(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384907
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】導電性高分子材料調製用ドーパント剤及び導電性高分子材料調製用ドーパント組成物
(51)【国際特許分類】
C08K 5/42 20060101AFI20180827BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20180827BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20180827BHJP
H01B 1/12 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
C08K5/42
C08G61/12
C08L65/00
!H01B1/12 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-135821(P2014-135821)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-14089(P2016-14089A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敦
【審査官】
内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−054258(JP,A)
【文献】
特開平11−297570(JP,A)
【文献】
特開平07−097444(JP,A)
【文献】
特開平04−307914(JP,A)
【文献】
特開平02−130906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 5/42
C08G 61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフタレン環を有するスルホン酸イオンから成る導電性高分子材料調製用ドーパント剤であって、ナフタレン環を有する全スルホン酸イオン中、ナフタレンスルホン酸イオン及び炭素数2〜5のアルキル基を1個有するモノアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で57.5〜98.9質量%、また炭素数2〜5のアルキル基を2個有するジアルキルナフタレンスルホン酸イオン及び炭素数2〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で1.1〜42.5質量%(全合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とする導電性高分子材料調製用ドーパント剤。
【請求項2】
ナフタレン環を有する全スルホン酸イオン中、炭素数2〜5のアルキル基を2個有するジアルキルナフタレンスルホン酸イオンを1〜35質量%、また炭素数2〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを0.1〜7.5質量%含有する請求項1記載の導電性高分子材料調製用ドーパント剤。
【請求項3】
アルキル基の炭素数が3又は4である請求項1又は2記載の導電性高分子材料調製用ドーパント剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つの項記載の導電性高分子材料調製用ドーパント剤と、導電性高分子モノマーとを含有して成ることを特徴とする導電性高分子材料調製用ドーパント組成物。
【請求項5】
導電性高分子モノマーがピロールである請求項4記載の導電性高分子材料調製用ドーパント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性高分子材料調製用ドーパント剤及び導電性高分子材料調製用ドーパント組成物に関し、更に詳しくは、高い導電率を有する導電性高分子材料を得ることができ、またかかる導電性高分子材料として表面の平滑な導電性高分子膜を得ることができる導電性高分子材料調製用ドーパント剤及び導電性高分子材料調製用ドーパント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性高分子材料調製用ドーパント剤として、アルキルナフタレンスルホン酸誘導体を用いたもの(例えば特許文献1参照)、ナフタレンスルホン酸誘導体とアルキルベンゼンスルホン酸誘導体を用いたもの(例えば特許文献2参照)、炭素数14〜24のアルキル基を有するアルキルナフタレンスルホン酸誘導体を用いたもの(例えば特許文献3参照)等が知られている。しかし、これら従来のドーパント剤を用いて調製した組成物から得られる導電性高分子材料はもともと導電率が低かったり、また得られる導電性高分子膜の表面が平滑でなく荒れた状態になっているため、これに起因して導電率のばらつきが大きくなったりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−130906号公報
【特許文献2】特開平6−124853号公報
【特許文献3】特開平4−111407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、導電率が高い導電性高分子材料を得ることができ、しかもかかる導電性高分子材料として表面の平滑な導電性高分子膜を得ることができる導電性高分子材料調製用ドーパント剤及び導電性高分子材料調製用ドーパント組成物を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、導電性高分子材料調製用ドーパント剤としては、ナフタレン環を有する特定のスルホン酸イオンの組合わせから成るものが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、ナフタレン環を有するスルホン酸イオンから成る導電性高分子材料調製用ドーパント剤であって、ナフタレン環を有する全スルホン酸イオン中、ナフタレンスルホン酸イオン及
び炭素数2〜5のアルキル基を1個有するモノアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で57.5〜98.9質量%、また炭素数2〜5のアルキル基を2個有するジアルキルナフタレンスルホン酸イオン及
び炭素数2〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で1.1〜42.5質量%(全合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とする導電性高分子材料調製用ドーパント剤に係る。また本発明は、かかる導電性高分子材料調製用ドーパント剤と、導電性高分子モノマーとを含有して成ることを特徴とする導電性高分子材料調製用ドーパント組成物に係る。
【0007】
本発明に係る導電性高分子材料調製用ドーパント剤(以下、本発明のドーパント剤という)は、ナフタレン環を有するスルホン酸イオンの組合わせから成るものであって、ナフタレン環を有する特定のスルホン酸イオンを特定の割合で含有して成るものであり、より詳しくはナフタレンスルホン酸イオン及
