(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の配膳車の寸法関係とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る配膳車の側面図である。
図1では、説明の便宜上(第二の収容室23−2内に配置された複数のトレー支持部19、及び複数の仕切機構21を図示するため)、第二の収容室23−2と対向する位置に配置された扉(
図1に示す扉17と同様な構成とされた扉)の図示を省略する。
図1に示すX軸方向(X軸に沿う方向)は、第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2の配列方向(後述する
図5に示すY軸方向と直交する方向)を示している。
図1に示すZ軸方向は、仕切機構21の積層方向(言い換えれば、上下方向)を示している。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の配膳車10は、配膳車本体11と、複数の車輪12,13と、隔壁15と、扉17と、トレー支持部19と、仕切機構21と、を有する。
配膳車本体11は、複数のトレー(例えば、後述する
図2に示す二連式トレー30または後述する
図4に示す平坦トレー40)を収容する収容室23を有する。
収容室23は、隔壁15により、第一の収容室23−1と、第二の収容室23−2と、に区画されている。
【0021】
第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2において、対向配置された壁面25の間隔は、トレーの長辺方向の寸法、即ち、トレーの長手方向の寸法よりも大きくなるように設定されている。また、収容室23の幅は、例えば、トレーの短辺方向の寸法、即ち、トレーの短手方向の寸法の2倍程度となるように設定されている。
第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2は、トレーの上下に配置された複数の仕切機構21により、冷蔵室26(第二室)と、冷蔵室26と異なる温度とされた温蔵室27(第一室)と、に区画される。
【0022】
隔壁15は、第一の収容室23−1と第二の収容室23−2とを区画するように、収容室23内に配置されている。
扉17は、配膳車本体11において
図1の手前側及び奥側に設けられている。収容室23は、
図5のY軸方向を向く面が開放されて、当該面に扉17が設けられている。扉17を閉塞させることで、第一の収容室23−1を密閉することが可能となり、扉17を開放することで、第一の収容室23−1に収容されたトレーの搬入及び搬出が可能となる。
図1には、第一の収容室23−1の一側面を閉塞する一対の扉17のみを示しているが、実際には、四対の扉17にて第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2を閉塞する。即ち、
図1で示す一側面とは反対の側面からもトレーの出し入れが可能である。
【0023】
トレー支持部19は、第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2に複数配置されている。第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2に配置された複数のトレー支持部19は、上下方向に対して、所定の間隔で配置されている。
【0024】
車輪12は、配膳車本体11の底部の中央に少なくとも2つ配置されている。車輪13は、配膳車本体11の底部の両端に、少なくとも2つずつ配置されている。複数の車輪12,13は、配膳車本体11を移動させるための車輪である。
【0025】
図2は、
図1に示す配膳車10の収容室23に収容される二連式トレー30を示す斜視図である。
図3は、
図2に示す二連式トレー30のA−A線方向の断面図である。
図3では、説明の便宜上、二連式トレー30の構成要素ではない後述する第一仕切部材63、及び第二仕切部材64を二点鎖線で図示する。
【0026】
ここで、
図2及び
図3を参照して、二連式トレー30について説明する。
