【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は前記の問題を解決するものであり、本願発明の1は、
通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯であって、前記吸水性包帯の長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯である。
【0010】
すなわち、本願発明の1であるところの吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性素材(6)を内部に有し、引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯である。
【0011】
すなわち、本願発明の1の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性を有する包帯であり、適宜にこれを引き伸ばすことができるという機能性を有する足指のための吸水性包帯である。
【0012】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であり、吸水性を有する包帯である。したがって、通気性があり水分も通過する素材により成る包帯である。しかし、部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられることがあってもよい。前記吸水性包帯(3)を構成する素材のうち、通気性があり水分も通過する素材が用いられる部分の割合と、通気性がなく水分が通過しない素材の部分の割合は、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
なお、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯であるが、これは紐状といってもよい。したがって、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯状または紐状である。
【0013】
ここで、吸水性素材(6)とは、吸水性を有する素材である。吸水性素材(6)としては、ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物をはじめとして種々の素材がある。ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物が性能とコストの面から好適であるが、しかしながらこれら以外でもよいものとする。
【0014】
また、前記吸水性包帯(3)の吸水性の度合いは、その内部の吸水性素材(6)の量とその素材の吸水性の度合いに依る。この吸水性の度合いは、本願発明の主旨と目的に沿って決定されるべき項目である。例として挙げたポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物の粒状体は、自身の重量の約100倍から約300倍の重量の水分を吸収することが出来るため、これらの粒状体を全体で数グラム程包含する吸水性包帯(3)であれば、それを例えば一日中足指に装着したとしてその間足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収することが出来る。このような検討のもとに、適切な吸水性を有するように素材の種類と量について適切な選択をして設計および製造されなければならない。その吸水性の数値の規定に関しては、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0015】
ここで、「通気性」と「水分の通過」の意味とその関係性であるが、「通気性」とは「水分以外を通過させて水分を通過させない性質」とするものではない。本願発明では「通気性」をそのように限定的に用いる必要はなく、したがってそのような限定的な意味としては用いない。ここで「通気性」といえば通常そうであるように「水分も通過させる」という意味である。しかし、前記吸水性包帯(3)の素材を「通気性のある素材」とした場合に、本願発明の趣旨と関係なく水分の通過が排除されて解釈される恐れがあるので、上記のように意味的に重なる点があるが「通気性があり水分も通過する素材」または「通気性があり水分も通過する包帯」等と表現している。
また、「通気性がなく」と「水分が通過しない」の意味とその関係性であるが、「通気性がなく」とは水分や水蒸気を含めて空気の通過ができないことを指し、「水分が通過しない」とは文字通り水分や水蒸気が通過できないことを指す。したがって、「通気性がなく水分が通過しない」とは意味的に重なる点があるが「水分が通過しない」ことを表現している。
なお、通気性と水分の通過の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0016】
通気性があり水分も通過する素材の例としては、不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。一般に上記に記した繊維素材をはじめとする素材は通気性を持ち、水分も通過することが出来、加工性に優れている。なお、例外的にはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等の通常は通気性がなく水分が通過しない素材であってもそれに水分が通過するための穴等がある場合または細長くされて組み合わされた場合は水分が通過するので吸水性包帯(3)の素材の例に含まれるものとする。吸水性包帯(3)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
前記吸水性包帯(3)は、その素材少なくとも1枚を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施されてできた包帯であり、その素材の重ね合わせの間の空間に吸水性を有する吸水性素材(6)を含んでいる。
【0017】
吸水性包帯(3)は部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられてもよい。通気性がなく水分が通過しない素材の例としては、ビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等がある。
【0018】
上記の素材の総称を以下では包帯素材ともいうこととする。したがって、吸水性包帯(3)には主に通気性があり水分も通過する包帯素材が用いられ、部分的に通気性がなく水分が通過しない包帯素材が用いられてもよい。
【0019】
本願の吸水性包帯(3)は、前記のような構成の形態を含むものであり、かつ引き伸ばし手段が施されている。
