特許第6385092号(P6385092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385092
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】電力を発生させる発電装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/08 20060101AFI20180827BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20180827BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20180827BHJP
   F02C 3/28 20060101ALI20180827BHJP
   C10J 3/46 20060101ALI20180827BHJP
   H05H 1/26 20060101ALN20180827BHJP
【FI】
   F02C7/08 Z
   F02C7/22 D
   F02C6/00 E
   F02C3/28
   C10J3/46 J
   !H05H1/26
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-61136(P2014-61136)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-194218(P2014-194218A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】13001609.0
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514073592
【氏名又は名称】ルメニオン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ズウィンケル
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−080750(JP,A)
【文献】 特開2006−335937(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/118511(WO,A1)
【文献】 特開2010−270594(JP,A)
【文献】 特開2002−030289(JP,A)
【文献】 特開2008−095004(JP,A)
【文献】 特開2010−190217(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/119972(WO,A1)
【文献】 特表2012−528925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/08
C10J 3/46
F02C 3/28
F02C 6/00
F02C 7/22
H05H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を発生させる発電装置であって、
− 熱を供給することによってエネルギー担体を燃焼流体に転化させることができる改質器ユニット(1)であり、熱を供給する目的で、エネルギー担体を燃焼させることができる改質器燃焼装置(10)を有する改質器ユニット(1)と、
− 前記燃焼流体を燃焼させることによって熱エネルギーを生成することができる燃焼器ユニット(30)と、
− 前記熱エネルギーを使用して回転運動を生じさせることができるタービンユニット(50)と、
− 前記回転運動によって駆動されて電力を発生させることができる発電機ユニット(60)と
を有する発電装置において、
熱を供給するために、前記改質器燃焼装置(10)に加えて、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる電気加熱ユニット(20)が提供され、
制御ユニットが提供されており、前記制御ユニットを使用して、前記電気加熱ユニット(20)の加熱力を増大させ、前記改質器燃焼装置(10)の加熱力を低減させることができ、その逆に、前記電気加熱ユニット(20)の加熱力を低減させ、前記改質器燃焼装置(10)の加熱力を増大させることができ、
前記制御ユニットが、外部電力網内の使用可能な電気エネルギー量に応じて、前記電気加熱ユニット(20)の前記加熱力を増大させ、前記改質器燃焼装置(10)の前記加熱力を低減させるように適合されている、
ことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置であって、前記改質器ユニット(1)を使用して生成することができる前記燃焼流体が合成ガスであることを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発電装置であって、前記改質器ユニット(1)が、石炭ガス化ユニットまたは石炭液化ユニットを含むことを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の発電装置であって、前記改質器ユニット(1)が、エネルギー担体としてのガスを前記燃焼流体に転化させることができるガス改質器を含むことを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の発電装置であって、
前記改質器ユニット(1)が、前記エネルギー担体に熱エネルギーを伝達することができる熱交換器(19)を有すること、および
前記改質器燃焼装置(10)と前記電気加熱ユニット(20)の両方が、前記熱交換器(19)を使用して熱エネルギーを出力することができること