び炭素数2〜5のアルキル基を1個有するモノアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で57.5〜98.9質量%、また炭素数2〜5のアルキル基を2個有するジアルキルナフタレンスルホン酸イオン及
び炭素数2〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で1.1〜42.5質量%(全合計100質量%)の割合で含有して成るものである。
【0008】
本発明のドーパント剤に供するナフタレンスルホン酸イオンは、下記の化1で示される化合物を溶媒に溶解したときに生じるアニオンである。
【0009】
【化1】
【0010】
化1において、
M:水素原子又はアルカリ金属原子
n:1〜3の整数
【0011】
かかる化1で示される化合物としては、1)ナフタレンモノスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸等のナフタレンスルホン酸、2)ナフタレンモノスルホン酸ナトリウム、ナフタレンモノスルホン酸カリウム、ナフタレンモノスルホン酸リチウム、ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、ナフタレンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレンジスルホン酸ジリチウム、ナフタレントリスルホン酸トリナトリウム、ナフタレントリスルホン酸トリカリウム、ナフタレントリスルホン酸トリリチウム等のナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、化1で示される化合物としてはナフタレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、ナフタレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0012】
化1で示される化合物は、常法によりナフタレン1モルに対してスルホン酸1〜3モルを反応させて得ることができ、またかくして得たものを更にアルカリ金属の水酸化物で中和して得ることができるが、市販品を使用することもできる。
【0013】
本発明のドーパント剤に供する炭素数2〜5のアルキル基を1個有するモノアルキルナフタレンスルホン酸イオンは、下記の化2で示される化合物を溶媒に溶解したときに生じるアニオンである。
【0014】
【化2】
【0015】
化2において、
M:水素原子又はアルカリ金属原子
n:1〜3の整数
R:炭素数2〜5のアルキル基
【0016】
かかる化2で示される化合物としては、1)モノエチルナフタレンモノスルホン酸、モノプロピルナフタレンモノスルホン酸、モノブチルナフタレンモノスルホン酸等のモノアルキルナフタレンモノスルホン酸、2)モノエチルナフタレンジスルホン酸、モノプロピルナフタレンジスルホン酸、モノブチルナフタレンジスルホン酸等のモノアルキルナフタレンジスルホン酸、3)モノエチルナフタレントリスルホン酸、モノプロピルナフタレントリスルホン酸、モノブチルナフタレントリスルホン酸等のモノアルキルナフタレントリスルホン酸、4)前記1)〜3)のスルホン酸化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のモノアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、化2で示される化合物としてはモノアルキルナフタレンスルホン酸及びモノアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、モノアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0017】
化2で示される化合物において、Rはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等の炭素数2〜5のアルキル基であるが、なかでも炭素数3又は4のアルキル基が好ましい。
【0018】
本発明のドーパント剤に供する炭素数2〜5のアルキル基を2個有するジアルキルナフタレンスルホン酸イオンは下記の化3で示される化合物を溶媒に溶解したときに生じるアニオンである。
【0019】
【化3】
【0020】
化3において、
M:水素原子又はアルカリ金属原子
n:1〜3の整数
R
1,R
2:炭素数2〜5のアルキル基
【0021】
かかる化3で示される化合物としては、1)ジエチルナフタレンモノスルホン酸、ジプロピルナフタレンモノスルホン酸、ジブチルナフタレンモノスルホン酸等のジアルキルナフタレンモノスルホン酸、2)ジエチルナフタレンジスルホン酸、ジプロピルナフタレンジスルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸等のジアルキルナフタレンジスルホン酸、3)ジエチルナフタレントリスルホン酸、ジプロピルナフタレントリスルホン酸、ジブチルナフタレントリスルホン酸等のジアルキルナフタレントリスルホン酸、4)前記1)〜3)のスルホン酸化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のジアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、化3で示される化合物としてはジアルキルナフタレンスルホン酸及びジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0022】
化3で示される化合物において、R
1及びR
2はエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等の炭素数2〜5のアルキル基であるが、なかでも炭素数3又は4のアルキル基が好ましい。
【0023】
本発明のドーパント剤に供する炭素数2〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンは下記の化4で示される化合物を溶媒に溶解したときに生じるアニオンである。
【0024】
【化4】
【0025】
化4において、
M:水素原子又はアルカリ金属原子
n:1〜3の整数
R
3,R
4,R
5:炭素数2〜5のアルキル基
【0026】
かかる化4で示される化合物としては、1)トリエチルナフタレンモノスルホン酸、トリプロピルナフタレンモノスルホン酸、トリブチルナフタレンモノスルホン酸等のトリアルキルナフタレンモノスルホン酸、2)トリエチルナフタレンジスルホン酸、トリプロピルナフタレンジスルホン酸、トリブチルナフタレンジスルホン酸等のトリアルキルナフタレンジスルホン酸、3)トリエチルナフタレントリスルホン酸、トリプロピルナフタレントリスルホン酸、トリブチルナフタレントリスルホン酸等のトリアルキルナフタレントリスルホン酸、4)前記1)〜3)のスルホン酸化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のトリアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、化4で示される化合物としては、トリアルキルナフタレンスルホン酸及びトリアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、トリアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0027】
