(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動ピースは、前記当接位置に回動した前記他の移動ピースに対し、自重によって下方に回動して前記アーム部を構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の直動伸縮装置。
請求項1ないし4のいずれかに記載の直動伸縮装置によって通行対象の通行の規制と許可とを選択的に切り換えるゲートの開閉を行うことを特徴とする直動伸縮式ゲート装置。
前記直動伸縮装置を鉄道駅のプラットホーム上に、前記アーム部の移動方向が前記プラットホームの端部に沿うように複数並べて設置することを特徴とする請求項5または6に記載の直動伸縮式ゲート装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の伸縮式遮断ゲートバーでは、入れ子状のエアーシリンダーを長く伸ばす場合、その長さに比例して根元側のエアーシリンダーの直径が大きくなる。また、エアーシリンダーを収容する筐体も大型化する。このため、幅の広い通路の通行規制を行うためのゲート装置等に、特許文献1に記載の伸縮式遮断ゲートバーを適用することが困難であった。
【0008】
また、特許文献2に記載の直動伸縮アーム機構は、ゲート装置や安全扉装置等に採用することを想定していないため、ゲート装置等に応用することが困難であった。例えば、特許文献2に記載の直動伸縮アーム機構は、幅の広い通路の通行規制を行う場合、構造体群の大型化や重量の増大という問題を有していた。特に、プラットホームの安全扉装置に重たい構造体群を採用する場合、プラットホームの補強工事が必要となる。このため、特許文献2に記載の直動伸縮アーム機構を安全扉装置等に採用する実現性は乏しいものとなっていた。
【0009】
特許文献3に記載の中折れ式ゲートバー装置は、手元側バーを回動させる開閉機に加えて先端側バーを連動させる間接連動手段を必要とするため、複雑な構造になると共に製造コストの増加という問題を有していた。ところで、一般的に、先端側バーを閉じた場合、先端側バーの先端部は、バーキャッチャーに嵌合して位置決めされる。しかしながら、先端側バーを無理矢理持ち上げた場合、先端側バーは折れ曲がって、その先端部がバーキャッチャーから引き抜かれる。このため、特許文献3に記載の中折れ式ゲートバー装置は、厳格な通行規制を行うことができない虞があった。
【0010】
特許文献4に記載のプラットホームドア装置は、左右一対のプラットホームドアが互いに離接する両開き構造であると共に、戸袋をプラットホームドアよりも幅広く形成する必要がある。このため、特許文献4に記載のプラットホームドア装置は、製造コストの増加、構造の大型化や重量の増大という問題を有していた。特許文献4に記載のプラットホームドア装置を設置するにあたり、プラットホームの補強工事等が必要となるため、更なる設置コストの増加という問題もあった。また、特許文献5に記載の安全柵は、非常に大きな駆動柱を必要とするため、設置コストの増加という問題を有していた。
【0011】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、小型化および軽量化を図ると共に簡単な構造でコスト低減を図るための直動伸縮装置およびこれを備える直動伸縮式ゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するため、本発明の第1の直動伸縮装置は、回動軸を介して複数の移動ピースを前記回動軸に直交する連結方向に連結して成る長尺の移動ピース群と、前記移動ピース群を内部に収容する筐体と、を備え、前記移動ピースは、隣接する他の移動ピースの端部に当接して下方への回動を規制されると共に前記回動軸の軸方向に沿った移動を規制される当接位置と、前記他の移動ピースの端部から離間するように上方に回動して前記軸方向に沿った移動を許容される離間位置と、の間において前記回動軸を中心に回動し、前記当接位置に回動した前記移動ピースは、前記筐体の内部および/または外部にて、前記他の移動ピースと一列に並んで直線状に移動するアーム部を構成し、前記離間位置に回動した前記移動ピースは、前記筐体の内部にて、前記軸方向一方に変位して螺旋状に移動するスパイラル部を構成することを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の直動伸縮装置によれば、隣り合う移動ピースを回動軸で連結することで、移動ピース群を簡単に構成することができる。例えば、軽量な樹脂材料等で同一形状の移動ピースを大量に成形することで、軽量化した移動ピース群を安価に製造することができる。また、スパイラル部は、筐体内で螺旋を描くように移動し、スパイラル部に連なり続くアーム部は、筐体から伸縮するように直線的に移動する。スパイラル部は螺旋状に巻回しているため、筐体の内部空間を有効に利用することができる。これにより、筐体の小型化を図ることができる。一方、アーム部は、下方向の回動と軸方向の移動とを規制されているため、一列に揃えられた状態で円滑に直動することができる。
