(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384828
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】スリープ機能付き電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20180827BHJP
G06F 3/023 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
G06F3/02 510
G06F3/023 480
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-132782(P2014-132782)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-12198(P2016-12198A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 裕吾
(72)【発明者】
【氏名】竹厚 善生
【審査官】
岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−014089(JP,A)
【文献】
特開平05−134795(JP,A)
【文献】
特開2012−141704(JP,A)
【文献】
特開2005−018705(JP,A)
【文献】
特開平09−319487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26−1/32
3/02−3/027
H03M 11/04
11/08−11/14
11/20−11/24
H04M 1/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーが配列されたキーパネルと、
前記キーパネルをスキャンして、前記キーの押下状態に関するキースキャン情報を取得する外部回路と、
前記外部回路と独立して動作し、前記外部回路と送受信可能に接続されたCPUと、
を備え、
前記外部回路は、通常モードとスリープモードとを有し、通常モード中にいずれかのキーが押下されると、割込信号を前記CPUに送信して前記キースキャン情報を前記CPUに送信するとともに、前記押下されたキーが所定のキーの場合には自らでスリープモードに移行し、スリープモード中では前記所定のキーが押下された場合にのみ、前記割込信号および前記キースキャン情報を前記CPUに送信するとともに自らで通常モードに移行する、
ことを特徴とするスリープ機能付き電子機器。
【請求項2】
任意の前記キーを前記所定のキーとして設定自在となっている、
ことを特徴とする請求項1記載のスリープ機能付き電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー入力を受け付けないスリープ(キーロック)機能を備えた、スリープ機能付き電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯端末において、使用者が使用する意思がないときに、偶然にキーが押下されることで、使用者が意図しない動作(誤動作)が行われてしまうことがあり、このような誤動作を防止するためのスリープ機能が知られている(例えば、特許文献1)。このスリープ機能は、通常モード(非スリープモード)中に所定のスリープキー(キーロックキー)が押下されると、スリープモードに移行してその後のキー入力を受け付けない、つまり、キーが入力されても動作しないようにする。また、スリープモード中に所定のスリープキーが押下されると、通常モードに移行してキー入力を受け付けるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−097128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のような技術では、スリープモード中であってもいずれかのキーが押下されると、CPU(Central Processing Unit)に割り込みが発生して、CPUでどのキーが押下されたかを判断するようになっている。すなわち、スリープモード中にいずれかのキーが押下されると、CPUでスリープキーが押下されたか否かを判断し、スリープキーの場合には通常モードに移行し、スリープキーでない場合には動作しないようになっている。このため、例えば、携帯端末がスリープモードで鞄のなかに収納されている際に、偶然にキーが押された場合であっても、その都度、CPUが起動して所定の処理を行うことになる。この結果、CPUの起動に要する消費電力が増加し、電池の維持時間(使用可能時間)が短くなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、スリープモード中における消費電力を軽減することが可能な、スリープ機能付き電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のキーが配列されたキーパネルと、前記キーパネルをスキャンして、前記キーの押下状態に関するキースキャン情報を取得する外部回路と、前記外部回路と独立して動作し、前記外部回路と送受信可能に接続されたCPUと、を備え、前記外部回路は、通常モードとスリープモードとを有し、通常モード中にいずれかのキーが押下されると、割込信号を前記CPUに送信して前記キースキャン情報を前記CPUに送信するとともに、
前記押下されたキーが所定のキー
の場合には自らでスリープモードに移行し、スリープモード中では前記所定のキーが押下された場合にのみ、前記割込信号および前記キースキャン情報を前記CPUに送信するとともに自らで通常モードに移行する、ことを特徴とするスリープ機能付き電子機器である。
【0007】
