(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載の画像データ変換装置において、前記判定手段は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク数、ピーク位置、及び画素の偏りに基づいて、前記画像パターンの判定を行う画像データ変換装置。
請求項1または2に記載の画像データ変換装置において、前記判定手段は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク位置に基づいて、前記画像パターンの判定を行う画像データ変換装置。
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像データ変換装置において、前記画像データ変換手段による前記画像データ変換後に、前記グレースケール化された画像データを前記グレースケール化された画像データよりも階調のすくない画像データに変換する画像データ変換装置。
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像データ変換装置において、前記ヒストグラムは、移動平均によって凹凸が平滑化されたヒストグラムである画像データ変換装置。
請求項8に記載の画像データ変換用プログラムを記憶部に記憶し、CPUが該画像データ変換用プログラムに基づいて前記カラー画像データをグレースケール化して白黒画像データに変換するコンピュータ。
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像データ変換装置と、該画像データ変換装置で変換された白黒画像データを用いて印刷を行う印刷部と、を備えたPOS端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態の説明に先立って、本願発明の前提となる技術について説明する。
【0018】
サーマルプリンタ等のプリンタでは印刷の階調数に制限があり、写真やイラスト等を印刷する場合、プリンタに合わせて画像変換(モノクロ16階調に画像変換)する必要がある。
【0019】
しかし、画像変換の際、単純にモノクロ16階調化しても画像が綺麗に印刷できないことが多い。この場合、画像補正で改善可能であるが、
・画像補正に対する知識が必要である。
【0020】
・カット&トライで、手動で補正値を決定する煩雑な作業が必要である。
等の問題がある。
【0021】
以下、具体的に
図1のフローチャートを用いて、本発明の前提技術となる第1の画像データ変換方法を説明する。
図1に示すように、画像ファイルを受け付けると(ステップS1001)、白黒256階調のグレースケールに変換後(ステップS1002)、コントラスト補正を行い(ステップS1003)、ガンマ補正を行い(ステップS1004)、ディザ補正と256階調から16階調への変換を行う(ステップS1005)。その後、テスト印字を行い(ステップS1006)、綺麗に印字ができない場合には、ステップS1002からステップS1005の各処理の設定を手動で変更し、ステップS1002からステップS1005の各処理を行う。そして、綺麗に印字ができるまで、ステップS1002からステップS1005の各処理の設定の変更と、ステップS1002からステップS1005の各処理を繰り返す。綺麗に印字ができた場合には、サーマル用紙用画像ファイルの生成を完了する(ステップS1007)。
【0022】
なお、グレースケール化とは、カラー画像データを白から黒の明暗だけで表現した画像データに変換することであり、変換方法には以下のようなものがある。
【0023】
・NTSC系加重平均…RGBの各画素に重みづけを行い平均したグレースケールの値に変換する。
【0024】
・中間値法…RGBの各画素の最大値と最小値の平均をグレースケールの値に変換する。
【0025】
・単純平均法…RGBの各画素の平均値をグレースケールの値に変換する。
【0026】
コントラスト補正とは、明るい部分と暗い部分の輝度の差を補正することである。コントラストが高いと表現されるものは、白と黒がはっきり分かれているように見え、コントラストが低いと表現されるものは、白と黒がわかりにくくどちらも同じグレーに見える。
【0027】
ガンマ補正とは、画像などの色のデータと、実際に出力される時の信号の相対関係を調節して、元データにできるだけ忠実な画像を得るための補正である。ガンマ値は通常の値を1とする。ガンマ値が、1を上回る場合は黒つぶれした画像となり、1を下回る場合は白飛びした画像となる。
【0028】
ディザ補正とは、表示色数の制限を補って色の階調を滑らかに表現する補正である。誤差拡散法はディザ補正の一つであり、デジタルカメラやイメージスキャナ、プリンタ、FAXなどで使われる。誤差拡散法では、表示できる色の階調が限られていて、それより細かい階調(色数)を表現したいときに、画像を細かい点の集まりとして表現し、色が濃い部分は色の濃い点を密集させ、色の薄い部分は点の密度を下げる。これにより、実際の色数よりも多い色数で表現したように見える。
【0029】
上記第1の画像データ変換方法は以下の問題点がある。
・各補正項目の効果を知る必要がある。
・ステップS1002からステップS1005の各処理の設定を手動で行う必要がある。
・綺麗な結果を得るために各処理を、カット&トライで繰り返す必要がある。
・ステップS1002からステップS1005は簡易的な画像補正のため、補正に限界がある。高度な補正を行う場合には、外部のツールを別途用意する必要がある。
【0030】
上記第1の画像データ変換方法を用いた場合、輝度に偏りがある画像を印刷すると、輝度全域に対して16階調の色を割り当てるため、画像に使用される階調数が少なくなってしまい、色が潰れて見辛い印刷となってしまう。
図2はカラー画像の256階調から白黒画像の16階調へグレースケール変換した場合のヒストグラムを示す説明図である。このような画像データ変換方法に対しては、プリンタの階調数全域を使用するように画像補正する改善が有効と考えられる。
【0031】
次に、本発明の前提となる第2の画像データ変換方法について
図3のフローチャートを用いて説明する。第2の画像データ変換方法は、手動で設定している画像補正を自動化したものである。
【0032】
図3に示すように、画像ファイルを受け付けると(ステップS2001)、白黒256階調のグレースケールに変換後(ステップS2002)、ヒストグラム伸張を行い(ステップS2003)、ディザ補正と256階調から16階調への変換を行い(ステップS2004)、サーマル用紙用画像ファイルの生成を完了する(ステップS2005)。
【0033】
第2の画像データ変換方法は、第1の画像データ変換方法の改善策として画像補正にヒストグラム伸張を採用した。ここでは、グレースケール変換方法を次式(数1)で示すNTSC系加重平均としている。
【0035】
Y:輝度値、R:赤色成分、G:緑色成分、B:青色成分
グレースケール変換は、他の方法(中間値法や単純平均法)でも可能である。
【0036】
第2の画像データ変換方法では、画像補正にヒストグラム伸張を採用している。
【0037】
ヒストグラム伸張とは、
図4に示すように、画像のヒストグラムから伸張する範囲を決め、その範囲の伸張を行うことにより、コントラストが強調された画像に補正する手法である。第1の画像データ変換方法で用いたコントラスト補正は、補正幅に限度がある変換方法であるが、ヒストグラム伸張を行うとより強いコントラストが得られる。そして、