を特徴とする発電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の発電装置であって、前記電気加熱ユニット(20)が、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気抵抗体要素(29)を有することを特徴とする発電装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の発電装置であって、前記電気加熱ユニット(20)が、媒体を加熱するプラズマトーチを有し、前記エネルギー担体を燃焼流体に転化させるために、前記媒体から前記エネルギー担体に熱を伝達することができることを特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の発電装置であって、前記電気加熱ユニット(20)が、媒体を加熱する誘導手段(22、23)を有すること、および前記誘導手段上の磁気抵抗を変化させることによって前記誘導手段(22、23)の加熱力を制御することができることを特徴とする発電装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発電装置であって、前記制御ユニットによって、前記電気加熱ユニット(20)の前記加熱力および前記改質器燃焼装置(10)の前記加熱力を、燃焼流体が生成される速度が一定に維持されるか、または燃焼流体が生成される速度が最大でも予め決められた最大変化率だけしか変化しないような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができることを特徴とする発電装置。
【請求項10】
請求項からのいずれか一項に記載の発電装置であって、前記制御ユニットによって、前記電気加熱ユニット(20)の前記加熱力および前記改質器燃焼装置(10)の前記加熱力を、前記改質器ユニット(1)内の温度が、前記エネルギー担体を燃焼流体に転化させることができる予め決められた目標範囲内にあるような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができることを特徴とする発電装置。
【請求項11】
電力を発生させる方法、特に請求項1から10のいずれか一項に記載の発電装置によって電力を発生させる方法であって、
− 改質器ユニット(1)内で、熱を供給することによってエネルギー担体を燃焼流体に転化させ、
− 前記熱供給を提供するために、改質器燃焼装置(10)を使用してエネルギー担体を燃焼させ、
− 燃焼器ユニット(30)内で前記燃焼流体を燃焼させ、それによって熱エネルギーを生成し、
− タービンユニット(50)内で、前記熱エネルギーを回転運動に変換し、
− 前記回転運動によって発電機ユニット(60)を駆動し、これによって電力を発生させる、
方法において、
前記熱供給が、前記改質器燃焼装置(10)によって提供されるだけでなく、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気加熱ユニット(20)によっても提供され
外部電力網内の使用可能な電気エネルギー量に応じて、前記電気加熱ユニット(20)の加熱力を増大させ、かつ前記改質器燃焼装置(10)の加熱力を低減させ、その逆に、前記電気加熱ユニット(20)の加熱力を低減させ、かつ前記改質器燃焼装置(10)の加熱力を増大させる、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の態様は、請求項1の前提部分に記載の電力を発生させる発電装置に関する。
【0002】
本発明のさらなる態様は、請求項11の前提部分に記載の電力を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電力を発生させる一般的な(generic)発電装置は、熱を供給することによってエネルギー担体を燃焼流体に転化させることができる改質器ユニットであり、熱を供給するために、エネルギー担体を燃焼させることができる改質器燃焼装置を有する改質器ユニットを備える。この発電装置はさらに、燃焼流体を燃焼させることによって熱エネルギーを生成することができる燃焼器ユニット、この熱エネルギーを使用して回転運動を生じさせることができるタービンユニット、およびこの回転運動によって駆動されて電力を発生させることができる発電機ユニットを備える。
【0004】
電力を発生させる一般的な方法によれば、改質器ユニット内で、熱を供給することによってエネルギー担体を燃焼流体に転化させる。この熱供給を提供するために、改質器燃焼装置を使用してエネルギー担体を燃焼させる。燃焼器ユニット内で燃焼流体を燃焼させ、それによって燃焼流体が熱エネルギーを発生させる。タービンユニット内で、この熱エネルギーを回転運動に変換する。この回転運動によって発電機ユニットを駆動し、これによって電力を発生させる。このような方法は例えば、一般的な発電装置を使用して実施することができる。
【0005】
多くの国では、電気エネルギー供給全体のかなりの部分を、上記のタイプの発電装置を使用して得ている。使用されるエネルギー担体は、発電装置によって異なり、例えば石炭、ガスまたは油などを含む。これらのエネルギー担体を、改質器ユニットによって燃焼流体に転化させる。この燃焼流体は例えば合成ガスとすることができる。
【0006】
改質器ユニットは特に石炭ガス化ユニットとすることができる。この石炭ガス化ユニットでは、熱を供給することによって、粉末の形態の石炭を合成ガスに転化させる。合成ガス(synthesis gas)は水素を含むガス混合物であり、syngasとも表記される。この反応は下式によって記述される。
C+H2O→CO+H2+175.4kJ.
【0007】
続いて、この合成ガス(CO+H2)を、燃焼器ユニット内で燃焼させることができ、それによって熱エネルギーが放出される。
CO+H2+O2→CO2+H2O−568.8kJ.
【0008】
同様に、改質器ユニットを、熱を供給するによって天然ガスすなわちメタンを合成ガスに転化させるガス改質器とすることもできる。
CH4+H2O→CO+3H2+250.1kJ.
【0009】
次いで、同様に、熱エネルギーを放出させるために、この合成ガスを燃焼させることができる。
CO+3H2+2.5O2→CO2+3H2O−1140.1kJ.
【0010】
改質器ユニット内で、水の代わりに二酸化炭素を使用して、石炭またはガスを転化させることもできる。
C+CO2→2CO+172.5kJ、または
CH4+CO2→2CO+2H2+247.3kJ.
【0011】
最初にエネルギーを消費して合成ガスを得、続いてこの合成ガスを燃焼させることによってエネルギーを放出させることにより、全体として、使用されるエネルギーの量を、石炭または天然ガスを直接に燃焼させて熱エネルギーを得る従来の一般的でない(non−generic)発電装置の場合と同様とすることができる。
C+O2→CO2−393.5kJ、または
CH4+3O2→CO2+2H2O−890kJ.
