(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標識化第1結合物質における前記第1結合物質が、アプタマーであり、前記固定化第2結合物質における前記第2結合物質が、前記アプタマーに相補的な核酸分子である、請求項1記載のターゲット分析用具。
前記標識化第1結合物質における前記標識物質が、酵素、核酸、蛍光物質、色素物質、発光物質、放射性物質、および電子供与体からなる群から選択された少なくとも1つの物質である、請求項1または2記載のターゲット分析用具。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記固定化第1結合物質における前記担体が、ビーズである。
【0017】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第2結合物質における前記標識物質が、酵素、核酸、蛍光物質、色素物質、発光物質、放射性物質、および電子供与体からなる群から選択された少なくとも1つの物質である。
【0018】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記試料保持用具は、棒状の把持部および試料の保持部を含み、前記把持部の先端に前記保持部を有する。
【0019】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記固定化第1結合物質における前記第1結合物質が、アプタマーである。
【0020】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第2結合物質における前記第2結合物質が、前記アプタマーに相補的な核酸分子である。
【0021】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第2結合物質における前記標識物質が、触媒機能を示す核酸分子である。
【0022】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記触媒機能を示す核酸分子が、DNAzymeおよびRNAzymeの少なくとも一方である。
【0023】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記第2室は、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含む。
【0024】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記吸着担体が、シリカ製ビーズである。
【0025】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記固定化第1結合物質における前記第1結合物質が、前記ターゲットを抗原とする抗体であり、前記標識化第2結合物質における前記第2結合物質が、前記抗体を抗原とする抗体である。
【0026】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有し、
前記内筒が、前記外筒の内部に収容でき、
前記内筒が、前記第1室および前記第2室を有し、
前記外筒の内部に前記内筒を収容した際、前記外筒の底部と前記内筒の底部との間に空間を有する。
【0027】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記第1室が、前記第2室とは反対側で、前処理室に連続して配置され、
前記前処理室は、
その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能であり、
前記試料から、前記試料内部の成分を抽出する抽出液を含み、
前記前処理室と前記第1室の間に、隔壁を有し、
前記隔壁は、前記前処理室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁である。
【0028】
本発明の第1および第3のターゲット分析用具は、例えば、前記前処理室は、前記第1室との前記隔壁の反対側に、前記前処理室の開口のカバーを有し、
前記カバーは、その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能である。
【0029】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第1結合物質における前記第1結合物質が、アプタマーであり、前記固定化第2結合物質における前記第2結合物質が、前記アプタマーに相補的な核酸分子である。
【0030】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第1結合物質における前記標識物質が、酵素、核酸、蛍光物質、色素物質、発光物質、放射性物質、および電子供与体からなる群から選択された少なくとも1つの物質である。
【0031】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記標識化第1結合物質における前記標識物質が、触媒機能を示す核酸分子である。
【0032】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記触媒機能を示す核酸分子が、DNAzymeおよびRNAzymeの少なくとも一方である。
【0033】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記固定化第2結合物質における前記担体が、ビーズである。
【0034】
本発明の第2のターゲット分析用具は、例えば、前記固定化第2結合物質における前記担体が、前記第2室の内壁である。
【0035】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記試料保持用具は、棒状の把持部および試料の保持部を含み、前記把持部の先端に前記保持部を有する。
【0036】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記第2室は、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含む。
【0037】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記吸着担体が、シリカ製ビーズである。
【0038】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有し、
前記内筒が、前記外筒の内部に収容でき、
前記内筒が、前記第1室および前記第2室を有し、
前記外筒の内部に前記内筒を収容した際、前記外筒の底部と前記内筒の底部との間に空間を有する。
【0039】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記第1室が、前記第2室とは反対側で、前処理室に連続して配置され、
前記前処理室は、
その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能であり、
前記試料から、前記試料内部の成分を抽出する抽出液を含み、
前記前処理室と前記第1室の間に、隔壁を有し、
前記隔壁は、前記前処理室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁である。
【0040】
本発明の第2および第4のターゲット分析用具は、例えば、前記前処理室が、前記第1室との前記隔壁の反対側に、前記前処理室の開口のカバーを有し、
前記カバーは、その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能である。
【0041】
本発明の第2および第3のターゲット分析方法は、例えば、前記第1室内の前記試料保持用具を、前記第1室と前記第2室との間の第1隔壁に接触させ、前記隔壁を破壊し、前記第2室に、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物を導入する工程を含む。
【0042】
本発明の第3のターゲット分析方法は、例えば、前記試料保持具を前記第1室に挿入後、前記試料と前記第1試薬とを混合する工程を含む。
【0043】
本発明の第4のターゲット分析方法は、例えば、前記試料保持用具を前記第1室に挿入することにより、前記試料と前記第1試薬とを混合する工程、および
前記第1室内の前記試料保持用具を、前記第1室と前記第2室との前記第1隔壁に接触させ、前記隔壁を破壊し、前記第2室に、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物を導入する工程を含む。
【0044】
[第1のターゲット分析用具および第1のターゲット分析方法]
本発明の第1のターゲット分析用具および第1のターゲット分析方法について、以下に、具体的に説明する。なお、特に示さない限り、後述する第2〜4のターゲット分析用具および第2〜4のターゲット分析方法の記載を援用できる。
【0045】
本発明の第1のターゲット分析用具は、前述のように、第1室、第2室および第3室を含み、
前記第1室、前記第2室および前記第3室が、この順序で連続して配置され、
前記第1室は、第1試薬として、ターゲットに結合する第1結合物質が担体に固定化された固定化第1結合物質を含み、
前記第2室は、第2試薬として、前記第1結合物質に結合する第2結合物質に標識物質が付加された標識化第2結合物質を含み、
前記第3室は、前記標識化第2結合物質が検出される検出部であり、
前記第1室と前記第2室との間に、第1隔壁を有し、
前記第2室と前記第3室との間に、第2隔壁を有し、
前記第1室は、その外部から内部に、試料を有する試料保持用具を挿入可能であり、
前記第1隔壁は、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁であり、
前記第2隔壁は、前記固定化第1結合物質が通過できず、前記標識化第2結合物質が通過できる多孔性隔壁である
ことを特徴とする。
【0046】
本発明の第1のターゲット分析方法は、前述のように、前記本発明の第1のターゲット分析用具を使用し、
前記ターゲット分析用具の前記第1室に、試料を保持した試料保持用具を挿入する工程、
前記第1室において、前記第1試薬と前記試料とを接触させ、前記試料中のターゲットと前記第1試薬である前記固定化第1結合物質とを結合させる工程、
前記第1室内の前記試料保持用具を、前記第1室と前記第2室との間の第1隔壁に接触させ、前記隔壁を破壊し、前記第2室に、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物を導入する工程、