二連式トレー30は、第一のトレー部31と、第二のトレー部32と、連結部33と、を有する。第一のトレー部31は、矩形の板状部材である平板部31−1と、平板部31−1の外周縁に設けられ、平板部31−1の上面に対して傾斜した状態で平板部31−1から離間する側壁部31−2と、を有する。
【0027】
第二のトレー部32は、矩形の板状部材である平板部32−1と、平板部32−1の外周縁に設けられ、平板部32−1の上面に対して傾斜した状態で平板部32−1から離間する側壁部32−2と、を有する。
連結部33は、第一のトレー部31と第二のトレー部32との間に配置されている。連結部33は、その一方の端部が第一のトレー部31と一体的に構成されており、他方の端部が第二のトレー部32と一体に構成されている。連結部33は、平坦な上面33aと、平坦な下面33bと、を有する板状部材である。
【0028】
図4は、
図1に示す配膳車10の収容室23に収容される平坦トレー40を示す斜視図である。
ここで、
図4を参照して、平坦トレー40について説明する。
平坦トレー40は、矩形の板状部材である平板部40−1と、平板部40−1の外周縁に設けられ、平板部40−1の上面に対して傾斜した状態で平板部40−1から離間する側壁部40−2と、を有する。
【0029】
平坦トレー40は、平坦トレー40の短手方向(平板部40−1の短辺に沿う方向)が配膳車10の幅方向(言い換えれば、
図5に示すY軸方向)に沿うように、第一の収容室23−1、第二の収容室23−2に収容される。
【0030】
図5は、第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2内に配置された複数のトレー支持部19、及び複数の仕切機構21を示す斜視図である。
図5では、1つの二連式トレー30のみ図示する。
図5に示すY軸方向は、X軸方向に対して直交する方向を示している。
トレーは、扉17を開放した状態からY軸方向(第一方向)の両側から収容可能である。
【0031】
図5に示すように、トレー支持部19は、一対の金具51と、一対の支持棒53と、複数の連結部材54と、補強棒56と、を有する。一対の支持棒53は、後述する昇降機構66を構成する一要素であり、昇降機構66の操作部、及び駆動軸として機能するシャフトである。複数の連結部材54は、二連式トレー30の平板部、平坦トレー40の平板部を下方から支持する(
図12参照)。
図1及び
図5に示すように、金具51は、Y軸方向に延在するL字形状の部材であり、第一の収容室23−1及び第二の収容室23−2内における一対の壁面25にそれぞれ固定されている。一対の金具51は、対向するように配置されている。
【0032】
支持棒53(シャフト)は、一方の金具51から他方の金具51に向かう方向(具体的には、X軸方向)に延在している断面円形のパイプ状部材である。支持棒53は、例えば、POM(ポリアセタール樹脂)などのエンジニアリングプラスチックにて形成することができる。
支持棒53は、位置が固定された状態で回転するように取り付けられている。具体的には、支持棒53は、一方の端部が軸受55(
図12参照)などの支持部材を介して一方の金具51に固定されており、他方の端部が軸受55などの支持部材を介して他方の金具51に固定されている。支持棒53は、一対の金具51間に、Y軸方向に離間した状態で2つ配置されている。
2つの支持棒53は、X軸方向及びY軸方向を通過する仮想平面(図示せず)に対して、平行となるように配置されている。
【0033】
連結部材54は、連結部材本体54−1と、貫通孔(図示せず)と、挿入孔(図示せず)と、を有する。連結部材本体54−1の形状は、直方体とされている。なお、連結部材本体54−1の形状は、貫通孔及び挿入孔を形成することができれば直方体に限らず、例えば、円筒形としてもよい。
貫通孔(図示せず)は、連結部材本体54−1をX軸方向に貫通する孔である。貫通孔は、支持棒53を貫通させるための孔である。貫通孔は、支持棒53が位置が固定された状態で回転可能な程度の大きさに形成されている。
挿入孔(図示せず)は、Y軸方向に延在する孔である。挿入孔は、補強棒56の一端が挿入される孔である。
【0034】
上記構成とされた連結部材54は、連結部材本体54−1の上面がX軸方向及びY軸方向を通過する仮想平面(図示せず)に対して平行となるように、支持棒53に配置されている。
