(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気を前側開口部より外へ吹き出すよう設定されたケースと、前記ケース内の対向した支持部に対し上下の両端側を回動可能に枢支された複数のフィンと、前記フィンの2以上を連動させるリンク機構と、前記ケース内の対向した第2支持部に対し左右の両端側が回動可能に枢支された横型フィンと、前記横型フィンに対し前後及び左右に移動可能に支持された操作用ノブとを備え、前記フィンが互いに略平行となる平行送風モードと、前記フィンの2以上を互いに反対方向に回動した拡散送風モードとを前記操作用ノブを介して調整切換可能な風向調整装置であって、
前記操作用ノブは前記横型フィンにスライダーを介して支持されて、前記スライダーに対して前後方向若しくは左右方向に作動規制され、前記スライダーは前記横型フィンに対して左右方向若しくは前後方向に作動規制されており、
前記操作用ノブを空気吹き出し方向において前又は後方移動操作により前記リンク機構を介して平行送風モードから拡散送風モードに切り換えると共に、その状態にて左又は右側への移動操作により前記複数のフィンのうち一部のフィンを略同方向へ回動して拡散送風方向を切り換えることを特徴とする風向調整装置。
前記フィンは、前記ケースの支持部に対して回動可能に枢支されたフィン軸部と、前記リンク機構を構成しているリンクに枢支されるリンク軸部とを有し、前記拡散送風モードにおいて、前記フィン軸部が前記リンク軸部より前方に配されることで、前記フィンの2以上が互いに前方側を外側に回動して空気吹き出し方向を左右方向に拡散可能にすることを特徴とする請求項1に記載の風向調整装置。
前記フィンは、前記操作用ノブの通常位置への移動により互いに略平行となる平行送風モードと、前記操作用ノブを通常位置から前後方向への移動により2以上を互いに反対方向に回動した拡散送風モードと、前記操作用ノブを通常位置から左右方向への移動により同方向へ回動して互いに略平行に傾斜した傾斜送風モードと、前記操作用ノブを拡散送風モードにおいて左右方向への移動により中間フィンを挟んだ左側フィン及び右側フィンの傾斜角が異なる変形拡散モードとに切換可能となっていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の風向調整装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の形態について添付図面を参照しながら説明する。この説明では、
図1から
図10に示した第1形態の構造及び作動を詳述した後、
図11から
図15した第2形態における変更点について言及する。
【0017】
(第1形態の構造)この風向調整装置9は、
図1及び
図7と
図8に示されるごとく、空気を内部から外へ吹き出すよう設定されたケース1と、ケース1内で前側開口付近の上下面に対向した軸受用支持部を構成している上下の凹所13,15に対し回動可能に枢支された複数のフィン2A〜2G(2)と、ケース1内の前開口付近の左右に対向している軸受用第2支持部12に対し回動可能に枢支された横型フィン3と、各フィン2A〜2Gのうち2以上のフィンを連動させるリンク機構6と、横型フィン3に組付けられたスライダー4及び操作用ノブ5とを備えている。
【0018】
風向調整装置9の要部は、ノブ5が横型フィン3にスライダー4を介して支持されると共に、複数のフィン2のうち中間フィン2Dに連結された状態で前後及び左右に移動可能となっている点にある。また、リンク機構6は、中間フィン2Dと、中間フィン2Dの両隣に配されている第1フィン2C,2Eとをそれぞれ回動自在に連結している2つの第1リンク6B,6Cと、更に複数のフィン2として第1フィン2C,2Eの両隣のうち、中間フィン2Dと反対側に配置された第2フィン2B,2F、及び第2フィン2B,2Fの外側に配置された第3フィン2A,2Gと、第2フィン2B,2F及び第3フィン2A,2Gを第1フィン2C,2Eに連動ないしは同期させるための2つの第2リンク6A,6Dを有している。以下、これらの細部を明らかにする。