【0014】
本発明の第2の直動伸縮装置は、上記した本発明の第1の直動伸縮装置において、前記筐体の内部には、前記スパイラル部の螺旋状の移動を案内するガイド部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の直動伸縮装置によれば、アーム部を構成する移動ピースは、筐体内に進入すると、ガイド部に案内されて螺旋状に移動してスパイラル部を構成する。これにより、巻回した移動ピース群を筐体内に適切に収容することができる。
【0016】
本発明の第3の直動伸縮装置は、上記した本発明の第1の直動伸縮装置において、前記移動ピースの連結方向一端部には、前記他の移動ピースの連結方向他端部に形成される被係合カムに着脱可能な係合カムが形成され、前記係合カムは、前記移動ピースを前記当接位置から前記離間位置に回動する過程において、前記被係合カムから離脱する際に前記被係合カムとの間に作用する力によって前記移動ピースを前記軸方向一方に移動させ、前記移動ピースを前記離間位置から前記当接位置に回動する過程において、前記被係合カムに係合する際に前記被係合カムとの間に作用する力によって前記移動ピースを前記軸方向他方に移動させることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の直動伸縮装置によれば、移動ピースは、他の移動ピースに対する回動に伴う係合カムと被係合カムとの係合・離脱動作に連動して軸方向に移動する。したがって、筐体内に移動した移動ピースは、自動的に螺旋を描いてスパイラル部を構成する。これにより、例えば、移動ピースを軸方向に移動させるためのガイド等を用いることなく、簡単な構成で移動ピース群を筐体内に適切に収容することができる。
【0018】
本発明の第4の直動伸縮装置は、上記した本発明の第1ないし第3のいずれかの直動伸縮装置において、前記移動ピースは、前記当接位置に回動した前記他の移動ピースに対し、自重によって下方に回動して前記アーム部を構成することを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の直動伸縮装置によれば、各移動ピースは、自重によって下方に回動して一列に揃えて並べられる。そして、アーム部は、各移動ピースの自重によっての姿勢を維持される。これにより、例えば、他の移動ピースに対して移動ピースを回動させるためのバネ等を用いることなく、適切に移動ピースを回動させることができる。
【0020】
本発明の第1の直動伸縮式ゲート装置は、上記した本発明の第1ないし第4のいずれかの直動伸縮装置によって通行対象の通行の規制と許可とを選択的に切り換えるゲートの開閉を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の第1の直動伸縮式ゲート装置によれば、隣り合う移動ピースを回動軸で連結することで、移動ピース群を簡単に構成することができる。例えば、軽量な樹脂材料等で同一形状の移動ピースを大量に成形することで、軽量化した移動ピース群を安価に製造することができる。スパイラル部は螺旋状に巻回しているため、筐体の内部空間の有効利用を図ることができると共に筐体の小型化を図ることができる。また、軽量で円滑に直動するアーム部を構成することができる。また、例えば、直動中のアーム部の先端部がゲートを通行する通行対象(人や自動車等)に衝突した場合、移動ピースは衝突時の力を逃がすように上方に回動するため、アーム部の先端側は上方に湾曲する。これにより、アーム部と通行対象との衝突時の衝撃を抑制することができると共に、通行対象の安全性を確保することができる。
【0022】
本発明の第2の直動伸縮式ゲート装置は、上記した本発明の第1の直動伸縮式ゲート装置において、ゲート幅を成す距離を隔てて前記筐体に対向して配置されて前記ゲートを構成するキャッチャーを更に備え、前記キャッチャーは、前記アーム部の先端部を嵌合させるキャッチ部を有していることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の直動伸縮式ゲート装置によれば、アーム部の先端部がキャッチ部に嵌合してゲートを完全に閉鎖することで、容易にアーム部を上方に回動させることができなくなる。これにより、厳格な通行規制を行うことができる。
【0024】