また、同一の収容室(具体的には、第一の収容室23−1または第二の収容室23−2)内において、同一の高さに配置された2本の支持棒53に配置された一対の連結部材54は、上記挿入孔が対向するように配置されている。
【0035】
補強棒56は、Y軸方向に延在する棒である。補強棒56は、一方の端部が一方の連結部材54の挿入孔(図示せず)に挿入されており、他方の端部が他方の連結部材54の挿入孔(図示せず)に挿入されている。
上記構成とされたトレー支持部19は、Y軸方向に対して2つのトレー(
図2に示す二連式トレー30または
図4に示す平坦トレー40)を支持する。
【0036】
図6は、仕切機構21の構成要素を模式的に示す図である。
図6では、仕切機構21の構成要素ではない二連式トレー30及び平坦トレー40も図示する。
図6では、二連式トレー30を支持する第二仕切部材64の上面64aが最も高い位置まで上げられ、平坦トレー40を支持する第二仕切部材64の上面64aが最も低い位置まで下げられている。
【0037】
図5及び
図6に示すように、仕切機構21は、収容室23内に上下方向に所定の間隔をおいて配置された箱形状の仕切箱61と、仕切箱61の下部に上下動自在に取り付けられトレー30,40の上面と接触する第一仕切部材63と、仕切箱61の上部に取り付けられトレー30,40の下面と接触する第二仕切部材64と、第二仕切部材64を上下方向に移動させる昇降機構66と、を有する。
【0038】
仕切箱61は、Y軸方向に延在する箱形状をなし、複数の板材により構成されている。仕切箱61を構成する複数の板材のうち、X軸方向において対向配置された一対の板材には、それぞれ2つの支持棒挿入部(図示せず)が設けられている。一対の板材に設けられた2つの支持棒挿入部には、それぞれ支持棒53が中心軸回りに回転自在に挿入されている。仕切箱61は、複数の支持棒53により支持されている。
【0039】
仕切箱61を構成する下板材(図示せず)には、Y軸方向に延在する2つの第一仕切部材63を仕切箱61内に収容したり、下板材の下方に突出させたりするための第一の開口溝61Bが設けられている。第一の開口溝は、Y軸方向に延在する溝である。
第一仕切部材63は、Y軸方向の両端にエンドピース69を有している。第一仕切部材63は、Y軸方向に延在する角筒形状をなしており、第一仕切部材63の下面は平坦に形成されている。エンドピース69は、平坦トレー40の側壁部40−2の形状に合う湾曲面69aを有している。
【0040】
また、仕切箱61の上板材(図示せず)には、Y軸方向に延在する第二仕切部材64を仕切箱61内に収容したり、上板材の上方に突出させたりするための第二の開口溝61Aが設けられている。
第二仕切部材64は、断面矩形状をなす長尺の棒状部材である。第二仕切部材64の下面は、昇降機構66を構成するカム部材70によって支持されている。第二仕切部材64は、中空の箱形状としてもよい。
【0041】
昇降機構66は、支持棒53と、支持棒53と共に回転するように固定されたカム部材70と、一対のガイド部材71と、を有している。カム部材70の回転位置は、支持棒53を支持棒53の中心軸O回りに回転させることで変更可能である。昇降機構66は、カム部材70の角度によって第二仕切部材64の高さを変更する。
【0042】
図7に示すように、カム部材70は、第二仕切部材64のX軸方向の幅よりも狭い、所定の厚さを有する板状の部材である。カム部材70には、支持棒53がカム部材70の板厚方向に貫通する支持棒貫通孔72が形成されている。カム部材70と支持棒53とは、カム部材70の板厚方向の中心が第二仕切部材64のX軸方向の中心と一致する位置に、例えば接着剤によって固定されている。このような構成によって、第二仕切部材64は、カム部材70によって支持されている。
【0043】
図8に示すように、昇降機構66のガイド部材71は、第二仕切部材64の側面(X軸方向の側面)に固定された一対の板状部材である。ガイド部材71は、例えば、ボルト77のような締結部材によって第二仕切部材64に固定されている。ガイド部材71は、第二仕切部材64のX軸方向への移動を規制する部材である。
一対のガイド部材71には、上下方向(Z軸方向)に長い長孔76が形成されている。長孔76には、支持棒53が挿通されている。