【0019】
なお、各部材の材質は、ケース1を構成している本体10A及び前枠10Bと、横型フィン30と、フィン2を構成している各フィン2A〜2Gと、リンク機構6を構成している各リンク6A〜6Dと、ノブ5を構成している上ノブ5A及び下ノブ5Bとは全て樹脂品であるが、樹脂以外でも差し支えない。
【0020】
まず、ケース12は、
図7に示されるごとく概略筒形の本体10Aと、本体10Aの前側に装着される化粧枠である前枠10Bとにより内空間を区画形成している。本体10Aは、前両側の4隅に設けられた取付孔付きの取付部11と、前両側に突出されて前側の軸孔12a及び後側の円弧溝12bを形成している第2支持部12と、第2支持部12の一方の前側に設けられた突起12cと、各第2支持部12の後方側に設けられた係合爪12dと、前側上下面に対向して設けられて支持部を構成している複数の上凹所13及び下凹所15と、上凹部13同士の間及び下凹部15同士の間にあって左右及び中間の合計4箇所(上下だと合計8箇所)の区画部16と、各区画部16に設けられた係合爪14とを有している。
【0021】
このうち、両側の軸孔12a及び円弧溝12bは対向している。円弧溝12bは軸孔12aを中心とした緩い円弧状となっている。上凹所13及び下凹所15は、左右中間のものを除いて、所定長さの単純な溝状であり後述するごとく前枠10Bの対応片部19が嵌合されることで軸孔を形成する。これに対し、左右中間にある上凹所13及び下凹所15は、後述する中間フィン2Dのフランジ20a付きの軸部20を前後に移動可能な蟻溝形状に形成されている。
【0022】
前枠10Bは、本体10Aの前側を縁取る部材であり、両側辺部の前方に設けられて第2支持部12を受け入れる空間を側面との間に区画している前板部17と、前板部17の一方に設けられて突起12cと嵌合する開口17aと、両側面に対向して設けられて上記対応する係合爪12dと係合する係合孔17bと、上・下辺部に設けられて上凹部13同士の間の区画部16、又は、下凹所15同士の間の区画部16に配置される複数の片部18と、各片部18に設けられて上記した係合爪14と係合する係止孔18aと、上凹所13及び下凹所15に嵌合される複数の突起19と、上記した取付部11に重ねられる取付孔付きの取付部17cとを有している。
【0023】
以上の本体10Aには、上凹所13及び下凹所15に対してフィン2(2A〜2G)が予めリンク機構6により連結された状態で回動可能に枢支され、軸孔12a及び円弧溝12bに対して横型フィン3が回動可能に枢支される。その状態から、本体10Aに前枠10Bが組付けられる。前枠10B及び本体10Aは、各片部18が本体側の対応区画部16に配置されて係合爪14及び係止孔18aの係合と、係合孔17bに対する本体側係合爪12dの係合とにより一体物のケース1となり、同時に風向調整装置9として完成される。なお、ケース1は、取付部17c、11を利用して車両等の設置部に装着される。装着状態では、ケース1が車体前後方向に開口しており、前枠10B側が空気吹出口として、本体10Aの後側が空気吸入口となる。
【0024】
フィン2A〜2Gは、上下の端面にあって板幅方向の略中間にそれぞれ同軸線上に突出された軸部20と、上端面にあって軸部20より後側に突設されている軸部21とを有している。各軸部20は、軸部21に比べて後述するリンク6A〜6Dの略厚さ分だけ長く形成されている。また、各軸部20のうち、フィン2A〜2C及び2E〜2Gの上下の軸部20は単純な円柱状に形成されている。これに対し、中間フィン2Dの上下の各軸部20は、フランジ20a付きであり、上記対応する上凹所13及び下凹所15の蟻溝形状に沿って前後に移動自在に支持される。
【0025】
