(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側部部材は、前記上面部材と前記下面部材との両幅に直行して立設され、前記上面部材と前記下面部材との長手方向にわたって延びる板状部材である、請求項3に記載のダクト取付部材。
それぞれの前記側部部材の両側又は一方側の端部でその上部エッジから幅方向内側に突出する板状の衝撃吸収ガイド部材を備える、請求項5〜7のいずれか1項に記載のダクト取付部材。
【背景技術】
【0002】
空調、換気、排煙等の目的で施設内の天井や壁等(以下、「天井等」と称する)にはダクトが取り付けられている。ダクトは、天井等の形状に合わせ得るものであることが望ましく、一例として湾曲・収縮自在で軽量のフレキシブルダクト等(以下、ダクトと称する)が知られている。
【0003】
一般的に、ダクトの天井等への取り付けは、樹脂製のバンド(以下、「帯状部材」と呼ぶ場合がある)を筒状のダクトの外周に巻き付け、バンドの両端を天井等に取り付けることで行われる。バンドの天井等への取り付けには、直接的な若しくは間接的な取り付け方法がある。直接的な方法としては、ガス銃などの鋲打器を用いてバンドの端部ごと天井等に鋲(釘)等を打ち込む方法や、接着剤を用いて天井等にバンドを接着する方法が知られている。また、間接的な方法としては、天井等から鎖等を垂らし、その鎖等にバンドの端部を釘等の打ち込みまたは接着剤により取り付ける方法が知られている。
【0004】
間接的な他の取り付け方法として、特開2003−114045号公報(特許文献1)に示されるような、孔の開いた板状部材を備える器具を天井等に固定し、その孔とバンドに設けられた両端の孔を覗くように重ね合わせ、重ねた孔に両側から嵌合部材を通してバンドを器具に取り付ける方法が知られている。また間接的な他の方法として、特許4365590号公報(特許文献2)に示されるような、天井等に予め取り付けたフック形状部材を備える器具を用いて、バンドに設けられた両端の孔をフック形状部材に引っ掛けて吊るす方法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のバンドの天井等への取り付け方法には、以下に示す課題がある。
【0007】
直接的な取り付け方法では、ダクト取り付け後にバンドの長さを調節することができず、ダクト取り付け後に施設環境に応じたダクトの配置・変更に十分に対応できなかった。また、作業手順として、ダクトにバンドを巻きつけた後にこれを作業者が両手で持ち上げた状態で天井等への取り付けを行う必要があり、煩雑な両手作業を必須とし、作業者の負担が大きく作業工数が増加する問題があった。このことは、施設ごとに天井等の作業環境が変化する、例えば暗所等の作業に不向きな時間帯、場所において顕著であった。
また、間接的な取り付け方法では、先に天井等に器具を設置する必要があり、取り付け工具の持ち替え等の作業工程が煩雑であるという欠点があった。
【0008】
また、例えば特許文献1に示される取り付け方法など従来の取り付け方法では、一旦天井等にダクトを取り付けた後にバンドの長さを調節することが困難であった。また、例えば特許文献2に示す取り付け方法では、バンドに複数の孔を設け、フックに引っ掛ける孔を選択することでバンドの器具への取り付け位置を調整することを可能としているが、引っ掛けているだけであるためフックを軸としてバンドの両端が回転するおそれがあり、ダクトの設置場所からの落下や、バンドが動いて擦れることによるダクトの損傷などの不具合を予防できていなかった。
本発明の目的は、ダクトを天井等に取り付ける作業の作業性を向上可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施の形態におけるダクト取付部材は、長手方向に所定間隔ごとに位置決め孔が設けられた帯状部材を天井面に固定させることで、ダクトを前記天井面から吊り下げるダクト取付部材であって、前記天井面に当接させる天面を有する板形状の上面部材を有する。また、前記上面部材に対して厚み方向にずれた位置に形成される板形状の下面部材を有する。また、前記上面部材と前記下面部材との間に形成され、前記帯状部材が挿入される隙間を有する。また、前記上面部材の天面の裏側には下方に突出するバンドリベット部材を有し、前記バンドリベット部材は、前記帯状部材の位置決め孔に嵌め込むことが可能である。また、前記バンドリベット部材の先端には、嵌め込んだ後に前記帯状部材の下方落下を防止する第一返し部が設けられる。
