特許第6385010号(P6385010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385010
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】気密端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20180827BHJP
【FI】
   H01R9/16 101
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-35012(P2016-35012)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-112082(P2017-112082A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-243678(P2015-243678)
(32)【優先日】2015年12月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福島 大輔
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−000474(JP,U)
【文献】 実開昭53−031288(JP,U)
【文献】 特開2006−080089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の貫通孔を有した金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着する絶縁材とを備え、該リードは、炭素鋼またはFe−Cr合金からなる構造材の芯材と、この芯材の表面を覆ったNiの下地層と、この下地層の上部を覆ったCuまたはAlの金属または前記金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる中間材と、この中間材の表面を元素周期表(長周期型)におけるTcを除く6A族から8族の遷移元素からなる金属、または前記金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる外被材でさらに覆ったことを特徴とする気密端子。
【請求項2】
前記遷移元素および前記合金は、Ni−PまたはPdからなる請求項1に記載の気密端子。
【請求項3】
少なくとも1個の貫通孔を有した金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着する絶縁材とを備え、該リードは、炭素鋼またはFe−Cr合金からなる構造材の芯材と、この芯材の表面を覆ったNiの下地層と、この下地層の上部を覆ったCuまたはAlの金属または前記金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる中間材と、この中間材の上に元素周期表(長周期型)におけるTcを除く6A族から8族の遷移元素からなる金属、または前記金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる第一の外被材を設け、この第一の外被材の上にさらに、第一の外被材とは異なった元素周期表(長周期型)におけるTcを除く6A族から8族の遷移元素からなる金属、または前記金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる第二の外被材を設けたことを特徴とする気密端子。
【請求項4】
前記遷移元素および前記合金は、Ni−PまたはPdからなる請求項3に記載の気密端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密端子に関する。
【背景技術】
【0002】
気密端子は、金属外環の挿通孔に絶縁材を介してリードを気密に封着したもので、気密容器内に収容された電気機器や素子に電流を供給したり、電気機器や素子から信号を外部に導出したりする場合に用いられる。特に金属外環とリードを絶縁ガラスで封着するGTMS(Glass−to−Metal−Seal)タイプの気密端子は、整合封止型と圧縮封止型の2種類に大別される。前述の気密端子において信頼性の高い気密封止を確保するには、外環およびリードの金属材と絶縁ガラスの熱膨張係数を適正に選択することが重要となる。封止用の絶縁ガラスは、金属外環とリードの素材、要求温度プロファイルおよびその熱膨張係数によって決定されている。整合封止の場合、金属材と絶縁ガラスの熱膨張係数が可能な限り一致するように封止素材を選定する。一方、圧縮封止は、金属外環が絶縁ガラスおよびリードを圧縮するように意図的に異なる熱膨張係数の金属材と絶縁ガラスの材料が選択されている。
【0003】
従来の気密端子は高い気密信頼性ならびに電気絶縁性を確保するため、整合封止型気密端子においては、金属外環およびリード材に広い温度範囲でガラス材と熱膨張係数が一致しているコバール合金(Fe54%、Ni28%、Co18%)を使用して、両者をホウケイ酸ガラスからなる絶縁ガラスで封着し、圧縮封止型気密端子においては、使用温度範囲においてガラスに同心円状の圧縮応力が加わるように、炭素鋼またはステンレス鋼などの鋼製の金属外環と、鉄ニッケル合金(Fe50%、Ni50%)や鉄クロム合金(Fe72%、Cr28%)などの鉄合金のリード材を使用して、両者をソーダバリウムガラスからなる絶縁ガラスで封着していた。
【0004】
その他、電子管、電球、放電ランプおよびダイオード、サーミスタなどの半導体デバイスの軟質ガラス封入部に用いる封着金属線材にジュメット線がある。ジュメット線は、鉄・ニッケル合金を芯金とし、それに銅を被覆した複合線で、さらに表面をオキシダイズ仕上げないしボレート仕上げしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−260560号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本工業規格 JIS H 4541−1997 ジュメット線
