【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、樹脂コア粒子の存在下、アレンモノマーを用いてリビング重合を行うことにより、前記樹脂コア粒子の表面に被覆層を形成する工程を有
し、前記アレンモノマーは、炭化水素系アレンモノマーである被覆樹脂粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂コア粒子の存在下でアレンモノマーを用いてリビング重合を行い、被覆樹脂粒子を作製することにより、分子量が均一なポリマーからなり、厚みのバラツキが少ない被覆層を有する被覆樹脂粒子が作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の被覆樹脂粒子の製造方法は、樹脂コア粒子の存在下、アレンモノマーを用いてリビング重合を行うことにより、上記樹脂コア粒子の表面に被覆層を形成する工程を有する。
上記リビング重合を用いることで、アレンポリマーからなり、均一な厚みを有する被覆層を形成することができる。また、上記被覆層の厚みを所望の厚みに制御することが可能となる。
【0009】
本発明において、「樹脂コア粒子の存在下」とは、アレンモノマーと樹脂コア粒子を同時に添加する方法のほか、樹脂コア粒子が予め添加された系中にアレンモノマーを追添加し重合する方法、樹脂コア粒子にアレンモノマーを吸収させた後、重合を行う方法を含むものである。更に、樹脂コア粒子が合成されると共にアレンモノマーの重合を行う方法等を用いてもよい。
【0010】
上記リビング重合とは、開始剤を起点とする重合反応が停止反応や連鎖移動反応などの副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合のことをいう。
特に、本発明では、上記リビング重合を析出重合で行う方法が好ましい。
本発明では、このようなリビング重合を用いることで、重合反応が同時に開始すれば分子量が均一な重合体を得ることができ、例えば析出重合を用いた場合、粒子核が発生するタイミングを揃えることができるので、分子量や一次構造の規制された高分子鎖からなる粒子径が揃った被覆樹脂粒子を得ることができる。
【0011】
上記リビング重合としては、特に限定されず、例えば、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビング配位重合等を採用することができる。
なかでも、リビング配位重合が好ましい。
上記リビング配位重合を用いることで、水系媒体中での重合反応が可能となり、種々の置換基を有するポリマーを得ることが可能となる。
【0012】
上記リビング重合において使用する開始剤としては、例えば、π−アリルニッケル触媒をはじめとする各種遷移金属触媒が使用できる。
上記π−アリルニッケル触媒は、ハロゲン化アリル、アリルアセテート等のアリル化合物に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(以下Ni(COD)
2とする)等の有機ニッケル、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト等のホスフィンを添加して得られる。
【0013】
上記リビング重合において使用する分散安定剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0014】
上記リビング重合において使用する重合溶媒としては特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒のほか、塩化メチレン、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、1種類又は2種類以上用いてもよい。なかでも、極性溶媒を用いてリビング重合を行うことで、樹脂コア粒子の分散性を高めることが可能となる。
これらの中では、塩化メチレン、水およびメタノール、エタノールを適宜混合して使用するのが好ましい。
また、重合温度は、反応速度の観点から0〜90℃が好ましい。
【0015】
更に、上記リビング重合においては、貧溶媒中でリビング析出重合を行うこと好ましい。このような方法を用いることで、粒子を構成する樹脂の分子量が揃っている特徴を生かしつつ、極めて粒子径分布の狭いポリマーからなる被覆層を有する被覆樹脂粒子を得ることができる。