【0010】
本ダクト取付部材は、ガス銃等の鋲打ち器や接着剤で天井等に当接固定する上面部材と、これより一段下方に並列する下面部材とで構成されており、上面部材の裏側に帯状部材(例えば、実施形態におけるバンド部材12)を進行させて帯状部材に所定ピッチで設けられた孔(例えば、実施形態におけるバンド部材12)をバンドリベット部材に嵌め込むだけでその第一返し部によりスナップ留めされて帯状状部材を固定することができる。したがって、帯状部材を所望の長さに片手操作で簡単に位置決めすることができる。さらに、帯状部材の先端は上面部材と下面部材との隙間に進行させることができるのでその位置決め長さの調整も容易である。
【0011】
また、本ダクト取付部材は、前記下面部材には厚み方向に貫通する切り込みが設けられ、前記下面部材には、前記切り込みによって前記上面部材側を自由端として厚み方向に揺動する舌状部材が形成される。また、前記舌状部材は、前記自由端に向かってスロープ状に下方に突出する第二返し部が設けられる。また、前記下面部材の天面の裏側で前記帯状部材を前記上面部材側に進行させると、前記帯状部材の前記位置決め孔が前記第二返し部(例えば、実施形態におけるラチェット部材123)に引っかけられて前記帯状部材の進行方向と反対側への移動を規制する。
【0012】
このダクト取付部材では、前述の反対に下面部材側から帯状部材を挿入する場合、帯状部材を下面部材の裏側で進行させ、その孔を第二返し部に引っかけて固定する。この第二返し部は、下面部材に切り込みを入れることで形成された片持ち形状であり、その下部は帯状部材の進行方向に隆起するようにスロープ状に形成され、先端を頂部とする。これにより、帯状部材を進行させるときは下面部材の裏側で上方向の移動を規制しつつ、その孔の前縁も第二返し部のスロープ形状を進行する。そして、孔の前縁が第二返し部の頂部を超えた時点で帯状部材の復元力で頂部が孔に入り込み、帯状部材の逆進行を規制する。したがって、帯状部材を片手操作でその長さを調整しながら押し込んでいくだけで簡単に所望の位置で固定することができる。
【0013】
特に下面部材側の帯状部材の固定の場合、バンドリベット部材で帯状部材の一端を固定した状態でダクトに巻き付けて反対側の帯状部材の端部を進行させ、ダクト径等に応じて長さ調節しながら機動的に固定する必要がある。このため第二返し部は帯状部材の進行を自在としつつも逆進行を規制する役割を有する。
また、本ダクト取付部材は、前記上面部材の天面の裏側及び/又は前記下面部材の天面側での前記帯状部材の幅方向のずれを規制する側部部材を備える。
上面部材と下面部材とのを2つの側部部材で挟んで一体成型することで、帯状部材を進行させるときに側部部材によって幅方向のずれを規制して案内することができる。
【0014】
具体的に例示すると、前記側部部材は、前記上面部材と前記下面部材との両幅に直行して立設され、前記上面部材と前記下面部材との長手方向にわたって延びる板状部材である。
【0015】
また、本ダクト取付部材は、それぞれの前記側部部材の下部で幅方向内側に突出し、前記上面部材の下方に位置する第一ガイド部材(例えば、実施形態におけるバンドガイド118)を備えることが好ましい。
【0016】
また、それぞれの前記側部部材の下部で幅方向内側に突出し又は互いに連結し、前記下面部材の下方に位置する第二ガイド部材(例えば、実施形態におけるラチェットガイド120)を備えることが好ましい。
【0017】
上面部材の下方には、第一ガイド部材が設けられ、これにより帯状部材を進行させるときの下方落下を防止できる。とりわけ本発明の場合、できるだけ片手操作で取付け作業ができることを目的としているため、バンドリベット部材に帯状部材の所望位置の孔を嵌め込むまでの作業の煩雑さも回避したい要望があるからである。
【0018】