図5に示すように、ヒストグラム伸張によるコントラスト強調によって、第1の画像データ変換方法から見違えるほどの明瞭な画像から得られる。
【0038】
しかしながら、
図6に示すように、全体的に明るい画像または暗い画像の一部の画像では、ヒストグラム伸張を行った場合に伸張範囲がかなり広くなってしまい、過剰な画像変換となってしまう問題がある。
【0039】
白飛びや黒つぶれが発生してしまう原因はヒストグラム伸張を行う範囲に問題がある。画素の割合に基づいて伸張する範囲を決めているので、さまざまな画像に対応できるが、それが原因で過剰な伸張範囲になってしまう場合がある。
【0040】
図7に示すように、全体的に明るい画像をヒストグラム伸張すると、全体画素数の黒側5%の位置から伸張を行うので、本来の輝度から離れた輝度の位置まで伸張されてしまい、黒ずんでしまう。
【0041】
図8に示すように、全体的に暗い画像でも、ヒストグラム伸張で全体画素数の白側5%の位置から伸張を行うので、本来の輝度から離れた輝度の位置まで伸張されてしまって、白飛びが発生する。
【0042】
本来の輝度からかけ離れた位置まで伸張を行ってしまい、白飛びや黒つぶれなどが発生してしまうので、ヒストグラム伸張を行っても一部の画像ではその効果が得られない。
【0043】
以下、上記前提技術の課題を解決する本発明の一実施形態の画像データ変換装置について説明する。
【0044】
(第1の実施形態)
図9は本発明の第1の実施形態の画像データ変換装置の一構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、本実施形態の画像データ変換装置は、グレースケール変換部11、ヒストグラム生成部12、画像パターン判定部13、画像パターン別変換処理部14、及びディザ処理・16階調変換部15を備えている。
【0045】
図10は画像パターン判定部13、画像パターン別変換処理部14の構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、画像パターン判定部13は、ピーク検出部131、画素偏り検出部132、及び画像パターン判定部133を備えている。画像パターン別変換処理部14は第1画像データ変換部141〜第6画像データ変換部146の6つの画像データ変換部を備えている。第1画像データ変換部141〜第6画像データ変換部146は後述する画像パターンP1〜P6の画像データ変換処理をそれぞれ行う。
【0046】
図9及び
図10に示した画像データ変換装置はハードウェアで構成される。ハードウェアで構成する場合、
図9及び
図10に示す、画像データ変換装置の構成部の一部又は全部を、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路(IC)で構成することができる。
【0047】
図9に示した画像データ変換装置の一部又は全部の機能をソフトウェアで実現することができる。また
図10に示した画像パターン判定部13、画像パターン別変換処理部14の一部又は全部の機能をソフトウェアで実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0048】
画像データ変換装置の一部又は全部の機能をソフトウェアで実現する場合には、
図11に示すコンピュータを用いることができる。
【0049】
ソフトウェアで構成する場合、
図9及び
図10に示す、画像データ変換装置の構成部の一部又は全部の機能を、当該機能を記述したプログラムを記憶した、ハードディスク、ROM等の記憶部、液晶ディスプレイ等の表示部、演算に必要なデータを記憶するDRAM等のデータ記憶部、CPU、各部を接続するバスで構成されたコンピュータにおいて、演算に必要な情報をDRAMに記憶し、CPUで当該プログラムを動作させることで実現することができる。このようなコンピュータの構成の一例が
図11に示されている。
【0050】
図11は画像データ変換装置として機能するコンピュータの一構成例を示すブロック図である。
図11に示すように、画像データ変換装置の機能を実現するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)21、表示部22、通信部23、メモリ24(記憶部及びデータ記憶部となる)、I/O(Input/Output)インターフェース25、入力装置26、及びCPU21、通信部23、メモリ24、I/Oインターフェース25を相互に接続するバスライン27を備える。
【0051】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0052】
なお、
図9及び
図10に示した画像データ変換装置はハードウェアで構成されること、画像データ変換装置の一部又は全部の機能をソフトウェアで実現することは後述する第2及び第3の実施形態でも同様である。
【0053】
図12のフローチャートを参照して、本実施形態の画像データ変換装置が行う処理について説明する。
【0054】
画像データ変換装置は画像ファイルを受け付けると(ステップS101)、グレースケール変換部11で白黒256階調のグレースケールに変換後(ステップS102)、画像パターン判定(ステップS103)と画像パターン別変換処理(ステップS104)とを行い、ディザ補正と256階調から16階調への変換を行い(ステップS105)、サーマル用紙用画像ファイルの生成を完了する(ステップS106)。
【0055】
本実施形態の画像データ変換装置では、画像パターン判定処理(ステップS103)と画像パターン別変換処理(ステップS104)を設けている。
【0056】
画像パターン判定処理は、画像の特徴を検出して、画像パターンを判定する処理である。画像パターン別変換処理は、補正処理を判定された画像パターン別に行う処理である。
【0057】
図13のフローチャートを参照して、画像パターン判定処理の詳細について説明する。
【0058】
画像パターン判定は、以下に説明するように、画像のヒストグラムに基づいて画像パターンを判定することによって行う。
【0059】
<画像の特徴を検出するための事前処理>
ヒストグラム生成部12で、画像のヒストグラムを取得し(ステップ201)、画像のヒストグラムから検出用のヒストグラムを生成する(ステップS202)。
【0060】
検出用ヒストグラムの生成は、ヒストグラムのピークを検出するために行われ、
図14に示すように、移動平均によってヒストグラム上の微細な凹凸を平滑化する。
図14の右側のグラフは、検出用ヒストグラムを折れ線グラフで表したものである。これにより、ヒストグラムでの判定時の誤検出を少なくし、適切に画像パターンを判定することが可能となる。ただし、ピーク検出が可能であれば、必ずしも移動平均によって検出用ヒストグラムを生成しなくともよい。
【0061】
移動平均では、対象の輝度値と隣接する前後1つずつの輝度値の画素数を平均した値でグラフを生成する。また、端点である0と255の輝度値の画素数は本来の画素数をそのまま使用する。1〜254の輝度値の画素数は前後1つずつの輝度値の画素数を用いて平均値を算出する。例えば、輝度値160の画素数は輝度値159,160,161の画素数平均値を使用する。
図15に示すように、ヒストグラムを移動平均することによって微細な凹凸を平滑化し、検出用ヒストグラムを生成する。
