるが、超音波エネルギーを付与することで素材を溶着する工夫や、接着剤を用いる方式が考えられる。超音波エネルギーを付与して溶着する方法が構成要素が増えないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0024】
前記の構成と構造により成ることから、本願発明の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用すると、使用者は足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することが出来、加えて前記吸水性包帯(3)が引き伸ばし手段を有することから、引き伸ばし手段のある部分またはその周辺部分を引き伸ばして、前記吸水性包帯(3)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
【0025】
すなわち、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の適宜の調整、すなわち前記吸水性包帯(3)を手などで引っ張って、前記吸水性包帯(3)の位置を動かすまたはその状態を変化させることができる。このときに素材に強い復元力は働かないため足指を強く締め付けるということがなく、また引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持する。
その結果として、本願発明の吸水性包帯(3)は、足指にあてがい巻いて適用する用品として当該用品が持つべき前記の特徴のひとつを有する。すなわち、使用者は装着する際または適用中において前記吸水性包帯(3)の厚みにより痛みが発生した場合、その痛みの原因となる前記吸水性包帯(3)の部分か、またはその周辺の前記吸水性包帯(3)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯(3)の部分およびその周辺を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
したがってこれにより使用者は痛みを軽減または回避することが出来る。そのため快適な装着に関する適用性を満たす。
【0026】
なお、ここで、引き伸ばすまたは引っ張るというとき、これらは基本的には同義であり、前記吸水性包帯(3)を手で引っ張るとか、手で伸ばすとか、いわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。道具を利用して引き伸ばしたり引っ張ったりしてもよい。本発明品は足指に直接適用するものであるから、通常使用者はその上に靴下を履くであろう。すると使用者は直接かまたは靴下の上からこれらを引き伸ばすかまたは引っ張るということになる。
すなわち、ここで、「引き伸ばす」とは、写真を拡大して焼き付けるという意味ではなく、また、期日などを遅らせるとか時間を長びかせるという意味でもなく、対象とするもの(用品、製品)に対して力を及ぼして、引っ張ること、引き伸ばすこと、それにより長くしたり広げたりすること等を指す。また、ここで力を及ぼすとは、上記の通りいわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。
【0027】
本願発明の吸水性包帯(3)は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品として持つべき前記の特徴の全てを有するものである。
本願発明の用品である前記吸水性包帯(3)は、そのものを引き伸ばすことで、本用品を適用する際または適用中に、その位置を動かすかまたは状態を変化させることができるという機能性を有する発明である。
すなわち、本願発明の用品は、足指に吸水性の用品をあてがうだけの受け身的で固定的な適用形態の用品ではなく、使用者にとって不利益となる部分に対して使用者自身が変化を加えることが出来るという、そしてそれにより使用者にとって最も適した状態に能動的に変化せしめて適用することが出来るという性質を持った用品である。
【0028】
本願発明の2は、通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯片(1)を少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に前記長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする本願発明の1に記載の足指のための吸水性包帯である。

【0029】
すなわち、本願発明の2であるところの吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有しており、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする本願発明の1に記載の足指のための吸水性包帯である。
【0030】
すなわち、本願発明の2の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含める。
また、本願発明の2の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含める。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
また、ここで、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されている。
【0031】
すなわち、前記吸水性包帯(3)は、前記吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて前記包帯片(2)を含めて構成される。
つまり、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)1個のみにより構成されてもよい。
また、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されてもよい。
また、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)1個以上複数個および前記包帯片(2)1個以上複数個を含めて構成されてもよい。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
また、ここで、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されている。
【0032】
すなわち前記吸水性包帯(3)の構成において、前記吸水性包帯片(1)は吸水効果を実現するために必須の構成要素であるが、前記包帯片(2)は設計上や製造上の必要に応じて構成に含めるところの構成要素である。
よって、前記のように吸水性包帯(3)には様々な構成が在り得るのである。
なお、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯であるが、これは紐状といってもよい。したがって、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯状または紐状である。
【0033】
典型的な吸水性包帯(3)の例のひとつとしては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個が交互に配置されて互いにつながり1本の吸水性包帯(3)を構成する形態であり、前記吸水性包帯片(1)の全てに吸水性素材(6)が含まれており、前記包帯片(2)の全てに引き伸ばし手段が施されているというものである。
この例は図1図2、および図3に示している。
【0034】
ここで、本願発明の2の中に「必要に応じて」との文言があるが、これは上記のように、本願発明の用品を設計および製造するに際して、包帯片(2)を構成要素に含めるか否かについては当業者による作製上の適宜の選択事項であることを意味している。
【0035】
前記吸水性包帯片(1)は通気性があり水分も通過する包帯である。よって、前記吸水性包帯片(1)は、通気性があり水分も通過する素材を主に用いて成る包帯である。典型的には前記吸水性包帯片(1)は、通気性があり水分も通過する素材のみにより成る包帯である。ただし前記吸水性包帯片(1)の素材として、部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられることがあってもよい。
前記吸水性包帯片(1)を構成する素材のうち、通気性があり水分も通過する素材が用いられる部分の割合と、通気性がなく水分が通過しない素材の部分の割合は、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
【0036】
ここで、吸水性素材(6)とは、吸水性を有する素材である。吸水性素材(6)としては、ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物をはじめとして種々の素材がある。ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物が性能とコストの面から好適であるが、しかしながらこれら以外でもよいものとする。
【0037】
また、前記吸水性包帯(3)の吸水性の度合いは、その内部の吸水性素材(6)の量とその素材の吸水性の度合いに依る。この吸水性の度合いは、本願発明の主旨と目的に沿って決定されるべき項目である。例として挙げたポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物の粒状体は、自身の重量の約100倍から約300倍の重量の水分を吸収することが出来るため、これらの粒状体を全体で数グラム程包含する吸水性包帯(3)であれば、それを例えば一日中足指に装着したとしてその間足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収することが出来る。このような検討のもとに、適切な吸水性を有するように素材の種類と量について適切な選択をして設計および製造されなければならない。その吸水性の数値の規定に関しては、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0038】
また、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯である。
したがって、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る。
したがって、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材により成る包帯か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯である。
なお、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材と、通気性がなく水分が通過しない素材との、両方の素材によって成るものであってもよい。
前記包帯片(2)の作製において、通気性があり水分も通過する素材と通気性がなく水分が通過しない素材とのどちらを用いるか、またはそれらを組み合わせて作製するか、また組み合わせる場合のそれぞれの素材の割合等については、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
すなわち、前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を含め、以上の構成要素を含めて構成される。
