(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略長矩形の芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材を接着固定してなる複数のスロープ体をその短辺方向に連接して構成され、該スロープ体の長辺方向を走行方向とするスロープ装置であって、
上記芯材が、
紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、
上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、
上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面を閉塞するように配置される樹脂製またはアルミ製の横設材を備えて構成されたことを特徴とするスロープ装置。
略長矩形の芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材を接着固定してなる複数のスロープ体をその短辺方向に連接して構成され、該スロープ体の長辺方向を走行方向とするスロープ装置であって、
上記芯材が、
紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、
上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、
上記第2ハニカムコアと同一構造を有し上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面をそれぞれ閉塞するように配置される第3ハニカムコアと第4ハニカムコアを備えて構成されたことを特徴とするスロープ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、携行式のスロープ装置においては、車椅子等の安全な移動を確保するに十分な強度性能と安全性能、及び軽量化に代表される可搬性能が重要視されるが、上掲の各特許文献に示されるスロープ装置は、これら各性能等の何れかが偏重され、これら各性能等の並立という面において改善の余地がある。
【0009】
そこで本願発明は、携行式のスロープ装置において、強度性能と安全性能、及び可搬性能の並立を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0011】
本願の
第1の発明では、略長矩形の芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材を接着固定してなる複数のスロープ体をその短辺方向に連接して構成され、該スロープ体の長辺方向を走行方向とするスロープ装置において、上記芯材を、紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面を閉塞するように配置される樹脂製またはアルミ製の横設材を備えて構成されたことを特徴としている。
【0012】
本願の
第2の発明では、略長矩形の芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材を接着固定してなる複数のスロープ体をその短辺方向に連接して構成され、該スロープ体の長辺方向を走行方向とするスロープ装置において、上記芯材が、紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、上記第2ハニカムコアと同一構造を有し上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面をそれぞれ閉塞するように配置される第3ハニカムコアと第4ハニカムコアを備えて構成されたことを特徴としている。
【0013】
本願の
第3の発明では、上記
第1の発明において、上記横設材に、先端側に向かうに伴って厚さが漸減するアルミ製または硬質樹脂製の端部材を連結したことを特徴としている。
【0014】
本願の
第4の発明では、上記
第1または第2の発明において、上記スロープ体の長辺側の側縁に、アルミ製または硬質樹脂製の側枠体を装着したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
(a)本願の
第1の発明に係るスロープ装置では、該スロープ装置の構成主体たるスロープ体を、紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面を閉塞するように配置される樹脂製またはアルミ製の横設材を備えてなる芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材をそれぞれ接着固定して構成している。
【0016】
したがって、このスロープ装置によれば、以下のような効果が得られる。
(a−1)上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコア及び横設材からなる上記芯材を、上下一対の薄板材によって接着固定してこれらを一体化して上記スロープ体を構成したことによる形状効果として、該スロープ体の剛性の向上、及び強度性能、特に曲げ強度の向上が図られる。
