特許第6385120号(P6385120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6385120
(24)【登録日】2018年8月17日
(45)【発行日】2018年9月5日
(54)【発明の名称】歯磨組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20180827BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20180827BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180827BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20180827BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/44
   A61K8/34
   A61Q11/00
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-83855(P2014-83855)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-203023(P2015-203023A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】成松 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】荒井 将人
(72)【発明者】
【氏名】川延 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸夫
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141471(JP,A)
【文献】 特開2015−127305(JP,A)
【文献】 特開2011−256125(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/011996(WO,A1)
【文献】 特開平04−173726(JP,A)
【文献】 特開平11−021219(JP,A)
【文献】 特開2011−168557(JP,A)
【文献】 特開2013−001651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム及びアラントインジヒドロキシアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上、
成分(B):炭素数12〜16のアシル基を有するアシルグルタミン酸、炭素数12〜16のアシル基を有するアシルタウリン及びこれらの塩から選ばれる1種以上、
成分(C):グリセリン、並びに
成分(D):水
を含み、
歯磨組成物の全量に対する成分(B)の含有量が0.3質量%〜2.5質量%であり、
歯磨組成物の全量に対する成分(C)の含有量が20質量%〜55質量%であり、
歯磨組成物の全量に対する成分(D)の含有量が22質量%〜40質量%であり、
20℃におけるpHが5.06.0である、歯磨組成物。
【請求項2】
成分(E):イソプロピルメチルフェノールをさらに含む、請求項1記載の歯磨組成物。
【請求項3】
ソルビトールをさらに含み、
歯磨組成物の全量に対するソルビトールの含有量が40質量%以下である、
請求項1又は2記載の歯磨組成物。
【請求項4】
成分(C)の含有量のソルビトールの含有量に対する比率(成分(C)/ソルビトール)が0.4〜2である、請求項3記載の歯磨組成物。
【請求項5】
練歯磨である、請求項1〜4のいずれか1項記載の歯磨組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アラントイン及びその誘導体は、細胞の機能を活性化するとともに抗炎症効果や抗潰瘍作用を有する有用な有効成分であることが知られている。一方、アラントイン及びその誘導体は、加水分解されやすい性質を有しているため、その安定性は極めて悪く、各分野において安定性を向上させるために種々の検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アラントインにクエン酸等の有機酸又は無機酸を組み合わせることにより、アラントインの加水分解を抑制した水性製剤が記載されている。また、特許文献2には、クエン酸及びクエン酸塩を配合し、これら成分の緩衝作用を利用して組成物の水素イオン指数(pH)を所定の範囲に維持することにより、アラントインの加水分解を抑制した液体口腔用組成物が記載されている。特許文献3には乳酸及びそのアルカリ金属塩を組み合わせることにより、加水分解を抑制し沈殿物の生成を抑制した透明液体口腔用組成物が記載されている。
【0004】
アニオン界面活性剤の一種である、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate:SDS)などのアルキル硫酸塩は、起泡力、汚れ(例えば歯垢など)の除去力を歯磨剤に付与すること、又は殺菌剤(例えばイソプロピルメチルフェノールなど)の殺菌力を補助することを目的として、歯磨剤に汎用される。アルキル硫酸塩は、タンパクを変性させる作用を有し、それに起因して粘膜刺激性を有することが一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−159317号公報
【特許文献2】特開2010−143889号公報
