特許第6384927号(P6384927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6384927
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】1
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-133807(P2016-133807)
(22)【出願日】2016年7月6日
(62)【分割の表示】特願2014-184257(P2014-184257)の分割
【原出願日】2014年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-172135(P2016-172135A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清原 賢二
【審査官】 柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−340990(JP,A)
【文献】 特開2013−059591(JP,A)
【文献】 特開2014−076135(JP,A)
【文献】 特開2015−146895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が操作することにより遊技領域に向けて遊技球を発射させる発射装置と、
遊技球が流下する所定の流下領域を含む遊技領域が形成された遊技盤と、
前記所定の流下領域に進入した遊技球が必ず入球し、当該入球した遊技球を所定の割合で複数の出口に振り分ける振分装置と、
遊技球が入球することが可能な第一入球口および第二入球口を含む複数の入球口と、
を備え、
前記所定の流下領域は、前記発射装置を操作することで遊技者が意図して遊技球を必然的に当該領域内に進入させることが可能な領域であり、
前記振分装置には、振り分けられた遊技球が前記第一入球口に入球することが可能な領域であって、当該第一入球口に向けて遊技球を誘導する誘導部材が設けられた領域に進入する第一出口と、振り分けられた遊技球が前記第二入球口に必ず入球する第二出口とが設けられており、
前記振分装置は、所定数の遊技球が入球したとき、必ず一つの遊技球を前記第二出口に振り分けるものであり、
前記第一入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象と、前記第二入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象は同じであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入球した遊技球を所定の割合で複数の出口に振り分ける振分装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
入球した遊技球を複数の出口に振り分ける振分装置を設け、遊技の趣向性を高めたぱちんこ遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−35267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なぱちんこ遊技機は、遊技球(出玉)を獲得するために、遊技領域に設けられた一または複数の入球口を狙って遊技機を行う。遊技領域は、遊技球の入球割合が所定の設計値となるように設計される。しかし、種々の要因により、遊技球が思うように入球口に入球せず、遊技者が苛立ってしまうこともある。
【0005】
本発明は、遊技球が思うように入球口に入球せず、遊技者の苛立ってしまう事態の発生を抑制することが可能な振分装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、遊技者が操作することにより遊技領域に向けて遊技球を発射させる発射装置と、遊技球が流下する所定の流下領域を含む遊技領域が形成された遊技盤と、前記所定の流下領域に進入した遊技球が必ず入球し、当該入球した遊技球を所定の割合で複数の出口に振り分ける振分装置と、遊技球が入球することが可能な第一入球口および第二入球口を含む複数の入球口と、前記所定の流下領域は、前記発射装置を操作することで遊技者が意図して遊技球を必然的に当該領域内に進入させることが可能な領域であり、前記振分装置には、振り分けられた遊技球が前記第一入球口に入球することが可能な領域であって、当該第一入球口に向けて遊技球を誘導する誘導部材が設けられた領域に進入する第一出口と、振り分けられた遊技球が前記第二入球口に必ず入球する第二出口とが設けられており、前記振分装置は、所定数の遊技球が入球したとき、必ず一つの遊技球を前記第二出口に振り分けるものであり、前記第一入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象と、前記第二入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象は同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、振分装置内に入球した遊技球は、所定の割合で各出口に振り分けられることとなるが、その一部である第二出口に振り分けられた遊技球は必ず第二入球口に入球することとなる。つまり、振分装置が設けられた領域に遊技球を進入させさえすれば所定の割合で第二入球口に遊技球が入球することとなるから、入球口への遊技球の入球頻度が低下し、遊技者が苛立ってしまう事態が発生してしまうのを抑制することが可能である
また、振分装置に所定数の遊技球が入球したとき、必ず一つの球技球が第二出口に振り分けられるようにすれば、所定数に一球の割合で第二入球口に遊技球が入球することとなるから、入球口への遊技球の入球頻度が低下し、遊技者が苛立ってしまう事態が発生してしまうのを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図である(本発明に関係の無い部材は省略してある)。
図2】振分装置の正面図である。
図3】振分装置の背面図である。
図4】第一回転部材(第一被係合部)、第一複合歯車、第二複合歯車および第二回転部材(第二被係合部)と、第一係合部および第二係合部の位置関係を模式的に示した図であって、(a)は第一被係合部と第一係合部の位置が一致しているものの、第二被係合部と第二係合部の位置が一致していない状態を示したものであり、(b)は第一被係合部と第一係合部の位置が一致し、かつ第二被係合部と第二係合部の位置が一致している状態を示したものである。
図5】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、両係合部が両被係合部に係合する直前の状態を示したものである。
図6】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、両係合部が両被係合部に係合した状態を示したものである。
図7】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、両被係合部に係合していた両係合部が、当該両被係合部から外れた状態を示したものである。
図8】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、図7に示した状態となった後、一の遊技球が第一分岐路を通過し、第一回転部材が少し回動した状態を示したものである。
図9】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、図8に示した状態から、さらに第一回転部材がさらに回動した状態を示したものである。
図10】振分装置の作用(動作)を説明するための図((a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図)であって、第一被係合部と第一係合部の位置が一致しているものの、第二被係合部と第二係合部の位置が一致していない状態を示したものである。
図11】均し部材の作用を説明するための図であって、共通路に進入した遊技球が区画板に接触した状態を示したものである。
図12】均し部材の作用を説明するための図であって、区画板に接触した遊技球によって均し部材が回転するとともに回転規制部材が回転し、均し部材のギア部と回転規制部材の引掛爪の係合が一時的に解消された状態を示したものである。
図13】均し部材の作用を説明するための図であって、図12に示した状態の後、再び回転規制部材の引掛爪が均し部材のギア部に係合した状態を示したものである。
図14】均し部材の作用を説明するための図であって、均し部材のギア部と回転規制部材の引掛爪の係合が一時的に解消されることを繰り返しながら、均し部材が徐々に回転していく様子を示したものである。
図15】均し部材の作用を説明するための図であって、共通路に進入した遊技球が、均し部材が設けられた箇所を通過した後の状態を示したものである。