【0017】
(a−2)上記スロープ体は、その外周縁を構成する上記第2ハニカムコア及び上記横設材が共に耐水性の高い素材で構成されており、しかも上記第2ハニカムコアは、各セルの高さ方向の両端に薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された構成であって、この各樹脂板の外面に上記薄板材が面接触状態で接着固定されていることから、例えば、上記各セルの高さ方向の両端に直接薄板材を線接触状態で接着する場合に比して、該第2ハニカムコアと上記薄板材との接着強度及びシール性が極めて高いものとなっている。この結果、これら第2ハニカムコアと横設材によってその周縁が囲まれた状態にある上記第1ハニカムコアは、これが紙材または樹脂含浸紙材で構成されていたとしても、その周囲からの吸湿による強度低下が確実に防止され、該第1ハニカムコアが持つ強度と軽量性という素材特性が維持される。
【0018】
(a−3)上記第2ハニカムコアと上記薄板材との接着強度及びシール性が極めて高いことから、上記第1ハニカムコアの吸湿防止という目的を達成できる範囲内で、上記第1ハニカムコアより重く且つ高価な上記第2ハニカムコアの幅寸法を減少させて、上記スロープ体の軽量化と低コスト化を図ることができる。
【0019】
(a−4)上記
(a−1)〜(a−3)の相乗効果として、強度性能が高く、耐水性及び耐久性に優れ、しかも軽量で且つ安価なスロープ装置を提供することができる。
【0020】
(b)本願の
第2の発明に係るスロープ装置では、該スロープ装置の構成主体たるスロープ体を、紙材または樹脂含浸紙材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコアと、上記第1ハニカムコアの左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコアであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセルを備えるとともに該各セルの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された第2ハニカムコアと、上記第2ハニカムコアと同一構造を有し上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面をそれぞれ閉塞するように配置される第3ハニカムコアと第4ハニカムコアを備えてなる芯材の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材をそれぞれ接着固定して構成している。
【0021】
したがって、このスロープ装置によれば、以下のような効果が得られる。
(b−1)上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアと第3ハニカムコア及び第4ハニカムコアからなる上記芯材を、上下一対の薄板材によって接着固定してこれらを一体化して上記スロープ体を構成したことによる形状効果として、該スロープ体の剛性の向上、及び強度性能、特に曲げ強度の向上が図られる。
【0022】
(b−2)上記スロープ体は、その外周縁を構成する上記第2〜第4ハニカムコアが共に耐水性の高い樹脂材で構成されており、しかもこれら第2〜第4ハニカムコアは、各セルの高さ方向の両端に薄板状の樹脂板が融着または接着により固着された構成であって、この各樹脂板の外面に上記薄板材が面接触状態で接着固定されていることから、例えば、上記各セルの高さ方向の両端に直接薄板材を線接触状態で接着する場合に比して、該第2〜第4ハニカムコアと上記薄板材との接着強度及びシール性が極めて高いものとなっている。この結果、これら第2〜第4ハニカムコアによってその周縁が囲まれた状態にある上記第1ハニカムコアは、これが紙材または樹脂含浸紙材で構成されていたとしても、その周囲からの吸湿による強度低下が確実に防止され、該第1ハニカムコアが持つ強度と軽量性という素材特性が維持される。
【0023】
(b−3)上記第2〜第4ハニカムコアと上記薄板材との接着強度及びシール性が極めて高いことから、上記第1ハニカムコアの吸湿防止という目的を達成できる範囲内で、上記第1ハニカムコアより重く且つ高価な上記第2〜第4ハニカムコアの幅寸法を減少させて、上記スロープ体の軽量化と低コスト化を図ることができる。
【0024】
(b−4)上記
(b−1)〜(b−3)の相乗効果として、強度性能が高く、耐水性及び耐久性に優れ、しかも軽量で且つ安価なスロープ装置を提供することができる。
【0025】
(c)本願の
第3の発明では、上記
(a)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記横設材に、先端側に向かうに伴って厚さが漸減するアルミ製または硬質樹脂製の端部材を連結したので、該端部材を通ってスロープ体側に車椅子等をスムーズに乗り降りさせることができ、乗降性能に優れたスロープ装置を提供できる。