本発明の第3の直動伸縮式ゲート装置は、上記した本発明の第2の直動伸縮式ゲート装置において、前記ゲートは、駐車場の入口または/および出口に構成され、開放された状態で自動車の通行を許可する前記ゲート幅を有し、前記移動ピース群は、前記アーム部の先端部が前記キャッチ部に嵌合して閉鎖位置に移動した場合に、人、自転車、自動二輪車および自動車が前記ゲートを通行することを規制し、前記アーム部の先端部が前記キャッチ部から予め設定した自動車の車両幅よりも短い距離離間した中間位置に移動した場合に、人、自転車および自動二輪車が前記ゲートを通行することを許可すると共に、自動車が前記ゲートを通行することを規制することを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の直動伸縮式ゲート装置によれば、駐車場のゲートを通行する通行対象が少なくとも自転車や自動二輪車等と自動車の場合、その車種の違いに応じて、ゲートの開放量を切り換えることができる。これにより、自転車や自動二輪車が通行する場合に、ゲートの開閉を素早く行うことができ、適切な通行規制を行うことができる。
【0026】
本発明の第4の直動伸縮式ゲート装置は、上記した本発明の第1または第2の直動伸縮式ゲート装置において、前記直動伸縮装置を鉄道駅のプラットホーム上に、前記アーム部の移動方向が前記プラットホームの端部に沿うように複数並べて設置することを特徴とする。
【0027】
本発明の第4の直動伸縮式ゲート装置によれば、直動伸縮装置は、小型且つ軽量であるため、重量物を設置するためのプラットホームの補強工事等を省略することができる。これにより、直動伸縮式ゲート装置の設置コストの低減を図ることができる。また、直動伸縮装置の筐体は、従来のプラットホームドア装置(安全柵装置)の戸袋よりも小型である。このため、例えば、直動伸縮装置の設置箇所以外では安価で軽量な固定柵を設置することができる。これにより、プラットホーム上に設置する構造物の総重量を低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る直動伸縮装置およびこれを備える直動伸縮式ゲート装置によれば、小型化および軽量化を図ることができると共に簡単な構造でコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る直動伸縮装置およびこれを備える直動伸縮式ゲート装置の実施の形態について添付した図面を参照しながら説明する。この実施の形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0031】
(第1の実施形態)
図1ないし
図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る直動伸縮装置1について説明する。
図1は直動伸縮装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1のII−II断面図である。
図3は、
図1における筐体2のIII−III断面図である。以下の説明では、便宜上、各図に矢印で示すように各方向を設定している。
【0032】
図1に示すように、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1は、一例として、所謂ロボットアームとして構成されている。
【0033】
直動伸縮装置1は、筐体2と、移動ピース群3と、マニピュレーター4と、を備えている。筐体2は、平滑なベース(図示せず)の上面に立設されている。移動ピース群3は、筐体2の右側面から右方向に略水平に延出している。マニピュレーター4は、移動ピース群3の先端部に取り付けられて一対の指部4aによって対象物を挟持する。マニピュレーター4は、3軸の回転駆動源(図示せず)を備えた周知のものであるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図2および
図3に示すように、筐体2は、上下方向に長い中空の直方体状に形成されている。筐体2は、内部に移動ピース群3を収容する収容空間Sを有している。
【0035】
筐体2の右側面の略中央部には、矩形状の外側開口10が貫通して形成されている。外側開口10の内側周縁部には、収容空間S内に向けて延びる直動ガイド部11が設けられている。直動ガイド部11は、矩形筒状に形成され、外側開口10を介して収容空間Sの内部と外部とを連通させている。
【0036】
収容空間Sには、正面視で略円形筒状の回動ガイド部12が設けられている。回動ガイド部12は、収容空間Sの上部後方に配設されている。回動ガイド部12の正面側は開放されている。回動ガイド部12の下部には、周面の一部を除去されることで内側開口12aが形成されている。内側開口12aは、直動ガイド部11(外側開口10)と同一中心軸線上に形成されている。
【0037】
