【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の製造
方法は、大気雰囲気での熱処理で金属を析出する第一の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成
する第一の工程と、該アルコール分散液にセラミックス粒子の集まりを投入して第一の懸濁液を作成
する第二の工程と、該第一の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記セラミックス粒子が前記第一の有機金属化合物で覆われた第一の処理粒子を作成する
第三の工程と、大気雰囲気での熱処理で金属酸化物を析出する第二の有機金属化合物をアルコールに分散してアルコール分散液を作成
する第四の工程と、該アルコール分散液に前記第一の処理粒子の集まりを投入して第二の懸濁液を作成
する第五の工程と、該第二の懸濁液を昇温して前記アルコールを気化させ、前記第一の処理粒子が前記第二の有機金属化合物で覆われた第二の処理粒子を作成する
第六の工程と、該第二の処理粒子の集まりを大気雰囲気で、前記第一の有機金属化合物が熱分解する熱処理と、前記第二の有機金属化合物が熱分解する熱処理とからなる2つの熱処理を連続して行う
第七の工程とからなり、これら七つの工程を連続して実施することで、
前記セラミックス粒子は金属微粒子と金属酸化物の微粒子との2種類の微粒子の集まりからなる微粒子の2重構造によって覆われ、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子が製造される
製造方法である点にある。
【0008】
つまり、本製造方法によれば、次の7つの簡単な処理工程を連続して実施することで、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の集まりが製造できる。第一の工程は、第一の有機金属化合物をアルコールに分散するだけの工程である。第二の工程は、アルコール分散液にセラミックス粒子の集まりを投入するだけの工程である。第三の工程は、第二の工程で製作した第一の懸濁液におけるアルコールを気化させるだけの工程である。第四の工程は、第二の有機金属化合物をアルコールに分散するだけの工程である。
第五の工程は、アルコール分散液に第三の工程で製作した第一の処理粒子の集まりを投入するだけの工程である。第六の工程は、第五の工程で製作した第二の懸濁液におけるアルコールを気化させるだけの工程である。第七の工程は、第六の工程で製作した第二の処理粒子の集まりを大気雰囲気で2段階に分けて熱処理するだけの工程である。いずれも極めて簡単な処理であり、安価な製造費用で金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の集まりが製造できる。この結果、セラミックス粒子の全般について、粒子の材質や大きさや形状に係わらず、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子の集まりが安価に製造できる。このため、従来考えられない画期的な性質を持つセラミックス粒子が製造でき、従来考えられない画期的な新たな製品を製造する原料が得られる。
つまり、本
製造方法に依れば、セラミックス粒子の表面を大気雰囲気での熱処理で金属を析出する第一の有機金属化合物で覆い、さらに、その表面を大気雰囲気での熱処理で金属酸化物を析出する第二の有機金属化合物で覆う。このセラミックス粒子の集まりを、大気雰囲気で2段階の熱処理を連続して行う。最初の熱処理で第一の有機金属化合物を熱分解し、10−100nmの大きさの範囲からなる粒状の金属微粒子を析出させる。次の熱処理で第二の有機金属化合物を熱分解して、10−100nmの大きさの範囲からなる粒状の金属酸化物の微粒子を析出させる。この結果、セラミックス粒子は2種類の微粒子の集まりからなる2重構造で覆われ、セラミックス粒子は金属と金属酸化物との性質を兼備する。
なお、第一の有機金属化合物の吸着した厚みを、第二の有機金属化合物の吸着した厚みより相対的に厚くすれば、金属微粒子の厚みが金属酸化物の厚みより厚くなり、金属の性質が金属酸化物の性質より優勢になる。また、金属酸化物が導電性を有する物質で構成すれば、セラミックス粒子はさらに金属に近い導電性を持つ。なお、導電性を有する金属酸化物として、例えば、マグネタイトFe
3O
4(酸化鉄の一種で四酸化三鉄ともいう)、酸化ニッケルNiO、酸化亜鉛ZnO、酸化クロムCrO
2、酸化スズSnO
2、酸化銅CuOなどの物質がある。このように、金属微粒子の材質と金属酸化物の微粒子の材質とに応じて、セラミックス粒子は様々な性質を新たに兼備することになる。