また、同様の目的で下面部材の下方にも第二ガイド部材が設けられ、帯状部材の所望の孔を第二返し部に引っかけるまでの下方落下を防止している。第二ガイド部材は、単に側部部材から突出場合だけでなく、両側の側部部材を連結する場合も考えられる。下面部材側の帯状部材の固定の場合、上述するように第二返し部によりダクト径等に応じて機動的に固定できるようにしている。このため第二返し部のみでは固定力が弱い場合もあり、下方落下防止を十分に達成し得るようにしている。
また、本ダクト取付部材の前記バンドリベット部材は、上下方向に上面部材まで貫通する孔が設けられ、さらに長手方向に分割されていることが好ましい。
【0019】
貫通する孔を設けることで電気銃(鋲打ち器)等の鋲打器を用いて貫通孔に釘又は鋲を打ち込み、上面部材を天井等に当接固定することができる。また、貫通する孔を利用しつつバンドリベット部材を分割することで上面部材側を固定端とし第一返し部側を自由端とする互いに両側に開いた形状にすることができ、前後方向の可撓性を大きくして帯状部材をスナップ留めし易くしている。
【0020】
さらに、本ダクト取付部材では、電気銃等の鋲打器を用いる合、帯状部材を上面部材と天井との間に介挿させた状態でバンドリベット部材の貫通孔に釘又は鋲を打ち込んでダクトに巻き付ける前に先に天井に固定することも考えられる。このような固定方法もバンドリベット部材を分割し、貫通孔を設けることで可能となる。
また、本ダクト取付部材は、それぞれの前記側部部材の両側又は一方側の端部でその上部エッジから幅方向内側に突出する板状の衝撃吸収ガイド部材を備えても良い。
【0021】
この衝撃吸収ガイド部材(例えば、本実施形態におけるバンドガイド114、バンドストップ116)により鋲打ち作業時の衝撃から本ダクト取付部材や帯状部材を保護することができる。
【0022】
また、上述するように上面部材と天井の間に帯状部材を介挿させてバンドリベット部材の下方から鋲打ち作業時して本ダクト取付部材を天井に固定する場合、上面部材の端部に設けられた衝撃吸収ガイド部材(例えば、本実施形態におけるバンドガイド114)と上面部材の端部(例えば、本実施形態における傾斜部102b)との間に帯状部材の先端を挿入し、上面部材の天面上で進行させることができ、帯状部材の所望の位置の孔とバンドリベット部材の貫通孔とが覗く位置になった状態で鋲打ち作業を行って固定することができる。このとき衝撃吸収ガイド部材は帯状部材の進行の案内板としての役割と、鋲打ちによる衝撃を吸収し本ダクト取付部材や帯状部材の保護をする役割とを兼務することができる。
【0023】
また鋲打ち作業時して本ダクト取付部材を天井に固定する場合、帯状部材をさらに進行させて所望位置の孔で鋲打ちし、帯状部材の長さ調節をする場合、下面部材側の衝撃吸収ガイド部材(例えば、本実施形態におけるバンドストップ116)によって帯状部材の先端の鋲打ちによる衝撃を吸収し本ダクト取付部材や帯状部材の保護することができる。
さらに、本ダクト取付部材は、前記上面部材の天面上において、前記上面部材の縁部に沿って囲む溝が配設されていても良い。
この溝により上面部材の天面に接着剤を塗布し、天井等に固着させる場合、当接面に接着剤をはみ出さずに十分に行きわたらせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ダクトを天井等に取り付ける作業の作業性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のバンド取付部材100の実施例を
図1〜
図6を参照しつつ以下、説明する。本明細書では、バンド取付部材100の構成と、これを
図3に示すバンド部材12(帯状部材)とともに用いてダクト300を天井等に取り付ける工程とを説明することでバンド取付部材100を説明することとする。なお、
図1、2においてのバンドストップ116が形成される側を前方と表記する。
【0027】
また、
図1は、ダクト取付部材100を天面側から見た斜視図であり、
図2は、ダクト取付部材100を裏側から見た斜視図である。
図3は、
図1のラインA−Aに沿った断面図である。
図4は、