内側開口12aの下側には、駆動装置13が設けられている。駆動装置13は、ギヤードモーター14と、駆動歯車15と、を有している。ギヤードモーター14は、所謂ステッピングモーターに減速ギヤ列を組み付けて構成されている。ギヤードモーター14は、制御装置(図示せず)に制御されて、回転速度を複数段階に切り替え可能に構成されている。駆動歯車15は、ギヤードモーター14の出力軸に固定されている。なお、ギヤードモーター14をステッピングモーターに限定せずにDCモータ等を使用することができるように、収容空間Sには、移動ピース群3の移動状態(移動量)を検出するためのセンサー(図示せず)が設けられている。
【0038】
図1および
図2に示すように、移動ピース群3は、複数の移動ピース20を各々左右方向(連結方向)に連結して長尺状に形成されている。複数の移動ピース20は、それぞれ、前後方向に延びる回動軸23を介して回動可能に連結されている(
図5等参照)。
【0039】
図2および
図3に示すように、移動ピース群3は、筐体2の内部(収容空間S)で螺旋状に巻回して収容されている。収容空間Sでは、移動ピース群3は、回動ガイド部12に案内されて螺旋状に移動可能に配置されている。一方、巻き出された移動ピース群3は、直動ガイド部11に案内されて外側開口10から外部に露出して、直線状に移動する。なお、筐体2の内部で螺旋状を成す移動ピース群3を「スパイラル部3A」と呼び、主に筐体2の外部で直線状を成す移動ピース群3を「アーム部3B」と呼ぶこととする。
【0040】
次に、
図4ないし
図6を参照して、移動ピース群3を構成する複数の移動ピース20について説明する。
図4(A)は移動ピース20を一方から見た斜視図であり、
図4(B)は移動ピース20を他方から見た斜視図である。
図5はアーム部3Bの一部を示す平面図である。
図6は移動ピース群3の一部を示す斜視図である。
【0041】
複数の移動ピース20は、それぞれ、回動軸23を支点として回動可能に連結されている(
図6等参照)。なお、複数の移動ピース20は、各々同一形状であるため、以下、1つの移動ピース20について説明する。また、便宜上、移動ピース20がアーム部3Bを成す姿勢である場合を基準として説明する。
【0042】
図4に示すように、移動ピース20は、ピース本体21と、軸受22と、回動軸23と、凸カム24と、凹カム25と、凸端部26と、凹端部27と、を有している。
【0043】
ピース本体21は、左右方向両端面を開放する略矩形筒状に形成されている。ピース本体21は、中空内部を上下に2分割するリブ30を有している。つまり、ピース本体21は、側面視で略「日」の字状の断面を有している。ピース本体21の下面には、駆動装置13の駆動歯車15に噛み合うラック31が形成されている(
図3も参照)。
【0044】
軸受22は、ピース本体21の上壁の右端部(連結方向一端部)から右方向に延設されている。軸受22には、軸孔22aが前後方向に貫通形成されている。回動軸23は、ピース本体21の上壁の左端部(連結方向他端部)を切り欠いて形成される矩形凹部32内に設けられている。回動軸23は、前後方向に長い円柱状に形成されている。回動軸23は、矩形凹部32の内側で対向する前後両端面の間に架設されている。矩形凹部32の前後幅(回動軸23の長さ)は、軸受22の前後幅よりも大きく形成されている。
【0045】
係合カムとしての凸カム24は、ピース本体21のリブ30の右端面から右斜め前方向に凸設されている(
図4(A)参照)。被係合カムとしての凹カム25は、ピース本体21のリブ30の左端面から右斜め前方向に凹設されている(
図4(B)参照)。
【0046】
凸端部26は、ピース本体21の下壁の右端面から右方向に凸設されている(
図4(A)参照)。凹端部27は、ピース本体21の下壁の左端面から右方向に凹設されている(
図4(B)参照)。
【0047】
なお、移動ピース20は、硬質樹脂材料等を押出成形によって形成した基材(ピース本体21)の端部に加工を施すことで一体形成されている。
【0048】
次に、移動ピース群3の作用について説明する。まず、
図5および
図6を参照して、移動ピース20同士の連結について簡単に説明する。なお、以下、説明を簡単にするために、左右方向に隣接する一対の移動ピース20の連結に着目して説明する。また、説明の便宜上、左側の移動ピース20に関連する部材には符号「L」を付加し、右側の他の移動ピース20に関連する部材には符号「R」を付加する。なお、説明の便宜上、他の移動ピース20Rがアーム部3Bを成す姿勢である場合を基準にする。
【0049】
図5に示すように、他の移動ピース20Rの回動軸23Rは、移動ピース20Lの軸受22L(軸孔22aL)に貫設される。これにより、軸受22Lは、回動軸23Rの周方向に摺動可能に係合する。ここで、矩形凹部32は軸受22よりも幅広く形成されているため、移動ピース20Lの軸受22Lと、他の移動ピース20Rの矩形凹部32Rとの間には、軸方向に隙間Gが形成される。また、移動ピース20Lの凸カム24Lは、他の移動ピース20Rの凹カム部25Rに着脱可能に嵌合する。さらに、移動ピース20Lの凸端部26Lは、他の移動ピース20Rの凹端部27Rに着脱可能に嵌合する(図示せず)。以上のように、複数の移動ピース20を連結することで移動ピース群3が構成される。
