【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する発電装置および請求項
11に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0018】
本発明に基づく発電装置および本発明に基づく方法の有利な変形実施形態が従属請求項の主題であり、それらの変形実施形態については以下の説明でも説明される。
【0019】
本発明に基づく上記のタイプの発電装置に対して、熱を供給するために、改質器燃焼装置に加えて、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる電気加熱ユニットが提供される。
【0020】
本発明によれば、上記のタイプの方法において、熱供給が、改質器燃焼装置によって提供されるだけでなく、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気加熱ユニットによっても提供される。
【0021】
改質器燃焼装置からのエネルギー供給と電気加熱ユニットからのエネルギー供給の両方によって燃焼流体を生成することができることを、本発明の基本的思想と考えることができる。
【0022】
したがって、最初に、電気エネルギーが、電気加熱ユニットによって使用されて燃焼流体を生成する。次いで、この燃焼流体を使用して熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーを運動エネルギーに変換し、最後に発電機ユニットを使用して電気エネルギーに戻す。余剰の電気エネルギーがあるとき、本発明に基づく発電装置は、その余剰電気エネルギーのうちの比較的に大きな部分を使用することができる。このような場合には、改質器燃焼装置による熱供給を低減させることができる。それによって改質器燃焼装置は、より少ない量のエネルギー担体を燃焼させる。結果的に、電気エネルギーを使用することによってエネルギー担体を節約することができる。
【0023】
これにより、特定の利点として、改質器ユニットが生成する燃焼流体の量を変化させることなしに、改質器燃焼装置が燃焼させるエネルギー担体の量を変化させることが可能である。
【0024】
したがって、外部電力網内の使用可能な電力量の急激な変動に特に迅速に対応することが可能である。この目的のために、電気加熱ユニットに供給する電気エネルギーを変化させ、同時に、改質器燃焼装置の加熱力を適合させる。
【0025】
電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーを、複数の中間ステップによって電気エネルギーに戻すことによって、実際には、単に元の電気エネルギーの約40%を使用することだけが可能である。それにもかかわらず、こうすることは、余剰の電気エネルギーを減らすために金銭を費やされなければならない場合に比べて、電気エネルギーの極めて有意義な使用を構成する。
【0026】
全体として、本発明に従って発電装置内で電気エネルギーを使用することにより、さもなければ燃焼させてしまったであろうある量のエネルギー担体が節約される。したがって、この発電装置は、余剰の電気エネルギーを使用して使用可能なエネルギー担体の量を増大させる貯蔵ユニットのように機能する。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態では、改質器ユニットを使用して生成することができる燃焼流体が、前述の合成ガスである。できるだけ大量の電気エネルギーを電気加熱ユニットが有意義に使用することができるようにするためには、特に多くの熱を供給する必要があるエネルギー担体などのエネルギー担体を、改質器ユニット内で燃焼流体に変換することが好ましい。燃焼器ユニットを使用して燃焼流体を燃焼させる場合には、電気加熱ユニットによって供給されたエネルギーの大きな部分を回収することができる。
【0028】
好ましい一変形実施形態によれば、改質器ユニットが、石炭ガス化ユニットまたは石炭液化ユニットである。したがって、この変形実施形態では、石炭が、燃焼流体に転化させられるエネルギー担体であり、それと同時に、改質器燃焼装置によって使用されて熱を供給する。
【0029】
あるいはまたはそれに加えて、改質器ユニットは、エネルギー担体としてのガスを燃焼流体に転化させることができるガス改質器を含むこともできる。このガスは例えば天然ガスとすることができる。
【0030】
原則として、改質器ユニットは、エネルギー担体にエネルギーを供給することによって燃焼流体を生成する装置であると理解することができる。石炭および天然ガスに加えて、原理上は、任意の有機物質をエネルギー担体として使用することができる。燃焼流体を燃焼させることによって、エネルギー担体を燃焼させるよりも多くのエネルギーが有効に放出されるべきである。
【0031】
電気加熱ユニットから改質器ユニットへの熱の供給は原則として任意の方法で実現することができる。
【0032】
好ましい一実施形態によれば、改質器ユニットは熱交換器を有する。この熱交換器を使用して、エネルギー担体に熱エネルギーを伝達することができる。それによって、改質器燃焼装置と電気加熱ユニットの両方が、この熱交換器を使用して熱エネルギーを出力することができる。それによって、従来の改質器ユニットに既に存在する熱交換器を有利に使用することができる。単に、電気加熱ユニット用の接続を熱交換器に追加するだけでよい。この接続を使用して、電気加熱ユニットによって加熱された媒体、例えばガスを、熱交換器に送ることができる。
