特許第6384920号(P6384920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384920
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】充放電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20180827BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180827BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20180827BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180827BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   H02J3/14 160
   H02J7/00 Q
   H02J7/02 G
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-64007(P2015-64007)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-185019(P2016-185019A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅史
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160652(JP,A)
【文献】 特開2012−249444(JP,A)
【文献】 特開2010−088174(JP,A)
【文献】 特表2015−507914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42−10/48
H02J 3/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
前記N台の電源装置に対して前記充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、前記N台の電源装置に前記充放電指示に基づく前記充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
前記統括制御部は、
前記充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、前記開始シフト量に応じて前記充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
前記合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、前記開始シフト量を増加させる第2処理と、
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力以下の場合に、前記開始シフト量に応じた前記充放電指示を出力する第3処理とを行い、
前記第2処理の後に前記Mを初期値に設定して前記第1処理を行い、その後に
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力以下の場合、前記Mを前記初期値から1ずつ段階的に増加させて前記第1処理を行い、
前記MがNに達した場合に、前記N台の電源装置に対して前記第3処理を行う
ことを特徴とする充放電電源システム。
【請求項2】
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
前記N台の電源装置に対して前記充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、前記N台の電源装置に前記充放電指示に基づく前記充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
前記統括制御部は、
前記充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、前記開始シフト量に応じて前記充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
前記合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、前記開始シフト量を増加させる第2処理と、
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力以下の場合に、前記開始シフト量に応じた前記充放電指示を出力する第3処理とを行い、
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力以下の場合、前記M台目の電源装置に対して前記第3処理を行い、
前記第3処理の後、前記MがNよりも小さいときは前記MをM+1に増加させるとともに前記開始シフト量を初期値に設定して前記第1処理を行う
ことを特徴とする充放電電源システム。
【請求項3】
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
前記N台の電源装置に対して前記充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、前記N台の電源装置に前記充放電指示に基づく前記充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
前記統括制御部は、
前記充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、前記開始シフト量に応じて前記充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
前記合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、前記開始シフト量を増加させる第2処理と、
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力以下の場合に、前記開始シフト量に応じた前記充放電指示を出力する第3処理とを行い、
前記充放電サイクルは、少なくとも1個の充電サブサイクルと、少なくとも1個の放電サブサイクルとを含むL個のサブサイクル(Lは、2以上の整数)からなり、
前記統括制御部は、
前記開始シフト量が前記サブサイクル毎に設定されており、
前記第1処理において、前記M台目の電源装置に実行させる前記充放電サイクルにK個目(Kは、1以上L以下の整数)までのサブサイクルが含まれるものとして前記合計電力を計算し、
前記第2処理において、前記K個目のサブサイクルの前記開始シフト量を増加させ、
前記第3処理において、前記サブサイクル毎に設定された前記開始シフト量に応じて前記充放電指示を出力する
ことを特徴とする充放電電源システム。