図16】第五変形例にかかる遊技機の正面図である(本発明に関係の無い部材は省略してある)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤92の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤92の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは図1における左右方向をいうものとする。また、時計回り、反時計回り等の方向は、前側(正面)から見たときの方向をいうものとする。
【0020】
[全体構成]
まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
【0021】
遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤92には、発射装置94の操作によって発射された遊技球を遊技領域922に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール923が略円弧形状となるように設けられている。
【0022】
遊技盤92の手前側の領域である遊技領域922には、第一始動入賞口924(本発明における第一入球口に相当する)、第二始動入賞口925(本発明における第二入球口に相当する)、第三始動入賞口926(本発明における別の入球口に相当する)、大入賞口927、アウト口928などが設けられている。表示装置93は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置93の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
【0023】
また、遊技領域922には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域922を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0024】
このような遊技機1では、発射装置94(ハンドル)を操作することにより遊技領域922に向けて遊技球を発射する。遊技領域922を流下する遊技球が、始動入賞口924〜926や大入賞口927等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0025】
本実施形態では、左側の遊技領域922a(遊技領域922における表示装置93よりも左側の領域。本発明における所定の流下領域に相当する)に進入した遊技球が必ず進入する振分装置2が設けられている。振分装置2は、共通路10(装置内部に進出した遊技球が必ず通過する通路)に進入した遊技球を第一分岐路11(かかる第一分岐路11の出口が本発明における第一出口に相当する)または第二分岐路12(かかる第二分岐路12の出口が本発明における第二出口に相当する)に振り分けるものである。つまり、左側の遊技領域922aに進入した遊技球は必ず共通路内に進入し、いずれか一方の分岐路に振り分けられることとなる。なお、左側の遊技領域922aに進入した遊技球を共通路に導く構成はどのようなものであってもよい。
【0026】
[振分装置の構成]
以下、図2図15を参照して振分装置2の構成について詳細に説明する。なお、進入した遊技球を所定の割合で振り分けることができるものであれば、以下で説明する振分装置2と異なる構成であってもよい。
【0027】
本実施形態にかかる振分装置2は、振分部材20と、第一可動部材21と、第二可動部材22と、第一回転部材23と、第二回転部材24と、規制手段25と、均し部材26と、を備える。これら各部材は、ケース30内に収容されている。ケース30は、上記共通路10、第一分岐路11、および第二分岐路12が形成される前側領域と、振分装置2を構成する各部材が収容される後側領域とに区画されている。
【0028】
振分部材20は、共通路10を流下した遊技球が接触する部材である。当該遊技球が接触する平板状の部分(以下、遊技球接触部201と称する)は、共通路10と第一分岐路11および第二分岐路12の境界に位置する。具体的には、遊技球接触部201は、幅方向の大きさが共通路10よりも大きく形成されており、通常状態(後述するように傾斜していない状態)ではその平面方向が上下方向に直交するように位置する。また、遊技球接触部201には、平板状の部分の後端面から後方に向かって突出する被ガイド突起が形成されている。平板状の部分の後端面における幅方向中央、左端、および右端から後方に向かって突出した、三つの被ガイド突起(以下、中央のものを中被ガイド突起201cと、左端のものを左被ガイド突起201lと、右端のものを右被ガイド突起201rと称する)が設けられている。各被ガイド突起は、前側領域と後側領域を仕切る仕切板31に形成された三つのガイド溝のそれぞれに通されている(以下、中央に位置するものを中ガイド溝311cと、左に位置するものを左ガイド溝311lと、右に位置するものを右ガイド溝311rと称する)。各ガイド溝は上下方向に長い貫通孔である。各ガイド溝のうち、中ガイド溝311cの幅は、中被ガイド突起201cの幅よりわずかに大きい程度(両者の間にわずかな隙間が生ずる程度)である。これに対し、左ガイド溝311lおよび右ガイド溝311rの幅は、左被ガイド突起201lおよび右被ガイド突起201rの幅よりかなり大きい(両者の間に大きな隙間が生ずる)。
【0029】
上記三つの被ガイド突起のうち、中被ガイド突起201cは前後方向に延びる軸(以下、連結軸27と称する)の内側に挿入されている。具体的には、連結軸27に形成された筒状部271の内側に中被ガイド突起201cが挿入されている。中被ガイド突起201cは、当該筒の内側で回転することができる。当該連結軸27の後端には右方向に延びる支持部272が接続されており、当該支持部272がケース30の後側領域に設けられた支持板32(本実施形態ではケース30と一体に成形される)に回転自在に支持されている。支持部272には引っ張りばねである振分用付勢部材202の一端が引っ掛けられる第一引掛部273が形成されている。振分用付勢部材202の他端は支持板32に形成された第二引掛部321に引っ掛けられている。
【0030】
遊技球接触部201は、第一分岐路11側が低くなるように、または、第二分岐路12側が低くなるように傾斜した状態に変位可能である。上述したように、中ガイド溝311cの幅は、中ガイド突起の幅よりわずかに大きい程度であり、左ガイド溝311lおよび右ガイド溝311rの幅は、左被ガイド突起201lおよび右被ガイド突起201rの幅よりかなり大きいから、遊技球接触部201は、中ガイド溝311c内を通る中被ガイド突起201cの位置を基準として、上記いずれかの側に傾斜した状態となることが可能である。遊技球接触部201が通常状態(水平な状態)にあるときには、共通路10と第一分岐路11、共通路10と第二分岐路12との間には、遊技球が通過可能な隙間が存在しない。これに対し、第一分岐路11側が低くなるように遊技球接触部201が傾斜する(以下、振分部材20(遊技球接触部201)の当該状態を第一状態と称する)と、共通路10と第一分岐路11との間に遊技球が通過可能な隙間が生ずる。同様に、第二分岐路12側が低くなるように遊技球接触部201が傾斜する(以下、振分部材20(遊技球接触部201)の当該状態を第二状態と称する)と、共通路10と第二分岐路12との間に遊技球が通過可能な隙間が生ずる。
【0031】
このように遊技球接触部201が傾斜した状態となると、その分中ガイド溝311c内を通る中被ガイド突起201cの位置が下方に移動する。第一状態となった場合の下方への移動量と第二状態となった場合の下方への移動量は同じである。中被ガイド突起201cは連結軸27の内側に回転自在に挿入されているため、中被ガイド突起201cが移動すると連結軸27に接続されている支持部272が支持板32に対して支持された箇所を中心として回動する。支持部272が回動すると、振分用付勢部材202が伸びた状態となる。つまり、振分用付勢部材202は、振分部材20(遊技球接触部201)が第一状態または第二状態となったとき、遊技球接触部201を通常状態(水平な状態)に戻す方向に付勢する。
【0032】
第一可動部材21は、第一分岐路11を通過する遊技球によって動く部材である。第一可動部材21は、一方側の端部に第一分岐路11内に位置する第一接触突起部211を有する。第一接触突起部211は、仕切板31に形成された第一円弧溝312に通されている。第一円弧溝312は、第一分岐路11に沿って形成された円弧状の溝である。第一可動部材21は、その他方側端部で仕切板31に対し回転自在に支持されている。第一可動部材21が、仕切板31に支持された箇所を中心として回転すると、第一接触突起部211は第一円弧溝312に沿って第一分岐路11内を移動することになる。すなわち、第一可動部材21が原位置に位置した状態で、第一分岐路11を遊技球が通過すると、この遊技球に第一接触突起部211が押されて第一可動部材21が所定量時計回り(前方から見たときの回転方向をいうものとする)に回転する。この第一可動部材21は、ねじりコイルばねである第一可動用付勢部材212によって反時計回り(前方から見たときの回転方向をいうものとする)に回転する方向(原位置方向)に付勢されている。そのため、第一分岐路11を通過する遊技球によって第一可動部材21が時計回りに所定量回転し、遊技球と第一接触突起部211の接触が解消された(遊技球が第一分岐路11を通過した)後、第一可動用付勢部材212によって反時計回りに回転し、原位置に戻る。