また、フィン2A〜2Gは、リンク機構6を構成している4つのリンク6A〜6Dにより作動連結されている。この例では、左右中間に位置する中間フィン2Dと、中間フィン2Dの両隣に配されている第1フィン2C,2Eとが2つの第1リンク6B,6Cにより回動可能に連結されている。また、一方の第1フィン2Cと、第1フィン2Cの外側にある第2フィン2B、及び第2フィン2Bの外側にある第3フィン2Aとは第2リンク6Aにより回動可能に連結されている。また、他方の第1フィン2Eと、第1フィン2Eの外側にある第2フィン2F、及び第2フィン2Fの外側にある第3フィン2Gとは第2リンク6Dにより回動可能に連結されている。更に、中間ファン2Dには、円弧溝23aが板幅方向の前側にあって上下方向に設けられており、円弧溝23aと前縁部分との間が把持可能な片部23となっている。なお、フィン2A〜2Gの前縁側は、横型フィン3の回動を許容するよう円弧状に形成されている。
【0026】
詳述すると、第1リンク6B,6Cは、両端側に設けられた軸孔7,7を有している。第2リンク6A,6Dは、第1リンク6B,6Cより長く形成されて、両端側及び中間にそれぞれ設けられた3つの軸孔7を有していると共に、第1リンク6B又は6Cと連結される対応端部を上又は下向きの段差に形成し該段差に突設けられ軸部8を有している。
【0027】
そして、第1リンク6Cは、一端側の軸孔7が中間フィン2Dの軸部21と嵌合し、他端側の軸孔7が第2リンク6Dの軸部8と嵌合している。第1リンク6Bは、一端側の軸孔7が第2リンク6Aの軸部8に嵌合し、他端側の軸孔7が中間フィン2Dの軸部21と嵌合している。また、第2リンク6Aは、一端側の軸孔7が第3フィン2Aの軸部21と嵌合し、他端側の軸孔7が第1フィン2Cの軸部21と嵌合し、中間の軸孔7が第2フィン2Bの軸部21と嵌合し、一端側の軸部8が第1リンク6Bの軸孔7と嵌合している。他方の第2リンク6Dは、一端側の軸孔7が第3フィン2Gの軸部21と嵌合し、他端側の軸孔7が第1フィン2Eの軸部21と嵌合し、中間の軸孔7が第2フィン2Fの軸部21と嵌合し、他端側の軸部8が第3リンク6Cの軸孔7と嵌合している。但し、第1リンク6Aと第2リンク6Bの連結、及び第1リンク6Dと第2リンク6Cの連結は、この構成以外であっても差し支えない。
【0028】
上記した横型フィン3は、細長い本体30の左右の各端面にそれぞれ突設された軸部31及び軸部32と、左右の中間部にあって後側に設けられた逃がし用開口33及び開口33の前側を一段肉厚に形成した規制部34と、上下面にあって開口33と規制部34との間に設けられて左右に延びているガイド溝35,35とを有している。各軸部31は軸部32よりも長く形成されている。規制部34には穴部36が設けられている。なお、穴部36には必要に応じて不図示の弾性体が装着される。該弾性体は後述する操作用ノブ5に適度に圧接することで、ノブ5が振動などでがたつかないようにする。
【0029】
そして、横型フィン3は、第2支持部12,12に対して、両側の軸部31が対応する軸孔12aに嵌合されると共に、両側の軸部32が対応する円弧溝12bに嵌合されている。このため、横型フィン3は、板幅方向の後側が前側の軸部31を支点として円弧溝12bに応じて所定角だけ上下方向に回動可能となっている。
【0030】
また、横型フィン3には、操作用ノブ5がスライダー4を介して所定寸法だけ前後動可能、かつ所定寸法だけ左右に横移動可能に組み付けられる。つまり、スライダー4は、
図9に示されるごとく側面視で本体30を間に挟み込む略コ形状となっており、中心部を形成している略矩形の本体40と、本体40の両側に隙間44を保って連結された腕部45,46とを有している。そして、スライダー4は、横型フィン3に対し左右方向に摺動可能に組付けられると共に、その摺動が所定範囲に規制される。ノブ5は、スライダー4に対し前後方向に摺動可能に組付けられると共に、その摺動が所定範囲に規制される。
【0031】
詳述すると、本体40は、横型フィン3のうち、長手方向の一側から規制部34の間のフィン部分を挟持する。本体40には、コ形の中間側から先端手前まで切り欠いた開口41と、対向内面の先端にそれぞれ突出された一対の凸部42,42と、上面の先端に突出されたストッパー43とが設けられている。開口41は、
図4(b)のごとく後述するノブ5の一部(例えば突起54,58,59や片部55a,55b)を逃がす箇所である。各凸部42は、上記ガイド溝35に摺動可能に嵌合して、横型フィン3に対するスライダー4の左右移動量を規制する。ストッパー43は、ノブ5の前後動を所定の距離に規制可能にする。一方、腕部45,46は、先端が内側に湾曲形成され、