【0012】
本発明は、再生可能エネルギー源によって発電された発電量が総発電量に占める割合が増大していることを考慮に入れている。特に、太陽エネルギーおよび風力エネルギーは発電にますます多く使用されている。しかしながら、このような発電によって生成されるエネルギーの量は時間とともに大幅に変動する。このような発電によって生成される余剰の電気エネルギーを貯蔵する大規模な施設はほとんどない。余剰の電気エネルギーをどのように使用するのかは難しい問題である。発電量が多いときには電気エネルギーを減らしても間に合うことが珍しくない。
【0013】
原則として、太陽エネルギーまたは風力エネルギーによる発電量が多い間は、前述の発電装置を停止させることを考える。しかしながら、発電装置の停止および再始動は一般に、高い材料負荷に関連する。また、知られている発電装置の場合、発電装置の停止および再始動はゆっくりとしか実行することができない。知られている発電装置が到達することができる速度は十分ではなく、変動する風量または太陽エネルギー放射量に効率的に対応することができない。
【0014】
実際には、発電装置が生成する電力の量をより迅速に適合させるために、発電装置の効率を変化させることが知られている。そのために、例えば通常運転中に高温の蒸気に低温の蒸気を加え、その蒸気を使用してタービンユニットを駆動する。それによって発電装置の効率は例えば42%から39%に低下する。再生可能エネルギー源によって得られる電気エネルギーが急速に低減した場合には、低温の蒸気の追加を止めることができる。それによって短時間のうちに効率を42%まで高めることができる。しかしながら、この場合、通常運転時に比較的に低い効率で発電装置を動作させることは不利である。その結果、原理上は使用することができる多くのエネルギーが失われる。また、この方法では、使用可能な電気エネルギー量の比較的に小さな変動しか補償することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開2012/118511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、電力を発生させる方法および発電装置であって、使用可能な電力量の変動に対する効率的な適応を容易にする方法および発電装置を示すことを、本発明の目的と考えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する発電装置および請求項11に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0018】
本発明に基づく発電装置および本発明に基づく方法の有利な変形実施形態が従属請求項の主題であり、それらの変形実施形態については以下の説明でも説明される。
【0019】
本発明に基づく上記のタイプの発電装置に対して、熱を供給するために、改質器燃焼装置に加えて、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる電気加熱ユニットが提供される。
【0020】
本発明によれば、上記のタイプの方法において、熱供給が、改質器燃焼装置によって提供されるだけでなく、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気加熱ユニットによっても提供される。
【0021】
改質器燃焼装置からのエネルギー供給と電気加熱ユニットからのエネルギー供給の両方によって燃焼流体を生成することができることを、本発明の基本的思想と考えることができる。
【0022】
したがって、最初に、電気エネルギーが、電気加熱ユニットによって使用されて燃焼流体を生成する。次いで、この燃焼流体を使用して熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーを運動エネルギーに変換し、最後に発電機ユニットを使用して電気エネルギーに戻す。余剰の電気エネルギーがあるとき、本発明に基づく発電装置は、その余剰電気エネルギーのうちの比較的に大きな部分を使用することができる。このような場合には、改質器燃焼装置による熱供給を低減させることができる。それによって改質器燃焼装置は、より少ない量のエネルギー担体を燃焼させる。結果的に、電気エネルギーを使用することによってエネルギー担体を節約することができる。
【0023】
これにより、特定の利点として、改質器ユニットが生成する燃焼流体の量を変化させることなしに、改質器燃焼装置が燃焼させるエネルギー担体の量を変化させることが可能である。
【0024】
したがって、外部電力網内の使用可能な電力量の急激な変動に特に迅速に対応することが可能である。この目的のために、電気加熱ユニットに供給する電気エネルギーを変化させ、同時に、改質器燃焼装置の加熱力を適合させる。
【0025】
電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーを、複数の中間ステップによって電気エネルギーに戻すことによって、実際には、単に元の電気エネルギーの約40%を使用することだけが可能である。それにもかかわらず、こうすることは、余剰の電気エネルギーを減らすために金銭を費やされなければならない場合に比べて、電気エネルギーの極めて有意義な使用を構成する。