前記第2室において、前記第2試薬と、前記試料と前記第1試薬との混合物とを接触させ、前記固定化第1結合物質と前記第2試薬である前記標識化第2結合物質とを結合させる工程、
未結合の前記標識化第2結合物質を、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁を通過させ、前記第3室に導入する工程、および、
前記第3室において、前記標識化第2結合物質における前記標識物質を検出する工程を含むことを特徴とする。
【0047】
本発明によれば、まず、前記第1室において、試料中のターゲットと前記第1試薬である前記固定化第1結合物質とが結合する。そして、前記試料保持用具により前記第1室と前記第2室との間の第1隔壁を破壊すると、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物が、前記第2室に導入される。前記第2室では、前記固定化第1結合物質のうち、ターゲットが未結合の前記固定化第1結合物質に、前記標識化第2結合物質が結合する。そして、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁は、前記固定化第1結合物質が通過できず、前記標識化第2結合物質が通過できる前記多孔性隔壁であるため、前記固定化第1結合物質は、前記隔壁を通過せずに前記第2室に残る。つまり、前記固定化第1結合物質に結合した前記標識化第2結合物質は、前記第3室に移動することなく前記第2室に残る。他方、前記固定化第1結合物質に未結合の遊離した前記標識化第2結合物質は、前記隔壁を通過して前記第3室に導入される。本発明のターゲット分析用具における前記標識化第2結合物質は、例えば、既知量とすることができるため、前記固定化第1結合物質に未結合の前記標識化第2結合物質の量は、前記試料中のターゲット量と間接的に対応することになる。このため、前記第3室に導入された前記未結合の標識化第2結合物質を検出することによって、間接的に、前記試料中のターゲットの有無または量を分析することができる。
【0048】
本発明において、分析とは、例えば、前記ターゲットの有無を判断する定性分析でもよいし、前記ターゲットの量を判断する定量分析でもよい。
【0049】
本発明において使用するターゲットに結合する第1結合物質は、例えば、ターゲットに結合すればよく、その種類は、特に制限されない。前記第1結合物質の具体例としては、例えば、アプタマー、抗体等があげられる。以下に、本発明の第1のターゲット分析用具および前記第1のターゲット分析方法について、アプタマーを使用する第1A形態を、例にあげて説明する。
【0050】
本発明の第1A形態は、前記固定化第1結合物質における前記第1結合物質として、前記アプタマーを使用する形態である。前記アプタマーは、前記ターゲットに結合できればよい。前記アプタマーは、例えば、DNAアプタマーでもよいし、RNAアプタマーでもよいし、DNAとRNAとを含むキメラアプタマーでもよい。また、前記アプタマーは、天然核酸からなるアプタマーでもよいし、非天然核酸からなるアプタマーでもよいし、前記天然核酸および前記非天然核酸を含むアプタマーでもよい。また、前記アプタマーは、例えば、修飾アプタマーでもよい。前記アプタマーは、例えば、一本鎖である。
【0051】
前記標識化第2結合物質における前記第2結合物質は、前記アプタマーに結合可能であればよく、例えば、前記アプタマーに相補的な核酸分子(以下、「相補性核酸分子」ともいう。)があげられる。前記アプタマーに相補的とは、例えば、前記アプタマーまたはその部分配列にハイブリダイズ可能な程度の相補性を有していればよく、相補性100%には制限されない。前記相補性は、例えば、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、100%である。前記第2結合物質として前記相補的な核酸分子を使用することによって、例えば、前記第1結合体と前記標識化第2結合物質との反応を容易に行うことができることから、反応時間を短縮でき、また、より感度が良く、ダイナミックレンジにも優れる。前記相補的な核酸分子は、例えば、前記ターゲットには非結合であることが好ましい。
【0052】
前記固定化第1結合物質における前記担体は、例えば、ビーズがあげられる。前記ビーズの材質は、特に制限されず、例えば、アガロース、セファロース、セルロース等のポリマー等があげられる。また、前記ビーズは、例えば、磁気ビーズがあげられる。前記磁気ビーズは、例えば、磁性材料からなるビーズ、前記磁性材料を含むビーズでもよいし、その表面が前記磁性材料でコーティングされたビーズでもよい。前記磁性材料としては、例えば、可磁化物質があげられ、具体例としては、例えば、γFe
2O
3、Fe
3O
4等があげられる。前記ビーズの形状は、特に制限されず、例えば、真球状等の球状があげられる。前記ビーズの平均直径は、特に制限されず、例えば、1〜10μm、10〜100μm、100〜1000μmである。前記担体としては、例えば、Sepharose、Sephadex等の樹脂も使用できる。
【0053】
前記固定化第1結合物質において、前記担体に固定化するアプタマーの量は、特に制限されない。前記担体に固定化するアプタマーの量は、例えば、前記担体の表面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。
【0054】
前記標識化第2結合物質における前記標識物質は、例えば、触媒機能を示す触媒核酸分子、酵素等があげられる。前記酵素は、例えば、ルシフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等のペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等があげられる。本形態において、前記標識物質は、例えば、前記第1結合物質および前記第2結合物質と同様に、前記触媒核酸分子が好ましい。
【0055】
前記触媒核酸分子は、特に制限されず、例えば、DNAzyme、RNAzymeがあげられる。前記標識化第2結合物質における前記触媒核酸分子の触媒機能は、例えば、前記標識化第2結合物質への前記ターゲットの結合の有無にかかわらず、触媒機能を奏することが好ましい。前記結合物質と前記触媒核酸分子との結合形態は、特に制限されず、例えば、ホスホジエステル結合である。また、前記結合物質と前記触媒核酸分子とは、例えば、直接的に結合させてもよいし、リンカーを介して間接的に結合させてもよい。前記リンカーは、例えば、DNAおよびRNAの少なくとも一方からなる核酸分子である。前記触媒核酸分子は、例えば、一本鎖が好ましい。前記標識物質が前記触媒核酸分子の場合、前記触媒核酸分子が、前記標識物質と前記第2結合物質の両方を兼ねてもよい。すなわち、前記触媒核酸分子が前記第1結合物質に相補的であれば、前記触媒核酸分子を前記標識化第2結合物質とすることもできる。
【0056】
前記試料は、特に制限されず、例えば、食品由来試料等があげられる。前記食品由来試料は、例えば、食品、食品原料、食品添加物、食品加工場または調理場等における付着物、洗浄後の洗浄液等があげられる。前記試料の形態は、特に制限されず、例えば、液体試料でもよいし、固体試料でもよい。前記固体試料の場合、例えば、溶媒を用いて、混合液、抽出液、溶解液等を調製し、これを前記試料として使用してもよい。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられる。前記試料は、例えば、前記ターゲットを含む試料でもよいし、前記ターゲットを含まない試料でもよいし、ターゲットを含むか不明の試料であってもよい。
【0057】
本発明の第1A形態では、例えば、前記第1結合物質としてアプタマー、前記第2結合物質として相補性核酸分子、前記標識物質として触媒核酸分子を使用できることから、例えば、熱安定性であり、保存がより容易である。また、前記標識物質として、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等の酵素を使用できることから、例えば、感度よくターゲットを分析できる。
【0058】
前記第1室と前記第2室との間の第1隔壁は、前述のように、前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁である。前記第1隔壁は、例えば、前記第1室の底部であり、前記第2室の上部であるともいえる。前記第1隔壁は、前記試料保持用具の先端を接触させることで破壊できればよく、その材質や特性等は、特に制限されない。前記第1隔壁としては、例えば、アルミ箔等の金属薄膜、紙、合成繊維等が使用できる。
【0059】
前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁は、前述のように、前記固定化第1結合物質が通過できず、前記標識化第2結合物質が通過できる多孔性隔壁である。前記第2隔壁の孔径は、例えば、前記固定化第1結合物質および前記標識化第2結合物質の大きさに応じて適宜設定できる。前記第2隔壁における孔径は、例えば、0.2〜100μm、0.2〜50μm、0.5〜10μmである。
【0060】
前記標識物質として触媒核酸分子を使用する場合、前記第2室は、前記第2試薬として、さらに、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含むことが好ましい。前記第2室が前記吸着担体を含む場合、前記第2室において、前記吸着担体にタンパク質および脂質等が吸着される。このため、例えば、前記第3室に、前記触媒核酸分子の触媒機能に影響を与えるタンパク質、脂質等が導入することを防止し、前記第3室における前記未結合の標識化第2結合物質の検出を、より精度良く行うことができる。本形態において、前記ターゲットに結合する第1結合物質であるアプタマー、前記第1結合物質に結合する第2結合物質である相補的な核酸分子は、いずれも核酸であることから、核酸以外の成分である、タンパク質および脂質等を前記吸着担体で第2室に保持することで、より精度よくターゲットの分析を行うことができる。
【0061】
前記吸着担体の材質は、特に制限されず、例えば、シリカ、多孔性構造を有する架橋高分子、活性炭等があげられる。前記吸着担体の形状は、特に制限されず、例えば、ビーズがあげられる。前記吸着担体としては、例えば、シリカ製ビーズが好ましい。前記吸着担体の大きさは、特に制限されず、例えば、前記第2隔壁(多孔性隔壁)を通過できない大きさであることが好ましい。前記吸着担体の大きさは、例えば、前記固定化第1結合物質における前記担体の大きさと同様である。