【請求項4】
前記統括制御部は、
前記予想最大使用電力が前記目標最大使用電力を超える場合に、前記開始シフト量と前記充放電サイクルの時間との関係に応じて、前記開始シフト量の単位量である開始シフト単位を変化させる
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の充放電電源システム。
【請求項5】
前記電源装置は、
AC/DC電源部と、
複数のDC/DC電源部と、
前記統括制御部と通信を行い、前記充放電指示に基づいて前記AC/DC電源部および前記複数のDC/DC電源部を制御する制御部と、を備えた
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の充放電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン充電池やニッケル水素充電池等の二次電池は、化石燃料の使用低減効果のあるハイブリッド自動車や電気自動車、および災害時の非常用電源としての住宅用蓄電池等、広範囲かつ大量に使用されており、今後ますます需要の拡大が想定される。
【0003】
二次電池の充放電試験を行う電源装置としては、例えば、特許文献1に記載のものや特許文献2に記載のものが知られている。これらの電源装置は、1つのAC/DC電源部と複数のDC/DC電源部とを備え、DC/DC電源部に接続された複数の二次電池に対して充電と放電とを組み合わせた充放電サイクルを実行する。
【0004】
特に、特許文献2に記載の電源装置では、AC/DC電源部を双方向AC/DCコンバータで構成し、DC/DC電源部を双方向DC/DCコンバータで構成することで、二次電池の放電電力(回生電力)の一部を二次電池の充電電力として利用している。さらに、複数のDC/DC電源部に異なるタイミングで充放電サイクルを開始させて、AC/DC電源部に供給される回生電力を最小化することで、回生に伴うAC/DC電源部の電力損失を低減している。
【0005】
また近年では、複数の電源装置を備えた、大量の二次電池の充放電試験を効率良く行うことができる充放電電源システムが望まれている。充放電電源システムでは、充放電試験を行う二次電池の数量が数十万個になるため、充電に必要な電力はメガVAになり、電気料金も数億円になる。このため、現行の充放電電源システムでは、電源装置の充放電効率の改善に加え、二次電池の放電電力の一部を充電電力として利用することで、系統の使用電力量の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−244742号公報
【特許文献2】特開2012−154793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電気料金は、使用電力量と、最大使用電力に依存した契約電力とによって決まるため、使用電力量の低減に加えて最大使用電力の低減が課題となる。
【0008】
例えば、工場用の特別高圧電力契約の場合、電気料金は、
電気料金=基本料金+電力量料金+その他課金
となっている。また、基本料金および電力量料金は、それぞれ、
基本料金=料金単価×契約電力×力率係数
電力量料金=料金単価×使用電力量±調整額
となっている。
【0009】
ここで、基本料金に含まれる契約電力は、過去1年間の各月の最大需要電力(最大使用電力)のうち最も大きい値となるため、最大需要電力(最大使用電力)を抑えることで、契約電力を低減することが可能となる。特に、使用する電力の平均電力は小さいが最大使用電力が大きい場合、最大使用電力を低減することで、電気料金を低減する効果が大きいことが見込まれる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、最大使用電力を一定値以下に抑えることが可能な充放電電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る充放電電源システムは、
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
N台の電源装置に対して充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、N台の電源装置に充放電指示に基づく充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
統括制御部は、
充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量を増加させる第2処理と、
予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合に、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する第3処理とを行い、
第2処理の後にMを初期値に設定して第1処理を行い、その後に
予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合、Mを初期値から1ずつ段階的に増加させて第1処理を行い、
MがNに達した場合に、N台の電源装置に対して第3処理を行うことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、統括制御部は、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下になるように、N台の電源装置に対して開始シフト量に応じた充放電指示を出力するので、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができる。さらに、この構成によれば、統括制御部は、N台の電源装置に対して一定の開始シフト量で充放電指示を出力するので、充放電試験時間(N台の電源装置が充放電サイクルを実行する時間)が長くなるものの、統括制御部で行う処理を簡略化することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の別の実施形態に係る充放電電源システムは、
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
N台の電源装置に対して充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、N台の電源装置に充放電指示に基づく充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
統括制御部は、
充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量を増加させる第2処理と、
予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合に、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する第3処理とを行い、