図15の右側のグラフは、検出用ヒストグラムを折れ線グラフで表したものである。
<画像の特徴の検出>
検出用ヒストグラムから画像の特徴を検出する。ピーク数(最大3点まで)とピーク位置を検出し、画素の偏りを算出して画像の特徴を検出する。具体的には、ピーク検出部131によって、検出用ヒストグラムから、画素数が最大である最高ピーク(最上位ピーク)とその位置(輝度値)の検出を行い(ステップS203)、その他のピーク(最大2点まで)とその位置(輝度値)の検出を行う(ステップS204)。そして、画素偏り検出部132によって画素の偏りを算出する(ステップS205)。
図16は画素数が最大である最高ピークと、画素数が最高ピークよりも少ないいくつかのピークが存在する例を示す図である。なお、輝度値(N(Nは整数))にピークが存在するとは、輝度値(N)の画素数が、輝度値(N−1)の画素数よりも大きく、且つ輝度値(N+1)の画素数よりも大きい場合をいう。また、輝度値0にピークが存在するとは、輝度値0の画素数が、輝度値1の画素数よりも大きい場合をいい、輝度値255にピークが存在するとは、輝度値255の画素数が、輝度値254の画素数よりも大きい場合をいう。
【0062】
ステップS203,S204によって、画像のピーク数とピーク位置を検出し、その後、ステップS205によって、全体の画素の偏りを算出し、算出した値から全体の濃度割合の情報を得る。なお、ステップS205はステップS203、S204と同時に行われてもよく、ステップS203、S204の前に行われてもよい。
【0063】
検出用ヒストグラムにおけるピークの検出は、以下のようにして行う。
【0064】
1.画素数が最大であるものを、最高ピーク(最上位ピーク)として決定する。
【0065】
2.最高ピーク(最上位ピーク)の輝度値の左側(輝度値0の側)で画素数が最大であるものをピークの候補とし、同様に右側(輝度値255の側)で画素数が最大であるものをピークの候補とする。
【0066】
3.左側(輝度値0の側)ピークの候補の画素数と最高ピーク(最上位ピーク)の画素数とを比較し、左側(輝度値0の側)ピークの候補の画素数が、最高ピーク(最上位ピーク)の画素数の10分の1以上であれば、最高ピーク(最上位ピーク)の輝度値の左側(輝度値0の側)に存在する「左側ピーク」として決定し、10分の1未満であればピークとはしない。即ち、10分の1未満であれば、左側ピークは存在しない。
【0067】
4.右側(輝度値255の側)ピークの候補の画素数と最高ピーク(最上位ピーク)の画素数とを比較し、右側(輝度値255の側)ピークの候補の画素数が、最高ピーク(最上位ピーク)の画素数の10分の1以上であれば、最高ピーク(最上位ピーク)の輝度値の右側(輝度値255の側)に存在する「右側ピーク」として決定し、10分の1未満であればピークとはしない。即ち、10分の1未満であれば、右側ピークは存在しない。
【0068】
なお、画素数が最大であるものが複数存在する場合は、輝度値0に最も近いものを最高ピーク(最上位ピーク)とし、最高ピーク(最上位ピーク)としたものと輝度値が連続するものは除き、輝度値255に最も近いものを右側ピークとする。最高ピーク(最上位ピーク)としたものと輝度値が連続するものを含め、輝度値255に最も近いものを右側ピークとするようにしてもよい。
【0069】
また、画素数が同数で左側ピークとなり得るものが複数存在する場合は、輝度値が連続する場合を含み、輝度値0に最も近いものを左側ピークとし、画素数が同数で右側ピークとなり得るものが複数存在する場合は、輝度値が連続する場合を含み、輝度値255に最も近いものを右側ピークとする。
【0070】
図17を参照して、ピークの検出例について説明する。
【0071】
まず、
図17(A)に示すように、検出用ヒストグラムから画素数が最大である最高ピークとその位置を検出し、次に
図17(B)に示すように、最高ピーク位置の左右にある、候補となる、2つのピークとその位置を検出する。候補となるピークの画素数が最高ピークの画素数の10分の1以上であるか、否かによって、ピークとするかどうかを決める。
図17(C)に示すように、図中右側のピークの候補は最高ピークの画素数の10分の1以上であるので右側ピークとする。一方、図中左側のピークの候補は最高ピークの画素数の10分の1未満であるので左側ピークとはしない。
図17の例では、最高ピークと右側ピークが存在し、左側ピークは存在しない。
【0072】
<画像パターンの判定>
図18に示すように、画像パターン判定部133によって、画像パターンは画像のピーク数とピーク位置、全体の画素の偏りに基づいて以下の6種の画像パターンP1〜P6のいずれであるかが判定され(ステップS103)、画像パターン別変換処理部14によって、判定された画像パターンに応じて、画像パターン毎に予め定められている画像データ変換が行われる(ステップS104)。
【0073】
画像パターン判定部133による、画像パターンの判定処理(ステップS206)では、第1に、ヒストグラムの輝度値の閾値T1として輝度値96、閾値T2として輝度値180を設定し、画像のピーク位置がヒストグラムの輝度値の閾値T2以上の範囲に存在するか、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下の範囲に存在するかを判定する。第2に、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上の範囲にピークがいくつ存在するかを判定する。第3にヒストグラムの輝度値の閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上であるか、全体画素数の10%未満であるかを判定し、全体の画素の偏りを判定する。これらの判定結果から、受け付けた画像が以下の6種の画像パターンP1〜P6のいずれであるかが判定される。即ち、受け付けられた画像は、ピーク数とピーク位置、全体の画素の偏りに基づいて、画像パターンP1〜P6のいずれであるか判定される。
【0074】
(1)画像パターンP1(明るい画像)
画像パターンP1は明るい画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に、最高(最上位)ピークのみが存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在しない画像である。
【0075】
(2)画像パターンP2(とても明るい画像)
画像パターンP2はとても明るい画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に、最高(最上位)ピークと左側ピーク、もしくは最高(最上位)ピークと右側ピーク、もしくは最高(最上位)ピークと左側ピークと右側ピークが存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在しない画像である。
【0076】
(3)画像パターンP3(暗い画像)
画像パターンP3は暗い画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下に最高(最上位)ピークが存在し、閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上であり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上にはピークが存在しない画像である。