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、気密端子の大電力対応が求められるようになっている。例えば、コンビニエンス・ストアのようなスペースが限られた店舗内に設置する冷凍機用に小型かつ高性能なコンプレッサーが求められるようになっている。このように業務用途を中心に近年のコンプレッサーは、従来サイズに比し小型化される傾向にあるが、冷凍機の能力向上に伴ってコンプレッサーに取り付けられた気密端子を通る最大電流値は自ずと上昇する傾向にある。従来から冷凍機用気密端子には、リード・ピンの機械的強度などの制約からリード材に鉄合金などの高抵抗金属を用いている。このため、電気的な過負荷がかかるとリード材のジュール熱により絶縁ガラスが溶融し、気密性が確保できなくなり、最悪の場合はリード材が抜け落ちるなどの危険があった。特に大電力用途向けには、気密端子のリード材の通電発熱を抑制できれば、大電力への対応や省電力化など電気エネルギーの効率利用の観点からより好ましい。従来の鉄合金製のリード材から、銅やアルミニウム合金などの低抵抗金属製のリード材に変更できればよいが、これら低抵抗材は機械的強度が鉄合金より乏しく、組立や設置作業時にリード・ピンが曲がりやすくなるため不都合である。また、封止に利用する絶縁ガラスは概して低熱膨張係数材料のため、リード材に高熱膨張係数材料の銀、銅、アルミニウムや銀合金、銅合金、アルミニウム合金などを用いると整合封止が原理上利用できなくなる。圧縮封止においても、低抵抗金属は、金属外環に使用する鋼材に比べて熱膨張係数がより大きく、これをリード材に用いると、封着後にリード材が収縮するため、絶縁ガラスに負荷できる圧縮応力が小さくなりすぎ気密性の確保が難しくなる。敢えて金属外環とリード材ともに銀、銅、アルミニウムやその合金などの高熱膨張係数材料で構成することも考えられるが、その場合は絶縁ガラスに加わる圧縮応力が大きくなりすぎ、封止材のガラスに割れが生じたりするので採用できない。
【0008】
従来、リード材の電気抵抗を低減する目的で銅芯リードを使った気密端子が提案されている。特許文献1に示されるように銅芯の表面を合金鋼で被覆した複合リード材を用いた気密端子がある。しかしながら、特許文献1の気密端子のリード材は、銅のインナコア表面に合金鋼のアウタジャケットを固着被覆してあるので、限られた金属外環内にリードを装着する制約の下で、銅のインナコア径を大きくして合金鋼のアウタジャケットを薄くすると、リードの機械的強度が保てないばかりか銅の大きな熱膨張に合金鋼の被覆が抗しきれず追従してしまい充分な圧縮封止を得られない。逆にインナコアの銅径を小さくし合金鋼の被覆を厚くすると、所望するリードの抵抗値を得ることが難しくなるという構造上の限界があった。また、リードに実用範囲の機械的強度を具備させた場合は、電流経路として鋼材のアウタジャケットにも必ず通電されるようになり、合金鋼のアウタジャケットは銅の数十倍の比抵抗を有するので、銅材部で発熱を抑えても鋼材部で大きな発熱が生じてしまう。鋼材への通電を抑制するため銅芯をより太くすれば鋼材の発熱は抑えられリードとガラスとの間の熱応力を小さくできるが、代わりに通電側の銅材と鋼材との間に大きな熱応力が生じ材料界面が剥離しやすくなる。従って、鋼材アウタジャケットと銅材インナコアの構成では、銅芯材の電気抵抗を下げる効果と、銅芯材の過大な熱膨張とが拮抗しているため、銅芯材と被覆鋼材の熱応力による界面剥離の問題を解決できず、金属材の複合界面が熱履歴の影響を受けて気密性を損ない易いという欠点があった。
【0009】
従来、ガラス封止電極材として用いられるジュメット線は、芯材の鉄・ニッケル合金に銅を被覆した複合線の表面をオキシダイズ仕上げないしボレート仕上げしたもので、例えば非特許文献1の日本工業規格などに規定されている。ジュメット線材は、鉄−ニッケル合金芯線に銅被覆を施し、銅表面を950℃で酸化第一銅(CuO)に酸化させた後、引き続き硼酸溶液に浸漬させて引き上げ被着させた硼酸(HBO)を800から950℃で分解焼成して最表面にガラス状の酸化ホウ素(B)を生成させ製造される。しかしながら、この製法は、しなやかな長尺線材のリール送線による連続処理を前提にして採算ベースに乗るもので、リジッドな大径ピンの個片を用いてバッチ処理で同様な成膜を行うと生産効率が悪くコスト高となってしまう欠点がある。また、例えば大径ピン個片のバッチ処理では、多数のピン材同士が互いに接触や衝突する機会が多くなる。このため、ボレート被膜の不均一や剥落が発生し、ボレート膜が薄い箇所や脱落してしまった箇所でガラスのなじみや密着が悪くなり、リークが発生し易いという課題があった。従って、ジュメット線は、灯具などの球管用の比較的細線径のものしか無く、これを大容量化に適用し難い状況にある。
【0010】
ジュメット線は、Fe系金属の芯材に銅材を被覆し、銅材表面に存在する銅酸化物層に、ガラスを構成する珪酸塩や硼酸塩を化学結合させて封着させる。ジュメット線の最表面にコーティングされたガラス状の酸化ホウ素膜は、予備的に銅酸化物とガラス成分の酸化ホウ素とを化学反応させておき、酸化ホウ素膜で封止ガラスの濡れを良くすることで短時間の封着を可能にし、かつ封止ガラスによる銅酸化物の過剰なガラス食われを防止し、銅素地と封止ガラスとの接合を介在する酸化物層を保護する機能を有している。一般に銅酸化物は、赤色の酸化第一銅(CuO)と黒色の酸化第二銅(CuO)の二種類があり、酸化第二銅は脆いため、ガラスと反応して良好な封着性を示すのは酸化第一銅に限られる。ところが、この酸化第一銅はガラスに溶解し易く、単独の銅素地に直接ガラスを封着させると、ガラスと金属を繋ぎ止めている酸化物層がガラス中に溶融拡散して消失したり、酸化膜が部分的に酸化第二銅に変質した部位があったりすると、その部分を起点にシール部から気密もれが生じやすくなるという課題があった。