予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合、M台目の電源装置に対して第3処理を行い、
第3処理の後、MがNよりも小さいときはMをM+1に増加させるとともに開始シフト量を初期値に設定して第1処理を行うよう構成できる。
【0016】
この構成によれば、統括制御部は、電源装置毎に設定した開始シフト量で充放電指示を順次出力するので、一定の開始シフト量で充放電指示を出力する場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明のさらに別の実施形態に係る充放電電源システムは、
二次電池の充放電サイクルを実行するN台の電源装置(Nは、2以上の整数)と、
N台の電源装置に対して充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、N台の電源装置に充放電指示に基づく充放電サイクルを実行させる統括制御部と、
を備えた充放電電源システムであって、
統括制御部は、
充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、
計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、
合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量を増加させる第2処理と、
予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合に、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する第3処理とを行い、
充放電サイクルは、少なくとも1個の充電サブサイクルと、少なくとも1個の放電サブサイクルとを含むL個のサブサイクル(Lは、2以上の整数)からなり、
統括制御部は、
開始シフト量がサブサイクル毎に設定されており、
第1処理において、M台目の電源装置に実行させる充放電サイクルにK個目(Kは、1以上L以下の整数)までのサブサイクルが含まれるものとして合計電力を計算し、
第2処理において、K個目のサブサイクルの開始シフト量を増加させ、
第3処理において、サブサイクル毎に設定された開始シフト量に応じて充放電指示を出力するよう構成できる。
【0018】
この構成によれば、統括制御部は、N台の電源装置に対してサブサイクル毎に設定した開始シフト量で充放電指示を出力するので、充放電サイクル毎に設定した開始シフト量で充放電指示を出力する場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0019】
上記充放電電源システムでは、
統括制御部は、
予想最大使用電力が目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量と充放電サイクルの時間との関係に応じて、開始シフト量の単位量である開始シフト単位を変化させるよう構成できる。
【0020】
この構成によれば、開始シフト単位を変化させることにより、最大使用電力の微細な調整が可能になるので、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えつつ、充放電試験時間を大幅に短縮することができる。
【0021】
上記充放電電源システムでは、
電源装置は、
AC/DC電源部と、
複数のDC/DC電源部と、
統括制御部と通信を行い、充放電指示に基づいてAC/DC電源部および複数のDC/DC電源部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、最大使用電力を一定値以下に抑えることが可能な充放電電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る充放電電源システムの概略構成図である。
図2】本発明における統括制御部の概略構成図である。
図3】本発明の第1および第2実施形態における充放電サイクルの模式図である。
図4】本発明の第1実施形態において、開始シフト量を1とした場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。
図5】本発明の第1実施形態において、開始シフト量を2とした場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。
図6】本発明の第1実施形態における統括制御部の制御フローチャートである。
図7図6に示す制御フローチャートの続きである。
図8】本発明の第2実施形態における使用電力の時間推移を示す図および表である。
図9】本発明の第2実施形態における統括制御部の制御フローチャートである。
図10図9に示す制御フローチャートの続きである。
図11】本発明の第3実施形態における充放電サイクルの模式図である。
図12】本発明の第3実施形態における使用電力の時間推移を示す図および表である。
図13】本発明の第3実施形態における統括制御部の制御フローチャートである。
図14図13に示す制御フローチャートの続きである。
図15】本発明の第4実施形態における充放電サイクルの模式図である。
図16】本発明の第4実施形態における使用電力の時間推移を示す図および表である。
図17】本発明の第4実施形態における統括制御部の制御フローチャートである。
図18図17に示す制御フローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る充放電電源システムおよび統括制御方法の実施形態について説明する。
【0027】
[第1実施形態]
(充放電電源システム)
図1に、本発明の第1実施形態に係る充放電電源システム3を示す。充放電電源システム3は、複数の二次電池4の充放電試験を行うものである。充放電電源システム3には、電力会社の商用電源1から供給された交流電圧(例えば、6600[V])が高圧受電設備2で、例えば200[V]の交流電圧に降圧されて入力される。充放電電源システム3は、主に、この交流電圧から生成した直流電圧(例えば、5[V])によって、複数の二次電池4の充電を行う。二次電池4は、例えば、リチウムイオン充電池やニッケル水素充電池である。
【0028】
充放電電源システム3は、二次電池4の充放電サイクルを実行するN台の電源装置30(Nは、2以上の整数)と、N台の電源装置30に対して充放電サイクルに関する充放電指示を出力し、N台の電源装置30に充放電指示に基づく充放電サイクルを実行させる統括制御部10とを備えている。
【0029】
電源装置30は、1つのAC/DC電源部31と、AC/DC電源部31に接続された複数のDC/DC電源部32と、統括制御部10からの充放電指示を受けてAC/DC電源部31およびDC/DC電源部32を制御する制御部33とを備えている。
【0030】