【0026】
(d)本願の
第4の発明では、上記
(a)または(b)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記スロープ体の長辺側の側縁に、アルミ製または硬質樹脂製の側枠体を装着したので、該端部材の曲げ剛性によって上記スロープ体の曲げ強度が高められ、荷重の負荷時(車椅子等の移動時)における撓み変形がさらに抑制され、使用時の信頼性の高いスロープ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0029】
「第1の実施形態」
図1には、本願発明の第1の実施形態に係るスロープ装置Zを示している。このスロープ装置Zは、携行式のスロープ装置であって、略長矩形の一対のスロープ体1をその長辺同士を対向させた状態で並置し、且つその対向部分に取り付けたヒンジ体5によって相互に折曲可能に連結して構成される(
図4参照)。
【0030】
なお、この場合、
図1及び
図4に示すように、一方のスロープ体1と他方のスロープ体1の並置方向外側の側縁には次述の第1側枠体2が、並置方向内側の側縁には次述の第2側枠体3が、それぞれ嵌合固定されており、この一方のスロープ体1側の第2側枠体3の上面と他方のスロープ体1の第2側枠体3の上面との間に上記ヒンジ体5が取り付けられている。
【0031】
また、上記第1側枠体2と上記第2側枠体3は共にアルミ成形品であって、
図4に示すように、上記第1側枠体2は、上記スロープ体1の全長に跨る長さをもつ断面コ字状の枠体であって、その上面2aには脱輪防止壁4が一体形成されている。一方、上記第2側枠体3は、断面コ字状に枠体であって、その上面3aは平面され、ここに上記ヒンジ体5が取り付けられる。そして、一方のスロープ体1側に取り付けられる第1側枠体2と他方のスロープ体1に取り付けられる第1側枠体2、及び一方のスロープ体1側に取り付けられる第2側枠体3と他方のスロープ体1に取り付けられる第2側枠体3は、それぞれ反対勝手に形成されている。
【0032】
さらに、上記第1側枠体2(及び第2側枠体3)は、
図5に示すように、その両端部を除く中間部2Aでは、その上面2aと下面2bの間隔(及び上面3aと下面3bの間隔)が一定に保持されるが、一端部2Bでは下方側に僅かに湾曲しながら上記間隔が漸減し、他端部2Cでは上方側に僅かに湾曲しながら上記間隔が漸減するようにその形状が設定されている。そして、後述のハニカムコア10は、その厚さ寸法及び形状が上記第1側枠体2(及び第2側枠体3)の形状寸法に略合致するように成形される。なお、上記第1側枠体2の一端部2B側は上記スロープ装置Zの上段側設置部となり、他端部2C側は上記スロープ装置Zの下段側設置部となる。
【0033】
ここで、上記スロープ体1の構造について詳述する。上記スロープ体1は、例えば、
図2に示すように、隔壁によって区画された六角形のセル11を隙間なく連設し且つ該セル11を高さ方向の両端で開口させた厚板状のハニカムコア10と、該ハニカムコア10の表裏両面にそれぞれ接着固定された繊維強化プラスチック製の薄板材12,13からなる積層構造とか、
図3に示すように、隔壁によって区画された円形のセル11を隙間なく連設し且つ該セル11が高さ方向の両端で開口した厚板状のハニカムコア10と、該ハニカムコア10の表裏両面にそれぞれ接着固定された繊維強化プラスチック製の薄板材12,13からなる積層構造とされる。
【0034】
なお、このハニカムコア10を構成するセル11の形状は、上記の如き六角形とか円形に限定されるものではなく、例えば、三角形等の他の多角形とか、波形等、種々の形状を任意に選択できるものである。
【0035】
また、上記ハニカムコア10は、例えば、樹脂含浸紙材とか、樹脂材あるいはアルミ材の何れかによって、またこれら各資材を組み合わせて形成されるものであり、上記スロープ体1の要求強度とかコスト等を勘案して任意に選択できるものである。
【0036】
さらに、上記ハニカムコア10と上記各薄板材12、13とを接着固定する接着材は、特に限定されるものではなく、例えば、酢酸ビニルエマルジョン、水性ビニルウレタンなどの水性エマルジョン系、一般樹脂、合成ゴム、ウレタン樹脂などの溶剤系、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系などのホットメルト接着剤等の無機溶剤樹脂系が挙げられるが、特に耐水性を重視する場合には上記溶剤系、ホットメルト接着剤等の無溶剤樹脂系のものが好ましい。
【0037】
この実施形態における上記ハニカムコア10は、
図5に示すように、上記第1側枠体2及び第2側枠体3の形状に対応すべく、その中間部10aは厚板平板状に形成される一方、その一端部10b側は下方側に僅かに湾曲しながら厚さ(高さ)が漸減するように形成し、また他端部10c側は上方側に僅かに湾曲しながら厚さ(高さ)が漸減するように形成される。このような端部側形状を実現する手法として、この実施形態では厚板状のハニカムコア10を用い、その両端部10b、10cの上下両面に、例えば切削加工とか研削加工を施して上記形状に成形するようにしている。