【0039】
ここで、「通気性」と「水分の通過」の意味とその関係性であるが、「通気性」とは「水分以外を通過させて水分を通過させない性質」とするものではない。本願発明では「通気性」をそのように限定的に用いる必要はなく、したがってそのような限定的な意味としては用いない。ここで「通気性」といえば通常そうであるように「水分も通過させる」という意味である。しかし、前記吸水性包帯片(1)の素材を「通気性のある素材」とした場合に、本願発明の趣旨と関係なく水分の通過が排除されて解釈される恐れがあるので、上記のように意味的に重なる点があるが「通気性があり水分も通過する素材」または「通気性があり水分も通過する包帯」等と表現している。
また、「通気性がなく」と「水分が通過しない」の意味とその関係性であるが、「通気性がなく」とは水分や水蒸気を含めて空気の通過ができないことを指し、「水分が通過しない」とは文字通り水分や水蒸気が通過できないことを指す。したがって、「通気性がなく水分が通過しない」とは意味的に重なる点があるが「水分が通過しない」ことを表現している。
なお、通気性と水分の通過の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0040】
前記吸水性包帯片(1)とは、吸水性を有する包帯であり、前記吸水性包帯(3)の構成要素である。前記吸水性包帯片(1)があることで、前記吸水性包帯(3)を使用者が足指に適用した際に足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することができる。
つまり、前記吸水性包帯(3)において、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有するのであるが、前記吸水性包帯(3)が複数の吸水性包帯片(1)を構成要素として有する場合、通常は前記吸水性包帯片(1)複数個の全てにおいてその内部に吸水性素材(6)を包含するのが好適である。
【0041】
以上のように、本願発明の吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて前記包帯片(2)を含めて構成される。
ここで吸水性包帯片(1)は通気性があり水分も通過する素材を含む包帯であるが、その素材の例としては不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。一般に上記に記した繊維素材をはじめとする素材は通気性を持ち、水分も通過することが出来、加工性に優れている。なお、例外的にはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等の通常は通気性がなく水分が通過しない素材であってもそれに水分が通過するための穴等がある場合または細長くされて組み合わされた場合は水分が通過するのでは吸水性包帯片(1)の素材の例に含まれるものとする。吸水性包帯片(1)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
前記吸水性包帯片(1)は、上記の素材少なくとも1枚を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施されてできた包帯であり、前記吸水性包帯片(1)の少なくとも1個は、その素材の重ね合わせの間の空間に吸水性を有する吸水性素材(6)を含んでいる。
【0042】
また、包帯片(2)とは、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯である。
通気性があり水分も通過する素材の例としては不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。
通気性がなく水分が通過しない素材の例としてはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等である。
包帯片(2)の素材としては不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながらこれ以外でもよいものとする。
包帯片(2)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
【0043】
上記の吸水性包帯片(1)の素材および包帯片(2)の素材の総称を以下では包帯素材ともいうこととする。したがって、吸水性包帯片(1)には主に通気性があり水分も通過する包帯素材が用いられ、包帯片(2)には通気性があり水分も通過する包帯素材か、または、通気性がなく水分が通過しない包帯素材が用いられる。
【0044】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)、これまたはこれらを含めて構成される。ここで「これ」というのは、吸水性包帯片(1)1個のみにより構成される吸水性包帯(3)があるためである。
したがって、前記吸水性包帯(3)は、次のように表現される吸水性包帯を含む。すなわち、本願発明の2は、「通気性があり水分も通過する素材により成る包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過する素材または通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、これまたはこれらにより構成される吸水性包帯(3)であって、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有しており、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯」を含む。
【0045】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)、これまたはこれらを含めて構成される。ここで「これ」というのは、吸水性包帯片(1)1個のみにより構成される吸水性包帯(3)があるためである。
ここで構成されるとは、なんらかの方法でつながることで構成されることを意味する。
ここで、つながるとは、次の形態を含めた形態で素材がつながる場合を意味する。すなわち、接続することでつながっている場合、同一素材で連続することでつながっている場合、組み合わすことでつながっている場合等である。
【0046】
接続することでつながっている場合とは、2つの素材を、超音波エネルギーを付与することで接合するか、もしくは接着剤で接着するか、もしくは接着テープで接着するか、もしくは面ファスナーにより接合するか、もしくは両面接着テープにより接着するか、もしくは糸で結ぶか等の接続手段を施してつながっていることを指す。このうち超音波エネルギーを付与することで接合する方法が構成要素が増えないために好適であるが、しかしこれら以外の接続方法でもよいものとする。
例外的に例えば、2つの素材の間に例えば吸水紙が存在しこれを介在して2つの素材が接続してつながっている場合も、その間の吸水紙はそれら2つの素材のどちらかに属する素材としてみなすことができるため、つまり、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の一部分とみなすことができるため、このような場合も結局2つの素材が接続することでつながっているものとみなすことが出来る。
【0047】
同一素材で連続することでつながっている場合とは、同一の素材により作製されていることを指す。見た目上は2つの構成要素がつながっているようにも見えるのであるが、もともと同一の、同種類という意味でなく、もともと同一の素材で作製されている状態である。同一であるから同種類でもある。
【0048】
組み合わすことでつながっている場合とは、2つの素材に関して、一方の少なくとも1箇所において、穴、もしくは切れ目、もしくは輪等の組み合わせ用の箇所を施し、他方が前記組み合わせ用の箇所を通る等の組み合わせ手段により組み合わされることを指す。一方に切れ目を施し他方がこれを通る方法が作製上容易であるために好適であるが、しかしながらこれら以外の組み合わせ方法でもよいものとする。例えば糸やまたはある一定の幅を有する輪状の素材を介してつながるというような形態もこの組み合わせの方式に属する。この場合、輪状の素材は前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の一部分とみなすことができる。
【0049】
本願の吸水性包帯(3)は、前記のような構成の形態を含むものであり、かつ前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されているというものである。
ここで引き伸ばし手段とは、それが施されている前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりしたとき、その部分およびその周辺の形状が変化し、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がるような工夫が前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の素材に対して施されている状態を指すものであり、そのような工夫を引き伸ばし手段と呼ぶものである。
本願発明における引き伸ばし手段の例としては、素材に対して切れ目もしくはミシン目等の工夫を施すことであり、そのような工夫がある素材を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
例えば切れ目もしくはミシン目が交互に施されているとき、すなわち例えば、切れ目が交互に施されているとき、またはミシン目が交互に施されているとき、または切れ目とミシン目が混合して交互に施されているとき、これを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
前記吸水性包帯片(1)および前記包帯片(2)の素材として、伸縮性もしくは弾性のある素材例えば糸ゴムや弾性繊維を用いた素材を用いたとしてもよいが、素材そのままでは素材のもつ復元力が働き、足指に適用した場合に足指を締め付けることになるので、その復元力を軽減するための工夫が必要であり、その場合の引き伸ばし手段としては例えば前記のような切れ目もしくはミシン目を交互に施すなどの例や、または、糸ゴムの場合はその糸ゴムに細かな切れ込みをあらかじめ入れておくとか、糸ゴムをあらかじめ短く切っておくなどの工夫が引き伸ばし手段に該当する。このような工夫がある場合はこれを手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりすると、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、糸ゴムの場合は細かな切れ込みの箇所で切れて、完全には元に戻らないため、足指を締め付けるということがない。
このように引き伸ばし手段には、素材が有する復元力について、もしそれが必要以上に強い場合は、その復元力を軽減する工夫も含まれる。
すなわち引き伸ばし手段には、引き伸ばすことができるようにする工夫の側面と、引き伸ばした状態が保たれるようにする工夫の側面がある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
引き伸ばし手段の例として図1図9で表している。
【0050】