【0033】
第一可動部材21には、連繋突起213および第一可動突起214が形成されている。連繋突起213は、連繋部材28に形成された長孔281内に入り込んでいる。連繋部材28は、仕切板31に対し回転自在に支持されている。この連繋部材28の回転中心は、詳細を後述する第一回転部材23と同じである。連繋部材28の後面には、先鋭で細長い部材である押圧部材282が回動自在に接続されている。押圧部材282は、押圧用付勢部材283によって反時計回りに(先端が詳細を後述する第一回転部材23に押しつけられる方向に)付勢されている。第一可動部材21が時計回りに回転すると、連繋突起213が連繋部材28の長孔281の内壁面を押し、連繋部材28が時計回りに回転する。この連繋部材28とともに押圧部材282も移動する。第一可動突起214は、第一分岐路11の遊技球の通過によって第一可動部材21が時計回りに回動したとき、詳細を後述する第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。
【0034】
第二可動部材22は、第二分岐路12を通過する遊技球によって動く部材である。第二可動部材22は、一方側の端部に第二分岐路12内に位置する第二接触突起部221を有する。第二接触突起部221は、仕切板31に形成された第二円弧溝313に通されている。第二円弧溝313は、第二分岐路12に沿って形成された円弧状の溝である。第二可動部材22は、その他方側端部で仕切板31に対し回転自在に支持されている。第二可動部材22が、仕切板31に支持された箇所を中心として回転すると、第二接触突起部221は第二円弧溝313に沿って第二分岐路12内を移動することになる。すなわち、第二可動部材22が原位置に位置した状態で、第二分岐路12を遊技球が通過すると、この遊技球に第二接触突起部221が押されて第二可動部材22が所定量反時計回りに回転する。この第二可動部材22は、ねじりコイルばねである第二可動用付勢部材222によって時計回りに回転する方向(原位置方向)に付勢されている。そのため、第二分岐路12を通過する遊技球によって第二可動部材22が反時計回りに所定量回転し、遊技球と第二接触突起部221の接触が解消された(遊技球が第二分岐路12を通過した)後、第二可動用付勢部材222によって時計回りに回転し、原位置に戻る。
【0035】
第二可動部材22には、第二可動突起223が形成されている。第二可動突起223は、第二分岐路12の遊技球の通過によって第二可動部材22が反時計回りに回動したとき、詳細を後述する第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の左側内壁面に接触する。
【0036】
第一回転部材23は、仕切板31に対し回転自在に支持された円板形状の部材である。第一回転部材23には、第一被係合部231およびラチェット部232が形成されている。本実施形態では、第一被係合部231は、第一回転部材23の外側に形成された、径方向内側に窪んだ凹部である。この凹部の位置は、詳細を後述する第二回転部材24との減速比や、第二被係合部241の位置を考慮して設定される。本実施形態では、第一回転部材23に一つの第一被係合部231が形成されている。
【0037】
第一回転部材23は、周方向に沿って前方に突出した縁部が形成されている。この縁部の内側にラチェット部232が形成されている。ラチェット部232は、周方向に沿って断面V字状に窪んだ凹部である係合溝233が形成された部分である。係合溝233は周方向に沿って等間隔に形成されている。本実施形態の第一回転部材23には、20箇所の係合溝233が等間隔に形成されている。係合溝233には、押圧部材282の先端が嵌り込んでいる。また、本実施形態では、押圧部材282の先端が嵌まり込む係合溝233とは別の係合溝233に、第一回転部材23に接続された係止部284の先端が嵌まり込んでいる。係止部284は、係止部用付勢部材285によって、ラチェット部232(係合溝233)側に付勢されている。
【0038】
図4に示すように、第一回転部材23の後側には、駆動側歯車部234が形成されている。この出力歯車部には、第一複合歯車291の大径歯部が噛み合っている。第一複合歯車291の小径歯部には、第一複合歯車292の大径歯部が噛み合っている。第一複合歯車292の小径歯部には、第二回転部材24に形成された被動側歯車部が噛み合っている。つまり、第一回転部材23が回転すると、その動力は第一複合歯車291および第一複合歯車292(歯車列)を介して第二回転部材24に所定の減速比で伝達される。本実施形態では、第一回転部材23が1回転したときに第二回転部材24が1/10回転(36度回転)するように減速比(1:10)が設定されている。
【0039】
このように、歯車列を介して第一回転部材23の回転が伝達される第二回転部材24は、径方向内側に向かって窪む第二被係合部241が形成された部材である。本実施形態では、周方向等間隔に五つの第二被係合部241が形成されている。すなわち、ある第二被係合部241(の中心)とそれに隣り合う第二被係合部241(の中心)の角度差(間隔)は72度である。第二回転部材24は、その左上側の周縁が、第一回転部材23の左上側の周縁と前後方向に重なるように設けられている。第一回転部材23と第二回転部材24の減速比は上記の通りであり、第一回転部材23が二回転すると第二回転部材24は72度回転することに基づき、第一回転部材23が二回転(720度回転)するとともに第二回転部材24が72度回転する度に、第一回転部材23に形成された第一被係合部231と第二回転部材24に形成された第二被係合部241の位置が一致する(前後方向で重なる)ようにしている。なお、本実施形態では、第一回転部材23が二回転するとともに第二回転部材24が72度回転する度に、第一被係合部231の位置と第二被係合部241の位置が一致するようにしているが、第一回転部材23が二回転するとともに第二回転部材24が72度回転する度に、詳細を後述する規制手段25(第一規制部251)の第一係合部2511と第二係合部2512の両方が第一被係合部231と第二被係合部241に係合可能となるようにすればよい。
【0040】
規制手段25は、第一規制部251および第二規制部252を備える。第一規制部251は、第二規制部252に対して回転自在に支持された部材であり、第一係合部2511、第二係合部2512および被規制突起2513を有する。第一係合部2511および第二係合部2512は、前後方向で二股状に分かれた突起である。第一係合部2511は、その先端部分の前後方向位置が第一回転部材23における第一被係合部231が形成された部分と一致する。第二係合部2512は、その先端部分の前後方向位置が第二回転部材24における第二被係合部241が形成された部分と一致する。第一規制部251は、第二規制部252に対して回転自在に支持された箇所(軸状部分)の外側に設けられたねじりコイルばねである規制用付勢部材253によって、第一係合部2511および第二係合部2512が第一回転部材23や第二回転部材24に近づく方向に付勢されている。本実施形態では、第一係合部2511と第二係合部2512は前後方向で重なっている。
【0041】
上述したように、本実施形態では、第一回転部材23が二回転(720度回転)するとともに第二回転部材24が72度回転する度に、第一回転部材23に形成された第一被係合部231と第二回転部材24に形成された第二被係合部241の位置が一致する(前後方向で重なる)。このように第一被係合部231と第二被係合部241の位置が一致したとき、第一係合部2511が第一被係合部231に、第二係合部2512が第二被係合部241に係合することが可能となる。第一回転部材23および第二回転部材24がそれ以外の位置に位置するときには、少なくともいずれか一方の係合部が、対応する被係合部に係合することができない。つまり、規制用付勢部材253によって第一規制部251は第一回転部材23や第二回転部材24に近づく方向に付勢されているから、第一被係合部231と第二被係合部241の位置が一致していないときには、第一規制部251(規制手段25)の両係合部は第一回転部材23や第二回転部材24の中心から相対的に遠い第一位置に位置する。一方、第一被係合部231と第二被係合部241の位置が一致しているときには、第一規制部251(規制手段25)の両係合部と両被係合部が係合し(両係合部の先端が凹部の底面に接触した状態となり)、当該両係合部は第一回転部材23や第二回転部材24の中心から相対的に近い第二位置に位置する。例えば、両係合部が両被係合部に係合することが可能である、両被係合部の位置が一致する位置から、第一回転部材23が一回転(360度回転)したときには、第二被係合部241は第二係合部2512が係合可能な位置にない。そのため、第一規制部251(規制手段25)は第一位置に位置した状態にある。