すなわち、第一の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、セラミックス粒子の集まりを投入して懸濁液を作成し、この懸濁液を昇温してアルコールを気化させれば、セラミックス粒子の材質や形状や大きさに係わらず、セラミックス粒子は第一の有機金属化合物で均一に覆われる。なぜならば、有機金属化合物の粉体をアルコールに分子状態で分散し、この分散液を昇温してアルコールを気化すれば、有機金属化合物は元の粉体に戻るからである。身近な事例を挙げれば、砂糖の粉を水に分子状態に分散し、この砂糖水を昇温して水を気化すれば、砂糖は元の粉に戻る。このため、第一の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、セラミックス粒子の集まりを投入すれば、全てのセラミックス粒子の表面はアルコール分散液と接触する。この後、アルコールを気化すれば、全てのセラミックス粒子は第一の有機金属化合物で均一に覆われる。同様に、第二の有機金属化合物がアルコールに分散された分散液に、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入し、この懸濁液を昇温してアルコールを気化させれば、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子は第二の有機金属化合物で覆われる。この結果、セラミックス粒子は、2種類の有機金属化合物からなる2重構造で覆われる。
つまり、有機金属化合物がアルコールに分散できる分散濃度は、重量割合で10%程度までである。このため、第二の有機金属化合物のアルコール分散液に、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入しても、第一の有機金属化合物がアルコールに再度分散することはない。従って、第一の有機金属化合物で覆われたセラミックス粒子の集まりを、第二の有機金属化合物がアルコールに分散した分散液に投入し、この後、アルコールを気化すれば、セラミックス粒子の材質や形状や大きさに係わらず、セラミックス粒子は2種類の有機金属化合物からなる2重構造で覆われる。
このセラミックス粒子の集まりを、大気雰囲気での熱処理を2段階に分けて連続して行う。最初の熱処理で第一の有機金属化合物を熱分解させ、次の熱処理で第二の有機金属化合物を熱分解させる。つまり、第一の有機金属化合物の熱分解がセラミックス粒子の表面で始まると、有機酸と金属(分子クラスターの状態にある)とに分離し、比重が大きい金属はセラミックス粒子の表面に留まり、比重が小さい有機酸は金属の上に移動する。従って、有機酸の上に第二の有機金属化合物が存在する。さらに温度が上がると、気化熱を奪って有機酸が気化し、第二の有機金属化合物の被膜を貫通して蒸発する。有機酸の気化が完了すると、金属は熱エネルギーを得て粒状の微粒子を形成して安定化し、熱分解を終える。さらに温度が上がると、第二の有機金属化合物の熱分解が始まり、有機酸と金属酸化物とに分離し、有機酸が気化熱を奪って気化し、有機酸の気化が完了すると、金属酸化物は熱エネルギーを得て金属微粒子の集まりの上に、粒状の微粒子を形成して安定化し、熱分解を終える。こうして、セラミックス粒子は、金属微粒子の集まりと金属酸化物の微粒子の集まりからなる微粒子の2重構造で覆われ、金属と金属酸化物との性質を兼備する。
なお、第一の有機金属化合物の熱分解で析出する粒状の金属微粒子は、不純物を持たない活性状態にあるため、粒状の微粒子同士が互いに接触する部位で金属結合し、金属微粒子からなる多層構造を形成してセラミックス粒子の表面を覆う。いっぽう、粒状の金属酸化物の微粒子の集まりで、金属微粒子の多層構造の表面を覆わなければ、セラミックス粒子同士が金属微粒子を介して結合される。つまり、金属酸化物の微粒子同士は金属結合ないしは共有結合しないため、金属酸化物の微粒子で覆われたセラミックス粒子同士は結合しない。このため、セラミックス粒子の表面を金属微粒子と金属酸化物の微粒子とからなる微粒子の2重構造で覆い、セラミックス粒子同士の結合を回避した。
セラミックス粒子を覆った微粒子の2重構造は、金属微粒子と金属酸化物との界面において、金属微粒子と金属酸化物との間で、合金ないしは金属間化合物を形成しないため、金属微粒子と金属酸化物の微粒子とは金属結合ないしは共有結合しない。また、金属酸化物は安定な物質であり、金属酸化物の微粒子同士が、互いに金属結合ないしは共有結合しない。いっぽう、粒状の金属微粒子は互いに接触する部位で金属結合し、この金属微粒子の集まりがセラミックス粒子を覆う。このため、金属微粒子の集まりはセラミックス粒子の表面から脱落しにくい。いっぽう、金属酸化物の微粒子同士は金属結合ないしは共有結合しないため、セラミックス粒子に応力を加えると、金属酸化物の微粒子の集まりは、セラミックス粒子から容易に脱落する。これによって、金属微粒子の集まりで覆われたセラミックス粒子の集まりが容易に得られる。この金属微粒子の集まりで覆われたセラミックス粒子を原料として用いて様々な成形体を加工すると、この成形体は金属の性質を兼備する。つまり、セラミックスの欠点を金属の性質で補う成形体を製造することが可能になる。
以上に説明したように、本
製造方法に依れば、セラミックス粒子の全般について、粒子の材質や大きさや形状に係わらず、金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子が製造できる。また、安価な材料である有機金属化合物を大気中で熱処理するだけの極めて簡単な処理であり、製造費用は安価で済む。さらに、このセラミックス粒子は、金属微粒子を構成する金属の耐熱性を有し、金属酸化物の微粒子を構成する金属酸化物の耐酸化性と耐食性とを有する。このように、セラミックス粒子は金属と金属酸化物との性質を兼備するとともに、セラミックスの長所を損なうことがない。この結果、本
製造方法に依れば、6段落で説明した4つの要件を満たすセラミックス粒子が実現できる。さらに、金属酸化物の微粒子をセラミックス粒子の表層から脱落させ、このセラミックス粒子を原料として用いて加工した成形体は金属の性質を兼備する。これによって、従来考えられない画期的な新たな製品の製造が可能になる。