【0050】
以上のように構成された移動ピース群3は、駆動装置13を介して制御装置によって移動制御される。具体的には、制御装置に制御されたギヤードモーター14の駆動力は、駆動歯車15を回転させ、ラックを介してアーム部3Bを左右方向に移動(進退)させる(
図2参照)。なお、駆動歯車15の上方にはアーム部3Bを挟み込むようにガイドローラー(図示せず)が配設されている。ガイドローラーがアーム部3Bの移動を案内することによって、駆動歯車15とラックとの噛み合いが適切に維持される。
【0051】
アーム部3Bを筐体2の外部に向けて繰り出すことによって、ユーザーは、筐体2から離れた位置でマニピュレーター4を用いた作業を行うことができる。なお、アーム部3Bは、筐体2の右側面から筐体2の左右幅以上離れた位置まで延出可能に構成されている(
図2参照)。一方、アーム部3Bを筐体2の内部に向けて移動させることによって、アーム部3Bを構成する移動ピース20は、回動ガイド部12内に巻き取られ、スパイラル部3Aとして筐体2内に収容される(
図2および
図3参照)。
【0052】
ところで、筐体2から離れた位置でマニピュレーター4が重量物を把持した場合、アーム部3Bには下方に撓むような力が作用する。そこで、移動ピース群3は、上方に湾曲することを許容し、下方に湾曲することを規制する構造を有している。また、長尺状の移動ピース群3を筐体2内にコンパクトに収容するために、移動ピース群3は、自動的に螺旋状に巻回する構造を有している。
【0053】
以下、主に、隣り合う一対の移動ピース20L,20Rの動作について説明する。
【0054】
移動ピース20L(右端部)は、他の移動ピース20Rの左端部に当接して下方への回動を規制されると共に回動軸23Rの軸方向に沿った移動を規制される当接位置P1と、他の移動ピース20Rの左端部から離間するように上方に回動して軸方向に沿った移動を許容される離間位置P2と、の間において回動軸23Rを中心に回動する(
図6参照)。
【0055】
図2および
図5に示すように、当接位置P1に回動した移動ピース20Lは、筐体2の内部および外部にて、他の移動ピース20Rと一列に並んで筐体2から直線状に移動するアーム部3Bを構成する。このとき、移動ピース20Lは、自重によって右端面を他の移動ピース20Rの左端面に押圧させる。このため、各移動ピース20L,20Rは、互いに回動不能に保持される。これにより、アーム部3Bの先端部の撓みを抑制することができ、円滑な直動を担保することができる。
【0056】
また、
図5に示すように、当接位置P1にある移動ピース20Lの軸受22Lは、他の移動ピース20Rの前側に位置している。すなわち、隙間Gは、軸受22Lの後側に形成されている。このとき、移動ピース20Lの凸カム24Lおよび凸端部26Lは、それぞれ、他の移動ピース20Rの凹カム25Rおよび凹端部27Rに嵌合している。このため、移動ピース20は、他の移動ピース20Rに対して前後方向(軸方向)に移動することを規制されている。
【0057】
次に、移動ピース20Lを当接位置P1から離間位置P2に回動する場合について説明する。例えば、制御装置に駆動制御されたギヤードモーター14は、駆動歯車15を
図2で反時計回りに回転させる。これにより、アーム部3Bは筐体2内に引き込まれる(巻き取られる)。アーム部3Bの基端部(左端部)の移動ピース20Lは、内側開口12aから回動ガイド部12内に進入し、回動ガイド部12の内周面に沿って上方に移動する。すなわち、移動ピース20Lは、当接位置P1から離間位置P2に回動し始める。
【0058】
移動ピース20Lを当接位置P1から離間位置P2に回動する過程において、凸カム24Lは、凹カム部25Rから離脱する際に凹カム部25Rとの間に作用する力によって移動ピース20を後方(軸方向一方)に移動させる。具体的には、他の移動ピース20Rに対して移動ピース20Lが回動するに連れて、凸カム24Lは、凹カム部25Rの傾斜に沿って徐々に後方に移動しながら離脱する(
図5および
図6参照)。なお、凸カム24Lが凹カム部25Rから離脱する以前に、凸端部26Lは凹端部27Rから離脱している。
【0059】
図2および
図3に示すように、離間位置P2に回動した移動ピース20Lは、筐体2(回動ガイド部12)の内部にて、後方(軸方向一方)に変位して螺旋状に移動するスパイラル部3Aを構成する。詳細には、回動ガイド部12内に順次進入する複数の移動ピース20は、それぞれ、後方(軸方向)にずれながら巻回することで螺旋状のスパイラル部3Aを構成する。なお、離間位置P2にある移動ピース20Lの軸受22Lは、他の移動ピース20Rの後側に位置している。すなわち、隙間Gは、軸受22Lの前側に形成されている(
図6参照)。