【0026】
全体として、本発明に従って発電装置内で電気エネルギーを使用することにより、さもなければ燃焼させてしまったであろうある量のエネルギー担体が節約される。したがって、この発電装置は、余剰の電気エネルギーを使用して使用可能なエネルギー担体の量を増大させる貯蔵ユニットのように機能する。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態では、改質器ユニットを使用して生成することができる燃焼流体が、前述の合成ガスである。できるだけ大量の電気エネルギーを電気加熱ユニットが有意義に使用することができるようにするためには、特に多くの熱を供給する必要があるエネルギー担体などのエネルギー担体を、改質器ユニット内で燃焼流体に変換することが好ましい。燃焼器ユニットを使用して燃焼流体を燃焼させる場合には、電気加熱ユニットによって供給されたエネルギーの大きな部分を回収することができる。
【0028】
好ましい一変形実施形態によれば、改質器ユニットが、石炭ガス化ユニットまたは石炭液化ユニットである。したがって、この変形実施形態では、石炭が、燃焼流体に転化させられるエネルギー担体であり、それと同時に、改質器燃焼装置によって使用されて熱を供給する。
【0029】
あるいはまたはそれに加えて、改質器ユニットは、エネルギー担体としてのガスを燃焼流体に転化させることができるガス改質器を含むこともできる。このガスは例えば天然ガスとすることができる。
【0030】
原則として、改質器ユニットは、エネルギー担体にエネルギーを供給することによって燃焼流体を生成する装置であると理解することができる。石炭および天然ガスに加えて、原理上は、任意の有機物質をエネルギー担体として使用することができる。燃焼流体を燃焼させることによって、エネルギー担体を燃焼させるよりも多くのエネルギーが有効に放出されるべきである。
【0031】
電気加熱ユニットから改質器ユニットへの熱の供給は原則として任意の方法で実現することができる。
【0032】
好ましい一実施形態によれば、改質器ユニットは熱交換器を有する。この熱交換器を使用して、エネルギー担体に熱エネルギーを伝達することができる。それによって、改質器燃焼装置と電気加熱ユニットの両方が、この熱交換器を使用して熱エネルギーを出力することができる。それによって、従来の改質器ユニットに既に存在する熱交換器を有利に使用することができる。単に、電気加熱ユニット用の接続を熱交換器に追加するだけでよい。この接続を使用して、電気加熱ユニットによって加熱された媒体、例えばガスを、熱交換器に送ることができる。
【0033】
あるいは、改質器燃焼装置だけが熱交換器を使用することもできる。電気加熱ユニットは、別の方法でエネルギー担体に熱を伝達することができる。
【0034】
電気加熱ユニットは、原則として任意の方法で電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。
【0035】
例えば、電気加熱ユニットは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気抵抗体要素を有することができる。この抵抗体要素を使用して、改質器ユニットの熱交換器に供給する媒体を加熱する場合には、従来の発電装置のその後の適合を小規模なものにすることができる。しかしながら、代替として、この抵抗体要素を、熱交換器に隣接して配置することもできる。それによって、抵抗体要素は、エネルギー担体に熱を直接に出力することができ、抵抗体要素を、熱交換器とは独立に使用することができる。それによって、発電装置全体が停止する危険性を低減させる冗長性が達成される。
【0036】
あるいはまたはそれに加えて、電気加熱ユニットは、媒体を加熱するプラズマトーチを有することもでき、エネルギー担体を燃焼流体に転化させるために、この媒体からエネルギー担体に熱を伝達することができる。プラズマトーチの場合には、ガスをプラズマに変える。このプラズマは、電場の助けを借りて加速され、それによってプラズマの熱エネルギーが増大する。有利には、これによって高温に速やかに達することができる。さらに、プラズマトーチはコンパクトな構造を有することができ、それによって従来の発電装置のその後の適合に適している。
【0037】
あるいはまたはそれに加えて、電気加熱ユニットは、媒体を加熱する誘導手段を有することができる。この誘導手段上の磁気抵抗を変化させることによって誘導手段の加熱力を制御することができる。例えば、この誘導手段は1つ以上のコイルを備えることができる。このコイルは磁場を生み出し、この磁場は、加熱する媒体に導電材料を通して供給される。この導電材料上の空隙を変更することができ、それによって磁気抵抗が調整される。それによって、加熱する媒体に供給する電力を、大きなエリアにわたって容易に制御することができる。
【0038】