図3の断面にバンド部材12(帯状部材)を挿入した状態を示した図であり、(a)は上面部材102の下方にバンド部材12を進行させてた図であり、(b)は下面部材106の下方にバンド部材12を進行させてた図であり、(c)は上面部材の天面にバンド部材を進行させた図である。また、
図5は、バンド部材の平面図であり、
図6はダクトの斜視図である。
【0028】
前提として、
図6を用いて、バンド取付部材100を用いて天井等に取り付けられるダクト300について説明する。ダクト300は、長手方向(軸方向)に延びた円筒形状部材であり、バンド部材12によって天井等から吊り下げ可能である。なお、このダクト300は、アルミにより6層で形成されており、径方向に屈曲可能である。なお、バンド取付部材100によって吊るされるダクト300は、アルミ以外の他の部材(樹脂繊維など)とともに形成されるものであっても良い。また、ダクト300は、6層の構造に限らず、想定される他の構造のダクトを全て含むものである。
【0029】
また、
図5にはバンド部材12の平面図が示されている。バンド部材12は、長手方向に延びた帯形状である。バンド部材12は、上述するダクト300の周囲に巻き付けられ、天井から吊り下げられる。バンド部材12は、樹脂製であり、幅は、50mmであり、厚み1mmは、である。バンド部材12。なお、バンド部材12の幅は、20mm〜80mmの間のいずれであっても良い。また、バンド部材12の厚みは、0.2mm〜3mmの間のいずれであっても良い。また、バンド部材12は、天井への吊り下げ作業時の利便性を考慮し、ハサミ等の切断器具により容易に切断可能に形成される。。また、バンド部材12は、ダクト300に巻き付けた際やバンド取付部材100への位置ずれを回避可能に形成される。
【0030】
また、バンド部材12には、厚み方向に貫通する大孔14と小孔16とが配設されている。大孔14は、楕円形状であり、小孔16は、円形状である。そして、大孔14と小孔16とは、互いに中心軸に沿って、長手方向に交互に繰り返して配設されている。なお、
図5では大孔14の長径(長手方向の径)が10mm、小孔16の径3mmのケースが例示されているが、これはバンド取付部材100や上述するダクト300の自重等により選択される設計事項である。例えば、大孔14の長径(長手方向の径)は、5mm〜20mmの間のいずれであっても良い。また、小孔16の径は、1mm〜5mmの間のいずれであっても良い。
【0031】
バンド取付部材100は、樹脂製である。また、バンド取付部材100は、樹脂によって一体成形される。バンド取付部材100は、板状の上面部材102を有する。
図1〜4に示すように上面部材102の側部両側には、上面部材102の長手方向(以下、前後方向と呼ぶ場合がある)に沿って延びる板状の側面部材104が、起立して(上面部材102と直行して)並列に配置されている。上面部材102の各側部は、各側面部材104の上縁部と連結されている。また、上面部材102には、上面部材102を貫通する3つの孔108a〜cが並んで配設されている。さらに、上面部材102には、上面部材102を貫通する孔108dが形成されている。
【0032】
図3には
図1のラインA−Aに沿った断面図が示されている(理解しやすさのために
図1の各部材のスケールを変更し、フランジ部110等の一部材を省略している)。側面部材104の幅方向の間(一方の側面部材104と他方の側面部材との間)には、上面部材102と、上面部材102に対して階段状の後方下部(紙面右上方の位置)に配置される下面部材106とが設けられる。上面部材102と下面部材106との間には厚み方向に隙間117が形成される。下面部材106には、側面部材104と下面部材106とを連結するための枠部材109が形成されている。枠部材109は、各側面部材104の端部に挟まれて、垂直方向(下面部材106と直行する方向)に配設される。下面部材106の両側部には、各側面部材104の内側面から内側に向かって突出する下方連結部106aが配設されている。
【0033】
このようにバンド取付部材100は、上面部材102、側面部材104、及び下面部材106から構成されている。なお、下面部材106には1つの孔122が配設されているる。
【0034】