図9(c)のごとく本体30を内側に配置した状態で本体30の対応縁部に摺動可能に引っかかり、本体30から不用意に外れないよう組付けられる。
【0032】
ノブ5は、横型フィン3及びスライダー4を上下から挟み込む上ノブ5A及び下ノブ5Bと、両ノブ5A,5Bの間にあって前側に装着される化粧ノブ5Cとで構成されて、横型フィン3に対してスライダー4と共に左右に移動可能で、かつ、単独でスライダー4に対して前後動可能となっている。
【0033】
ここで、上下ノブ5A,5Bは、内面形状として、両側の縁部51と、各縁部51と平行に突出されて間に前後に延びるガイド溝53を区画している張出部52と、先端側に突出されて化粧ノブ5Cと係合可能な掛止壁56a,56b及び掛止壁56a,56bの両側に突出された爪部56c,56cと、後端側に設けられて互いに連結される突起54又は58とが設けられている。突起54は、上ノブ5Aの左右中間より少し左側に設けられており、左端面に突出された軸部54aと、上面側より突出されている片部55aとを有している。突起58は、下ノブ5Bの左右中間より少し右側に設けられており、右端面に設けられた係合孔58aと、上面側より突出されている片部55bとを有している。加えて、上ノブ5Aは、突起54と掛止壁56aとの間に突設された2つの当接壁57b,57bを有している。各当接壁57は、所定間隔を保って前後に対向しており、上記ストッパー43に当接することでノブ5の前後移動量を規制する。
【0034】
以上の上下ノブ5A,5Bは、横型フィン3にスライダー4を組付けた後、軸部54aを係合孔58aに係合した状態でスライダー4を上下から挟み込むよう重ねられる。手順的には、 例えば、化粧ノブ5Cが下ノブ5Bに対し化粧ノブの下側を両側の爪部56c等に係止した状態に取り付けられる。その後、上下ノブ5A,5Bは、本体30に組付けられたスライダー4を上下から挟み込むよう重ねられる。すると、上下ノブ5A,5Bは、化粧ノブ5Cが上ノブ5Aに対し化粧ノブの上側を両側の爪部56c等に係止した状態にて取り付けられることにより化粧ノブ5Cを介して一体物となる。
【0035】
取付状態では、上下ノブの各片部55a,55bが
図3に示されるごとく中間フィン2Dの円弧溝23a内に配置される。このため、ノブ5は、各片部55a,55bの内側に中間フィン2Dの片部23を拘束し、その拘束態様により中間フィン2Dに連結ないしは作動連結されている。そして、ノブ5は、スライダー4に対し上下のガイド溝53を腕部45,46に嵌合した状態で前後方向に移動可能となっている。ノブ5の前後移動量は、上述した当接壁57b同士の間の寸法に対応している。
【0036】
(作動)以下、以上のように作製された風向調整装置の主な作動について明らかにする。
(1)、
図2及び
図3は、各フィン2A〜2Gが互いに略平行となる平行送風モードの状態である。この状態では、各リンク6A〜6Dが直線上に配置され、ノブ5が横型フィン3の略左右中間に配置され、更に各ノブの突起54,58や突起59がスライダーの開口41内に配置されている。そして、この平行送風モードでは、スライダー4が横型フィンのガイド溝35の左右中間に配置されると共に、ノブ5が横型フィン3の左右中間つまり
図3の初期ないしは通常位置に配置されている。
【0037】
(2)、
図4は、平行送風モードの状態から、ノブ5が同図(b)のごとく最大まで引っ張られて、フィン2A〜2Cとフィン2E〜2Gが反対方向に回動された拡散送風モードの状態である。すなわち、ノブ5は、横型フィン3に組付けられたスライダー4に対して前記の通常位置から手前方向である最前方位置、つまり