前記包帯片(2)の引き伸ばし手段の例としては、前記包帯片(2)に対して切れ目を施すことであり、そのような工夫がある包帯片(2)を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。この例は図1で表している。
【0051】
前記吸水性包帯片(1)の引き伸ばし手段の例としては、前記吸水性包帯片(1)を構成する要素としての素材が、あらかじめその中に吸水性素材(6)を有し、包帯の長く伸びた方向とは垂直に細長く短く作製されており、それらの複数がつながって1つの前記吸水性包帯片(1)を構成しており、かつこのつながりの部分に切れ目またはミシン目等が施されているような構造的工夫が挙げられる。
これは、1つの前記吸水性包帯片(1)を構成する要素があらかじめ複数用意されていてそれらが引き伸ばし手段を施すと同時につながるという方法である。
このような吸水性包帯(3)を前記吸水性包帯片(1)の箇所またはその周辺の箇所で引っ張ると、前記吸水性包帯片(1)が引き伸ばされ、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例は図4図6、および図7で表している。
【0052】
または、前記吸水性包帯片(1)の引き伸ばし手段の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)においてあらかじめその内部の吸水性素材(6)が縦に(縦とは包帯の長く伸びた方向とは垂直の方向に)複数列配置されており、その間に切れ目またはミシン目等を施すようにする構造的工夫が挙げられる。
これは、1つの前記吸水性包帯片(1)を構成する素材がひとつ(または一組)あり、その内部の吸水性素材(6)があらかじめ複数列構造的に配置されていて、ミシン目等の引き伸ばし手段がそれらの吸水性素材(6)の配置の間に対して施されるというものである。
このような前記吸水性包帯片(1)を含む吸水性包帯(3)を前記吸水性包帯片(1)の箇所またはその周辺の箇所で引っ張ると、前記吸水性包帯片(1)が引き伸ばされ、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例の吸水性包帯(3)の外観と引き伸ばされる様子は図4図6、および図7と類似しかつ機能的には同等であるので、この作製方法の図示は省略する。
【0053】
前記吸水性包帯(3)の典型的な例のひとつとしては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個が交互に配置されて互いにつながり1本の吸水性包帯(3)を構成する形態において、全ての前記包帯片(2)に引き伸ばし手段が施されているというものがある。この例は図1で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個により構成されていて、それらの全てに引き伸ばし手段が施されるものがある。この例は図4で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)と引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)とが交互につながって吸水性包帯(3)を構成しているものがある。この例は図6で表している。これは、前記吸水性包帯(3)が前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されている例のひとつである。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されていて、その全てに引き伸ばし手段が施されるものがある。この例は図7で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)1個のみにより構成されていて、これ全体に引き伸ばし手段が施されるものがある。ここで、複数の吸水性包帯片(1)がつながった状態を新たな吸水性包帯片(1)1個と見做すと、図6図7、および図8は、1つの吸水性包帯片(1)によりなる吸水性包帯(3)と見做すことができる。
【0054】
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)がごく小さな大きさであり、これが互いにたてよこに繋がっていて構成されるような吸水性包帯(3)であって、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に切れ目またはミシン目等が施してあるような構造的工夫が挙げられる。このような吸水性包帯(3)を引っ張ると、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例は図8で表している。
【0055】
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数と前記包帯片(2)1つとで構成される吸水性包帯(3)であって、前記包帯片(2)に切れ目またはミシン目等が施してあるような構造的工夫が挙げられる。このような吸水性包帯(3)を前記包帯片(2)の引き伸ばし手段が施してある箇所で引っ張ると、その付近で前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がり、その付近にある前記吸水性包帯片(1)の位置を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。この例は図9で表している。
以上のように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられ、かつ、以上のように前記吸水性包帯(3)のどの構成要素に引き伸ばし手段を施すかについては様々な構成と選択が在りうる。
【0056】
以上のような引き伸ばし手段を施した吸水性包帯(3)であるので、これを足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は、前記吸水性包帯片(1)、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
例えば、前記吸水性包帯片(1)と前記包帯片(2)が互いに隣り合って交互に構成されている場合、そして前記包帯片(2)に引き伸ばし手段が施してある場合、それらのうちのある特定の前記吸水性包帯片(1)の位置を変えたいかまたはその状態を変化させたいというとき、その特定の前記吸水性包帯片(1)か、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引っ張ることで、その特定の前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。ここで動かすとは、その位置が変化することを意味する。また、その状態を変化させるとは、適用されているところの足指に当たるところの位置や角度などを変化させることを意味する。
【0057】
ここで引き伸ばし手段としては、引き伸ばした際に素材に強い復元力がかからないものとしなければならない。その理由としては、引き伸ばした後に強く復元力がかかるとすると、元に戻ってしまうとか、または足指を強く締め付けるなどの状態が発生する恐れがあり、適用の際に快適であるべきという本願発明の課題解決の1つに沿わない結果となるからである。引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持することが求められる。したがって強い復元力を有するような工夫を講ずるべきでない。この引き伸ばし手段には復元力は特に必要としない。しかしこれは復元力をゼロとするべきであるという意味ではない。前記に示したように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられるが、どのような引き伸ばし手段を講じたとしてもそれを引き伸ばしたときに多少の弾力性により復元力が生ずるものである。また素材そのものにも通常弾力性や復元力があるものである。したがって、引き伸ばし手段により生ずるところの弾力性と復元力の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。したがって前記吸水性包帯(3)の作製においては種々の設計に応じた素材を用いて、種々の引き伸ばし手段を施すことができる。
【0058】
前記のように、また図にも示したように、引き伸ばし手段の形態としては様々なものがある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
前記包帯片(2)に引き伸ばし手段を施した場合、吸水性素材(6)が出てくる恐れもないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0059】
また、この引き伸ばし手段とは前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に対して施されるものであるが、前記吸水性包帯片(1)にこの引き伸ばし手段を施す場合は、これを引っ張ったときに中に包含されている吸水性素材(6)が外に出ることのないような工夫が必要である。この工夫には様々な方式が考えられるが、超音波エネルギーを付与することで素材を溶着する工夫や、接着剤を用いる方式が考えられる。超音波エネルギーを付与して溶着する方法が構成要素が増えないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0060】
前記の構成と構造により成ることから、本願発明の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用すると、使用者は足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することが出来、加えて前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)が引き伸ばし手段を有することから、前記吸水性包帯片(1)、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
【0061】
すなわち、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の適宜の調整、すなわち前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手などで引っ張って、前記吸水性包帯片(1)の位置を動かすまたはその状態を変化させることができる。このときに素材に強い復元力は働かないため足指を強く締め付けるということがなく、また引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持する。
その結果として、本願発明の吸水性包帯(3)は、足指にあてがい巻いて適用する用品として当該用品が持つべき前記の特徴のひとつを有する。すなわち、使用者は装着する際または適用中において前記吸水性包帯(3)の厚みにより痛みが発生した場合、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)そのものか、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
したがってこれにより使用者は痛みを軽減または回避することが出来る。そのため快適な装着に関する適用性を満たす。
【0062】