【0033】
あるいは、改質器燃焼装置だけが熱交換器を使用することもできる。電気加熱ユニットは、別の方法でエネルギー担体に熱を伝達することができる。
【0034】
電気加熱ユニットは、原則として任意の方法で電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。
【0035】
例えば、電気加熱ユニットは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気抵抗体要素を有することができる。この抵抗体要素を使用して、改質器ユニットの熱交換器に供給する媒体を加熱する場合には、従来の発電装置のその後の適合を小規模なものにすることができる。しかしながら、代替として、この抵抗体要素を、熱交換器に隣接して配置することもできる。それによって、抵抗体要素は、エネルギー担体に熱を直接に出力することができ、抵抗体要素を、熱交換器とは独立に使用することができる。それによって、発電装置全体が停止する危険性を低減させる冗長性が達成される。
【0036】
あるいはまたはそれに加えて、電気加熱ユニットは、媒体を加熱するプラズマトーチを有することもでき、エネルギー担体を燃焼流体に転化させるために、この媒体からエネルギー担体に熱を伝達することができる。プラズマトーチの場合には、ガスをプラズマに変える。このプラズマは、電場の助けを借りて加速され、それによってプラズマの熱エネルギーが増大する。有利には、これによって高温に速やかに達することができる。さらに、プラズマトーチはコンパクトな構造を有することができ、それによって従来の発電装置のその後の適合に適している。
【0037】
あるいはまたはそれに加えて、電気加熱ユニットは、媒体を加熱する誘導手段を有することができる。この誘導手段上の磁気抵抗を変化させることによって誘導手段の加熱力を制御することができる。例えば、この誘導手段は1つ以上のコイルを備えることができる。このコイルは磁場を生み出し、この磁場は、加熱する媒体に導電材料を通して供給される。この導電材料上の空隙を変更することができ、それによって磁気抵抗が調整される。それによって、加熱する媒体に供給する電力を、大きなエリアにわたって容易に制御することができる。
【0038】
それを使用して、電気加熱ユニットの加熱力を増大させ、改質器燃焼装置の加熱力を、特に同時に低減させることができ、その逆に、電気加熱ユニットの加熱力を低減させ、改質器燃焼装置の加熱力を、特に同時に増大させることができる制御ユニットを提供することが特に好ましい。このように、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力を互いに反対に変化させることができる。
【0039】
この制御ユニットを、外部電力網内の使用可能な電気エネルギー量に応じて、電気加熱ユニットの加熱力を増大させ、改質器燃焼装置の加熱力を低減させるように適合させることができる。これに従って、使用可能な電気エネルギーの量が多いほど電気加熱ユニットの加熱力をますます高く設定するように、制御ユニットを設計することができる。この量は例えば、ユーザが手動で入力することができる。あるいは、制御ユニットによって、この電気エネルギーの量を自動的に検出することもできる。使用可能な電気エネルギーの量は特に、その時点の電力価格を使用して検出することができる。その時点の電力価格が予め決められたしきい値よりも低下した場合には、電気加熱ユニットの加熱力を増大させることができる。
【0040】
したがって、その時点の電力価格に応じた電気加熱ユニットの加熱力の調整を実現することができる。この価格は手動で入力し、または制御ユニットを使用して特に電力市場から自動的に取り出すことができる。電気加熱ユニットの加熱力が高く設定されるほど、改質器燃焼装置の加熱力は低く設定することができる。
【0041】
特に、制御ユニットによって、電気加熱ユニットの加熱力および改質器燃焼装置の加熱力を、燃焼流体が生成される速度が一定に維持されるような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができる。あるいは、燃焼流体が生成される速度が最大でも予め決められた最大変化率だけしか変化しないような制御を実現することもできる。燃焼器ユニット、タービンユニットおよび発電機ユニットが機能する能力は、燃焼流体が、電気加熱ユニットからの熱エネルギーを使用して生成されたのかまたは改質器燃焼装置からの熱エネルギーを使用して生成されたのかによって影響されない。したがって、有利には、それによって燃焼器ユニット、タービンユニットまたは発電機ユニットに望ましくない影響を及ぼすことなく、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力の比を非常に迅速に変化させることができる。
【0042】
これらのユニットは単に、発電機ユニットによって発電される電力の比較的にゆっくりとした変化だけを許容する。それにもかかわらず、このゆっくりと容易にされた変化を使用することもできる。この目的のため、制御ユニットは、電気加熱ユニットの加熱力と改質器燃焼装置の加熱力の和を常に一定には保たない。その代わりに、電気加熱ユニットが起動しかつ/または電気加熱ユニットの加熱力が増大した場合には、この加熱力の和を小さくすることができる。したがって、全体の加熱力を、予め決められた最大変化率だけ低減させることができる。