【0077】
(4)画像パターンP4(とても暗い画像)
画像パターンP4はとても暗い画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下に最高(最上位)ピークが存在し、閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%未満であり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上にはピークが存在しない画像である。
【0078】
(5)画像パターンP5(コントラストが極端な画像)
画像パターンP5はコントラストが極端な画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在する画像である。
【0079】
(6)画像パターンP6(画像パターンP1〜P5に含まれない画像)
画像パターンP5は画像パターンP1〜P5のどの画像パターンにも含まれない画像のパターンである。
【0080】
具体的な画像パターン判定処理の一例について以下に説明する。
【0081】
(A)まず検出用ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのいずれかに最高(最上位)ピークが存在するか否かを検出する。
【0082】
輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在すれば画像パターンP5と判定する。
【0083】
(B)輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在しない場合には、輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのどちらに最高(最上位)ピークがあるかにより以下の処理を行う。
(B−1)
閾値T2以上に最高(最上位)ピークが存在する場合には、更に閾値T2以上に最高ピークの他に1つ以上のピークが存在するか否かを検出する。
【0084】
最高(最上位)ピークのみが存在する場合には画像パターンP1と判定し、最高(最上位)ピークと他のピークが存在する場合には画像パターンP2と判定する。
(B−2)閾値T1以下に最高(最上位)ピークが存在する場合には、更に閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上であるか否かを検出する。
【0085】
閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上である場合には、画像パターンP3と判定し、全体画素数の10%未満である場合には画像パターンP4と判定する。
【0086】
(C)画像パターンP1〜P5のいずれでもない画像は、画像パターンP6と判定する。
【0087】
なお、画像パターンは本実施形態では、画像パターンを上記画像パターンP1からP6の6つの画像パターンに区分しているが、他の条件を加えて、7つ以上の画像パターンに区分してもよく、条件を変更して5つ以下の画像パターンに区分してもよい。例えば、後述する第2の実施形態では、白い画像の画像パターンPA7を加えて、画像パターンを7つの画像パターンとした例を示している。また、第3の実施形態では画像パターンP1(明るい画像)と画像パターンP2(とても明るい画像)とを合わせて画像パターンPB1(明るい画像)とし、画像パターンP3(暗い画像)と画像パターンP4(とても暗い画像)とを合わせて画像パターンPB3(暗い画像)とすることで、画像パターンを4つのパターンとした例を示している。
【0088】
次に、画像パターン別変換処理について説明する。
【0089】
画像パターン別変換処理は、画像データについて、画像パターン別に予め定めた補正を行う処理である。
【0090】
(A)画像パターンP1と画像パターンP2の処理内容
画像パターンP1と画像パターンP2の画像では、ヒストグラム伸張でコントラストを強めようとすると黒ずんだ結果となることが多い。また、ガンマ補正で同じ効果を得ようとした場合、画像全体が黒ずんでしまう。
【0091】
本実施形態の画像データ変換装置では、上記の課題を解決するため、
図19に示すように、輝度値0から所定の範囲S1の輝度値についてはガンマ補正を行い、輝度値255から所定の範囲S2の輝度値については、輝度値255に固定する。このようにすることにより、白のコントラストを維持したまま黒側のコントラストを与えることができる。画像パターンP1の画像データ変換処理は第1画像データ変換部141が行い、画像パターンP2の画像データ変換処理は第2画像データ変換部142が行う。
【0092】
画像パターンP1と画像パターンP2の画像の処理内容の違いは、上記範囲S1とS2の範囲とが異なることである。範囲S1,S2は画像によって変動する。
図19の画像とヒストグラムはカラー画像と画像パターンP1の画像処理後の画像に関するものである。
【0093】
図20に示すように、画像パターンP1は、ヒストグラムの輝度値180(閾値T2=180)以上にピークが1つのみの画像であり、画像データの変換式の数2(数式2)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。変換式の分岐点を示す輝度値Aは全体画素数の白側3%の輝度値であり、輝度値255からの画素数を加算していって全体画素数の3%となったときの輝度値である。この輝度値Aにより上記範囲S1と範囲S2とが決められる。変換式の変換補正係数Acは、Ac=(輝度値180〜255までの合計画素数)/(全体の画素数)で求められる数である。なお、過度な補正を抑えるために、Acの値が0.4未満になる場合はAcを0.5に補正する。
【0095】
図21に示すように、画像パターンP2は、ヒストグラムの輝度値180(閾値T2=180)以上にピークが2つ以上ある場合の画像であり、画像データの変換式の上記数2(数式2)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。画像パターンP2の輝度値の変換が、画像パターンP1の輝度値の変換と異なるのは、変換式の分岐点を示す輝度値Aが全体画素数の白側1%の輝度値であり、輝度値255からの画素数を加算していって全体画素数の1%となったときの輝度値である点である。
【0096】
(B)画像パターンP3と画像パターンP4の処理内容
画像パターンP3と画像パターンP4の画像では、ヒストグラム伸張でコントラストの強めようとすると白飛びする結果となることが多い。また、ガンマ補正で同じ効果を得ようとした場合、画像全体が白けてしまう。
【0097】
本実施形態の画像データ変換装置では、上記の課題を解決するため、
図22に示すように、輝度値255から所定の範囲S3の輝度値についてはガンマ補正を行い、輝度値0から所定の範囲S4の輝度値については、輝度値0に固定する。このようにすることにより、黒のコントラストを維持したまま白側の表現を広げることができる。画像パターンP3の画像データ変換処理は第3画像データ変換部143が行い、画像パターンP4の画像データ変換処理は第4画像データ変換部144が行う。
【0098】
画像パターンP3と画像パターンP4の画像の処理内容の違いは、上記範囲S3とS4の範囲とが異なることである。範囲S3,S4は画像によって変動する。