この発明によれば、通常モード中にいずれかのキーが押下されると、外部回路からCPUに割込信号とキースキャン情報とが送信されるとともに、所定のキーが押下された場合には、CPUが外部回路をスリープモードに移行させる。また、スリープモード中では、所定のキーが押下された場合にのみ、外部回路からCPUに割込信号とキースキャン情報とが送信されるとともに、CPUは外部回路を通常モードに移行させる。すなわち、スリープモード中に所定のキー以外のキーが押下されても、外部回路からCPUに割込信号などは送信されない。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスリープ機能付き電子機器において、任意の前記キーを前記所定のキーとして設定自在となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、スリープモード中に所定のキー以外のキーが押下されても、外部回路からCPUに割込信号などが送信されないため、CPUが起動しない。つまり、スリープモード中にキーが押下される度にCPUが起動する、という無駄が回避される。この結果、CPUの起動に要する消費電力を軽減して、電池の維持時間(使用可能時間)を長くすることが可能となる。
【0010】
請求項2の発明によれば、任意のキーを所定のキーとして設定自在なため、所望のキーを所定のキーとして設定することで、使用者が所定のキーを間違えて押下しないようにしたり、外部から偶然に所定のキーが押下されないようにしたりすることが可能となる。この結果、スリープモード中における消費電力をより軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態に係るスリープ機能付き電子機器を示す概略構成ブロック図である。
【
図2】
図1のスリープ機能付き電子機器のキーパネルとFPGAの概略構成ブロック図である。
【
図3】
図1のスリープ機能付き電子機器において、通常モード中に特定キー以外のキーが押下された場合の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図1のスリープ機能付き電子機器において、通常モード中に特定キーが押下された場合の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図1のスリープ機能付き電子機器において、スリープモード中に特定キー以外のキーが押下された場合の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図1のスリープ機能付き電子機器において、スリープモード中に特定キーが押下された場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0013】
図1〜
図6は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この実施の形態に係るスリープ機能付き電子機器1を示す概略構成ブロック図である。このスリープ機能付き電子機器1は、キー入力を受け付けないスリープ機能を備えた電子機器(例えば、携帯端末)であり、主として、キーパネル2と、外部回路としてのFPGA(Field Programmable Gate Array)3と、CPU4とを備え、キーパネル2とFPGA3およびFPGA3とCPU4とが、送受信可能・データ伝送可能に接続されている。
【0014】
キーパネル2は、複数のキー21が配列されたパネルであり、FPGA3によってキー21の押下状態がスキャンされるようになっている。
【0015】
FPGA3は、所定のプログラムを搭載した集積回路・デバイスであり、キースキャン回路31と割込発生回路32とを備えている。キースキャン回路31は、キーパネル2をスキャンして、キーの押下状態に関するキースキャン情報を取得する回路であり、
図2に示すように、既存のキースキャン回路と同等の構成となっている。すなわち、キーパネル2を列ごとにスキャンして、キー列データを順次取得することで、どのキー21が押下されているかを示すキースキャン情報を取得する。このようなキースキャン情報は、後述するキースキャン動作において、キー列データとして順次CPU4に送信される。
【0016】
割込発生回路32は、割込信号を生成してCPU4に送信する回路であり、後述するように、通常モード中にいずれかのキー21が押下された場合、および、スリープモード中に特定キー21Aが押下された場合に、割込信号の生成、送信を行う。
【0017】
また、FPGA3は、CPU4から送信された特定キー(所定のキー)21Aを記憶するメモリ・回路を備えている。すなわち、CPU4からスリープモード用の特定キー21Aが送信されると、この特定キー21Aをメモリに記憶する。ここで、特定キー21Aとして、キーロックキーや電源キーが予め初期設定されているが、任意のキー21を特定キー21Aとして設定自在となっている。すなわち、スリープ機能付き電子機器1を操作して、任意のキー21をスリープモード用の特定キー21Aに選択、設定すると、このキー21が特定キー21AとしてCPU4からFPGA3に送信される。また、通常モードからスリープモードに移行するための特定キー21Aと、スリープモードから通常モードに移行するための特定キー21Aとを、異なるキー21に設定したり、特定キー21Aを複数設定したりすることもできるようになっている。
【0018】
FPGA3は、通常モードとスリープモードとを有し、現在のモードを記憶するようになっている。そして、通常モード中にいずれかのキー21が押下されると、割込信号をCPU4に送信してキースキャン情報をCPU4に送信するとともに、特定キー21Aが押下された場合には、CPU4はFPGA3に対してスリープモードに移行させる。すなわち、通常モードでは、いずれかのキー21が押下されると、割込信号をCPU4に送信した後に、キースキャン動作においてキー列データを順次CPU4に送信する。さらに、押下されたキー21が特定キー21Aの場合には、CPU4はFPGA3に対してスリープモードを設定する。
【0019】
ここで、キースキャン動作においては、CPU4からFPGA3に要求信号(キーn列目設定、nは正の整数)を送信する度に順次、FPGA3からCPU4にキー列データを送信するようにしてもよい。
【0020】