なお、ここで、引き伸ばすまたは引っ張るというとき、これらは基本的には同義であり、前記吸水性包帯(3)またはその構成要素であるところの前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手で引っ張るとか、手で伸ばすとか、いわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。道具を利用して引き伸ばしたり引っ張ったりしてもよい。本発明品は足指に直接適用するものであるから、通常使用者はその上に靴下を履くであろう。すると使用者は直接かまたは靴下の上からこれらを引き伸ばすかまたは引っ張るということになる。
すなわち、ここで、「引き伸ばす」とは、写真を拡大して焼き付けるという意味ではなく、また、期日などを遅らせるとか時間を長びかせるという意味でもなく、対象とするもの(用品、製品)に対して力を及ぼして、引っ張ること、引き伸ばすこと、それにより長くしたり広げたりすること等を指す。また、ここで力を及ぼすとは、上記の通りいわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。
【0063】
本願発明の吸水性包帯(3)は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品として持つべき前記の特徴の全てを有するものである。
本願発明の用品である前記吸水性包帯(3)は、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばすことで、本用品を適用する際または適用中に、その主要な構成要素である前記吸水性包帯片(1)についてその位置を動かすかまたは状態を変化させることができるという機能性を有する発明である。
すなわち、本願発明の用品は、足指に吸水性の用品をあてがうだけの受け身的で固定的な適用形態の用品ではなく、使用者にとって不利益となる部分に対して使用者自身が変化を加えることが出来るという、そしてそれにより使用者にとって最も適した状態に能動的に変化せしめて適用することが出来るという性質を持った用品である。
【0064】
本願発明の3は、前記吸水性包帯(3)において、薬品が付加されていることを特徴とする本願発明の1または2に記載の足指のための吸水性包帯(3)である。
【0065】
本願発明の吸水性包帯(3)に薬品が付加されていることとは、吸水性包帯(3)の表面または内部に薬品が付加されていることを指す。
ここで薬品とは、対象とする皮膚疾患に対する治療薬、および芳香剤、消臭剤等を指す。これらの薬品が付加されているとは、薬品が吸水性包帯(3)の表面に塗布、浸潤、散布等されていること、もしくは、薬品が吸水性包帯(3)の内部に包含されていることを指す。
薬品が治療薬であり吸水性包帯(3)の表面に塗布されている場合、皮膚表面に治療薬が適用され治療効果がある。薬品が芳香剤、消臭剤等であり吸水性包帯(3)の内部に包含されている場合、皮膚疾患の悪臭を防ぐ効果がある。どちらの場合も当然ながら足指および足指股周辺の皮膚表面の水分は吸収される。
【0066】
本願発明の3の実施例は図としては例示していないが、図1から図9のどの例の吸水性包帯(3)についても薬品が付加されていてよい。例えば図1の図中の図(1)の吸水性包帯(3)の表面に薬品として治療薬を塗布することができる。
【0067】
本願発明の4は、前記本発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)であって、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐であるところの補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっていることを特徴とする足指のための吸水性包帯群である。
【0068】
すなわち、本願発明の4の前記吸水性包帯群(12)は、前記本願発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)の複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)である。
また、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐であるところの補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっている。
【0069】
したがって、前記吸水性包帯群(12)は、前記本願発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)の複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)であり、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっている。
【0070】
ここで、つながるとは、前記と同様の形態で素材がつながる場合を意味する。すなわち、接続することでつながっている場合、同一素材で連続することでつながっている場合、組み合わすことでつながっている場合等である。
【0071】
また、補助包帯紐(13)とは通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐である。
したがって、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る。
したがって、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材により成る紐か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る紐である。
または、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材と、通気性がなく水分が通過しない素材との、両方の素材により成る紐であってもよい。
また、補助包帯紐(13)には、引き伸ばし手段が施してあってもよく、また、施してなくともよく、この点は当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
前記吸水性包帯群(12)の例は図10および図11で表している。
【0072】
本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、その構成要素の吸水性包帯(3)の数を増やすことで全体の大きさを広げてシート状にすることができる。また、本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、吸水性包帯群(12)単独で足指に巻くことのできる程度の大きさで製品化することも出来る。
製品として作製する際に生産性の効率向上の観点から、シート状の吸水性包帯群(12)を作製し提供する場合、使用者側はこのシート状の吸水性包帯群(12)から部分的に、自分の足指に適した吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取り、これらのいずれかを足指に巻いて適用することができる。図10がシート状の吸水性包帯群(12)の例である。
製品として作製する際に、吸水性包帯群(12)単独で足指に巻くことのできる程度の大きさで製品化し提供する場合、使用者側はこの吸水性包帯群(12)をそのまま足指に適用するか、または、これから部分的に自分の足指に適した吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取り、これらのいずれかを足指に巻いて適用することができる。図11は単独ででも足指に巻くことのできる吸水性包帯群(12)の例である。図11では、1本の補助包帯紐(13)を介在して吸水性包帯群(12)複数個が間接的につながっている様子を示している。
本願発明の4の吸水性包帯群(12)を、前記のように、そのままか、あるいは部分的に切り取った吸水性包帯群(12)としてか、または部分的に切り取った吸水性包帯(3)としてか、いずれかの方法にて足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の調整を行うことが出来る。すなわち各吸水性包帯(3)または各吸水性包帯片(1)を動かすかまたは状態を変化させることができる。
このように、本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、その構成要素が前記吸水性包帯(3)であるため、前記に記載した吸水性包帯(3)の特徴を全て有している。
【発明の効果】
【0073】
前記の構成と構造により成ることから、本願発明の用品には特徴として以下がある。
まず、適用すべき足指の本数について、足指1本から5本まで対象とする本数の足指に吸水性包帯(3)を適用可能である。なぜなら吸水性包帯(3)は包帯または紐の形状であり、あらかじめ足指5本に巻きつける長さかまたはそれ以上の長さで提供されることが出来、かつ使用者は必要に応じて吸水性包帯(3)を切って適切な長さにして対象とする足指に無駄なく適用することが出来るからである。すなわち、対象とする足指の本数に関する適用性を満たしている。
【0074】
また、本願発明の用品の効果として、適用対象とする足指の腹部分および足指股周辺に対して吸水性包帯(3)をあてがい巻いて適用することが可能である。なぜなら吸水性包帯(3)の形態は包帯状または紐状であり、これを足指にあてがい巻いて適用するからである。すなわち、対象とする足指へあてがう箇所もしくは場所に関する適用性を満たしている。
【0075】
また、本願発明の用品の効果として、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応することが出来る。なぜなら当該用品は包帯状または紐状でありこれを足指に巻くという使用方法であるためである。また、当該用品は太さと長さの異なる形態で提供することが可能である。
もしも長い場合は使用者は必要に応じて吸水性包帯(3)を適切な長さに切って使うことが出来る。このため余った部分が皮膚を圧迫して痛みの原因となる恐れもない。よって、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応することが出来る。すなわち、対象とする足指の大きさに関する適用性を満たしている。
【0076】
また、本願発明の用品の効果として、装着および脱着が容易である。なぜなら装着する際は吸水性包帯(3)を単に足指に巻くだけであり、脱着する際はこれを引いてほどくだけであるからである。従って輪状の用品のように装着したときにちょうどサイズが合う場合にかえって装着および脱着がしづらいという問題はない。すなわち、適用の前後における着脱に関する適用性を満たしている。
【0077】
また、本願発明の用品の効果として、適用中にずれたり外れたりしにくい。なぜなら前記吸水性包帯(3)を足指に巻くからである。前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばす際も、包帯または紐としての性質には変化がないのであるから吸水性包帯(3)全体として足指に巻いている状態は変わらない。従って適用中に吸水性包帯(3)がずれたり外れたりすることはない。
また、本願発明の用品として、適切な強度を持った包帯素材を用いることで破れたりしない用品を作製することが出来る。用品としては強度と柔らかさのバランスを有するように適した包帯素材によって、または包帯素材の組合せによって作製する。万一痛みが発生するような場合であっても痛みの発生箇所の前記吸水性包帯片(1)そのものか、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。すなわち継続的な装着に関する適用性を満たしている。
