特許第6384906号(P6384906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人土木研究所の特許一覧 ▶ 株式会社ビービーエムの特許一覧

特許6384906コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法
<>
  • 特許6384906-コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法 図000002
  • 特許6384906-コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法 図000003
  • 特許6384906-コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法 図000004
  • 特許6384906-コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法 図000005
  • 特許6384906-コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384906
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】コンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20180827BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   E04B1/684 B
   E04B1/64 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-100247(P2014-100247)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218437(P2015-218437A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】301031392
【氏名又は名称】国立研究開発法人土木研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】503121088
【氏名又は名称】株式会社ビービーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(72)【発明者】
【氏名】村越 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 良樹
(72)【発明者】
【氏名】合田 惠二郎
(72)【発明者】
【氏名】植田 健介
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−053280(JP,A)
【文献】 特公昭46−019984(JP,B1)
【文献】 実開昭54−160808(JP,U)
【文献】 特開平11−093283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/684
E04B 1/64
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材で形成された線状体であって、断面形状が、中央部に向かって凹んだ上辺と下向きに傾斜した両側辺及び底辺からなる外側部と、前記上辺とほぼ平行に伸びる上周面と下向きに傾斜した両側周面及び底周面からなる中空部とを有し、前記上辺と両側辺の交差する位置に先端に行くに従い厚みが薄くなるように外側に伸びる薄肉の舌片を形成し、前記舌片の下部両側辺に弾性シール材を配置し、弾性シール材を配置したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部の空気を吸引してコンクリート接合部目地排水兼シール材を縮小変形させてコンクリート接合部目地に装填し、前記コンクリート接合部目地に装填後、空気を吸引したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部に空気を入れて、舌片及び側辺をコンクリート接合部目地の壁面に圧着設置してコンクリート接合部目地を止水し、上辺をV字形又はU字形に変形させて排水路にすることを特徴とするコンクリート接合部目地排水兼シール材設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や土木構造物におけるコンクリート構造物間の隙間(以下、「コンクリート接合部目地」という。)の排水兼シール材及びコンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築、土木の技術分野において、コンクリート構造物等の接合部目地の漏水防止用の種々のシール材が提案されている。
特許文献1(特開平10−311100号公報)のシール材は、断面略U字形状の長尺の目地ガスケットであって、目地ガスケットの両側壁の内側面中央付近に、連結壁を差し渡して形成してある。
【0003】
特許文献2(特開2010−185192号公報)のシール材は、断面が中空部を有する略台形であり、台形の上辺の中央が窪ませてあって略V字状であり、底辺の中央部が凸状としてあり、中央部が台形の中央部とその両脇に形成してあり、斜辺には抜け止め用突起が設けてあり、シール材の中空部の空気を吸引して断面矩形に縮小してコンクリート接合部目地に装填し、装填後中空部に空気を注入し、素材の弾性押圧力と接着剤との併用でコンクリート接合部目地壁面に密着して漏水を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−311100号公報