化4で示される化合物において、R
3〜R
5はエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等の炭素数2〜5のアルキル基であるが、なかでも炭素数3又は4のアルキル基が好ましい。
【0028】
以上説明した化2〜化4で示される化合物は、以下のようにして得ることができる。例えば、フリーデルクラフト反応により、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒を使用してナフタレン1モルに対し塩化アルキルを1〜3モル反応させ、蒸留等で精製してアルキルナフタレンを得た後、常法によりこのアルキルナフタレン1モルに対して硫酸1〜3モルを反応させて得ることができ、またかくして得たものを更にアルカリ金属の水酸化物で中和して得ることができるが、市販品を使用することもできる。
【0029】
本発明のドーパント剤は、ナフタレン環を有する全スルホン酸イオン中、ナフタレンスルホン酸イオン及
びモノアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で57.5〜98.9質量%、またジアルキルナフタレンスルホン酸イオン及
びトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを合計で1.1〜42.5質量%(全合計100質量%)の割合で含有して成るものであるが、なかでも、ナフタレンスルホン酸イオンを好ましくは1〜97.9質量%、より好ましくは10〜93.9質量%、モノアルキルナフタレンスルホン酸イオンを好ましくは1〜97.9質量%、より好ましくは5〜88.9質量%、ジアルキルナフタレンスルホン酸イオンを好ましくは0.5〜42.49質量%、より好ましくは1〜35質量%及びトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンを好ましくは0.01〜42質量%、より好ましくは0.1〜7.5質量%の割合で含有するものである。ジアルキルナフタレンスルホン酸イオン及びトリアルキルナフタレンスルホン酸イオンの割合が低くなると、得られる導電性高分子膜が荒れ易くなり、逆に高くなると、得られる導電性高分子膜の導電率が低くなる。
【0030】
本発明に係る導電性高分子材料調製用ドーパント組成物(以下、本発明のドーパント組成物という)は、以上説明したような本発明のドーパント剤と導電性高分子モノマーとを含有して成るものである。
【0031】
本発明のドーパント組成物に供する導電性高分子モノマーとしては、ピロール、チオフェン、フラン、アニリン及びこれらの混合物等が挙げられるが、重合して高分子としたときの電気伝導度及び耐熱性の観点からピロールが好ましい。
【0032】
本発明のドーパント組成物において、本発明のドーパント剤と導電性高分子モノマーとの含有割合は使用に当たり適宜決定するが、通常は本発明のドーパント剤1モルに対して導電性高分子モノマーを0.1〜20モル、好ましくは1〜15モルの割合で配合したものとする。
【0033】
本発明のドーパント組成物は、通常は溶媒で希釈したドーパント溶液として使用する。かかる溶媒としては、1)水、2)メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール等の脂肪族アルコール、3)エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、4)ベンジルアルコール等の芳香族アルコール、5)フェノール、カテコール等のフェノール類、6)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、7)デシルアミン、ドデシルアミン、エチレンジアミン等のアミン系溶媒、8)1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、及び9)ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、なかでも水、脂肪族アルコール及び多価アルコールが好ましく、水がより好ましい。かかる溶媒は2種以上を混合して用いることもできる。
【0034】
本発明のドーパント組成物と溶媒の比率は使用に当たり適宜決定するが、通常は本発明のドーパント組成物の溶媒中における濃度が0.1〜10質量%となるようにすることが好ましい。
【0035】
本発明のドーパント組成物又はかかるドーパント組成物の溶液を調製するに際し、本発明の効果を損なわない範囲内で酸化防止剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、pH調整剤等を添加することもできる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、導電性が高い導電性高分子材料を得ることができ、しかもかかる導電性高分子材料として表面の平滑な導電性高分子膜を得ることができる。
【0037】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、部は質量部を示し、また%は質量%を示す。
【実施例】
【0038】
試験区分1(化1〜化4で示される化合物の合成)
・化1で示されるナフタレンスルホン酸ナトリウム(M−1)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにナフタレン12.8g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、ナフタレンスルホン酸ナトリウム(M−1)を得た。
【0039】
・化2で示されるエチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−1)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにエチルナフタレン15.6g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、エチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−1)を得た。
【0040】
・化2で示されるイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−2)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにイソプロピルナフタレン17.0g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸20.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−2)を得た。
【0041】
・化2で示されるブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−3)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにブチルナフタレン18.4g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸30.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−3)を得た。