【0009】
前記した
金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法において、前記第一の有機金属化合物が、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合する第一の特徴と、飽和脂肪酸からなるカルボン酸で構成される第二の特徴とを有するカルボン酸金属化合物である
、前記した金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法である。
【0010】
つまり、
カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合し、カルボン酸が飽和脂肪酸で構成されるカルボン酸金属化合物は、熱分解で金属を析出する。このため、8段落で説明した第一の有機金属化合物を本特徴手段のカルボン酸金属化合物で構成し、セラミックス粒子の表面をカルボン酸金属化合物の被膜で覆い、このセラミックス粒子の集まりを大気雰囲気で熱処理すると、290−400℃の極めて低い温度でカルボン酸金属化合物の熱分解し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属微粒子の集まりが析出する。この結果、セラミックス粒子の材質や形状や大きさに係わらず、セラミックス粒子の表面が金属微粒子の集まりで覆われ、セラミックス粒子は新たに金属の性質を持つことになる。
すなわち、カルボン酸金属化合物を構成するイオンの中で、金属イオンが最も大きい。従って、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合するカルボン酸金属化合物においては、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物を大気雰囲気で熱処理すると、カルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断されて、カルボン酸と金属とに分離する。さらに、カルボン酸が飽和脂肪酸から構成される場合は、炭素原子が水素原子に対して過剰となる不飽和構造を持たないため、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の沸点に応じた290−400℃の極めて低い温度で全てのカルボン酸が気化して金属が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、オクチル酸金属化合物、ラウリン酸金属化合物、ステアリン酸金属化合物などの飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物がある。
なお、不飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物は、飽和脂肪酸からなるカルボン酸金属化合物に比べて、炭素原子が水素原子に対して過剰になるため、熱分解によって金属酸化物が析出する。例えばオレイン酸銅は、酸化
第一銅Cu
2Oと酸化
第二銅CuOとが同時に析出し、銅に還元するための処理費用を要する。中でも酸化
第一銅Cu
2Oは、大気雰囲気より酸素ガスがリッチな雰囲気で一度酸化
第二銅CuOに酸化させた後に、再度、還元雰囲気で銅に還元させる必要があるため、還元処理の費用がかさむ。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、汎用的なカルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属からなるカルボン酸金属化合物が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であり、カルボン酸の沸点に応じた290−400℃の極めて低い温度で金属が析出する。
以上に説明したように、
安価な工業用薬品であるカルボン酸金属化合物を用いて、大気雰囲気の290−400℃の極めて低い温度の熱処理で、セラミックス粒子の材質や大きさや形状に係わらず、その表面を様々な金属からなる金属微粒子の集まりで覆うことができる。この結果、安価な製造費用でセラミックス粒子を金属微粒子の集まりで覆うことができ、セラミックス粒子は新たに金属の性質を持つ。
【0011】
前記した
金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法において、前記第二の有機金属化合物
が、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物である
、第一特徴手段の金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法である。
【0012】
つまり、
カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物は、熱分解によって金属酸化物を析出する。このため、8段落で説明した第二の有機金属化合物を