【0038】
このように成形されたハニカムコア10の表裏両面に上記第1薄板材12及び第2薄板材13を接着固定することで、走行方向の中間部1aが一様厚さの厚板状とされるとともに、その一端部1b及び他端部1cがそれぞれ先端側に向かって高さが漸減する傾斜面状とされたスロープ体1が得られる。
【0039】
このように形成された左右一対のスロープ体1には、それぞれその側縁に上記第1側枠体2及び第2側枠体3が取り付けられる。そして、これら一対のスロープ体1は、その第2側枠体3同士を近接対向させた状態で、該第2側枠体3間に跨って取り付けられるヒンジ体5によって相互に折曲自在に連結(
図4参照)されることで、スロープ装置Zを構成する。
【0040】
上記スロープ装置Zによれば、その主体部をなす上記スロープ体1が、厚板状のハニカムコア10を芯材とし、このハニカムコア10の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材12,13をそれぞれ接着固定した構成であるため、このハニカムコア10と一対の第1薄板材12,13の一体化による形状効果として、該スロープ体1の剛性の向上、及び強度性能、特に曲げ強度の向上が図られる。また、このスロープ体1の芯材として軽量なハニカムコア10を用いたことで該スロープ体1の軽量化も図られる。これらの相乗効果として、軽量で、しかも荷重の負荷時(車椅子等の移動時)における撓み変形が少なく使用時の信頼性の高い携帯用のスロープ装置Zを提供することができる。
【0041】
また、上記スロープ体1の両側縁に側枠体2、3が取り付けられており、この側枠体2、3の曲げ剛性によって上記スロープ体1の曲げ強度が高められることから、上記スロープ装置Zの強度性能が高められ、使用時の信頼性がさらに向上することになる。
【0042】
さらに、この実施形態のスロープ装置Zでは、上記ハニカムコア10の両端部10b、10cを、先端側に向かうに伴って厚さが漸減するように形成したので、何ら別部材を設けることなく上記ハニカムコア10の加工という安価な手法によってスロープ装置の走行方向の両端部、即ち、車椅子等の乗り側と降り側の接地高さを低くして車椅子等の乗降性能を高めることができ、スロープ装置30の低コスト化と高機能化の両立が図られる。
【0043】
「第2の実施形態」
図6には、本願発明の第2の実施形態に係るスロープ装置Zの要部を示している。この実施形態のスロープ装置Zは、上記第1の実施形態のスロープ装置Zとその基本構造を同じとするものであって、これと異なる点は、上記ハニカムコア10の端部10b、10cの加工手法である。
【0044】
即ち、上記第1の実施形態では、厚板状のハニカムコア10の端部に切削あるいは研削加工を施すことで該端部の厚さを漸減させるようにしていたのに対して、この実施形態では
図6に示すように、上記ハニカムコア10の端部に圧潰加工を施すことで該端部の厚さを漸減させるようにしたものである。
【0045】
このような圧潰加工による端部成形手法を採用すれば、切削あるいは研削加工による端部成形手法に比して加工が容易であることから、上記ハニカムコア10の低コスト化、延いては上記スロープ装置Zの低コスト化が促進される。
【0046】
上記以外の構成及び作用効果は上記第1の実施形態の場合と同様であり、その該当記載を援用することでここでの説明を省略する。
【0047】
「第3の実施形態」
図7には、本願発明の第3の実施形態に係るスロープ装置Zの要部を示している。この実施形態のスロープ装置Zにおける上記スロープ体1は、上記第1及び第2の実施形態におけるスロープ体1とはその構成の一部を異にしている。
【0048】
即ち、この実施形態のスロープ体1は、その芯材を、厚板状のハニカムコア10と第1端部材21と第2端部材22の三者で構成している。
【0049】
上記ハニカムコア10は、上記スロープ体1の中間部1aを構成するもので、一様厚さの厚板状とされる。上記第1端部材21は、上記ハニカムコア10の一端面10f側に設置されて上記スロープ装置Zの上段側設置部を構成するもので、アルミまたは硬質樹脂により一体成形されている。そして、この第1端部材21は、その基端側においては上記ハニカムコア10と略同一高さを有する一方、先端に向かうに伴って下方側へ僅かに湾曲しながら高さが漸減する形状を有している。また、上記第1側枠体2は、上記ハニカムコア10の他端面10r側に設置されて上記スロープ装置Zの下段側設置部を構成するもので、アルミまたは硬質樹脂により一体成形されている。そして、この第2端部材22は、その基端側においては上記ハニカムコア10と略同一高さを有する一方、先端に向かうに伴って上方側へ僅かに湾曲しながら高さが漸減する形状を有している。
【0050】
上記ハニカムコア10と該ハニカムコア10の前後両端にそれぞれ設置された上記第1端部材21及び第2端部材22の三者の表面側と裏面側に対して、上記第1薄板材12及び第2薄板材13が接着固定されることで、上記スロープ体1が得られる。