【特許文献3】特開2013−1651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アラントインの分解機序は加水分解であることから、アラントインの安定化には歯磨組成物中の水分量を低減させること、又は、歯磨組成物のpHを、アラントインの加水分解速度が大きいpH範囲よりも低い範囲にすることが有効である。しかし、このような水分量の低減又は低pH化により、アルキル硫酸塩に起因する粘膜刺激性が増強される。
【0007】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであって、アラントイン及びその誘導体の分解が抑制されていると同時に、泡高性に優れ、口腔粘膜に対する刺激性が低減された歯磨組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、歯磨組成物にアラントイン及び/又はその誘導体を含有させる際に、特定のアニオン界面活性剤及び特定の種類かつ量の湿潤剤を組み合わせるとともに、水分量とpHを特定することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1] 成分(A):アラントイン及び/又はその誘導体、
成分(B):アシルアミノ酸、アシルタウリン及びこれらの塩から選ばれる1種以上、
成分(C):グリセリン、並びに
成分(D):水
を含み、
歯磨組成物の全量に対する成分(C)の含有量が10質量%〜60質量%であり、
歯磨組成物の全量に対する成分(D)の含有量が20質量%〜50質量%であり、
pHが4.5〜6.5である、歯磨組成物。
[2]成分(E):イソプロピルメチルフェノールをさらに含む、[1]に記載の歯磨組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アラントイン及びその誘導体の分解が抑制されていると同時に、泡高性に優れ、口腔粘膜に対する刺激性が低減された歯磨組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明するが、本発明は、これら実施形態に限定されない。また、本発明において、歯磨組成物中の各成分の含有量は、特に断らない限り、歯磨組成物を製造する際の各成分の仕込み量を基準とするものである。
【0012】
[成分(A)]
成分(A)は、アラントイン及び/又はその誘導体である。
【0013】
アラントインの誘導体としては、例えば、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、及びアラントインジヒドロキシアルミニウムが挙げられる。
【0014】
アラントイン及びその誘導体は、公知のスキームに従って合成されたものでもよいし、市販品でもよい。
【0015】
成分(A)は、アラントイン、アラントインの誘導体から選ばれる1種または2種以上を選択し、使用することができる
【0016】
本発明の歯磨組成物における成分(A)の含有量の下限に特に限定はないが、歯磨組成物全量に対して0.03質量%以上であることが好ましい。これにより、歯周病疾患抑制効果が十分に発現され得る。
【0017】
成分(A)含有量の上限に特に制限はないが、歯磨組成物全量に対して、0.5%以下であることが好ましい。これにより、渋みの発生を抑制することができる。
【0018】
成分(A)の含有量は、歯磨組成物全量に対して0.03質量%〜0.5質量%であることが好ましい。
【0019】
[成分(B)]
成分(B)は、アシルアミノ酸、アシルタウリン及びこれらの塩から選ばれる1種以上である。
【0020】
本発明において、アシルアミノ酸とは、アミノ酸が有するアミノ基の水素原子が、アシル基で置換された化合物をいう。アシル基が結合するアミノ基の水素原子は、さらにメチル基などのアルキル基で置換されていてもよい。
【0021】
本発明において、アシルタウリンとは、タウリンが有するアミノ基の水素原子が、アシル基で置換された化合物をいう。アシル基が結合するアミノ基の水素原子は、さらにメチル基などのアルキル基で置換されていてもよい。
【0022】
本発明のアシルアミノ酸塩及びアシルタウリン塩におけるアシル基は、炭素数が8〜18、好ましくは12〜16の直鎖又は分岐鎖である飽和または不飽和炭化水素基を有するものであることが好ましい。
【0023】
具体的なアシル基としては、例えば、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、ミリストイル基、ペンタデカノイル基、パルミトイル基、ヘプタデカノイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ノナデカノイル基、及びイコサノイル基などが挙げられる。
【0024】
前記中、ラウロイル基、トリデカノイル基、ミリストイル基、ペンタデカノイル基、及びパルミトイル基がより好ましく、ラウロイル基又はミリストイル基が更に好ましい。
【0025】
アシルアミノ酸におけるアミノ酸としては、従来公知のアミノ酸が挙げられ、例えば、グリシン、アラニン、グルタミン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、これらのアミノ酸のアミノ基又はイミノ基が有する水素がアルキル基(例えばメチル基)に置換されているアミノ酸誘導体が挙げられ、N−メチルアラニン、及びグルタミン酸が好ましい。
【0026】
本発明のアシルアミノ酸としては、アシルグルタミン酸、アシルメチルアラニンが好ましく、アシルグルタミン酸が特に好ましい。具体的なアシルアミノ酸としては、例えばラウロイルメチルアラニン、ラウロイルグルタミン酸、及びミリストイルグルタミン酸が好ましく挙げられる。
【0027】
アシルタウリンにおけるタウリンとしては、例えば、タウリン、及びN−メチルタウリンが挙げられ、N−メチルタウリンが好ましい。
【0028】