上記貧溶媒としては、使用するアレンモノマーによって異なるが、例えば、塩化メチレン、水およびメタノール、エタノールを適宜混合して使用するのが好ましい。
【0016】
上記リビング重合の具体的方法としては、例えば、窒素置換した重合容器に予め調製したπ−アリルニッケル触媒に溶媒、アレンモノマーを添加し、室温で数時間攪拌する方法が挙げられる。
【0017】
上記アレンモノマーとしては、特に限定されないが、SP値が10以上の極性官能基含有アレンモノマーをアレンモノマーの一部として用いることが好ましい。SP値が高い極性官能基含有アレンモノマーを用いることにより、得られる被覆樹脂粒子は、高い親水性を有するとともに、リビング重合を経て重合したときに、分子量が均一な重合体を得ることができる。また、リビング重合を経て重合することで、親水性基を均一に粒子表面に導入することが可能となる。
【0018】
上記極性官能基含有アレンモノマーのSP値の好ましい下限は10である。上記極性官能基含有アレンモノマーのSP値が10以上であれば、通常親水性媒体が使用されるX線造影剤等に用いた場合、分散媒体への親和性が高くなり、保存安定性のある薬剤としてより有効に使用することができる。より好ましい下限は12、好ましい上限は20である。
なお、本明細書においてSP値とは、Fedorsの式δ
2=ΣE/ΣV(δはSP値、Eは蒸発エネルギー、Vはモル体積を意味する。)により算出される計算値を意味する。なお、SP値の単位は(cal/cm
3)
0.5である。Fedorsの方法については、日本接着協会誌、1986年22巻566ページに記載されている。
【0019】
上記SP値が10以上の極性官能基含有アレンモノマーとしては、例えば、カルボキシメチルアレン、2−カルボキシエチルアレン、ジカルボキシルメチルアレン、2,2−ジカルボキシエチルアレン、アミノメチルアレン、2−アミノエチルアレン、シアノメチルアレン、2−シアノエチルアレン等が挙げられる。また、後述するSP値が10以上の水酸基含有アレンモノマーも上記SP値が10以上の極性官能基含有アレンモノマーに含まれる。
【0020】
上記SP値が10以上の極性官能基含有アレンモノマーのなかでも、SP値が10以上の水酸基含有アレンモノマーを用いることが、重合時に凝集を招くことなく、分散安定性が優れた被覆樹脂粒子を得る上でさらに好ましい。上記SP値が10以上の水酸基含有アレンモノマーとしては、例えば、ヒドロキシメチルアレン、ヒドロキシエチルアレン、ヒドロキシプロピルアレン、ヒドロキシブチルアレン、ジヒドロキシメチルアレン、ビス(ヒドロキシメチル)アレン、ビス(ヒドロキシエチル)アレン、ジヒドロキシエチルアレン、ジヒドロキシプロピルアレン、ジヒドロキシブチルアレン、ヒドロキシフェニルアレン、ヒドロキシフェノキシアレン、ヒドロキシメトキシアレン、ヒドロキシエトキシアレン、ヒドロキシプロピオキシアレン、ジヒドロキシエトキシアレン、ジヒドロキシプロピオキシアレン等が挙げられる。
【0021】
上記水酸基含有アレンモノマーは、1分子あたり2個以上の水酸基を有することが好ましい。このように水酸基を複数有することで、少ない水酸基含有アレンユニットの導入量で粒子表面の水酸基密度を上げ、効果的に親水性を付与することができる。
上記1分子あたり2個以上の水酸基を有する水酸基含有アレンモノマーとしては、例えば、ジヒドロキシメチルアレン、ジヒドロキシエチルアレン、ジヒドロキシプロピルアレン、ジヒドロキシブチルアレン、ジヒドロキシエトキシアレン、ジヒドロキシプロピオキシアレン等が挙げられる。
【0022】
上記水酸基含有アレンモノマーは、炭素数が2以上のヒドロキシアルキル基を側鎖に有することが好ましい。このようなヒドロキシアルキル基を有することで、水酸基がポリマー主鎖に対して自由に立体配座することができ、その結果、水酸基と相互作用を及ぼす物質に対し、より強固な相互作用を及ぼすことができる。よって本発明で得られる被覆樹脂粒子をクロマトグラフィー充填剤として用いた場合、標的物質の捕捉性を向上することができる。
上記炭素数が2以上のヒドロキシアルキル基を側鎖に有する水酸基含有アレンモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアレン、ヒドロキシプロピルアレン、ヒドロキシブチルアレン、ジヒドロキシエチルアレン、ジヒドロキシプロピルアレン、ジヒドロキシブチルアレン、ヒドロキシプロピオキシアレン、ジヒドロキシプロピオキシアレン等が挙げられる。