【0062】
前記第3室は、前記標識化第2結合物質における前記標識物質が前記触媒性核酸分子または前記酵素の場合、例えば、さらに、その触媒機能に対する基質を含むことが好ましい。前記基質としては、例えば、ATPとルシフェリンの組合せ、ルミノール反応液等があげられる。
【0063】
本発明の第1A形態のターゲット分析用具を用いたターゲット分析方法の一例について、図面を用いて、具体的に説明する。なお、本発明は、この例には制限されない。
【0064】
図1は、前記第1A形態のターゲット分析用具およびそれを用いたターゲット分析方法の概略を示す図面である。ターゲット分析用具1は、第1室11、第2室12、第3室13を有し、第1室11には、アプタマー141がビーズ142に固定化された固定化アプタマー14が配置され、第2室12には、アプタマー141に対する相補鎖151にDNAzyme152が付加した標識化相補鎖15、および、シリカ製ビーズ16が配置されている。第1室11と第2室12との間には、第1隔壁111を有し、第2室12と第3室13との間には、多孔性の第2隔壁121を有する。また、試料保持用具17は、棒状の把持部171と試料の保持部172とを有し、前記把持部171の先端に保持部172が配置されている。試料保持用具17は、保持部172で試料を採取する。保持部172には、例えば、前記試料中のターゲット18やターゲット以外の夾雑物19が付着する。
【0065】
つぎに、
図1のターゲット分析用具1を使用した分析方法について、
図2を用いて説明する。
図2は、ターゲット分析用具1の使用方法を示す概略図である。
【0066】
まず、ターゲット分析用具1の第1室11に、保持部172に試料を保持させた試料保持用具17を挿入し、第1室11において、試料中のターゲット18を固定化アプタマー14のアプタマー141に結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜45℃、時間が、例えば、10秒〜10分である。前記両者の結合は、例えば、液体溶媒中で行うことが好ましく、前記液体溶媒は、例えば、水、緩衝液、生理食塩水、これらの混合液等の水性溶媒があげられる。
【0067】
つぎに、試料保持用具17により、第1隔壁111を破壊し、第1室11内の内容物を第2室12に導入する。そして、ビーズ142に固定化されたアプタマー141のうち、ターゲット18と未結合であるアプタマー141に、標識化相補鎖15を結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜45℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0068】
第2隔壁121は、固定化アプタマー14を通過せず、標識化相補鎖15を通過する多孔性隔壁であるため、標識化相補鎖15のうち、固定化アプタマー14に未結合のもののみが、第2隔壁121を通過して、第3室13に導入される。また、第2室12には、シリカ製ビーズ16が配置されているため、例えば、試料由来のタンパク質や脂質等の夾雑物19は、シリカ製ビーズ16に吸着され、第3室13への導入が抑制される。そして、第3室13において、未結合の標識化相補鎖15について、DNAzyme152の触媒機能を測定することにより、間接的に、試料中のターゲットを分析できる。DNAzyme152の触媒機能の測定は、DNAzyme152の種類に応じて適宜決定できる。
【0069】
また、本発明の第1のターゲット分析用具は、例えば、さらに、前処理室を備えてもよい。前記前処理室は、例えば、後述する説明を援用できる。
【0070】
また、本発明の第1のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有してもよい。この場合、前記内筒が、前記外筒の内部に収容でき、前記内筒が、前記第1室および前記第2室を有し、前記外筒の内部に前記内筒を収容した際、前記外筒の底部と前記内筒の底部との間に空間を有する。前記外筒と前記内筒とを有する場合、前記内筒の第2室から前記外筒へ未結合の標識化相補鎖を導入後、前記内筒を取り外すことにより、前記外筒を前記第3室として使用することができる。
【0071】
[第2のターゲット分析用具および第2のターゲット分析方法]
本発明の第2のターゲット分析用具および第2のターゲット分析方法について、以下に、具体的に説明する。なお、特に示さない限り、前記第1、3および4のターゲット分析用具ならびに前記第1、3および4のターゲット分析方法の記載を援用できる。
【0072】
本発明の第2のターゲット分析用具は、前述のように、第1室、第2室および第3室を含み、
前記第1室、前記第2室および前記第3室が、この順序で連続して配置され、
前記第1室は、第1試薬として、ターゲットに結合する第1結合物質に標識物質が結合した標識化第1結合物質を含み、
前記第2室は、第2試薬として、前記第1結合物質に結合する第2結合物質が担体に固定化された固定化第2結合物質を含み、
前記第3室は、前記標識化第1結合物質が検出される検出部であり、
前記第1室と前記第2室との間に、第1隔壁を有し、
前記第2室と前記第3室との間に、第2隔壁を有し、
前記第1室は、その外部から内部に、試料を有する試料保持用具を挿入可能であり、
前記第1隔壁は、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁または前記第1室の内容物を前記第2室に通過できる多孔性隔壁であり、
前記第2隔壁は、前記固定化第2結合物質が通過できず、前記標識化第1結合物質(第1の結合体)が通過できる多孔性隔壁である
ことを特徴とする。
【0073】
本発明の第2のターゲット分析方法は、前述のように、前記本発明の第2のターゲット分析用具を使用し、
前記ターゲット分析用具の前記第1室に、試料を保持した試料保持用具を挿入する工程、
前記第1室において、前記第1試薬と前記試料とを接触させ、前記試料中のターゲットと前記第1試薬である前記標識化第1結合物質とが結合した第1結合体を形成させる工程、
前記第2室において、前記第2試薬と、前記試料と前記第1試薬との混合物とを接触させ、前記混合物中の前記ターゲットに未結合の前記標識化第1結合物質を前記第2試薬である前記固定化第2結合物質に結合させる工程、
前記第1結合体を、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁を通過させ、前記第3室に導入する工程、および、
前記第3室において、前記第1結合体における前記標識化第1結合物質を検出する工程を含むことを特徴とする。
【0074】
本発明によれば、まず、前記第1室において、試料中のターゲットと前記第1試薬である前記標識化第1結合物質とが結合する。そして、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物が、前記第2室に導入されると、前記第2室では、前記標識化第1結合物質のうち、ターゲットが未結合の前記第1結合物質に、前記固定化第2結合物質が結合する。そして、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁は、前記固定化第2結合物質が通過できず、前記標識化第1結合物質が通過できる前記多孔性隔壁であるため、前記固定化第2結合物質は、前記隔壁を通過せずに前記第2室に残る。つまり、前記固定化第2結合物質に結合した前記標識化第1結合物質は、前記第3室に移動することなく前記第2室に残る。他方、前記固定化第2結合物質に未結合の遊離した前記標識化第1結合物質、すなわち前記第1結合体を形成している前記標識化第1結合物質は、前記隔壁を通過して前記第3室に導入される。本発明のターゲット分析用具における前記標識化第1結合物質は、例えば、既知量とすることができるため、前記固定化第2結合物質に未結合の前記標識化第1結合物質の量は、前記試料中のターゲット量と間接的に対応することになる。このため、前記第3室に導入された前記未結合の標識化第1結合物質を検出することによって、間接的に、前記試料中のターゲットの有無または量を分析することができる。
【0075】
本発明において、前記第1隔壁は、例えば、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁でもよいし、前記第1室の内容物を前記第2室に通過できる多孔性隔壁でもよい。前者の場合、破壊により、例えば、前記第1室の内容物を前記第2室に移動することができ、後者の場合、前記多孔性隔壁を通じて、前記第1室の内容物を前記第2室に移動することができる。前者の場合、前述のような破壊可能な部材が使用できる。後者の場合、例えば、前記第1室の内容物が通過可能な孔を有する膜が使用できる。
【0076】
本発明において、分析とは、例えば、前記ターゲットの有無を判断する定性分析でもよいし、前記ターゲットの量を判断する定量分析でもよい。
【0077】
本発明において使用するターゲットに結合する第1結合物質は、前述のように、例えば、ターゲットに結合すればよく、その種類は、特に制限されない。前記第1結合物質の具体例としては、例えば、アプタマー、抗体等があげられる。以下に、本発明の第2のターゲット分析用具および前記第2のターゲット分析方法について、アプタマーを使用する第2A形態を、例にあげて説明する。
【0078】
本発明の第2A形態は、前記標識化第1結合物質における前記第1結合物質として、前記アプタマーを使用する形態であり、前記アプタマーは、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0079】
前記固定化第2結合物質における前記第2結合物質は、前記アプタマーに結合可能であればよく、例えば、前記アプタマーに相補的な核酸分子があげられる。前記アプタマーに相補的な核酸分子は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0080】
前記標識化第1結合物質における前記標識物質は、例えば、触媒機能を示す触媒核酸分子または酵素が好ましく、前記触媒核酸分子および前記酵素は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0081】
前記固定化第2結合物質における前記担体は、例えば、ビーズでもよいし、前記第2室の内壁でもよい。前記ビーズは、例えば、前記第1A形態と同様である。前記担体が前記ビーズの場合、前記担体(ビーズ)に固定化する第2結合物質の量は、特に制限されず、例えば、前記ビーズの表面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。また、前記担体が前記第2室の内壁の場合、前記担体(