このカルボン酸金属化合物で構成し、8段落で説明した第一の有機金属化合物の被膜の表面を、このカルボン酸金属化合物で覆い、このセラミックス粒子の集まりを大気雰囲気で熱処理すると、350℃程度の極めて低い温度でカルボン酸金属化合物の熱分解し、大きさが10−100nmの範囲に入る粒状の金属酸化物の微粒子の集まりが、金属微粒子の集まりの表面に析出する。この結果、セラミックス粒子の材質や大きさや形状に係わらず、セラミックス粒子の表面が金属微粒子の集まりと、金属酸化物の微粒子の集まりで覆われ、セラミックス粒子は様々な金属の性質と様々な金属酸化物の性質とを新たに兼備することになる。
すなわち、カルボキシル基を構成する酸素イオンが配位子になって、金属イオンに近づいて配位結合するカルボン酸金属化合物は、最も大きいイオンである金属イオンに酸素イオンが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。これによって、金属イオンに配位結合する酸素イオンが、金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が最も長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸金属化合物は、カルボン酸金属化合物を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、金属イオンと酸素イオンとの化合物である金属酸化物とカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した後に金属酸化物が析出する。こうしたカルボン酸金属化合物として、酢酸金属化合物、カプリル酸金属化合物、安息香酸金属化合物、ナフテン酸金属化合物などがある。
さらに、前記したカルボン酸金属化合物は、いずれも容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、汎用的なカルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させることで、カルボン酸金属化合物が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であるため、大気雰囲気においては350℃程度の極めて低い熱処理で金属酸化物の微粒子が析出する。
以上に説明したように、
安価な製造費用で、8段落で説明した金属微粒子の集まりの表面を金属酸化物の微粒子の集まりで覆うことができ、セラミックス粒子は様々な金属の性質と様々な金属酸化物の性質とを新たに兼備することになる。
【0013】
前記した
金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法において、前記金属酸化物の微粒子
が、導電性と強磁性を兼備する金属酸化物からなる微粒子である
、第一特徴手段の金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法である。
【0014】
つまり、
8段落で説明した金属酸化物の微粒子が、導電性で強磁性の性質を兼備する金属酸化物の微粒子であれば、微粒子同士が互いに磁気吸着し、8段落で説明した金属微粒子の集まりから脱落しにくくなる。また、金属酸化物の微粒子の集まりで覆われたセラミックス粒子の導電性が増大し、金属の導電性にさらに近づく。
このような導電性と強磁性の性質を兼備する金属酸化物として、例えば、マグネタイトFe
3O
4(四酸化三鉄ともいう)がある。マグネタイトは、二価の鉄イオンFe
2+からなる有機鉄化合物を大気雰囲気で熱分解して酸化
第一鉄FeOを析出させ、さらに昇温して酸化すると、酸化
第一鉄FeOを構成する鉄イオンFe
2+の半数がFe
3+に酸化されて、FeO・Fe
2O
3からなるマグネタイトFe
3O
4が生成される。このため、安価な工業用薬品である有機鉄化合物を、大気雰囲気で熱処理するだけで、マグネタイト微粒子の集まりが析出できる。
なお、マグネタイトは強磁性体であり、飽和磁化は60−90emu/gの値を持ち、磁気キュリー点は585℃である。また、金属並みの導電性を持ち、電気伝導率は2.5×10
4/Ω・mの値を持つ。さらに、大気中の450℃以上の温度で酸化
第二鉄のα相であるヘマタイトα−Fe
2O
3に相転移するが、ヘマタイトは極めて極めて安定した酸化物、つまり、不動態であり、融点である1566℃に近い耐熱性を有する。
【0015】
前記した
金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法において、前記金属微粒子は、強磁性の金属からなる微粒子であり、前記
金属酸化物の微粒子は、導電性と強磁性を兼備する金属酸化物からなる微粒子である
、第一特徴手段の金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法である。
【0016】
つまり、
金属酸化物の微粒子同士が互いに磁気吸着するとともに、強磁性の金属微粒子の集まりとの間で磁気吸引力が作用し、金属酸化物からなる微粒子は、セラミックス粒子の表面からさらに脱落しにくくなる。
このような強磁性の金属として、鉄、ニッケルないしコバルトがある。また、導電性で強磁性の金属酸化物として前記したマグネタイトがある。従って、第一の有機金属化合物として、熱分解で鉄、ニッケルないしはコバルトを生成する有機金属化合物を用い、第二の有機金属化合物として、熱分解で酸化
第一鉄FeOを生成する有機金属化合物を用いる。これらの有機金属化合物をセラミックス粒子の表面に2重構造で吸着させて熱処理し、強磁性の金属微粒子と酸化