【0044】
図7に戻って、カム部材70は、外周の縁部で第二仕切部材64を支持する部材である。
カム部材70の外形は、後述する第一支持部74を含む円弧部73と、第二支持部75をなす平面と、を有している。円弧部73を構成する円弧の中心位置と支持棒貫通孔72の中心位置とは、一致しておらず、支持棒貫通孔72は、第一支持部74の近傍に形成されている。
カム部材70は、支持棒53の中心軸Oに対する第二仕切部材64の上面64aの高さが第一の高さH1(
図9参照)となるように第二仕切部材64を下方から支持可能な第一支持部74と、支持棒53の中心軸Oに対する第二仕切部材64の上面64aの高さが第一の高さH1より高い第二の高さH2(
図11参照)となるように第二仕切部材64を下方から支持可能な第二支持部75と、を有している。
【0045】
図6及び
図12に示すように、第一の高さH1は、第二仕切部材64の上面64aが平坦トレー40の平板部40−1の下面に当接するとともに、平板部40−1の下面が連結部材54の上面に当接するような高さとされている。
図9に示すように、第一支持部74は、第一支持部74の縁部から支持棒53の中心軸Oまでの距離L1と第二仕切部材64のZ軸方向の厚さTを加えた寸法が、第一の高さH1となるように形成されている。
【0046】
第二支持部75は、法線が支持棒53の中心軸Oと直交するような平面である。
図6及び
図12に示すように、第二の高さH2は、第二仕切部材64の上面64aが二連式トレー30の連結部33の下面に当接するとともに、平板部31−1,32−1の下面が連結部材54の上面に載置されるような高さとされている。
図11に示すように、第二支持部75は、第二支持部75の平面から支持棒53の中心軸Oまでの距離L2と第二仕切部材64のZ軸方向の厚さTを加えた寸法が、第二の高さH2となるように形成されている。
【0047】
第一支持部74と第二支持部75とは、カム部材70に挿入される支持棒53の中心軸Oからの距離が異なるように形成されている。具体的には、第二支持部75を構成する平面は、第一支持部74よりも中心軸Oからの距離が長くなるように形成されている。
第一支持部74と第二支持部75とは、漸次中心軸Oからの距離が増大する遷移面78によって接続されている。遷移面78は、中心軸Oに沿う方向から見た形状が円弧状となるように形成されている。
【0048】
図6に示すように、第二仕切部材64のY軸方向の上部両端には、端カム35が設けられている。端カム35は、第二仕切部材64に揺動自在に取り付けられており、第二仕切部材64より突出することで、平坦トレー40の側壁部40−2の下面に接触して側壁部40−2と第二仕切部材64との間の空間を埋めることができる。また、端カム35は、第二仕切部材64の内部に埋没させることもできる。
【0049】
図13に示すように、端カム35は、第二仕切部材64に固定されているシャフト38を支点として揺動自在に設けられている。端カム35は、第二仕切部材64の上面板65に形成されている第一切欠67を介して突出させることができる。
端カム35は、第二仕切部材64より突出する位置(
図13に実線で示す)と、第二仕切部材64の内部に埋没する位置(
図13に一点鎖線で示す)との間でシャフト38を支点として揺動する。
【0050】
端カム35の下部には、磁石である第一端カム磁石36が取り付けられている。
仕切箱61には、第一端カム磁石36と同様の磁石である第二端カム磁石37が取り付けられている。第二端カム磁石37は、第一端カム磁石36に反発力を与えるように第一端カム磁石36の下方に配置されている。これにより、端カム35は、上方に突出するように付勢される。
【0051】
端カム35において、第二仕切部材64の上面より突出する部分には、湾曲形状をなす第一湾曲部39が形成されている。第一湾曲部39は、平坦トレー40の側壁部40−2の外面に対応した形状となっている。端カム35を第二仕切部材64の上面より突出させることによって、第一湾曲部39は平坦トレー40の側壁部40−2の外面に密着する。
【0052】
