(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱された湯水を貯湯可能な貯湯槽と、当該貯湯槽の上部の湯水吐出部から吐出される湯水を給湯栓まで導く湯水供給配管と、当該湯水供給配管を通流する湯水を加熱する補助加熱機と、前記湯水供給配管を通流する湯水を前記補助加熱機で加熱することなく前記給湯栓から供給する第1給湯運転と前記湯水供給配管を通流する湯水を前記補助加熱機で加熱する第2給湯運転とを切り換え制御する貯湯式給湯装置であって、
前記第2給湯運転において、給湯指令の後前記補助加熱機を作動させる作動タイミングを、前記給湯指令のタイミングから、前記第1給湯運転において前記貯湯槽の湯水が前記湯水吐出部から前記補助加熱機までの渡り配管を通流する第1経過時間遅らせる燃焼タイミング設定手段を備え、
前記給湯栓から供給される湯水流量を測定する流量測定手段を備え、
前記燃焼タイミング設定手段は、前記渡り配管の配管容量を、前記第1給湯運転時に前記流量測定手段にて測定される単位時間あたりの湯水流量にて除算して導出される時間を前記第1経過時間に設定し、
前記渡り配管の上流端の湯水の温度に変化を与える温度変化付与操作を実行する温度変化付与手段と、
前記渡り配管の下流端の湯水の温度変化を検出する第1温度変化検出手段と、
前記温度変化付与手段が湯水に温度変化を与えてから前記第1温度変化検出手段が温度変化を検出するまでの第2経過時間と、前記第2経過時間に前記流量測定手段が測定した測定流量とに基づいて前記渡り配管の配管容量を推定する配管容量推定手段とを備え、
前記湯水吐出部から吐出される湯水流量を調整する第1流量調整弁と、
前記湯水吐出部に接続して給水を供給する第1給水配管を通流する給水流量を調整する第2流量調整弁とを備え、
前記温度変化付与手段は、前記温度変化付与操作として、前記第1流量調整弁と前記第2流量調整弁との弁開度を制御し、
前記温度変化付与手段が、前記温度変化付与操作として、前記第2流量調整弁を一定の開度に維持している状態で前記第1流量調整弁の弁開度を徐々に増加させた後に徐々に減少させる場合、
前記第1温度変化検出手段は、前記渡り配管の下流端での湯水温度が昇温から降温へ変化するときに、前記温度変化として検出する貯湯式給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
本願の貯湯式給湯装置100は、
図1、2に示すように、家庭用の給湯器としての補助加熱機30を含む給湯暖房設備40に対し、燃料電池等の熱電併給装置11と当該熱電併給装置11の排熱にて加熱された湯水を貯湯可能な貯湯槽10とを含むコジェネレーションシステム20を後付けした場合にも、給湯指令のタイミング(給湯栓31を開栓したタイミング)から給湯栓31で要求給湯温度の湯水が出湯するまでの出湯時間に差を生じさせない貯湯式給湯装置に関する。
ここで、本願にあっては、当該要求給湯温度未満の湯水の給湯栓31からの供給、即ち、給湯栓31が開栓された直後で配管内に残留している低温の湯水の供給は「出湯」とせず、要求給湯温度の湯水の給湯栓31からの供給を「出湯」とし、給湯指令の後で給湯栓31から要求給湯温度の湯水が出湯されるまでの時間を「出湯時間」と規定する。
尚、当該第1実施形態に示される温度変化の付与及び温度変化の検出は、本発明の権利範囲に含まれるものではなく、別実施形態(6)に示される温度変化の付与及び温度変化の検出が、本発明の権利範囲として含まれるものである。
【0020】
本願の貯湯式給湯装置100は、
図1、2に示すように、コジェネレーションシステム20と給湯暖房設備40とが、コジェネレーションシステム20から送出される湯水が渡り配管L2を介する形態で給湯暖房設備40へ送られると共に、給湯暖房設備40からの戻り湯水が戻り配管L7を介してコジェネレーションシステム20に戻る構成で、夫々の働きを一の制御装置50にて制御するようになっている。
そこで、以下では、まず、コジェネレーションシステム20の詳細構成、当該コジェネレーションシステム20と給湯暖房設備40との接続構成、及び給湯暖房設備40の詳細構成を、記載の順に説明した後、それらの運転制御について説明を加える。