【0042】
・化3で示されるジエチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−1)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにジエチルナフタレン(アルドリッチ社製)18.4g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸20.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、ジエチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−1)を得た。
【0043】
・化3で示されるジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−2)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにジイソプロピルナフタレン(東京化成工業製)21.2g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−2)を得た。
【0044】
・化3で示されるジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−3)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにジブチルナフタレン24.0g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−3)を得た。
【0045】
・化4で示されるトリエチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−1)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにトリエチルナフタレン21.2g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、トリエチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−1)を得た。
【0046】
・化4で示されるトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−2)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにトリイソプロピルナフタレン25.4g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−2)を得た。
【0047】
・化4で示されるトリブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−3)の合成
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにトリブチルナフタレン29.6g(0.1モル)を仕込み、40℃以下に保持して硫酸10.0gを加えた後、80℃の温度下で2時間スルホン化反応を行なった。スルホン化反応液を、水60gで希釈した後、中性になるまで水酸化ナトリウム水溶液を用いて10℃以下の温度下で中和反応を行なった。中和反応液を減圧留去した後、真空乾燥して、トリブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−3)を得た。
【0048】
試験区分2(導電性高分子材料調製用ドーパント剤の調製)
実施例1
試験区分1で得たナフタレンスルホン酸ナトリウム(M−1)をナフタレンスルホン酸イオン濃度として18%となるように、またイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(N−2)をアルキルナフタレンスルホン酸イオン濃度として75%となるように、更にジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(A−2)をジアルキルナフタレンスルホン酸イオン濃度として6.9%となるように、そしてトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(B−2)をトリアルキルナフタレンスルホン酸イオン濃度として0.1%(全合計100質量%)となるように加えて均一混合し、導電性高分子材料調製用ドーパント剤(P−1)を調製した。
【0049】
実施例2〜13及び比較例1〜9
実施例1と同様にして、実施例2〜13及び比較例1〜9の導電性高分子材料調製用ドーパント剤(P−2)〜(P−13)及び(R−1)〜(R−9)を調製した。各例で調製したドーパント剤の内容を表1にまとめて示した。
【0050】
【表1】
【0051】
試験区分3(導電性高分子材料調製用ドーパント組成物の水溶液の調製)
実施例14
実施例1で調製した導電性高分子材料調製用ドーパント剤(P−1)を2.68g(0.01モル)と導電性高分子モノマーとしてピロール1.68g(0.025モル)とを純水100mlに溶解して、導電性高分子材料調製用ドーパント組成物(P−14)の水溶液を調製した。
【0052】
実施例15〜30及び比較例10〜18
実施例14と同様にして、実施例15〜30の導電性高分子材料調製用ドーパント組成物(P−15)〜(P−30)及び比較例10〜18の導電性高分子材料調製用ドーパント組成物(R−10)〜(R−18)の各水溶液を調製した。以上の各例で調製した導電性高分子材料調製用ドーパント組成物の内容を表2にまとめて示した。
【0053】
試験区分4(導電性高分子材料の作製と評価)
試験区分3で調製した各例の導電性高分子材料調製用ドーパント組成物の水溶液に窒素ガスを約30分間バブリングして窒素置換した後、2cm四方のSUS304製の板材2枚を1cm間隔で浸漬し、一方を作用極及び他方を対極とした。浸漬した2枚の電極間に定電流(2.5mA/cm
2)を20分間流して電解重合を行ない、ポリピロールフィルムを電極上に生成させた。電極上に生成させたポリピロールフィルムを純水及びアセトンで洗浄した後、電極から剥離し、真空中で12時間乾燥して導電性高分子材料サンプルを得た。得られた導電性高分子材料サンプルについて、材料表面の状態を目視にて下記の評価基準1で評価し、また電気伝導度をその測定機(三菱化学アナリテック社製の商品名ロレスタGP MCP T610型)を用い、JIS−K7194に準じて四探針法で測定して算出し、下記の評価基準2にて評価した。各例の評価結果を表2にまとめて示した。
【0054】
評価基準1(表面の状態)
◎:サンプル表面に突起物が5個以下
○:サンプル表面に突起物が6〜10個以下
×:サンプル表面に突起物が11個以上
【0055】
評価基準2(電気伝導度)
◎:電気伝導度が20S/cm以上であり、導電性が優れている。
○:電気伝導度が10S/cm以上20S/cm未満であり、導電性が良好である。
×:電気伝導度が10S/cm未満であり導電性が劣る。
【0056】
【表2】
【0057】
表1に対応する表2の結果からも明らかなように、本発明によると、導電性が高い導電性高分子材料を得ることができ、しかもかかる導電性高分子材料として表面の平滑な導電性高分子膜を得ることができる。