【0042】
被規制突起2513は、第一規制部251における第一係合部2511および第二係合部2512が形成された側の反対側(回転中心の一方側に第一係合部2511および第二係合部2512が形成され、他方側に被規制突起2513が形成される)に形成されている。被規制突起2513の先端は、第二規制部252の規制突起に接触することが可能である。
【0043】
第二規制部252は、「コ」の字状に形成された部分2523、および当該「コ」の字状に形成された部分2523と直交する前後方向に延びる平板状の部分を有する。平板状の部分には、上方に向かって突出する規制突起が回転自在に支持されている。規制突起は、平板状の部分の右側および左側に二つ支持されており、その幅は上記振分部材20の右被ガイド突起201rと左被ガイド突起201lの間隔より若干小さい。また、右側の規制突起(以下、右規制突起2521と称する)は、左側の規制突起(以下、左規制突起2522と称する)より後方に長い。これにより、右規制突起2521は上記第一規制部251の被規制突起2513に接触することが可能となっている。
【0044】
この第二規制部252は、上記支持板32に対し、幅方向にスライド可能な状態で接続されている。また、第二規制部252の右規制突起2521は、規制用付勢部材253によって第一規制部251に対して近づく方向に付勢されている。すなわち、規制用付勢部材253によって、第一規制部251と第二規制部252とは互いに近づく方向に付勢されているため、被規制突起2513と右規制突起2521は互いに押し合うようにして接触している。当該押し合う力は、双方とも規制用付勢部材253の作用によるものであるため釣り合っている。第一可動部材21が時計回りに回動すると、第一可動突起214は上記「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。これにより、第二規制部252は右方向にスライドする。第二可動部材22が時計回りに回動すると、第二可動突起223は上記「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触する。これにより、第二規制部252は左方向にスライドする。
【0045】
均し部材26は、共通路10内に進入した遊技球が、一つずつ振分部材20(遊技球接触部201)に向かい、先に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に到達してから、後に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に到達するまでの間隔(時間)が、所定の間隔以上となるようにするための部材である。詳細を後述するように、共通路10内に進入した遊技球は振分装置2によって第一分岐路11または第二分岐路12に振り分けされることとなるが、連続的に遊技球が振分部材20に向かうこととなると、先に共通路10内に進入した遊技球の振分が完了しないうちに(振分部材20が原位置に戻らないうちに)、後に共通路10内に進入した遊技球が振分部材20に向かうことになるため、当該後に共通路10内に進入した遊技球の振分を正確に行うことができないからである。
【0046】
図11図15に示すように、均し部材26は、幅方向に沿って設けられた支持軸に対して回転自在に支持された部材であって、その回転方向(周方向)に等間隔に設けられた複数の区画板261と、区画板261の幅方向両側に設けられたギア部262と、を有する。本実施形態では、均し部材26の後方に回転規制部材263が設けられている。回転規制部材263は、幅方向に沿って設けられた支持軸に対して回転自在に支持された部材であって、上方には前方に突出した引掛爪2631が形成されており、下方には錘2632が固定されている。引掛爪2631は、均し部材26のギア部262に係合している。
【0047】
均し部材26は、複数の区画板261のうちのいずれかが共通路10内に必ず位置するように構成される。そのため、共通路10内に遊技球が進入すると、共通路10内に位置する区画板261に接触する(図11参照)。この遊技球の重みにより、均し部材26は回転する。均し部材26が回転すると、ギア部262に係合していた引掛爪2631が一旦外れる。すなわち、回転規制部材263はその上端が後方に向かうように回転(回動)する(図12参照)。このように回転規制部材263が回転すると、錘2632を含めた回転規制部材263の重心の位置が変化し、回転規制部材263はその上端が前方に向かうように回転(回動)する。すなわち、再び引掛爪2631がギア部262に係合し、均し部材26の回転が停止する(図13参照)。つまり、均し部材26は、共通路10内に進入した遊技球によって回転するが、即座に回転規制部材263によってその回転が規制される。これが繰り返され続け(図14参照)、最終的に遊技球は共通路10内における均し部材26が設けられた箇所を通過する(図15参照)。このように、回転規制部材263によって規制されながら回転する均し部材26が設けられているため、続けざまに共通路10内に遊技球が進入したとしても、先に進入した遊技球とそれに続いて進入した遊技球との間隔は、所定の間隔以上となる。なお、当該間隔は、先に進入した遊技球が振分装置2によって第一分岐路11または第二分岐路12に振分され、振分装置2(振分部材20)が原位置に戻るまでの間隔以上となるように設定される。
【0048】
このような構成を備える振分装置2の動作(作用)について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。
【0049】
始動入賞口924から共通路10内に進入した遊技球は、上記均し部材26(および回転規制部材263)によって、所定の間隔以上で振分装置2(振分部材20)に向かうように設定される。
【0050】
振分装置2は、共通路10内における均し部材26(区画板261)が位置する箇所を通過した遊技球を、第一分岐路11および第二分岐路12のいずれか一方に振り分ける。本実施形態における振分装置2は、以下で説明するように、共通路10に進入した遊技球の大部分は第一分岐路11を通過するものの、40回に1回の割合(39:1)で遊技球が第二分岐路12を通過するように設定されたものである。なお、このような振分機構は、例えば、始動入賞口924から共通路10内に進入した遊技球が、第一分岐路11に振り分けられる場合と、第二分岐路12に振り分けられる場合とで、大当たりとなったときに遊技者が得られる利益(獲得出玉の期待値)が異なるように設定する、といったような遊技に用いることが可能である。
【0051】
共通路10に進入した遊技球は、遊技球接触部201上に落下する。通常時(遊技球が第二分岐路12に振り分けられるとき以外のとき)には、第二規制部252は左側に位置する(図5図7図10参照)。そのため、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下には、第二規制部252の左規制突起2522が位置している。これに対し、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下には、第二規制部252の右規制突起2521が位置していない。そのため、遊技球接触部201上に遊技球が落下したとき、遊技球接触部201は第一分岐路11側が低くなるように傾斜した第一状態となる(左規制突起2522の作用により、遊技球接触部201がその第二分岐路12側を低くするように傾斜することはない)。これにより、共通路10と第一分岐路11が繋がり、遊技球は第一分岐路11内を流下する。
【0052】
第一分岐路11内を流下する遊技球は、第一分岐路11内に位置する第一可動部材21の第一接触突起部211に接触する。これにより、第一接触突起部211は第一円弧溝312内をスライドするように押し下げられる。これにより、第一可動部材21が時計回りに回転する。第一可動部材21が時計回りに回転すると、第一可動部材21の連繋突起213が連繋部材28の長孔281の内壁面を押し、連繋部材28が時計回り(右側)に回転する。この連繋部材28とともに押圧部材282も移動する。押圧部材282の先端は、第一回転部材23の係合溝233に嵌り込んでいる。押圧部材282が右側に移動すると、係合溝233の壁面が押圧部材282に押されることで、第一回転部材23が時計回りに回転する。押圧部材282は、押圧用付勢部材283によって係合溝233が形成された壁面に押しつけられた状態にあるから、右側に移動する押圧部材282によって第一回転部材23が回転する。
【0053】