図22の画像とヒストグラムはカラー画像と画像パターンP4の画像処理後の画像に関するものである。
【0099】
図23に示すように、画像パターンP3は、ヒストグラムの輝度値96(閾値T1=96)以下にピークがあり、輝度値96以上の合計画素数が全体画素数の10%以上の場合の画像であり、画像データの変換式の数3(数式3)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。変換式の分岐点を示す輝度値Aは全体画素数の黒側5%の輝度値であり、輝度値0からの画素数を加算していって全体画素数の5%となったときの輝度値である。この輝度値Aにより上記範囲S3と範囲S4とが決められる。変換式の変換補正係数Acは、Ac=1+(輝度値96〜255までの合計画素数)/(全体の画素数)で求められる数である。なお、過度な補正を抑えるために、Acの値が1.5を超える場合はAcを1.4に補正する。
【0101】
図24に示すように、画像パターンP4は、ヒストグラムの輝度値96(閾値T1=96)以下にピークがあり、輝度値96以上の合計画素数が全体画素数の10%未満の場合の画像であり、画像データの変換式の数3(数式3)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。画像パターンP4の輝度値の変換が、画像パターンP3の輝度値の変換と異なるのは、変換式の分岐点を示す数Aが全体画素数の黒側3%の輝度値であり、輝度値0からの画素数を加算していって全体画素数の3%となったときの輝度値である点である。
【0102】
(C)画像パターンP5の処理内容
画像パターンP5の画像では、コントラストが極端な画像なので、ヒストグラム伸張でコントラストの強めようとすると黒つぶれが目立つことが多い。
【0103】
本実施形態の画像データ変換装置では、上記の問題を解決するため、
図25に示すように、輝度値255から所定の範囲S5の輝度値についてはガンマ補正(緩やかな補正)を行い、輝度値0から所定の範囲S6の輝度値については、輝度値0に固定する。このようにすることにより、黒のコントラストを維持しつつ色の表現を広げることができる。範囲S5,S6は画像によって変動する。画像パターンP5の画像データ変換処理は第5画像データ変換部145が行う。
図25の画像とヒストグラムはカラー画像と画像パターンP5の画像データ変換処理後の画像に関するものである。
【0104】
図26に示すように、画像パターンP5は、ヒストグラムの輝度値96(閾値T1=96)以下と輝度値180(閾値T2=180)以上とに1つずつピークがある場合の画像であり、画像パターンP4と同様に、画像データの変換式の数3(数式3)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。そして、変換式の分岐点を示す数Aは画像パターンP4と同様にして決定され、この数Aにより上記範囲S5と範囲S6とが決められる。変換式の変換補正係数Acも画像パターンP4と同様にして求められ、過度な補正を抑えるために、Acの値が1.5を超える場合はAcを1.4に補正する。
【0105】
(D)画像パターンP6の処理内容
画像パターンP6は画像パターンP1〜P5に含まれない画像であり、以下のような処理を行う。
【0106】
本実施形態の画像データ変換装置では、
図27に示すように、輝度値255から所定の範囲S7の輝度値については輝度値255に固定し、輝度値0から所定の範囲S9の輝度値については輝度値0に固定し、所定の範囲S7とS9との間の範囲S8についてはガンマ補正(Ac=1)を行う。範囲S7,S8,S9は画像によって変動する。画像パターンP6の画像データ変換処理は第6画像データ変換部146が行う。
図27の画像とヒストグラムはカラー画像と画像パターンP6の画像データ変換処理後の画像に関するものである。
【0107】
図28に示すように、画像パターンP6は、画像パターンP1〜P5に含まれない画像であり、画像データの変換式の数4(数式4)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。変換式の第1の分岐点を示す数Aは全体画素数の黒側5%の輝度値であり、輝度値0からの画素数を加算していって全体画素数の5%となったときの輝度値である。変換式の第2の分岐点を示す数Bは全体画素数の白側5%の輝度値であり、輝度値255からの画素数を加算していって全体画素数の5%となったときの輝度値である。これら数A、Bにより上記範囲S7、範囲S8と範囲S9とが決められる。
【0109】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、
図29に示すように、受け付けた画像が7種の画像パターンPA1〜PA7のいずれであるかを判定して画像パターン別変換処理を行う。画像パターンPA7は白い画像のパターンであり、白い画像とは全体的に白い部分が多い画像を意味する。第1の実施形態で画像パターンP1、P2に区分されていた画像パターンは画像パターンPA1、PA2、PA7に区分される。
【0110】
本実施形態の画像データ変換装置の構成は
図9に示した画像データ変換装置の構成と同じであるが、
図10に示す画像パターン別変換処理部14には、画像パターンPA7の画像データ変換処理を行う第7画像データ変換部が追加されている点で異なる。画像パターンPA1〜PA6の画像データ変換処理は
図10の第1画像データ変換部141〜第6画像データ変換部146によってそれぞれ行われ、画像パターンPA7の画像データ変換処理は追加された第7画像データ変換部によって行われる。
【0111】
本実施形態では、画像パターンの判定処理(
図13のステップS206)は、第1に、ヒストグラムの輝度値の閾値T1として輝度値96、閾値T2として輝度値180を設定し、画像の最高(最上位)ピークがヒストグラムの輝度値の閾値T2以上の範囲に存在するか、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下の範囲に存在するかを判定する。第2に、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上の範囲に最高(最上位)ピークの他にピークが存在するか否かを判定する。第3にヒストグラムの輝度値の閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上であるか、全体画素数の10%未満であるかを判定し、全体の画素の偏りを判定する。第4にヒストグラムの輝度値の閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%を以上であるか、全体画素数の15%未満であるかを判定し、全体の画素の偏りを判定する。これらの判定結果から、受け付けた画像が7種の画像パターンPA1〜PA7のいずれであるかが判定される。即ち、受け付けられた画像は、ピーク数とピーク位置、全体の画素の偏りに基づいて、画像パターンPA1〜PA7のいずれであるか判定される。画像パターンPA3〜PA6は第1の実施形態の画像パターンP3〜P6と判定基準が同じなので説明を省略し、以下の説明では、画像パターンPA1、PA2、及びPA7についてのみ説明する。ただし、画像パターンPA6はPA1〜PA5及びPA7に含まれない画像パターンとなる。
【0112】
(1)画像パターンPA1(明るい画像)