【特許文献1】特開2010−185192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシール材は、押し潰すなどして断面形状を小さくしてコンクリート接合部目地に装填し、シール材の弾性押圧力によってコンクリート接合部目地壁面に押し付けるものである。シール材の弾性押圧力はシール材目地装填時の変形量に比例するものであるが、余り大きく変形させると装填に大きな労力を要する上に密着部分が少なくなり、このため、シール材をコンクリート接合部目地に装填した後にコンクリート接合部目地に変形が起きた場合、シール材がその変形に追従することができず、漏水防止機能が低下するという問題があった。また、コンクリート接合部目地に装填するときの変形量を小さくすると弾性押圧力が小さく、シール材をコンクリート接合部目地壁面に強力に密着させることができず、漏水防止機能が低いという問題がある。さらに、コンクリート接合部目地に排水路が形成されないため雨水等がコンクリート表面に流れるという問題を有する。
【0006】
特許文献2のシール材は、コンクリート接合部目地への装填が中空部の空気を吸引して縮小しコンクリート接合部目地に装填するので装填作業は容易であるが、断面形状が複雑で製造コストが高く、コンクリート接合部目地壁面に凹凸が存在する場合、コンクリート接合部目地壁面との密着性に問題があり、コンクリート接合部目地に排水路が形成されないため雨水等がコンクリート表面に流れるという問題を有する。
【0007】
本発明は、前記従来技術の持つ課題を解決するもので、コンクリート接合部目地への装填作業を容易にしたうえに、断面形状を単純化して製造を容易とし、変形量を大きくとれるようにすることによって、コンクリート接合部目地壁面の凹凸にも対応可能で、目地に排水路を形成することが可能なコンクリート接合部目地排水兼シール材及びコンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンクリート接合部目地排水兼シール材設置方法は、前記課題を解決するために、弾性部材で形成された線状体であって、断面形状が、中央部に向かって凹んだ上辺と下向きに傾斜した両側辺及び底辺からなる外側部と、前記上辺とほぼ平行に伸びる上周面と下向きに傾斜した両側周面及び底周面からなる中空部とを有し、前記上辺と両側辺の交差する位置に先端に行くに従い厚みが薄くなるように外側に伸びる薄肉の舌片を形成し、前記舌片の下部両側辺に弾性シール材を配置し、弾性シール材を配置したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部の空気を吸引してコンクリート接合部目地排水兼シール材を縮小変形させてコンクリート接合部目地に装填し、前記コンクリート接合部目地に装填後、空気を吸引したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部に空気を入れて、舌片及び側辺をコンクリート接合部目地の壁面に圧着設置してコンクリート接合部目地を止水し、上辺をV字形又はU字形に変形させて排水路にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
弾性部材で形成された線状体であって、断面形状が、中央部に向かって凹んだ上辺と下向きに傾斜した両側辺及び底辺からなる外側部と、前記上辺とほぼ平行に伸びる上周面と下向きに傾斜した両側周面及び底周面からなる中空部とを有し、前記上辺と両側辺の交差する位置に先端に行くに従い厚みが薄くなるように外側に伸びる薄肉の舌片を形成し、前記舌片の下部両側辺に弾性シール材を配置し、弾性シール材を配置したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部の空気を吸引してコンクリート接合部目地排水兼シール材を縮小変形させてコンクリート接合部目地に装填し、前記コンクリート接合部目地に装填後、空気を吸引したコンクリート接合部目地排水兼シール材の中空部に空気を入れて、舌片及び側辺をコンクリート接合部目地の壁面に圧着設置してコンクリート接合部目地を止水し、上辺をV字形又はU字形に変形させて排水路にすることで、中空部の空気を吸引することで、舌片が上向きとなり全体の幅が狭く変形するので狭い目地への設置も容易となり、コンクリート接合部目地装填後、中空部へ空気を送ることにより、コンクリート接合部目地壁面上部に薄肉の舌片が確実に密着して防水し、側辺部がその下部壁面に圧着されて防水性を確実に向上することが可能となり、上辺がV字形又はU字形に変形して排水路を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態を示す図である。
図2】本発明の実施形態を示す図である。
図3】本発明の実施形態を示す図である。
図4】本発明の実施形態を示す図である。
図5】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、コンクリート接合部目地シール材の一実施形態を示す断面図である。
【0014】
コンクリート接合部目地排水兼シール材1は、ゴム又は合成樹脂などの変形可能な弾性材料で線状体として形成される。コンクリート接合部目地排水兼シール材1は、中央頂点に向かって直線状に下向きに凹んだ上辺2と、下向きに傾斜して伸びる両側辺3と、底辺4からなる外側部を備えている。