【0078】
また、本願発明の用品の効果として、高い吸水性を持つことが可能である。なぜなら吸水性包帯片(1)の作製方法として、包帯素材により吸水性包帯片(1)を作製しその内部に高吸水性高分子化合物の粒状体を包含する形態とすることが可能であるからである。高吸水性高分子化合物の例としてはポリアクリル酸系高吸水性樹脂をはじめとする高吸水性樹脂が挙げられるが、これらの高吸水性樹脂は吸収率が高い場合には自身の重量の約100倍から約300倍の重量の水分を吸収することが出来るため、これらの粒状体を全体で数グラム程包含する吸水性包帯(3)であれば、それを例えば一日中足指に装着したとしてその間足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収することが出来る。
また、吸水性素材(6)の偏りがないように、用品全体として吸水性が部分的に劣る箇所が生じることがないように作製することが出来る。また、個々の吸水性包帯片(1)の中の吸水性素材(6)の均一性を確保する工夫を取ることが出来る。例えば綿状パルプと高吸水性高分子化合物の混合体がその例として挙げられる。以上により、適格な吸水効果に関する適用性を満たしている。
なお、本願発明の吸水性包帯片(1)の内部に配置する吸水性素材(6)の種類と重量の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないためこれらの種類や数値を特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0079】
また、本願発明の用品の効果として、適用中に痛みがない。なぜなら使用者は装着する際または適用中において痛みの原因となる吸水性包帯片(1)についてその位置を動かすかまたは状態を変化させることが出来るからである。それはその痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)そのものか、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来るからである。
前記に、個々の吸水性包帯片(1)の中の吸水性素材(6)の均一性を確保する工夫を記載した。すなわち、例えば綿状パルプと高吸水性高分子化合物の混合体をその例として挙げた。仮にそのために一定の厚さが生じ足指に適用中に痛みが発生する可能性があるとしても、前記のようにすることで、すなわち、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)そのものか、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることで、その痛みを軽減または回避することができる。
以上のように、本願発明は快適な装着に関する適用性を満たしている。
【0080】
本願発明の吸水性包帯(3)に薬品が付加されている場合、その薬品が治療薬であり吸水性包帯(3)の表面に塗布されている場合は、皮膚表面に治療薬が適用され治療効果がある。薬品が芳香剤、消臭剤等であり吸水性包帯(3)の内部に包含されている場合は、皮膚疾患の悪臭を防ぐ効果がある。どちらの場合も当然ながら足指および足指股周辺の皮膚表面の水分は吸収される。
【0081】
以上に示したように本願発明の吸水性包帯(3)および吸水性包帯群(12)は、足指にあてがい巻いて適用する用品として当該用品が持つべき前記の特徴の全てを有している。
また、当該用品を作製する側面において持つべき特徴については、前記にて実施例の図を指し示した通り、本願発明の吸水性包帯(3)は構成および構造がシンプルであり、かつその作製方法には特別に複雑な作製工程は含まれない。従って当該用品を作製する側面において持つべき特徴を有している。この作製方法については実施例においてより詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】吸水性包帯(3)の例1
図2】吸水性包帯(3)の例1の作製工程例1
図3】吸水性包帯(3)の例1の作製工程例2
図4】吸水性包帯(3)の例2
図5】吸水性包帯(3)の例2の作製工程例1
図6】吸水性包帯(3)の例3
図7】吸水性包帯(3)の例4
図8】吸水性包帯(3)の例5
図9】吸水性包帯(3)の例6
図10】吸水性包帯群(12)の例1
図11】吸水性包帯群(12)の例2
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0083】
本願発明の吸水性包帯(3)の例と、その作製方法について図を用いて説明する。
図1は本願発明の吸水性包帯(3)の例である。
図1の例を吸水性包帯(3)の例1と呼ぶこととする。これは、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)が交互につながっている吸水性包帯(3)であり、包帯片(2)に多数の切れ目(4)があり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0084】
図2は、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例である。図2の例を、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例1と呼ぶこととする。これは1枚の連続する不織布により吸水性包帯(3)を作製する工程の例を示している。
【0085】
図3は、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例であり、図2とは異なる例である。図3の例を、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例2と呼ぶこととする。これは吸水性包帯片(1)と包帯片(2)とが元々ばらばらであるところのものをつなげることにより吸水性包帯(3)を作製する例である。
【0086】
図4は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図4の例を、吸水性包帯(3)の例2と呼ぶこととする。これは、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)が交互につながっている吸水性包帯(3)であり、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)の両方に多数の切れ目(4)があり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0087】
図5は、吸水性包帯(3)の例2の作製工程例である。図5の例を、吸水性包帯(3)の例2の作製工程例1と呼ぶこととする。
これは、吸水性包帯片(1)を構成する要素としての素材が、あらかじめその中に吸水性素材(6)を有し作製されており、それらの複数が包帯の長く伸びた方向とは垂直に配置され、それらをつなげて1つの吸水性包帯片(1)を構成し、かつこのつながりの部分に切れ目またはミシン目等を施して引き伸ばし手段を作成するという吸水性包帯片(1)の作成例であり、この吸水性包帯片(1)の複数と包帯片(2)の複数とを交互につなげることで吸水性包帯(3)を作製する工程の例を示している。
【0088】
図6は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図6の例を、吸水性包帯(3)の例3と呼ぶこととする。これは、複数の吸水性包帯片(1)により成る吸水性包帯(3)である。ただし、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)と引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)とが交互につながって吸水性包帯(3)を構成している例である。当該図中の図(1)は引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)であり、当該図中の図(2)は引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)である。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)を引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0089】
図7は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図7の例を、吸水性包帯(3)の例4と呼ぶこととする。これは、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数により成る吸水性包帯(3)である。当該図中の図(1)が引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)である。当該図中の図(2)はそれを複数個つなげて吸水性包帯(3)を構成していることを示す。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)を引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0090】
図8は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図8の例を、吸水性包帯(3)の例5と呼ぶこととする。これは、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数により成る吸水性包帯(3)である。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数をたてよこにつなげることで吸水性包帯(3)を構成する例であり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり、引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
【0091】
図9は本願発明の吸水性包帯(3)の別の例である。
図9の例を、吸水性包帯(3)の例6と呼ぶこととする。これは、引き伸ばし手段が施してある包帯片(2)ひとつ(1本といってもよい)に対し複数の吸水性包帯片(1)が接続して成る吸水性包帯(3)である。引き伸ばし手段が施してある包帯片(2)を引き伸ばすと網目状または網状となり、引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がるが、それに応じて吸水性包帯片(1)の位置が変化する吸水性包帯(3)である。
当該図中の図(2)は、ある位置の包帯片(2)を引き伸ばすことで、その部分が網目状または網状となり吸水性包帯(3)が引き伸ばす方向に長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0092】
本願発明の3の実施例は図としては例示していないが、以上の図1から図9のどの例の吸水性包帯(3)についても薬品が付加されていてよい。例えば図1の図中の図(1)の吸水性包帯(3)の表面に薬品として治療薬を塗布することができる。
【0093】
本願発明の吸水性包帯(3)を作製する基本的な方法のひとつとして、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)を同一の包帯素材から作製する方法がある。