ここで引き伸ばし手段とは、それが施されている前記吸水性包帯(3)を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりしたとき、その部分およびその周辺の形状が変化し、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がるような工夫が前記吸水性包帯(3)の素材に対して施されている状態を指すものであり、そのような工夫を引き伸ばし手段と呼ぶものである。
本願発明における引き伸ばし手段の例としては、素材に対して切れ目もしくはミシン目等の工夫を施すことであり、そのような工夫がある素材を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
例えば切れ目もしくはミシン目が交互に施されているとき、すなわち例えば、切れ目が交互に施されているとき、またはミシン目が交互に施されているとき、または切れ目とミシン目が混合して交互に施されているとき、これを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
前記吸水性包帯(3)の素材として、伸縮性もしくは弾性のある素材例えば糸ゴムや弾性繊維を用いた素材を用いたとしてもよいが、素材そのままでは素材のもつ復元力が働き、足指に適用した場合に足指を締め付けることになるので、その復元力を軽減するための工夫が必要であり、その場合の引き伸ばし手段としては例えば前記のような切れ目もしくはミシン目を交互に施すなどの例や、または、糸ゴムの場合はその糸ゴムに細かな切れ込みをあらかじめ入れておくとか、糸ゴムをあらかじめ短く切っておくなどの工夫が引き伸ばし手段に該当する。このような工夫がある場合は本発明品を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりすると、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、糸ゴムの場合は細かな切れ込みの箇所で切れて、完全には元に戻らないため、足指を締め付けるということがない。
このように引き伸ばし手段には、素材が有する復元力について、もしそれが必要以上に強い場合は、その復元力を軽減する工夫も含まれる。
すなわち引き伸ばし手段には、引き伸ばすことができるようにする工夫の側面と、引き伸ばした状態が保たれるようにする工夫の側面がある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯(3)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
引き伸ばし手段の例として
図1〜
図9で表している。
【0020】
以上のような引き伸ばし手段を施した吸水性包帯(3)であるので、これを足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は、前記吸水性包帯(3)を引き伸ばして、その状態を変化させることが出来る。
使用者は痛みを感じるところや違和感を持つところについてその箇所かまたはその箇所の周辺を引っ張ることで、その特定の箇所の前記吸水性包帯(3)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。ここで動かすとは、その位置が変化することを意味する。また、その状態を変化させるとは、適用されているところの足指に当たるところの位置や角度などを変化させることを意味する。
【0021】
ここで引き伸ばし手段としては、引き伸ばした際に素材に強い復元力がかからないものとしなければならない。その理由としては、引き伸ばした後に強く復元力がかかるとすると、元に戻ってしまうとか、または足指を強く締め付けるなどの状態が発生する恐れがあり、適用の際に快適であるべきという本願発明の課題解決の1つに沿わない結果となるからである。引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持することが求められる。したがって強い復元力を有するような工夫を講ずるべきでない。この引き伸ばし手段には復元力は特に必要としない。しかしこれは復元力をゼロとするべきであるという意味ではない。前記に示したように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられるが、どのような引き伸ばし手段を講じたとしてもそれを引き伸ばしたときに多少の弾力性により復元力が生ずるものである。また素材そのものにも通常弾力性や復元力があるものである。したがって、引き伸ばし手段により生ずるところの弾力性と復元力の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。したがって前記吸水性包帯(3)の作製においては種々の設計に応じた素材を用いて、種々の引き伸ばし手段を施すことができる。
【0022】
前記のように、また図にも示したように、引き伸ばし手段の形態としては様々なものがある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯(3)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0023】
また、この引き伸ばし手段とは前記吸水性包帯(3)に対して施されるものであるが、これを引っ張ったときに中に包含されている吸水性素材(6)が外に出ることのないような工夫が必要である。この工夫には様々な方式が考えられるが、超音波エネルギーを付与することで素材を溶着する工夫や、接着剤を用いる方式が考えられる。超音波エネルギーを付与して溶着する方法が構成要素が増えないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0024】
前記の構成と構造により成ることから、本願発明の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用すると、使用者は足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することが出来、加えて前記吸水性包帯(3)が引き伸ばし手段を有することから、引き伸ばし手段のある部分またはその周辺部分を引き伸ばして、前記吸水性包帯(3)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
【0025】
すなわち、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の適宜の調整、すなわち前記吸水性包帯(3)を手などで引っ張って、前記吸水性包帯(3)の位置を動かすまたはその状態を変化させることができる。このときに素材に強い復元力は働かないため足指を強く締め付けるということがなく、また引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持する。