内壁)に固定化する第2結合物質の量は、特に制限されず、例えば、前記第2室の内壁の面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。
【0082】
本発明の第2A形態では、前述のように、前記第1結合物質としてアプタマー、前記第2結合物質として相補性核酸分子、前記標識物質として触媒核酸分子を使用できることから、例えば、熱安定性であり、保存がより容易である。また、前記標識物質として、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等の酵素を使用できることから、例えば、感度よくターゲットを分析できる。
【0083】
前記第1室と前記第2室との間の前記第1隔壁、前記第2室と前記第3室との間の前記第2隔壁は、それぞれ、前記第1A形態と同様である。
【0084】
前記第2室は、前記第2試薬として、さらに、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含むことが好ましい。前記吸着担体は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0085】
前記第3室は、例えば、さらに、前記触媒性核酸分子または前記酵素の触媒機能に対する基質を含むことが好ましい。前記基質としては、例えば、ペルオキシダーゼに対する基質、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素に対する基質等があげられる。
【0086】
本発明の第2A形態のターゲット分析用具を用いたターゲット分析方法の一例について、図面を用いて、具体的に説明する。なお、本発明は、この例には制限されない。また、本発明の第2A形態は、特に示さない限り、前記第1A形態の記載を援用できる。
【0087】
図3は、前記第2A形態のターゲット分析用具およびそれを用いたターゲット分析方法の概略を示す図面である。
図3において、
図1と同一箇所には同一符号を付している。ターゲット分析用具2は、第1室11、第2室12、第3室13を有し、第1室11には、アプタマー241にDNAzyme242が付加した標識化アプタマー24が配置され、第2室12には、アプタマー241に対する相補鎖251がビーズ252に固定化された固定化相補鎖25と、シリカ製ビーズ16とが配置されている。第1室11と第2室12との間には、第1隔壁111を有し、第2室12と第3室13との間には、多孔性の第2隔壁121を有する。
【0088】
つぎに、
図3のターゲット分析用具2を使用した分析方法について、
図4を用いて説明する。
図4は、ターゲット分析用具2の使用方法を示す概略図である。
【0089】
まず、ターゲット分析用具2の第1室11に、保持部172に試料を保持させた試料保持用具17を挿入し、第1室11において、試料中のターゲット18を標識化アプタマー24のアプタマー241に結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0090】
つぎに、試料保持用具17により、第1隔壁111を破壊し、第1室11内の内容物を第2室12に導入する。そして、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0091】
第2隔壁121は、固定化相補鎖25を通過せず、標識化アプタマー24を通過する多孔性隔壁であるため、標識化アプタマー24のうち、固定化相補鎖25に未結合のもののみが、第2隔壁121を通過して、第3室13に導入される。また、第2室12には、シリカ製ビーズ16が配置されているため、例えば、試料由来のタンパク質や脂質等の夾雑物19は、シリカ製ビーズ16に吸着され、第3室13への導入が抑制される。そして、第3室13において、未結合の標識化アプタマー24について、DNAzyme242の触媒機能を測定することにより、間接的に、試料中のターゲットを分析できる。DNAzyme242の触媒機能の測定は、DNAzyme242の種類に応じて適宜決定できる。
【0092】
また、
図5に、前記第2A形態のターゲット分析用具について、その他の例の概略図を示す。
図5は、特に示さない限り、
図3と同様である。
図5において、相補鎖251は、第2室12の内壁に固定化されている。第2室12の内壁に固定化されていることから、第2室12の内壁に固定化された相補鎖251に結合した前記標識化アプタマー24は、第2室12から第3室13に移動することなく、第2室12にとどまる。
【0093】
また、本発明の第2のターゲット分析用具は、例えば、さらに、前処理室を備えてもよい。本発明の第2のターゲット分析用具において、前記第1室が、前記第2室とは反対側で、前記前処理室に連続して配置されてもよい。つまり、本発明の第2ターゲット分析用具は、前記前処理室、前記第1室、前記第2室および前記第3室が、この順序で配置されていることが好ましい。
【0094】
前記前処理室は、例えば、その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能であり、前記試料から、前記試料内部の成分を抽出する抽出液を含む。前記抽出液は、特に制限されず、分析に供する前記試料の種類、分析対象の成分の種類等によって、適宜選択できる。
【0095】
本発明の第2のターゲット分析用具は、例えば、前記前処理室と前記第1室の間に、隔壁を有し、前記隔壁は、前記前処理室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁である。前記破壊される隔壁は、例えば、前述と同様であり、例えば、アルミ箔等があげられる。
【0096】
本発明の第2のターゲット分析用具は、例えば、前記前処理室が、前記第1室との前記隔壁の反対側に、前記前処理室の開口のカバーを有し、前記カバーは、その外部から内部に、前記試料保持用具を挿入可能である。前記カバーは、前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁が好ましく、前述と同様の隔壁が例示できる。
【0097】
また、本発明の第2のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有してもよい。前記外筒および前記内筒は、例えば、前述の説明を援用できる。
【0098】
本発明の第2のターゲット分析用具および前記第2のターゲット分析方法について、
図9を用いて、さらに前記前処理室を備える第2B形態を例にあげて説明する。この第2B形態は、前記第2A形態の変形例であり、同様に、前記第1結合物質としてアプタマーを使用し、前記第2結合物質として前記アプタマーに相補的な核酸分子を使用する。なお、前記第2B形態は、特に示さない限り、前記第2A形態の記載を援用できる。
【0099】
図9は、前記第2B形態のターゲット分析用具の概略を示す図面である。
図9において、
図3および
図4と同一箇所には同一符号を付している。ターゲット分析用具10は、前処理室91、第1室92、第2室93、第3室94を有する。第1室92には、アプタマーにDNAzymeが付加した標識化アプタマー24が配置されている。標識化アプタマー24は、例えば、劣化をより防止できることから、乾燥状態であることが好ましい。第2室93には、前記アプタマーに対する相補鎖がビーズ(例えば、樹脂でもよい)に固定化された固定化相補鎖25が充填されている。第3室94には、DNAzymeの基質95が配置されており、乾燥状態であることが好ましい。前処理室91は、その上部の開口を覆うカバー901を有し、前処理室91と第1室92との間には、隔壁911を有し、第1室92と第2室93との間には、多孔性の第1隔壁921を有し、第2室93と第3室94との間には、多孔性の第2隔壁931を有する。前処理室91の内部には、抽出液96が導入されている。
【0100】
つぎに、
図9のターゲット分析用具10を使用した分析方法について説明する。
【0101】
まず、ターゲット分析用具10に、試料を保持させた試料保持用具17を挿入し、その先端で、前処理室91のカバー901と隔壁911とを貫通させる。これにより、前処理室91中の抽出液96が、第1室92に導入される。そして、第1室92中で、試料中のターゲット18との標識化アプタマー24とを結合させる。この際、ターゲット分析用具を振って、ターゲット18と標識化アプタマー24とを混合することが好ましい。
【0102】
試料保持用具17において、第1隔壁921は多孔性であるため、第1室92内の内容物が、第1隔壁921の孔を通じて、第2室93に導入される。そして、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。
【0103】
第2隔壁931は、固定化相補鎖25を通過せず、標識化アプタマー24を通過する多孔性隔壁であるため、標識化アプタマー24のうち、固定化相補鎖25に未結合のもののみが、第2隔壁931を通過して、第3室94に導入される。そして、第3室94において、未結合の標識化アプタマー24について、DNAzyme242の触媒機能を測定することにより、間接的に、試料中のターゲットを分析できる。DNAzyme242の触媒機能の測定および第3室94に配置する基質95は、例えば、DNAzyme242の種類に応じて適宜決定できる。
【0104】
前記第2B形態によれば、例えば、試料保持用具17をワンプッシュし、任意で撹拌するのみで、容易に分析を行うことができる。なお、本実施形態において、DNAzymeに代えて、例えば、酵素を使用しても同様に分析できる。
【0105】
[第3のターゲット分析用具および第3のターゲット分析方法]
本発明の第3のターゲット分析用具および第3のターゲット分析方法について、以下に、具体的に説明する。なお、特に示さない限り、前記第1、2および4のターゲット分析用具ならびに前記第1、2および4のターゲット分析方法の記載を援用できる。
【0106】
本発明の第3のターゲット分析用具は、前述のように、第1室、第2室および第3室を含み、
前記第1室、前記第2室および前記第3室が、この順序で連続して配置され、
前記第1室は、第1試薬として、ターゲットに結合する第1結合物質に結合する第2結合物質に標識物質が付加された標識化第2結合物質を含み、
前記第2室は、第2試薬として、前記第1結合物質が担体に固定化された固定化第1結合物質を含み、
前記第3室は、前記標識化第2結合物質が検出される検出部であり、
前記第1室と前記第2室との間に、第1隔壁を有し、
