(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385058
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】脂肪量検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20180827BHJP
G01N 23/083 20180101ALI20180827BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20180827BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/083
G01N23/18
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-268354(P2013-268354)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125030(P2015-125030A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】505260556
【氏名又は名称】川西 勝三
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川西 勝三
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−141176(JP,A)
【文献】
特開2002−168802(JP,A)
【文献】
特表平07−505216(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/049305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪を含む被検査体に対して第1の方向から電磁波を照射する第1照射部と、
前記第1照射部から照射された電磁波から被検査体の第1面における透視画像(以下、第1画像)を取得する第1画像取得部と、
前記第1画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定する脂肪量推定部と、
被検査体に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向から電磁波を照射する第2照射部と、
前記第2照射部から照射された電磁波から被検査体の前記第1面とは異なる第2面における透視画像(以下、第2画像)を取得する第2画像取得部と、
前記第2画像から異物を検出する異物検出部と、を備え、
前記脂肪量推定部は、前記第1画像および前記第2画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定し、
前記第1照射部および前記第2照射部は、線量が互いに異なる電磁波を照射し、
前記第2照射部から照射される電磁波の線量は、前記第1照射部から照射される電磁波の線量より低い、脂肪量検査装置。
【請求項2】
脂肪を含む被検査体に対して第1の方向から電磁波を照射する第1照射部と、
前記第1照射部から照射された電磁波から被検査体の第1面における透視画像(以下、第1画像)を取得する第1画像取得部と、
前記第1画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定する脂肪量推定部と、
被検査体に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向から電磁波を照射する第2照射部と、
前記第2照射部から照射された電磁波から被検査体の前記第1面とは異なる第2面における透視画像(以下、第2画像)を取得する第2画像取得部と、
前記被検査体を搬送する搬送部と、を備え、
前記脂肪量推定部は、前記第1画像および前記第2画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定し、
前記第1照射部および前記第2照射部は、線量が互いに異なる電磁波を照射し、
前記第2照射部から照射される電磁波の線量は、前記第1照射部から照射される電磁波の線量より低く、
前記第1照射部および前記第2照射部は、前記搬送部の搬送面上の前記被検査体に対して当該被検査体の前記第1照射部に対向する面の面積が前記第2照射部に対向する面積より大きくなるように配置されている、脂肪量検査装置。
【請求項3】
脂肪を含む被検査体に対して第1の方向から電磁波を照射する第1照射部と、
前記第1照射部から照射された電磁波から被検査体の第1面における透視画像(以下、第1画像)を取得する第1画像取得部と、