【0043】
あるいはまたはそれに加えて、制御ユニットによって、電気加熱ユニットの加熱力および改質器燃焼装置の加熱力を、改質器ユニット内の温度が、エネルギー担体を燃焼流体に転化させることができる予め決められた目標範囲内にあるような態様で、互いの加熱力に依存して制御することができる。したがって、改質器ユニット内において予め決められた温度範囲が常に維持されるように、改質器燃焼装置のその時点の加熱力が電気加熱ユニットのその時点の加熱力に対して適合される。
【0044】
原則として、電気加熱ユニットによって加熱された媒体を貯蔵することができる貯蔵容器を提供することもできる。使用可能な電気エネルギーの量が予め決められたしきい値を上回った場合に、この貯蔵容器は満たされる。使用可能な電気エネルギーの量が低減した場合には、この貯蔵容器を空にすることができる。このようにすると、熱を得るために改質器燃焼装置によって燃焼させなければならないエネルギー担体の量をさらに減らすことができる。
【0045】
あるいはまたはそれに加えて、生成された燃焼流体を貯蔵することができる貯蔵容器を提供することもできる。したがって、この構成では、使用可能な電気エネルギーの量が増大した場合に、燃焼流体が生成される速度を増大させることができる。使用可能な電気エネルギーの量が低減したときには、この貯蔵容器から燃焼器ユニットに燃焼流体を供給することができる。それによって、同様に、熱を発生させるために改質器燃焼装置を使用して燃焼させなければならないエネルギー担体の量を低減させることができる。この点に関して、この貯蔵ユニットは、入来する燃焼流体の量が変動する場合でも一定量の燃焼流体を燃焼器ユニットに出力する緩衝装置の役目を果たすことができる。
【0046】
この貯蔵容器を使用することにより、改質器燃焼装置は、電気加熱ユニットの加熱力が低下した場合でも、既により大量にあるエネルギー担体を燃焼させない。その代わりに、貯蔵容器内の充填物の高さが、予め決めておくことができるしきい値よりも低下したとき、またはゼロまで下がったときにだけエネルギー担体の量を増大させる。
【0047】
制御ユニットは、電気加熱ユニットの加熱力が、予め決めておくことができるしきい値よりも低下しまたはゼロまで下がった場合に、貯蔵容器からの加熱された媒体の移送を開始させるように適合されていることが好ましい。同様に、予め決められた貯蔵容器の最大充填度に達した場合にも移送が開始される。この場合には、同時に、改質器燃焼装置に供給するエネルギー担体の量を低減させる。それによって、実質的に一定の全体電力でタービンユニットを動かし続けることができる。この場合、電気加熱ユニットの加熱力を変化させる必要はない。
【0048】
あるいはまたはそれに加えて、貯蔵容器から燃焼器ユニットに燃焼流体を移送しないこと、または完全には移送しないこともできる。その代わりに、燃焼流体を別のプロセスで使用することができる。燃焼流体が合成ガスである場合には、燃焼流体を、例えば石炭を液化またはガス化する方法、特にフィッシャー−トロプシュ法(Fischer−Tropsch process)で使用することができる。
【0049】
原則として、本発明の思想を、発電装置の一部ではない任意の改質器ユニットに対して使用することもできる。このような改質器ユニットの場合には、改質器燃焼装置と電気加熱ユニットの両方によって熱を供給することが可能である。発電装置に関して説明した変形実施形態を、この改質器ユニットに対して使用することもできる。発電装置とは対照的に、この改質器ユニットは単に、燃焼器ユニット、タービンユニットまたは発電機ユニットが存在しない場合である。その代わりに、この改質器ユニットを例えば、ガスおよび/または液体生成用の設備の部分とすることができる。特に、この設備は、分子水素H
2を得るための設備とすることができる。あるいはまたはそれに加えて、この設備を、石炭をガス化または液化する方法を実施するように設計することもできる。この方法にはやはり、メタン、メタノールおよびアルカンを生成することができるフィッシャー−トロプシュ法が含まれる。
【0050】
本発明の本質的思想は一般に、燃焼装置を使用してエネルギー担体を燃焼させることによって熱エネルギーを供給するプラントで使用することもできる。このようなプラントは例えばセメント工場であり、セメント工場では、セメントを生産するために熱エネルギーが必要であり、前記熱エネルギーはエネルギー担体を燃焼させることによって供給される。本発明の思想によれば、この実施形態では電気加熱ユニットも使用される。制御ユニットは、電気加熱ユニットおよび燃焼器装置が熱エネルギーを供給する割合を設定することができる。この燃焼装置は、改質器燃焼装置のように設計することができる。制御ユニットおよび電気加熱ユニットは、発電装置に関して説明したとおりに設計することができる。特に、この制御は、電気加熱ユニットからの熱エネルギーと燃焼器装置の熱エネルギーのさまざまな比に対して、全体として一定の熱エネルギーまたは熱量が常に放出されるような制御とすることができる。電気加熱ユニットの加熱力は、その時点の電力価格が低いほど高くなるように選択することができる。
【0051】
以下では、本発明のその他の特徴および利点を添付の略図を参照して説明する。