【0051】
このように、上記スロープ体1の芯材を、厚板状のハニカムコア10と、該ハニカムコア10の長辺方向の両端部にそれぞれ設置された上記第1端部材21と第2端部材22で構成し、これら三者の表裏両面に対して上記薄板材12,13を接着固定したことで、スロープ装置Zの走行方向の両端部、即ち、車椅子等の乗り側と降り側の接地高さを低くすることができ、しかも該端部材12,13が高強度のアルミ製または硬質樹脂製であることから該端部材12,13の厚さを小さくして接地高さをより低くすることができ、この結果、乗降性能に優れたスロープ装置Zを提供できる。
【0052】
上記以外の構成及び作用効果は上記第1及び第2の実施形態の場合と同様であり、これらの該当記載を援用することでここでの説明を省略する。
【0053】
「第4の実施形態」
図8には、本願発明の第4の実施形態に係るスロープ装置Zを示している。このスロープ装置Zは、略長矩形の一対のスロープ体51をその長辺同士を対向させた状態で並置し、且つその対向部分に取り付けたヒンジ体54によって相互に折曲可能に連結して構成される(
図10参照)。
【0054】
上記スロープ体51は、
図8〜
図10に示すように、次述する略長矩形厚板状の芯材60の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材71,72を接着固定して構成される。
【0055】
「芯材60」
上記芯材60は、略長矩形厚板状の第1ハニカムコア61と、該第1ハニカムコア61の左右両側に当接配置される左右一対の第2ハニカムコア62と、該第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62の長手方向に両端面を閉塞するようにその外側から配置された前後一対の横設材68を備えて構成され、全体として略長矩形厚板状の形態を呈している。
【0056】
上記第1ハニカムコア61は、
図12に示すように、紙材(好ましくは、クラフト紙)からなる隔壁によって区画された円形のセル61aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル61aをその高さ方向の両端で開口させて構成される。そして、この第1ハニカムコア61は、後述するように、その表面には上記第1薄板材71が、裏面には第2薄板材72が、それぞれ接着固定されることで高い剛性をもち、その厚さ方向からの外力に対して高い強度性能を発揮するものである。
【0057】
上記第2ハニカムコア62は、
図13に示すように、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル65aをその高さ方向の両端で開口させてなる樹脂ハニカム体65の表裏両面に薄板状の樹脂板66,67を融着または接着により固着して構成される。そして、この第2ハニカムコア62は、後述するように、その表面(上記樹脂板66の表面)には上記第1薄板材71が、裏面(上記樹脂板67の表面)には第2薄板材72が、それぞれ接着固定されることで高い剛性をもち、その厚さ方向からの外力に対して高い強度性能を発揮する。
【0058】
また、この場合、上記第2ハニカムコア62の上記樹脂板66及び樹脂板67と、上記第1薄板材71及び上記第2薄板材72は、共に面接触状態で接着固定されることで、高い接着強度をもち高水準のシール性能を発揮する。なお、上記樹脂ハニカム体65の表裏両面と上記樹脂板66,67は、上述のように、融着または接着により固着されることで、高い接着強度と高水準のシール性能を発揮する。
【0059】
上記横設材68は、樹脂製またはアルミ製の一体成型品であって、
図11に示すように、中空の厚板状形態を有している。この横設材68は、
図8、
図9に示すように、上記第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62の端面に横設状態で配置され、その表裏両面に接着固定される上記第1薄板材71及び第2薄板材72によって該第1ハニカムコア61及び第2ハニカムコア62と一体化されることで上記スロープ体51を構成する。また、この横設材68は、後述する端部材52あるいは端部材53を取り付けるための繋ぎ材としても機能するものであり、そのため、その外端下部には嵌合受部82が一体形成されており、この嵌合受部82に後述する端部材52あるいは端部材53側に設けた嵌合体81が嵌合連結される。
【0060】
「スロープ体51の形成」
上記スロープ体51は、
図8及び
図9に示すように、上記第1ハニカムコア61(
図9において対角線L1で示す範囲を参照)の左右両側にこれと密接状態で上記第2ハニカムコア62(
図9において対角線L2で示す範囲を参照)を配置するとともに、該第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62の前後両端に上記横設材68(