前記第1画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定する脂肪量推定部と、
被検査体に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向から電磁波を照射する第2照射部と、
前記第2照射部から照射された電磁波から被検査体の前記第1面とは異なる第2面における透視画像(以下、第2画像)を取得する第2画像取得部と、
前記被検査体を搬送する搬送部と、を備え、
前記脂肪量推定部は、前記第1画像および前記第2画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定し、
前記第1照射部は、前記第1の方向として前記被検査体の搬送面に垂直な方向から電磁波を照射するよう構成され、
前記第2照射部は、前記第2の方向として前記第1の方向に直交する方向から電磁波を照射するよう構成され、
前記第1画像取得部は、前記搬送面を挟んで前記第1照射部と対向する位置に前記搬送部の搬送方向に対して直交するように整列した第1ラインセンサを備え、
前記第2画像取得部は、前記搬送部を挟んで前記第2照射部と対向する位置に前記搬送面に対して垂直に整列した第2ラインセンサを備える、脂肪量検査装置。
【請求項4】
前記電磁波は、X線である、請求項1〜3の何れかに記載の脂肪量検査装置。
【請求項5】
前記被検査体は、魚である、請求項1〜4の何れかに記載の脂肪量検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚などの脂肪を含む被検査体の脂肪量を検査するための脂肪量検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食用魚などの品質状態を判別するための手法が開発されている。例えば魚の脂肪量を測定することができれば脂の乗りが判別でき、より高い品質の魚を他と選り分けることが可能となる。食用魚においては鮮度をなるべく高く保つため非侵襲的に脂肪量を測定することが望ましい。
【0003】
主に人体の脂肪量を非侵襲的に測定する方法としてはX線CT法、MRI法、インピーダンスCT法等が知られている(例えば特許文献1参照)。これらの方法においては、人体の測定部位の周囲を線源と検出器とを周回させながら撮像することにより当該部位の断層画像を取得し、当該断層画像から画像処理により脂肪量を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3958628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような方法は、主に人体の脂肪量を測定するものであり、測定精度は高いものの、装置が大きく複雑であり、食用魚などの脂肪を含む被検査体とする場合にこのような装置をそのまま適用することはコストが高くなりすぎ困難である。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、脂肪を含む被検査体の脂肪量を簡単な構造で安価に検査することができる脂肪量検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る脂肪量検査装置は、脂肪を含む被検査体に対して第1の方向から電磁波または超音波を照射する第1照射部と、前記第1照射部から照射された電磁波または超音波から被検査体の第1面における透視画像(以下、第1画像)を取得する第1画像取得部と、前記第1画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定する脂肪量推定部と、を備えたものである。
【0008】
上記構成によれば、被検査体に電磁波または超音波を照射することにより、被検査体の第1面における透視画像が得られる。このときの第1画像は、被検査体の内部の物質に応じた電磁波の透過率または超音波の反射率によって濃度の異なる画像となる。このような第1画像に基づいて被検査体の脂肪量を推定することにより、脂肪を含む被検査体の脂肪量を簡単な構造で安価に検査することができる。
【0009】
被検査体に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向から電磁波または超音波を照射する第2照射部と、前記第2照射部から照射された電磁波または超音波から被検査体の前記第1面とは異なる第2面における透視画像(以下、第2画像)を取得する第2画像取得部とを備え、前記脂肪量推定部は、前記第1画像および前記第2画像に基づいて前記被検査体の脂肪量を推定することとしてもよい。これにより、2つの方向からそれぞれ電磁波または超音波を照射することにより被検査体の異なる面における2つの透視画像を得ることができ、これらを合わせて被検査体の脂肪位置を立体的に把握することができ、脂肪量の検査をより高精度に行うことができる。