それを使用して、電気加熱ユニットの加熱力を増大させ、改質器燃焼装置の加熱力を、特に同時に低減させることができ、その逆に、電気加熱ユニットの加熱力を低減させ、改質器燃焼装置の加熱力を、特に同時に増大させることができる制御ユニットを提供することが特に好ましい。このように、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力を互いに反対に変化させることができる。
【0039】
この制御ユニットを、外部電力網内の使用可能な電気エネルギー量に応じて、電気加熱ユニットの加熱力を増大させ、改質器燃焼装置の加熱力を低減させるように適合させることができる。これに従って、使用可能な電気エネルギーの量が多いほど電気加熱ユニットの加熱力をますます高く設定するように、制御ユニットを設計することができる。この量は例えば、ユーザが手動で入力することができる。あるいは、制御ユニットによって、この電気エネルギーの量を自動的に検出することもできる。使用可能な電気エネルギーの量は特に、その時点の電力価格を使用して検出することができる。その時点の電力価格が予め決められたしきい値よりも低下した場合には、電気加熱ユニットの加熱力を増大させることができる。
【0040】
したがって、その時点の電力価格に応じた電気加熱ユニットの加熱力の調整を実現することができる。この価格は手動で入力し、または制御ユニットを使用して特に電力市場から自動的に取り出すことができる。電気加熱ユニットの加熱力が高く設定されるほど、改質器燃焼装置の加熱力は低く設定することができる。
【0041】
特に、制御ユニットによって、電気加熱ユニットの加熱力および改質器燃焼装置の加熱力を、燃焼流体が生成される速度が一定に維持されるような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができる。あるいは、燃焼流体が生成される速度が最大でも予め決められた最大変化率だけしか変化しないような制御を実現することもできる。燃焼器ユニット、タービンユニットおよび発電機ユニットが機能する能力は、燃焼流体が、電気加熱ユニットからの熱エネルギーを使用して生成されたのかまたは改質器燃焼装置からの熱エネルギーを使用して生成されたのかによって影響されない。したがって、有利には、それによって燃焼器ユニット、タービンユニットまたは発電機ユニットに望ましくない影響を及ぼすことなく、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力の比を非常に迅速に変化させることができる。
【0042】
これらのユニットは単に、発電機ユニットによって発電される電力の比較的にゆっくりとした変化だけを許容する。それにもかかわらず、このゆっくりと容易にされた変化を使用することもできる。この目的のため、制御ユニットは、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力の和を常に一定には保たない。その代わりに、電気加熱ユニットが起動しかつ/または電気加熱ユニットの加熱力が増大した場合には、この加熱力の和を小さくすることができる。したがって、全体の加熱力を、予め決められた最大変化率だけ低減させることができる。
【0043】
あるいはまたはそれに加えて、制御ユニットによって、電気加熱ユニットの加熱力および改質器燃焼装置の加熱力を、改質器ユニット内の温度が、エネルギー担体を燃焼流体に転化させることができる予め決められた目標範囲内にあるような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができる。したがって、改質器ユニット内において予め決められた温度範囲が常に維持されるように、改質器燃焼装置のその時点の加熱力が電気加熱ユニットのその時点の加熱力に対して適合される。
【0044】
原則として、電気加熱ユニットによって加熱された媒体を貯蔵することができる貯蔵容器を提供することもできる。使用可能な電気エネルギーの量が予め決められたしきい値を上回った場合に、この貯蔵容器は満たされる。使用可能な電気エネルギーの量が低減した場合には、この貯蔵容器を空にすることができる。このようにすると、熱を得るために改質器燃焼装置によって燃焼させなければならないエネルギー担体の量をさらに減らすことができる。
【0045】
あるいはまたはそれに加えて、生成された燃焼流体を貯蔵することができる貯蔵容器を提供することもできる。したがって、この構成では、使用可能な電気エネルギーの量が増大した場合に、燃焼流体が生成される速度を増大させることができる。使用可能な電気エネルギーの量が低減したときには、この貯蔵容器から燃焼器ユニットに燃焼流体を供給することができる。それによって、同様に、熱を発生させるために改質器燃焼装置を使用して燃焼させなければならないエネルギー担体の量を低減させることができる。この点に関して、この貯蔵ユニットは、入来する燃焼流体の量が変動する場合でも一定量の燃焼流体を燃焼器ユニットに出力する緩衝装置の役目を果たすことができる。
【0046】