画像パターンPA1は明るい画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に最高(最上位)ピークのみが存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在せず、且つ閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%以上の画像である。
【0113】
(2)画像パターンPA2(とても明るい画像)
画像パターンPA2はとても明るい画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に最高(最上位)ピークとその他のピークが1つ以上(例えば、最高ピークと左側ピークもしくは右側ピーク、又は最高ピークと左側ピークと右側ピークの両方)が存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在せず、且つ閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%以上の画像である。
【0114】
(3)画像パターンPA7(白い画像)
画像パターンPA7は白い画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に最高ピークが1つのみの画像、又は最高ピークの他に1つ以上の他のピークがある画像(例えば、最高ピークと左側ピークもしくは右側ピークがある画像、又は最高ピークと左側ピークと右側ピークの両方がある画像)であって、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在せず、閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%未満の画像である。
【0115】
具体的な画像パターン判定処理の一例について以下に説明する。
【0116】
(A)まず検出用ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのいずれかに最高(最上位)ピークが存在するか否かを検出する。
【0117】
輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在すれば画像パターンPA5と判定する。
【0118】
(B)輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在しない場合には、輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのどちらに最高ピークが存在するかを検出する。
(B−1)
閾値T2以上に最高ピークが存在する場合には、更に閾値T2以上に最高ピークの他に1つ以上のピークが存在するか否か、及び閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%以上の画像であるか否かを検出する。
【0119】
最高ピークの他にピークがなく、閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%以上の場合には画像パターンPA1と判定する。最高ピークの他に1つ以上のピークが存在し、閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%以上の場合には画像パターンPA2と判定する。そして、最高ピークが1つのみ存在するか、又は最高ピークと1つ以上の他のピークが存在し、閾値T2未満の合計画素数が全体画素数の15%未満の場合には画像パターンPA7と判定する。
(B−2)閾値T1以下に最高ピークが存在する場合には、更に閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上であるか否かを検出する。
【0120】
閾値T1以下に最高ピークが存在し(最高ピークの他にピークが存在してもよい)、閾値T1以上の合計画素数が全体画素数の10%以上である場合には、画像パターンPA3と判定し、閾値T1以下に最高ピークが存在し、全体画素数の10%未満である場合には画像パターンPA4と判定する。
【0121】
(C)画像パターンPA1〜PA5、PA7のいずれでもない画像は、画像パターンPA6と判定する。
【0122】
次に、画像パターン別変換処理について説明する。
【0123】
画像パターンPA1〜PA6の画像データ別変換処理は第1の実施形態の画像パターンP1〜P6の画像データ別変換処理と以下の点を除いて同じである。
【0124】
画像パターンPA1、PA2の画像データ変換処理において、Acの値は0.5未満になる場合は0.5に補正する点で、画像パターンP1、P2と異なる。また、画像パターンPA3、PA4、PA5の画像データ変換処理において、Acの値は1.5を超える場合は1.5に補正する点で、画像パターンP3、P4、P5と異なる。
【0125】
以下の説明では、画像パターンPA1〜PA6の画像データ別変換処理についての説明は省略し、画像パターンPA7についての画像データ変換処理のみ説明する。
【0126】
(E)画像パターンPA7の処理内容
白い画像では、ヒストグラム伸張でコントラストを強めようとすると薄いグレー表現している部分が真っ黒になる結果が多い。また、ガンマ補正で同じ効果を得ようとした場合、画像全体が黒ずんでしまう。
【0127】
本実施形態の画像データ変換装置では、上記の課題を解決するため、
図30に示すように、輝度値255から所定の範囲S10の輝度値については輝度値255に固定する。所定の範囲S11の輝度値はガンマ補正を行い、所定の範囲S12についてもガンマ補正を行う。輝度値0までの所定の範囲S13の輝度値については、輝度値0に固定する。このようにすることにより、白の表現幅を黒側に広くする。
図30の画像とヒストグラムはカラー画像と画像パターンPA7の画像処理後の画像に関するものである。
【0128】
画像パターンPA7は、ヒストグラムの輝度値180(閾値T2=180)以上に少なくとも最高ピークが存在し、且つ輝度値180未満の画素数が全体の画素数の15%未満の画像である。
【0129】
輝度画像データの変換式の数5(数式5)により、変換前の輝度値Zが変換後の輝度値Z’に変換される。
図31に示す、変換式の分岐点を示す輝度値Aは全体画素数の黒側2%の輝度値であり、輝度値Bは160(固定値)、輝度値Cは全体画素数の白側0.1%の輝度値である。この輝度値A、B、Cにより上記範囲S10から範囲S13が決められる。ただし、輝度値Aは120を超える場合は、値を半分にする。
【0131】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態では、
図32に示すように、受け付けた画像が4種の画像パターンPB1、PB3、PB5、PB6のいずれであるかを判定して画像パターン別変換処理を行う。
【0132】
本実施形態の画像データ変換装置の構成は
図9に示した画像データ変換装置の構成と同じであるが、
図10に示す画像パターン判定部13の画素偏り検出部132と、画像パターン別変換処理部14の第2画像データ変換部142と、第4画像データ変換部144とが削除されている点で異なる。画像パターンPB1の画像変データ換処理は第1画像データ変換部141で行われ、画像パターンPB3の画像データ変換処理は第3画像データ変換部143で行われ、画像パターンPB5、PB6の画像データ変換処理は第5画像データ変換部145、第6画像データ変換部146によってそれぞれ行われる。本実施形態では画素偏り検出は行われないので、画素偏り検出部132は削除されている。