第一鉄FeOの微粒子とを析出させ、さらに、昇温して酸化
第一鉄FeOをマグネタイトに酸化する。この結果、セラミックス粒子は、鉄、ニッケルないしはコバルトの強磁性金属微粒子の集まりとマグネタイトの微粒子の集まりの2重構造で覆われる。
【0017】
前記した
金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法で製造した金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子
を用いて焼結体を製造する方法は、該
セラミックス粒子の表層を形成する金属酸化物の微粒子を脱落させ、該
セラミックス粒子の表層を金属微粒子で覆われた粒子とし、該
セラミックス粒子の集まりを原料として用い、該
セラミックス粒子の集まりに前記金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を作成する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体
が製造
される
、前記した金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を製造する製造方法で製造した金属と金属酸化物との性質を兼備するセラミックス粒子を用いて焼結体を製造する方法である。
【0018】
つまり、
セラミックス粒子の表層を覆う金属酸化物の微粒子を、例えば、短時間のバレル研磨などの手段で脱落させ、セラミックス粒子が金属微粒子で覆われた粒子とする。この粒子の集まりを原料として用い、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施すと、融解した金属で覆われたセラミックス粒子の集まりが成形加工され、この後、融解した金属が固化すると、金属の被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりから焼結体が製造される。これによって、従来のセラミックスのバルクでは製造できなかった薄肉や複雑な形状の焼結体が製造できる。さらに、セラミックス粒子が連続した金属の被膜を介して接合されるため、焼結体は金属被膜の性質を反映し、セラミックスの固有の性質である脆性を持たない。また、焼結体は金属の性質を兼備する。このように、セラミックスのバルクからなる焼結体にはない画期的な性質を持つ焼結体が製造できる。
従来、セラミックスのバルクからなる焼結体は、粉末冶金法といわれる方法で製作している。粉末冶金法は、原料となる粉体の集まりにバインダーを加えて金型に充填し、金型を焼成炉に入れて焼成する。最初に、昇温速度を抑えて昇温し、粉体に含まれる水分とバインダーを気化し、粉体を徐々に収縮させて粉体同士を近接させる第一の熱処理を行う。次に、粉体同士が化学反応を起こす1000℃を優に超す温度まで、第一の熱処理より速い速度で昇温させる第二の熱処理を行う。さらに、一定時間この温度に保持し、粉体同士の表面拡散を進め、さらに、界面拡散による結晶粒の成長を進める第三の熱処理を行う。この際、粉体同士の界面拡散によって、粉体同士の間隙の一部を吸収して粉体が収縮するが、結晶粒の成長によって間隙の一部を吸収する。最後に、室温まで徐冷してセラミックスのバルクからなる焼結体を得る。
粉末冶金法に依るセラミックスのバルクからなる焼結体の製作では、第三の熱処理で界面拡散の進行と結晶粒の成長が行われても空隙は残存する。この結果、焼結体の内部には必ず気孔が形成される。この気孔の存在によって、焼結体が昇温される際、あるいは冷却される際に、気孔つまり気体の熱膨張率が、セラミックスの熱膨張率より著しく大きいため、焼結体にクラックが入り焼結体が破壊される。セラミックスは金属より高い耐熱性と耐食性とを持つが、昇温及び冷却による温度変化には脆く、セラミックスが熱応力によって脆性破壊することはよく知られたセラミックス固有の性質である。
これに対し、セラミックス粒子は、粉末冶金法とは全く異なる製法で製造される。例えば、最も汎用的なセラミックス粒子の一種であるアルミナ粉体は、最も汎用的な製法としてバイヤー法がある。バイヤー法は、最初に鉱石であるボーキサイトを、水酸化ナトリウムの熱溶液を用いて250℃で洗浄する。これによって、ボーキサイトに含まれるアルミナのみが溶解して水酸化アルミニウムAl(OH)
3の溶解液になり、ボーキサイトに含まれるシリカや酸化鉄や二酸化チタンは溶解しないため、ろ過によって除去される。次に、溶解液を冷却すると水酸化アルミニウムAl(OH)
3が沈殿する。さらに、水酸化アルミニウムAl(OH)
3を1050℃で加熱して脱水させるとアルミナAl
2O
3粉体が生成される。このアルミナ粉体は、高温の脱水反応によって粉体を製造するため、粉体の内部に気孔を持たない。なぜならば、脱水反応時に粉体内部に気孔が仮に存在するとすれば、脱水反応後の冷却時にさらに微細な粉体に分解されるため、精製されたアルミナ粉体の内部には気孔が存在しない。このように、セラミックス粒子は粒子であるため、内部に空孔を持たず、急激な温度変化に依る熱応力によって脆性破壊されることはない。