この貯蔵容器を使用することにより、改質器燃焼装置は、電気加熱ユニットの加熱力が低下した場合でも、既により大量にあるエネルギー担体を燃焼させない。その代わりに、貯蔵容器内の充填物の高さが、予め決めておくことができるしきい値よりも低下したとき、またはゼロまで下がったときにだけエネルギー担体の量を増大させる。
【0047】
制御ユニットは、電気加熱ユニットの加熱力が、予め決めておくことができるしきい値よりも低下しまたはゼロまで下がった場合に、貯蔵容器からの加熱された媒体の移送を開始させるように適合されていることが好ましい。同様に、予め決められた貯蔵容器の最大充填度に達した場合にも移送が開始される。この場合には、同時に、改質器燃焼装置に供給するエネルギー担体の量を低減させる。それによって、実質的に一定の全体電力でタービンユニットを動かし続けることができる。この場合、電気加熱ユニットの加熱力を変化させる必要はない。
【0048】
あるいはまたはそれに加えて、貯蔵容器から燃焼器ユニットに燃焼流体を移送しないこと、または完全には移送しないこともできる。その代わりに、燃焼流体を別のプロセスで使用することができる。燃焼流体が合成ガスである場合には、燃焼流体を、例えば石炭を液化またはガス化する方法、特にフィッシャー−トロプシュ法(Fischer−Tropsch process)で使用することができる。
【0049】
原則として、本発明の思想を、発電装置の一部ではない任意の改質器ユニットに対して使用することもできる。このような改質器ユニットの場合には、改質器燃焼装置と電気加熱ユニットの両方によって熱を供給することが可能である。発電装置に関して説明した変形実施形態を、この改質器ユニットに対して使用することもできる。発電装置とは対照的に、この改質器ユニットは単に、燃焼器ユニット、タービンユニットまたは発電機ユニットが存在しない場合である。その代わりに、この改質器ユニットを例えば、ガスおよび/または液体生成用の設備の部分とすることができる。特に、この設備は、分子水素H2を得るための設備とすることができる。あるいはまたはそれに加えて、この設備を、石炭をガス化または液化する方法を実施するように設計することもできる。この方法にはやはり、メタン、メタノールおよびアルカンを生成することができるフィッシャー−トロプシュ法が含まれる。
【0050】
本発明の本質的思想は一般に、燃焼装置を使用してエネルギー担体を燃焼させることによって熱エネルギーを供給するプラントで使用することもできる。このようなプラントは例えばセメント工場であり、セメント工場では、セメントを生産するために熱エネルギーが必要であり、前記熱エネルギーはエネルギー担体を燃焼させることによって供給される。本発明の思想によれば、この実施形態では電気加熱ユニットも使用される。制御ユニットは、電気加熱ユニットおよび燃焼器装置が熱エネルギーを供給する割合を設定することができる。この燃焼装置は、改質器燃焼装置のように設計することができる。制御ユニットおよび電気加熱ユニットは、発電装置に関して説明したとおりに設計することができる。特に、この制御は、電気加熱ユニットからの熱エネルギーと燃焼器装置の熱エネルギーのさまざまな比に対して、全体として一定の熱エネルギーまたは熱量が常に放出されるような制御とすることができる。電気加熱ユニットの加熱力は、その時点の電力価格が低いほど高くなるように選択することができる。
【0051】
以下では、本発明のその他の特徴および利点を添付の略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】エネルギー担体として天然ガスを使用する本発明に基づく発電装置の例示的な一実施形態を示す図である。
図2】エネルギー担体として石炭ガスを使用する本発明に基づく発電装置の例示的な一実施形態を示す図である。
図3】本発明に基づく発電装置の改質器ユニットおよび電気加熱ユニットの例示的な一実施形態を示す図である。
図4】本発明に基づく発電装置の改質器ユニットおよび電気加熱ユニットの他の例示的な実施形態を示す図である。
図5】本発明に基づく発電装置の改質器ユニットおよび電気加熱ユニットの第3の例示的な実施形態を示す図である。
図6】本発明に基づく発電装置の電気加熱ユニットの例示的な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図中、全く同じ構成要素および全く同じように機能する構成要素には一般に同じ参照符号が付けられている。
【0054】
図1は、本発明に基づく発電装置100の例示的な一実施形態を概略的に示す。発電装置100は、以下の必須の構成要素を有する:改質器ユニット1、燃焼器ユニット30、タービンユニット50および発電機ユニット60。さらに、図1には示されていない改質器燃焼装置10および電気加熱ユニット20も使用される。これらについては後により詳細に説明する。
【0055】
改質器ユニット1は、エネルギー担体の入口2、3を有する。例えば、入口2および3を通して、例えば天然ガスなどのガス、および水を、改質器ユニット1に導入することができる。改質器ユニット1では、エネルギー担体を燃焼流体に転化させる。天然ガスおよび水を例えば一酸化炭素および分子水素に転化させる。このガス混合物は合成ガスとも呼ばれる。