【0133】
本実施形態では、画像パターンの判定処理(
図13のステップS206)は、ヒストグラムの輝度値の閾値T1として輝度値96、閾値T2として輝度値180を設定し、画像の最高(最上位)ピークがヒストグラムの輝度値の閾値T2以上の範囲に存在するか、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下の範囲に存在するかを判定する。この判定結果から、画像パターンは画像の最高(最上位)ピークの位置に基づいて、受け付けた画像が4種の画像パターンPB1、PB3、PB5、PB6のいずれであるかが判定される。画像パターンPB5、PB6は第1の実施形態の画像パターンP5、P6と判定基準が同じなので説明を省略し、以下の説明では、画像パターンPB1、PB3についてのみ説明する。ただし、画像パターンPB6はPB1、PB3、PB5に含まれない画像パターンとなる。
【0134】
(1)画像パターンPB1(明るい画像)
画像パターンPB1は明るい画像のパターンであり、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上に最高(最上位)ピークが存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下にはピークが存在しない画像である。
【0135】
(2)画像パターンPB3(暗い画像)
画像パターンPB3は暗い画像であり、ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下に最高(最上位)ピークが存在し、ヒストグラムの輝度値の閾値T2以上にはピークが存在しない画像である。
【0136】
具体的な画像パターン判定処理は次の通りである。
【0137】
(A)まず検出用ヒストグラムの輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのいずれかに最高(最上位)ピークが存在するか否かを検出する。輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在すれば画像パターンPB5と判定する。
【0138】
(B)輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上の一方に最高(最上位)ピークが存在し、他方に他のピークが存在しない場合には、輝度値の閾値T1以下と閾値T2以上とのどちらに最高ピークが存在するかを検出する。
【0139】
閾値T2以上に最高(最上位)ピークが存在する場合には、画像パターンPB1と判定し、閾値T1以下に最高(最上位)ピークが存在する場合には画像パターンPB3と判定する。
【0140】
(C)画像パターンPB1、PB3、PB5のいずれでもない画像は、画像パターンPB6と判定する。
【0141】
次に、画像パターン別変換処理について説明する。
【0142】
画像パターンPB1、PB3、P5、P6の画像データ別変換処理は第1の実施形態の画像パターンP1、P3、P5、P6の画像データ別変換処理と以下の点を除いて同じである。
【0143】
画像パターンPB1の画像データ変換処理において、Acの値は0.5未満になる場合は0.5に補正する点で、画像パターンP1と異なる。また、画像パターンPB3の画像データ変換処理において、Acの値は1.5を超える場合は1.5に補正する点で、画像パターンP3と異なる。また、画像パターンPB5の画像データ変換処理において、Acの値は1.5を超える場合は1.5に補正する点で、第1の実施形態の画像パターンP5と異なる。
【0144】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態として、画像データ変換装置を搭載したPOS端末装置について説明する。
【0145】
図33に示すように、本実施形態のPOS端末装置は、データ入出力部31、通信部32、画像データ変換部33、印刷部34、及び制御部35を備えている。データ入出力部31は、精算する商品の情報入力やカラー画像データの入力等を行う。通信部32は、他の装置との通信を行う。画像データ変換部33は、カラー画像データを白黒16階調データに変換する。印刷部34は、サーマルプリンタ部、モノクロレーザプリンタ部等の単色プリンタ部であり、レシート等を印刷する。印刷部34は、サーマルプリンタ、モノクロレーザプリンタ等の単色プリンタとして分離し、RS−232CケーブルやUSBケーブル等のケーブルにより、データ入出力部31、通信部32、画像データ変換部33及び制御部35を有する本体部と接続してもよい。制御部35は、データ入出力部31、通信部32、画像データ変換部33、印刷部34の動作を制御する。
【0146】
POS端末装置の動作について説明する。POS端末装置は、データ入出力部31を介して、USBメモリ、SDメモリカード等からカラー画像データを受け付ける。また、POS端末装置は、通信網を経由して通信部32を介して、カラー画像データを受信する。画像データ変換部33には、第1から第3の実施形態の画像データ変換装置のいずれかを用いることができる。POS端末装置は、画像データ変換部33で、データ入出力部31又は通信部32から入力されたカラー画像データを白黒16階調データに変換し、記憶する。POS端末装置は、変換した白黒16階調データを用いて、印刷部34で、レシート等に画像を印刷する。
【0147】
必要に応じて、POS端末装置が、白黒16階調データを、データ入出力部31を介して、USBメモリ、SDメモリカード等に出力したり、通信部32を介して、LAN等の通信網を経由して外部に出力するようにしてもよい。
【0148】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態として、店舗等に設置してある端末装置(パーソナルコンピュータやPOS端末装置等)から通信網を介してカラー画像データファイルを受け付け、サーバの画像データ変換装置で白黒16階調データに変換して端末装置へ送信する画像データ変換システムについて説明する。
【0149】
図34に示すように、本実施形態の画像データ変換システムは、端末装置41と、端末装置41と通信網43を介して接続されるサーバ42とを備えている。端末装置41はパーソナルコンピュータやPOS端末装置であり、データ入出力部411、通信部412、及び制御部413を備えている。データ入出力部411は、USBメモリ、SDメモリカード等からカラー画像データを受け付ける。通信部412は、サーバ42との通信を行う。制御部413はデータ入出力部411、通信部412の動作を制御する。
【0150】
サーバ42は、画像データ変換部421、通信部422、及び制御部423を備えている。通信部422は、端末装置41との通信を行う。画像データ変換部421は、第1から第3の実施形態の画像データ変換装置のいずれかを用いることができ、通信部422を介して入力されたカラー画像データを白黒16階調データに変換する。制御部423は、画像データ変換部421、通信部422の動作を制御する。
【0151】