【0021】
〔コジェネレーションシステムに係る構成〕
図1、2に示すように、コジェネレーションシステム20には、湯水を貯湯可能な貯湯槽10と、当該貯湯槽10の下部に貯湯される湯水を加熱した後に貯湯槽10の上部へ導く状態で循環させる湯水循環路C1が設けられている。
湯水循環路C1には、湯水循環路C1の湯水を貯湯槽10の下部から上部へと圧送する第1循環ポンプP1と、湯水循環路C1を循環する湯水を熱媒と熱交換する形態で加熱する第1熱交換器HE1と、第1熱交換器HE1にて加熱された後で貯湯槽10の上部へ流入する湯水の温度を検出する第5温度センサT5とが設けられている。
第1熱交換器HE1と熱電併給装置11との間には、双方の間で熱媒を循環する熱媒循環路C2と、当該熱媒循環路C2を循環する熱媒を圧送する第2循環ポンプP2とを備えており、当該第2循環ポンプP2は、第1熱交換器HE1にて加熱された後で第5温度センサT5にて検出される湯水の温度が目標貯湯温度となるように、その回転数が制御される。また、当該第2循環ポンプP2は、貯湯槽10の下部に貯湯される湯水温度を検出する第4温度センサT4の検出温度が満杯貯湯温度に到達した場合(貯湯槽10の蓄熱量が最大となった場合)、その回転が停止されると共に、熱電併給装置11が熱主運転とされる場合、熱電併給装置11としての燃料電池は停止される。ここで、熱電併給装置11が電主運転で作動している場合で、電力が供給される電力負荷が重要負荷(例えば、電力の供給が止まると人命等にかかわる負荷)である場合には、ファン等の他の冷却装置を起動させる形態で、熱電併給装置11の電主運転を継続する。
尚、熱電併給装置11にて発電された電力は、図示しないインバータにて商用電力系統から受電する電圧と同一電圧で同一周波数に変換された後、図示しない電力消費端末に供給可能に構成されており、当該構成は、従来のものと変わるところがない。
【0022】
貯湯槽10の下部には、貯湯槽10へ給水を供給する給水配管L6が設けられており、当該給水配管L6には、それを通流する給水流量を測定する流量センサFが設けられている。更に、貯湯槽10の上部には、貯湯槽10の上部に貯留される湯水を吐出可能な湯水吐出配管L8(湯水吐出部の一例)が設けられている。尚、当該湯水吐出配管L8は、貯湯槽10の上方部位を上流端とすると共にコジェネレーションシステム20の筐体(図示せず)と外部との境界部位を下流端とする配管を含む概念である。湯水吐出配管L8の下流端は、渡り配管L2の上流端と連通接続されており、当該渡り配管L2は、湯水吐出配管L8から吐出された湯水をコジェネレーションシステム20の側から給湯暖房設備40の側へ導く形態で、配設されている。
更に、本願のコジェネレーションシステム20にあっては、給水配管L6を通流する給水を、貯湯槽10をバイパス状態で湯水吐出配管L8に導く貯湯槽迂回給水配管L1が設けられており、湯水吐出配管L8には、湯水吐出配管L8と貯湯槽迂回給水配管L1との接続部位の上流側に、貯湯槽10からの湯水流量を調整可能な第1流量調整弁V1設けれ、貯湯槽迂回給水配管L1には、当該貯湯槽迂回給水配管L1を通流する給水流量を調整可能な第2流量調整弁V2が設けられている。
当該構成により、当該実施形態に係る貯湯式給湯装置100にあっては、操作部60にて給湯運転の操作指令が要求給湯温度と共に入力された場合、貯湯槽10の上部の貯湯温度を検出する第3温度センサT3の検出温度が要求給湯温度を超えるときには、第1流量調整弁V1を開状態とすると共に第2流量調整弁V2を閉状態として、給水配管L6からの給水を貯湯槽10の下部へ流入する形態で、貯湯槽10の上部の湯水を湯水吐出配管L8を介して渡り配管L2へ導く状態(
図1に示す第1給湯運転に対応する状態)と、第3温度センサT3の検出温度が要求給湯温度以下のときには、第1流量調整弁V1を閉状態とすると共に第2流量調整弁V2を開状態として、給水配管L6からの給水を貯湯槽迂回給水配管L1を通流する形態で、給水を湯水吐出配管L8を介して渡り配管L2へ導く状態(