その結果として、本願発明の吸水性包帯(3)は、足指にあてがい巻いて適用する用品として当該用品が持つべき前記の特徴のひとつを有する。すなわち、使用者は装着する際または適用中において前記吸水性包帯(3)の厚みにより痛みが発生した場合、その痛みの原因となる前記吸水性包帯(3)の部分か、またはその周辺の前記吸水性包帯(3)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯(3)の部分およびその周辺を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
したがってこれにより使用者は痛みを軽減または回避することが出来る。そのため快適な装着に関する適用性を満たす。
【0026】
なお、ここで、引き伸ばすまたは引っ張るというとき、これらは基本的には同義であり、前記吸水性包帯(3)を手で引っ張るとか、手で伸ばすとか、いわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。道具を利用して引き伸ばしたり引っ張ったりしてもよい。本発明品は足指に直接適用するものであるから、通常使用者はその上に靴下を履くであろう。すると使用者は直接かまたは靴下の上からこれらを引き伸ばすかまたは引っ張るということになる。
すなわち、ここで、「引き伸ばす」とは、写真を拡大して焼き付けるという意味ではなく、また、期日などを遅らせるとか時間を長びかせるという意味でもなく、対象とするもの(用品、製品)に対して力を及ぼして、引っ張ること、引き伸ばすこと、それにより長くしたり広げたりすること等を指す。また、ここで力を及ぼすとは、上記の通りいわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。
【0027】
本願発明の吸水性包帯(3)は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品として持つべき前記の特徴の全てを有するものである。
本願発明の用品である前記吸水性包帯(3)は、そのものを引き伸ばすことで、本用品を適用する際または適用中に、その位置を動かすかまたは状態を変化させることができるという機能性を有する発明である。
すなわち、本願発明の用品は、足指に吸水性の用品をあてがうだけの受け身的で固定的な適用形態の用品ではなく、使用者にとって不利益となる部分に対して使用者自身が変化を加えることが出来るという、そしてそれにより使用者にとって最も適した状態に能動的に変化せしめて適用することが出来るという性質を持った用品である。
【0028】
本願発明の2は、
通気性があり水分も通過する素材を重ね合わせた間の空間に吸水性素材(6)を含んでいる吸水性包帯片(1)を少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に
前記長手方向に引き伸ばすことができる引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする本願発明の1に記載の足指のための吸水性包帯である。
【0029】
すなわち、本願発明の2であるところの吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有しており、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする本願発明の1に記載の足指のための吸水性包帯である。
【0030】
すなわち、本願発明の2の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含める。
また、本願発明の2の前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含める。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
また、ここで、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されている。
【0031】
すなわち、前記吸水性包帯(3)は、前記吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて前記包帯片(2)を含めて構成される。
つまり、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)1個のみにより構成されてもよい。
また、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されてもよい。
また、前記吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)1個以上複数個および前記包帯片(2)1個以上複数個を含めて構成されてもよい。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
また、ここで、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されている。
【0032】
すなわち前記吸水性包帯(3)の構成において、前記吸水性包帯片(1)は吸水効果を実現するために必須の構成要素であるが、前記包帯片(2)は設計上や製造上の必要に応じて構成に含めるところの構成要素である。
よって、前記のように吸水性包帯(3)には様々な構成が在り得るのである。
なお、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯であるが、これは紐状といってもよい。したがって、前記吸水性包帯(3)の形状は包帯状または紐状である。
【0033】
典型的な吸水性包帯(3)の例のひとつとしては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個が交互に配置されて互いにつながり1本の吸水性包帯(3)を構成する形態であり、前記吸水性包帯片(1)の全てに吸水性素材(6)が含まれており、前記包帯片(2)の全てに引き伸ばし手段が施されているというものである。
この例は
図1、
図2、および
図3に示している。
【0034】
ここで、本願発明の2の中に「必要に応じて」との文言があるが、これは上記のように、本願発明の用品を設計および製造するに際して、包帯片(2)を構成要素に含めるか否かについては当業者による作製上の適宜の選択事項であることを意味している。
【0035】
前記吸水性包帯片(1)は通気性があり水分も通過する包帯である。よって、前記吸水性包帯片(1)は、通気性があり水分も通過する素材を主に用いて成る包帯である。典型的には前記吸水性包帯片(1)は、通気性があり水分も通過する素材のみにより成る包帯である。ただし前記吸水性包帯片(1)の素材として、部分的に通気性がなく水分が通過しない素材が用いられることがあってもよい。
前記吸水性包帯片(1)を構成する素材のうち、通気性があり水分も通過する素材が用いられる部分の割合と、通気性がなく水分が通過しない素材の部分の割合は、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