具体的なアシルタウリンとしては、例えばラウロイルメチルタウリン、ヤシ油脂肪酸から誘導された複数種のアシル基により置換されたヤシ油脂肪酸メチルタウリン、及びミリストイルメチルタウリンが好ましく、ラウロイルメチルタウリンがより好ましい。
【0029】
成分(B)は、アシルアミノ酸の塩及びアシルタウリンの塩であってもよい。塩は、薬理学的に許容される塩であればよく、特に限定されない。薬理学的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩が挙げられる。これらの塩のなかでも、無機塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がさらにより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0030】
成分(B)は、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びミリストイルグルタミン酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、当該群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。歯磨組成物のバイオフィルムに対する浸透殺菌力を高めることができ、味を良くすることができるため、成分(B)はラウロイルメチルタウリンナトリウムを含むことが好ましく、ラウロイルメチルタウリンナトリウムであることがより好ましい。
【0031】
アシルアミノ酸、アシルタウリン及びこれらの塩は、従来公知の方法に従って合成してもよく、市販品を利用してもよい。
【0032】
成分(B)は、アシルアミノ酸、アシルタウリン及びこれらの塩からなる群より選ばれる化合物単独であってもよいし、当該群より選ばれる複数種の組み合わせであってもよい。したがって、成分(B)は、上述のように、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等のヤシ油脂肪酸から誘導された複数種のアシル基によりアミノ基の水素原子が置換された、各種アシルアミノ酸塩又は各種アシルタウリン塩の混合物であってもよい。
【0033】
本発明の歯磨組成物の全量に対する成分(B)の含有量には限定がない。しかし、十分な起泡力を得ることができるので、本発明の歯磨組成物の全量に対する成分(B)の含有量は、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、口腔粘膜に対する刺激性をより抑制することができるので、本発明の歯磨組成物の全量に対する成分(B)の含有量は、2.5質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。
【0034】
本発明の歯磨組成物の全量に対する成分(B)の含有量は、0.3〜2.5質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
【0035】
[成分(C)]
成分(C)はグリセリンである。
【0036】
本発明の歯磨組成物における成分(C)の含有量は、歯磨組成物全量に対して、10質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、34重量%以上であることがより好ましい。これにより、十分なアラントイン及びその誘導体の分解抑制効果が得られ得る。
【0037】
成分(C)の含有量の上限は、本発明の歯磨組成物全量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であることが好ましく、51質量%以下であることがより好ましい。これにより、口腔粘膜刺激性を抑制することができる。
【0038】
成分(C)の含有量は、本発明の歯磨組成物全量に対して、10〜60質量%であり、20〜55質量%であることが好ましく、34〜51質量%であることがより好ましい。
【0039】
後述する通り、歯磨組成物はソルビトールを含んでもよい。この場合、歯磨組成物における成分(C)の含有量の、歯磨組成物に対するソルビトールの含有量に対する比率(以下、成分(C)/ソルビトールと略記する。)は、0.4以上であることが好ましい。これにより、十分なアラントイン及びその誘導体の分解抑制効果を得ることができる。
【0040】
成分(C)/ソルビトールの上限は、2以下であることが好ましい。これにより、曳糸性を抑制でき、口腔内分散性を発揮することができる。
【0041】
成分(C)/ソルビトールは、0.4〜2であることが好ましい。
【0042】
[成分(D):水]
成分(D)は水である。
【0043】
本発明の歯磨組成物における成分(D)の含有量の下限は、歯磨組成物全量に対して20質量%以上であり、22質量%以上であることが好ましく、24質量%以上であることがより好ましい。これにより、口腔粘膜刺激性を抑制することができる。
【0044】
本発明の歯磨組成物における成分(D)の含有量の上限は、歯磨組成物全量に対して50質量%以下であり、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。これにより、アラントイン及びその誘導体の分解を抑制する十分な効果が得られ得る。
【0045】
本発明の歯磨組成物における成分(D)の含有量は、歯磨組成物全量に対して、20〜50質量%であり、22〜45質量%であることが好ましく、24〜40質量%であることがより好ましい。
なお、前記本発明の成分(D)の含有量は、歯磨組成物における総水分量を意味する。
【0046】
[成分(E)]
本発明の歯磨組成物は、成分(E):イソプロピルメチルフェノールをさらに含んでもよい。これにより、歯磨組成物が殺菌力を発揮することができるので好ましい。