【0060】
なお、
図2では、約360度の巻回したスパイラル部3Aを図示しているが、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1の筐体2は、約720度の巻回(約2巻き分)したスパイラル部3Aを収容可能に構成されている。
【0061】
次に、移動ピース20Lを離間位置P2から当接位置P1に回動する場合について説明する。例えば、制御装置に駆動制御されたギヤードモーター14は、駆動歯車15を
図2で時計回りに回転させる。これにより、アーム部3Bは筐体2の外部に引き出される(巻き出される)。スパイラル部3Aの先端部(右端部)の移動ピース20Lは、内側開口12aから回動ガイド部12の外部に向けて移動すると共に回動ガイド部12の内周面に沿って下方に移動する。すなわち、移動ピース20Lは、自重によって当接位置P1から離間位置P2に回動し始める。
【0062】
移動ピース20Lを離間位置P2から当接位置P1に回動する過程において、凸カム24Lは、凹カム部25Rに係合する際に凹カム25Rとの間に作用する力によって移動ピース20を前方(軸方向他方)に移動させる。具体的には、他の移動ピース20Rに対して移動ピース20Lが回動するに連れて、凸カム24Lは、凹カム部25Rの傾斜に沿って徐々に前方に移動しながら嵌合する(
図5および
図6参照)。なお、凸端部26Lも凹端部27Rに嵌合する。これにより、移動ピース20Lは、当接位置P1に回動した他の移動ピース20Rに対し、自重によって下方に回動してアーム部3Bを構成する(
図5および
図6参照)。
【0063】
以上説明した第1の実施形態に係る直動伸縮装置1によれば、隣り合う移動ピース20を回動軸23で連結することで、移動ピース群3を簡単に構成することができる。例えば、軽量な樹脂材料等で同一形状の移動ピース20を大量に成形することで、軽量化した移動ピース群3を安価に製造することができる。また、スパイラル部3Aは、筐体2内で螺旋を描くように移動し、スパイラル部3Aに連なり続くアーム部3Bは、筐体2から伸縮するように直線的に移動する。スパイラル部3Aは螺旋状に巻回しているため、筐体2の収容空間Sを有効に利用することができる。これにより、筐体2の小型化を図ることができる。一方、アーム部3Bは、下方向の回動と軸方向の移動とを規制されているため、一列に揃えられた状態で円滑に直動することができる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1によれば、移動ピース20(L)は、他の移動ピース20(R)に対する回動に伴う凸カム24(L)と凹カム25(R)との係合・離脱動作に連動して軸方向に移動する。したがって、筐体2内に移動した移動ピース20(L)は、自動的に螺旋を描いてスパイラル部3Aを構成する。これにより、例えば、移動ピース20(L)を軸方向に移動させるためのガイド等を用いることなく、簡単な構成で移動ピース群3を筐体2内に適切に収容することができる。
【0065】
また、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1によれば、各移動ピース20は、自重によって下方に回動して一列に揃えて並べられる。そして、アーム部3Bは、各移動ピース20の自重によっての姿勢を維持される。これにより、例えば、他の移動ピース20(R)に対して移動ピース20(L)を回動させるためのバネ等を用いることなく、適切に移動ピース20を回動させることができる。
【0066】
なお、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1の変形例として、各移動ピース20から凸カム24と凹カム25とを省略してもよい。この場合、筐体2の内部には、スパイラル部3Aの螺旋状の移動を案内する回動ガイド部35が設けられることが好ましい。例えば、
図7に模式的に示すように、回動ガイド部35は、螺旋を描くように各移動ピース20を導くための螺旋状のガイド経路36を備えていることが好ましい。巻回する移動ピース20は、外周側と前後両側面とをガイド経路36の内面に摺接しながら螺旋状に移動する。この構成によれば、アーム部3Bを構成する移動ピース20は、筐体2内に進入すると、回動ガイド部35に案内されて螺旋状に移動してスパイラル部3Aを構成する。これにより、巻回した移動ピース群3を筐体2内に適切に収容することができる。
【0067】
なお、第1の実施形態(変形例を含む)に係る直動伸縮装置1の回動ガイド部12,35は、巻回する移動ピース20(スパイラル部3A)の外周側をガイドするように設けられていたが、これに加えて、スパイラル部3Aの内周側をガイドする内側回動ガイド部37(
図2の二点鎖線参照)を更に設けてもよい。なお、移動ピース群3を円滑に移動させるために、移動ピース群3の移動経路にガイドローラー(図示せず)を適宜設けてもよい。