ここで、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有している。
【0036】
ここで、吸水性素材(6)とは、吸水性を有する素材である。吸水性素材(6)としては、ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物をはじめとして種々の素材がある。ポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物が性能とコストの面から好適であるが、しかしながらこれら以外でもよいものとする。
【0037】
また、前記吸水性包帯(3)の吸水性の度合いは、その内部の吸水性素材(6)の量とその素材の吸水性の度合いに依る。この吸水性の度合いは、本願発明の主旨と目的に沿って決定されるべき項目である。例として挙げたポリアクリル酸系の高吸水性高分子化合物の粒状体は、自身の重量の約100倍から約300倍の重量の水分を吸収することが出来るため、これらの粒状体を全体で数グラム程包含する吸水性包帯(3)であれば、それを例えば一日中足指に装着したとしてその間足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を充分に吸収することが出来る。このような検討のもとに、適切な吸水性を有するように素材の種類と量について適切な選択をして設計および製造されなければならない。その吸水性の数値の規定に関しては、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0038】
また、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯である。
したがって、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る。
したがって、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材により成る包帯か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯である。
なお、前記包帯片(2)は、通気性があり水分も通過する素材と、通気性がなく水分が通過しない素材との、両方の素材によって成るものであってもよい。
前記包帯片(2)の作製において、通気性があり水分も通過する素材と通気性がなく水分が通過しない素材とのどちらを用いるか、またはそれらを組み合わせて作製するか、また組み合わせる場合のそれぞれの素材の割合等については、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
すなわち、前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)を含め、以上の構成要素を含めて構成される。
【0039】
ここで、「通気性」と「水分の通過」の意味とその関係性であるが、「通気性」とは「水分以外を通過させて水分を通過させない性質」とするものではない。本願発明では「通気性」をそのように限定的に用いる必要はなく、したがってそのような限定的な意味としては用いない。ここで「通気性」といえば通常そうであるように「水分も通過させる」という意味である。しかし、前記吸水性包帯片(1)の素材を「通気性のある素材」とした場合に、本願発明の趣旨と関係なく水分の通過が排除されて解釈される恐れがあるので、上記のように意味的に重なる点があるが「通気性があり水分も通過する素材」または「通気性があり水分も通過する包帯」等と表現している。
また、「通気性がなく」と「水分が通過しない」の意味とその関係性であるが、「通気性がなく」とは水分や水蒸気を含めて空気の通過ができないことを指し、「水分が通過しない」とは文字通り水分や水蒸気が通過できないことを指す。したがって、「通気性がなく水分が通過しない」とは意味的に重なる点があるが「水分が通過しない」ことを表現している。
なお、通気性と水分の通過の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
【0040】
前記吸水性包帯片(1)とは、吸水性を有する包帯であり、前記吸水性包帯(3)の構成要素である。前記吸水性包帯片(1)があることで、前記吸水性包帯(3)を使用者が足指に適用した際に足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することができる。
つまり、前記吸水性包帯(3)において、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有するのであるが、前記吸水性包帯(3)が複数の吸水性包帯片(1)を構成要素として有する場合、通常は前記吸水性包帯片(1)複数個の全てにおいてその内部に吸水性素材(6)を包含するのが好適である。
【0041】
以上のように、本願発明の吸水性包帯(3)は前記吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて前記包帯片(2)を含めて構成される。
ここで吸水性包帯片(1)は通気性があり水分も通過する素材を含む包帯であるが、その素材の例としては不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。一般に上記に記した繊維素材をはじめとする素材は通気性を持ち、水分も通過することが出来、加工性に優れている。なお、例外的にはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等の通常は通気性がなく水分が通過しない素材であってもそれに水分が通過するための穴等がある場合または細長くされて組み合わされた場合は水分が通過するのでは吸水性包帯片(1)の素材の例に含まれるものとする。吸水性包帯片(1)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
前記吸水性包帯片(1)は、上記の素材少なくとも1枚を折るかまたは巻くかまたは重ねる等の重ね合わせを施されてできた包帯であり、前記吸水性包帯片(1)の少なくとも1個は、その素材の重ね合わせの間の空間に吸水性を有する吸水性素材(6)を含んでいる。
【0042】
また、包帯片(2)とは、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯である。
通気性があり水分も通過する素材の例としては不織布、紙、綿布、織布、低反発性ポリウレタン、ウレタン不織布、弾力繊維または弾性繊維素材、スポンジ等である。しかしながら通気性があり水分も通過する素材であればこれら以外でもよいものとする。
通気性がなく水分が通過しない素材の例としてはビニールやポリエチレン等のプラスチック、および、ゴム等である。
包帯片(2)の素材としては不織布が性能とコストおよび加工性の面から好適であるが、しかしながらこれ以外でもよいものとする。
包帯片(2)としてはこれらの素材から成るか、またはこれらの素材の種々の組み合わせにより成るものである。