図9において対角線L3で示す範囲を参照)をそれぞれ密着状態で配置して略長矩形厚板状の上記芯材60を形成し、さらに、この芯材60の表裏状態に上記第1薄板材71及び第2薄板材72を接着固定して一体化することで得られる。したがって、このスロープ体51においては、上記第1ハニカムコア61は、左右一対の上記第2ハニカムコア62と上記横設材68によって囲まれた状態となる。
【0061】
さらに、上記スロープ体51の両側縁には次述の第1側枠体56と第2側枠体57が取り付けられる。上記第1側枠体56は、上記スロープ体51の一側(一対のスロープ体51をヒンジ体54によって接合したとき、外側に位置する側縁)に取り付けられるものであって、
図10に示すように、上記スロープ体51の側部に位置する上記第2ハニカムコア62部分に対してその側方から嵌合される略コ形の断面形状を有するとともに、その上面側には上方へ突出する脱輪防止壁58が一体的に設けられている。
【0062】
上記第2側枠体57は、上記スロープ体51の他側(一対のスロープ体51をヒンジ体54によって接合したとき、内側に位置する側縁)に取り付けられるものであって、
図10に示すように、上記スロープ体51の側部に位置する上記第2ハニカムコア62部分に対してその側方から嵌合される略コ形の断面形状を有している。そして、この第2側枠体57と他方のスロープ体51に設けられる第2側枠体57の間に上記ヒンジ体54が設けられており、このヒンジ体54の撓曲変形によって左右一対のスロープ体51が、展開(
図10の実線図示状態)及び格納(
図10の鎖線図示状態)可能とされる。
【0063】
上記端部材52及び端部材53は、上記スロープ体51へのスムーズな乗り下りを実現するためのものであって、上記スロープ体51の前後両端に連結される。この端部材52と端部材53は、同一構造であるため、これを
図11に示す端部材52を例にとって説明する。この端部材52は、樹脂製またはアルミ製の一体成型品であって、基端側から先端側に向かってその高さ(厚さ)が漸減する略クサビ状の断面形状をもち、その基端側下部には、上記横設材68の嵌合受部82に嵌合するC環状断面をもつ嵌合体81が一体形成されている。また、上記嵌合受部82の形成位置より上方側には、ストッパー面83が形成されており、このストッパー面83は上記横設材68側に形成されたストッパー面84に対応している。したがって、上記端部材52は、これが上記スロープ体51の面方向前方へ延出した位置(実線図示位置)では、上記嵌合体81と嵌合受部82が当接することで、上方からの荷重に対抗してその延出姿勢が保持される一方、下方への回動は許容される(鎖線図示位置)。
【0064】
「スロープ装置の形成」
上述のように構成された一対のスロープ体51(相互に反対勝手に形成される)を、上記第2側枠体57が備えられた側部同士を対向させて配置し、これら両者間に跨って上記ヒンジ体54を取り付けることでスロープ装置Zが得られる。
【0065】
そして、このスロープ装置Zでは、上記左右一対のスロープ体51を平板状に展開した形態において、これを例えば、玄関土間と玄関框部等の段差部に架け渡して車椅子等の通行に使用される。なお、スロープ装置Zの収納時には、上記一対のスロープ体51を上記ヒンジ体54部分から折り畳むことで、コンパクトな収納が可能となる。
【0066】
「スロープ装置Zの作用効果等」
以上のように構成された上記スロープ装置Zにおいては、以下のような特有の作用効果が得られる。
【0067】
上記スロープ装置Zにおいては、該スロープ装置Zの構成主体たるスロープ体51を、紙材からなる隔壁によって区画された複数のセル51aを備えるとともに該各セル51aが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコア61と、上記第1ハニカムコア61の左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコア62であって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを備えるとともに該各セル65aの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板66,67が融着または接着により固着された第2ハニカムコア62と、上記第1ハニカムコア6と第2ハニカムコア62の両端面を閉塞するように配置される樹脂製またはアルミ製の横設材68を備えてなる芯材60の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材71,72をそれぞれ接着固定して構成している。
【0068】
したがって、このスロープ装置Zによれば、上記第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62及び横設材68からなる上記芯材60を、上下一対の薄板材71,72によって接着固定してこれらを一体化してスロープ体51を構成したことによる形状効果として、該スロープ体51の剛性の向上、及び強度性能、特に曲げ強度の向上が図られ、延いては上記スロープ装置Zの高強度化が図られ、その使用上の信頼性が向上する。
【0069】