遊技球が第一分岐路11内における第一接触突起部211が設けられた箇所を通過すると、振分用付勢部材202の作用によって第一接触突起部211が原位置(上端)に戻る。第一接触突起部211(第一可動部材21)が原位置に戻ることに伴い、時計回り(右側)に回転した連繋部材28が原位置に戻る(反時計回り(左側)に回転する)。この連繋部材28とともに押圧部材282も左側に移動する。第一回転部材23が所定量回転した後、押圧部材282が左側に移動することとなるから、押圧部材282の先端は第一回転部材23が所定量回転する前に嵌り込んでいた係合溝233の隣の係合溝233(第一回転部材23の回転方向を前とすると、一つ後側の係合溝233)に嵌り込んだ状態となる。また、本実施形態では、第一回転部材23が回転すると、係止部284が係止部用付勢部材285の付勢力に抗して内側に変位し、係合溝233から外れる。第一回転部材23が所定量回転すると、係止部284は回転する前に引っ掛かっていた係合溝233の隣の係合溝233に嵌まり込んだ状態となるため、遊技球が第一分岐路11を通過することなく第一回転部材23が回転してしまうことが阻止される。このように、遊技球が第一分岐路11を通過する度に、第一回転部材23が所定量(本実施形態では18度)回転する。第一回転部材23が所定量回転すると、第一複合歯車291および第一複合歯車292を介して第二回転部材24に動力が伝達され、第二回転部材24が第一回転部材23の1/10の角度(本実施形態では1.8度)分回転する。
【0054】
また、第一分岐路11内を通過する遊技球によって第一接触突起部211が押し下げられると、第一可動突起214が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触し、第二規制部252が右方向にスライドする。第二規制部252が右方向にスライドすると、第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が離れる。第一規制部251は、規制用付勢部材253によって、第一係合部2511および第二係合部2512が第一回転部材23や第二回転部材24に近づく方向に付勢されているため、第二規制部252の規制突起が右側に移動することで、当該規制突起による規制が解除され、当該付勢された方向に回転しようとする。しかし、第一被係合部231の位置と第二被係合部241の位置が一致しないときには、両係合部のうちの少なくともいずれか一方が、被係合部に係合することができないため、第一規制部251は当該付勢された方向に回転することはできない。つまり、第一規制部251は回転せず、規制用付勢部材253の作用によって右方向にスライドした第二規制部252が元の位置に戻り、第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が再び接触した状態になる。この状態にあるときに共通路10内に遊技球が進入したときには、遊技球は第一分岐路11を通過する。
【0055】
これに対し、第一回転部材23と第二回転部材24が回転していくと、第一回転部材23が二回転する(720度回転する)とともに第二回転部材24が72度回転する度に、第一被係合部231の位置と第二被係合部241の位置が一致する。具体的には、図5に示した状態で遊技球が第一分岐路11を通過したときには、図6に示すように両被係合部の位置が一致する。このとき、第一分岐路11内を通過する遊技球によって第一接触突起部211が押し下げられ、第一可動突起214が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の右側内壁面に接触し、第二規制部252が右方向にスライドして第二規制部252の右規制突起2521と第一規制部251の被規制突起2513が離れると、規制用付勢部材253の付勢力によって、両係合部が両被係合部に係合する。つまり、第一規制部251は、その被規制突起2513が第二規制部252の右規制突起2521(第一分岐路11の遊技球の通過によって右方向にスライドしたもの)に近づく方向に回転(時計回りに回転)し、被規制突起2513と右規制突起2521が接触した状態となる。第一規制部251と第二規制部252はともに規制用付勢部材253によって付勢されたものであるから、被規制突起2513と右規制突起2521が接触した状態は維持される。
【0056】
このように、第二規制部252がスライドして右側に位置した状態では、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下には、第二規制部252の右規制突起2521が位置している。これに対し、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下には、第二規制部252の左規制突起2522が位置していない(図6参照)。そのため、当該状態で共通路10内に遊技球が進入し、当該遊技球が遊技球接触部201上に落下すると、遊技球接触部201は第二分岐路12側が低くなるように傾斜した第二状態となる(右規制突起2521の作用により、遊技球接触部201の第一分岐路11側が低くなるように傾斜することはない)。これにより、共通路10と第二分岐路12が繋がり、遊技球は第二分岐路12内を流下する。つまり、第一分岐路11を通過する遊技球によって第一回転部材23および第二回転部材24がだんだんと回転していき、共通路10内への遊技球の進入40回に1回の割合で第一被係合部231の位置と第二被係合部241の位置が一致し、両被係合部に両係合部が係合した後に共通路10内に進入した遊技球が、振分装置2によって第二分岐路12に誘導されることとなる。
【0057】
第二分岐路12に遊技球が誘導されると、第二分岐路12内を通過する遊技球によって第二接触突起部221が押し下げられる。これにより、第二可動突起223が第二規制部252の「コ」の字状に形成された部分2523の左側内壁面に接触し、第二規制部252が左方向にスライドする。第二規制部252が左方向にスライドすると、第二規制部252の右規制突起2521が第一規制部251の被規制突起2513を左方向に押す。これにより、第一規制部251が反時計回りに回転し、第一被係合部231に係合していた第一係合部2511、および第二被係合部241に係合していた第二係合部2512が、各被係合部から外れる(両係合部が径方向外側に移動する)(図7参照)。
【0058】
第二分岐路12に遊技球が誘導された後、共通路10内に進入した遊技球は、第一分岐路11に誘導される。第二分岐路12を通過した遊技球により第二規制部252が左方向にスライドし、遊技球接触部201の左被ガイド突起201lの直下に第二規制部252の左規制突起2522が位置し、遊技球接触部201の右被ガイド突起201rの直下に第二規制部252の右規制突起2521が位置していないからである。そして、第一分岐路11を通過する遊技球により第一接触突起部211が押し下げられ、第一回転部材23が所定量(18度)回転するとともに、第二回転部材24が所定量(1.8度)回転する(図8および図9参照)。
【0059】
このように、第二分岐路12に遊技球が誘導されると、第二分岐路12内を通過する遊技球によって第二接触突起部221が押し下げられ、第二規制部252が左方向にスライドするとともに両係合部と両被係合部の係合が解消される。つまり、第二規制部252を左方向にスライドさせることで次の遊技球が第一分岐路11に誘導されるようにするとともに、両係合部と両被係合部の係合を解消することで、第二回転部材24の回転が第一規制部251によって妨げられないようにする。
【0060】
第二分岐路12に遊技球が誘導された後、39個の遊技球が第一分岐路11に誘導されると、再び第一被係合部231の位置と第二被係合部241の位置が一致し、40個目の遊技球は第二分岐路12に誘導される。なお、この途中で(20個の遊技球が第一分岐路11に誘導されたとき)、第一係合部2511の内側に第一被係合部231が位置した状態となるが、第二係合部2512の内側には第二被係合部241が位置していないから、係合分の両方が被係合部に係合することはできない(図10参照)。つまり、かかる状態となったときであっても、遊技球は第一分岐路11に誘導される。このようにして、本実施形態における振分装置2は、共通路10内に進入した遊技球を「第一分岐路:第二分岐路=39:1」で振り分ける。以上のように、本実施形態は、第一回転部材23と第二回転部材24という二つの回転部材を用いることで、遊技球を「第一分岐路:第二分岐路=39:1」といった極端な割合で振り分けることが可能である。しかも、当該二つの回転部材は、奥行き方向に並ぶように配置されるものであるため、振分装置2自体が奥行き方向に幅をもつ形状となり、振分装置2を安定した状態で設置することが可能となる。
【0061】
[具体的な遊技の内容]
上述したように、本実施形態にかかる遊技機1では、三つの始動入賞口924〜926が設けられている。本実施形態では、始動入賞口に遊技球が入賞(入球)したことを契機として、大当たりの抽選が行われる。大当たり確率等は適宜設定することができる。大当たりに抽選した場合には、大入賞口927が頻繁に開放し、遊技者は多くの遊技球(出玉)を獲得することができる。
【0062】