【0047】
成分(E)の含有量の下限には、特に限定がないが、本発明の歯磨組成物の全量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。これにより、バイオフィルムに対する十分な浸透殺菌力が得られ得る。
【0048】
成分(E)の含有量の上限には、特に限定はないが、口腔粘膜刺激性を抑制するために、本発明の歯磨組成物の全量に対して、0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましい。
【0049】
本発明の歯磨組成物が成分(E)を含む場合、成分(E)の歯磨組成物の全量に対する含有量は、0.01〜0.3質量%であることが好ましく、0.02〜0.2質量%であることがより好ましい。成分(E)の歯磨組成物の全量に対する含有量に対する、成分(B)の歯磨組成物の全量に対する含有量の比率((B)成分の含有量/(E)成分の含有量)は、2.5〜150が好ましく、2.5〜120がより好ましい。
【0050】
[pH]
本発明の歯磨組成物の20℃におけるpHの下限は、4.5以上であり、5.0以上であることが好ましく、5.4以上であることがより好ましい。これにより、口腔粘膜刺激性を抑制することができる。
【0051】
本発明の歯磨組成物の20℃におけるpHの上限は、6.5以下であり、6.2以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましい。これにより、アラントイン及びその誘導体の分解を抑制する十分な効果が得られる。
【0052】
本発明の歯磨組成物のpHは、4.5〜6.5であり、4.5〜6.2であることが好ましく、5.0〜6.0であることがより好ましく、5.4〜6.0であることが更に好ましい。
【0053】
本発明の歯磨組成物の剤形としては、ペースト状、液体状等に調製できる。前記剤形に調整された歯磨組成物は、練歯磨、液状歯磨、ジェル状歯磨等の各種歯磨製品とすることができる。本発明の好ましい製品形態は、練歯磨である。
【0054】
本発明の歯磨組成物には、上記各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲において、歯磨組成物に使用し得る公知の添加成分(薬理学的に許容される担体)を配合することができる。かかる添加成分としては、例えば、界面活性剤、粘稠剤(湿潤剤)、研磨剤、粘結剤、甘味剤、防腐剤、香料、着色剤、薬用成分、pH調整剤、溶剤が挙げられ、剤型に応じて適宜選択し得る。以下に添加成分の具体例を示すが、本発明の歯磨組成物に配合可能な成分はこれらに制限されるものではない。
【0055】
本発明の歯磨組成物には、上記成分(B)とは異なる、他の界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤は歯磨組成物に使用し得るものであればよく、特に限定されない。界面活性剤としては例えば、成分(B)とは異なる他のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0056】
前記他のアニオン界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩などが挙げられる。具体的には例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0057】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0058】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミド、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、汎用性の点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキロールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルなどが好適に用いられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素鎖長が、炭素数で12〜18であることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、エチレンオキサイド平均付加モル数が3〜30であることが好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイド平均付加モル数(平均付加EO)が20〜100であることが好ましい。アルキロールアミドは、アルキル鎖の炭素鎖長が炭素数12〜14であることが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12〜18であることが好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16〜18であることが好ましい。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、エチレンオキサイド平均付加モル数が6〜40であることが好ましい。
【0059】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドアルキルベタインが挙げられ、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。
【0060】