【0043】
上記の吸水性包帯片(1)の素材および包帯片(2)の素材の総称を以下では包帯素材ともいうこととする。したがって、吸水性包帯片(1)には主に通気性があり水分も通過する包帯素材が用いられ、包帯片(2)には通気性があり水分も通過する包帯素材か、または、通気性がなく水分が通過しない包帯素材が用いられる。
【0044】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)、これまたはこれらを含めて構成される。ここで「これ」というのは、吸水性包帯片(1)1個のみにより構成される吸水性包帯(3)があるためである。
したがって、前記吸水性包帯(3)は、次のように表現される吸水性包帯を含む。すなわち、本願発明の2は、「通気性があり水分も通過する素材により成る包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個を構成要素として含め、通気性があり水分も通過する素材または通気性がなく水分が通過しない素材により成る包帯であるところの包帯片(2)を必要に応じて構成要素として含め、これまたはこれらにより構成される吸水性包帯(3)であって、前記吸水性包帯片(1)のうち少なくとも1個はその内部に吸水性素材(6)を有しており、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)のうち少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されていることを特徴とする足指のための吸水性包帯」を含む。
【0045】
前記吸水性包帯(3)は、通気性があり水分も通過する包帯であるところの吸水性包帯片(1)少なくとも1個、および、必要に応じて、通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない包帯であるところの包帯片(2)、これまたはこれらを含めて構成される。ここで「これ」というのは、吸水性包帯片(1)1個のみにより構成される吸水性包帯(3)があるためである。
ここで構成されるとは、なんらかの方法でつながることで構成されることを意味する。
ここで、つながるとは、次の形態を含めた形態で素材がつながる場合を意味する。すなわち、接続することでつながっている場合、同一素材で連続することでつながっている場合、組み合わすことでつながっている場合等である。
【0046】
接続することでつながっている場合とは、2つの素材を、超音波エネルギーを付与することで接合するか、もしくは接着剤で接着するか、もしくは接着テープで接着するか、もしくは面ファスナーにより接合するか、もしくは両面接着テープにより接着するか、もしくは糸で結ぶか等の接続手段を施してつながっていることを指す。このうち超音波エネルギーを付与することで接合する方法が構成要素が増えないために好適であるが、しかしこれら以外の接続方法でもよいものとする。
例外的に例えば、2つの素材の間に例えば吸水紙が存在しこれを介在して2つの素材が接続してつながっている場合も、その間の吸水紙はそれら2つの素材のどちらかに属する素材としてみなすことができるため、つまり、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の一部分とみなすことができるため、このような場合も結局2つの素材が接続することでつながっているものとみなすことが出来る。
【0047】
同一素材で連続することでつながっている場合とは、同一の素材により作製されていることを指す。見た目上は2つの構成要素がつながっているようにも見えるのであるが、もともと同一の、同種類という意味でなく、もともと同一の素材で作製されている状態である。同一であるから同種類でもある。
【0048】
組み合わすことでつながっている場合とは、2つの素材に関して、一方の少なくとも1箇所において、穴、もしくは切れ目、もしくは輪等の組み合わせ用の箇所を施し、他方が前記組み合わせ用の箇所を通る等の組み合わせ手段により組み合わされることを指す。一方に切れ目を施し他方がこれを通る方法が作製上容易であるために好適であるが、しかしながらこれら以外の組み合わせ方法でもよいものとする。例えば糸やまたはある一定の幅を有する輪状の素材を介してつながるというような形態もこの組み合わせの方式に属する。この場合、輪状の素材は前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の一部分とみなすことができる。
【0049】
本願の吸水性包帯(3)は、前記のような構成の形態を含むものであり、かつ前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の少なくとも1個に引き伸ばし手段が施されているというものである。
ここで引き伸ばし手段とは、それが施されている前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりしたとき、その部分およびその周辺の形状が変化し、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がるような工夫が前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の素材に対して施されている状態を指すものであり、そのような工夫を引き伸ばし手段と呼ぶものである。
本願発明における引き伸ばし手段の例としては、素材に対して切れ目もしくはミシン目等の工夫を施すことであり、そのような工夫がある素材を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
例えば切れ目もしくはミシン目が交互に施されているとき、すなわち例えば、切れ目が交互に施されているとき、またはミシン目が交互に施されているとき、または切れ目とミシン目が混合して交互に施されているとき、これを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。
前記吸水性包帯片(1)および前記包帯片(2)の素材として、伸縮性もしくは弾性のある素材例えば糸ゴムや弾性繊維を用いた素材を用いたとしてもよいが、素材そのままでは素材のもつ復元力が働き、足指に適用した場合に足指を締め付けることになるので、その復元力を軽減するための工夫が必要であり、その場合の引き伸ばし手段としては例えば前記のような切れ目もしくはミシン目を交互に施すなどの例や、または、糸ゴムの場合はその糸ゴムに細かな切れ込みをあらかじめ入れておくとか、糸ゴムをあらかじめ短く切っておくなどの工夫が引き伸ばし手段に該当する。このような工夫がある場合はこれを手などで引っ張ったりまたは引き伸ばしたりすると、引き伸ばされるまたは引っ張られる方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、糸ゴムの場合は細かな切れ込みの箇所で切れて、完全には元に戻らないため、足指を締め付けるということがない。