AC/DC電源部31は、一端が高圧受電設備2に接続され、かつ他端が複数のDC/DC電源部32に接続されている。AC/DC電源部31は、制御部33の制御下で、高圧受電設備2から供給された交流電圧を直流電圧(例えば、360[V])に変換するAC/DC変換動作と、DC/DC電源部32から供給された直流電圧を交流電圧(例えば、200[V])に変換するDC/AC変換動作とを行う双方向AC/DCコンバータからなる。DC/AC変換動作時にAC/DC電源部31で生成された交流電圧は、AC/DC変換動作を行う別のAC/DC電源部31に入力される。すなわち、二次電池4の回生電圧(DC/DC電源部32から供給された直流電圧)の少なくとも一部が、別の二次電池4の充電電圧として使用される。
【0031】
DC/DC電源部32は、一端がAC/DC電源部31に接続され、他端が複数の二次電池4に接続されている。DC/DC電源部32は、制御部33の制御下で、複数の二次電池4に対して充電動作および放電動作を行う双方向DC/DCコンバータからなる。充電動作時のDC/DC電源部32は、一端に入力された直流電圧を降圧し、他端に接続された複数の二次電池4に出力する。DC/DC電源部32の出力は、二次電池4の駆動にあわせた電圧、電流に制御される。二次電池4がリチウムイオン充電池の場合、出力電圧は約5[V]以下になるように制御される。放電動作時のDC/DC電源部32は、複数の二次電池4の放電電圧を昇圧して一端から出力する。
【0032】
制御部33は、統括制御部10に対して相互に通信を行う通信部と、統括制御部10からの充放電指示に基づいてAC/DC電源部31およびDC/DC電源部32を制御する処理部とを備えている。処理部は、電源装置30の状態に関する情報を生成する機能を有する。電源装置30の状態に関する情報には、AC/DC電源部31の状態(AC/DC変換動作中かDC/AC変換動作中か)、DC/DC電源部32の状態(充電動作中か放電動作中か)、二次電池4に出力(充電)される電圧値および電流値、二次電池4から入力(放電)される電圧値および電流値、AC/DC電源部31およびDC/DC電源部32の異常状態、AC/DC電源部31の一端に入力される電力値(使用電力)等が含まれる。電源装置30の状態に関する情報は、通信部を介して統括制御部10に出力される。
【0033】
図2に示すように、統括制御部10は、処理部11と、指示表示部12と、記憶部13と、通信部14とを備えている。統括制御部10は、コンピュータまたは専用の制御装置で構成される。指示表示部12は、オペレータによる充放電サイクル開始指示の入力を受け付ける機能と、充放電サイクル実行中に電源装置30の状態を表示する機能とを有する。記憶部13には、充放電サイクルに関する情報(例えば、充放電サイクルの時間および使用電力)および電源装置30の構成に関する情報(例えば、対象チャネル数)等が格納される。通信部14は、N台の電源装置30に対して相互に通信を行う。
【0034】
処理部11は、N台の電源装置30を統括制御し、最大使用電力が一定値(目標最大使用電力)以下になるように、N台の電源装置30に充放電サイクルを実行させる。具体的には、処理部11は、充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、(1)計算対象電源台数をM(Mは、1以上N以下の整数)とし、当該M台の電源装置30に開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における単位時間当たりの合計電力を計算する第1処理と、(2)合計電力の最大値である予想最大使用電力が予め指示された目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量を増加させる第2処理と、(3)予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合に、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する第3処理とを行うよう構成されている。
【0035】
より具体的には、本実施形態における処理部11は、第2処理の後にMを初期値に設定して再度第1処理を行う。予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合、処理部11は、Mを初期値から段階的に増加させて繰り返し第1処理を行う。Mを段階的に増加させる各段階において、予想最大使用電力が目標最大使用電力を超える場合は、第2処理を行う。そして、MがNに達した場合に、処理部11は、N台の電源装置30に対して第3処理を行う。
【0036】
すなわち、本実施形態における処理部11は、N台の電源装置30が充放電サイクルを実行した場合における予想最大使用電力が目標最大使用電力以下となるように開始シフト量を設定し、N台の電源装置30に対して上記開始シフト量で充放電指示を出力する。したがって、本実施形態に係る充放電電源システム3によれば、N台の電源装置30が充放電指示に応じた充放電サイクルを実行した場合に、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができ、その結果、電気料金を低減することができる。さらに、本実施形態に係る充放電電源システム3によれば、上述したようにN台の電源装置30に対して一定の開始シフト量で充放電指示を出力するので、統括制御部10(特に、処理部11)で行う処理を簡略化することができる。
【0037】
図3に、充放電サイクルの一例を示す。この充放電サイクルは、電源装置30に行わせる充放電サイクルを模式化したものであり、横軸に時間をとり、縦軸に電力(使用電力)をとっている。充放電サイクルの単位時間は、充放電サイクルにかかる時間を開始シフト単位に応じて所定数に分割(図3では、8等分)したものである。例えば、開始シフト単位が1/2になると分割数は2倍になる。図3では、時間1〜4および時間7、8は充電サイクルを、時間5、6は放電サイクルを表す。充放電サイクルの単位時間当たりの電力(使用電力)は、単位時間当たりの使用電力の平均値を、単位電力で表したものである。単位電力は、最大使用電力を所定数に分割(図3では、5等分)したものである。図3の場合、時間1〜4では充電電力3、5、5、2、時間5、6では放電電力2、1、時間7、8では充電電力3、5となる。放電電力は回生されるので、放電電力2、1を電力−2、−1と表す。なお、模式化した充放電サイクルは、開始シフト単位が小さいほど、電源装置30に実行させたい充放電サイクルに近づく。
【0038】
図3に示す充放電サイクルの場合、単位時間当たりの最大使用電力が5であるため、N台の電源装置30に一斉にこの充放電サイクルを実行させたとき、電源装置30の台数分の最大使用電力(5×N)が必要になる。一方、単位時間当たりの平均電力は、
平均電力=(3+5+5+2−2−1+3+5)/8=2.5
と少ないため、開始シフト量を制御することで、最大使用電力を低減する効果が期待できる。なお、充放電サイクルは、試験対象の二次電池4を複数の定電圧または定電流の充電サイクルおよび放電サイクルで試験するため、図3に示すように、充放電サイクル内で電力の時間的変化が生じることが一般的である。
【0039】