【0011】
本発明の目的は、大電力用に適合した気密端子において、リード材のガラス濡れを確保しガラス封着部の気密信頼性を向上した気密端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、少なくとも1個の貫通孔を有した金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着する絶縁材とを備え、該リードは、構造材の芯材と、この芯材の外径部を覆った低電気抵抗材からなる中間材と、この中間材を封着温度において安定なガラス結合性を有する外被材でさらに覆ったことを特徴とする気密端子が提供される。リードの最表面に封着温度において安定なガラス結合性を有する外被材を設けたことで、ガラス密着性に劣る中間材を用いても容易に封着気密性を確保できる。従来、ボレート形成が困難であった大径ピンにも、めっき仕上げやクラッド仕上げなどを用いて外被材を形成できるので、ガラス食われの無い安定なガラス結合性の表面被覆が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る気密端子10の平面図を示す。
図2】本発明に係る気密端子10の正面図を示し、図1のD−D線に沿って切断した正面部分断面図を示す。
図3】本発明に係る気密端子10の下面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る気密端子10は、図1ないし図3に示すように、少なくとも1個の貫通孔を有した金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着する絶縁材13とを備え、該リード12は、構造材の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆った低電気抵抗材の中間材12−2と、この中間材12−2の表面を封着温度において安定なガラス結合性を有する外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。低電気抵抗材の中間材12−2の表面を封着作業温度において安定なガラス結合性を有する外被材12−3で覆ったことにより、中間材12−2にガラスとの密着性が弱い低電気抵抗材を配置しながら表面の外被材12−3でガラスとの密着性を確保できる。
【0015】
本発明の芯材12−1は、構造材のFeまたはFe基合金からなる。本発明の中間材12−2は、銅材と同等ないし、それ以下の電気抵抗値を示す低電気抵抗材なら何れの材料を使用してもよい。例えば、中間材12−2としてCu、Alの金属、または該金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金が好適に利用できる。本発明の外被材12−3は、600℃以上1100℃以下の封着温度において安定なガラス結合性を有する外被材なら何れの材料を使用してもよい。例えば、外被材12−3は、元素周期表(長周期型)におけるTcを除く6A族から8族の遷移元素からなる金属、または該金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金からなる。これら外被材12−3は、封着温度において、その酸化物等の表面化合物または該金属自身のガラスへの溶解が遅く、その表面化合物膜および金属膜が薄くてもガラス食われが起き難いため好適である。特にCr、Ni、Ni−P、Pdの群から選択した金属からなる外被材12−3が好適に利用できる。上記構成により、中間材12−2にガラスとの密着性が弱い低電気抵抗材を用いながら、外被材12−3が気密端子のリード界面における封止ガラスによる酸化膜や金属膜の過剰なガラス食われを防止し気密性に優れた封着を可能とする。また、外被材12−3は、少なくとも絶縁材13との界面のみに部分的に設けてもよい。
【0016】
なお、本明細書において三端子の気密端子を例示するが、リードを外環にガラス封止した気密端子であれば何れの形態を用いてもよく、例示した気密端子に限定されない。
【実施例】
【0017】
本発明に係る実施例1の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったCuの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をCrの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る実施例2の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったCuの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をNiの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る実施例3の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったCuの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をPdの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る実施例4の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有したステンレス鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったAlの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をCrの