【0023】
本発明では、上記アレンモノマーとして、極性官能基含有アレンモノマーのほかに炭化水素系アレンモノマーを用いてもよい。
上記炭化水素系アレンモノマーとしては、例えば、フェノキシアレン、メトキシアレン、エトキシアレン、プロピオキシアレン、ブトキシアレン、アレン(1,2−プロパジエン)、メチルアレン、エチルアレン、プロピルアレン、ブチルアレン、イソプロピルアレン、ヘキシルアレン、フェニルアレン、ベンジルアレン、ジメチルアレン、ジエチルアレン、ジヘキシルアレン、ジフェニルアレン、置換アルキルブタジニエルエーテル、アレン酸エステル、ポリオキシエチレンアレニルアルキルエーテル等が挙げられる。
上記フェノキシアレンとしては、例えば、フェノキシアレン、(4−tert−ブチルフェノキシ)アレン、(4−アセチルフェノキシ)アレン等が挙げられる。
なお、炭化水素系アレンモノマーとは、アレン基以外に炭化水素基を有し、かつ、上記極性官能基含有アレンモノマー以外のアレンモノマーをいう。
【0024】
また、上記炭化水素系アレンモノマーとしては、SP値が9以下の炭化水素系アレンモノマーを用いることが好ましい。これにより、核材となる樹脂コア粒子に対し、より親和性が高くなるために、アレンモノマー単独重合による極小微粒や粗粒等の副生成物の発生が抑制でき、より均一なサイズの微粒子を得ることができる。
上記SP値が9以下の炭化水素系アレンモノマーとしては、例えば、メトキシアレン、エトキシアレン、プロポキシアレン、ブトキシアレン、(4−tert−ブチルフェノキシ)アレン、アレン、メチルアレン、エチルアレン、プロピルアレン、ブチルアレン、イソプロピルアレン、ヘキシルアレン、フェニルアレン、ベンジルアレン、ジメチルアレン、ジエチルアレン、ジヘキシルアレン、ジフェニルアレン等が挙げられる。
【0025】
上記アレンモノマーとしては、架橋性アレンモノマーを用いてもよい。
上記架橋性アレンモノマーは、1分子あたり2個以上のアレニル基を有するものである。このように1分子あたり2個以上のアレニル基を有することで、少ない導入量で粒子表面の架橋密度を上げ、得られる架橋樹脂粒子は、高い架橋度を有するとともに、リビング重合を経て重合したときに、分子量が均一な重合体を得ることができる。また、リビング重合を経て重合することで、架橋を均一に形成することが可能となる。
なお、上記アレニル基の数は1分子あたり2個以上であれば特に限定されないが、1分子あたり2〜4個有するものが好ましい。
上記架橋性アレンモノマーとしては、例えば、下記式(1)〜(3)に示すジアレンモノマー、下記式(4)〜(7)に示すトリアレンモノマー、下記式(8)〜(12)に示すテトラアレンモノマー等が挙げられる。これらのなかでは、モノマーの反応性が良好であることから、下記式(3)、(7)及び(12)に示す架橋性アレンモノマーがより好ましい。
【0026】
【化1】
【化2】
式(1)〜(3)中、R
1は下記式(13)に示す何れかの連結基を表し、式(4)〜(7)中、R
2は下記式(14)に示す何れかの連結基を表し、式(8)〜式(12)中、R
3は下記式(15)に示す何れかの連結基を表す。
【0027】
【化3】
【化4】
【0028】
上記1分子あたり2個以上のアレニル基を有する架橋性アレンモノマーとしては、例えば、1,4−ジアレノキシベンゼン、1,4−ジアレニルベンゼン、ビスフェノールAジアレニルエーテル(各種ビスフェノール系の化合物のジアレニルエーテルを含む)、1,4−ブタンジオールジアレニルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジアレニルエーテル、1−アレノキシ−4−アレニルベンゼン、その他にもジオール類および多官能アルコール(例えばポリウレタンやポリカーボナートの合成用の原料など)のアレニルエーテル類等が挙げられる。
モノマーの反応性が良好で、かつ、凝集の少ない粒子が得られることや、得られる粒子の硬さが硬くなること等から、1,4−ジアレノキシベンゼン、1,4−ジアレニルベンゼン、ビスフェノールAジアレニルエーテル、1,4−ブタンジオールジアレニルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジアレニルエーテル、1−アレノキシ−4−アレニルベンゼンが好ましい。
【0029】