【0056】
出口9によって、燃焼流体すなわち合成ガスを改質器ユニット1から燃焼器ユニット30に運ぶ。
【0057】
この合成ガスに加えて天然ガスを燃焼器ユニット30に供給する別の供給管路48を提供することができる。
【0058】
燃焼器ユニット30では、燃焼流体および存在する天然ガスを燃焼させ、それによって熱エネルギーを生成する。この熱エネルギーによってタービンユニット50が駆動される。入口32を通して空気を供給することができる。
【0059】
最後に、タービンユニット50の回転運動によって、発電機ユニット60が電気エネルギーを発生させることができる。
【0060】
改質器ユニット1内でエネルギー担体を燃焼流体に転化させることができるようにするには、したがって天然ガスを合成ガスに転化させることができるようにするには、エネルギーまたは熱を供給する必要がある。したがって、改質器ユニット1にはエネルギーまたは熱を供給する手段5が提供されている。
【0061】
従来の発電装置の場合には、手段5が、熱エネルギーを供給するために例えば天然ガスを燃焼させる改質器燃焼装置によって形成される。
【0062】
一方、本発明によれば、手段5が、改質器燃焼装置に加えて電気加熱ユニットを備える。
【0063】
それによって、改質器燃焼装置と電気加熱ユニットが所望の熱エネルギーを供給する割合を変更可能に設定することができる。
【0064】
有利には、それによって、電気エネルギーを高い費用効果で供給することができるときに、電気エネルギーを使用して熱を正確に発生させることができる。これは例えば、風力発電装置または太陽光発電装置が一時的により多くの電力を生成する場合に相当する。一方、使用可能な余剰電力がない場合には、エネルギー担体を燃焼させることにより、主として従来の方法で必要な熱エネルギーを生成することができる。
【0065】
したがって、それ以外には有意義な用途がないであろう大量の余剰電気エネルギーを有利に使用することができる。本発明によれば、それによって、エネルギー担体を燃焼させる速度を低減させることができる。それによって、エネルギー担体の一部を有利に節約することができる。
【0066】
このようにすると、発電機ユニットが発電する電力を変化させることなく、燃焼させる単位時間当たりのエネルギー担体の量を変化させることができる。それによって、たとえエネルギー担体の燃焼速度を変化させても、タービンユニットおよび発電機ユニットをほぼ絶えまなく動かすことができる。従来の発電装置とは対照的に、エネルギー担体の燃焼の最大変化率は、もはやタービンユニットおよび発電機ユニットによって制限されない。したがって、非常に高い変化率が可能であり、この非常に高い変化率によって、外部網内の使用可能な電力の量の変化に効率的に対応することが可能である。
【0067】
本発明に基づく発電装置100の他の例示的な実施形態が図2に概略的に示されている。この発電装置100は、天然ガスの代わりに石炭を使用して改質器ユニット1が合成ガスを生成するように設計されている。生成された合成ガスは出口9から出力され、燃焼器ユニット30内で燃焼する。この燃焼によって生成された流体は、タービンユニット50に供給され、さらに、排ガスを出力しかつ/または燃焼器ユニット30へ戻す塔55に供給される。
【0068】
この他の点において、この発電装置100は図1の発電装置と同じとすることができる。
【0069】
本発明に基づく発電装置の改質器ユニット1の一実施形態が図3に概略的に示されている。この改質器ユニット1は特に、天然ガスと水から合成ガスを生成するのに適している。入口2、3を通して改質器ユニット1の室14に天然ガスおよび水が導入される。室14には触媒が受け取られており、その触媒によって天然ガスおよび水は合成ガスに転化し、この合成ガスは次いで、出口9を通って室14を出る。
【0070】
合成ガスに転化させるためには熱を供給する必要がある。この目的のため、一方で熱交換器19が存在する。前記熱交換器19を通って高温の流体が入口4から出口6へ流れ、それによってこの流体は室14内の媒体に熱を出力する。
【0071】
この高温の流体は、改質器燃焼装置10によって加熱されたものである。改質器燃焼装置10はエネルギー担体を燃焼させる。エネルギー担体は例えば天然ガスとすることができる。
【0072】
原則として、改質器燃焼装置10は、合成ガスまたは他の燃焼流体に転化させる目的に使用されるエネルギー担体と同じエネルギー担体を使用することができる。図示の実施形態では、改質器燃焼装置10を使用した熱の発生と合成ガスへの転化の両方に天然ガスが使用される。しかしながら、代替として、改質器燃焼装置10が使用するエネルギー担体と合成ガスに転化させるために使用するエネルギー担体とを異なるエネルギー担体とすることもできる。
【0073】
熱交換器19が熱を出力する結果、矢印11の方向に温度が増大する温度勾配が室14内に生じる。この増大した温度によって合成ガスを生成することができる。
【0074】