【0010】
前記第1照射部および前記第2照射部は、線量が互いに異なる電磁波を照射し、前記第2照射部から照射される電磁波の線量は、前記第1照射部から照射される電磁波の線量より低く、前記脂肪量検査装置は、前記第2画像から異物を検出する異物検出部を備えてもよい。この場合、2つの画像取得部で取得される2つの画像のうちの一方が異物検査にも用いられる。これにより総合的な品質状態の判定を行うことができる。また、異物検査に用いる電磁波の線量を他方より低くすることにより、電磁波が異物まで透過してしまうことを防止し、異物の有無をより発見し易くすることができる。
【0011】
前記被検査体を搬送する搬送部を備え、前記第1照射部は、前記第1の方向として前記被検査体の搬送面に垂直な方向から電磁波を照射するよう構成され、前記第2照射部は、前記第2の方向として前記第1の方向に直交する方向から前記第1照射部による電磁波の照射と同時に電磁波を照射するよう構成され、前記第1画像取得部は、前記搬送面を挟んで前記第1照射部と対向する位置に前記搬送部の搬送方向に対して直交するように整列した第1ラインセンサを備え、前記第2画像取得部は、前記搬送部を挟んで前記第2照射部と対抗する位置に前記搬送面に対して垂直に整列した第2ラインセンサを備えてもよい。これにより、簡単な構成で2つの方向から電磁波を照射して立体的な脂肪量分布を効率的に得ることができる。
【0012】
前記電磁波は、X線であってもよい。また、前記被検査体は、魚であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上に説明したように構成され、脂肪を含む被検査体の脂肪量を簡単な構造で安価に検査することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る脂肪量検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す脂肪量検査装置で得られる第1画像および第2画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の脂肪量検査装置1は、脂肪を含む被検査体Aとして魚(例えばマグロなど)の脂肪量を検査するように構成される。脂肪量検査装置1は、被検査体AをX方向に搬送する搬送部2を備えている。本実施形態において、搬送部2はベルトコンベヤで構成されている。脂肪量検査装置1は、第1の方向から電磁波を照射する第1照射部3と、第1照射部3から照射された電磁波から被検査体Aの第1面(第1の方向に垂直な面)における透視画像(以下、第1画像)を取得する第1画像取得部4とを備えている。第1照射部3は、第1の方向として被検査体Aの搬送面Sに垂直な方向Zから電磁波を照射するよう構成される。第1画像取得部4は、搬送面Sを挟んで第1照射部3と対向する位置に搬送部2の搬送方向Xに対して直交する方向Yに整列した第1ラインセンサ5を備える。本実施形態において、第1ラインセンサ5は、5つの検知部を有している。
【0017】
また、本実施形態において、脂肪量検査装置1は、被検査体Aに対して第1の方向Zとは異なる第2の方向から電磁波を照射する第2照射部6と、第2照射部6から照射された電磁波から被検査体Aの第1面とは異なる第2面(第2の方向に垂直な仮想面)における透視画像(以下、第2画像)を取得する第2画像取得部7とを備えている。第2照射部6は、搬送部2の側方に配置され、第2の方向として第1の方向Zかつ搬送方向Xのそれぞれに直交する方向Yから第1照射部3による電磁波の照射と同時に電磁波を照射する。第2画像取得部7は、搬送部2を挟んで第1照射部と対向する位置に搬送面Sに対して垂直に整列した第2ラインセンサ8を備えている。本実施形態において、第2ラインセンサ8は、3つの検知部を有している。
【0018】
さらに、脂肪量検査装置1は、第1画像および第2画像を処理する画像処理部9を備えている。画像処理部9は、第1画像および第2画像に基づいて被検査体Aの脂肪量を推定する脂肪量推定部10を有している。画像処理部9は、例えばCPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータなどにより構成される。
【0019】
上記構成において、搬送部2により被検査体Aを搬送させながら、被検査体Aを透過した第1照射部3からの電磁波を第1ラインセンサ5により検出することにより、第1画像取得部4は、被検査体の第1面(本実施形態においては搬送面Sに平行な仮想面)における透視画像(第1画像)を得ることができる。同様に、搬送部2により被検査体Aを搬送させながら、被検査体Aを透過した第2照射部6からの電磁波を第2ラインセンサ8により検出することにより、第2画像取得部7は、被検査体の第2面(本実施形態においては搬送方向Xと搬送面Sに垂直な方向Zとを含む仮想面)における透視画像(第2画像)を得ることができる。第1照射部3および第2照射部6は、同時に電磁波を照射することとしてもよいし、異なるタイミングで照射する(例えば交互に照射する)こととしてもよい。