【0068】
なお、第1の実施形態(変形例を含む)に係る直動伸縮装置1では、スパイラル部3Aは、
図2で時計回りに巻回し、後方向に移動していたが、本発明はこれに限定されない。スパイラル部3Aの螺旋の移動方向や巻回方向は任意であって、例えば、スパイラル部3Aを反時計回りに巻回させてもよいし、前方向に移動させてもよい。この場合、スパイラル部3Aの螺旋状の移動に合わせて、移動ピース20の各カム24,25の傾斜の向きを設定する。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、
図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置40について説明する。
図8は直動伸縮式ゲート装置40を示す正面図である。なお、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
直動伸縮式ゲート装置40は、直動伸縮装置41によってゲート43の開閉を行う(通行を許可/規制する)ように構成されている。直動伸縮式ゲート装置40は、例えば、駐車場の出入口や有料道路の料金所等に設置することができる。特に、天井の高さ制限のある屋内駐車場等に好適に用いることができる。
【0071】
ここでは、一例として、直動伸縮式ゲート装置40を駐車場の出入口に設置する場合について説明する。
【0072】
直動伸縮式ゲート装置40は、直動伸縮装置41と、キャッチャー42と、を備えている。直動伸縮装置41は、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1と略同一の構成を有している。キャッチャー42は、ゲート幅を成す距離を隔てて筐体2に対向して配置されてゲート43を構成している。
【0073】
直動伸縮装置41は、筐体2内に設けられた回動ガイド部44の構造が異なっている。なお、
図8では、回動ガイド部44および収容された移動ピース群3の姿勢を破線で図示している。
【0074】
回動ガイド部44は、螺旋部45と、湾曲部46と、を有している。螺旋部45は、各移動ピース20を螺旋状に巻回(約1巻き分)するように導く。湾曲部46は、螺旋を描く各移動ピース20を下方に導き、下端部に移動した各移動ピース20を上方に向けてU字状に折り返すように導く。このように、回動ガイド部44は、収容空間S全体を活用するように上下方向に亘って設けられている。なお、螺旋部45と湾曲部46とは、一体(連続的)に設けられていてもよいし、個別(不連続)に設けられていてもよい。
【0075】
キャッチャー42は、筐体2の外側開口10の高さよりも高い略四角柱状に形成されている。キャッチャー42は、筐体2の右側面から右方向にゲート幅を隔てて離間した位置に立設されている。筐体2とキャッチャー42との間にゲート43が形成されている。なお、ゲート43は、(完全)開放された状態で、駐車場を利用する自動車の通行を許可するゲート幅を有している。
【0076】
キャッチャー42は、アーム部3Bの先端部を嵌合させるキャッチ部47を有している。キャッチ部47は、キャッチャー42の左側面上部に凹設されている。キャッチ部47は、右端部(底面)から左側(ゲート43側)に向けて拡開している。キャッチ部47は、筐体2の外側開口10の高さと略同一高さに形成されている。
【0077】
次に、直動伸縮式ゲート装置40の作用について説明する。
【0078】
直動伸縮式ゲート装置40の直動伸縮装置41は、制御装置によって駆動装置13を駆動制御して移動ピース群3を移動させることでゲート43の開放量を3段階に変更する。具体的には、直動伸縮装置41は、ゲート43を完全に開放する開放位置Q1と、アーム部3Bによってゲート43を完全に閉鎖する閉鎖位置Q2と、開放位置Q1と閉鎖位置Q2との間に設定される中間位置Q3と、の間で移動ピース群3を移動させる。なお、制御装置は、センサー出力によって移動ピース群3の移動量を検知する。制御装置は、指定された各位置Q1,Q2,Q3に移動ピース群3を移動させると駆動装置13を駆動を停止させる。
【0079】
開放位置Q1に移動した移動ピース群3(アーム部3B)は、筐体2内に完全に収容されている。この状態で、自動車は、ゲート43を出入することができる。なお、開放位置Q1に移動したアーム部3Bの先端部が外側開口10から僅かに露出していてもよい。
【0080】
閉鎖位置Q2に移動した移動ピース群3(アーム部3B)は、先端部をキャッチ部47に嵌合させている。つまり、アーム部3Bは、筐体2とキャッチャー42との間に架け渡されている。移動ピース群3は、閉鎖位置Q2に移動した場合に、人、自転車、自動二輪車および自動車がゲート43を通行することを規制する。なお、移動ピース群3の全長は、ゲート43の幅よりも十分に長く形成されている。
【0081】