この場合、吸水性素材(6)を前記包帯素材の上に複数箇所配置し、前記包帯素材を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施し、前記包帯素材の重ね合わせの間の空間に、吸水性素材(6)が複数箇所配置されている状態を形成する。この吸水性素材(6)が外に出ないようにその周囲に対し、超音波エネルギーを付与することで接合するかもしくは接着剤で接着するか等の接続手段を施す。さらに切れ目もしくはミシン目等により引き伸ばし手段を施すことで吸水性包帯片(1)複数個と包帯片(2)複数個とから成る吸水性包帯(3)を作製する。
この作製方法においては包帯片(2)は吸水性包帯片(1)と同一の包帯素材であるから通気性があり水分も通過する素材により成る包帯であることになる。
図1の吸水性包帯(3)はこの作製方法によるものであり、図2はその作製工程例を示すものである。
【0094】
また、本願発明の吸水性包帯(3)の別の基本的な作製方法として、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)を別々に作製して、これらをつなげて吸水性包帯(3)を作製する方法がある。
この場合、吸水性素材(6)を包帯素材の上に配置し、前記包帯素材を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施し、前記包帯素材の重ね合わせの間の空間に、吸水性素材(6)が配置されている状態を形成する。この吸水性包帯片(1)の内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにその周囲に対し、超音波エネルギーを付与することで接合するかもしくは接着剤で接着するか等の接続手段を施す。このようにして出来た吸水性包帯片(1)の複数個と、包帯片(2)複数個をつなげて吸水性包帯(3)を作製する。
この作製方法においては包帯片(2)は通気性があり水分も通過する素材により成る包帯か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯か、どちらかを選択可能である。
図3はこの作製工程例を示すものである。
【0095】
また、本願発明の吸水性包帯(3)の別の基本的な作製方法として、吸水性包帯片(1)のみからなる吸水性包帯(3)を作製する方法がある。
この場合の例として、引き伸ばし手段を施した吸水性包帯片(1)を少なくとも1つ含むようにして複数個の吸水性包帯片(1)をつなげることで吸水性包帯(3)を作製することができる。
図6図7、および図8はこの作製工程により作製された吸水性包帯(3)の例である。
なお、ここで、複数の吸水性包帯片(1)がつながった状態を新たな吸水性包帯片(1)1個と見做すと、図6図7、および図8は、1つの吸水性包帯片(1)によりなる吸水性包帯(3)と見做すことができる。
【0096】
また、さらに、本願発明の吸水性包帯(3)の別の基本的な作製方法として、ひとつの長い包帯片(2)と複数の吸水性包帯片(1)から成る吸水性包帯(3)を作製する方法がある。
この場合、引き伸ばし手段を施した包帯片(2)に対して複数個の吸水性包帯片(1)をつなげることで吸水性包帯(3)を作製する。
図9はこの作製工程により作製された吸水性包帯(3)の例である。
【0097】
本願発明の吸水性包帯(3)を作製するに当たっては、前記のような作製方法があり、またこれらの作製方法を組み合わせて吸水性包帯(3)を作製することも出来る。
このようにして、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)の素材、形、大きさ、数、およびそれらがつながる箇所と方法、吸水性素材(6)の種類と量、これらを様々に工夫することにより、図1から図9の実施例に示すように、色々な吸水性包帯(3)を作製することが出来る。
これらの作製方法および図からも分かるように本願発明の吸水性包帯(3)は構成および構造がシンプルであり、かつその作製方法には特別に複雑な作製工程は含まれない。従って当該用品を作製する側面において持つべき特徴を有している。
なお、吸水性包帯(3)に薬品を付加する場合、上記の手順の中のいずれかの適切な段階で、吸水性包帯(3)の内部または表面に薬品を付加することとなる。
【0098】
次に図1から図9について説明する。
図1は本願発明の吸水性包帯(3)の例1である。
これは、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)が交互につながっている吸水性包帯(3)であり、包帯片(2)に多数の切れ目(4)があり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
【0099】
図1の図中の図(1)は正面図である。図(1)は複数の吸水性包帯片(1)と複数の包帯片(2)とが同一素材で連続することでつながって吸水性包帯(3)が構成されていることを示している。
【0100】
図1の図中の図(1)で、各吸水性包帯片(1)と各包帯片(2)は接合部分(8)においてつながっている。
接合部分(8)は図では点線で示してあるが、実際の接合部分としては必要に応じて直線的なものとする。すなわち接合することで吸水性包帯片(1)の内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにする必要があるときは接合部分(8)を点線的ではなく直線的なものとする。そのような必要が無い場合は接合部分(8)を実際的にも点線的な接合としてよい。このことは他の接合部分(8)でも同様である。
【0101】
また、各吸水性包帯片(1)には有吸水性包帯部分(10)が示されている。有吸水性包帯部分(10)とは吸水性包帯片(1)における吸水性素材(6)が含まれている部分であり、有吸水性包帯部分(10)が吸水性を有する包帯の部分となる。
有吸水性包帯部分(10)は図では点線で示してあるが、必要ならばこの点線で表す有吸水性包帯部分(10)の箇所もしくはその周囲の箇所を超音波溶着などで接合する。その場合、実際の接合としては必要に応じて連続的または直線的なものとする。すなわち接合することで吸水性包帯片(1)の内部の吸水性素材(6)が外に出ないようにする必要があるときはその接合は点線的ではなく連続的または直線的なものとする。そのような必要が無い場合はその接合は実質的にも点線的な接合としてよい。このことは他の有吸水性包帯部分(10)でも同様である。
【0102】
図中で切れ目(4)に対して符号4を付与しているが、全ての切れ目(4)に対して符号4を付与しているものではない。これは図が煩雑になることを回避するためであることを了解されたい。他の図においても図の煩雑性を回避するために一部の符号を省略することがあるが了解されたい。
【0103】
大きさとしては、吸水性包帯(3)の幅はおおよその目安として約1センチメートルから約1.5センチメートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯(3)の幅はこれよりも太くとも細くともよい。このことは他の例でも同様である。
【0104】
吸水性包帯(3)の長さはおおよその目安として約30センチメートルから約40センチメートルである。これはおおよその目安であり、用品として提供する長さはこれに限らずより長い長さでもより短い長さでもよい。長い場合は使用者がこれを切って適切な長さにして用いることが出来る。このことは他の例でも同様である。
【0105】
吸水性包帯(3)の厚い部分の厚さはおおよその目安として約0.3センチメートルから約0.6センチメートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯(3)の厚さはこれよりも厚くてもまたは薄くてもよい。このことは他の例でも同様である。
上記の大きさの数値はおおよその目安であり、老若男女の足指にあてがい巻いて適用するのに適切な大きさとするものとする。
【0106】
吸水性包帯片(1)の幅は、前記の吸水性包帯(3)の幅に等しいので、その説明は前記の吸水性包帯(3)の幅の説明を参照されたい。
吸水性包帯片(1)の長さはおおよその目安として約1センチメートルから約10センチメートルである。これはおおよその目安であり、吸水性包帯片(1)の長さはこれよりも長くてもまたは短くてもよい。このことは他の例でも同様である。
ただし、吸水性包帯片(1)1つにより構成される吸水性包帯(3)の場合、吸水性包帯(3)の長さがおよその目安として約30センチメートルから約40センチメートルであるため、当然ながらこの場合、吸水性包帯片(1)の長さもそれと同じ長さとなる。
吸水性包帯片(1)の厚さは、前記の吸水性包帯(3)の厚さに等しいので、その説明は前記の吸水性包帯(3)の厚さの説明を参照されたい。
【0107】
包帯片(2)の幅は、前記の吸水性包帯(3)の幅に等しいので、その説明は前記の吸水性包帯(3)の幅の説明を参照されたい。
包帯片(2)の長さはおおよその目安として約1センチメートルから約2センチメートルである。これはおおよその目安であり、包帯片(2)の長さはこれよりも長くてもまたは短くてもよい。このことは他の例でも同様である。
ただし、包帯片(2)が吸水性包帯(3)と同じ長さとなる場合もあり得、その場合、吸水性包帯(3)の長さがおよその目安として約30センチメートルから約40センチメートルであるため、当然ながらこの場合、包帯片(2)の長さもそれと同じ長さとなる。
【0108】
また包帯片(2)の厚さはごく薄いものであり、薄口の不織布や紙程度かまたはそれよりも薄く、靴下よりも薄いものが好適である。これはおおよその目安であり、その厚さはこれよりも厚くとも薄くともよいものとするが、包帯片(2)は足指に巻いたときに痛みを感じない程度の薄さを持つ必要がある。このことは他の例でも同様である。
【0109】
図1の図中の図(1)は吸水性包帯片(1)の長さがそれぞれ同じである例であるが、それぞれの長さが異なっているようにしてもよい。このことは他の例でも同様である。
同様に、図(1)は包帯片(2)の長さがそれぞれ同じである例であるが、それぞれの長さが異なっているようにしてもよい。このことは他の例でも同様である。
【0110】
また、吸水性包帯(3)を構成する吸水性包帯片(1)および包帯片(2)は、すなわちそれらを構成する包帯素材は、足指にあてがい巻いて適用し一日を過ごしたときに破れない程度の強度を持つ必要がある。しかしそのために極端に厚さが増えたりしてはならないし、また硬い包帯素材を用いてはならない。このことは他の例でも同様である。
【0111】
包帯片(2)には切れ目(4)が多数施されており、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
本願発明の吸水性包帯(3)を足指に適用するとき、もし吸水性包帯片(1)が痛みを引き起こしている場合は、痛みを軽減または回避するために、使用者は該当の吸水性包帯片(1)またはその周辺の吸水性包帯片(1)または包帯片(2)を引き伸ばす。すると引き伸ばし手段が施された箇所が引き伸ばされ、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。これにより、痛みを引き起こしている吸水性包帯片(1)を動かすことができ、痛みを軽減または回避することができる。
当該用品は足指にあてがい巻いて適用し一日を過ごしたときに不快感がない程度の柔らかさを持つ必要がある。その包帯素材の厚さや強度や柔らかさは例えば市販の紅茶バッグの不織布等が参考となる。このことは他の例でも同様である。