ここで上面部材102について詳述する。上面部材102は、天井等に当接する平面部102aと傾斜部102bによって構成される。平面部102aの上面には4つの孔108a、108b、108c、108dが配設されている。傾斜部102bは、平面部102aの一端(バンドガイド114側の端)が、下面方向に折り曲げられた形状をなしている。また、傾斜部102bは、
図3に示されるように平面部102aに一体連結する板状の部材である。3つの孔108a、108b、108cは平面部102aの中央近傍に配置される。孔108bと孔108cとは、天面視で2つの互いに対向するコ字型である。すなわち、孔108bがコ字方であるの対し、孔108cは逆コ字型である。また、上面部材102には、これらの孔108b、108cで挟まれた円形の孔108aが配設されている。
【0035】
なお、上面部材102の下面には複数のフランジ部110を設けても良く、
図2には、上面部材102の下面に鉛直方向に立配し前後方向に互いに並列して延びる4つのフランジ部110が例示されている。また、孔108と対応する位置に鉛直方向に突出した2つのバンドリベット部112a、112bが配設されている。バンドリベット部112aとバンドリベット部112bとは互いに対向して配置される。また、上面部材102の下面であって、平面部102aの一端(バンドガイド114側の端)には、円筒形状の筒部113が形成される。そして、上面部材102の下面に形成される筒部113の周囲には、筒部113を囲う円形状のリブ部材111a、111bが立設されている。リブ部材111aは、筒部113を中心に、筒部113を囲うように立設される。また、リブ部材111bは、リブ部材111aを囲うように、リブ部材111aの同心円上に立設される。筒部113の高さは、バンドリベット部112aおよびバンドリベット部112bよりも低い。また、リブ部材111の高さは、筒部113の高さよりも低い。バンドリベット部112a、112bはそれぞれ、孔108aと孔108b、孔108aと孔108cに挟まれて三日月状に形成され、下端において半矢先形状の第一反し部112c、112dが設けられている。
【0036】
孔108dの直径は、3.5mm〜4.5mmである。また、筒部113の直径は、5.5mm〜6.5mmである。また、筒部113を囲うリブ部材111a直径は、13.5mm〜14.5mmである。また、リブ部材111aを囲うリブ部材111bの直径は、23mm〜24mmである。このように、筒部113の直径が5.5mm〜6.5mmであり、筒部113を囲うリブ部材111a直径が13.5mm〜14.5mmであることで、電気銃で天井等に鋲打ちする際に、電気銃先端部分(空撃ち防止機構)が、リブ部材111aに引っかかり、電気銃先端部分(空撃ち防止機構)の内周側の釘は排出される機構のみが筒部113に挿入される。これによって、電気銃の安全装置を解除できる。
図1〜
図3に示すように各側面部材104は、上面部材102と下面部材106とを幅方向両側から挟み込んでおり、上面部材102と下面部材106とに対して直行して設けられる。また、各側面部104は、前後方向に帯状に延びている。側面部材104の両上端縁部は上、面部材102の天面と連続しており、上面部材102が天井等に当接されたとき又は上面部材102がバンド部材12を介して天井等に当接されたときに当接する。また、側面部材104は、上面部材102の位置を超えて前方先端の上縁が下方(下面側)に傾斜している。この前端の上縁から幅方向内側に板状のバンドガイド114が突出している。また、各ハンドガイドは互いに対向して設けられる。上面部材102の裏面をバンド部材12が進行する場合には(
図4(a)参照)、バンドガイド114によって、バンド部材12が天井等側に跳ね上がることが規制される。また、上面部材102の天面をバンド部材12が進行する場合には(
図4(c)参照)、バンドガイド114によって、電気銃等で天井等に鋲打ちする際にバンド部材12が損傷する可能性を回避可能としている。
【0037】
また、側部部材104の後端(バンドストップ116側)に、前端のバンドガイド114と同様にバンドストップ116が設けられている。この後端のバンドストップ116は、上面部材102の天面側を進行させる鋲打ち作業を行った場合に(