このように引き伸ばし手段には、素材が有する復元力について、もしそれが必要以上に強い場合は、その復元力を軽減する工夫も含まれる。
すなわち引き伸ばし手段には、引き伸ばすことができるようにする工夫の側面と、引き伸ばした状態が保たれるようにする工夫の側面がある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)の適宜の箇所に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
引き伸ばし手段の例として
図1〜
図9で表している。
【0050】
前記包帯片(2)の引き伸ばし手段の例としては、前記包帯片(2)に対して切れ目を施すことであり、そのような工夫がある包帯片(2)を引き伸ばすと、引き伸ばされる方向に素材が長く伸びるかまたは広がる。この例は
図1で表している。
【0051】
前記吸水性包帯片(1)の引き伸ばし手段の例としては、前記吸水性包帯片(1)を構成する要素としての素材が、あらかじめその中に吸水性素材(6)を有し、包帯の長く伸びた方向とは垂直に細長く短く作製されており、それらの複数がつながって1つの前記吸水性包帯片(1)を構成しており、かつこのつながりの部分に切れ目またはミシン目等が施されているような構造的工夫が挙げられる。
これは、1つの前記吸水性包帯片(1)を構成する要素があらかじめ複数用意されていてそれらが引き伸ばし手段を施すと同時につながるという方法である。
このような吸水性包帯(3)を前記吸水性包帯片(1)の箇所またはその周辺の箇所で引っ張ると、前記吸水性包帯片(1)が引き伸ばされ、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例は
図4、
図6、および
図7で表している。
【0052】
または、前記吸水性包帯片(1)の引き伸ばし手段の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)においてあらかじめその内部の吸水性素材(6)が縦に(縦とは包帯の長く伸びた方向とは垂直の方向に)複数列配置されており、その間に切れ目またはミシン目等を施すようにする構造的工夫が挙げられる。
これは、1つの前記吸水性包帯片(1)を構成する素材がひとつ(または一組)あり、その内部の吸水性素材(6)があらかじめ複数列構造的に配置されていて、ミシン目等の引き伸ばし手段がそれらの吸水性素材(6)の配置の間に対して施されるというものである。
このような前記吸水性包帯片(1)を含む吸水性包帯(3)を前記吸水性包帯片(1)の箇所またはその周辺の箇所で引っ張ると、前記吸水性包帯片(1)が引き伸ばされ、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例の吸水性包帯(3)の外観と引き伸ばされる様子は
図4、
図6、および
図7と類似しかつ機能的には同等であるので、この作製方法の図示は省略する。
【0053】
前記吸水性包帯(3)の典型的な例のひとつとしては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個が交互に配置されて互いにつながり1本の吸水性包帯(3)を構成する形態において、全ての前記包帯片(2)に引き伸ばし手段が施されているというものがある。この例は
図1で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数個と前記包帯片(2)複数個により構成されていて、それらの全てに引き伸ばし手段が施されるものがある。この例は
図4で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、引き伸ばし手段が施してある吸水性包帯片(1)と引き伸ばし手段が施してない吸水性包帯片(1)とが交互につながって吸水性包帯(3)を構成しているものがある。この例は
図6で表している。これは、前記吸水性包帯(3)が前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されている例のひとつである。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数個のみにより構成されていて、その全てに引き伸ばし手段が施されるものがある。この例は
図7で表している。ここで全ての前記吸水性包帯片(1)には吸水性素材(6)が含まれている。
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)1個のみにより構成されていて、これ全体に引き伸ばし手段が施されるものがある。ここで、複数の吸水性包帯片(1)がつながった状態を新たな吸水性包帯片(1)1個と見做すと、
図6、
図7、および
図8は、1つの吸水性包帯片(1)によりなる吸水性包帯(3)と見做すことができる。
【0054】
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)がごく小さな大きさであり、これが互いにたてよこに繋がっていて構成されるような吸水性包帯(3)であって、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に切れ目またはミシン目等が施してあるような構造的工夫が挙げられる。このような吸水性包帯(3)を引っ張ると、前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がる。この例は
図8で表している。
【0055】
前記吸水性包帯(3)の別の例としては、前記吸水性包帯片(1)複数と前記包帯片(2)1つとで構成される吸水性包帯(3)であって、前記包帯片(2)に切れ目またはミシン目等が施してあるような構造的工夫が挙げられる。このような吸水性包帯(3)を前記包帯片(2)の引き伸ばし手段が施してある箇所で引っ張ると、その付近で前記吸水性包帯(3)が引き伸ばされる方向に長く伸びるかまたは広がり、その付近にある前記吸水性包帯片(1)の位置を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。この例は
図9で表している。
以上のように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられ、かつ、以上のように前記吸水性包帯(3)のどの構成要素に引き伸ばし手段を施すかについては様々な構成と選択が在りうる。
【0056】
以上のような引き伸ばし手段を施した吸水性包帯(3)であるので、これを足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は、前記吸水性包帯片(1)、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