図2に示す第2給湯運転に対応する状態)とを切り換え可能である。
【0023】
〔給湯暖房設備に係る構成〕
給湯暖房設備40にあっては、
図1、2に示すように、給湯栓31から要求給湯温度の湯水を出湯する給湯運転、床暖房パネルや浴室暖房乾燥機等の暖房負荷端末32に熱を供給する暖房運転、浴槽33の湯水を追焚する追焚運転等を実行可能に構成されている。
説明を追加すると、給湯暖房設備40は、給湯運転を実行すべく、
図1、2に示すように、渡り配管L2が接続される補助加熱機30と、当該補助加熱機30にて加熱された湯水を給湯栓31まで導く湯水配管L3と、補助加熱機30の出口の湯水温度を検出する第1温度センサT1(第1温度変化検出手段の一例)とを備えている。補助加熱機30は、燃焼用空気と燃料ガスとを混合して燃焼するバーナ30bと、当該バーナ30bの燃焼排ガスと湯水とを熱交換させる補助加熱用熱交換器30cと、バーナ30bに燃焼用空気を送るファン30bとから構成されている。
当該構成により、給水がそのまま補助加熱機30に供給される場合、補助加熱機30を働かせることで、給湯の用を果たすことができる。
当該構成に加えて、本願では、貯湯槽10及び熱電併給装置11を有するコジェネレーションシステム20を有しているので、操作部60にて給湯運転の操作指令が要求給湯温度と共に入力された場合、貯湯槽10に要求給湯温度を超える湯水が貯湯されているときには、コジェネレーションシステム20が
図1に示す第1給湯運転に対応する状態となり、貯湯槽10に貯湯された湯水が、渡り配管L2及び湯水配管L3(湯水供給配管の一例)を介して導かれ、補助加熱機30を作動させることなく、図示しない給水配管から給水を混合して要求給湯温度に調整された後、給湯栓31から出湯する第1給湯運転が実行される。一方、貯湯槽10に要求給湯温度以下の湯水しか貯湯されていないときには、コジェネレーションシステム20が
図2に示す第2給湯運転に対応する状態となり、貯湯槽迂回給水配管L1及び渡り配管L2を介して供給される給水を、補助加熱機30を作動させて加熱し要求給湯温度まで昇温させ、給湯栓31から出湯する第2給湯運転が実行される。
尚、第2給湯運転において、貯湯槽10に要求給湯温度と等しい湯水が貯湯されている場合にも補助加熱機30を作動させているのは、渡り配管L2等の配管を通流時の放熱を考慮しているためである。
【0024】
給湯暖房設備40は、暖房運転を実行すべく、補助加熱機30の下流側の湯水配管L3に接続される暖房用湯水配管L4と、当該暖房用湯水配管L4を通流する湯水と熱媒とを熱交換する第2熱交換器HE2と、当該暖房用湯水配管L4を開閉する第3開閉弁V3と、暖房用湯水配管L4を通流した後の湯水を貯湯槽10の下部に戻す戻り配管L7と、当該戻り配管L7に設けられ暖房用湯水配管L4を通流する湯水流量を調整可能な第5循環ポンプP5とを備えている。第2熱交換器HE2と暖房負荷端末32との間には、熱媒を循環可能な第3循環路C3と、当該第3循環路C3の熱媒を圧送する第3循環ポンプP3とが設けられている。
当該構成により、操作部60にて暖房運転の操作指令が要求暖房温度と共に入力される場合、第3循環ポンプP3と第5循環ポンプP5とを作動させると共に、第1流量調整弁V1と第3開閉弁V3とを開状態とし、貯湯槽10に貯湯される湯水を、渡り配管L2、湯水配管L3の一部、暖房用湯水配管L4、戻り配管L7、及び貯湯槽10にて構成される回路に循環させると共に、第3循環路C3に熱媒を循環させる。このとき、貯湯槽10の上部から吐出される湯水温度(第3温度センサの検出温度)が要求暖房温度以下の場合、補助加熱機30の出口の湯水温度(第1温度センサT1の検出温度)が要求暖房温度となるように、補助加熱機30の燃焼状態を制御して、暖房運転を実行する。
【0025】