【0112】
なお、本願発明の吸水性包帯(3)を構成する包帯素材の厚さや強度や柔らかさの度合い、および吸水性包帯片(1)および包帯片(2)の厚さや強度や柔らかさの度合いについては、これらは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。このことは他の例でも同様である。
【0113】
図1の図中の図(2)は図(1)のA−A断面図である。この例では吸水性包帯片(1)が不織布(7)で出来ていること、そしてその中に吸水紙(5)があり、さらにその中に吸水性素材(6)が配置されていることを示している。吸水性素材(6)とは例えば高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体である。
【0114】
吸水性包帯片(1)の構造のその他の例としては、吸水紙(5)を省いて、不織布(7)の中に直接吸水性素材(6)を含める構造もあり得る。
吸水性包帯片(1)の構造のさらにその他の例としては、吸水紙(5)の変わりに立毛不織布を用いることもできる。立毛不織布とは表面が毛羽立つ不織布であり、吸水性素材(6)が均一に配置されるように、少なくとも片面の繊維が毛羽立っていて、その繊維が毛羽立っている面側に吸水性素材(6)を配置するものである。
【0115】
図1の図中の図(3)は上から見た平面図である。吸水性包帯片(1)毎に膨らみ、その間のつながりの部分、すなわち包帯片(2)は厚さが薄い。これは各吸水性包帯片(1)の周辺で中の吸水性素材(6)が外に出ないように前記の接続手段により接合または接着しているためである。
【0116】
図1の図中の図(4)は、吸水性包帯(3)の包帯片(2)を引き伸ばした様子を示している。
足指に適用する場合、吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用するのであるが、必要に応じて当該図中の図(4)のように包帯片(2)を引き伸ばしたりすることが出来る。
この例のように多数の切れ目(4)よりできた引き伸ばし手段を有する包帯片(2)を引き伸ばすと図(4)のようにミシン目の箇所が開いて網目状開口部(11)ができる。網目状開口部(11)とは、ミシン目の箇所が編み目状に開いて口ができた部分であり、図(4)に示すような状態を表す。
このように多数の切れ目等でできた引き伸ばし手段を引き伸ばして出来る広がりの箇所には、網目状開口部(11)が現れるが、これは他の例でも同様である。
【0117】
図1の図中の図(5)は、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用した例を示す。
右図が右足の甲の側から見た図であり、左図が右足の裏の側から見た図である。図(5)では親指および小指の側面で靴に当たる側においてそれぞれ包帯片(2)が来るように包帯片(2)を引き伸ばしている。これは親指および小指の側面で靴に当たる側において吸水性包帯片(1)がその部分に当たり痛みを発生させることを避けるために包帯片(2)を引き伸ばして、吸水性包帯片(1)の位置をずらして吸水性包帯(3)を適用している様子を示している。
以下の別の実施例として示す本願発明の吸水性包帯(3)についても、これを足指に適用した場合の概要図については当該図中の図(5)にほぼ等しいため、これらについては省略する。
【0118】
図2は、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例1である。
これは連続する不織布により吸水性包帯(3)を作製する工程の例を示している。
図2の図中の図(1)は不織布(7)の上に吸水紙(5)を配置し、その吸水紙(5)の上に吸水性素材(6)、例として高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体を配置した状態である。
当該図中の図(2)は図(1)を折り畳んだ様子を表している。図(1)における吸水紙(5)と吸水性素材(6)は内側にあるために見えない様子を表している。図(2)において、各吸水性包帯片(1)とそのとなりの包帯片(2)の間に接合部分(8)がある。図(2)の吸水性包帯片(1)の中には有吸水性包帯部分(10)がある。
当該図中の図(3)は図(2)の各包帯片(2)に引き伸ばし手段、すなわち多数の切れ目(4)が施された状態を表しており、そのため図(3)は本願発明の吸水性包帯(3)を示している。
この図(3)は図1の図中の図(1)に同じである。
図2図1の製品の作製工程を示しているため、正面図は示したが断面図や上方から見た平面図は省略している。
【0119】
図3は、吸水性包帯(3)の例1の作製工程例2であり、図2とは異なる例である。
これは吸水性包帯片(1)と包帯片(2)とが元々ばらばらであるところのものをつなげることにより吸水性包帯(3)を作製する例である。
図3の図中の図(1)は、吸水性包帯片(1)の作製の工程を示している。
図3の図中の図(1)は不織布(7)の上に吸水紙(5)を配置し、その吸水紙(5)の上に吸水性素材(6)、例として高吸水性高分子化合物と綿状パルプの混合体を配置した状態である。これを折りたたみ、周辺部を超音波溶着などで閉じると吸水性包帯片(1)ができる。
当該図中の図(2)は図(1)を折り畳んだ様子を表している。図(1)における吸水紙(5)と吸水性素材(6)は内側にあるために見えない様子を表している。前記吸水性素材(6)のあった部分が、図(2)では有吸水性包帯部分(10)として示されている。有吸水性包帯部分(10)が吸水性を有する包帯の部分である。
当該図中の図(3)は、吸水性包帯片(1)複数と、包帯片(2)複数が並んだ状態を示している。これらをつなげて引き伸ばし手段を施すと吸水性包帯(3)になる。
当該図中の図(4)は、吸水性包帯片(1)複数と、包帯片(2)複数をつなげた状態を示している。吸水性包帯片(1)と包帯片(2)とをつなげた箇所が、接合部分(8)として示されている。これら超音波溶着などの方法で接合したものである。
当該図中の図(5)は各包帯片(2)に引き伸ばし手段、すなわち多数の切れ目(4)を施した状態を表しており、そのため図(5)は本願発明の吸水性包帯(3)に相当する。
この図(5)は図1の図中の図(1)に同じである。
図3図1の製品の作製工程を示しているため、正面図は示したが断面図や上方から見た平面図は省略している。
【0120】
図4は本願発明の吸水性包帯(3)の例2である。
これは、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)が交互につながっている吸水性包帯(3)であり、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)の両方に多数の切れ目(4)があり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
図4の図中の図(1)は正面図である。
当該図中の図(1)では吸水性包帯片(1)複数が包帯片(2)複数と接続することでつながって構成されている状態を示している。ただしここで吸水性包帯片(1)は吸水性包帯片(1)を構成する要素の複数個により構成されている様子を示している。また、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)の両方に多数の切れ目(4)があり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
当該図中の図(2)は図(1)を引き伸ばした様子を示している。
この例のように切れ目(4)よりできた引き伸ばし手段を有する吸水性包帯片(1)を引き伸ばすと当該図中の図(2)のようにミシン目の箇所が開いて網目状開口部(11)ができる。網目状開口部(11)とは、ミシン目の箇所が編み目状に開いて口ができた部分であり、図(2)に示すような状態を表す。
このように切れ目等でできた引き伸ばし手段を引き伸ばして出来る広がりの箇所には、網目状開口部(11)が現れるが、これは他の例でも同様である。
吸水性包帯片(1)、包帯片(2)、および吸水性包帯(3)の長さ、幅、厚さ等については、図1における説明と同様であるので図1の説明を参照されたい。他の図においても同様である。
図4図1に類似の製品であるため、断面図や上方から見た平面図は図1に類似である。よって正面図は示したが断面図や上方から見た平面図は省略している。他の図においても断面図や上方から見た平面図を省略しているが同様の理由による。
【0121】
図5は、吸水性包帯(3)の例2の作製工程例1である。
これは、吸水性包帯片(1)を構成する要素としての素材が、あらかじめその中に吸水性素材(6)を有し作製されており、それらの複数が包帯の長く伸びた方向とは垂直に配置され、それらをつなげて1つの吸水性包帯片(1)を構成し、かつこのつながりの部分に切れ目またはミシン目等を施して引き伸ばし手段を作成するという吸水性包帯片(1)の作成例であり、この吸水性包帯片(1)の複数と包帯片(2)の複数とを交互につなげることで吸水性包帯(3)を作製する工程の例を示している。
この素材、すなわち、吸水性包帯片(1)を構成する要素としての素材とは、図中で符号14によって表される吸水性包帯片要素(14)である。
図5の図中の図(1)は、吸水性包帯片(1)を構成する要素としての吸水性包帯片要素(14)が、あらかじめその中に吸水性素材(6)を有し、包帯の長く伸びた方向とは垂直に細長く短く作製されておりそれらの複数が並んでいる様子を示している。
図5の図中の図(1)の吸水性包帯片要素(14)の作製方法としては、図3の図中の図(2)の吸水性包帯片(1)の作製例と同じかまたは類似している。ただし吸水性包帯片要素(14)ではその幅が細いという特徴がある。したがって、吸水性包帯片要素(14)にも、有吸水性包帯部分(10)が存在する。
図5の図中の図(2)は、図(1)の複数の吸水性包帯片要素(14)を接合して1つの吸水性包帯片(1)を作製した様子を示している。
ここで接合の方法とは例えば超音波溶着などを用いた接合が例として挙げられる。ただしここで接合の際の工夫として切れ目(4)を作製して接合する様子を示している。切れ目(4)を作製して接合するとは、接合の際に部分的に接合し切れ目(4)を残すことでもよいし、接合したのちに切れ目(4)を作製する方法でもよい。
当該図中の図(3)は図(2)で示した吸水性包帯片(1)複数と包帯片(2)複数を交互に並べる様子を示している。
当該図中の図(4)は図(3)で示した吸水性包帯片(1)複数と包帯片(2)複数を接合して1つの吸水性包帯(3)を作製する様子を示している。
図5の図中の図(4)は図4の図中の図(1)に同じである。
【0122】
図6は本願発明の吸水性包帯(3)の例3である。
これは、吸水性包帯片(1)複数により成る吸水性包帯(3)である。ただし、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)と引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)とが交互につながって吸水性包帯(3)を構成している例である。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)を引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
図6の図中の図(1)は、図5の図中の図(2)の吸水性包帯片(1)を示している。これは引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)である。