【0020】
第1ラインセンサ5には、被検査体Aを透過した(被検査体で吸収されなかった)第1照射部3からの電磁波が検出される。脂肪量の多寡に応じて電磁波の吸収率(透過率)が異なるため、第1ラインセンサ5で検出される電磁波の量は、被検査体Aの内部の成分(脂肪量の多寡)に応じて異なる。第1画像取得部4は、第1ラインセンサ5で検出された電磁波の量に基づいて透視画像を生成する。透視画像は、第1ラインセンサ5で検出された電磁波の量に基づいて異なる濃度を有する。透視画像は、一般的に電磁波の吸収率の高い(透過度の低い)箇所が黒くなり、電磁波の吸収率の低い(透過度の高い)箇所が白くなる。被検査体Aが魚の場合、骨や筋肉は電磁波の透過度が低いので白っぽく表示され、脂肪は電磁波の透過度が高いので黒っぽく表示される。同様に、第2画像取得部7も第2ラインセンサ8で検出された電磁波の量に基づいて透視画像を生成する。なお、実際に透視画像を生成せずに数値のみを取得する(後述する脂肪量推定部10における脂肪量推定処理を電磁波の検出量に基づいて行う)こととしてもよい。また、透視画像の生成は、後述する画像処理部9で行うこととしてもよい。すなわち、第1ラインセンサ5と画像処理部9とで第1画像取得部4を構成し、第2ラインセンサ8と画像処理部9とで第2画像取得部7を構成することとしてもよい。
【0021】
脂肪量推定部10は、第1画像および第2画像に基づいて被検査体Aの脂肪量を推定する。具体的には、例えば
図2に示すように、脂肪量推定部10は、第1ラインセンサ5および第2ラインセンサ8でそれぞれ得られた透過度を複数の段階に区分けし、第1画像および第2画像のそれぞれにおいて所定の段階以上の透過度を有する部分の面積をそれぞれ算出する。例えば第1画像および第2画像として得られた透過度を所定のしきい値で2値化し、第1画像および第2画像のうち透過度のより低い箇所(より黒く映った箇所)の画像部分の面積をそれぞれ算出してもよい。そして、算出された画像部分の面積を第1画像および第2画像について立体的に積算することにより当該画像部分の体積を求める。
【0022】
そして、脂肪量推定部10は、求められた体積に予め想定される脂肪の密度を掛けることにより当該被検査体Aの脂肪量を算出する。なお、これに代えて、脂肪量推定部10は、第1画像および第2画像より被検査体A全体の体積を算出し、上記によって求められた高脂肪箇所の体積が被検査体A全体の体積に占める割合を当該被検査体Aの脂肪率として算出してもよい。さらに、別途被検査体Aの重量を検出する重力検出部(図示せず)を備え、当該重量検出部で被検査体Aの重量を検出し、脂肪量推定部10が被検査体Aの重量と上記で算出された脂肪率とを掛け合わせることにより、被検査体Aの脂肪量を算出することも可能である。
【0023】
脂肪量推定部10で算出された脂肪量または脂肪率は、出力部11から出力される。出力部11は、ディスプレイ装置、プリンタ、サーバ装置等の記憶装置またはその他のコンピュータ装置等の外部装置(図示せず)に接続され、脂肪量推定部10で算出された脂肪量または脂肪率が出力部11を介して出力され、外部装置に入力される。
【0024】
上記構成によれば、被検査体Aに電磁波であるX線を照射することにより、被検査体Aの第1面における透視画像である第1画像が得られる。このときの第1画像は、被検査体Aの内部の物質に応じた電磁波の透過率によって濃度の異なる画像となる。このような第1画像に基づいて被検査体Aの脂肪量を推定することにより、脂肪を含む被検査体Aの脂肪量を簡単な構造で安価に検査することができる。
【0025】
さらに、本実施形態においては、第1画像に加えて、被検査体Aの第1面とは異なる第2面における透視画像(第2画像)が得られる。すなわち、2つの方向からそれぞれ電磁波を照射することにより被検査体Aの異なる面における2つの透視画像が得られる。したがって、2つの透視画像から被検査体Aの脂肪位置を立体的に把握することができ、脂肪量の検査をより高精度に行うことができる。
【0026】
また、本実施形態においては、第1画像および第2画像を得るために、電磁波(X線)を照射している。第1画像および第2画像は、被検査体Aを透過した電磁波によって濃度が異なる画像となる。さらに、本実施形態においては、第1照射部3がX線を照射する第1の方向として、被検査体Aの搬送面Sに垂直な方向が採用され、第2照射部6がX線を照射する第2の方向として、第1の方向に直交する方向が採用される。また、これらに合わせて第1画像取得部4の第1ラインセンサ5は、搬送方向に対して直交するように整列され、第2画像取得部7の第2ラインセンサ8は、搬送面Sに対して垂直(高さ方向)に整列される。