図6に示すように、第二仕切部材64のY軸方向中央上部には、中央カム42が設けられている。中央カム42は、第二仕切部材64に上下動自在に取り付けられており、第二仕切部材64より突出することで、平坦トレー40の側壁部40−2の下面に接触して側壁部40−2と第二仕切部材64との間の空間を埋めることができる。また、中央カム42は、第二仕切部材64の内部に埋没させることもできる。
【0053】
図14に示すように、中央カム42は、第二仕切部材64の上面板65に形成されている第二切欠68を介して突出させることができる。
中央カム42は、第二仕切部材64より突出する位置(
図14に実線で示す)と、第二仕切部材64の内部に埋没する位置(
図13に一点鎖線で示す)との間で、上下動自在に取り付けられている。
【0054】
中央カム42のY軸方向前端は、棒状の第一リンク43を介して第二仕切部材64に接続され、中央カム42のY軸方向後端は、棒状の第二リンク44を介して第二仕切部材64に接続されている。
第一リンク43の一端は、シャフト50を介して中央カム42の前端に揺動自在に取り付けられている。
第一リンク43の他端には、第一リンク43の長手方向に沿う方向に延在する第二長孔45が形成されている。第二長孔45は、X軸方向に貫通している。第二仕切部材64の内部には、第一リンク43の第二長孔45を貫通するように配置された第二シャフト46が固定されている。第一リンク43の他端は、第二仕切部材64に固定されている第二シャフト46が第二長孔45に挿通されることによって支持されている。
第二リンク44も第一リンク43と同様の構造である。
【0055】
中央カム42が上記したような構造を有していることによって、中央カム42は、
図16の上段に示すように、単なる上下方向の移動のみならず、Y軸方向に移動しながら上下移動することが可能となる。
【0056】
中央カム42の下部には、磁石である第一中央カム磁石47が取り付けられている。
仕切箱61の所定箇所には、第一中央カム磁石47と同様の磁石である第二中央カム磁石48が取り付けられている。第二中央カム磁石48は、第一中央カム磁石47に反発力を与えるように第一中央カム磁石47の下方に配置されている。これにより、中央カム42は、上方に突出するように付勢される。
【0057】
中央カム42において、第二仕切部材64の上面より突出する部分には、湾曲形状をなす一対の第二湾曲部49が形成されている。第二湾曲部49は、平坦トレー40の側壁部40−2の外面に対応した形状となっている。中央カム42を第二仕切部材64の上面より突出させることによって、第二湾曲部49は平坦トレー40の側壁部40−2の外面に密着する。
【0058】
次に、本実施形態の配膳車10の使用方法について説明する。
まず、使用者は、トレー支持部19に支持させるトレーの種類を決定する。トレー支持部19に支持させるトレーが平坦トレー40である場合、使用者は、カム部材70が
図9に示すような角度になるように、支持棒53を回転させる。カム部材70をこのような角度にすることによって第二仕切部材64は、カム部材70の第一支持部74によって支持され、第二仕切部材64の中心軸Oに対する高さは、第一の高さH1となる。
図12に示すように、平坦トレー40は、第一の高さH1となった第二仕切部材64、及び連結部材54によって支持される。さらに、第一仕切部材63が重力によって下がり、平坦トレー40の平板部40−1の上面に当接する。
また、端カム35及び中央カム42は、第二仕切部材64の上面板65より突出する。第二仕切部材64の上面64aと、端カム35の第一湾曲部39と、中央カム42の第二湾曲部49と、が平坦トレー40の外面に密着する。
これにより、冷蔵室26と温蔵室27とが仕切られる。
【0059】
次に、平坦トレー40の挿入時の動作について説明する。
まず、使用者は、扉17を開けた状態から、平坦トレー40を上下段の仕切機構21の間に挿入する。この際、
図15に示すように、平坦トレー40の側壁部40−2は、上段の第一仕切部材63を上方に持ち上げる。また、下段の第二仕切部材64の端カム35は、平坦トレー40の側壁部40−2により下方へ押圧される。平坦トレー40を更に押し込むことによって、平坦トレー40は、
図6の上段に示されるように、第一仕切部材63及び第二仕切部材64に挟持される。また、平坦トレー40の側壁部40−2には、磁力によって付勢されている端カム35及び中央カム42が密着する。これにより、冷蔵室26(第二室)と温蔵室27(第一室)との間の暖気と冷気の混合が防止される。