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る実施例5の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有したステンレス鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったAlの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をNiの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る実施例6の気密端子10は、図1ないし図3に示すように、3個の貫通孔を有したステンレス鋼の金属外環11と、この金属外環11の貫通孔に挿通したリード12と、金属外環11とリード12とを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材13とを備え、該リード12は、Fe−Cr合金の芯材12−1と、この芯材12−1の外径部を覆ったAlの中間材12−2と、この中間材12−2の表面をPdの外被材12−3でさらに覆ったことを特徴とする。
【0023】
各実施例に記載したリードは、芯材、中間材、外被材が有する上述の機能を阻害しない限り、芯材と中間材または中間材と外被材との間に、必要に応じてさらに金属膜を設けて多層化してもよい。例えば、芯材に中間材が密着し易いように下地層を施し、その上に中間材を設け、中間材の上に外被材を設けた三層構成にしてもよいし、または、芯材の上に中間材を設け、この中間材の上に所定金属材(一例を挙げると、Cr、Ni、Ni−P、Pd等の元素周期表[長周期型]におけるTcを除く6A族から8族の遷移元素からなる金属、または該金属の少なくとも1つを5重量%以上含む合金)からなる第一の外被材を設け、この第一の外被材の上にさらに、第一の外被材と異なる該所定金属材からなる第二の外被材を設けて三層構成にしてもよいし、または、芯材に下地層を施し、その上に中間材を設け、中間材の上に前記所定金属材からなる第一の外被材を設け、この第一の外被材の上にさらに、第一の外被材と異なる前記所定金属材からなる第二の外被材を設けて四層構成に変形してもよい。第一の外被材にさらに第二の外被材を設けるときは、例えば、第一の外被材が第二の外被材より中間材に対する密着性や対化学物質バリヤ性が優れるが、第二の外被材の方が第一の外被材より、ガラス材など絶縁材への濡れ性が優れている場合などにおいて、第一および第二の外被材の構成を採ると有効である。第二の外被材は、リード表面全体に設けても、絶縁材の封着面のみなど一部に設けてもどちらでもよい。なお、特に絶縁材をリードの軸方向に上下に突出して設ける場合に、その範囲を規制したいときは、第二の外被材を絶縁材の封止部のみ部分的に施すのが好ましい。
【0024】
以下に記載する実施例7の気密端子、実施例8の気密端子および実施例9の気密端子は、特に図示しないが、図1ないし図3に示した気密端子10のリード12をさらに多層化したものである。
【0025】
本発明に係る実施例7の気密端子は、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材とを備え、該リードは、ステンレス鋼の芯材と、この芯材の表面を覆ったNiの下地層と、この下地層の上部を覆ったCuの中間材と、この中間材の表面をCrの外被材でさらに覆ったことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る実施例8の気密端子は、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材とを備え、該リードは、Fe−Ni合金の芯材と、この芯材の表面を覆ったCuの中間材と、この中間材の上にNiからなる第一の外被材を設け、この第一の外被材の上にさらに、Crからなる第二の外被材をガラス封着面に設けたことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る実施例9の気密端子は、3個の貫通孔を有した炭素鋼の金属外環と、この金属外環の貫通孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着するソーダバリウムガラスの絶縁材とを備え、該リードは、ステンレス鋼の芯材と、この芯材の表面を覆ったNiの下地層と、この下地層の上部を覆ったCuの中間材と、この中間材の上にNi―Pからなる第一の外被材を設け、この第一の外被材の上にさらに、Crからなる第二の外被材をガラス封着面に設けたことを特徴とする。
【0028】
本発明に係る気密端子は、リードを金属外環にガラス封着させた後、さらに金属表面に所望の仕上げめっきを施すことができる。また、上記実施例に記載の芯材は、中間材および外被材のベース構造を構成できれば何れの材料を用いてもよい、例えばFe−Cr合金に限らず、適宜、Fe−Ni合金、炭素鋼等に変更してもよい。同様に実施例に記載の絶縁材は、リードと金属外環とを電気絶縁および気密封着できればよく、ソーダバリウムガラスに限らず任意のガラス材を用いることができる。本発明の外被材が化学的に弱い中間材を界面浸食や腐食等から守る機能があることを活かして、本発明の絶縁材は、必要ならばガラス材に替えてエポキシ樹脂等の樹脂材を用いてもよい。また、本発明の気密端子のリードおよび金属外環の一部にシリコーン樹脂等の絶縁被覆を装着させても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、特に高電圧・高電流に耐久し、かつ高い気密性が要求される気密端子に利用できる。
【符号の説明】
【0030】
10・・・気密端子、
11・・・金属外環、
12・・・リード、
13・・・絶縁材、
12−1・・・芯材、
12−2・・・中間材、
12−3・・・外被材。
図1
図2
図3