本実施形態では、振分装置2の第一分岐路11の出口から出た遊技球が進入する領域には、第一始動入賞口924と第三始動入賞口926が設けられている。つまり、第一分岐路11の出口から出た遊技球は、第一始動入賞口924および第三始動入賞口926に入賞する可能性がある。ただし、第一分岐路11の出口から出た遊技球が、第一始動入賞口924や第三始動入賞口926等の入賞口に必ず入賞するわけではない。第一分岐路11の出口から出た遊技球が進入する領域には、遊技球の流下態様に変化を与える遊技釘等の部材が設けられており、多くの遊技球は、いずれの入賞口にも入賞せずに、アウト口928より排出される。
【0063】
本実施形態では、第一分岐路11の出口から出た遊技球が進入する領域には、第一始動入賞口924に向かって並べられた複数の遊技釘から構成される道釘部95が設けられている。道釘部95には、一または複数個所の遊技球が通過可能な隙間951が形成されている。道釘部95の上の領域は、遊技球が第一始動入賞口924に入賞しやすい領域(第一領域961)となっており、道釘部95の下の領域は、遊技球が第一始動入賞口924に入賞しにくいまたは入賞不可能な領域(第二領域962)となっている。第一分岐路11の出口から出た遊技球が道釘部95の上の領域に進入しなかったり、上記隙間951を通じて道釘部95の上の領域から下の領域に落ちてしまったりした場合には、遊技球が第一始動入賞口924に入賞することは困難または不可能になる。
【0064】
また、本実施形態では、第三始動入賞口926の入口を開閉する開閉部材926a(いわゆる電チュー)が設けられている。開閉部材926aが閉位置に位置するときには第三始動入賞口926に遊技球が入賞することは不可能であり、開閉部材926aが開位置となって第三始動入賞口926への遊技球の入賞が可能となる。第三始動入賞口926より上流側には、普通入賞ゲート926b(以下単にゲート926bと称することもある)が設けられており、第一分岐路11の出口から出た遊技球が当該ゲート926bを通過することを契機として開閉部材926aを開位置とするか否かの抽選が行われる。本実施形態では、通常の遊技状態中においては、当該抽選に当選する確率が極めて低く(相対的に低く)設定されている。一方、通常の遊技状態中とは異なる時間短縮遊技状態中においては、当該抽選に当選する確率が極めて高く(相対的に高く)設定されている。したがって、時間短縮遊技状態中においては、開閉部材926aが頻繁に開位置に位置し、第三始動入賞口926に遊技球が入賞しやすくなる。
【0065】
一方、振分装置2の第二分岐路12の出口のすぐ近くには、第二始動入賞口925が設けられている。本実施形態では、第二分岐路12の出口と第二始動入賞口925の入口の間には、遊技球が第二始動入賞口925の位置する方向とは別の方向に向かう経路が設けられていない。したがって、第二分岐路12の出口から出た遊技球は必ず第二始動入賞口925に入賞することとなる。
【0066】
本実施形態では、第一始動入賞口924に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり抽選の具体的な内容と、第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり抽選の具体的な内容は同じである。つまり、遊技者にとって、第一始動入賞口924に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象の価値と、第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象の価値は同じである。これに対し、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり抽選の具体的な内容は、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり抽選の具体的な内容と異なる。
【0067】
本実施形態では、大当たりに当選する確率は全ての抽選同じであるが、大当たり遊技によって獲得することができる遊技球数の期待値(いわゆる期待出玉)が異なる。具体的には、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機とした大当たり抽選に当選した場合よりも、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機とした大当たり抽選に当選した場合の方が、獲得できる遊技球数の期待値が高い。例えば、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機とした大当たり抽選に当選した大当たりでは「出玉大の大当たり」が30%、「出玉小の大当たり」が70%であるのに対し、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機とした大当たり抽選に当選した大当たりでは「出玉大の大当たり」が50%、「出玉小の大当たり」が50%となるように設定される。つまり、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象の方が、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象よりも遊技者にとって価値が高い。
【0068】
すなわち、ここでいう「事象」に基づき得られる価値とは、例えば大当たりにおける確率変動状態(高確率遊技状態)や時間短縮遊技状態になる割合や、複数設定された大当たり遊技のラウンド数の比率、賞球個数などの遊技者に有利な特典のことである。具体的には、第一始動入賞口924に遊技球が入球したことを契機として実行される事象に基づき得られる価値と第二始動入賞口925に遊技球が入球したことを契機として実行される事象に基づき得られる価値が同じとは、上述した遊技者に有利な特典の内容が同じであること(例えば、第一始動入賞口924に遊技球が入球したことを契機として当選した大当たりと、第二始動入賞口925に遊技球が入球したことを契機として当選した大当たりが、16ラウンドの確率変動大当たりとなる割合(確率)は同じ(いわゆる大当たり振り分けが同じ)となる等)を意味する。また、第一始動入賞口924または第二始動入賞口925に遊技球が入球したことを契機として実行される事象に基づき得られる価値と、第三始動入賞口926に遊技球が入球したことを契機として実行される事象に基づき得られる価値が異なるとは、上述した遊技者に有利な特典の内容が異なること(例えば、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入球したことを契機として当選した大当たりと、第三始動入賞口926に遊技球が入球したことを契機として当選した大当たりが、16ラウンドの確率変動大当たりとなる割合(確率)が異なる(いわゆる大当たり振り分けが異なる)こと等)を意味する。
【0069】
遊技者は大当たりを得ることを目的として遊技することとなる。その遊技の流れは次の通りである。遊技者は、振分装置2が設けられた左側の遊技領域922aに遊技球が進入するよう発射装置を操作する。左側の遊技領域922aに進入した遊技球は、振分装置2内に進入する。振分装置2内に進入した遊技球は、「第一分岐路:第二分岐路=39:1」の割合で振り分けられる。第一分岐路11の出口から出た遊技球は、第一始動入賞口924および第三始動入賞口926が設けられた領域を流下する。通常の遊技状態中には、主に第一始動入賞口924に遊技球が入賞することを契機として大当たり抽選が実行される。
【0070】
加えて、振分装置2内に進入した遊技球は、40球に1球の割合で、第二分岐路12の出口から出る。かかる第二分岐路12の出口から出た遊技球は、第二始動入賞口925に入賞する。つまり、仮に、第一分岐路11から出た遊技球が全て第一始動入賞口924や第三始動入賞口926に入賞しなくても、40球に1球の割合で遊技球が第二始動入賞口925に入賞するから、当該割合(ある程度の頻度)で必ず大当たりの抽選が実行されることとなる。よって、遊技者が大当たりの抽選を受けられないことによって苛立ってしまうのを抑制することが可能である。
【0071】
特に、遊技機の種類によっては、大当たり抽選の当選確率が通常状態(低確率遊技状態)よりも高い状態(いわゆる確率変動(確変)状態)にあるにも拘わらず、遊技球の入賞頻度が通常状態と変わらない遊技状態(いわゆる潜伏確変状態)が設定されているものがある。このような潜伏確変状態において、遊技球の入賞口への入賞頻度が低下してしまうと、遊技者の苛立ちが大きくなってしまう。本実施形態では、振分装置2の振分によって、ある程度の入賞頻度を確保することができるため、このような苛立ちを抑制することが可能である。
【0072】