また、上記スロープ体51は、その外周縁を構成する上記第2ハニカムコア62が樹脂材で構成され、上記横設材68が樹脂材またはアルミ材で構成されており、何れも高い耐水性をもつものである。しかも、上記第2ハニカムコア62は、各セル65aの高さ方向の両端に薄板状の樹脂板66,67が融着または接着により固着され、さらにこの各樹脂板66,67の外面に上記薄板1,72が面接触状態で接着固定された構成であることから、そのシール性は極めて高いものとなる。
【0070】
このように、上記第2ハニカムコア62と上記薄板材71,72との接着強度及びシール性、及び上記横設材68と上記第1薄板材71,72との接着強度及びシール性が極めて高いことから、これら第2ハニカムコア62と横設材68によってその周縁が囲まれた状態にある上記第1ハニカムコア61は、これが紙材で構成されていたとしても、該第1ハニカムコア61がその周囲からの吸湿によって強度低下を招来するということが確実に防止され、該第1ハニカムコア61が持つ強度及び軽量性という素材特性が維持されることとなり、この結果、耐水性及び耐久性に優れた軽量のスロープ装置Zを安価に提供することができる。
【0071】
また、上述のように、上記第2ハニカムコア62と上記薄板材71,72との接着強度及びシール性が極めて高いことから、上記第1ハニカムコア61の吸湿防止という目的を達成できる範囲内で、上記第1ハニカムコア61よりも重さが重く且つ高価な上記第2ハニカムコア62の幅寸法を減少させて、上記スロープ体51の軽量化と低コスト化を図ることができ、延いては上記スロープ装置Zの軽量化と低コスト化がさらに促進される。
【0072】
「第5の実施形態」
図14には、本願発明の第5の実施形態に係るスロープ装置Zを示している。このスロープ装置Zは、略長矩形の一対のスロープ体51をその長辺同士を対向させた状態で並置し、且つその対向部分に取り付けたヒンジ体54によって相互に折曲可能に連結して構成される。
【0073】
上記スロープ体51は、
図14〜
図16に示すように、次述する略長矩形厚板状の芯材60の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材71,72を接着固定して構成される。
【0074】
「芯材60」
上記芯材60は、略長矩形厚板状の第1ハニカムコア61と、該第1ハニカムコア61の左右両側に当接配置される左右一対の第2ハニカムコア62と、該第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62の長手方向の一端面を閉塞するようにその外側から配置された第3ハニカムコア63と、他端面を閉塞するようにその外側から配置された第4ハニカムコア64を備えて構成され、全体として略長矩形厚板状の形態を呈している。
【0075】
上記第1ハニカムコア61は、上記第4の実施形態における第1ハニカムコア61と同様構造をもつものであって、
図12を参照して説明すると、該第1ハニカムコア61は、紙材(好ましくは、クラフト紙)からなる隔壁によって区画された円形のセル61aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル61aをその高さ方向の両端で開口させて構成される。そして、この第1ハニカムコア61は、
図14に示すように、全体として略長矩形厚板状の外観形態を有している。また、この第1ハニカムコア61は、後述するように、その表面には上記第1薄板材71が、裏面には第2薄板材72が、それぞれ接着固定されることで高い剛性をもち、その厚さ方向からの外力に対して高い強度性能を発揮するものである。
【0076】
上記第2ハニカムコア62は、上記第4の実施形態における第2ハニカムコア62と同様構造をもつものであって、
図13を参照して説明すると、該第2ハニカムコア62は、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル65aをその高さ方向の両端で開口させてなる樹脂ハニカム体65の表裏両面に薄板状の樹脂板66,67を融着または接着により固着して構成される。そして、この第2ハニカムコア62は、
図14に示すように、全体として細長矩形厚板状の外観形態を有しており、後述のように上記第1ハニカムコア61の左右両側部に当接状態で配置される。なお、この第2ハニカムコア62は、後述するように、その表面(上記樹脂板66の表面)には上記第1薄板材71が、裏面(上記樹脂板67の表面)には第2薄板材72が、それぞれ接着固定されることで高い剛性をもち、その厚さ方向からの外力に対して高い強度性能を発揮する。
【0077】
上記第3ハニカムコア63は、上記第2ハニカムコア62と同様に構造をもつものであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル65aをその高さ方向の両端で開口させてなる樹脂ハニカム体65の表裏両面に薄板状の樹脂板66,67を融着または接着により固着して構成される(
図13参照)。そして、この第3ハニカムコア63は、
図14及び