さらに、電気加熱ユニット20も存在する。電気加熱ユニット20は、室14を貫いて延びる電気抵抗体要素29を有する。これによってさらに、合成ガスを生成するための熱を、室14内の媒体に出力することができる。
【0075】
本発明に基づく発電装置の改質器ユニット1の他の例示的な実施形態が図4に概略的に示されている。上記の例と同様に、この実施形態でも熱交換器19が使用され、改質器燃焼装置10によって加熱された高温の流体が熱交換器19の中を通して運ばれる。しかしながら、上記の例示的な実施形態とは対照的に、この実施形態では、最初に、電気加熱ユニット20が、入口26を通して電気加熱ユニットに導入された流体、例えば空気を加熱する。この加熱された流体も同様に熱交換器19の中を通して運ばれる。有利には、これによって室14に対する追加の介入が必要となることがない。さらに、従来の改質器ユニット1を特に簡単に適合させることができる。この目的を達するには、改質器燃焼装置10から熱を伝達するために既に存在する熱交換器19上に追加の接続を形成するだけでよい。この追加の接続に電気加熱ユニット20を接続する。さらに、この場合、電気加熱ユニット20は原則として任意の設計を有することができる。例えば、電気加熱ユニット20は抵抗体要素または誘導コイルを有することができる。さらに、電気加熱ユニット20はプラズマトーチを備えることもできる。
【0076】
本発明に基づく発電装置の改質器ユニット1の他の例示的な実施形態が図5に示されている。この改質器ユニット1は、石炭ガス化ユニットとして設計されている。すなわち、この改質器ユニット1はエネルギー担体として石炭を使用することができ、石炭を合成ガスに転化させることができる。
【0077】
この目的のために、入口2を通して室14に石炭が導入され、入口3を通して室14に酸素が導入される。別の入口27によって、液相または気相の水が室14に供給される。
【0078】
室14内の石炭の一部を酸素と一緒に燃焼させることによって、熱エネルギーが生成される。これによって石炭の他の部分が水と一緒に合成ガスに転化する。次いでこの合成ガスが出口9を通して取り出される。残りの量は、クエンチャ(quencher)とも呼ばれる室14の下部に運ばれ、固相となり、出口17から取り出される。したがって、この実施形態では、室14によって改質器燃焼装置が形成され、室14内では、酸素の供給により石炭が燃焼する。
【0079】
この改質器ユニット1は、追加の電気加熱ユニット20を有する点が従来の石炭ガス化ユニットとは異なる。電気加熱ユニット20によって、室14に導入する前の水を加熱することができる。特に、この水は超臨界的に(super−critically)加熱することができる。
【0080】
このようにして電気加熱ユニット20が熱エネルギーを供給する限り、全体として十分な量の熱エネルギーを生成するために酸素と一緒に燃焼させる必要がある石炭の量がより少なくて済む。したがって、導入する石炭および酸素の量を、電気加熱ユニット20の加熱力に応じて調整するように、制御ユニットを適合させることができる。加熱力が大きいほど、導入する石炭および酸素の量を少なくする。
【0081】
しかしながら、原則として、この実施形態では、熱エネルギーを供給する電気加熱ユニットを別の箇所に配置することもできる。あるいはまたはこれに加えて、例えば、室14内に加熱要素を配置することもできる。
【0082】
この電気加熱ユニットを誘導加熱用に設計することもできる。このような電気加熱ユニットの一例が図6に示されている。この図に示された電気加熱ユニット20は最初に1つ以上のコイル22を有し、コイル22には交流電圧が供給される。この交流電圧によって変化する磁場が、導電材料23、例えばフェライト磁心23を通して供給される。加熱される媒体が、熱伝導性材料24を貫いて延びる導管21を通して運ばれる。この磁場によって、この材料内に電流が誘導され、したがって熱が生成される。この熱は導管21内の媒体へ伝達される。これによって、費用効果が高く迅速に調整可能な方法で電気エネルギーを熱エネルギーに変換することが可能になる。この迅速な調整はスイッチ25によって実現される。スイッチ25は、導電材料23の空隙を閉じることができ、それによって導電材料23は閉じた環を形成する。これによって、導電材料23内の磁場の誘導(guiding)が増大する。
【0083】
有利には、従来の発電装置のその後の適合に関して、実施しなければならないのは、単に改質器ユニットに対する変更だけである。後続のユニット、具体的には燃焼器ユニット、タービンユニットおよび発電機ユニットは不変とすることができる。
【0084】
有利には、本発明に基づく発電装置によって、例えば石炭、天然ガスなどのエネルギー担体の燃焼速度の変更が容易になり、特に迅速になる。したがって、余剰の電気エネルギーを有意義に使用することが可能になる。その結果、それによって、そうでなければ燃やされてしまうであろう化石燃料を節約することができる。結果として、CO2の放出も有利に低減される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6