図10に示される突起54に近い側の当接壁57bがスライダーのストッパー43に当たるまで移動される。すると、中間フィン2Dは、ノブ5に引っ張られて凹所13,15の蟻溝形状に沿って前方移動される。中間フィン2Dは、その前方移動により、当初の略平行な状態を維持して片部23ないしは前側が開口41内に入って逃がされる。これと同期して、他のフィン2A〜2Cは第1リンク6B及び第2リンク6Aを介し、フィン2E〜2Gは第1リンク6C及び第2リンク6Dを介しそれぞれ互いに反対方向に回動した拡散送風モードに切り換えられる。この場合、フィン2A〜2Cやフィン2E〜2Gの回動角は、ノブ5の引張り量に比例した角度となり多様な拡散送風態様が得られる。
【0038】
(3)、拡散送風モードから再び
平行送風モードに戻す場合は、ノブ5を摘んで押し操作すると、中間フィン2Dが元の通常位置まで移動される。それと同期して、他のフィン2A〜2C及び2E〜2Gも対応するリンク6A〜6Dを介して中間フィン2Dと略平行な状態である
平行送風モードに切り換えられる。
【0039】
(4)、
図5は、平行送風モードの状態から、ノブ5が同(b)の矢印方向へ最大まで横移動されて、全てのフィン2A〜2Gがほぼ同じ方向に回動され傾斜された傾斜送風モードの状態である。すなわち、ノブ5は、通常位置である平行送風モードの状態において、スライダー4と共に横型フィン3に対し横方向である右又は左側、つまり凸部42がガイド溝35の対応溝端に当たるまで移動されると、中間フィン2Dが上下の軸部20を支点としてノブ5の移動方向に応じた向きへ回動されて、第2支持部12と非平行となる傾斜状態となる。これと同期して、他のフィン2A〜2Cは第1リンク6B及び第2リンク6Aを介し、フィン2E〜2Gは第1リンク6C及び第2リンク6Dを介しそれぞれフィン2Dと同方向へ回動されて傾斜送風モードに切り換えられる。なお、この傾斜送風モードは、各フィン2A〜2Gがノブ5の横移動の度合い、ないしは各フィン2の回動度合いに応じた角度となるため首振り送風モードと称されることもある。
【0040】
(5)、
図6は、
図4の拡散送風モードの状態から、ノブ5が通常位置から引っ張られた状態でスライダー4を介して同(b)の矢印方向へ移動されて、フィン2の一部この例だとフィン2E〜2Gの傾きを変更した、つまり中間フィン2Dを挟んだ左側フィン2E〜2G及び右側フィン2A〜2Cの傾斜角が異なる変形傾斜送風モードの状態である。すなわち、ノブ5は、拡散送風モードの状態において、スライダー4と一体的に横方向である右又は左側、つまり凸部42がガイド溝35の対応溝端に当たるまで移動されると、中間フィン2Dが上下の軸部20を支点としてノブ5の移動方向に応じた向きへ回動されて、
平行状態から傾斜状態となる。その際には、
図6の例だと、中間フィン2Dが逆時計回り回動されるのと連動して、第1リンク6C及び第2リンク6Dを同方向へ押す。その結果、フィン2D〜2Gの方はリンク6C,6Dを介して同方向へ回動されが、フィン2A〜2Cの方は拡散送風モードの状態を保つ。
【0041】
(6)、以上の形態例では、ノブ5が単一の横型フィン3に対しスライダー4を介して前後及び左右に移動可能に支持されているためノブの支持構造を簡略化でき、しかも上述したフィン2が互いに平行となる平行送風モード、2以上のフィンを互いに反対方向に回動した拡散送風モード、平行送風モードの状態からノブ5をスライダー4を介して横方向への移動操作によりフィン2を同方向へ回動して全てを所定角に傾斜した傾斜送風モード、拡散送風モードの状態からノブ5をスライダー4を介して横方向への移動操作により2フィンの一部が同方向へ回動する変形傾斜送風モードに切り換えられる。このため、この切換構造では、ノブ5による連続した切換操作を可能にすることで送風態様の切換操作性を簡明にし、課題で述べたように見逃される送風モードがなくなり、使い勝手を向上できる。
【0042】
(7)、なお、以上の形態例では、第2支持部12に対する横型フィン13の回動構成により、
図1に例示されるごとくフィン13の姿勢や角度に応じて更に送風態様を可変可能となる。すなわち、
図1(b)はフィン13が同(a)の状態から上向きに押された状態を示している。この場合、フィン13は、両側の第2支持部12に対し軸部32が円弧溝12bの溝内下端に当たって規制されるまで、軸部31を支点として時計回りに回動されて下向き傾斜の状態となっている。フィン13は同(a)の状態から下向きに押されると、同(b)と逆向きに傾斜の状態となる。