給湯暖房設備40は、浴槽33の湯水を追焚する追焚運転を実行すべく、補助加熱機30の下流側の湯水配管L3に接続される追焚用湯水配管L5と、当該追焚用湯水配管L5を通流する湯水と熱媒とを熱交換する第3熱交換器HE3と、当該追焚用湯水配管L5を開閉する第4開閉弁V4とを備え、追焚用湯水配管L5を通流した後の湯水は、戻り配管L7にて貯湯槽10の下部に戻される。尚、追焚用湯水配管L5を通流する湯水流量は、戻り配管L7に設けられる第5循環ポンプP5にて調整される。第3熱交換器HE3と浴槽33との間には、熱媒を循環可能な第4循環路C4と、当該第4循環路C4の熱媒を圧送する第4循環ポンプP4とが設けられている。
当該構成により、操作部60にて追焚運転の操作指令が要求追焚温度と共に入力される場合、第4循環ポンプP4と第5循環ポンプP5とを作動させると共に、第1流量調整弁V1と第4開閉弁V4とを開状態とし、貯湯槽10に貯湯される湯水を、渡り配管L2、湯水配管L3の一部、追焚用湯水配管L5、戻り配管L7、及び貯湯槽10にて構成される回路に循環させると共に、第4循環路C4に熱媒を循環させる。このとき、貯湯槽10の上部から吐出される湯水温度(第3温度センサの検出温度)が要求追焚温度以下の場合、補助加熱機30の出口の湯水温度(第1温度センサT1の検出温度)が要求追焚温度となるように、補助加熱機30の燃焼状態を制御して、追焚運転を実行する。
【0026】
以上が、本願に係るコジェネレーションシステム20と給湯暖房設備40との接続関係であるが、以下第1給湯運転と第2給湯運転とで出湯タイミングを同じくする本願独特の構成について説明する。上述の如く、給湯暖房設備40に対しコジェネレーションシステム20を後付けする場合等にあっては、設置空間との関係で、給湯暖房設備40からコジェネレーションシステム20を離間させて設けなければならず、コジェネレーションシステム20から給湯暖房設備40へ湯水を導く渡り配管L2の配管長が長くなることがある。このような構成において、給湯栓31の開栓後(給湯指令の後)要求給湯温度の湯水が出湯する出湯時間に関し、貯湯槽10に貯湯される湯水を補助加熱機30で加熱せずに給湯栓31から供給する第1給湯運転(
図1に示す運転)での出湯時間と、給湯栓31の開栓と同時に補助加熱機30を作動させ渡り配管L2を通流する湯水を加熱して給湯栓31から供給する第2給湯運転(
図2に示す運転)での出湯時間とが異なり、使用性の観点で問題となることがある。
【0027】
そこで、本願の貯湯式給湯装置100にあっては、上記問題を解消すべく、上述の第2給湯運転において、給湯栓31の開栓後(給湯指令の後)、補助加熱機30を作動させる作動タイミングを、給湯指令のタイミングから、第1給湯運転において貯湯槽10の湯水が湯水吐出配管L8から補助加熱機30までの渡り配管L2を通流する第1経過時間t1遅らせる燃焼タイミング設定手段50aを備えている。即ち、本願の貯湯式給湯装置100にあっては、第2給湯運転において、補助加熱機30の作動を開始するタイミングである作動タイミングを積極的に遅らせることで、第2給湯運転の出湯時間を、第1給湯運転の出湯時間へ積極的に合わせ込む制御を実行可能に構成されている。
以下、当該燃焼タイミングの選定に係る制御に関し説明を加える。
【0028】
上述したように、燃焼タイミング設定手段50aは、第2給湯運転における補助加熱機30の作動タイミングを、給湯栓31の開栓後(給湯指令の後)、湯水が渡り配管L2を通流する第1経過時間t1遅らせる制御を実行する。ここで、第1経過時間t1を導出するにあたり、渡り配管L2の配管容量Qを推定し、第1給湯運転時の単位時間あたりの湯水流量q(給水配管L6の流量センサFでの測定流量)にて除算して導出する。このように第1経過時間t1を導出するにあっては、渡り配管L2の配管容量Qを推定する必要がある。そこで、本願にあっては、以下の構成より、渡り配管L2の配管容量Qを推定する。
【0029】
〔渡り配管の配管容量の推定〕
弁開度制御部50cは、渡り配管L2の上流端から流入する湯水に温度変化を与えるべく、湯水吐出配管L8から吐出される湯水流量を調整する第1流量調整弁V1の弁開度と、湯水吐出配管L8に接続して給水を供給する貯湯槽迂回給水配管L1(第1給水配管の一例)を通流する給水流量を調整する第2流量調整弁V2の弁開度を制御する。説明を追加すると、弁開度制御部50cは、