架橋性アレンモノマーにおけるアレニル基とは、3個の炭素の間に2個の二重結合が連続した不飽和基のことである。また、アレニル基と結合しているその他の部分については特に何でも構わないが、アレニル基の重合触媒に対する反応性を高める目的から、アレニル基とその他の部分は酸素で結合していることが好ましい。
【0030】
上記架橋性アレンモノマーの添加量は、すべてのアレンモノマーに対し、好ましい下限が5mol%である。上記架橋性アレンモノマーの添加量が5mol%未満であると架橋が形成されにくくなることがある。
上記架橋性アレンモノマーの添加量のより好ましい下限は8mol%である。また、好ましい上限は50mol%である。50mol%以下であれば、凝集の少ない微粒子が高収率で得られる。より好ましい上限は40mol%である。
【0031】
本発明において、上記アレンモノマーとして複数のアレンモノマーを使用する場合、その平均SP値は、10〜18であることが好ましい。
なお、上記平均SP値は、各アレンモノマーについて、SP値に混合モル比率を掛けた数値を算出した後、その数値を足し合わせることで計算することができる。
【0032】
本発明では、上記アレンモノマー以外のモノマーを使用してもよいが、その場合であっても、上記アレンモノマーの添加量は、使用モノマーの全量に対して好ましい下限は10重量%である。上記アレンモノマーの添加量が10重量%未満であると被覆層が生成しにくくなることがある。上記アレンモノマーの添加量のより好ましい下限は30重量%である。
なお、上記アレンモノマー以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、スチレンおよびその誘導体、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、アクリルアミド等のアミド系モノマー、ビニルエーテルモノマー、アリルモノマー等が挙げられる。
【0033】
上記表面に被覆層を形成する工程における上記被覆層形成用アレンモノマーの添加量としては、形成する極性官能基含有アレンポリマー層の厚みに応じて決定されるが、コア粒子100重量部に対して0.1〜700重量部であることが好ましい。上記範囲内とすることで、適度な厚みを有する被覆層形成用アレンモノマーからなるポリマー層を形成することが可能となる。より好ましくは、樹脂コア粒子100重量部に対して0.5〜400重量部である。さらにより好ましくは、樹脂コア粒子100重量部に対して1〜100重量部である。
【0034】
上記樹脂コア粒子の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン及びその誘導体のようなスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート及びその誘導体のようなアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアルキレン、ポリオレフィン等からなる粒子を使用することができる。なかでも、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が好ましく、特に、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンからなる粒子が好ましい。また、ラジカル重合性のモノマーを重合して得られる樹脂からなることが好ましい。
【0035】
上記樹脂コア粒子の数平均粒子径Dnの好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は100μmである。数平均粒子径Dnが0.01μm未満であると、リビング重合を行う工程で粒子が凝集することがある。上記数平均粒子径Dnが100μmを超えると、樹脂コア粒子表面上に均一に被覆層を形成することができず、被覆層に欠損ができることがある。上記数平均粒子径Dnのより好ましい下限は0.02μm、より好ましい上限は20μmである。
なお、上記樹脂コア粒子の数平均粒子径Dnは、光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ100個の樹脂コア粒子を観察して得られた直径の平均値を意味する。
【0036】