図4は、充放電電源システム3において、電源装置30の台数を10台とし、開始シフト量を均一に時間1として、図3に示す充放電サイクルを実行させた場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。10台の電源装置30に同時に充放電サイクルを実行させた場合(開始シフト量を時間0とした場合)は最大使用電力が50(=最大使用電力5×10)となるが、開始シフト量を均一に時間1とすることで、最大使用電力が20に抑制されることが分かる。
【0040】
図5は、充放電電源システム3において、電源装置30の台数を10台とし、開始シフト量を均一に時間2として、図3に示す充放電サイクルを実行させた場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。図5から、開始シフト量を均一に時間2とすることで、最大使用電力が11に抑制されることが分かる。
【0041】
(統括制御方法)
続いて、本発明の第1実施形態に係る統括制御方法について、図6および図7を参照して説明する。
【0042】
統括制御部10では、指示表示部12において充放電サイクル開始指示が入力されると、処理部11は、統括制御を開始する(S1)。
【0043】
統括制御を開始した処理部11は、充放電サイクル、目標最大使用電力、対象チャネル数、開始シフト単位に関する情報を読み込む(S2)。充放電サイクルに関する情報は、充放電サイクルの時間と使用電力の関係を示すプロファイルである。目標最大使用電力は、最大使用電力の上限を定めたものである。対象チャネル数は、充放電試験を行う二次電池4の数である。開始シフト単位は、開始シフト量の単位量である。例えば、開始シフト単位を1分とした場合、開始シフト量を1増やすと、充放電サイクルの開始時間を1分遅らせることになり、開始シフト単位を3分とした場合は、開始シフト量を1増やすと、充放電サイクルの開始時間を3分遅らせることになる。本実施形態では、開始シフト単位を充放電サイクルの単位時間に合わせているので、開始シフト量を1増やすと、充放電サイクルの開始時間を時間1だけ遅らせることになる。充放電サイクル、目標最大使用電力、対象チャネル数、開始シフト単位に関する情報は、指示表示部12において充放電サイクル開始指示とともに入力されるか、または事前に入力されて記憶部13に格納される。
【0044】
次いで、処理部11は、開始シフト量を初期値に設定し(S3)、計算対象電源台数M(Mは、1以上N以下の整数)を初期値に設定する(S4)。本実施形態では、開始シフト量の初期値を1とし、Mの初期値を1とする。
【0045】
次いで、処理部11は、充放電サイクルの各時間および使用電力と現在設定されている開始シフト量から、M台の電源装置30に対して、現在設定されている開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における各単位時間当たりの合計電力を計算する(S5)。この合計電力の最大値が予想最大使用電力となる。ステップS4の直後は、Mが1に設定されているので、処理部11は、電源装置1台で充放電サイクルを実行させた場合の各単位時間当たりの合計電力を計算する。図3に示す充放電サイクルの場合、Mが1なら予想最大使用電力は5になる。ステップS5の処理は、本発明の第1処理および第1ステップに相当する。
【0046】
次いで、処理部11は、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下か否かの判定を行う(S6)。予想最大使用電力が目標最大使用電力よりも大きい場合(S6で「いいえ」)、処理部11は、開始シフト量に1を加算した新たな開始シフト量を設定する(S7)。ステップS7の処理は、本発明の第2処理および第2ステップに相当する。一方、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合(S6で「はい」)、計算対象電源台数Mが電源台数N以上か否かの判定を行う(S8)。
【0047】
Mが電源台数Nに達していない場合(S8で「いいえ」)、処理部11は、MをM+1に設定し(S9)、M+1台の電源装置30で充放電サイクルを実行させた場合の各単位時間当たりの合計電力を計算する(S5)。一方、Mが電源台数Nに達している場合(S8で「はい」)、N台の電源装置30に対して、現在の開始シフト量に応じた充放電指示を出力し(S10)、統括制御を終了する(S13)。ステップS10の処理は、本発明の第3処理および第3ステップに相当する。
【0048】
ここで、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する(開始シフト量で充放電指示を出力する)とは、充放電指示を受けた電源装置30が開始シフト量に応じたタイミングで充放電サイクルを開始するように、電源装置30に対して充放電指示を出力することをいう。したがって、処理部11が充放電指示を出力するタイミングを開始シフト量に応じてシフトさせることは勿論、処理部11が同じタイミングで充放電指示を出力したとしても、充放電指示を受けた電源装置30が開始シフト量に応じたタイミングで充放電サイクルを開始するのであれば、処理部11は、開始シフト量に応じた充放電指示を出力したことになる。
【0049】
ステップS7において新たな開始シフト量を設定した処理部11は、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数(図3の場合は、8)を超えるか否かの判定を行う(S11)。新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数を超える場合(S11で「はい」)、処理部11は、現在の設定(新たな開始シフト量)では処理不可な旨を指示表示部12に表示して(S12)、統括制御を終了する(S13)。一方、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数以下の場合(S11で「いいえ」)、処理部11は、Mを1に設定し(S4)、現在設定されている開始シフト量(新たな開始シフト量)でステップS5の処理を行う。
【0050】
結局、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30が充放電サイクルを実行した場合における予想最大使用電力が目標最大使用電力以下となるように開始シフト量を設定し、N台の電源装置30に対して上記開始シフト量で充放電指示を出力する。したがって、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30が充放電指示に応じた充放電サイクルを実行した場合に、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができる。さらに、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30に対して一定の開始シフト量で充放電指示を出力するので、統括制御部10(特に、処理部11)で行う処理を簡略化することができる。