前記第2室と前記第3室との間に、第2隔壁を有し、
前記第1室は、その外部から内部に、試料を有する試料保持用具を挿入可能であり、
前記第1隔壁は、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁または前記第1室の内容物を前記第2室に通過できる多孔性隔壁であり、
前記第2隔壁は、前記固定化第1結合物質が通過できず、前記標識化第2結合物質が通過できる多孔性隔壁である
ことを特徴とする。
【0107】
本発明の第3のターゲット分析方法は、前述のように、前記本発明の第3のターゲット分析用具を使用し、
試料を保持した試料保持用具を前記ターゲット分析用具の前記第1室に挿入する工程、
前記第2室において、前記第2試薬と、前記試料と前記第1試薬との混合物と接触させ、前記試料中のターゲットと前記第2試薬である前記固定化第1結合物質とを結合させ、且つ、未結合の前記固定化第1結合物質と前記1試薬である前記標識化第2結合物質とを結合させる工程、
未結合の前記標識化第2結合物質を、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁を通過させ、前記第3室に導入する工程、および、
前記第3室において、前記標識化第2結合物質における前記標識物質を検出する工程を含むことを特徴とする。
【0108】
本発明によれば、まず、前記第1室において、例えば、試料中のターゲットと前記第1試薬である前記標識化第2結合物質とが混合する。そして、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物が、前記第2室に導入されると、前記第2室では、前記試料中のターゲットと前記第2試薬である前記固定化第1結合物質とが結合し、且つ、未結合の前記固定化第1結合物質と前記1試薬である前記標識化第2結合物質とが結合する。そして、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁は、前記固定化第1結合物質が通過できず、前記標識化第2結合物質が通過できる前記多孔性隔壁であるため、前記固定化第1結合物質は、前記隔壁を通過せずに前記第2室に残る。つまり、前記固定化第1結合物質に結合した前記標識化第2結合物質は、前記第3室に移動することなく前記第2室に残る。他方、前記固定化第1結合物質に未結合の遊離した前記標識化第2結合物質は、前記隔壁を通過して前記第3室に導入される。本発明のターゲット分析用具における前記標識化第2結合物質は、例えば、既知量とすることができるため、前記固定化第1結合物質に未結合の前記標識化第2結合物質の量は、前記試料中のターゲット量と間接的に対応することになる。このため、前記第3室に導入された前記未結合の標識化第2結合物質を検出することによって、間接的に、前記試料中のターゲットの有無または量を分析することができる。
【0109】
本発明において、前記第1隔壁は、例えば、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁でもよいし、前記第1室の内容物を前記第2室に通過できる多孔性隔壁でもよい。前者の場合、破壊により、例えば、前記第1室の内容物を前記第2室に移動することができ、後者の場合、前記多孔性隔壁を通じて、前記第1室の内容物を前記第2室に移動することができる。前者の場合、前述のような破壊可能な部材が使用できる。後者の場合、例えば、前記第1室の内容物が通過可能な孔を有する膜が使用できる。
【0110】
本発明において、分析とは、例えば、前記ターゲットの有無を判断する定性分析でもよいし、前記ターゲットの量を判断する定量分析でもよい。
【0111】
本発明において使用するターゲットに結合する第1結合物質は、前述のように、例えば、ターゲットに結合すればよく、その種類は、特に制限されない。前記第1結合物質の具体例としては、例えば、アプタマー、抗体等があげられる。以下に、本発明の第3のターゲット分析用具および前記第3のターゲット分析方法について、アプタマーを使用する第3A形態を、例にあげて説明する。
【0112】
本発明の第3A形態は、前記固定化第1結合物質における前記第1結合物質として、前記アプタマーを使用する形態であり、前記アプタマーは、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0113】
前記標識化第2結合物質における前記第2結合物質は、前記アプタマーに結合可能であればよく、例えば、前記アプタマーに相補的な核酸分子があげられる。前記アプタマーに相補的な核酸分子は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0114】
前記標識化第2結合物質における前記標識物質は、例えば、触媒機能を示す触媒核酸分子または酵素が好ましく、前記触媒核酸分子および前記酵素は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0115】
前記固定化第1結合物質における前記担体は、例えば、ビーズでもよいし、前記第2室の内壁でもよい。前記ビーズは、例えば、前記第1A形態と同様である。前記担体が前記ビーズの場合、前記担体(ビーズ)に固定化するアプタマーの量は、特に制限されず、例えば、前記ビーズの表面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。また、前記担体が前記第2室の内壁の場合、前記担体(
内壁)に固定化するアプタマーの量は、特に制限されず、例えば、前記第1室の内壁の面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。
【0116】
本発明の第3A形態では、前述のように、前記第1結合物質としてアプタマー、前記第2結合物質として相補性核酸分子、前記標識物質として触媒核酸分子を使用できることから、例えば、熱安定性であり、保存がより容易である。また、前記標識物質として、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素を使用できることから、例えば、感度よくターゲットを分析できる。
【0117】
前記第1室と前記第2室との間の前記第1隔壁、前記第2室と前記第3室との間の前記第2隔壁は、それぞれ、前記第1A形態と同様である。
【0118】
前記第2室は、前記第2試薬として、さらに、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含むことが好ましい。前記吸着担体は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0119】
前記第3室は、例えば、さらに、前記触媒性核酸分子または前記酵素の触媒機能に対する基質を含むことが好ましい。前記基質としては、例えば、ペルオキシダーゼに対する基質、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素に対する基質等があげられる。
【0120】
本発明の第3A形態のターゲット分析用具を用いたターゲット分析方法の一例について、図面を用いて、具体的に説明する。なお、本発明は、この例には制限されない。また、本発明の第3A形態は、特に示さない限り、前記第1Aおよび2A形態の記載を援用できる。
【0121】
図10は、前記第3A形態のターゲット分析用具およびそれを用いたターゲット分析方法の概略を示す図面である。
図10において、
図1と同一箇所には同一符号を付している。ターゲット分析用具3は、第1室11、第2室12、第3室13を有し、第1室11には、アプタマー141に対する相補鎖151にDNAzyme152が付加した標識化相補鎖15が配置され、第2室12には、アプタマー141がビーズ142に固定化された固定化アプタマー14と、シリカ製ビーズ16とが配置されている。第1室11と第2室12との間には、第1隔壁111を有し、第2室12と第3室13との間には、多孔性の第2隔壁121を有する。
【0122】
つぎに、
図10のターゲット分析用具3を使用した分析方法について、
図11を用いて説明する。
図11は、ターゲット分析用具3の使用方法を示す概略図である。
【0123】
まず、ターゲット分析用具3の第1室11に、保持部172に試料を保持させた試料保持用具17を挿入し、第1室11において、試料中のターゲット18と標識化相補鎖15とを混合させる。前記両者の混合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0124】
つぎに、試料保持用具17により、第1隔壁111を破壊し、第1室11内の内容物を第2室12に導入する。そして、前記内容物中のターゲット18を固定化アプタマー14に結合させ、また、固定化アプタマー14のうち、ターゲット18と未結合である固定化アプタマー14を、標識化相補鎖15に結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0125】
第2隔壁121は、固定化アプタマー14を通過せず、標識化相補鎖15を通過する多孔性隔壁であるため、標識化相補鎖15のうち、固定化アプタマー14に未結合のもののみが、第2隔壁121を通過して、第3室13に導入される。また、第2室12には、シリカ製ビーズ16が配置されているため、例えば、試料由来のタンパク質や脂質等の夾雑物19は、シリカ製ビーズ16に吸着され、第3室13への導入が抑制される。そして、第3室13において、標識化相補鎖15について、DNAzyme152の触媒機能を測定することにより、間接的に、試料中のターゲットを分析できる。DNAzyme152の触媒機能の測定は、DNAzyme152の種類に応じて適宜決定できる。
【0126】
また、本発明の第3のターゲット分析用具は、例えば、さらに、前処理室を備えてもよい。前記前処理室は、例えば、前述の説明を援用できる。また、本発明の第3のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有してもよい。前記外筒および前記内筒は、例えば、前述の説明を援用できる。
【0127】
[第4のターゲット分析用具および第4のターゲット分析方法]
本発明の第4のターゲット分析用具および第4のターゲット分析方法について、以下に、具体的に説明する。なお、特に示さない限り、前記第1〜3のターゲット分析用具ならびに前記第1〜3のターゲット分析方法の記載を援用できる。
【0128】
本発明の第4のターゲット分析用具は、前述のように、第1室、第2室および第3室を含み、
前記第1室、前記第2室および前記第3室が、この順序で連続して配置され、