一方、スリープモード中では特定キー21Aが押下された場合にのみ、割込信号およびキースキャン情報をCPU4に送信するとともに、CPU4はFPGA3を通常モードに移行させる。すなわち、スリープモードでは、いずれかのキー21が押下され、そのキー21が特定キー21Aの場合には、割込信号をCPU4に送信した後に、キースキャン動作においてキー列データを順次CPU4に送信するとともに、CPU4はFPGA3のモードを通常モードに設定する。一方、押下されたキー21が特定キー21Aでない場合には、割込信号やキースキャン情報の送信は行わず、CPU4は、スリープモードのままである。
【0021】
ここで、この実施の形態では、後述するように、FPGA3は、CPU4からの指令に従ってモードを移行するようになっている。また、このようなFPGA3は、キーを常時受付可能な状態(常時起動状態)となっているが、その消費電力はCPU4よりも低いものとなっている。
【0022】
CPU4は、FPGA3から受信したキースキャン情報に基づいて、つまり、どのキー21が押下されたかに基づいて、所定の処理を行ったりする回路であり、FPGA3とは別個独立して動作する回路である。従って、CPU4が起動していない状態でもFPGA3が起動している場合があり、逆に、FPGA3が起動していない状態でもCPU4が起動している場合がある。
【0023】
このCPU4は、次のような場合に、モードを移行すべき指令をFPGA3に送信する。すなわち、通常モード中にFPGA3から受信したキースキャン情報に基づく押下キー21が特定キー21Aである場合には、FPGA3にスリープモードに移行すべき指令を送信する。この際、CPU4自体もスリープモードに移行する。また、スリープモード中にFPGA3から受信したキースキャン情報に基づく押下キー21が特定キー21Aである場合には、FPGA3に通常モードに移行すべき指令を送信する。この際、CPU4自体も通常モードに移行する。
【0024】
次に、このような構成のスリープ機能付き電子機器1の作用などについて説明する。
【0025】
まず、
図3に示すように、通常モード中に特定キー21A以外のキー21が押下されると、FPGA3のキースキャン回路31によってキー押下がスキャン・検知され、割込発生回路32によってCPU4に割込信号が送信される。続いて、キースキャン回路31とCPU4との間でキースキャン動作が行われ、上記のようにして、キースキャン情報がキー列データとして順次キースキャン回路31からCPU4に送信される。そして、キースキャン情報に基づく押下キー21の種類・識別に従って、CPU4において所定の処理(キー押下処理)が行われる。
【0026】
また、
図4に示すように、通常モード中に特定キー21A(キーロックキー)が押下されると、
図3の場合と同様にして、割込発生回路32からCPU4に割込信号が送信され、キースキャン情報がキースキャン回路31からCPU4に送信される。そして、CPU4において特定キー21Aに対する所定の処理、つまり、スリープモードに移行する処理(キーロック処理)が行われ、FPGA3に対してスリープモードに移行すべき指令が送信される。これを受けて、FPGA3がスリープモードに移行する。
【0027】
そして、
図5に示すように、スリープモード中に特定キー21A以外のキー21が押下されても、上記のように、割込信号やキースキャン情報はFPGA3からCPU4に送信されず、CPU4は起動されない。
【0028】
一方、
図6に示すように、スリープモード中に特定キー21A(キーロックキーや電源キー)が押下されると、割込発生回路32からCPU4に割込信号が送信され、キースキャン情報がキースキャン回路31からCPU4に送信される。これにより、CPU4が起動して、CPU4において特定キー21Aに対する所定の処理、つまり、スリープモード(キーロック状態)を解除して通常モードに移行する処理(ロック解除処理)などが行われ、FPGA3に対して通常モードに移行すべき指令が送信される。これを受けて、FPGA3が通常モードに移行するものである。ここで、特定キー21Aが電源キーの場合には、電源押下時の処理が続いて行われる。
【0029】
以上のように、このスリープ機能付き電子機器1によれば、スリープモード中に特定キー21A以外のキー21が押下されても、FPGA3からCPU4に割込信号などが送信されないため、CPU4が起動しない。つまり、スリープモード中にキー21が押下される度にCPU4が起動する、という無駄が回避される。この結果、CPU4の起動に要する消費電力を軽減して、電池の維持時間(使用可能時間)を長くすることが可能となる。
【0030】
また、任意のキー21を特定キー21Aとして設定自在なため、所望のキー21を特定キー21Aとして設定することで、使用者が特定キー21Aを間違えて押下しないようにしたり、外部から偶然に特定キー21Aが押下されないようにしたりすることが可能となる。この結果、スリープモード中における消費電力をより軽減することが可能となる。
【0031】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、CPU4から受信した指令に従ってFPGA3がモードを移行するが、指令を受けずにFPGA3が自らで移行するようにしてもよい。すなわち、通常モード中に特定キー21Aが押下された際に、FPGA3が自らでスリープモードに移行し、スリープモード中に特定キー21Aが押下された際に、FPGA3が自らで通常モードに移行してもよい。
【0032】
また、複数の特定キー21Aが同時に押下された場合に、所定のキーが押下されたとして、上記のようなモード移行を行うようにしてもよい。これにより、所定のキーが偶然に押されることが防止、抑制され、スリープモード中にCPU4が意図せずに起動されることを削減して、CPU4の消費電力をより軽減することが可能となる。
【0033】
さらに、外部回路をFPGA3で構成しているが、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やCSSP(Customer Specific Standard Products、登録商標)などで構成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 スリープ機能付き電子機器
2 キーパネル
21 キー
21A 特定キー(所定のキー)
3 FPGA(外部回路)
31 キースキャン回路
32 割込発生回路
4 CPU