【0051】
[第2実施形態]
(充放電電源システム)
次に、本発明の第2実施形態に係る充放電電源システムについて説明する。本実施形態に係る充放電電源システムは、図1に示す充放電電源システム3と同じ構成であるため、説明を一部省略する。
【0052】
本実施形態では、処理部11は、第2処理の途中で、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合、処理部11は、M台目の電源装置30に対して第3処理を行う。第3処理の後、処理部11は、計算対象電源台数Mが電源台数Nよりも小さいときは、MをM+1に増加させるとともに開始シフト量を初期値である1に設定して第1処理を行う。
【0053】
すなわち、本実施形態における処理部11は、N台の電源装置30に対して電源装置30毎に設定した開始シフト量で充放電指示を順次出力する。したがって、本実施形態に係る充放電電源システム3によれば、N台の電源装置30がそれぞれの充放電指示に応じた充放電サイクルを実行した場合における最大使用電力を目標最大使用電力以下にすることができ、さらに、一定の開始シフト量で充放電指示を出力する第1実施形態の場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0054】
図8は、本実施形態に係る充放電電源システム3において、電源装置30の台数を10台とし、電源装置30毎に開始シフト量を適宜設定し、図3に示す充放電サイクルを実行させた場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。
【0055】
図8では、目標最大使用電力が15に設定されている。処理部11は、1台目の電源装置30に対して開始シフト量を1に設定して充放電指示を出力し、2台目以降順次単位時間当たりの合計電力を計算する。7台目の電源装置30に対する合計電力を計算する時点で、時間8の予想最大使用電力が目標最大使用電力15を超えるため、処理部11は、開始シフト量を2に設定して単位時間当たりの合計電力を計算し、目標最大使用電力を超えないため7台目の電源装置30に充放電指示を出力する。同様に、9台目の電源装置30に対する合計電力を計算する時点で、時間10、11の予想最大使用電力が目標最大使用電力15を超えるため、処理部11は、開始シフト量を3に設定して9台目の電源装置30に充放電指示を出力する。
【0056】
10台の電源装置30に同時に充放電サイクルを実行させた場合は最大使用電力が50(=最大使用電力5×10)となるが、図8に示すように、開始シフト量を適宜1、2あるいは3とした場合は、最大使用電力は15以下に抑制されることが分かる。
【0057】
(統括制御方法)
続いて、本発明の第2実施形態に係る統括制御方法について、図9および図10を参照して説明する。
【0058】
本実施形態の統括制御方法におけるステップS21〜S27、S31〜S33の処理は、第1実施形態の統括制御方法におけるステップS1〜S7、S11〜S13の処理と大部分が同じである。第1実施形態では、開始シフト量を1に設定した後(S3)、計算対象電源台数Mを1に設定しているが(S4)、本実施形態では、計算対象電源台数Mを1に設定した後(S23)、開始シフト量を1に設定する(S24)。
【0059】
ステップS24の処理を行った処理部11は、充放電サイクルの各時間および使用電力と電源装置30毎に現在設定されている開始シフト量から、M台の電源装置30に対して各開始シフト量に応じて充放電サイクルを実行させた場合における各単位時間当たりの合計電力を計算する(S25)。ステップS25の処理は、本発明の第1処理および第1ステップに相当する。
【0060】
また、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合(S26で「はい」)、処理部11は、M台目の電源装置30に対して、開始シフト量に応じた充放電指示を出力する(S28)。ステップS28の処理は、本発明の第3処理および第3ステップに相当する。
【0061】
次いで、処理部11は、計算対象電源台数Mが電源台数N以上か否かの判定を行う(S29)。Mが電源台数Nに達した場合(S29で「はい」)、処理部11は、統括制御を終了する(S33)。一方、Mが電源台数Nに達していない場合(S29で「いいえ」)、処理部11は、MをM+1に設定し(S30)、開始シフト量を1に設定して(S24)、ステップS25の処理を行う。
【0062】
また、ステップS26で「いいえ」の場合、ステップS27(本発明の第2処理および第2ステップに相当)において開始シフト量に1を加算した新たな開始シフト量を設定した処理部11は、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数(図3の場合は、8)を超えるか否かの判定を行う(S31)。新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数を超える場合(S31で「はい」)、処理部11は、現在の設定(新たな開始シフト量)では処理不可な旨を指示表示部12に表示して(S32)、統括制御を終了する(S33)。一方、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数以下の場合(S31で「いいえ」)、処理部11は、新たな開始シフト量でステップS25の処理を行う。
【0063】
結局、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30に対して電源装置30毎に設定した開始シフト量で充放電指示を順次出力する。したがって、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30がそれぞれの充放電指示に応じた充放電サイクルを実行した場合における最大使用電力を目標最大使用電力以下にすることができ、さらに、一定の開始シフト量で充放電指示を出力する第1実施形態の場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0064】
[第3実施形態]
(充放電電源システム)
次に、本発明の第3実施形態に係る充放電電源システムについて説明する。本実施形態に係る充放電電源システムは、図1に示す充放電電源システム3と同じ構成であるため、説明を一部省略する。
【0065】
本実施形態では、充放電サイクルが、少なくとも1個の充電サブサイクルと、少なくとも1個の放電サブサイクルとを含むL個のサブサイクル(Lは、2以上の整数)からなるものとする。
【0066】
また本実施形態では、処理部11は、開始シフト量を電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定しており、第1処理において、充放電サイクルにK個目(Kは、1以上L以下の整数)までのサブサイクルが含まれるものとして各単位時間当たりの合計電力を計算し、第2処理において、M台目の電源装置30におけるK個目のサブサイクルの開始シフト量を増加させ、第3処理において、電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定された開始シフト量に応じて充放電指示を出力する。