前記第1室は、第1試薬として、ターゲットに結合する第1結合物質に結合する第2結合物質が担体に固定化された固定化第2結合物質を含み、
前記第2室は、第2試薬として、前記第1結合物質に標識物質が結合した標識化第1結合物質を含み、
前記第3室は、前記標識化第1結合物質が検出される検出部であり、
前記第1室と前記第2室との間に、第1隔壁を有し、
前記第2室と前記第3室との間に、第2隔壁を有し、
前記第1室は、その外部から内部に、試料を有する試料保持用具を挿入可能であり、
前記第1隔壁は、前記第1室に挿入された前記試料保持用具の先端を接触させることにより破壊される隔壁であり、
前記第2隔壁は、前記固定化第2結合物質が通過できず、前記標識化第1結合物質(第1の結合体)が通過できる多孔性隔壁である
ことを特徴とする。
【0129】
本発明の第4のターゲット分析方法は、前述のように、前記本発明の第4のターゲット分析用具を使用し、
試料を保持した試料保持用具を前記ターゲット分析用具の前記第1室に挿入後、前記第1室と前記第2室との前記第1隔壁に接触させ、前記第2室に前記試料と前記第1試薬とを導入する工程、
前記第2室において、前記試料と前記第1試薬と前記第2試薬とを接触させ、前記試料中のターゲットと前記第2試薬である前記標識化第1結合物質とが結合した第1結合体を形成させ、且つ前記ターゲットに未結合の前記標識化第1結合物質を前記第
1試薬である前記固定化第2結合物質に結合させる工程、
前記第1結合体を、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁を通過させ、前記第3室に導入する工程、および、
前記第3室において、前記第1結合体における前記標識化第1結合物質を検出する工程を含むことを特徴とする。
【0130】
本発明によれば、まず、前記第1室において、例えば、試料中のターゲットと前記第1試薬である前記固定化第2結合物質とが混合する。そして、前記第1室における前記試料と前記第1試薬との混合物が、前記第2室に導入されると、前記第2室では、前記試料中のターゲットと前記第2試薬である前記標識化第1結合物質とが結合し、且つ、未結合の前記標識化第1結合物質と前記1試薬である前記固定化第2結合物質とが結合する。そして、前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁は、前記固定化第2結合物質が通過できず、前記標識化第1結合物質が通過できる前記多孔性隔壁であるため、前記固定化第2結合物質は、前記隔壁を通過せずに前記第2室に残る。つまり、前記固定化第2結合物質に結合した前記標識化第1結合物質は、前記第3室に移動することなく前記第2室に残る。他方、前記固定化第2結合物質に未結合の遊離した前記標識化第1結合物質、すなわち前記第1結合体を形成している前記標識化第1結合物質は、前記隔壁を通過して前記第3室に導入される。本発明のターゲット分析用具における前記標識化第1結合物質は、例えば、既知量とすることができるため、前記固定化第2結合物質に未結合の前記標識化第1結合物質の量は、前記試料中のターゲット量と間接的に対応することになる。このため、前記第3室に導入された前記未結合の標識化第1結合物質を検出することによって、間接的に、前記試料中のターゲットの有無または量を分析することができる。
【0131】
本発明において、分析とは、例えば、前記ターゲットの有無を判断する定性分析でもよいし、前記ターゲットの量を判断する定量分析でもよい。
【0132】
本発明において使用するターゲットに結合する第1結合物質は、前述のように、例えば、ターゲットに結合すればよく、その種類は、特に制限されない。前記第1結合物質の具体例としては、例えば、アプタマー、抗体等があげられる。以下に、本発明の第4のターゲット分析用具および前記第4のターゲット分析方法について、アプタマーを使用する第4A形態を、例にあげて説明する。
【0133】
本発明の第4A形態は、前記標識化第1結合物質における前記第1結合物質として、前記アプタマーを使用する形態であり、前記アプタマーは、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0134】
前記固定化第2結合物質における前記第2結合物質は、前記アプタマーに結合可能であればよく、例えば、前記アプタマーに相補的な核酸分子があげられる。前記アプタマーに相補的な核酸分子は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0135】
前記標識化第1結合物質における前記標識物質は、例えば、触媒機能を示す触媒核酸分子または酵素が好ましく、前記触媒核酸分子および前記酵素は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0136】
前記固定化第2結合物質における前記担体は、例えば、ビーズがあげられる。前記ビーズは、例えば、前記第1A形態と同様である。前記担体が前記ビーズの場合、前記担体(ビーズ)に固定化するアプタマーの量は、特に制限されず、例えば、前記ビーズの表面積1mm
2あたり、0.1fmol〜100pmol、1fmol〜10pmol、10fmol〜1pmolである。
【0137】
本発明の第4A形態では、前述のように、前記第1結合物質としてアプタマー、前記第2結合物質として相補性核酸分子、前記標識物質として触媒核酸分子を使用できることから、例えば、熱安定性であり、保存がより容易である。また、前記標識物質として、例えば、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等の酵素を使用できることから、例えば、感度よくターゲットを分析できる。
【0138】
前記第1室と前記第2室との間の前記第1隔壁、前記第2室と前記第3室との間の前記第2隔壁は、それぞれ、前記第1A形態と同様である。
【0139】
前記第2室は、前記第2試薬として、さらに、タンパク質および脂質の少なくとも一方を吸着する吸着担体を含むことが好ましい。前記吸着担体は、例えば、前記第1A形態と同様である。
【0140】
前記第3室は、例えば、さらに、前記触媒性核酸分子または前記酵素の触媒機能に対する基質を含むことが好ましい。前記基質としては、例えば、ペルオキシダーゼに対する基質、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素に対する基質等があげられる。
【0141】
本発明の第4A形態のターゲット分析用具を用いたターゲット分析方法の一例について、図面を用いて、具体的に説明する。なお、本発明は、この例には制限されない。また、本発明の第4A形態は、特に示さない限り、前記第1〜3A形態の記載を援用できる。
【0142】
図12は、前記第4A形態のターゲット分析用具およびそれを用いたターゲット分析方法の概略を示す図面である。
図12において、
図3と同一箇所には同一符号を付している。ターゲット分析用具4は、第1室11、第2室12、第3室13を有し、第1室11には、アプタマー241に対する相補鎖251がビーズ252に固定化された固定化相補鎖25が配置され、第2室12には、アプタマー241にDNAzyme242が付加した標識化アプタマー24と、シリカ製ビーズ16とが配置されている。第1室11と第2室12との間には、第1隔壁111を有し、第2室12と第3室13との間には、多孔性の第2隔壁121を有する。第1室11と第2室12との間には、第1隔壁111を有し、第2室12と第3室13との間には、多孔性の第2隔壁121を有する。
【0143】
つぎに、
図12のターゲット分析用具4を使用した分析方法について、
図13を用いて説明する。
図13は、ターゲット分析用具4の使用方法を示す概略図である。
【0144】
まず、ターゲット分析用具4の第1室11に、保持部172に試料を保持させた試料保持用具17を挿入し、第1室11において、試料中のターゲット18と固定化相補鎖25とを混合させる。前記両者の混合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0145】
つぎに、試料保持用具17により、第1隔壁111を破壊し、第1室11内の内容物を第2室12に導入する。そして、前記内容物中のターゲット18を標識化アプタマー24に結合させ、また、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。前記両者の結合の処理条件は、特に制限されず、温度が、例えば、4〜37℃、時間が、例えば、10秒〜30分である。
【0146】
第2隔壁121は、固定化相補鎖25を通過せず、標識化アプタマー24を通過する多孔性隔壁であるため、標識化アプタマー24のうち、固定化相補鎖25に未結合のもののみが、第2隔壁121を通過して、第3室13に導入される。また、第2室12には、シリカ製ビーズ16が配置されているため、例えば、試料由来のタンパク質や脂質等の夾雑物19は、シリカ製ビーズ16に吸着され、第3室13への導入が抑制される。そして、第3室13において、標識化アプタマー24について、DNAzyme242の触媒機能を測定することにより、間接的に、試料中のターゲットを分析できる。DNAzyme242の触媒機能の測定は、DNAzyme242の種類に応じて適宜決定できる。
【0147】
また、本発明の第4のターゲット分析用具は、例えば、さらに、前処理室を備えてもよい。前記前処理室は、例えば、前述の説明を援用できる。また、本発明の第4のターゲット分析用具は、例えば、外筒と内筒とを有してもよい。前記外筒および前記内筒は、例えば、前述の説明を援用できる。
【実施例】
【0148】
(実施例1)
前記第1A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図1および
図2に示すように、第2室12にシリカ製ビーズ16を配置することで、タンパク質等の夾雑物を付着させ、前記夾雑物が前記第3室13に導入することを抑制できる。そこで、本実施例においては、シリカ製ビーズ16により夾雑物であるタンパク質が除去されることを確認した。
【0149】
(1)タンパク質の除去の確認1
緩衝液として、2×buffer(80mmol/L HEPES、250mmol/L NaCl、10mmol/L KCl、2mmol/L MgCl
2、0.1% Tween20)を使用した。夾雑物のタンパク質として、ヒトα−トロンビンを使用し、前記ヒトα−トロンビンが200ppmとなるように、50%グリセロールに添加して、トロンビン液を調製した。シリカ製ビーズ(商品名Silicon dioxide、SIGMA社製)が1g/mLの濃度となるように、蒸留水に添加して、シリカ製ビーズ液を調製した。