確実な始動入賞口への入賞を見込める第二分岐路12への振分割合は、適宜増減させることが可能である。ただし、第一分岐路11の方が第二分岐路12より振り分けられやすく設定すること、すなわち「第一分岐路:第二分岐路=X:Y(X>Y)」とすることが望ましい。第二分岐路12へ振り分けられる遊技球の割合が多くなると、入賞口への遊技球の入賞が過剰になってしまうからである。また、遊技領域を種々の態様で流下し、遊技球が入賞口に入賞したり、入賞しなかったりする、というぱちんこ遊技機本来の面白みを発現するのは第一分岐路11から出た遊技球が進入する領域であるため、かかる領域に進入する遊技球の数(割合)を著しく低下させるのは遊技の趣向性低下につながるため望ましくない。
【0073】
通常の遊技状態とは異なる時間短縮遊技中には、開閉部材926aが頻繁に開位置に位置するため、第一始動入賞口924だけでなく、第三始動入賞口926にも遊技球が入賞する。したがって、第三始動入賞口926に遊技球が入賞することを契機として大当たり抽選が実行される。上述したように、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機とする大当たりに当選した場合には、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機とする大当たりに当選した場合よりも獲得できる遊技球数の期待値が高い。
【0074】
そのため、遊技者は第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機とする大当たりに当選することを願って遊技することとなる。しかし、本実施形態では、振分装置2に進入した遊技球40球に1球の割合で、遊技球が第二始動入賞口925に入賞してしまう。したがって、遊技球が入賞した順に当否判定結果が報知される(いわゆる入賞順に保留が消化される)構成とすれば、第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機とする大当たり抽選が発生してしまう。すなわち、開閉部材926aが頻繁に開位置に位置し、遊技球が第三始動入賞口926に入賞しやすい状態であるため、第三始動入賞口926に遊技球が入賞したことを契機とする大当たり抽選のみを受けたい状態にあっても、所定の割合で遊技球が第二始動入賞口925に入賞することとなるため、第二始動入賞口925に遊技球が入賞したことを契機とする大当たり抽選を受けざるを得ない状態が発生する。このように、本実施形態では、第一分岐路11の出口から出た遊技球が入賞する可能性があり、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925とは期待出玉の異なる第三始動入賞口926を設けることにより、時間短縮遊技状態中の遊技の趣向性を高めている。
【0075】
まとめると、第二分岐路12に振り分けられた遊技球が入賞する第二始動入賞口925は、遊技球が入賞口に入賞しなくなることによる遊技者の苛立ちを防止する(ある程度の入賞頻度を確保する)ための役割を果たす。すなわち、所定個数発射された遊技球のうち少なくとも一部の遊技球は、第二始動入賞口925に入球することが確定し、残りの遊技球は第一始動入賞口924に入球する可能性がある(入球するかどうかは不定である)ため、所定個数のうち少なくとも第二始動入賞口925に入球するよう設定された個数以上の遊技球が入賞口に入球する遊技態様とすることが可能である。
【0076】
加えて、所定の割合で遊技球が第二始動入賞口925に必ず入賞することとなるため、当該第二始動入賞口925に入賞して欲しくないような状況をつくりだすことで、遊技の趣向性を大きく向上させることが可能である。つまり、第一分岐路11に誘導された遊技球が入賞する可能性がある一または複数の入賞口と、第二分岐路12に誘導された遊技球が入賞する入賞口を設け、第二分岐路12に誘導された遊技球が入賞する入賞口に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象が、第一分岐路11に誘導された遊技球が入賞する可能性がある一または複数の入賞口に遊技球が入賞したことを契機として実行される事象よりも遊技者にとっての利益を小さくする(このような状態となる遊技状態を設ける)ことで、趣向性の高い遊技を実行することが可能となる。
【0077】
例えば、相対的に大当たりに当選しやすい高確率遊技状態(いわゆる確率変動(確変)状態)と、相対的に大当たりに当選しにくい低確率遊技状態(通常状態)が設定され、大当たり遊技終了後に大当たりの種類に応じて遊技状態の変化が発生する遊技機において、高確率遊技状態中には、第二分岐路12に誘導された遊技球が入賞する入賞口に遊技球が入賞したことを契機として当選した大当たり終了後にのみ、低確率遊技状態に移行する可能性がある設定とする。このようにすれば、遊技者が、第二分岐路12に遊技球が誘導されないよう、早く第一分岐路11に誘導された遊技球が一または複数の入賞口に入賞して大当たりに当選することを願いつつ遊技を行う趣向性の高い遊技を実行することが可能である。
【0078】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、以下のような変形例が考えられる。なお、以下に示す変形例は、複数のものを組み合わせて適用してもよい。
【0079】
・第一変形例
上記実施形態における始動入賞口924〜926は、遊技球が進入することが可能な「口」であることを説明したが、遊技球が通過することが可能な「ゲート」のようなものであってもよい。つまり、本発明における入球口は、遊技球が進入可能な領域であれば、進入したことによってそのまま遊技機内部に取り込まれる「口」であってもよいし、遊技球がそのまま遊技領域922を流下する「ゲート」のようなものであってもよい。
【0080】
・第二変形例
上記実施形態における振分装置2は、所定数に1球という一定の割合で必ず遊技球を第二分岐路12に振り分けるもの(振分装置2に進入する遊技球の数でみて、遊技球が第二分岐路12に振り分けられるタイミングが一定の周期で訪れるもの)であることを説明したが、遊技球が第二分岐路12に振り分けられる割合(確率)が所定の割合(確率)であればよく、振り分けられるタイミングが一定の周期で訪れるものでなくてもよい。つまり、連続して第二分岐路12に遊技球が振り分けられる可能性があるような振分装置2を用いてもよい。このような振分装置2としては、抽選手段を備え、当該抽選手段による抽選結果に基づき、遊技球を振り分ける装置が例示できる。このような振分装置2を用いれば、第二始動入賞口925に遊技球が入賞するタイミングが一定でなくなり、遊技の面白みが増す、という利点がある。ただし、上記実施形態のように、所定数の遊技球が振分装置2内に進入したとき、必ず第二始動入賞口925に遊技球が入賞する、という構成の方が、始動入賞口への遊技球の入賞を一定の割合で確実に確保することができる、という面で優れる。
【0081】
・第三変形例
上記実施形態では、第二分岐路12に振り分けられた遊技球は必ず第二始動入賞口925に入賞するよう構成されていることを説明したが、必ず入賞する構成でなくてもよい。例えば、第二分岐路12の出口から出た遊技球が不規則に変化した場合には第二始動入賞口925に入賞しない、というような構成であってもよい。第二分岐路12に振り分けられた遊技球が極めて高確率(100%に近い確率)で第二始動入賞口925に入賞する構成であれば、遊技球が入賞口に入賞しないことによって遊技者が苛立ってしまうのを抑制する効果が発現される。
【0082】
・第四変形例
上記実施形態における振分装置2は、進入した遊技球を第一分岐路11(の出口)または第二分岐路12(の出口)に振り分けるものであることを説明したが、三以上の分岐路(の出口)に振り分けるものとしてもよい。複数の分岐路のうちのいずれかの出口から出た遊技球が、必ずまたは極めて高確率で入賞する入賞口を設けておくことにより、ある程度の入賞頻度を確保することが可能である。
【0083】
・第五変形例
上記実施形態にかかる遊技機1は、いずれの遊技状態中も左側の遊技領域922aを遊技球が流下するように遊技するものであることを説明したが、図16に示すように、遊技球が流下可能な領域である遊技領域922が、振分装置2が設けられる左側の遊技領域922a(本発明における所定の流下領域に相当する)と振分装置2が設けられない右側の遊技領域922b(本発明における別の流下領域に相当する)を含み、少なくとも右側の遊技領域922bに遊技球が通過したときに開閉部材926aを開放させるか否かの抽選を実行するゲート926bが設けられる構成としてもよい。
【0084】
かかる構成とした場合、通常遊技状態(開閉部材926aを開放させるか否かの抽選に当選する確率が低い状態。本発明における第一遊技状態に相当する)中には、左側の遊技領域922aに遊技球が進入するように遊技者が遊技する(いわゆる左打ち遊技を行う)。遊技者は、第一始動入賞口924または第二始動入賞口925に遊技球が入賞することを契機として大当たり抽選を受ける。かかる通常遊技状態中には、開閉部材926aが頻繁に開位置に位置することはないため、第三始動入賞口926に遊技球が入賞することはほとんどない。
【0085】