図4(a)(b)に示すように、第2流量調整弁V2を一定の開度に維持している状態で、第1流量調整弁V1を所定期間開状態に制御する。これにより、渡り配管L2の上流端の湯水温度を、例えば、所定時間幅だけ高温となる温度変化を付与することができる。即ち、当該弁開度制御部50c、第1流量調整弁V1、第2流量調整弁V2が、温度変化付与手段として働く。
ここで、温度変化付与手段にて付与される温度変化は、温度変化の付与後、ただちに、渡り配管L2の上流端へ流入するものとする。
温度変化付与手段にて付与された温度変化は、渡り配管L2の下流端にて、
図4(c)に示されるように、所定時間幅より幅広で、徐々に昇温して徐々に降温する形態の温度ピークを有する高温波として検出される。当該高温波の検出は、例えば、渡り配管L2の下流端の近傍で、補助加熱機30の出口温度を検出する第1温度センサT1(第1温度変化検出手段の一例)にて検出される。当該第1実施形態にあっては、
図4(c)に示すように、当該第1温度センサT1が検出する湯水温度が判定温度閾値Tαを超えたとき、又は湯水温度の温度上昇率が判定温度上昇率αを超えたときに、湯水の温度変化として検出する。
【0030】
そして、配管容量推定手段50bは、
図4(c)(d)に示すように、渡り配管L2の上流端にて温度変化が付与されたタイミングから第1温度センサT1が温度変化を検出するタイミングまでの第2経過時間t2に亘って、当該第2経過時間t2に流量センサFが測定した測定流量を積分することで、配管容量Qを推定するのである。
このように、渡り配管L2の配管容量Qは、例えば、機器の設置時等の試運転時に推定された後、制御装置50の記憶部(図示せず)に記憶され、必要に応じて、燃焼タイミング設定手段50aから呼び出し可能に構成される。
【0031】
燃焼タイミング設定手段50aは、上述の如く、推定された渡り配管L2の配管容量Qに、第1給湯運転時に流量センサFにて測定される単位時間あたりの湯水流量qにて除算して第1経過時間t1=Q/qを導出し、第2給湯運転時において給湯栓31の開栓後(給湯指令の後)補助加熱機30の作動タイミングまでの時間を、当該第1経過時間t1に設定する。
尚、第1給湯運転時における流量センサFにて測定される単位時間あたりの湯水流量qは、給湯毎に異なることが想定されるので、複数回の第1給湯運転時において測定される単位時間あたりの湯水流量qの平均値が、好適に使用できる。
また、本願にあっては、第1給湯運転における給湯流量と第2給湯運転における給湯流量は、夫々の運転時における測定値の平均値としては大きく変わらないため、本願にあっては、略同一であるとする。
【0032】
〔
参考形態〕
当該参考形態は、本発明の権利範囲に含まれるものではない。当該参考形態では、配管容量Qを推定する構成が第1実施形態から異なるため、当該異なる構成を重点的に説明し、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すと共にその説明を割愛することがある。
当該
参考形態においては、
図3に示すように、湯水吐出配管L8の下流端で渡り配管L2の上流端にあたる部位の湯水温度を検出する第2温度センサT2(第2温度変化検出手段の一例)を設けてある。
弁開度制御部50cは、第1流量調整弁V1の弁開度と、第2流量調整弁V2の弁開度との双方を変化させた後、双方の弁開度を一定に維持する。これにより、例えば、渡り配管L2の上流端で第2温度センサT2にて検出される湯水温度は、
図5(a)に示すように、所定の時間幅で経時的に変化すると共に、渡り配管L2の下流端で第1温度センサT1にて検出される湯水温度は、
図5(b)に示すように、第2温度センサT2にて検出される湯水温度の経時変化に略近い状態の経時変化を、湯水が渡り配管L2を通流する時間経過した後に検出する。