【0150】
前記緩衝液25μLに、前記ヒトα−トロンビンが終濃度100ppmとなるように前記トロンビン液を添加し、さらに、前記シリカ製ビーズ液5μLを混合し、前記混合液中、前記ヒトα−トロンビンを前記シリカ製ビーズに吸着させた。そして、前記混合液を遠心(11,000G、1分)し、前記シリカ製ビーズを除去して液体画分を回収した。前記液体画分について、前記ヒトα−トロンビンの検出を行った。前記ヒトα−トロンビンの検出は、前記液体画分について、分光光度計(商品名NanoDrop、Thermo SCIENTIFIC社、以下同様)を用いて、230〜330nmの波長で吸光度を測定することにより行った。コントロールとして、前記緩衝液25μLに前記トロンビン液25μLを添加した、100ppmのヒトα−トロンビンを含む液について、吸光度を測定した。
【0151】
この結果を
図6に示す。
図6は、前記液体画分の吸光度を示すグラフであり、シリカ製ビーズで処理した液体画分の結果と、100ppmの前記ヒトα−トロンビン液の結果とを示す。
図6に示すように、100ppmのヒトα−トロンビン液は、280nm付近で吸収が見られた。これに対して、シリカ製ビーズで処理した前記液体画分は、280nm付近の吸収が見られなかったことから、ヒトα−トロンビンが前記シリカ製ビーズに吸着したことで除去されたといえる。
【0152】
(2)タンパク質の除去の確認2
前記(1)において、前記シリカ製ビーズによって、夾雑物であるタンパク質が除去できることがわかった。他方、ターゲットに対する第1結合物質として、アプタマー等の核酸分子を使用し、前記第1結合物質に結合する第2結合物質として、前記アプタマーに相補的な核酸分子を使用する場合がある。そこで、前記核酸分子が前記シリカ製ビーズによって除去されないことを確認した。
【0153】
前記核酸分子として、下記配列のDNA分子を使用した。
DNA分子(配列番号1)
5’-AAAAACCAACCACACCAACC-3’
【0154】
前記緩衝液25μLに、前記ヒトα−トロンビン濃度が終濃度100ppmとなるように前記トロンビン液25μLを添加し、つぎに、終濃度25μmol/Lとなるように前記DNA分子を添加し、さらに、前記シリカ製ビーズ液5μLを混合し、前記混合液中、前記ヒトα−トロンビンを前記シリカ製ビーズに吸着させた。そして、前記混合液を遠心(11,000G、1分)し、前記シリカ製ビーズを除去して液体画分を回収した。前記液体画分について、前記分光光度計を用いて、230〜330nmの波長で吸光度を測定した。コントロール1として、前記緩衝液25μLに前記トロンビン液および前記DNA分子を添加した、100ppmのヒトα−トロンビンおよび25μmol/LのDNA分子を含む液1、コントロール2として、前記緩衝液50μLに、終濃度25μmol/Lとなるように前記DNA分子を添加した液2について、それぞれ、吸光度を測定した。
【0155】
この結果を
図7に示す。
図7は、前記液体画分の吸光度を示すグラフであり、100ppmシリカ製ビーズで処理した液体画分の結果、ならびに、コントロール1および2の結果を示す。
図7に示すように、コントロール1(100ppm トロンビン+25μmol/L DNA)は、タンパク質(トロンビン)と核酸(DNA分子)とを含むため、広い波長域において、最も高い吸光度を示した。これに対して、タンパク質と核酸とを含む混合液を前記シリカ製ビーズで処理した液体画分は、タンパク質のみが前記シリカ製ビーズによって除去されたことから、核酸のみを含むコントロール2(25μmol/L DNA)と重なる吸光度曲線が得られ、260nmに吸収を示したことから、DNAを検出できることがわかった。
【0156】
(実施例2)
前記第1A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図2に示すように、第2室12おいて、固定化アプタマー14のアプタマー141と標識化相補鎖15の相補鎖151とを結合させ、標識化相補鎖15のうち固定化アプタマー14に未結合の標識化相補鎖15のみを、第3室に導入する。そこで、本実施例においては、ターゲットであるタンパク質の存在下で処理を行い、最終的に回収される相補鎖の量を確認した。
【0157】
(1)固定化アプタマー
ビーズにアプタマーを結合させて、固定化アプタマーを作製した。前記ビーズは、ストレプトアビジンが付加された磁性ビーズ(商品名Dynabeads MyOne streptavidin C1、Invitrogen社製)を使用し、前記アプタマーは、3’末端にビオチンと5塩基のチミンとを付加した下記配列からなる、トロンビンに結合するトロンビンアプタマー(TA−3bio)を使用した。前記固定化アプタマーは、前記磁性ビーズ2mgあたりに1000pmolの前記トロンビンアプタマーを固定化した。
トロンビンアプタマー(配列番号2)
5’-GGTTGGTGTGGTTGGTTTTT-3’
【0158】
(2)相補鎖
前記トロンビンアプタマーに対する相補鎖を作製した。
相補鎖(配列番号3)
5’-AAAAACCAACCACACCAACC-3’
【0159】
(3)方法
前記固定化アプタマーを、前記緩衝液に添加して、固定化アプタマー液を調製した。前記相補鎖を蒸留水に添加して、相補鎖液を調製した。シリカ製ビーズ(商品名Silicon dioxide、SIGMA社製)が1g/mLの濃度となるように、蒸留水に添加して、シリカ製ビーズ液を調製した。ターゲットタンパク質として、ヒトα−トロンビンを使用し、前記ヒトα−トロンビンを50%グリセロールに添加して、トロンビン液を調製した。
【0160】
前記緩衝液25μLに、前記固定化アプタマー由来のアプタマー量が1000pmolとなるように前記固定化アプタマー液100μLを添加し、前記ヒトα−トロンビンの終濃度が所定濃度(0、1、3、10、30、100ppm)となるように前記トロンビン液25μLを添加し、これらを室温(25℃前後)で10分、混合した。これにより、前記固定化アプタマーをターゲットタンパク質のヒトα−トロンビンに結合させた。この混合液に、さらに、前記固定化アプタマー由来のアプタマー量と同量の相補鎖量(25μmol/L)となるように、前記相補鎖液100μL(前記相補鎖1000pmol)を添加して、室温で10分、混合した。これにより、前記ターゲットタンパク質と未結合の前記固定化アプタマーのアプタマーに、前記相補鎖を結合させた。そして、この混合液から50μLをサンプリングし、前記シリカ製ビーズ液5μLを混合した。そして、前記混合液を遠心(11,000G、1分)し、前記シリカ製ビーズを除去して液体画分を回収した。前記液体画分について、前記分光光度計を用いて、230〜330nmの波長で吸光度を測定した。また、コントロールとして、前記相補鎖を蒸留水に添加して、終濃度25μmol/Lの相補鎖液を調製し、その吸光度を測定した。
【0161】
前記回収した液体画分には、前記固定化アプタマーに未結合の前記相補鎖が含まれるため、前記液体画分の吸光度は、未結合の前記相補鎖の吸光度(C)と言える。他方、終濃度25μmol/Lの相補鎖液の吸光度は、前記固定化アプタマーに接触させる前の全相補鎖の吸光度(I)と言える。そこで、前記液体画分における回収した前記相補鎖の吸光度(C)を、前記固定化アプタマーと反応させる前の前記相補鎖の吸光度(I)で割ることにより、最初に添加した前記相補鎖(I)に対する回収された前記相補鎖(C)の割合(100×[C/I]、単位%)を求めた。
【0162】
この結果を
図8に示す。
図8は、前記ヒトα−トロンビン濃度と前記割合%との関係を示すグラフである。
図8に示すように、ターゲットタンパク質であるトロンビン濃度の上昇にしたがって、回収される相補鎖の量が上昇した。このことから、前記アプタマーと前記アプタマーに相補的な相補鎖を用いることで、ターゲットの検出が可能であることがわかった。
【0163】
(実施例3)
前記第2A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図4に示すように、第1室11おいて、標識化アプタマー24のアプタマー241と、試料保持用具17の試料内のターゲット18とを結合させ、第2室12において、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。そこで、本実施例においては、試料保持器具17の綿棒で試料を取得し、前記順序で反応させた際にターゲットの量を測定できることを確認した。
【0164】
(1)試料
市販のピーナッツ(種子)について、ミルにより粉砕した。得られた粉末5gを20mLのSB1T緩衝液と混合後、振盪機用い、室温(25℃前後、以下同様)、90−110rpmの条件で1分間振盪した。前記SB1T緩衝液の組成は、40mmol/L HEPES(pH7.4)、125mmol/L NaCl、5mmol/L KCl、1mmol/L MgCl
2、0.005(v/v)% Tween(登録商標)20とした。
【0165】
前記振盪後の混合液について、10000g、室温の条件で、30分間遠心した。つぎに、上清を回収後、前記上清について、フィルター(孔径0.8μm)を用いてろ過し、ピーナッツ抽出液を調製した。そして、前記ピーナッツ抽出液について、タンパク質濃度測定キット(Protein Assay reagent、Bio-Rad社製)を用いて、タンパク質濃度を定量した。
【0166】
(2)標識化アプタマー
ストレプトアビジンが付加されたルシフェラーゼ(Streptavidin Lucia 、Invivogen社製)に、ビオチン化アプタマーを結合させて、標識化アプタマーを作製した。前記アプタマーは、5’末端にビオチンを付加した下記配列からなる、ピーナッツアレルゲンに結合するピーナッツアプタマーを使用した。前記標識化アプタマーは、前記ストレプトアビジン100pmolあたりに400pmolの前記アプタマーを固定化した。
ピーナッツアプタマー(配列番号4)
5’-GGATATTGCCTCGCCACAGTTAAGTCAGGTGGTTGGTTATGGTTGGGACTGACTCTCTACAGGGAACGCTCGGATTATC-3’
【0167】
(3)固定化相補鎖
ビーズに相補鎖を結合させて、固定化相補鎖を作製した。前記ビーズは、ストレプトアビジンが付加された磁性ビーズ(MyOne SA beads、Invirogen社製)を使用し、前記アプタマーは、5’末端にビオチンを付加した下記配列からなる、相補鎖を使用した。前記固定化相補鎖は、前記磁性ビーズ1mgあたりに500pmolの前記相補鎖を固定化した。