【0015】
外側部の内部には、上辺2とほぼ平行に伸びる上内周面5と、下向きに傾斜して伸びる両側内周面6と底内周面からなる中空部8が形成される。
【0016】
上辺2と側辺3の交差する位置に先端に行くに従い幅が狭くなる肉厚の薄い舌片9が外側方向に伸びるように一体に形成される。
【0017】
舌片9の下の側辺3に弾性シール材を配置する。弾性シール材としては、線状の硬度の低いスポンジゴム10の上にスポンジゴム10より硬度が高いゴム材11を配置し、ゴム材11がスポンジゴム10を覆うように接着剤で固定する。
【0018】
図2は、コンクリート接合部目地シール材の他の実施形態を示す断面図である。この実施形態のコンクリート接合部目地排水兼シール材1aは、中央に向かって曲線状に下向きに凹んだ上辺2aと、下向きに傾斜して伸びる両側辺3aと、底辺4aからなる外側部を備えている。
【0019】
外側部の内部には、上辺2aとほぼ平行に伸びる上内周面5aと、下向きに傾斜して伸びる両側内周面6aと底内周面7aからなる中空部8aが形成される。
【0020】
上辺2a側辺3aの交差する位置に先端に行くに従い厚みが薄くなる肉厚の薄い舌片9a外側方向に伸びるように一体に形成される。
【0021】
舌片9aの下の側辺3aに弾性シール材を配置する。弾性シール材としては、線状の硬度の低いスポンジゴム10aの上にスポンジゴム10aより硬度が高いゴム材11aを配置し、ゴム材11aがスポンジゴム10aを覆うように接着剤で固定する。
【0022】
コンクリート接合部目地排水兼シール材1を、コンクリート部材12間のコンクリート接合部目地13に装填する工程を順に説明する。先ず、コンクリート接合部目地13に高圧水噴射ノズルから高圧水を噴射してコンクリート接合部目地13を洗浄する。
【0023】
コンクリート接合部目地排水兼シール材1の中空部8の空気を真空ポンプで吸引する。中空部8から空気を抜くと、舌片9が上向きになり全体の幅が小さくなり、幅狭の接合部目地13への装填も容易となる。図3は、中空部8の空気が吸引され幅狭となったコンクリート接合部目地排水兼シール材1が接合部目地13に装填する状態を示す。コンクリート接合部目地13への装填は、中空部8の空気が吸引され幅狭となったコンクリート接合部目地排水兼シール材1を牽引ワイヤー14等で牽引して実施する。
【0024】
コンクリート接合部目地13に装填後、空気を抜いた中空部8に空気を供給する。中空部8に空気が供給されたコンクリート接合部目地排水兼シール材1は、図3の幅狭に変形した状態から図1の状態に復元しようと変形する。しかし、コンクリート接合部目地13の幅は、図1に示すコンクリート接合部目地排水兼シール材1の幅より小さいため、図4に示された状態となる。
【0025】
図4に示された状態を説明する。コンクリート接合部目地排水兼シール材1の舌片9が、コンクリート接合部目地13の上部壁面と密着する。舌片9は薄肉に形成されているため壁面に多少凹凸が存在しても密着しやすい。舌片9の下部の側辺3に弾性シール材が固定されているため、弾性シール材がコンクリート接合部目地13の壁面に圧着されると、弾性シール材が圧縮変形し、舌片9下の接合部目地13の壁面に密着し止水効果を高めることが可能となる。
【0026】
図1に示す状態で、中央頂点に向かって直線状に下向きに凹んだ上辺2は、コンクリート接合部目地13の幅が狭いため、図4に示すように深いV字形に変形し、コンクリート接合部目地13に排水路を形成する。
【0027】
コンクリート接合部目地13に形成されたV字形の排水路は、コンクリート接合部目地13の壁面間が完全に止水されており、雨水等がコンクリート接合部目地13から下に流れてコンクリート部材11が劣化するのが防止される。
【0028】
図5は、図2に示される実施形態のコンクリート接合部目地排水兼シール材1がコンクリート接合部目地13に装填された状態を示す。図2に示される実施形態のコンクリート接合部目地排水兼シール材1は、コンクリート接合部目地13に装填されると、上辺がU字形に変形して排水路を形成する。それ以外の構成は、図1に示す実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0029】
コンクリート接合部目地排水兼シール材1をコンクリート接合部目地13に装填する際、コンクリート接合部目地13壁面とコンクリート接合部目地排水兼シール材1間に接着剤を介して強固に固定しても良い。
【0030】
以上のように、本発明のコンクリート接合部目地排水兼シール材及びコンクリート接合部目地への排水兼シール材設置方法によれば、断面形状が単純で製造が容易であり、中空部の空気を吸引することで左右対称となるように幅を縮小することができ、中空部に空気を戻すとコンクリート接合部目地壁面上部に薄肉の舌片が確実に密着して防水し、側辺部がその下部壁面に圧着されて防水性を確実に向上することが可能となり、上辺がV字形又はU字形に変形して排水路を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1、1a:コンクリート接合部目地排水兼シール材、2,2a:上辺、3,3a:側辺、4,4a:底辺、5,5a:上内周面、6,6a:側内周面、7,7a:底内周面、8,8a:中空部、9,9a:舌片、10,10a:スポンジゴム、11,11a:ゴム材、12:コンクリート構造物、13:コンクリート接合部目地、14:牽引ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5