差分時間導出手段50dは、第1温度センサT1にて検出された湯水温度の経時変化と、第2温度センサT2にて検出された湯水温度の経時変化との相関が最も高くなる両者の差分時間Δtを導出する。当該差分時間Δtは、湯水が渡り配管L2を通過する時間であるので、配管容量推定手段50bは、当該差分時間Δtに亘って、差分時間Δtの導出時に流量センサFにて測定される単位時間あたりの湯水流量qを積分する形態で、渡り配管L2の配管容量Qを導出する。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、流量測定手段としての流量センサFは、給湯運転時に、貯湯槽10への給水を通流する給水配管L6を通流する湯水流量を測定する例を示した。しかしながら、当該流量センサFは、渡り配管L2の配管容量を推定する目的で設けているものであるから、渡り配管L2を通流する湯水流量を測定できれば良い。この意味で、当該流量センサFは、渡り配管L2又は湯水配管L3に設けても構わない。
【0034】
(2)上記実施形態にあっては、家庭用の給湯器としての補助加熱機30を含む給湯暖房設備40に対し、熱電併給装置11を含むコジェネレーションシステム20を後付けする構成例を示した。しかしながら、本願は、コジェネレーションシステム20を後付けする貯湯式給湯装置100に限らず、本願の明細書にいう、給湯暖房設備40とコジェネレーションシステム20とを一体として組み込む貯湯式給湯装置をも含むものである。
また、貯湯槽10の熱源としては、必ずしも熱と電力とを併給可能な熱電併給装置を採用する必要はなく、例えば、ガスエンジン等の熱のみを供給可能な構成を採用しても構わない。
【0035】
(3)上記実施形態において、熱電併給装置11を燃料電池として構成する例を示したが、当該熱電併給装置11は、熱と電力を発生するものであればどのような構成でも採用することができ、例えば、ガスエンジンと当該ガスエンジンの軸出力により駆動する発電機とから構成しても構わない。
また、上記実施形態では、熱と電力とを併せて供給する熱電併給装置11を備えるコジェネレーションシステム20を後付けする実施形態を説明したが、後付けされるシステムとしては、コジェネレーションシステムでなくても良い。
説明を追加すると、本願の発明を実現する意味からは、後付けされるシステムは、太陽熱温水器等の熱を発生する熱源装置を備え、当該熱源装置にて発生した熱を貯湯槽10に蓄熱して使用可能なシステムであれば、どのようなものであっても利用可能である。
【0036】
(4)上記実施形態にあっては、第2給湯運転では、貯湯槽10に要求給湯温度を超える温度の湯水が貯湯されていない場合(第3温度センサT3の測定温度が要求給湯温度以下の場合)、給水配管L6が供給される給水を、貯湯槽10をバイパスする貯湯槽迂回給水配管L1を介する状態で、渡り配管L2及び湯水配管L3(湯水供給配管)を通流させる。当該通流させる給水を補助加熱機30にて加熱して要求給湯温度まで昇温させた後に、加熱後の湯水を給湯栓31から出湯する例を示した。
しかしながら、第2給湯運転は、給水配管L6から供給される給水を、貯湯槽迂回給水配管L1を介することなく、貯湯槽10の下部へ流入し、貯湯槽10に貯湯されている要求給湯温度以下の湯水を、湯水吐出配管L8から吐出させ、渡り配管L2及び湯水配管L3(湯水供給配管)を通流させ、当該給水を補助加熱機30にて加熱して要求給湯温度まで昇温させた後に、加熱後の湯水を給湯栓31から出湯する構成を採用しても構わない。
この場合も、出湯は、補助加熱機30の作動を伴うため、第2給湯運転の一形態となる。
【0037】
(5)上記実施形態においては、渡り配管L2の配管容量を推定する制御について説明したが、渡り配管L2の配管径及び配管長が測定できる場合には、それらを測定し、制御装置50の記憶部(図示せず)に記憶させておき、燃焼タイミング設定手段50aは、給湯栓31の開栓の後(給湯指令の後)補助加熱機30の作動タイミングまでの第1経過時間を導出して設定するときに、記憶部に記憶される配管容量に基づいて、第1経過時間を導出しても構わない。
【0038】
(6)温度変化の付与及び温度変化の検出に関し、第2流量調整弁V2を一定の開度に維持している状態で第1流量調整弁V1の弁開度を徐々に増加させた後に徐々に減少させて温度変化を付与すると共に、渡り配管L2の下流端での湯水温度(第1温度センサT1にて検出される湯水温度)が昇温から降温への変化を、温度変化として検出する
。