本発明の歯磨組成物に、前記他の界面活性剤をさらに配合する場合、その含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で定めることができ、成分(B)を含めた界面活性剤の合計量が、歯磨組成物全量に対して、通常、0.3質量%〜5.0質量%であり、0.3質量%〜3.5質量%であることが好ましい。界面活性剤がアルキル硫酸塩を含む場合には、アルキル硫酸塩の含有量は、粘膜刺激性の観点から、歯磨組成物の全質量に対して1質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、全く配合しないことが更に好ましい。
【0061】
本発明の歯磨組成物には、上記(C)グリセリンとは異なる他の粘稠剤(湿潤剤)を任意に配合してもよい。前記他の粘稠剤としては、例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
【0062】
本発明の歯磨組成物に、(C)グリセリンに加えて、グリセリンとは異なる粘稠剤をさらに配合する場合、その配合量は本発明の効果を妨げない範囲で定めてよい。通常、歯磨組成物全質量に対して、グリセリンとさらに配合したグリセリンとは異なる粘稠剤との合計は、通常10〜70質量%である。
【0063】
ソルビトールを配合する場合、ソルビトールの配合量は歯磨組成物の全質量に対して40質量%以下とすることが好ましい。これにより、アラントイン及びその誘導体の分解を抑制することができる。
【0064】
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第三リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第四リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。これらのうち、無水ケイ酸とリン酸水素カルシウムが好ましく、無水ケイ酸がより好ましい。
【0065】
研磨剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。研磨剤を配合する場合、その配合量は、歯磨組成物全体の2〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0066】
粘結剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の有機系粘結剤、増粘性無水ケイ酸、ベントナイト等の無機系粘結剤等が挙げられる。
【0067】
粘結剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。粘結剤を用いる場合の配合量は、歯磨組成物全量に対して0.5〜10質量%が好ましい。
【0068】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、アラビトール等が挙げられる。甘味剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。甘味剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0069】
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸塩、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。防腐剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。防腐剤を用いる場合、配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0070】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料(単品香料)、調合香料(油脂香料(油性香料)、粉末香料など)が挙げられる。香料は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、歯磨組成物全量に対して0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
【0071】
着色剤としては、例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、クマリンド色素等の天然色素や、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、二酸化チタン等が挙げられる。歯磨組成物が着色剤を含有する場合、その含有量は、歯磨組成物全量に対して0.00001質量%〜3質量%であることが好ましい。
【0072】
薬用成分としては、成分(A)及び成分(E)以外の成分、すなわち例えば以下の成分が挙げられる:モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化ストロンチウム等のフッ化物;塩酸クロロヘキシジン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の殺菌又は抗菌剤;ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、ゼオライト、リン酸一水素ナトリウムやリン酸三ナトリウム等のリン酸塩等の歯石予防剤;トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β−グリチルレチン酸、ε−アミノカプロン酸、オウバクエキス等の抗炎症剤;塩化ナトリウム等の収斂剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、トコフェロール酢酸エステル等のビタミン等が挙げられる。薬用成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。薬用成分を使用する場合、その含有量は、それぞれの薬用成分について薬剤学的に許容できる範囲で適宜設定することができる。