【0043】
(第2形態の構造)
図11〜
図15に示される風向調整装置は、上記第1形態の風向調整装置9に比べ基本構造は同じであり、特に拡散送風モードを横拡散から縦拡散にすべく変更した一例である。このため、この説明では、
図1〜
図10に示した部材や部位と同じものに同一符号を付し、重複説明を極力省くことにする。
【0044】
(構造の変更点)
図11は第2形態の要部を
図8に対応して示している。この構造では、第1形態に対し、フィン2A〜2G(2)におけるリンク軸部である軸部24をフィン軸部である軸部20の前側に設けた点と、リンク機構6を構成しているリンク同士の連結構成の点とが変更されている。このうち、前者の構造では、リンク軸部である軸部24が軸部20の前側に設けられることにより、各フィン2A〜2Gが
図12〜
図14に示されるごとくケース1に対し軸部20を介して枢支された状態において、リンク6A〜6D(6)が軸部20の前側に配置されている。
【0045】
後者の構造では、一方の第1リンク6Cが一端側の軸孔7を中間フィン2Dの軸部24と嵌合し、他端側の軸孔7を第1フィン2Eの軸部24と嵌合している。他方の第1リンク6Bが一端側の軸孔7を第1フィン2Cの軸部24と嵌合し、他端側の軸孔7を中間フィン2Dの軸部24と嵌合している。また、第2リンク6Aが一端側の軸孔7を第3フィン2Aの軸部24と嵌合し、他端側の軸孔7を第1フィン2Cの軸部24と嵌合し、中間の軸孔7を第2フィン2Bの軸部24と嵌合している。他方の第2リンク6Dが一端側の軸孔7を第3フィン2Gの軸部24と嵌合し、他端側の軸孔7を第1フィン2Eの軸部24と嵌合し、中間の軸孔7を第2フィン2Fの軸部24と嵌合している。すなわち、この構造では、第1形態に比べて各リンク6A〜6Dが軸部20の前側に配置されている関係でノブ5の移動に伴って変位するときの自由度を拡大し、その結果、リンク同士の連結も簡易化されている。
【0046】
(作動の変更点)第2形態では、第1形態で述べた上記(1)〜(6)のうち、(2)の作動を除いてほぼ同じである。すなわち、第1形態の拡散送風モードでは、
図4に示されるごとくフィン軸部である軸部20がリンク軸部である軸部21より前方に配置されるため、フィン2の2以上が互いに前方側を外側に回動して空気吹き出し方向を左右方向に拡散可能となる。要は、空気が横方向へ広がるようにして吹き出される。
【0047】
これに対し、第2形態の拡散送風モードでは、
図13に示されるごとくフィン軸部である軸部20がリンク軸部である軸部24より後方に配置、つまり軸部24が軸部20より前方に配置されることでリンク6の動きを制約され難くなるため、フィン2の2以上つまり中間フィン2Dを挟んだ右側のフィン2A〜2C及び左側のフィン2E〜2Gが共に中間フィン2Dの方を向くよう互いに前方側を内側に回動して空気吹き出し方向を上下方向に拡散可能となる。要は、右側のフィン2A〜2Cに導かれた空気の流れと、左側のフィン2E〜2Gに導かれた空気の流れが中間フィン2Dの前方でぶつかり、その結果、空気の流れが上下つまり縦方向に拡散されるよう吹き出される。なお、
図12の平行送風モードは
図3と、
図14の傾斜送風モードは
図5と、
図15の変形拡散送風モードは
図6の状態と実質的に同じである。
【0048】
なお、本発明の風向調整装置は、請求項1で特定される構成を備えておればよく、細部は以上の説明を参考にして変更したり展開可能なものである。その例として、ケースとしては前枠を本体に後付けする構成を示したが、前枠を廃止したり、本体形状や前枠形状も任意である。また、各形態例では横型フィンを動かない非可動式にすることも可能である。
【0049】
更に、以上のフィン2は、第1フィンであるフィン2C,2E、及び第2フィンであるフィン2B,2F、並びに第3フィンであるフィン2A,2Gで構成されているが、フィン2が5枚構成の例だと、第3フィンであるフィン2A,2Gが省略されることになる。本発明はそのような形態も含む。