ここで、セラミックと金属との物性の違いの要因を説明する。セラミックスはイオン結合に基づく結合であるのに対し、金属は金属結合に基づく結合である。このため、原子間の結合エネルギーは、セラミックスは金属より著しく大きい。例えばアルミナの原子間結合エネルギーが15100J/molであるのに対し、銅の原子間結合エネルギーは僅かに339J/molである。従って、セラミックスにおける原子間距離の変化は、金属の変化より著しく小さいため、セラミックスが機械的応力を受けた際の弾性変形量はわずかで塑性変形しない。このため、セラミックスは僅かな歪で破壊する脆性を持つ。また、圧縮強度に比べ曲げ強度は著しく小さい。例えば、アルミナの圧縮強度は2450MPaであるのに対し、曲げ強度は330MPaに過ぎない。これに対し、金属では弾性変形の後にさらに塑性変形するため、曲げ強度と圧縮強度を持たない。また、セラミックスは金属より大きな弾性率を持つ。例えば、アルミナのヤング率が340GPaであるのに対し、銅は115GPaに過ぎない。いっぽう、全ての物質は温度変化によって原子の熱振動が起こって原子間距離が変化し、熱膨張が起る。セラミックスは原子間距離の変化が小さいため、熱膨張率は金属より一桁小さい。例えば、アルミナの熱膨張率が7×10
−6/℃であるのに対し、銅は17×10
−6/℃である。このように、セラミックスは金属に比べ機械的にも熱的にも変形しにくい材料である。
本
発明の焼結体は、連続した金属の被膜がセラミックス粒子同士の間隙に形成されるため、従来のセラミックスの焼結体では考えらえない次の5つの性質を持つ。
第一に、焼結体は、セラミックスの最大の欠点である脆性を持たない。つまり、焼結体に機械的応力ないしは熱的応力が加わった際に、応力は無数のセラミックス粒子に分散される。また、金属の弾性率がセラミックスの弾性率より小さいため、金属被膜が優先して弾性変形ないしは塑性変形する。さらに、金属被膜の弾性変形ないしは塑性変形によって、セラミックス粒子に圧縮応力が加わるが、過大な圧縮強度を持つセラミックス粒子は破壊されない。仮にセラミックス粒子にクラックが入ったとしても、セラミックス粒子は依然として金属皮膜で覆われ、セラミックス粒子は焼結体から脱落しない。つまり、セラミックス粒子が仮に脆性破壊されたとしても、連続した金属被膜によって焼結体は脆性破壊されず、焼結体は脆性を持たない。
第二に、焼結体に電流ないしは熱が加えられると、金属の被膜を介して焼結体の内部を電流なしは熱が伝導する。これによって、焼結体は、電気導電性と熱伝導性とを兼備する。
第三に、金属被膜を構成する金属が強磁性の金属であれば、金属被膜を介して焼結体の内部を磁気が伝達する。これによって、焼結体は強磁性の性質を持つ。
第四に、従来の粉末冶金法に依るセラミックスの焼結体の製作では、原料となる粉体に含まれる水分とバインダーの気化と、粉体の界面拡散に伴う粉体の収縮とによって、3次元的な複雑な形状や薄肉の形状からなる焼結体は、クラックが入るため製作が困難であった。本特徴手段に依れば、溶解した金属で覆われたセラミックス粒子が可塑性を持つため、様々な成形加工が可能になり、3次元的な複雑な形状や薄肉の形状の焼結体が製作できる。また、この焼結体は、前記した第一の性質である脆性を持たない。
第五に、この焼結体の機械的性質ないしは熱的性質は、金属皮膜を構成する金属の機械的性質ないしは熱的性質を持つ。従って、焼結体は金属被膜を構成する金属の融点に応じた耐熱性を持つ。また、金属被膜を構成する金属の酸化物が高温で酸化が進行しない金属であれば、焼結体は耐酸化性を持つ。このため、焼結体はセラミックスの長所である耐熱性と耐酸化性を損なわない。
以上に説明したように、本
発明に撚れば、従来のセラミックスのバルクからなる焼結体では考えらえない様々な性質を持つ画期的な焼結体が製作できる。
【0019】
前記した
金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第一の焼結体を製造する製造方法は、前記金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを
、前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された一対の金型で形成される間隙に充填し、該金型の間隙を大気圧より低い圧力に減圧する、さらに、前記金型を取り出して該金型の一方の金型を取り外し、該金型内に存在する焼結体を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体を製造する
、前記した金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第一の焼結体を製造する製造方法である。
【0020】
つまり、
金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを、金属微粒子が融解する温度に昇温された一対の金型で形成される間隙に充填する。この際、金属微粒子が融解し、金属微粒子の集まりが形成していた多層構造が崩れ、多層構造内に存在した大気が気泡となって現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、セラミックス粒子の集まりの内部から湧き出す。この気泡を金型の間隙につながった減圧装置で吸引すると、融解した金属で覆われたセラミックス粒子の集まりが間隙に作成される。この後、金型を取り出して一方の金型を取り外すと、金型内に存在する焼結体が徐冷され、金属の被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる
第一の焼結体が製造される。