図4(c)参照)、バンド部材12の前端をバンドストップ116側に案内し、鋲打ち作業による衝撃を吸収し、バンド部材12の前端やダクト取付部材100を保護する機能を有する。なお、このバンドストップ116は前述した枠部材109を終端として連結している。
【0038】
また、上面部材108の裏側には、各側面部材104にその幅方向内側に突出(傾斜)する板状のバンドガイド118が設けられる。上面部材10の裏側を進行するバンド部材12は、バンドガイド118により厚み方向上面部材側(上面側)に押し付けられ、位置決めされる。通常、バンド部材12をバンドリベット部112で固定するときに作業者がバンド部材12の両側部を押し込んで位置決めする。
【0039】
ここでバンド部材12は、上述するように長手方向(進行方向)所定間隔ごとに楕円状の大孔14が設けられている(
図5参照)。また、大孔14の隣には所定間隔をあけて丸状の小孔16が設けられてもよい。
図4(a)に示すように大孔14は上述したバンドリベット部112a、112bが厚み方向に挿入され、大孔14の内周縁の弾性変形を利用してバンドリベット部112a、112bの第一返し部112c、112dに圧入され、返し部112c、112dの最も拡がった部分(左右方向に突出した部分)を超えて、第一返し部112c、112dとリブ部材111との隙間に到達すると大孔14の弾性変形が解放され、固定される。また、
図1〜
図3の例では示していないがバンド部材12の長手方向の固定をさらに十分にするためにバンドリベット部112の近傍に突起を設けて小孔16に差し込むようにする場合もある。
図1〜
図4のようにこのような突起がない場合でも小孔16によって、バンド部材12の幅方向の可撓性のみ上げ、長手方向の強度をそのままに維持できる。
【0040】
また、下面部材106は、上面部材102の後方下部に配置される板状部材である。下面部材106の前端は、上面部材102の後端と前後方向に略同一位置に配置される。また、下面部材106の前端は、上面部材102の後端と厚み方向に隙間117を空けて配置されている。また、下面部材106は平坦な板形状であるが、前後方向の中間位置を頂点として両側に緩やかに下降している。また、下面部材106の中間位置には、U字形状の切り込み122が設けられる。切り込み122によって後端側を固定端とする舌状のラチェット部材(舌状部材)123が設けられており、固定端側を中心に厚み方向に弾性的に揺動する。ラチェット部材123はその先端(前端側)が下方に突出している(符号123a参照)。すなわち、ラチェット部材123は、自由端に向かってスロープ状に下方に突出している。
【0041】
さらに、各側面部材104は、下面部材106の下方に所定間隔を空けて幅方向に内側に突出する板状のラチェットガイド120を有する。このラチェットガイド120は幅方向にわたって両側の側部部材104を連結するものであってもよい。
図4(b)に示すようにバンド部材12が後端から挿入する下面部材106の裏側を進行させる場合には、バンド部材12を下面部材106とラチェットガイド120との間を通す。すなわち、ラチェットガイド120はバンド部材12の端部が下側に垂れさがらないための案内板となる。また、バンド部材12が後端側から挿入され進行した場合に、上記ラチェット部材123を通過し、所望の大孔14をラチェット部材の下方の突起123aに引っかけることでバンド部材12の固定する。
図7は本発明の一実施の形態におけるリベット部材200の構成例の概要を示す斜視図である。
【0042】
図7に示されるように、リベット部材200は、筒形状の第1のリベット部210と、第1のリベット部210よりも直径が大きい第2のリベット部220とを有する。第1のリベット部210の直径は、3mm〜5mmである。また、第2のリベット部220の直径は、7mm〜12mmである。また、第1のリベット部210の中心から第2のリベット部220までの距離(間隔)は、8mm〜10mmであり、互いに隣接する小孔16から大孔14までの距離と一致する。これによって、第1のリベット部210はリベット部材200が、バンド部材12に取り付けられる際に、取り付け位置を決定するためのガイドとして機能する。