【0060】
トレー支持部19に支持させるトレーが二連式トレー30である場合、使用者は、支持棒53を介してカム部材70を
図9に示すような回転位置から回転させる。カム部材70を回転させることによって、
図10に示すように、第二仕切部材64は遷移面78によって徐々に上方に移動する。
図11に示すように、第二仕切部材64が第二支持部75の平面によって支持されると、第二仕切部材64の中心軸Oに対する高さは、第二の高さH2となる。
図12に示すように、二連式トレー30は、第二の高さH2となった第二仕切部材64、及び連結部材54によって支持される。さらに、第一仕切部材63が重力によって下がり、二連式トレー30の連結部33の上面に当接する。これにより、冷蔵室26と温蔵室27とが仕切られる。
【0061】
また、トレーは、反対側の扉17からも搬入して、Y軸方向に2つ並べて配置することができる。
トレーをY軸方向に2つ並べるには、上記したように、反対側の扉17から搬入するだけでなく、搬入したトレーを手前側から更に奥側に押し込むことによって移動させて、新たに手前側にトレーを搬入してもよい。
即ち、
図16に示すように、Y軸方向の手前側に搬入した平坦トレー40を更に奥側に押し込んで、側壁部40−2が中央カム42を下方に押し込みながら中央カム42を乗り越える。また、平坦トレー40の側壁部40−2は、上段の第一仕切部材63を上方に持ち上げて、平坦トレー40は第一仕切部材63と第二仕切部材64との間に挿入される。平坦トレー40を更に押し込むことによって、平坦トレー40は、
図6の上段に示されるように、第一仕切部材63及び第二仕切部材64に挟持される。
【0062】
上記実施形態によれば、仕切機構21によって収容室23を区画するにあたって、端カム35及び中央カム42がエンドピース69とともに平坦トレー40の側壁部40−2に接触することによって、冷蔵室26と温蔵室27との区画をより確実にすることができる。
また、端カム35及び中央カム42が磁力の反発力を利用して付勢されていることによって、清潔さが要求される環境にて配膳車10を使用することができる。
【0063】
また、支持棒53を回転させて支持棒53に固定されているカム部材70を回転させることによって、第二仕切部材64の上面64aの高さを第一の高さH1と第二の高さH2とに変更することができる。これにより、より簡素な構造で、形状の異なるトレーに対応可能な仕切機構21を構成することができる。
【0064】
また、第二支持部75を支持棒53の中心軸Oと平行な平面としたことによって、より安定的に第二仕切部材64を支持することができる。また、別途カム部材70の位置を固定する機構を設けることなくカム部材70の回転位置を安定させることができる。
【0065】
また、第一支持部74と第二支持部75とが、漸次中心軸Oからの距離が増大する遷移面78によって接続されていることによって、支持棒53を回転させて支持棒53に固定されているカム部材70を回転させる際に、より滑らかに支持棒53を回転させることができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、カム部材70は円弧形状の遷移面78を有し、支持棒53の回転動作を助ける構成としたが、カム部材70に円弧部73を設けることなく、例えば、第一支持部74と第二支持部75とを第二支持部75と直交する平面で接続してもよい。即ち、カム部材70は、中心軸Oからの距離が異なる第一支持部74と第二支持部75を有していればよい。
【0067】
また、本実施形態のカム部材70は、第二仕切部材64の下面を支持する構造であるが、これに限ることはなく、第二仕切部材64の上面板65(
図13参照)の下面を支持する構造としてもよい。即ち、カム部材70の回転により第二仕切部材64が上下移動すれば、カム部材70と第二仕切部材64との接触箇所は問わない。
【0068】
また、本実施形態の仕切機構21は、昇降機構66を有する構成としたが、平坦トレー40のみを用いる場合は、昇降機構66(第二仕切部材64)を省略してもよい。即ち、仕切箱61に端カム35及び中央カム42を設ける構成としてもよい。