例えば、前記吸水性包帯片(1)と前記包帯片(2)が互いに隣り合って交互に構成されている場合、そして前記包帯片(2)に引き伸ばし手段が施してある場合、それらのうちのある特定の前記吸水性包帯片(1)の位置を変えたいかまたはその状態を変化させたいというとき、その特定の前記吸水性包帯片(1)か、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引っ張ることで、その特定の前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。ここで動かすとは、その位置が変化することを意味する。また、その状態を変化させるとは、適用されているところの足指に当たるところの位置や角度などを変化させることを意味する。
【0057】
ここで引き伸ばし手段としては、引き伸ばした際に素材に強い復元力がかからないものとしなければならない。その理由としては、引き伸ばした後に強く復元力がかかるとすると、元に戻ってしまうとか、または足指を強く締め付けるなどの状態が発生する恐れがあり、適用の際に快適であるべきという本願発明の課題解決の1つに沿わない結果となるからである。引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持することが求められる。したがって強い復元力を有するような工夫を講ずるべきでない。この引き伸ばし手段には復元力は特に必要としない。しかしこれは復元力をゼロとするべきであるという意味ではない。前記に示したように引き伸ばし手段には様々な方式が考えられるが、どのような引き伸ばし手段を講じたとしてもそれを引き伸ばしたときに多少の弾力性により復元力が生ずるものである。また素材そのものにも通常弾力性や復元力があるものである。したがって、引き伸ばし手段により生ずるところの弾力性と復元力の度合いであるが、これは本願発明の主眼とする部分ではないため数値的に特に規定すべき事項ではないものとし、よって当業者による作製上の適宜の選択事項とする。したがって前記吸水性包帯(3)の作製においては種々の設計に応じた素材を用いて、種々の引き伸ばし手段を施すことができる。
【0058】
前記のように、また図にも示したように、引き伸ばし手段の形態としては様々なものがある。
この引き伸ばし手段の実現方法の例としては、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に切れ目もしくはミシン目が交互に施されている引き伸ばし手段を施すというものである。使用者がこれを引き伸ばすと、網目状または網状となり引き伸ばす方向に素材が長く伸びるかまたは広がり、かつ特に強い復元力も生じないため、この方法が好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
前記包帯片(2)に引き伸ばし手段を施した場合、吸水性素材(6)が出てくる恐れもないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
また、その作製方法としては、超音波エネルギーを付与する方法が切れ目もしくはミシン目を容易に作製することができるため、好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0059】
また、この引き伸ばし手段とは前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)に対して施されるものであるが、前記吸水性包帯片(1)にこの引き伸ばし手段を施す場合は、これを引っ張ったときに中に包含されている吸水性素材(6)が外に出ることのないような工夫が必要である。この工夫には様々な方式が考えられるが、超音波エネルギーを付与することで素材を溶着する工夫や、接着剤を用いる方式が考えられる。超音波エネルギーを付与して溶着する方法が構成要素が増えないため好適であるが、しかしながらこれら以外の方法でもよいものとする。
【0060】
前記の構成と構造により成ることから、本願発明の吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用すると、使用者は足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収することが出来、加えて前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)が引き伸ばし手段を有することから、前記吸水性包帯片(1)、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
【0061】
すなわち、前記吸水性包帯(3)を足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の適宜の調整、すなわち前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手などで引っ張って、前記吸水性包帯片(1)の位置を動かすまたはその状態を変化させることができる。このときに素材に強い復元力は働かないため足指を強く締め付けるということがなく、また引き伸ばされた素材はほぼそのままの状態を維持する。
その結果として、本願発明の吸水性包帯(3)は、足指にあてがい巻いて適用する用品として当該用品が持つべき前記の特徴のひとつを有する。すなわち、使用者は装着する際または適用中において前記吸水性包帯(3)の厚みにより痛みが発生した場合、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)そのものか、またはその周辺の前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばして、その痛みの原因となる前記吸水性包帯片(1)を動かすかまたはその状態を変化させることが出来る。
したがってこれにより使用者は痛みを軽減または回避することが出来る。そのため快適な装着に関する適用性を満たす。
【0062】
なお、ここで、引き伸ばすまたは引っ張るというとき、これらは基本的には同義であり、前記吸水性包帯(3)またはその構成要素であるところの前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を手で引っ張るとか、手で伸ばすとか、いわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。道具を利用して引き伸ばしたり引っ張ったりしてもよい。本発明品は足指に直接適用するものであるから、通常使用者はその上に靴下を履くであろう。すると使用者は直接かまたは靴下の上からこれらを引き伸ばすかまたは引っ張るということになる。
すなわち、ここで、「引き伸ばす」とは、写真を拡大して焼き付けるという意味ではなく、また、期日などを遅らせるとか時間を長びかせるという意味でもなく、対象とするもの(用品、製品)に対して力を及ぼして、引っ張ること、引き伸ばすこと、それにより長くしたり広げたりすること等を指す。また、ここで力を及ぼすとは、上記の通りいわゆる広く一般的な仕方で引き伸ばすとか引っ張ることを意味する。