この焼結体は18段落で説明した5つの性質を持つ。このように、セラミックスのバルクの焼結体では考えられない画期的な性質を持つ焼結体が金型の形状を反映して製造される。
【0021】
前記した
金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第二の焼結体を製造する製造方法は、前記金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを有機化合物の希薄溶解液に投入し、該粒子に前記有機化合物の希薄溶解液を吸着させる、該
希薄溶解液が吸着した粒子の集まりを原料として用い、該粒子の集まりを前記希薄溶解液の溶剤の沸点以上に昇温された射出成形機に投入する、さらに、該
射出成型機に投入された粒子の集まりを、前記射出成型機から前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された移動可能な1対の金型で形成される間隙に射出する、さらに、該金型の間隙を大気圧より低い圧力に減圧する、さらに、該金型
を移動させて該金型を開き、該金型内に存在する焼結体を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる焼結体を製造する
、前記した金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第二の焼結体を製造する製造方法である。
【0022】
つまり、
20段落で説明した製法と異なる製法で、連続した金属被膜を介してセラミックス粒子同士が接合された焼結体が製造できる。この焼結体の製造では、射出成形機から金型の間隙にセラミックス粒子を射出するため、金型が20段落で説明した金型より複雑な形状であっても、射出圧によって金型にセラミックス粒子の集まりが充填できる。この結果、20段落で説明した焼結体よりさらに薄肉ないしはさらに複雑な形状の焼結体が製造できる。また、焼結体は18段落で説明した5つの性質を持つ。
本
発明では、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを、昇華点が低い有機化合物、例えば、パラフィンワックスの希薄溶解液に浸漬させ、金属微粒子の表面にパラフィンワックスの希薄溶解液を吸着させる。なお、パラフィンワックスを溶解する溶剤として、n−ヘキサン,n−ヘプタン,イソオクタン,シクロヘキサン,キシレン,トルエンなどの無極性の有機溶媒がある。これによって、セラミックス粒子は流動性を持ち、射出成型機のシリンダーに容易に充填される。こうした処理を行ったセラミックス粒子の集まりを原料として、射出成形工程、焼結工程の2つの工程で焼結体を製作する。
射出成形工程では、前記した原料を、パラフィンワックスの溶剤の沸点より高い温度に昇温された射出成形機のシリンダーに投入する。この際、溶剤が気化し、セラミックス粒子は固化したパラフィンワックスの被膜で覆われ、このパラフィンワックスの被膜でセラミックス粒子の流動性が保たれる。このため、シリンダーの内壁は摩耗しない。
焼結工程では、パラフィンワックスの被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりを、射出成形機から金属微粒子が融解する温度に昇温された移動可能な1対の金型で形成される金型の間隙に射出する。さらに、真空装置につながる弁を開いて、金型の間隙を大気圧より低い気圧に減圧する。この際、金属微粒子が融解し、金属微粒子の集まりが形成していた多層構造が崩れ、多層構造内に存在した大気が気泡となって現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、セラミックス粒子の集まりから湧き出す。この気泡はパラフィンワックスと共に、減圧装置で吸引される。この後、金型の昇温を停止させて金型を移動し、金型を開いて内部に存在する焼結体を徐冷する。これによって、金属の被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる
第二の焼結体が製造される。
【0023】
前記した
金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第三の焼結体を製造する製造方法は、前記金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを
、前記金属微粒子の融点を超える温度に昇温された押出成形機に投入して混錬する、さらに、該粒子の集まりを前記押出成形機のダイスから二次加工機に押し出し、該粒子の集まりに二次加工を加えて該二次加工品を徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる二次加工品を製造する
、前記した金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第三の焼結体を製造する製造方法である点にある。
【0024】
つまり、
20段落と22段落とで説明した製法とは異なる製法で、金属被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる
第三の焼結体が製造される。本
発明では、二次加工機によって様々な二次加工ができるため、22段落で説明した焼結体より形状の自由度が広がる。また、押出成形機は射出成形機に比べ、粘度の高い物質を押し出すことができ、融解した金属で覆われたセラミックス粒子の集まりが押し出せる。さらに、20段落と22段落とで説明した焼結体と同様に、18段落で説明した5つの性質を持つ。