【0027】
これにより、簡単な構成で2つの方向からX線を照射して立体的な脂肪量分布を効率的に得ることができる。さらに、異なる方向から照射される電磁波は互いに干渉することがないため、第1画像を得るための第1照射部3および第2画像を得るための第2照射部6から同時に電磁波を照射することができる。したがって、第1画像照射部3、第1画像取得部4、第2画像照射部6および第2画像取得部7を搬送部2に対してコンパクトに配置することができ、脂肪量検査装置1の小型化および脂肪量を検査するための時間を短くすることができる。
【0028】
ここで、第1照射部3および第2照射部6から照射される電磁波(X線)の線量は、同じでもよいし、互いに異なることとしてもよい。X線の線量が互いに異なる場合には、例えば第2照射部6から照射されるX線(第2X線)の線量が、第1照射部3から照射されるX線(第1X線)の線量より低くなるように、第1照射部3および第2照射部が構成される。
【0029】
このように、第2X線の線量を第1X線の線量より低くする構成において、脂肪量検査装置1は、第2X線を照射することにより第2画像取得部7から得られる第2画像から異物を検出する異物検出部12を備えてもよい。この場合、異物検出部11は、画像処理部9の一機能として構成される。異物には、例えば骨、石、鉄等が含まれる。これらの異物は、被検査体Aである魚身に比べてX線の吸収率が高い(透過度が低い)。したがって、第2画像において、異物は、被検査体Aに比べて黒く映ることになる。このため、異物検出部11は、第2画像から所定のしきい値よりX線の吸収率の高い箇所があるか否かを判定することにより、異物の有無を判定することができる。
【0030】
このように、2つの画像取得部で取得される2つの画像のうちの一方を異物検査にも用いることができる。これにより、総合的な品質状態の判定を行うことができる。また、異物検査に用いる電磁波の線量を他方より低くすることにより、電磁波が異物まで透過してしまうことを防止し、異物の有無をより発見し易くすることができる。
【0031】
例えば、第2X線の線量を0.1mSvとすることにより、第2画像取得部7において、異物の有無が判定可能、かつ、脂肪量についても検出可能な第2画像を得ることができる。また、線量がある程度多い方が解像度が高くなり脂肪量の検出精度が高くなるため、第1X線は、第2X線より線量の多い線量(例えば5mSv)とする。さらに、
図2に示すように、第1画像および第2画像のうち被検査体Aの面積が大きいと想定される画像を取得するためのX線の線量を他方の画像に対して多くすることにより、脂肪量の検出精度をより高めることができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態においては、第1照射部3および第2照射部6から電磁波であるX線を照射する態様を説明したが、電磁波の代わりに超音波を照射することとしてもよい。この場合、第1照射部および第1画像取得部は、第1照射部から照射される超音波が反射した位置に第1画像取得部が位置するように、それぞれ配置される。第2照射部および第2画像取得部についても同様に配置される。
【0034】
さらに、第1画像取得部および第2画像取得部においては、超音波を照射した際に被検査体Aで反射した超音波が取得されるため、第1照射部および第2照射部から照射する超音波は同時に照射せず、例えば交互に照射したり、第1画像を取得する構成と第2画を取得する構成とを搬送方向に所定の距離ずらして配置する(第1照射部および第2照射部の一方から超音波を照射して第1画像および第2画像の一方を取得する期間と第1照射部および第2照射部の他方から超音波を照射して第1画像および第2画像の他方を取得する期間とを分離する)。この場合の第1画像および第2画像は、被検査体Aの内部の物質に応じた超音波の反射率によって濃度の異なる画像となる。
【0035】
また、第1照射部からX線を照射し、第2照射部から超音波を照射することとしてもよい。この場合は、超音波を照射する第2照射部において異物検出を行うことも可能である。
【0036】
上記実施形態においては、被検査体Aが魚である場合について説明したが、被検査体Aとして、人間、犬および猫などのペット、牛および豚などの家畜、牛肉および豚肉などの加工肉などの脂肪量を計測する構成に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の脂肪量検査装置は、脂肪を含む被検査体の脂肪量を簡単な構造で安価に検査するために有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 脂肪量検査装置
3 第1照射部
4 第1画像取得部
10 脂肪量推定部