図6の図中の図(2)は、図5の図中の図(1)の複数の前記吸水性包帯片要素(14)を接合して1つの吸水性包帯片(1)を作製した様子を示している。
ただしこれは引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)である。
図6の図中の図(3)は、当該図中の図(1)の吸水性包帯片(1)と当該図中の図(2)の吸水性包帯片(1)とを交互に接合して1つの吸水性包帯(3)を作製した様子を示している。
図6の図中の図(4)は、図(3)の吸水性包帯(3)の内のひとつの吸水性包帯片(1)を引っ張って引き伸ばした様子を示している。
図6の吸水性包帯(3)については、図6の図中の図(2)の吸水性包帯片(1)の代わりに、図3の図中の図(2)の吸水性包帯片(1)を用いてもよい。その場合でも結果としての吸水性包帯(3)の特徴と効果はほぼ同じである。
【0123】
図7は本願発明の吸水性包帯(3)の例4である。
これは、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数により成る吸水性包帯(3)である。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)を引き伸ばすと網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる様子を示している。
図7の図中の図(1)は、図5の図中の図(2)の吸水性包帯片(1)を示している。
図7の図中の図(2)は、当該図中の図(1)の吸水性包帯片(1)複数を接合して1つの吸水性包帯(3)を作製した様子を示している。
図7の図中の図(3)は、図(2)の吸水性包帯(3)の内のひとつの吸水性包帯片(1)を引っ張って引き伸ばした様子を示している。
【0124】
図8は本願発明の吸水性包帯(3)の例5である。
これは、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数により成る吸水性包帯(3)である。引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数をたてよこにつなげることで吸水性包帯(3)を構成する例であり、これを引き伸ばすと網目状または網状となり、引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
図8の図中の図(1)は、1つの吸水性包帯片(1)を示している。この吸水性包帯片(1)の特徴としては、切れ目(4)が施されている点と、それにより独特の形状を有している点である。この切れ目(4)およびそれに伴う独特の形状はすなわち、引き伸ばし手段を施してあることに他ならない。この引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)複数を図(2)のようにたてよこにつなげることで吸水性包帯(3)を構成することができる。
図8の図中の図(2)は、図(1)の吸水性包帯片(1)複数をたてよこにつなげることで吸水性包帯(3)を作製した状態を示す。
図8の図中の図(2)を引っ張ると、引き伸ばし手段が施してあるため、この吸水性包帯(3)は引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
【0125】
図9は本願発明の吸水性包帯(3)の例6である。
図9の図中の図(1)は、引き伸ばし手段が施してある包帯片(2)ひとつ(1本といってもよい)に対し複数の吸水性包帯片(1)が接続して成る吸水性包帯(3)を示している。
図9の図中の図(2)は、包帯片(2)の引き伸ばし手段が施してある適宜の箇所を引き伸ばすと網目状または網状となり、引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、それに応じてその付近につながる吸水性包帯片(1)の位置が変化する様子を示している。
【0126】
本願発明の3の実施例は図としては例示していないが、以上の図1から図9のどの例の吸水性包帯(3)についても薬品が付加されていてよい。例えば図1の図中の図(1)の吸水性包帯(3)の表面に薬品として治療薬を塗布することができる。
【0127】
以上、図1から図9により吸水性包帯(3)の形態とその作製の例を示した。
このようにして、吸水性包帯片(1)と包帯片(2)の素材、形、大きさ、数、およびそれらがつながる箇所と方法、吸水性素材(6)の種類と量、これらを様々に工夫することにより、図1から図9の実施例に示すように、引き伸ばし手段により吸水性包帯片(1)を引き伸ばす方向に長く引き伸ばしたり広げたり出来るという本願発明の特徴を持った様々な吸水性包帯(3)を作製することが出来る。
このように作製された本願発明の用品すなわち吸水性包帯(3)は、構成および構造がシンプルであり、複雑な作製工程が含まれておらず、そのため作製も容易である。
したがって、本発明は製品の作製工程における適用性においてもその必要な要件を満たす。
そして最も重要であることとして足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品が持つべき前記の特徴の全てを有している。
【0128】
本願発明の吸水性包帯群(12)の例について図を用いて説明する。
図10および図11は本願発明の吸水性包帯群(12)の例である。
図10の例を吸水性包帯群(12)の例1と呼ぶこととする。
図10の吸水性包帯群(12)は図1に示したタイプの吸水性包帯(3)複数個により構成した吸水性包帯群(12)である。図10の吸水性包帯群(12)はシート状であり、この中から吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取って使用することができる。ここで吸水性包帯(3)は補助包帯紐(13)を介してつながっている。
この吸水性包帯群(12)からは、部分的に吸水性包帯群(12)を切り取るか、または部分的に吸水性包帯(3)を切り取って、その大きさによって使用者が選択して、それぞれを足指にあてがい巻いて適用することができる。
【0129】
補助包帯紐(13)の幅は、おおよその目安として約0.3センチメートルから約1.0センチメートルである。これはおおよその目安であり、補助包帯紐(13)の幅はこれよりも太くとも細くともよい。このことは他の例でも同様である。
【0130】
補助包帯紐(13)の長さは、吸水性包帯(3)の長さに等しいか、または作製者の設計によってその長さは様々である。したがって、おおよその目安として約30センチメートルから約40センチメートルであるか、または、これに限らずより長い長さでもより短い長さでもよい。このことは他の例でも同様である。
【0131】
補助包帯紐(13)の厚さは、ごく薄いものであり、薄口の不織布や紙程度かまたはそれよりも薄く、靴下よりも薄いものが好適である。これはおおよその目安であり、その厚さはこれよりも厚くとも薄くともよい。このことは他の例でも同様である。
なお、補助包帯紐(13)の包帯素材の厚さや強度や柔らかさの度合いは、これらは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。このことは他の例でも同様である。
【0132】
図11の例を吸水性包帯群(12)の例2と呼ぶこととする。
図11の吸水性包帯群(12)は図1に示したタイプの吸水性包帯(3)複数個により構成した吸水性包帯群(12)である。図11の吸水性包帯群(12)はシート状ではなく、この中から吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取って使用することができる。ここで吸水性包帯(3)は補助包帯紐(13)を介してつながっている。
吸水性包帯群(12)は、このままでも、または部分的に吸水性包帯群(12)を切り取っても、また部分的に吸水性包帯(3)を切り取っても、その大きさによって使用者が選択して、それぞれを足指にあてがい巻いて適用することができる。
【0133】
本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、その構成要素が前記吸水性包帯(3)であるため、作製者側にとってはより様々な形態の吸水性包帯群(12)を効率的に作製し使用者に提供することができ、使用者側にとってはより様々な形態の吸水性包帯群(12)を得ることが出来、また足指にあてがい巻いて適用する際の適用の仕方が増える。
【0134】
本願発明の吸水性包帯(3)は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品として持つべき前記の特徴の全てを有するものである。
すなわち、本用品を適用する際または適用中に、痛みを感じたかまたは違和感を持った場合、前記吸水性包帯(3)を引き伸ばすことで、前記吸水性包帯(3)の状態を変化させることができるという、これまでに想像されなかった機能性を有する発明である。
本願発明の2の構成でいえば、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばすことで、本用品を適用する際または適用中に、その主要な構成要素である前記吸水性包帯片(1)についてその位置を動かすかまたは状態を変化させることができるという、これまでに想像されなかった機能性を有する発明である。
【0135】
すなわち、本願発明の用品は、足指に吸水性の用品をあてがうだけの受け身的で固定的な適用形態の用品ではなく、使用者にとって不利益となる状態が発生した場合に、つまり痛みが発生したような場合に、その不都合な部分に対して使用者自身が変化を加えることが出来るという、そしてそれにより使用者にとって最も適した状態に能動的に変化せしめて適用することが出来るという性質を持った用品である。
このように本願発明は、これまでとは全く異なる独自の着想を経て成る発明であり、本願発明の図面からも分かるように、この独創性により幅広い種類の形態や形状を生み出すことができる基盤的技術として提供されるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 吸水性包帯片
2 包帯片
3 吸水性包帯
4 切れ目
5 吸水紙
6 吸水性素材
7 不織布
8 接合部分
9 足
10 有吸水性包帯部分
11 網目状開口部
12 吸水性包帯群
13 補助包帯紐
14 吸水性包帯片要素
【要約】      (修正有)
【課題】足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収する用品で、足指に自在に適用でき、老若男女の様々に異なる足指のサイズに対応し、装着および脱着が容易であり、適用中にずれたり外れたり破れたりせず、高い吸水性を持ち、痛みがなく、かつその構成および構造がシンプルな用品を提供する。
【解決手段】通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材を含んでいる吸水性包帯で、長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されている包帯であって、当該用品の適用に際して使用者が、その使用感に応じて、引き伸ばし手段が施されている個所を引き伸ばすことができて、これにより装着時および適用中に当該吸水性包帯の状態を変化させることができて、よって使用者にとって最適な状態で使用することができる吸水性包帯を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11