本
発明では、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを原料として用い、押し出しと二次加工からなる2つの工程によって二次加工品を製作する。
押し出し工程では、金属微粒子の融点を超える温度に昇温された押出成形機のシリンダーに、金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりを投入する。この際、セラミックス粒子は融解した金属で覆われ流動性を持つ。このため、押出成形機の内壁はセラミックス粒子によって攻撃されない。また、金属微粒子が融解した際に、金属微粒子の集まりが形成していた多層構造が崩れ、多層構造内に存在した大気が気泡となって現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、押出成形機のスクリューで混錬される際に、セラミックス粒子の集まりの内部から湧き出て、シリンダーから外部に発散する。こうして、融解した金属で覆われたセラミックスの集まりが、押出成形機のダイスから二次加工品の形状に応じた形状として押し出される。つまり、ダイスは二次加工品の形状に応じた構造を持つ。
二次加工の工程では、融解した金属で覆われたセラミックスの集まりを、二次加工機によって様々な形状に二次加工し、その後、二次加工品を徐冷すると、金属の被膜で覆われた接合されたセラミックス粒子の集まりからなる様々な形状の焼結体が製造される。
なお、二次加工機は、スリーブ成形機、チューブ成形機、ブロー成形機、シート成形機、サーモフォーミング成形機などの様々な二次加工機から構成され、これによって、スリーブ成形、チューブ成形、ブロー成形、シート成形、サーモフォーミング成形などの様々な二次加工が施され、スリーブ、チューブ、シート、あるいは容器などが製造される。
【0025】
前記した
金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第四の焼結体を製造する製造方法は、前記金属微粒子で覆われたセラミックス粒子を、強磁性の金属微粒子で覆われたセラミックス粒子
とし、該
セラミックス粒子を原料として用い、該粒子の集まりを冷間圧延ロール機に投入して圧延体を作成する、さらに、該圧延体を前記強磁性の金属微粒子の融点を超える温度に昇温された熱間圧延ロール機に供給して圧延シートを作成する、さらに、該圧延シートを冷間圧延ロール機に供給して該圧延シートを徐冷する、これによって、前記セラミックス粒子同士が強磁性の金属の被膜を介して接合されたセラミックス粒子の集まりからなる圧延シートを製造する
、前記した金属微粒子で覆われたセラミックス粒子の集まりに、金属微粒子の融点を超える熱処理を伴う成形加工を施して焼結体を製造する製造方法に係わる第四の焼結体を製造する製造方法である。
【0026】
つまり、
強磁性の金属微粒子で覆われたセラミックス粒子を原料として用い、冷間圧延ロール加工と熱間圧延ロール加工と冷間圧延ロール加工とを連続して行うと、連続した金属被膜を介してセラミックス粒子同士が接合された圧延シートが製造できる。この圧延シートは、18段落で説明した5つの性質を持ち、さらに、連続した金属の被膜の存在によって曲げ強度を有する。
従来、粉末冶金法でセラミックスのバルクからなるシート状の焼結体を製作する場合は、18段落で説明したように、焼結体の内部に気孔が存在するため、焼結体は温度変化によって容易に脆性破壊される。さらに、18段落で説明したように、セラミックスの曲げ強度が小さいため、シート状の焼結体は、曲げ応力によって容易に脆性破壊される。このため、粉末冶金法で製作したセラミックスのバルクからなるシート状の焼結体は実用性が低い。
これに対し、本
発明で製造した圧延シートは、連続した金属被膜を介してセラミックス粒子同士が接合されているため、18段落で説明した5つの性質を持ち、曲げ応力が加えられた際に、金属被膜の弾性変形ないしは塑性変形によって脆性破壊されない。この結果、粉末冶金法では実用性が低かったシート状の焼結体が製造できる。
最初に、強磁性の金属微粒子同士の磁気吸着によって吸着したセラミックス粒子の集まりを、一対のロールが多段に構成された冷間圧延ロール機のロールの間隙に供給する。この際、セラミックス粒子に加わった圧縮応力で磁気吸着が解除され、セラミックス粒子の集まりが扁平に変形する。さらに、より大きな圧縮応力が加わり、金属微粒子の多層構造が塑性変形し、塑性変形した金属微粒子が互いに絡み合い、セラミックス粒子同士が接合して扁平な圧延体となる。さらに圧延体を、金属微粒子の融点を超える温度に昇温された一対のロールが多段に構成された熱間圧延機のロールの間隙に供給する。この際、融解した金属によって薄板シートが可塑性を持ち、薄板シートは熱間圧延機で連続して引き伸ばされて圧延シートになる。なお、金属微粒子が融解する際に気泡が現れる。この気泡は、金属微粒子が融解される温度に昇温されて体積が膨張し、膨張した気泡は多段のロールでつぶされて大気中に発散する。この後、圧延シートを一対のロールが多段に構成された冷間圧延機のロールの間隙に供給する。この際、融解した金属が固化し、さらに徐冷され、金属被膜で覆われたセラミックス粒子の集まりからなる圧延シートが製作される。
【0027】
(削除)
【0028】
(削除)