画像データ変換システムの動作について説明する。端末装置41は、カラー画像データを、通信網43を介してサーバ42に送信する。サーバ42は、受信したカラー画像データを白黒16階調データに変換し、白黒16階調データを端末装置41に送信する。端末装置41は、白黒16階調データを通信部412を介して受信し、データ入出力部411によりUSBメモリ、SDメモリカード等に白黒16階調データを出力する。端末装置41にサーマルプリンタ部、モノクロレーザプリンタ部等の単色プリンタ部を設けたり、端末装置41を、RS−232CケーブルやUSBケーブル等のケーブルによりサーマルプリンタ、モノクロレーザプリンタ等の単色プリンタと接続することで、通信部412で受けた白黒16階調データを単色プリンタ部や単色プリンタで印刷するようにしてもよい。
【0152】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【0153】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の構成には限られない。
【0154】
(付記1)
カラー画像データをグレースケール化して白黒画像データに変換する画像データ変換装置において、
前記カラー画像データをグレースケール化するグレースケール化手段と、
グレースケール化された画像データについて輝度値のヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
作成されたヒストグラムに基づいて前記グレースケール化された画像データが複数の画像パターンのうちのどの画像パターンであるかを判定する判定手段と、
画像パターンごとに、ガンマ補正を行う範囲と、グレースケールの最小値及び最大値の少なくとも一方に固定する範囲とを定め、前記グレースケール化された画像データについて前記ガンマ補正を含む画像データ変換を行う画像データ変換手段と、を備えた画像データ変換装置。
【0155】
(付記2)
付記1に記載の画像データ変換装置において、前記判定手段は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク数、ピーク位置、及び画素の偏りに基づいて、前記画像パターンの判定を行う画像データ変換装置。
【0156】
(付記3)
付記1に記載の画像データ変換装置において、前記判定手段は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク位置に基づいて、前記画像パターンの判定を行う画像データ変換装置。
【0157】
(付記4)
付記1から3のいずれかに記載の画像データ変換装置において、前記画像データ変換手段による前記画像データ変換後に、前記グレースケール化された画像データを前記グレースケール化された画像データよりも階調のすくない画像データに変換する画像データ変換装置。
【0158】
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載の画像データ変換装置において、前記ヒストグラムは、移動平均によって凹凸が平滑化されたヒストグラムである画像データ変換装置。
【0159】
(付記6)
カラー画像データをグレースケール化して白黒画像データに変換する画像データ変換装置の画像データ変換方法において、
前記カラー画像データをグレースケール化し、
グレースケール化された画像データについて輝度値のヒストグラムを作成し、
作成されたヒストグラムに基づいて前記グレースケール化された画像データが複数の画像パターンのうちのどの画像パターンであるかを判定し、
画像パターンごとに、ガンマ補正を行う範囲と、グレースケールの最小値及び最大値の少なくとも一方に固定する範囲とを定め、前記グレースケール化された画像データについて前記ガンマ補正を含む画像データ変換を行う画像データ変換方法。
【0160】
(付記7)
付記6に記載の画像データ変換方法において、前記判定は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク数、ピーク位置、及び画素の偏りに基づいて行われる画像データ変換方法。
【0161】
(付記8)
付記6に記載の画像データ変換方法において、前記判定は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク位置に基づいて行われる画像データ変換方法。
【0162】
(付記9)
付記6から8のいずれかに記載の画像データ変換方法において、前記画像データ変換後に、前記グレースケール化された画像データを前記グレースケール化された画像データよりも階調のすくない画像データに変換する画像データ変換方法。
【0163】
(付記10)
付記6から9のいずれかに記載の画像データ変換方法において、前記ヒストグラムは、移動平均によって凹凸が平滑化されたヒストグラムである画像データ変換方法。
【0164】
(付記11)
カラー画像データをグレースケール化して白黒画像データに変換する画像データ変換装置としてのコンピュータに、
前記カラー画像データをグレースケール化する処理と、
グレースケール化された画像データについて輝度値のヒストグラムを作成する処理と、 作成されたヒストグラムに基づいて前記グレースケール化された画像データが複数の画像パターンのうちのどの画像パターンであるかを判定する処理と、
画像パターンごとに、ガンマ補正を行う範囲と、グレースケールの最小値及び最大値の少なくとも一方に固定する範囲とを定め、前記グレースケール化された画像データについて前記ガンマ補正を含む画像データ変換を行う処理と、
を実行させるための画像データ変換用プログラム。
【0165】
(付記12)
付記11に記載の画像データ変換用プログラムにおいて、前記判定する処理は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク数、ピーク位置、及び画素の偏りに基づいて、前記画像パターンの判定を行う処理である画像データ変換用プログラム。
【0166】
(付記13)
付記11に記載の画像データ変換用プログラムにおいて、前記判定する処理は、前記ヒストグラムの所定範囲におけるピーク位置に基づいて、前記画像パターンの判定を行う処理である画像データ変換用プログラム。
【0167】
(付記14)
付記11から13のいずれかに記載の画像データ変換用プログラムにおいて、前記画像データ変換する処理後に、前記グレースケール化された画像データを前記グレースケール化された画像データよりも階調のすくない画像データに変換する画像データ変換用プログラム。
【0168】
(付記15)
付記11から14のいずれかに記載の画像データ変換用プログラムにおいて、前記ヒストグラムは、移動平均によって凹凸が平滑化されたヒストグラムである画像データ変換用プログラム。
【0169】
(付記16)
付記11から15のいずれかに記載の画像データ変換用プログラムを記憶部に記憶し、CPUが該画像データ変換用プログラムに基づいて前記カラー画像データをグレースケール化して白黒画像データに変換するコンピュータ。
【0170】
(付記17)
付記1から5のいずれかに記載の画像データ変換装置と、該画像データ変換装置で変換された白黒画像データを用いて印刷を行う印刷部と、を備えたPOS端末装置。
【0171】
(付記18)
端末装置と通信網を介して接続されるサーバであって、
付記1から5のいずれかに記載の画像データ変換装置と、前記端末装置からカラー画像データを受信し、該画像データ変換装置で白黒画像データに変換して前記端末装置へ送信する通信部と、を備えたサーバ。