【0043】
図8に示されるように、ダクト取付部材100が天井に取り付けられ、バンド部材12の一端側の大孔14が上面部材102の裏側のバンドリベット部112に嵌め込んでスナップ留めさせる。
【0044】
また、ダクト300にバンド部材12が巻き付けられた状態にて、リベット部材100がバンド部材12に取り付け(挿入)られる。そして、リベット部材100によって、バンド部材12は、ダクト300に巻き付けられた状態が維持される。より詳細には、第1のリベット部210が、バンド部材12の小穴16に挿入されるとともに、第2のリベット部220が大孔14に挿入されることで、リベット部材100がバンド部材12に取り付けられる。詳細には、第2のリベット部220は、大穴14に押し込まれると、大穴14が弾性変形する。第2のリベット部220大穴14を貫通(通り抜け)した後に、大穴14は、復元力によって元の形状に戻る。これによって、バンド部材12と第2のリベット部220の底面とが接触した状態でリベット部材100はバンド部材12に取り付けられる。
次に、ダクト取付部材100とバンド部材12とを天井に取り付ける方法について詳細に説明する。
【0045】
まず、上面部材102とバンド部材12との取り付け方法は二つある。第一の方法は、まずダクト300の径に合わせて適当な長さにバンド部材12をカットし、バンド部材12を上面部材102の裏側を進行させる。また、バンド部材12の両側面は、側面部材104の内周面に対向して形成される爪部に押し込まれる。そして、バンド部材12の所望の位置の大孔14をバンドリベット部112に嵌め込んでスナップ留めさせる。このときバンド部材12は、上面部材102とバンドガイド118との隙間を進行させた後にバンドリベット部112に嵌め込んでも良く、上面部材102の裏側に配置し、大孔14をバンドリベット部112に嵌め込む前後にバンドガイド118上に位置する部分を押し込んでも良い。
【0046】
この状態で上面部材102の天面(平面部102a)を天井等に当接固定する。固定は接着剤を先に平面部102とバンド部材12の天面側に十分に塗布してから天井等に当接しても良く、平面部102a上にバンド部材12を載置しながら天井等に当接した状態で上面部材102の裏側からバンドリベット部112の貫通孔108aを通して鋲打ち器で固定しても良い。
【0047】
また第二の方法でも、まずダクト300の径に合わせて適当な長さにバンド部材12をカットし、バンド部材12をバンドガイド側から挿入する。そして、バンド部材12を、上面部材102の天面側(傾斜部102bから平面部102a)で進行させる。このときバンド部材12の先端を傾斜部102bとバンドガイド114との隙間に挿入して進行させる。そして、バンド部材12の所望の位置の大孔14が、上面部材102の貫通孔108aを覗く位置(対向する位置)に到達すると、この状態で上面部材102の天面(平面部102a)を天井等に当接固定する。固定は、平面部102aが天井等に当接された状態で上面部材102の裏側から筒部113を通して鋲打ち器で鋲が撃ち込まれることで行われる。これによって、ダクト取付部材100が天井等に固定される。
【0048】
また、第一の方法、第二の方法ともにダクト取付部材100が天井等に固定された状態でダクト300を支持しつつバンド部材12をダクト300の周囲に巻き付け端部を下面部材106とラチェットガイド123との間に挿入し進行させる。このときダクト300がつぶれない程度にバンド部材12を押し込み、その大孔14がラチェット部材123の突起123aに引っかかることを確認する。以上の工程でダクト取付部材100がダクト300をバンド部材12で支持しながら天井等に固定できる。
【0049】
その他、バンド取付部材100の使用態様として、バンド部材12をダクト300に巻きつけ後に、バンド同士を取り付ける方法も用いることが出来る。これは従来の方法のように、接着剤や鋲打器等でバンド同士を互いに取り付ける方法、樹脂製リベットを用いる方法、バンドを鎖に取り付け鎖を天井に取り付ける方法などを用いることができる。