相補鎖(配列番号5)
5’-AAAAAAAAAAAAAAAAAAAATAGAGAGTCAGTCCCAACCA-3’
【0168】
(4)方法
前記標識化アプタマーを、前記緩衝液に添加して、標識化アプタマー液を調製した。また、前記固定化相補鎖を蒸留水に添加して、固定化相補鎖液を調製した。
【0169】
ピーナッツタンパク質濃度が、所定濃度(0、1、10、100、1000または7700ppm)となるように、前記ピーナッツ抽出液を前記SB1T緩衝液で希釈し、サンプルを調製した。前記サンプル100μLをアルミ箔に塗布後、綿棒でアルミ箔をぬぐった。前記綿棒を前記SB1T緩衝液400μLと接触させ、室温で1分間インキュベートすることにより、前記綿棒に保持されているターゲットを抽出し、抽出液を得た。前記抽出液25μLに、前記標識化アプタマー由来のアプタマー量が1pmolとなるように前記標識化アプタマー液25μLを添加し、これらを室温で1分、混合した。これにより、前記標識化アプタマーをターゲットタンパク質のピーナッツアレルゲンに結合させた。この混合液に、さらに、前記標識化アプタマー由来のアプタマー量と同量の相補鎖量(10μmol/L)となるように、前記固定化相補鎖液4μL(前記相補鎖40pmol)を添加して、室温で4分、混合した。これにより、前記ターゲットタンパク質と未結合の前記標識化アプタマーのアプタマーに、前記固定化相補鎖を結合させた。
【0170】
つぎに、得られた混合液を磁気ホルダーに設置し、前記磁性ビーズの画分と、前記磁性ビーズ以外の画分とに分離し、後者を回収した。そして、前記上清30μLに、基質液30μL(Quanti-Luc(商標)、Invivogen社製)を添加後ピペッティングし、プレートリーダー(Infinite M1000 Pro、TECAN社製)により、各サンプルの発光量を測定した。
【0171】
この結果を
図14に示す。
図14は、発光量を示すグラフである。
図14において、横軸は、前記抽出液と前記標識化アプタマーとを混合後の混合液におけるピーナッツタンパク質濃度を示し、縦軸は、発光量を示す。
図14に示すように、ピーナッツタンパク質の濃度依存的に、発光量が増加した。このことから、試料保持器具17の綿棒で試料を取得し、前記順序で反応させることでターゲットの量を測定できることがわかった。
【0172】
(実施例4)
前記第2A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図4に示すように、第1室11おいて、標識化アプタマー24のアプタマー241と、試料保持用具17の試料内のターゲット18とを結合させ、第2室12において、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。そして、標識化アプタマー24とターゲット18との第1結合体のみを、第3室に導入する。そこで、本実施例においては、前記順序で反応後、標識化アプタマー24、固定化相補鎖25およびターゲット18の混合物を、第2隔壁121のフィルターを通過させ、得られた溶液中の第1結合体を検出することにより、ターゲットの量を測定できることを確認した。
【0173】
まず、前記磁性ビーズに代えて、ストレプトアビジンが付加されたレジンビーズ(Pierce(商標)Streptavidin Plus UltraLink(商標)Resin、PIERCE社製)を用いた以外は、前記実施例3と同様にして、ピーナッツ抽出液、標識化アプタマー液、および固定化相補鎖液を調製した。
【0174】
ピーナッツタンパク質濃度が、所定濃度(0、0.002、0.01、0.05、0.25、1.25、または6.25ppm)となるように、前記ピーナッツ抽出液を前記SB1T緩衝液で希釈し、サンプルを調製した。前記サンプル25μLに、前記標識化アプタマー由来のアプタマー量が1pmolとなるように前記標識化アプタマー液25μLを添加し、これらを室温で1分、混合した。これにより、前記標識化アプタマーをターゲットタンパク質のピーナッツアレルゲンに結合させた。この混合液に、さらに、前記標識化アプタマー由来のアプタマー量と同量の相補鎖量(4μmol/L)となるように、前記固定化相補鎖液10μL(前記相補鎖40pmol)を添加して、室温で4分、混合した。これにより、前記ターゲットタンパク質と未結合の前記標識化アプタマーのアプタマーに、前記固定化相補鎖を結合させた。得られた混合液について、フィルタープレート(孔径0.22μm、マルチスクリーン(登録商標)、ミリポア社製)を用いて遠心ろ過した。得られたろ液30μLに、前記基質液30μLを添加後ピペッティングし、前記プレートリーダーにより、各サンプルの発光量を測定した。
【0175】
この結果を
図15に示す。
図15は、発光量を示すグラフである。
図15において、横軸は、ピーナッツタンパク質濃度を示し、縦軸は、発光量を示す。
図15に示すように、ピーナッツタンパク質の濃度依存的に、発光量が増加した。このことから、前記順序で反応後、標識化アプタマー24、固定化相補鎖25およびターゲット18の混合物を、第2隔壁121のフィルターを通過させ、得られた溶液中の第1結合体を検出することにより、ターゲットの量を測定できることがわかった。
【0176】
(実施例5)
前記第4A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図13に示すように、第1室11おいて、固定化相補鎖25と試料保持用具17の試料内のターゲット18とを混合し、第2室12において、第1室11の内容物中のターゲット18を標識化アプタマー24に結合させ、また、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。そこで、本実施例においては、前記順序で反応させた際にターゲットの量を測定できることを確認した。
【0177】
まず、前記実施例3と同様にして、ピーナッツ抽出液、標識化アプタマー液、および固定化相補鎖液を調製した。
【0178】
ピーナッツタンパク質濃度が、所定濃度(0、0.002、0.01、0.05、0.25、1.25、6.25)となるように、前記ピーナッツ抽出液を前記SB1T緩衝液で希釈し、サンプルを調製した。前記サンプル25μLに、前記固定化相補鎖由来の相補鎖量が1pmolとなるように前記固定化相補鎖液25μLを添加し、これらを室温で1分、混合した。この混合液に、さらに、前記固定化相補鎖由来の相補鎖量と同量のアプタマー量(10μmol/L)となるように、前記標識化アプタマー液4μL(前記アプタマー40pmol)を添加して、室温で4分、混合した。これにより、前記標識化アプタマーをターゲットタンパク質のピーナッツアレルゲンに結合させ、また、前記ターゲットタンパク質と未結合の前記標識化アプタマーのアプタマーに、前記固定化相補鎖を結合させた。
【0179】
つぎに、得られた混合液を磁気ホルダーに設置し、前記磁性ビーズの画分と、前記磁性ビーズ以外の画分とに分離し、後者を回収した。そして、前記上清30μLに、前記基質液30μLを添加後ピペッティングし、前記プレートリーダーにより、各サンプルの発光量を測定した。
【0180】
この結果を
図16に示す。
図16は、発光量を示すグラフである。
図16において、横軸は、ピーナッツタンパク質濃度を示し、縦軸は、発光量を示す。
図16に示すように、ピーナッツタンパク質の濃度依存的に、発光量が増加した。このことから、前記順序で反応させた際にターゲットの量を測定できることがわかった。
【0181】
(実施例6)
前記第2A形態のターゲット分析用具は、例えば、前記
図4に示すように、第1室11おいて、標識化アプタマー24のアプタマー241と、試料保持用具17の試料内のターゲット18とを結合させ、第2室12において、標識化アプタマー24のうち、ターゲット18と未結合である標識化アプタマー24を、固定化相補鎖25に結合させる。そして、標識化アプタマー24とターゲット18との第1結合体のみを、第3室に導入する。そこで、本実施例においては、前記順序で反応後、標識化アプタマー24、固定化相補鎖25およびターゲット18の混合物を、第2隔壁121のフィルターを通過させ、得られた溶液中の第1結合体を検出することにより、ターゲットの量を測定できることを確認した。
【0182】
前記ピーナッツの粉末と前記SB1T緩衝液とを混合後、終夜(約16時間)振盪した以外は、前記実施例3と同様にして、ピーナッツ抽出液2を調製し、タンパク質濃度を定量した。また、実施例3と同様にして、標識化アプタマー液および固定化相補鎖液を調製した。
【0183】
前記ピーナッツ抽出液2を、前記標識化アプタマー液および前記固定化相補鎖液との混合後の反応液におけるタンパク質濃度が、所定濃度(0、1.25、5、20または80ppm)となるように、前記SB1T緩衝液で希釈し、ピーナッツ希釈液を調製した。つぎに、チューブに、40μLの前記固定化相補鎖液および160μLの前記SB1T緩衝液を添加し、希釈固定化相補鎖液を調製した。また、別のチューブに、250μLの前記標識化アプタマー液を添加し、さらに、250μLの前記ピーナッツ希釈液をチューブに添加した。前記添加後、攪拌した。さらに、前記チューブに、200μLの前記希釈固定化相補鎖液を添加後、攪拌し、室温で1分間インキュベートした。
【0184】
前記インキュベート後の反応液について、5mLのシリンジと、フィルター(孔径0.45μm)を用いてろ過し、800μLの前記基質液が予め添加された測定容器にろ液を回収した。前記回収後、前記測定容器を攪拌し、30秒〜1分インキュベートした。そして、ルミノメーター(Clean-Trace(商標)、3M社製)を用い、前記測定容器中の測定サンプルの発光量を測定した。
【0185】
これらの結果を
図17に示す。
図17は、発光量を示すグラフである。
図17において、横軸は、タンパク質濃度を示し、縦軸は、発光量を示す。
図17に示すように、ピーナッツタンパク質の濃度依存的に、発光量が増加した。このことから、前記順序で反応後、標識化アプタマー24、固定化相補鎖25およびターゲット18の混合物を、第2隔壁121のフィルターを通過させ、得られた溶液中の第1結合体を検出することにより、ターゲットの量を測定できることがわかった。
【0186】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0187】
この出願は、2015年1月22日に出願された日本出願特願2015−010514および2015年7月22日に出願された日本出願特願2015−145280を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。