【0063】
本願発明の吸水性包帯(3)は、足指および足指股周辺の皮膚表面の水分を吸収するための用品として持つべき前記の特徴の全てを有するものである。
本願発明の用品である前記吸水性包帯(3)は、前記吸水性包帯片(1)または前記包帯片(2)を引き伸ばすことで、本用品を適用する際または適用中に、その主要な構成要素である前記吸水性包帯片(1)についてその位置を動かすかまたは状態を変化させることができるという機能性を有する発明である。
すなわち、本願発明の用品は、足指に吸水性の用品をあてがうだけの受け身的で固定的な適用形態の用品ではなく、使用者にとって不利益となる部分に対して使用者自身が変化を加えることが出来るという、そしてそれにより使用者にとって最も適した状態に能動的に変化せしめて適用することが出来るという性質を持った用品である。
【0064】
本願発明の3は、前記吸水性包帯(3)において、薬品が付加されていることを特徴とする本願発明の1または2に記載の足指のための吸水性包帯(3)である。
【0065】
本願発明の吸水性包帯(3)に薬品が付加されていることとは、吸水性包帯(3)の表面または内部に薬品が付加されていることを指す。
ここで薬品とは、対象とする皮膚疾患に対する治療薬、および芳香剤、消臭剤等を指す。これらの薬品が付加されているとは、薬品が吸水性包帯(3)の表面に塗布、浸潤、散布等されていること、もしくは、薬品が吸水性包帯(3)の内部に包含されていることを指す。
薬品が治療薬であり吸水性包帯(3)の表面に塗布されている場合、皮膚表面に治療薬が適用され治療効果がある。薬品が芳香剤、消臭剤等であり吸水性包帯(3)の内部に包含されている場合、皮膚疾患の悪臭を防ぐ効果がある。どちらの場合も当然ながら足指および足指股周辺の皮膚表面の水分は吸収される。
【0066】
本願発明の3の実施例は図としては例示していないが、
図1から
図9のどの例の吸水性包帯(3)についても薬品が付加されていてよい。例えば
図1の図中の図(1)の吸水性包帯(3)の表面に薬品として治療薬を塗布することができる。
【0067】
本願発明の4は、前記本発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)であって、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐であるところの補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっていることを特徴とする足指のための吸水性包帯群である。
【0068】
すなわち、本願発明の4の前記吸水性包帯群(12)は、前記本願発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)の複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)である。
また、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐であるところの補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっている。
【0069】
したがって、前記吸水性包帯群(12)は、前記本願発明の1から3のいずれかに記載の吸水性包帯(3)の複数個を含めて構成される吸水性包帯群(12)であり、前記吸水性包帯群(12)に含まれる前記吸水性包帯(3)のそれぞれは前記吸水性包帯群(12)の他の前記吸水性包帯(3)と直接的に、または補助包帯紐(13)を介在して間接的に、つながっている。
【0070】
ここで、つながるとは、前記と同様の形態で素材がつながる場合を意味する。すなわち、接続することでつながっている場合、同一素材で連続することでつながっている場合、組み合わすことでつながっている場合等である。
【0071】
また、補助包帯紐(13)とは通気性があり水分も通過するかまたは通気性がなく水分が通過しない紐である。
したがって、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材により成るか、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る。
したがって、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材により成る紐か、または、通気性がなく水分が通過しない素材により成る紐である。
または、補助包帯紐(13)とは、通気性があり水分も通過する素材と、通気性がなく水分が通過しない素材との、両方の素材により成る紐であってもよい。
また、補助包帯紐(13)には、引き伸ばし手段が施してあってもよく、また、施してなくともよく、この点は当業者による作製上の適宜の選択事項とする。
前記吸水性包帯群(12)の例は
図10および
図11で表している。
【0072】
本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、その構成要素の吸水性包帯(3)の数を増やすことで全体の大きさを広げてシート状にすることができる。また、本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、吸水性包帯群(12)単独で足指に巻くことのできる程度の大きさで製品化することも出来る。
製品として作製する際に生産性の効率向上の観点から、シート状の吸水性包帯群(12)を作製し提供する場合、使用者側はこのシート状の吸水性包帯群(12)から部分的に、自分の足指に適した吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取り、これらのいずれかを足指に巻いて適用することができる。
図10がシート状の吸水性包帯群(12)の例である。
製品として作製する際に、吸水性包帯群(12)単独で足指に巻くことのできる程度の大きさで製品化し提供する場合、使用者側はこの吸水性包帯群(12)をそのまま足指に適用するか、または、これから部分的に自分の足指に適した吸水性包帯群(12)または吸水性包帯(3)を切り取り、これらのいずれかを足指に巻いて適用することができる。
図11は単独ででも足指に巻くことのできる吸水性包帯群(12)の例である。
図11では、1本の補助包帯紐(13)を介在して吸水性包帯群(12)複数個が間接的につながっている様子を示している。
本願発明の4の吸水性包帯群(12)を、前記のように、そのままか、あるいは部分的に切り取った吸水性包帯群(12)としてか、または部分的に切り取った吸水性包帯(3)としてか、いずれかの方法にて足指にあてがい巻いて適用する際、使用者は前記の適用上の調整を行うことが出来る。すなわち各吸水性包帯(3)または各吸水性包帯片(1)を動かすかまたは状態を変化させることができる。
このように、本願発明の4の吸水性包帯群(12)は、その構成要素が前記吸水性包帯(3)であるため、前記に記載した吸水性包帯(3)の特徴を全て有している。