また、上記樹脂コア粒子の粒子径分布Dw/Dnは、好ましい上限が1.30である。粒子径分布Dw/Dnが1.30以下であると、形状保持機能がより高くなる。また、固着性や密着性、吸着性がより高くなる。粒子径分布Dw/Dnのより好ましい上限は1.20である。なお、粒子径分布Dw/Dnは、体積平均粒子径Dwを数平均粒子径Dnで割った値で示される数値である。
体積平均粒子径Dwは、光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ100個の樹脂コア粒子を観察して得られた各粒子の直径を用いて、
Dw=Σ(各粒子の直径×各粒子の体積)/Σ(各粒子の体積)
で算出した値である。
【0037】
上記樹脂コア粒子を作製する方法としては、例えば、ラジカル重合性のモノマーを水系溶媒中で重合させる方法を用いることが好ましい。具体的には例えば、スチレンやメチルメタクリレート等のような水に難溶性のモノマーを水中で重合する、ソープフリー重合法や乳化重合法等が挙げられる。また、メタノールやエタノール及び、それらの水との混合物のような溶媒中で、スチレンやメチルメタクリレート等のような、モノマーとしては溶媒に溶解するがポリマーとしては溶解しないようなモノマーを重合する、分散重合法等も挙げられる。これらの方法を用いることにより、非常に簡便かつ低コストで、しかも、粒径分布の均一な樹脂コア粒子を作製することが可能である。
【0038】
また、上記樹脂コア粒子、アレンモノマー及び重合溶媒は、それぞれのSP値をSP
seed、SP
m、SP
solとした場合に、下記式の関係を有することが好ましい。
SP
seed<SP
sol、かつ、SP
m<SP
sol
また、下記式の関係を有することがより好ましい。
SP
m−SP
seed<3.0、かつ、SP
sol−SP
m>2.0
上述した関係を有することで、樹脂コア粒子とアレンモノマーとは比較的SP値が類似しており、アレンモノマーと重合溶媒とは比較的SP値がかい離しているといえる。
これにより、析出したアレンポリマーが選択的に樹脂コア粒子表面に堆積しやすくなり、得られる被覆層の表面がより平滑になる。
【0039】
本発明の被覆樹脂粒子の製造方法を用いることで、被覆樹脂粒子を製造することができる。このような被覆樹脂粒子もまた本発明の1つである。
【0040】
本発明の被覆樹脂粒子は、平均粒子径の好ましい下限が0.01μm、好ましい上限が100μmである。平均粒子径が0.01μm未満であると、重合系の粘度が上昇して粒子を溶媒と分離できないことがある。平均粒子径が100μmを超えると、重合中に粒子が凝集することがある。上記平均粒子径のより好ましい下限は0.02μm、より好ましい上限は20μmである。
なお、上記被覆樹脂粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡を用いて無作為に選んだ100個の樹脂コア粒子を観察して得られた直径の平均値を意味する。
【0041】
また、本発明の被覆樹脂粒子の平均粒子径は、CV値の好ましい上限が10%である。CV値が10%を超えると、粒子径分布が広くなり過ぎる。CV値のより好ましい上限は7%である。なお、CV値は、標準偏差を平均粒子径で割った値の百分率(%)で示される数値である。
【0042】
本発明の被覆樹脂粒子において被覆層を構成するポリマーの分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)は1.5以下であることが好ましい。
上記分子量分布が1.5以下であると、被覆層に更に高い機能を付与することが可能となる。被覆層に付与することが可能な機能としては、例えば、ガラスへの固着性向上、メッキ密着性向上、極性化合物吸着性の向上等が挙げられる。
上記分子量分布は1.0〜1.4であることがより好ましい。
【0043】
本発明の被覆樹脂粒子は、被覆層の厚みの好ましい下限は0.0001μm、好ましい上限100μmである。厚みが0.0001μm未満であると、上記アレンモノマーに由来する反応性等の効果が十分得られないことがある。厚みが100μmを超えると、厚みの均一性が失われることがある。上記厚みのより好ましい下限は0.001μm、より好ましい上限は10μmである。
【0044】
本発明で得られる被覆樹脂粒子は、診断薬担体、細菌あるいは細胞分離担体、核酸あるいは蛋白分離・精製担体、ドラッグデリバリー担体、酵素反応担体、細胞培養担体、X線造影剤、細胞イメージング等として好適に用いることができる。