【0067】
結局、本実施形態に係る充放電電源システム3によれば、N台の電源装置30に対して、電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定された開始シフト量で充放電指示を出力するので、充放電サイクル毎に設定された開始シフト量で充放電指示を出力する第1実施形態および第2実施形態の場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0068】
図11に、本実施形態における充放電サイクルの一例を示す。この充放電サイクルは、2個の充電サブサイクルと1個の放電サブサイクルとを含む合計3個のサブサイクルからなる。時間1〜3が1個目のサブサイクル(充電サブサイクル)、時間4、5が2個目のサブサイクル(放電サブサイクル)、時間6〜8が3個目のサブサイクル(充電サブサイクル)である。
【0069】
図12は、本実施形態に係る充放電電源システム3において、電源装置30の台数を6台とし、電源装置30毎かつサブサイクル毎に開始シフト量を適宜設定し、図11に示す充放電サイクルを実行させた場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。
【0070】
図12では、目標最大使用電力が10に設定されている。処理部11は、1台目の電源装置30に対してサブサイクル毎の開始シフト量を初期値(本実施形態では、0)に設定して充放電指示を出力し、2台目以降順次単位時間当たりの合計電力を計算する。3台目および4台目の電源装置30に対する合計電力を計算する時点で、時間2の予想最大使用電力が1個目のサブサイクルの開始シフト量を0、1とした場合に目標最大使用電力10を超えるため、処理部11は、3台目および4台目の電源装置30に対して、1個目のサブサイクルの開始シフト量を2に設定する。また、時間8の予想最大使用電力が目標最大使用電力10を超えるため、処理部11は、3台目および4台目の電源装置30に対して、3個目のサブサイクルの開始シフト量を1に設定する。同様に、5台目の電源装置30に対する合計電力を計算する時点で、時間10、11の予想最大使用電力が目標最大使用電力10を超えるため、処理部11は、5台目の電源装置30に対して、3個目のサブサイクルの開始シフト量を3に設定する。さらに、6台目の電源装置30に対する合計電力を計算する時点で、時間10、11の予想最大使用電力が目標最大使用電力10を超えるため、処理部11は、6台目の電源装置30に対して、3個目のサブサイクルの開始シフト量を2に設定する。
【0071】
6台の電源装置30に同時に充放電サイクルを実行させた場合は最大使用電力が30(=最大使用電力5×6)となるが、図12に示すように、電源装置30毎かつサブサイクル毎に開始シフト量を適宜設定することで、最大使用電力は10以下に抑制されることが分かる。
【0072】
(統括制御方法)
続いて、本発明の第3実施形態に係る統括制御方法について、図13および図14を参照して説明する。
【0073】
本実施形態の統括制御方法におけるステップS41、S42の処理は、第2実施形態の統括制御方法におけるステップS21、S22の処理と同じである。
【0074】
ステップS42の処理を行った処理部11は、計算対象電源台数Mを初期値に設定し、サブサイクル数K(Kは、1以上L以下の整数)を初期値に設定する(S43)。本実施形態では、Mの初期値を1とし、サブサイクル数Kの初期値を1、最大値をLとする。
【0075】
次いで、処理部11は、K個目のサブサイクルの開始シフト量を初期値(本実施形態では、0)に設定し(S44)、充放電サイクルの各時間および使用電力と、電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定されている現在の開始シフト量から、M台の電源装置30に対して、現在の開始シフト量でK個目までのサブサイクルを含む充放電サイクルを実行させた場合における各単位時間当たりの合計電力を計算する(S45)。ここで、M台の電源装置30に対して、K個目までのサブサイクルを含む充放電サイクルを実行させるとは、Mが2以上の場合、M−1台目までの電源装置30に対して、全サブサイクル(L個のサブサイクル)を含む充放電サイクルを実行させ、かつM台目の電源装置30に対して、K個目までのサブサイクルだけを含む充放電サイクルを実行させることをいい、Mが1の場合、1台目の電源装置30に対して、K個目までのサブサイクルだけを含む充放電サイクルを実行させることをいう。ステップS45の処理は、本発明の第1処理および第1ステップに相当する。
【0076】
次いで、処理部11は、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下か否かの判定を行う(S46)。予想最大使用電力が目標最大使用電力よりも大きい場合(S46で「いいえ」)、処理部11は、K個目のサブサイクルの開始シフト量に1を加算した新たな開始シフト量を設定する(S47)。ステップS47の処理は、本発明の第2処理および第2ステップに相当する。一方、予想最大使用電力が目標最大使用電力以下の場合(S46で「はい」)、K個目のサブサイクルの開始シフト量を記憶部13に格納(一時記憶)する(S48)。
【0077】
次いで、処理部11は、サブサイクル数Kが全サブサイクル数L以上か否かの判定を行う(S49)。サブサイクル数Kが全サブサイクル数Lよりも小さい場合(S49で「いいえ」)、サブサイクル数KをK+1に設定して(S50)、K+1個目のサブサイクルの開始シフト量を0に設定する(S44)。一方、サブサイクル数Kが全サブサイクル数Lに達した場合(S49で「はい」)、一時記憶した各サブサイクルの開始シフト量でM台目の電源装置30に充放電指示を出力する(S53)。ステップS53の処理は、本発明の第3処理および第3ステップに相当する。
【0078】
ここで、充放電指示を受けたM台目の電源装置30が、各サブサイクルの開始シフト量に応じたタイミングで充放電サイクルに含まれるL個のサブサイクルを開始するのであれば、処理部11は、各サブサイクルの開始シフト量に応じたタイミングでL個の充放電指示を出力してもよいし、各サブサイクルの開始シフト量に関する情報を含む1つの充放電指示を出力してもよい。
【0079】
次いで、処理部11は、計算対象電源台数Mが電源台数N以上か否かの判定を行う(S54)。Mが電源台数Nに達していない場合(S54で「いいえ」)、処理部11は、MをM+1に設定し(S55)、サブサイクル数Kを1に設定し、1個目のサブサイクルの開始シフト量を0に設定した上で(S44)、電源装置M+1台で1個目のサブサイクルを実行させた場合における各単位時間当たりの合計電力を計算する(S45)。一方、MがNに達した場合(S54で「はい」)、処理部11は、統括制御を終了する(S56)。