【0073】
溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノールなどの炭素原子数3以下の低級アルコール等が挙げられる。歯磨組成物が低級アルコールを含有する場合、その含有量は、歯磨組成物全量に対して1質量%〜20質量%であることが好ましい。
【0074】
pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタミン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の酸やアルカリ、緩衝剤が挙げられる。pH調整剤を配合する場合、1種単独、又は2種以上組み合わせて用いることができ、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びフィチン酸が好ましく、クエン酸であることがより好ましく、クエン酸とその金属塩であるクエン酸ナトリウムとの組み合わせであることが特に好ましい。その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができるが、歯磨組成物全量に対して0.1質量%〜6質量%であることが好ましい。
【実施例】
【0075】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明は勿論、かかる実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「%」は、別途明示のない限り、「質量%」を意味する。
【0076】
[実施例及び比較例に使用した主な原料]
実施例及び比較例に用いた主な原料を以下に記載する。
<成分(A)>
アラントイン(パーマケムアジア社製)
アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(パーマケムアジア社製、商品名「アルクロキサ」)
アラントインジヒドロキシアルミニウム(パーマケムアジア社製、商品名「アルジオキサ」)
<成分(B)>
ラウロイルメチルタウリンナトリウム(日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL LMT」)
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(旭化成ケミカルズ社製、商品名「アミノサーファクト(登録商標) ALMS−P1」)
ミリストイルグルタミン酸ナトリウム(旭化成ケミカルズ社製、商品名「アミノサーファクト(登録商標) AMMS−P1」)
<成分(C)>
85%グリセリン(ライオンケミカル社製)
<その他の成分>
イソプロピルメチルフェノール(殺菌剤)(大阪化成社製、商品名「イソプロピルメチルフェノール」)
70%ソルビトール(ロケット社製)
その他の添加成分については、外原規規格品を用いた。
【0077】
(実施例1〜22及び比較例1〜8)
上述の成分を用いて、表1〜4に示す配合量に従って下記調製方法により、歯磨組成物を調製した。なお、表1〜4に示す各成分の配合量は、85%グリセリンを除いて、純分換算した値(AI)である。85%グリセリンについての純分換算した値(AI)も表に示した。各配合量の単位は質量%である。
【0078】
[歯磨組成物の調製方法]
(実施例1〜22)
(1)精製水中に成分(A)、フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水ケイ酸(増粘性)、成分(C)を常温で混合溶解させた(混合物X)。
(2)プロピレングリコール中にカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムを常温で分散させた(混合物Y)。撹拌中の混合物X中に、酸化チタン及び混合物Yを添加混合して、混合物Zを調製した。
(3)混合物Z中に、香料、成分(B)及び無水ケイ酸(研磨性)を、ニーダー(宮川商店製)を用いて常温で混合し、減圧(5.3kPa)による脱泡を行い、歯磨組成物を得た。
pHの測定は、pHメータ(メトラー・トレド(株)Seven Easy)を用いて実施した。比較例の歯磨組成物は、成分(B)の代わりにラウリル硫酸ナトリウムを用いた他は、実施例1〜22と同様の方法により調製した。
【0079】
(実施例23〜29)
混合物Y中に成分(F)を溶解させた他は実施例1〜22と同様の方法により調製した。
【0080】
得られた歯磨組成物に対して、以下の試験を行った。
(1)アラントイン及びその誘導体の分解抑制効果の評価方法
各歯磨組成物を製造した直後におけるアラントインの濃度(a)、及び各歯磨組成物を40℃で3ヶ月間保存した後におけるアラントインの濃度(b)を、下記試験条件に従い高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。製造直後における歯磨組成物のアラントイン濃度を100%として、50℃で1ヶ月間保存した後における歯磨組成物のアラントイン残存率(((b)/(a))×100(%))を算出し、次の基準に従いアラントイン及びその誘導体の分解抑制効果を判定した。
【0081】
<試験条件>
・検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
・カラム :Inertsil NH2(4.6mmφ×250mm)(GL Sciences社製)
・カラム温度:35℃
・移動相 :アセトニトリル/リン酸塩緩衝溶液混液(4:1)
・流量 :1mL/min
・リン酸塩緩衝溶液:
リン酸二水素アンモニウム5.75gを水750mLに溶かし、リン酸を加えpH2.5に調整した後、水を加え1,000mLとした。