移動ピース群3は、中間位置Q3に移動した場合に、人、自転車および自動二輪車がゲート43を通行することを許可すると共に、自動車がゲート43を通行することを規制する。なお、中間位置Q3と閉鎖位置Q2との間の距離は、アーム部3Bの先端部がキャッチ部47から離間して停止した場合に、人、自転車および自動二輪車が通行可能なゲート幅であって、予め自動車の車両幅よりも短い距離に設定されている。具体的には、旧規格での軽自動車の車両幅である1.3mよりも短く、大型のバイクの通行を想定して1mよりも長ければよい。
【0082】
以上説明した第2の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置40によれば、第1の実施形態に係る直動伸縮装置1と同様の作用、効果を奏することができる。また、例えば、直動中のアーム部3Bの先端部がゲート43を通行する対象(人や自動車等)に衝突した場合、移動ピース20は衝突時の力を逃がすように上方に回動するため、アーム部3Bの先端側は上方に湾曲する。これにより、アーム部3Bと通行対象との衝突時の衝撃を抑制することができると共に、通行対象の安全性を確保することができる。
【0083】
また、第2の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置40によれば、移動ピース群3(アーム部3B)の移動位置を3段階に変位させることで、ゲート43を通行する対象に応じて、ゲート43の開放量を柔軟に調整することができる。これにより、自転車や自動二輪車が通行する場合に、ゲート43の開閉を素早く行うことができる。つまり、適切な通行規制を行うことができる。
【0084】
また、アーム部3Bは、下方向の回動(湾曲)が規制されると共に、先端部をキャッチ部47に嵌合させた状態では上方向の回動(湾曲)も規制される。アーム部3Bが大きく撓むことが無いため、アーム部3Bの先端部は、キャッチ部47から抜け出し難くなっている。これにより、ゲート43が不正に開放されることを防止することができる。さらに、従来、キャッチ部47には、アーム部3Bの先端部を固定するロック機構を備えた構成が一般的であった。この点、第2の実施形態に係る直動伸縮式ゲート装置40では、アーム部3Bの先端部がキャッチ部47から抜け出し難いため、従来のロック機構を省略することができる。また、ロック機構を作動させる電気配線作業を省略することもできる。これにより、直動伸縮式ゲート装置40の設置コストを削減することができる。
【0085】
なお、第2の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置40は、開放位置Q1と閉鎖位置Q2との間で移動ピース群3(アーム部3B)を移動するように運用してもよい。すなわち、直動伸縮式ゲート装置40は、自動車と自動二輪車とを同様に扱って通行の許可と規制とを行う有料道路等のゲート43として好適に用いることができる。
【0086】
(第3の実施形態)
次に、
図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置50について説明する。
図9は直動伸縮式ゲート装置50を示す斜視図である。なお、第1および第2の実施形態に係る直動伸縮装置1,41および直動伸縮式ゲート装置40と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
直動伸縮式ゲート装置50は、直動伸縮装置41を鉄道駅のプラットホームH上に設置して、所謂安全柵装置として用いられている。直動伸縮式ゲート装置50は、アーム部3Bの移動方向がプラットホームHの端部に沿うように複数並設されている。プラットホームHには、直動伸縮式ゲート装置50と固定柵51とが交互に設置されている。
【0088】
直動伸縮式ゲート装置50は、プラットホームHに到着した列車の出入口ドアにゲート43が対応するように設置されている。直動伸縮装置41(筐体2)は、従来の安全柵装置のホームドアを収容する戸袋よりも小型に形成されている。キャッチャー42は、略四角柱状に形成されている。固定柵51は、例えば、安価なパイプ状の柵であって、直動伸縮式ゲート装置50の設置箇所以外に設置されている。
【0089】
以上説明した第3の実施形態に係る直動伸縮装置41を備える直動伸縮式ゲート装置50によれば、直動伸縮装置41は、小型且つ軽量であるため、重量物を設置するためのプラットホームHの補強工事等を省略することができる。これにより、直動伸縮式ゲート装置50の設置コストの低減を図ることができる。また、直動伸縮装置41の筐体2の小型化を図ることができるため、直動伸縮装置41の設置箇所以外では安価で軽量な固定柵51を設置することができる。これにより、プラットホームH上に設置する構造物の総重量を低減することができる。また、プラットホームHの安全柵装置の普及が期待される。