【0080】
また、ステップS47においてK個目のサブサイクルの開始シフト量に1を加算した新たな開始シフト量を設定した処理部11は、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数(図11の場合は、8)を超えるか否かの判定を行う(S51)。新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数を超える場合(S51で「はい」)、処理部11は、現在の設定(新たな開始シフト量)では処理不可な旨を指示表示部12に表示して(S52)、統括制御を終了する(S56)。一方、新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数以下の場合(S51で「いいえ」)、処理部11は、新たな開始シフト量でステップS45の処理を行う。
【0081】
結局、本実施形態に係る統括制御方法によれば、N台の電源装置30に対して、電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定した開始シフト量で充放電指示を出力するので、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができ、さらに、充放電サイクル毎に設定された開始シフト量で充放電指示を出力する第1実施形態および第2実施形態の場合と比べて、充放電試験時間を短縮することができる。
【0082】
[第4実施形態]
(充放電電源システム)
次に、本発明の第4実施形態に係る充放電電源システムについて説明する。本実施形態に係る充放電電源システムは、図1に示す充放電電源システム3と同じ構成であるため、説明を一部省略する。
【0083】
第1〜第3実施形態では、開始シフト単位を処理部11が指示表示部12または記憶部13から読み込み、固定値として扱ったが、本実施形態では、処理部11は、予想最大使用電力が目標最大使用電力を超える場合に、開始シフト量と充放電サイクルの時間との関係に応じて、開始シフト単位を一定の範囲内で変化させる。
【0084】
図15は、図3に示す充放電サイクルの開始シフト単位を1/2にした充放電サイクルである。この充放電サイクルの単位時間は、充放電サイクルにかかる時間を16等分したものである。図16は、充放電電源システム3において、電源装置30の台数を10台とし、開始シフト量を均一に1(時間0.5)として、図15に示す充放電サイクルを実行させた場合における使用電力の時間推移を示す図および表である。図16では、図4と比較すると、最大使用電力が20から26に増えているが、充放電試験時間は短縮されていることが分かる。すなわち、本実施形態に係る充放電電源システム3によれば、開始シフト単位を変化させることで、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができ、さらに充放電試験時間を短縮することができる。
【0085】
(統括制御方法)
続いて、本発明の第4実施形態に係る統括制御方法について、図17および図18を参照して説明する。
【0086】
本実施形態の統括制御方法では、第1実施形態の統括制御方法において、ステップS2の処理の代わりにステップS61、S62の処理を行い、ステップS11とステップS12の間でステップS63、S64の処理を行う。
【0087】
処理部11は、ステップS1の後に、充放電サイクル、目標最大使用電力、対象チャネル数、開始シフト単位に加えて、開始シフト単位の初期値および上限値に関する情報を読み込み(S61)、開始シフト単位を初期値に設定する(S62)。
【0088】
また、処理部11は、ステップS7の処理で設定した新たな開始シフト量が充放電サイクルの単位時間数を超える場合に(S11で「はい」)、開始シフト単位を増加させ(S63)、増加させた開始シフト単位が上限値を超えるか否かの判断を行う(S64)。
【0089】
増加させた開始シフト単位が上限値以内の場合(S64で「いいえ」)、処理部11は、計算対象電源台数Mを1に設定し(S4)、増加させた開始シフト単位でステップS5の処理を行う。一方、増加させた開始シフト単位が上限値を超える場合(S64で「はい」)、処理部11は、現在の設定(増加させた開始シフト単位)では処理不可な旨を指示表示部12に表示して(S12)、統括制御を終了する(S13)。
【0090】
結局、本実施形態に係る統括制御方法によれば、開始シフト単位を変化させることで、最大使用電力を一定値(目標最大使用電力)以下に抑えることができ、さらに充放電試験時間を大幅に短縮することができる。
【0091】
以上、本発明に係る充放電電源システムおよび統括制御方法の各実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。
【0092】
電源装置30は、統括制御部10の充放電指示に基づいて二次電池4の充放電サイクルを実行するのであれば、その構成は適宜変更することができる。例えば、DC/DC電源部32とAC/DC電源部31間に蓄電池を設け、二次電池4の放電時にDC/DC電源部32からの回生電力を蓄電池に一時的に蓄え、二次電池4の充電時に蓄電池の電力をDC/DC電源部32から二次電池4に出力することができる。これにより、AC/DC電源部31のDC/AC変換動作に伴う電力損失(回生ロス)を低減することができる。また、AC/DC電源部31を、AC/DC変換動作のみを行う片方向AC/DCコンバータで構成してもよい。これにより、AC/DC電源部31の小型化を実現することができる。
【0093】
統括制御部10は、充放電サイクルの開始時間を遅らせるための開始シフト量が設定されており、少なくとも第1処理、第2処理および第3処理を行うのであれば、その構成を適宜変更することができる。例えば、統括制御部10は、開始シフト単位を変化させるとともに、電源装置30毎に設定した開始シフト量で充放電指示を出力するよう構成してもよいし、開始シフト単位を変化させるとともに、電源装置30毎かつサブサイクル毎に設定した開始シフト量で充放電指示を出力するよう構成してもよい。
【0094】
統括制御部10は、開始シフト量の初期値、開始シフト単位の初期値および上限値を適宜設定することができる。
【0095】
上記各実施形態では、電源装置30単位で充放電サイクルの開始時間を遅らせているが、さらにDC/DC電源部32単位で充放電サイクルの開始時間を遅らせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 商用電源
2 高圧充電設備
3 充放電電源システム
4 二次電池
10 統括制御部
11 処理部
12 指示表示部
13 記憶部
14 通信部
30 電源装置
31 AC/DC電源部
32 DC/DC電源部
33 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18