【0082】
<使用機器>
・ポンプ :日本分光(株) PU−980
・試料導入部 :協和精密(株) KSP−100X
・検出器 :日本分光(株) UV−970
・カラム恒温槽:(株)センシュー科学 SCC−2100
【0083】
<判定基準>
◎:アラントイン残存率が90%以上100%以下
○:アラントイン残存率が85%以上90%未満
×:アラントイン残存率が85%未満
【0084】
(2)口腔粘膜刺激性の評価方法
歯磨組成物を歯ブラシに乗せ、口腔内を洗浄した際の口腔への刺激性を10名のモニタが下記評価基準により評価した。10名の評価点の平均を下記判定基準に分類した。
<評価基準>
4点:口腔内に対する刺激を感じない。
3点:口腔内に対する刺激をやや感じる。
2点:口腔内に対する刺激を感じる。
1点:口腔内に対する刺激を非常に感じる。
【0085】
<判定基準>
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0086】
(3)泡高性の評価方法
歯磨組成物1gを精製水20mLに分散させた後、50mLネスラー型比色管に全量移し、10秒間に20回振り混ぜる。その後静置し、5分後の泡上面の目盛りを測定する。
【0087】
<判定基準>
◎:40mL以上
○:35mL以上40mL未満
×:35mL未満
【0088】
(4)バイオフィルムに対する浸透殺菌力の評価方法
直径7mm×厚さ3.5mmのハイドロキシアパタイト(HA)板(旭光学社製)を、0.45μmのフィルターでろ過したヒト無刺激唾液で4時間処理し、これをモデルバイオフィルム作製担体として用いた。培養液として、トリプチケースソイブロス(Difco社製)30gを1Lの精製水に溶解した液にヘミン(Sigma社製)5mg/L、ビタミンK(和光純薬工業社製)1mg/Lを添加したものを用いた。モデルバイオフィルムの作製に用いた口腔細菌はいずれもアメリカン タイプ カルチャー コレクション(ATCC)より購入したもので、口腔常在細菌としてストレプトコッカス ゴルドニアイ(Streptococcus gordonii) ATCC51656株及びアクチノマイセス ナエスランディ(Actinomyces naeslundii) ATCC51655株、病原性細菌としてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)ATCC33277株を用いた。これら3菌種をそれぞれ2×107cfu/mL(colony forming units)になるように上述の培養液に接種し、唾液処理したHA担体と共に37℃、嫌気条件下(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)で2週間連続培養(培養液の置換率は10vol%とした)を行い、HA担体表面に3菌種混合のモデルバイオフィルムを形成させた。
【0089】
形成させたモデルバイオフィルムを評価薬剤(歯磨組成物に人工唾液(CaCl2:2.2mmol/L、KH2PO4:2.2mmol/L、酢酸:0.1mol/L、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼ(Type 1A,Sigma社製):1.0単位/mL、pH6.5)を2倍質量添加し、分散させた後に遠心した上清)2mLに3分間浸漬し、滅菌生理食塩水1mLで6回洗浄した。その後、滅菌生理食塩水4mL中で超音波処理(200μA、10秒間)することにより滅菌生理食塩水中にモデルバイオフィルムを分散し、バクテロイデス寒天平板に50μL塗沫し、肉眼でコロニーが確認できるまで嫌気培養(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)した。生育したコロニー数をカウントし、残存するポルフィロモナス ジンジバリス菌の生菌数(cfu)を求め、下記基準に則り、判定した。
【0090】
<評価基準>
◎:cfuが106未満
○:cfuが106以上107未満
×:cfuが107以上
【0091】
歯磨組成物(実施例1〜29、比較例1〜8)の配合と、評価結果を以下の表1〜5に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
表1〜5から、次のことが分かる。実施例1〜29の歯磨組成物は、アラントイン分解抑制効果、口腔粘膜刺激性抑制効果、及び泡高性のいずれの評価にも優れていた。一方、成分(B)の代わりにラウリル硫酸ナトリウムを配合した比較例1では口腔粘膜刺激性抑制効果に劣り、成分(B)を含めアニオン系界面活性剤を添加しない比較例2では、泡高性が劣っていた。また、成分(C)の含有量が10質量%未満である比較例3、水の含有量が50質量%より大きい比較例4、及びpHが6.2を超える比較例8では、アラントイン分解抑制効果が劣っていた。更に、成分(C)が60質量%を超える比較例5、水の含有量が20質量%未満である比較例6、及びpHが4.5未満の比較例7では、口腔粘膜刺激性抑制効果が劣っていた。更にイソプロピルメチルフェノールを配合した実施例23〜29の歯磨組成物は、アラントイン分解抑制効果、口腔粘膜刺激性抑制効果に優れていたほか、バイオフィルム浸透殺菌力にも優れていた。特に、ラウロイルメチルタウリンNaを配合した実施例23は、同量のラウロイルグルタミン酸Naやミリストイルグルタミン酸Naを使用した実施例24、25よりもバイオフィルム浸透殺菌効果に優れ、好ましい(B)成分であった。なお、実施例23〜29の歯磨組成物は、いずれも実施例1〜3と同様に泡高性に優れていた。
【0098】
これらの結果は、本発明の歯磨組成物においては、アラントイン及びその誘導体の分解が抑制されていると同時に、泡高性に優れ、口腔粘膜に対する刺激性が低減されていることを示している。