図16に示すように、上記スロープ体51の一端部51aを形成するものであって、外端側に向かって厚さが漸減しながらやや下方へ湾曲するような断面形状を有している。
【0078】
上記第4ハニカムコア64は、上記第2ハニカムコア62と同様に構造をもつものであって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを隙間なく多数連設して相互に接合するとともに、該各セル65aをその高さ方向の両端で開口させてなる樹脂ハニカム体65の表裏両面に薄板状の樹脂板66,67を融着または接着により固着して構成される(
図13参照)。そして、この第4ハニカムコア64は、
図14及び
図16に示すように、上記スロープ体51の他端部51bを形成するものであって、外端側に向かって厚さが漸減しながらその下面側がやや上方へ湾曲するような断面形状を有している。
【0079】
「スロープ体51の形成」
上記スロープ体51は、
図14〜
図6に示すように、上記第1ハニカムコア61の左右両側にこれと密接状態で上記第2ハニカムコア62をそれぞれ配置するとともに、該第1ハニカムコア61と第2ハニカムコア62の一端面側には上記第3ハニカムコア63を、他端面側には上記第4ハニカムコア64を、それぞれ密着状態で配置して略長矩形厚板状の上記芯材60を形成し、さらに、この芯材60の表裏状態に上記第1薄板材71及び第2薄板材72を接着固定して一体化することで得られる。したがって、このスロープ体51においては、上記第1ハニカムコア61は、左右一対の上記第2ハニカムコア62と第3ハニカムコア63及び第4ハニカムコア64の四者によって囲まれた状態となる。
【0080】
さらに、上記スロープ体51の両側縁には、脱輪防止壁58を備えた第1側枠体56と第2側枠体57がそれぞれ取り付けられる。
【0081】
上述のように構成された一対のスロープ体51(相互に反対勝手に形成される)を、上記第2側枠体57が備えられた側部同士を対向させて配置し、これら両者間に跨って上記ヒンジ体54を取り付けることでスロープ装置Zが得られる。
【0082】
「スロープ装置Zの作用効果等」
以上のように構成された上記スロープ装置Zにおいては、以下のような特有の作用効果が得られる。
【0083】
上記スロープ装置Zにおいては、該スロープ装置Zの構成主体たるスロープ体51を、紙材からなる隔壁によって区画された複数のセル51aを備えるとともに該各セル51aが高さ方向の両端に開口した厚板状の第1ハニカムコア61と、上記第1ハニカムコア61の左右両側縁にそれぞれ配置される第2ハニカムコア62であって、樹脂材からなる隔壁によって区画された複数のセル65aを備えるとともに該各セル65aの高さ方向の両端には薄板状の樹脂板66,67が融着または接着により固着された第2ハニカムコア62と、該第2ハニカムコア62と同一構造を有し上記第1ハニカムコアと第2ハニカムコアの両端面をそれぞれ閉塞するように配置される第3ハニカムコアと第4ハニカムコアを備えてなる芯材60の表裏両面に繊維強化プラスチック製の薄板材71,72をそれぞれ接着固定して構成している。
【0084】
したがって、このスロープ装置Zによれば、上記第1〜第4ハニカムコア61〜64からなる上記芯材60を、上下一対の薄板材71,72によって接着固定してこれらを一体化してスロープ体51を構成したことによる形状効果として、該スロープ体51の剛性の向上、及び強度性能、特に曲げ強度の向上が図られ、延いては上記スロープ装置Zの高強度化が図られ、その使用上の信頼性が向上する。
【0085】
また、上記スロープ体51は、その外周縁を構成する上記第2〜第4ハニカムコア62〜64が耐水性の高い樹脂材で構成されており、しかも、上記第2〜第4ハニカムコア62〜64は、各セル65aの高さ方向の両端に薄板状の樹脂板66,67が融着または接着により固着され、さらにこの各樹脂板66,67の外面に上記薄板1,72が面接触状態で接着固定された構成であることから、そのシール性は極めて高いものとなっている。
【0086】
このように、上記第2〜第4ハニカムコア62〜64と上記薄板材71,72との接着強度及びシール性が極めて高いことから、これら第2〜第4ハニカムコア62〜64によってその周縁が囲まれた状態にある上記第1ハニカムコア61は、これが紙材で構成されていたとしても、該第1ハニカムコア61がその周囲からの吸湿によって強度低下を招来するということが確実に防止され、該第1ハニカムコア61が持つ強度及び軽量性という素材特性が維持されることとなり、この結果、耐水性及び耐久性に優れた軽量のスロープ装置Zを安価に提供することができる。
【0087】
また、上述のように、上記第2〜第4ハニカムコア62〜64と上記薄板材71,72との接着強度及びシール性が極めて高いことから、上記第1ハニカムコア61の吸湿防止という目的を達成できる範囲内で、上記第1ハニカムコア61よりも重さが重く且つ高価な上記第2〜第4ハニカムコア62〜64の幅寸法を減少させて、上記スロープ体51の軽量化と低コスト化を図ることができ、延いては上記スロープ装置Zの軽量化と低コスト化がさらに促進される。