一方、通常遊技状態とは異なる時間短縮遊技状態(開閉部材926aを開放させるか否かの抽選に当選する確率が高い状態。本発明における第二遊技状態に相当する)中には、右側の遊技領域922bに遊技球が進入するように遊技者が遊技する(いわゆる右打ち遊技を行う)。右側の遊技領域922bに設けられたゲート926bを遊技球が通過することにより、開閉部材926aが頻繁に開位置に位置するため、遊技者は第三始動入賞口926に遊技球が入賞することを契機とする大当たり抽選を受ける。一方、第一始動入賞口924および第二始動入賞口925は左側の遊技領域922aに設けられているため、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞することはほとんどない。
【0086】
このように構成されるため、通常遊技状態中に右側の遊技領域922bに遊技球が進入するように遊技者が遊技すると、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞することはほとんどないし、開閉部材926aが開位置に位置する抽選に当選する確率も低いため、第三始動入賞口926に遊技球が入賞することもほとんどない。つまり、大当たり抽選をほとんど受けられない状態となる。したがって、通常遊技状態中においては、左側の遊技領域922aに遊技球が進入するように遊技する方が、右側の遊技領域922bに遊技球が進入するように遊技した場合よりも、遊技者が受ける利益が大きいこととなる。
【0087】
一方、時間短縮遊技状態中に左側の遊技領域922aに遊技球が進入するように遊技者が遊技すると、第一始動入賞口924や第二始動入賞口925に遊技球が入賞することはあるものの、第三始動入賞口926に遊技球が入賞することはない。時間短縮遊技状態中は、右側の遊技領域922bに遊技球が進入するように遊技者が遊技した場合、頻繁に第三始動入賞口926に遊技球が入賞するため、それにともなう大当たり抽選や、賞球が得られる。つまり、時間短縮遊技状態中においては、右側の遊技領域922bに遊技球が進入するように遊技する方が、左側の遊技領域922aに遊技球が進入するように遊技した場合よりも、遊技者が受ける利益が大きいこととなる。
【0088】
・第六変形例
上記実施形態にかかる遊技機1は、左側の遊技領域922aに進入した遊技球が全て振分装置2内に進入する構成であることを説明したが、振分装置2内に進入せず、そのまま遊技領域922を流下する遊技球が生じうる構成としてもよい。ただし、始動入賞口への遊技球の入賞を一定の割合で確実に確保するという観点から言えば、上記実施形態にかかる遊技機1のように、左側の遊技領域922aに進入した遊技球の全てが振分装置2内に進入する構成にするとよい
以下、上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を列挙する。
手段1にかかる遊技機は、遊技球が流下する所定の流下領域を含む遊技領域が形成された遊技盤と、前記所定の流下領域に進入した遊技球が必ず入球し、当該入球した遊技球を所定の割合で複数の出口に振り分ける振分装置と、遊技球が入球することが可能な第一入球口および第二入球口を含む複数の入球口と、を備え、前記振分装置には、振り分けられた遊技球が前記第一入球口に入球することが可能な領域に進入する第一出口と、振り分けられた遊技球が前記第二入球口に入球する第二出口とが設けられていることを特徴とする。
手段2にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、前記振分装置は、所定数の遊技球が入球したとき、必ず一つの球技球を前記第二出口に振り分けることを特徴とする。
手段3にかかる遊技機は、手段1または手段2に記載の遊技機において、前記第一入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象と、前記第二入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象は同じであることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機は、手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機において、前記第一出口に振り分けられた遊技球が進入する領域は、相対的に前記第一入球口に入球しやすい領域と、相対的に前記第一入球口に入球しにくいまたは入球不可能な領域を含むことを特徴とする。
手段5にかかる遊技機は、手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技領域は、前記所定の流下領域とは異なる別の流下領域を含み、遊技状態として、遊技者が前記別の流下領域を遊技球が流下するように遊技するよりも、前記所定の流下領域を遊技球が流下するように遊技した方が遊技者の受ける利益が大きい第一遊技状態と、遊技者が前記所定の流下領域を遊技球が流下するように遊技するよりも、前記別の流下領域を遊技球が流下するように遊技した方が遊技者の受ける利益が大きい第二遊技状態と、が設定されていることを特徴とする。
手段6にかかる遊技機は、手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機において、前記振分装置は、入球した遊技球が前記第二出口よりも前記第一出口に振分られやすく設定されていることを特徴とする。
手段7にかかる遊技機は、手段1から手段6のいずれかに記載の遊技機において、前記第一出口に振り分けられた遊技球が進入する領域には、当該遊技球が入球可能な前記第一入球口および前記第二入球口とは異なる別の入球口が設けられており、遊技球が前記第一入球口または前記第二入球口に入球したことを契機として実行される事象と、遊技球が前記別の入球口に入球したことを契機として実行される事象は異なることを特徴とする。
手段1にかかる遊技機によれば、振分装置内に入球した遊技球は、所定の割合で各出口に振り分けられることとなるが、その一部である第二出口に振り分けられた遊技球は必ず第二入球口に入球することとなる。つまり、振分装置が設けられた領域に遊技球を進入させさえすれば所定の割合で第二入球口に遊技球が入球することとなるから、入球口への遊技球の入球頻度が低下し、遊技者が苛立ってしまう事態が発生してしまうのを抑制することが可能である。
手段2にかかる遊技機のように、振分装置に所定数の遊技球が入球したとき、必ず一つの球技球が第二出口に振り分けられるようにすれば、所定数に一球の割合で第二入球口に遊技球が入球することとなるから、入球口への遊技球の入球頻度が低下し、遊技者が苛立ってしまう事態が発生してしまうのを抑制することが可能である。
手段3にかかる遊技機のように、第一入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象と、第二入球口に遊技球が入球したことを契機として実行される事象が同じであれば、第一入球口に遊技球が入球しなくても、第二入球口に遊技球が入球することで当該事象が発生することとなるから、遊技者が苛立ってしまう事態が発生してしまうのを抑制することが可能である。
手段4にかかる遊技機のように、第一出口に振り分けられた遊技球が進入する領域が、相対的に第一入球口に入球しやすい領域と、相対的に第一入球口に入球しにくいまたは入球不可能な領域を含むようにすることで、遊技機本来の趣向性(遊技球が様々な態様で流下し、入球口に入ったり入らなかったりすることによって生ずる面白さ)が低下してしまうのを抑制することが可能である。
手段5にかかる遊技機のように、遊技状態に応じて遊技球を進入させるべき遊技領域が変化する遊技機に適用することも可能である。
手段6にかかる遊技機のように、入球した遊技球が第二出口よりも第一出口に振分けられやすくなるように設定されていれば、入球口に遊技球が過剰に入球することによって遊技の興趣が低下するのを抑制することが可能である。
手段7にかかる遊技機によれば、入球したときに第一入球口や第二入球口とは異なる事象が発生する別の入球口が第一出口から出た遊技球が進入する領域(第一入球口が設けられた領域)に設けられているため、第一入球口や第二入球口に遊技球が入球した時と別の入球口に遊技球が入球したときに発生する事象に差(例えば遊技者が受ける利益の差)を設定することで、遊技の趣向性を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 遊技機
2 振分装置
11 第一分岐路
12 第二分岐路
92 遊技盤
922 遊技領域
922a 左側の遊技領域
922b 右側の遊技領域
924 第一始動入賞口
925 第二始動入賞口
926 第三始動入賞口
926a 開閉部材
926b 普通入賞ゲート
927 大入賞口
95 道釘部
951 隙間
961 第一領域
962 第二領域
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
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図16